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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F23J
管理番号 1367352
審判番号 不服2019-16465  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-05 
確定日 2020-10-23 
事件の表示 特願2015-160769「クリンカ除去装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日出願公開、特開2017- 40388〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年8月18日を出願日とする出願であって、平成31年4月23日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年7月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年8月30日付け(発送日:令和1年9月10日)で拒絶査定がされ、それに対して、令和1年12月5日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和1年12月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和1年12月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。
「【請求項1】
炭素燃料を燃焼させるバーナが配置された開口部を有する炉壁部に付着したクリンカを除去するクリンカ除去装置であって、
前記バーナは、炭素燃料と空気との混合物を噴出する燃料噴出ノズルと、前記混合物を燃焼させる二次空気を供給するウインドボックスと、を有し、
前記ウインドボックスは、前記二次空気に旋回流を付与するレジスタベーンと、前記二次空気の旋回流を前記燃料噴出ノズルの周囲に導く環状流路と、を有し、
前記クリンカを除去する流体を噴出する流体噴出ノズルが、前記環状流路に挿入されており、
前記流体噴出ノズルは、前記環状流路の上半分の領域に配置されており、流体が流通する内部空間に向かって突出するノズル部材を備えることを特徴とするクリンカ除去装置。」
(下線部は、補正箇所である。)

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和1年7月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
炭素燃料を燃焼させるバーナが配置された開口部を有する炉壁部に付着したクリンカを除去するクリンカ除去装置であって、
前記バーナは、炭素燃料と空気との混合物を噴出する燃料噴出ノズルと、前記混合物を燃焼させる二次空気を供給するウインドボックスと、を有し、
前記ウインドボックスは、前記二次空気に旋回流を付与するレジスタベーンと、前記二次空気の旋回流を前記燃料噴出ノズルの周囲に導く環状流路と、を有し、
前記クリンカを除去する流体を噴出する流体噴出ノズルが、前記環状流路に挿入されており、
前記流体噴出ノズルは、前記環状流路の上半分の領域に配置されていることを特徴とするクリンカ除去装置。」

2 補正の適否について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「流体噴出ノズル」に関して、「流体が流通する内部空間に向かって突出するノズル部材を備える」という限定を付加するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する(「・・・」は記載の省略を意味し、下線は当審にて付した。以下同様。)。

(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された実願昭61-194341号(実開昭63-104828号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1-a)「1.考案の名称
クリンカ除去装置
2.実用新案登録請求の範囲
(1)バーナ開口部に付着するクリンカを除去する装置において、バーナにおける燃料通路又は燃焼用空気通路を貫通するとともに燃焼時には前記通路の少なくとも一部から燃焼領域外側に移動可能に設置され、かつその先端部に噴射ノズルを有する噴射管を設け、前記噴射ノズルは噴射角度の異なる2個以上の噴射孔を有するとともに噴射ノズルがクリンカを除去する操作時の位置において前記2個以上の噴射孔からの噴射流体が前記クリンカの面で合流するように前記噴射孔の傾斜角が形成されていることを特徴とするクリンカ除去装置。」(明細書1頁2行?2頁1行)

(1-b)「3.考案の詳細な説明
[産業上の利用分野]
本考案はクリンカ除去装置に係り、特にバーナの開口部に付着するクリンカを除去するのに好適なクリンカ除去装置に関する。
[従来の技術]
第4図は、従来の微粉炭焚低NOxバーナの概略的構成図である。第4図において、微粉炭燃料は、1次空気とともに搬送されて微粉炭ノズル1を経て保炎リング2により外周保炎を形成しながら炉内へと噴出される。」(明細書2頁2行?同頁12行)

(1-c)「[考案が解決しようとする問題点]
・・・
このため、継続して燃焼を行うと、バーナ開口部に次第にクリンカが付着し、燃料及び燃焼空気のフローパターンを阻害し、適性な燃焼が得られないという問題があった。また、クリンカによって燃焼噴霧流がバーナ側に逆流し、火炎が発生すし、エアレジスタが焼損する危険性があるという問題があった。
本考案は目的は、上記した従来技術の問題点を解消し、バーナ開口部に付着するクリンカを除去し、安定で、かつ安全な燃焼を確保できるクリンカ除去装置を提供することにある。」(明細書3頁8行?4頁7行)

