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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A24F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A24F
審判 訂正 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 訂正する A24F
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する A24F
管理番号 1367220
審判番号 訂正2020-390011  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2020-02-12 
確定日 2020-09-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5978303号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5978303号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5978303号(以下、「本件特許」という。)は、2012年8月8日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2011年8月9日アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2014-525108号の請求項1ないし45に係る発明について、平成28年7月29日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、令和2年2月12日に本件訂正の請求がなされたものである。
さらに、当審において令和2年4月27日付けで訂正拒絶理由を通知したところ、同年6月8日に意見書が提出されたところである。

第2 審判請求の趣旨
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし45について訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件訂正の内容は審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載されたとおり訂正するものであって、以下のとおりである。

1 訂正事項1
請求項1に「吸引可能な物質をともに含む実質的に筒状の吸引可能な物質媒体であって、前記吸引可能な物質媒体と前記カートリッジ本体との間に環状空間を定めるように、前記カートリッジ本体内に配置されている吸引可能な物質媒体と」とあるのを、「吸引可能な物質をともに含む実質的に筒状の吸引可能な物質媒体であって、前記吸引可能な物質媒体と前記カートリッジ本体との間にポリマー材料を含む環状空間を定めるように、前記カ-トリッジ本体内に配置されている吸引可能な物質媒体と」と訂正する(なお、請求項1の記載を引用する請求項2ないし45も同様に訂正する。下線は、訂正箇所を示す。)。

2 訂正事項2
請求項1に「前記吸引可能な物質を含む蒸気を前記環状空間内に形成させるのに充分に、前記吸引可能な物質媒体の少なくとも一部を加熱するように、前記吸引可能な物質媒体が前記電気加熱部材と機能可能に配置される電気喫煙物品」とあるのを、「記吸引可能な物質を含む蒸気を前記環状空間内に形成させるのに充分に、前記吸引可能な物質媒体の少なくとも一部を加熱するように、前記吸引可能な物質媒体が前記電気加熱部材と機能可能に配置され、前記カ-トリッジは、前記制御ハウジングへの必要な挿入深さを示す1つ以上のマーキングを外面に有する、電気喫煙物品」と訂正する(なお、請求項1の記載を引用する請求項2ないし45も同様に訂正する。)。

第4 訂正拒絶理由
1 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第126条第5項の規定に適合しない。
2 独立特許要件
本件訂正後の請求項1の記載は、特許法第36項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、本件訂正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合しない。

第5 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的
上記訂正事項1は、訂正前の「環状空間」について、「ポリマー材料を含む」ことを限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
特許明細書等における明細書の段落【0054】には、「この様式では、本発明において別段に記載されているように、カートリッジ本体の内面と、吸引可能な物質媒体の外面によって定められる環状空間319は、カートリッジ本体の、開口構造化された第2の内層に取って代わられているとともに、同じ機能を提供する。したがって、カートリッジの第2の内層内の空隙は、本明細書に別段に記載されているような、環状空間の特徴(例えば体積など) と実質的に同じ特徴を呈してよい。特有の実施形態では、第2の内層の開口構造は、体積ベースで、その層の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約85%が開口空隙空間であるようになっている。特有の実施形態では、第2の内層の開口空間は、第2の内層の約50体積%?約90体積%、約60体積%?約85体積%、または約65体積%?約80体積%であってよい。この比較的厚い多孔質層は、エアロゾル収集/生成区域をもたらすものとしてとして特徴づけることができ、ある1つの例では、紙またはポリマー材料のアコーディオン層であってよい。あるいは、第2の内層は、セルロースアセテートトウのような材料、綿繊維、または不織多孔質マットを形成させるのに有用ないずれかの数の材料(スパンボンドポリプロピレン、PLA繊維、PHA繊維、ガラス繊維など)の多孔質マットであってもよい。」(下線は、当審で付与した。)と記載されている。
また、令和2年6月8日提出の意見書において、請求人は、本願明細書には、環状空間にポリマー材料のアコーディオン層を設けた実施例が開示されているが、これはある1つの例であり、これとは別に多孔質マットの実施例も記載されており、多孔質マットはポリマーで形成できるものであり、本願明細書の記載を見た当業者は、あらゆる形態のポリマー材料が環状空間に設けられることを理解する旨主張する。
以上を踏まえると、特許明細書等には、訂正事項1の「ポリマー材料を含む環状空間」が実質的に記載されているといえる。
したがって、訂正事項1は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合するものであるから、上記「第4 1」 の訂正拒絶理由は解消した。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないこと
訂正事項1は、上記(1)のように訂正前の請求項1に記載された事項をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
したがって、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的
上記訂正事項2は、訂正前の「カートリッジ」について、「制御ハウジングへの必要な挿入深さを示す1つ以上のマーキングを外面に有する」ことを限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
特許明細書等における明細書の段落【0090】には、「例えば、カートリッジは、その外側(例えばカートリッジオーバーラップ部380の外面)に1つ以上のマーク(または目盛り尺)を含んでよい。単一のマークが、(例えば図7に示されているように)使用するためのこの最初に位置に達するのに必要な挿入深さを示していてもよい。」との記載がある。
したがって、訂正事項2は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないこと
訂正事項2は、上記(1)のように訂正前の請求項1に記載された事項をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
したがって、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