(1-d)「[考案の実施例]
第1図は本考案のクリンカ除去装置の一実施例を示す概略的構成図である。このクリンカ除去装置は、炉壁18および2次エアの通路を貫通して設けられた筒体19と、この筒体19内に移動自在に設置されるとともにその先端部に噴射ノズル13を有し、その後端部はエアシリンダ12に固定された噴射管20を備えている。
噴霧管20の先端部に設けられた噴射ノズル13は、第2図に示すように噴射管20の内部に連通された蒸気通路13Aおよび水通路13Bが形成され、これらの蒸気通路13Aと水通路13Bとは混合流体通路13Cおよび13Dにてそれぞれ合流するようになっている。
混合流体通路13Cと混合流体通路13Dとは、それぞれ第2図に示すようにそれらの通路から噴射される噴射流体17の合流噴射角(図中、θで示す)は、水壁10の傾斜面10A(第1図に示す)の傾斜角以下に設定されている。また、混合流体通路13Cと混合流体通路13Dのそれぞれの噴射流は、水壁10の内面に相当する面で交叉するようになっている。
・・・
次に上記の装置の作用および効果について説明する。
微粉炭燃料は、1次空気とともに搬送され微粉炭ノズル1を通って保炎リング2により保炎されながら炉内に供給される。燃焼用空気は、2次空気、3次空気に分けられ、それぞれ2次エアレジスタ3及び3次エアレジスタ4を経て炉内に供給される。2次空気および3次空気は、2次ベーン6および3次エアレジスタ4により適度の旋回力が与えられ、保炎性の向上、高還元炎の形成を助けている。
このような燃焼時において、エアシリンダ12により噴射管20は図中、左側に移動した状態であり、噴射ノズル13は筒体19の先端の内部に位置し、3次空気の流れに支障は生じない。
次に燃焼操作を継続して行うと、バーナ開口部にクリンカ14が付着する。この場合、エアシリンダ12の作動により筒体19内の噴射管20はバーナ開口部側(図中、右側)に移動し、噴射ノズル13はガイドスリーブ7付近に達する。このとき、噴射管20内部の蒸気通路13Aから噴霧蒸気15が導入され、噴射管20内部の水通路13Bから水16がそれぞれ導入され、この噴霧蒸気15と水16は混合流体通路13Cおよび混合流体通路13Dから炉内に噴射される。そして、噴射流体17は蒸気によって霧化され、クリンカ14に噴射される。
・・・
クリンカ14の除去が終了すると、エアシリンダ12の作動により筒体19内の噴射管20は図中、左側に移動し、噴射管20先端部の噴射ノズル13は筒体19内に収納される。したがって、3次エアレジスタ4からの空気の旋回力の減衰は生じない。
第3図は本考案の他の実施例を示す概略的構成図である。
第3図において、重油バーナガン11と第1図における噴射管20および噴射ノズル14に相当する機器とを互換可能とし、噴射管20をその軸方向に調整可能にするとともに噴霧流体である蒸気に重油バーナ用の噴霧蒸気を利用するようにしたものである。」(明細書5頁8行?9頁17行)

(1-e)「4.図面の簡単な説明
・・・
1……微粉炭ノズル、2……保炎リング、3……2次エアレジスタ、4.……3次エアレジスタ、5……2次スロート、6……2次ベーン、7……ガイドスリーブ、8……3次スロート(当審注:「ロスート」とあったのは、「スロート」の誤記であると認めた。)、9……ウィンドボックス、10……水壁、11……重油バーナガン、12……エアシリンダ、13……噴射ノズル」(明細書10頁19行?11頁11行)