3 独立特許要件
上記1(2)で検討したとおり、特許明細書等には、訂正事項1の「ポリマー材料を含む環状空間」が実質的に記載されているといえるから、訂正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものであり、訂正後の請求項1に係る発明の「ポリマー材料」との記載も明確である。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号及び2号に規定する要件を満たしているから上記「第4 2」の訂正拒絶理由は解消した。
また、他に訂正後の請求項1に係る発明について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
よって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論の通り審決する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に筒状のカートリッジ本体と、
吸引可能な物質をともに含む実質的に筒状の吸引可能な物質媒体であって、前記吸引可能な物質媒体と前記カートリッジ本体との間にポリマー材料を含む環状空間を定めるように、前記カートリッジ本体内に配置されている吸引可能な物質媒体と、
電気加熱部材と、
前記カートリッジに機能可能に連結されている嵌合端部を有するとともに、前記電気加熱部材に電力を供給する電気エネルギー源を含む制御ハウジングと、
を含む電気喫煙物品であって、
前記吸引可能な物質を含む蒸気を前記環状空間内に形成させるのに充分に、前記吸引可能な物質媒体の少なくとも一部を加熱するように、前記吸引可能な物質媒体が前記電気加熱部材と機能可能に配置され、
前記カートリッジは、前記制御ハウジングへの必要な挿入深さを示す1つ以上のマーキングを外面に有する、電気喫煙物品。
【請求項2】
前記カートリッジ本体が実質的に円筒状の形である、請求項1に記載の電気喫煙物品。
【請求項3】
前記カートリッジ本体が、前記制御ハウジングの前記嵌合端部に機能可能に連結される嵌合端部を含み、前記カートリッジ本体の前記嵌合端部が、前記電気エネルギー源の少なくとも1つの構成要素を受容するような大きさおよび形を有する開口部含む、請求項1または請求項2に記載の電気喫煙物品。
【請求項4】
前記吸引可能な物質がタバコ由来の材料を含む、請求項1?3のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項5】
前記吸引可能な物質がエアロゾル形成材料を含む、請求項1?4のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項6】
前記エアロゾル形成材料が多価アルコールを含む、請求項5に記載の電気喫煙物品。
【請求項7】
前記多価アルコールがグリセリンである、請求項6に記載の電気喫煙物品。
【請求項8】
前記吸引可能な物質媒体が固体基材を含む、請求項1?7のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項9】
前記固体基材がタバコを含む、請求項8に記載の電気喫煙物品。
【請求項10】
前記固体基材がタバコ由来の材料を含む、請求項8に記載の電気喫煙物品。
【請求項11】
前記固体基材が紙材料である、請求項8に記載の電気喫煙物品。
【請求項12】
前記固体基材がタバコ紙チューブである、請求項8に記載の電気喫煙物品。
【請求項13】
前記固体基材がエアロゾル形成材料をさらに含む、請求項8?12のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項14】
前記吸引可能な物質媒体が蒸気バリアを含む、請求項1?13のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項15】
前記蒸気バリアが前記電気加熱部材に隣接するように、前記蒸気バリアが、前記吸引可能な物質媒体の壁に配置されている、請求項14に記載の電気喫煙物品。
【請求項16】
前記吸引可能な物質媒体が、前記カートリッジ本体に、前記吸引可能な物質媒体の対向端部のみで取り付けられている、請求項1?15のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項17】
前記吸引可能な物質媒体と前記カートリッジ本体との間の前記環状空間の容積が約5ml?約100mlである、請求項1?16のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項18】
前記制御ハウジングの前記嵌合端部が、開口端部を有するチャンバーを含む、請求項1?17のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項19】
周囲空気を前記チャンバーの中に侵入させる1つ以上の開口部を含む壁で、前記チャンバーが形成されている、請求項18に記載の電気喫煙物品。
【請求項20】
前記電気エネルギー源が突出部を含む、請求項1?19のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項21】
前記突出部の長さが約10mm?約50mmである、請求項20に記載の電気喫煙物品。
【請求項22】