(1-f)「









上記(1-b)に記載された「第4図において、微粉炭燃料は、1次空気とともに搬送されて微粉炭ノズル1を経て保炎リング2により外周保炎を形成しながら炉内へと噴出される。」点は、微粉炭ノズル1や保炎リング2の構造が第4図と第1図とで同じであることからみて、第1図においても同様であるといえる。
上記(1-d)の事項及び図1から、バーナ開口部に付着するクリンカ14は、バーナ開口部を有する水壁10に付着するクリンカ14であることが見て取れる。
上記(1-d)、(1-e)の事項及び図1から、2次スロート5が、2次ベーン6により適度の旋回力を与えられた2次空気を微粉炭ノズル1の周囲に導く環状流路(以下「第一環状流路」という。)を形成することが見て取れる。
上記(1-d)、(1-e)の事項及び図1から、3次スロート8が、3次エアレジスタ4により適度の旋回力を与えられた3次空気を第一環状流路の周囲に導く環状流路(以下「第二環状流路」という。)を第一環状流路の周囲に形成し、噴射ノズル13が、第二環状流路に挿入されていることが見て取れる。
上記(1-d)、(1-e)の事項及び図1から、クリンカ14が付着するバーナ開口部には、微粉炭ノズル1、2次エアレジスタ3、3次エアレジスタ4、第一環状流路、2次ベーン6、第二環状流路、ウィンドボックス9等が配置されていることが見て取れる。
上記(1-d)、(1-e)の事項及び図2から、噴射ノズル13に、混合流体通路13Cおよび混合流体通路13Dが設けられていることが見て取れる。

上記(1-a)?(1-f)の事項及び図面から見て取れる事項を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。
「微粉炭ノズル1、2次エアレジスタ3、3次エアレジスタ4、第一環状流路、2次ベーン6、第二環状流路、ウィンドボックス9等が配置されたバーナ開口部を有する水壁10に付着するクリンカ14を除去し、安定で、かつ安全な燃焼を確保できるクリンカ除去装置であって、
前記クリンカ除去装置は、炉壁18および2次エアの通路を貫通して設けられた筒体19と、前記筒体19内に移動自在に設置されるとともにその先端部に噴射ノズル13を有し、その後端部はエアシリンダ12に固定された噴射管20を備え、
前記第一環状流路は、2次ベーン6により適度の旋回力を与えられた2次空気を微粉炭ノズル1の周囲に導く環状流路であり、
前記第二環状流路は、3次エアレジスタ4により適度の旋回力を与えられた3次空気を第一環状流路の周囲に導く環状流路であり、
前記噴射ノズル13が前記第一環状流路の周囲に形成された前記第二環状流路に挿入されており、
前記噴射ノズル13に、混合流体通路13Cおよび混合流体通路13Dが設けられ、
微粉炭燃料は、1次空気とともに搬送され前記微粉炭ノズル1を経て保炎リング2により外周保炎を形成しながら炉内へと噴出され、
燃焼用空気は、2次空気、3次空気に分けられ、それぞれ前記2次エアレジスタ3及び前記3次エアレジスタ4を経て炉内に供給され、
前記2次空気および3次空気は、前記2次ベーン6および前記3次エアレジスタ4により適度の旋回力が与えられ、
燃焼時において、前記エアシリンダ12により前記噴射管20は移動した状態であり、前記噴射ノズル13は前記筒体19の先端の内部に位置し、前記3次エアレジスタ4からの空気の旋回力の減衰は生じず、
燃焼操作を継続して行うと、前記バーナ開口部を有する水壁10にクリンカ14が付着し、この場合、前記エアシリンダ12の作動により前記筒体19内の前記噴射管20はバーナ開口部側に移動し、前記噴射ノズル13はガイドスリーブ7付近に達し、前記噴射管20内部の蒸気通路13Aから噴霧蒸気15が導入され、噴射管20内部の水通路13Bから水16が導入され、前記噴霧蒸気15と前記水16は混合流体通路13Cおよび混合流体通路13Dから炉内に噴射され、噴射流体17は蒸気によって霧化され、前記クリンカ14に噴射される、クリンカ除去装置。」

(2)引用例2
特開2003-269885号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(2-a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラ等の炉内に配設され蒸気を発生させる伝熱管に付着、堆積する煤塵を除去するためのスートブロワ用噴射管に係わり、特に炉内に噴射媒体を噴射するために、噴射管の軸方向所定位置に溶接され、ノズル穴を穿設して設けるノズルピースの溶接部から発生することのある割れを低減できるスートブロワ用噴射管に関する。
・・・
【図1】本発明のスートブロワ用噴射管の実施の第1形態を示す構造図で、図1(a)はノズルを設ける噴射管のノズル部周辺をノズル軸心方向から見た図、図1(b)は一点鎖線の左側が図1(a)に示す矢視A-Aにおける軸方向断面図、一点鎖線の右側が図1(b)の矢視B-Bにおける径方向断面図」

(2-b)「



(3)引用例3
特開2000-234720号公報(以下「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。
(3-a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラ等の伝熱部に付着・堆積した付着物を気流の作用で吹き飛ばすスートブロワ装置に係り、特に、付着物の除去能力を高めるのに好適なノズル構造に関するものである。
・・・
【図1】実施例に係るスートブロワ装置の要部断面図である。
・・・
【図12】他の実施例に係るスートブロワ装置の要部断面図である。」

(3-b)「





(4)引用例4
特開2001-41684号公報(以下「引用例4」という。)には、以下の事項が記載されている。
(4-a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランスチューブの側面に配置したノズルから気体を吹き出して伝熱管に付着した燃焼灰を除去するスートブロワに関する。
・・・
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスートブロワ先端の構造を示す正面図である。
【図2】図1のA-A断面図である。」

(4-b)「



(5)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア 機能、作用などからみて引用発明の「微粉炭燃料」、「バーナ開口部」及び「水壁10」は、それぞれ、本願補正発明の「炭素燃料」、「バーナが配置された開口部」及び「炉壁部」に相当し、引用発明の「微粉炭ノズル1、2次エアレジスタ3、3次エアレジスタ4、第一環状流路、2次ベーン6、第二環状流路、ウィンドボックス9等」は、「バーナ開口部」に配置されるものであり、微粉炭燃料(炭素燃料)を燃焼させるものであるから、本願補正発明の「炭素燃料を燃焼させるバーナ」に相当する。
そうすると、引用発明の「微粉炭ノズル1、2次エアレジスタ3、3次エアレジスタ4、第一環状流路、2次ベーン6、第二環状流路、ウィンドボックス9等が配置されたバーナ開口部を有する水壁10に付着するクリンカ14を除去し、安定で、かつ安全な燃焼を確保できるクリンカ除去装置」は、本願補正発明の「炭素燃料を燃焼させるバーナが配置された開口部を有する炉壁部に付着したクリンカを除去するクリンカ除去装置」に相当する。

イ 引用発明において「微粉炭燃料は、1次空気とともに搬送され前記微粉炭ノズル1を経て保炎リング2により外周保炎を形成しながら炉内へと噴出され」るから、引用発明の「微粉炭ノズル1」は、本願補正発明の「炭素燃料と空気との混合物を噴射する燃料噴射ノズル」に相当する。

ウ 引用発明において「燃焼用空気は、2次空気、3次空気に分けられ、それぞれ前記2次エアレジスタ3及び前記3次エアレジスタ4を経て炉内に供給され」、「前記2次空気」「は、前記2次ベーン6」「により適度の旋回力が与えられ」、「前記第一環状流路は、2次ベーン6により適度の旋回力を与えられた2次空気を微粉炭ノズル1の周囲に導く環状流路であ」るから、引用発明の「2次ベーン6」は、本願発明の「前記二次空気に旋回流を付与するレジスタベーン」に相当し、引用発明の「第一環状流路」は、本願発明の「前記二次空気の旋回流を前記燃料噴射ノズルの周囲に導く環状流路」に相当する。
そうすると、引用発明の「2次エアレジスタ3」、「第一環状流路」、「2次ベーン6」及び「ウィンドボックス9」を備えた態様は、本願補正発明の「前記二次空気に旋回流を付与するレジスタベーン」と、「前記二次空気の旋回流を前記燃料噴射ノズルの周囲に導く環状流路」「と、を有し」、「前記混合物を燃焼させる二次空気を供給するウインドボックス」を備えた態様に相当する。