前記電気加熱部材が、前記電気エネルギー源の前記突出部に取り付けられている、請求
項20に記載の電気喫煙物品。
【請求項23】
前記電気加熱部材が抵抗線である、請求項22に記載の電気喫煙物品。
【請求項24】
前記電気加熱部材の上に配置された放熱部材をさらに含む、請求項22に記載の電気喫煙物品。
【請求項25】
前記放熱部材の幅が、前記吸引可能な物質媒体の長さの約10%?約30%である、請求項24に記載の電気喫煙物品。
【請求項26】
前記カートリッジ本体が、前記電気加熱部材をその上に有する突出部の一区域を通って、ある距離だけ割り送られるように構成されている、請求項20?25のいずれか一項に記載の電気喫煙物品。
【請求項27】
前記物品が、前記割り送りを手動で制御するように適合されている、請求項26に記載の電気喫煙物品。
【請求項28】
前記突出部区域を通り越すように、前記カートリッジ本体を自動的に割り送る吸煙始動式コントローラーを前記物品が含む、請求項26に記載の電気喫煙物品。
【請求項29】
前記割り送り距離が、吸煙の持続時間に直接関連する、請求項28に記載の電気喫煙物品。
【請求項30】
前記電気加熱部材を有する前記突出部区域の長さが、前記吸引可能な物質媒体の長さの約75%?約125%である、請求項26に記載の電気喫煙物品。
【請求項31】
前記電気加熱部材が前記カートリッジ本体内に配置されている、請求項1に記載の電気喫煙物品。
【請求項32】
前記電気エネルギー源が突出部を含み、加熱を始動させると、前記電気加熱部材の全長に沿って加熱が行われるように、前記電気加熱部材が、前記突出部上の対応する接点と相互作用するように適合された電気接点を含む、請求項31に記載の電気喫煙物品。
【請求項33】
前記電気加熱部材が前記カートリッジ本体内に、前記吸引可能な物質媒体の長さの約75%?約100%である部分に沿って存在する、請求項32に記載の電気喫煙物品。
【請求項34】
前記電気エネルギー源の前記突出部が導電体を含む、請求項32に記載の電気喫煙物品。
【請求項35】
加熱が行われているときに、前記突出部と電気的に接続している、前記電気加熱部材の区域に近接する、前記吸引可能な物質媒体の部分のみが加熱されるように、前記導電体が、前記電気加熱部材の別個の区域と電気的接続を形成する、請求項34に記載の電気喫煙物品。
【請求項36】
前記突出部の前記導電体と電気的に接続している、前記電気加熱部材の区域が、前記吸引可能な物質媒体の長さの約5%?約50%を含む、請求項35に記載の電気喫煙物品。
【請求項37】
前記カートリッジ本体が、導電体をその上に有する前記突出部区域を通って、ある距離だけ割り送られるように構成されている、請求項36に記載の電気喫煙物品。
【請求項38】
前記物品が、前記割り送りを手動で制御するように適合されている、請求項37に記載の電気喫煙物品。
【請求項39】
前記物品が、前記突出部区域を通って、前記カートリッジ本体を自動的に割り送る吸煙始動式コントローラーを含む、請求項37に記載の電気喫煙物品。
【請求項40】
前記割り送り距離が、吸煙の持続時間に直接関連する、請求項39に記載の電気喫煙物品。
【請求項41】
前記吸引可能な物質媒体の対応する別個の区域に個別に熱を供給する複数の個別のヒーター要素を前記電気加熱部材が含む、請求項1に記載の電気喫煙物品。
【請求項42】
前記電気加熱部材が、所定の抵抗率を有する導電性材料であって、前記吸引可能な物質媒体と一体形成されている導電性材料である、請求項1に記載の電気喫煙物品。
【請求項43】
前記制御ハウジングが、前記電気エネルギー源から前記電気加熱部材への電流流動を始動させる構成要素をさらに含む、請求項1に記載の電気喫煙物品。
【請求項44】
前記制御ハウジングが、前記電気エネルギー源から前記電気加熱部材への、すでに開始済みの電流流動を調節する構成要素さらに含む、請求項1に記載の電気喫煙物品。
【請求項45】
前記吸引可能な物質媒体を含む前記カートリッジ本体の長さ沿いの流体経路が、前記カートリッジ本体と前記吸引可能な物質媒体との間の環状空間を通る経路に実質的に限定されるような流路を前記カートリッジが含む、請求項1に記載の電気喫煙物品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-07-22 
結審通知日 2020-07-28 
審決日 2020-08-21 
出願番号 特願2014-525108(P2014-525108)
審決分類 P 1 41・ 855- Y (A24F)
P 1 41・ 537- Y (A24F)
P 1 41・ 856- Y (A24F)
P 1 41・ 851- Y (A24F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 豊島 ひろみ  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 槙原 進
塚本 英隆
登録日 2016-07-29 
登録番号 特許第5978303号(P5978303)
発明の名称 喫煙物品、および吸引材をもたらすためにその喫煙物品を用いること  
代理人 大野 聖二  
代理人 小林 英了  
代理人 大野 聖二  
代理人 小林 英了  

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