エ 引用発明において、「前記噴射ノズル13に、混合流体通路13Cおよび混合流体通路13Dが設けられ」、「前記噴霧蒸気15と前記水16は混合流体通路13Cおよび混合流体通路13Dから炉内に噴射され、噴射流体17は蒸気によって霧化され、前記クリンカ14に噴射される」から、引用発明の「噴射ノズル13」は、本願補正発明の「前記クリンカを除去する流体を噴出する流体噴出ノズル」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「炭素燃料を燃焼させるバーナが配置された開口部を有する炉壁部に付着したクリンカを除去するクリンカ除去装置であって、
前記バーナは、炭素燃料と空気との混合物を噴出する燃料噴出ノズルと、前記混合物を燃焼させる二次空気を供給するウインドボックスと、を有し、
前記ウインドボックスは、前記二次空気に旋回流を付与するレジスタベーンと、前記二次空気の旋回流を前記燃料噴出ノズルの周囲に導く環状流路と、を有し、
前記クリンカを除去する流体を噴出する流体噴出ノズルを備えるクリンカ除去装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願補正発明の流体噴出ノズルが、(前記二次空気の旋回流を前記燃料噴出ノズルの周囲に導く)「前記環状流路に挿入されて」いるのに対し、引用発明の噴射ノズル13は、第一環状流路の周囲に形成された第二環状流路に挿入されている点。

<相違点2>
本願補正発明の流体噴出ノズルが、「前記環状流路の上半分の領域に配置されて」いるのに対し、引用発明の噴射ノズル13が、そのような構成を有するか不明な点。

<相違点3>
本願補正発明の流体噴出ノズルが、「流体が流通する内部空間に向かって突出するノズル部材を備える」のに対し、引用発明の噴射ノズル13が、そのような構成を有しない点。

(6)判断
ア 相違点1に係る本願補正発明の構成の容易想到性について。
引用例1の実用新案登録請求の範囲に「バーナにおける燃料通路又は燃焼用空気通路を貫通するとともに燃焼時には前記通路の少なくとも一部から燃焼領域外側に移動可能に設置され、かつその先端部に噴射ノズルを有する噴射管を設け、」(上記(1)(1-a))と記載されていて、第3図等には、他の実施例として噴射ノズル13が微粉炭ノズル1内に挿入されることが示されていることからも分かるように、引用例1において、噴射ノズル13を挿入する位置を第二環状流路に限る必要性がないことは明らかである。そして、噴射ノズル13を第一環状流路に挿入しても、引用発明や第3図等に記載された他の実施例と同様の作用効果を奏することができることは当業者が当然に認識し得ることである。
そうすると、引用発明の噴射ノズル13が第一環状流路に挿入されるようにして、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得る程度のことである。

イ 相違点2に係る本願補正発明の構成の容易想到性について。
引用例1の第1図に示されたクリンカ14が重力によって垂れ下がっている状態を表現していることは、当業者であれば当然に理解できることである。すなわち、引用例1の第1図において、図面上の上下方向が重力との関係でいう上下方向であることは、当業者であれば当然に理解できることである。
そうしてみると、引用例1の第1図には、噴射ノズル13が第二環状流路の上半分の領域に配置されていることが示されたものと認められる。そして、噴射ノズル13が第一環状流路に挿入されるようにする際に、第一環状流路においても、上半分の領域に配置されているようにすることは、当業者が当然に採用し得たことである。
したがって、引用発明の噴射ノズル13を相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が当然に採用し得たことである。
なお、引用例1の第1図に示されたクリンカ14が重力によって垂れ下がっていない場合であっても、引用例1に記載されている「バーナ開口部に次第にクリンカが付着し、燃料及び燃焼空気のフローパターンを阻害し、適性な燃焼が得られないという問題があった。また、クリンカによって燃焼噴霧流がバーナ側に逆流し、火炎が発生すし、エアレジスタが焼損する危険性があるという問題があった。」(上記(1)(1-c))という問題を生じさせる主なクリンカが、開口部に配置されたバーナに相当する各装置の上側に付着して開口部を塞ぐクリンカであることは当業者が当然に認識できることである。そうすると、クリンカを除去する流体を噴出する噴射ノズル13が第一環状流路に挿入されるようにする際に、噴射ノズル13を環状流路の上半分の領域に配置することで、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

ウ 相違点3に係る本願補正発明の構成の容易想到性について。
流体噴出ノズルが「流体が流通する内部空間に向かって突出するノズル部材を備える」ようにすることは、引用例2ないし引用例4の記載(上記(2)?(4))に見られるように、本願の出願日より前に周知の技術である(以下、「周知技術」という。)。
引用発明の流体が噴射される噴射ノズル13に周知技術を適用して、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

エ 本願補正発明が奏する効果について
本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

オ 請求人の主張
請求人は、令和1年12月5日付け審判請求書の「1.本願発明の説明」において「請求項1(独立項)に係る発明は、バーナの構成要素として、A:前記環状流路の上半分の領域に配置されており、B:流体が流通する内部空間に向かって突出するノズル部材を備える」として、「4.本願発明と引用発明との対比」において「本願の請求項1に係る発明において、流体噴出ノズルは構成要件A及び構成要件Bを備える。そして、本願の請求項1に係る発明によれば、流体噴出ノズルが構成要件Aを備えるが故に、開口部の上部に付着して簾状に垂れ下がるクリンカを効率よく除去することができる。また、本願の請求項1に係る発明によれば、流体噴出ノズルが構成要件Bを備えるが故に、流体噴出口を外方に突出させることなく、広範囲のクリンカを除去することができる。本願発明における構成要件A及び構成要件Bは本願発明特有の事項であり、引用発明1及び引用発明2によって動機付けられるものではない。」等の理由により、本願補正発明は進歩性を有する旨を主張している。
しかしながら、前記「イ」に記載したとおり、請求人のいう上記構成要件Aは、引用例1に記載された事項に基づいて当業者が当然になし得ること、または、当業者が容易になし得ることである。そして、上記構成要件Aに関して請求人が主張する効果は、当業者が予測し得るものである。
また、前記「ウ」に記載したとおり、請求人のいう上記構成要件Bは、引用発明に周知技術を適用することで当業者が適宜なし得ることである。そして、本願明細書の「本実施形態では、蒸気パージ管31は、図4(a)に示すように、炉壁部2の壁面に沿う一方向に広がるテーパ31a1付き蒸気パージ口31aを有する。この構成によれば、蒸気パージ管31から噴出した蒸気が、図2に示すように、所定の噴射角で広がり、クリンカ100を広範囲で除去できる。」(【0038】)との記載事項及び本件補正発明の流体噴出ノズルの外方について、特段特定がなされていないことを考慮すると、「流体噴出口を外方に突出させ」ないこと及び「広範囲のクリンカを除去することができる」ことは、いずれも上記構成要件B(流体が流通する内部空間に向かって突出するノズル部材を備える)によって奏する効果であると認めることができない。
そうすると、請求人の主張を採用することはできない。

(7)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?5に係る発明は、令和1年7月3日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2[理由]1(2)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおりである。
この出願の請求項1?2に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された引用文献1に記載された発明に基いて、請求項3?5に係る発明は、引用文献1?2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:実願昭61-194341号(実開昭63-104828号)のマイクロフィルム
引用文献2:実願平3-9044号(実開平4-108135号)のマイクロフィルム

3 引用文献
引用文献1は、前記「第2[理由]3(1)」に記載した引用例1であるから、その記載事項も、前記「第2[理由]3(1)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「流体噴出ノズル」に関して、「流体が流通する内部空間に向かって突出するノズル部材を備える」との限定事項が削除されたものである。
当該削除された限定事項は、前記「第2[理由]3(5)」に記載した相違点3に係る本願補正発明の構成であるから、本願発明と引用発明とは、前記「第2[理由]3(5)」に記載した相違点1及び2において相違し、その余において一致する。そして、前記「第2[理由]3(6)ア及びイ」に記載したとおり、引用発明の噴射ノズル13を相違点1及び2に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。そして、本願発明の効果は、当業者が予測し得る程度のものである。
そうすると、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-08-11 
結審通知日 2020-08-18 
審決日 2020-09-02 
出願番号 特願2015-160769(P2015-160769)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F23J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳本 幸雄  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 槙原 進
山田 裕介
発明の名称 クリンカ除去装置  
代理人 清水 雄一郎  
代理人 西澤 和純  
代理人 寺本 光生  
代理人 高橋 久典  
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