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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1367420
審判番号 不服2019-15952  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-27 
確定日 2020-11-13 
事件の表示 特願2017- 38804「基地局装置及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月20日出願公開、特開2018-148284、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月1日の出願であって、平成31年1月17日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年3月25日に手続補正がされ、令和1年8月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和1年11月27日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正がされた。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
理由1(新規性):請求項1ないし12に係る発明は、引用文献1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性):請求項1ないし12に係る発明は、引用文献1又は2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2015-219531号公報
2.特開2001-339334号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、補正前の請求項1に対して、補正前の請求項3及び請求項4に記載の発明特定事項を全て繰り入れ、さらに「前記処理手段は、前記一の移動体の通信装置から前記情報取得要求を取得したときに、前記一の移動体の通信装置から該通信装置の識別情報が関連付けられて送信された、歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求を、前記セル側通信手段の無線通信により受信したら、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報を参照し、受信した前記情報取得要求に関連づけられた前記一の移動体の通信装置の識別情報から前記一の移動体の位置情報を特定し、特定した前記一の移動体の位置情報から、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断し、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理を実行すること」という事項を追加するものであって、それらの発明特定事項は、補正前の請求項1に記載の「記憶対象情報」及び「処理手段」について限定するものである。また、請求項1の上記補正に伴い、補正前の請求項3、4を削除し、さらに、補正前の請求項5ないし12の項番を2つ繰り上げるとともに、当該請求項5ないし12が引用する請求項数を削減するものである。<修正案>また、審判請求時の補正は、補正前の請求項3及び4を削除し、それに伴って、補正前の請求項5ないし12の項番及びそれらが引用する請求項の項番を整理するものである。
したがって、請求項1、2、5ないし12についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであり、請求項3、4についての補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものであるから、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第5項の規定に適合する。
また、請求項1に追加された上記各発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0081】ないし【0088】、図面の図20ないし23、特許請求の範囲の請求項3及び4に記載されているから、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。さらに、特許法第17条の2第4項の規定に違反するところはない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし10に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第17条の2第6項で準用する特許法第126条第7項の規定にも適合する。

第4 本願発明
本願請求項1ないし10に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、令和1年11月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
セルラー方式の移動通信の基地局装置であって、
当該基地局装置によって形成されるセル内に在圏する通信装置を搭載する複数の移動体で撮像された撮像画像を含む記憶対象情報を記憶する内部記憶手段と、
前記セル内に在圏する通信装置と無線通信するセル側通信手段と、
前記セル内に在圏する一の移動体の通信装置から別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を要求する情報取得要求を前記セル側通信手段により取得したら、前記内部記憶手段に記憶されている該別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を該一の通信装置へ該セル側通信手段により送信する送信処理を実行する処理手段と、を有し、
前記記憶対象情報は、当該基地局装置のセル内に存在する移動体の通信装置の位置を示す位置情報と歩行者が所持する移動局装置の位置情報とを含み、
前記処理手段は、前記一の移動体の通信装置から前記情報取得要求を取得したときに、前記一の移動体の通信装置から該通信装置の識別情報が関連付けられて送信された、歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求を、前記セル側通信手段の無線通信により受信したら、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報を参照し、受信した前記情報取得要求に関連づけられた前記一の移動体の通信装置の識別情報から前記一の移動体の位置情報を特定し、特定した前記一の移動体の位置情報から、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断し、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理を実行することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
請求項1の基地局装置において、
前記処理手段は、前記通信装置に関する記憶対象情報を該通信装置から前記セル側通信手段により取得して前記内部記憶手段内に記憶する記憶処理を実行することを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
請求項1又は2の基地局装置において、
前記記憶対象情報は、前記通信装置を搭載する移動体の個体識別情報を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項4】
請求項3の基地局装置において、
前記個体識別情報は、前記移動体の外側に表示される個体識別情報であることを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
請求項4の基地局装置において、
前記個体識別情報は、対応する移動体の外部に位置する外部撮像機器によって該移動体を撮像した撮像画像に基づいて特定される情報であることを特徴とする基地局装置。
【請求項6】
請求項5の基地局装置において、
前記処理手段は、前記外部撮像機器により撮像した前記撮像画像を該外部撮像機器から前記セル側通信手段により取得し、該撮像画像に基づいて前記個体識別情報を特定する個体識別情報特定処理を実行することを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの基地局装置において、
前記内部記憶手段は、前記通信装置を識別可能な識別情報に関連づけて該通信装置に関する記憶対象情報を記憶し、
前記処理手段は、前記別の通信装置に対応する識別情報を前記情報取得要求に関連づけて前記セル側通信手段により取得するとともに、該識別情報に対応する該別の通信装置に関する記憶対象情報を前記内部記憶手段から前記一の通信装置へ該セル側通信手段により送信することにより、前記送信処理を実行することを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかの基地局装置において、
前記処理手段は、取得した前記情報取得要求に基づいて、前記内部記憶手段に記憶された前記別の通信装置に関する記憶対象情報を特定するとともに、特定した記憶対象情報に対応する該別の通信装置から該情報取得要求に対応する要求情報を取得し、取得した要求情報を前記一の通信装置へ前記セル側通信手段により送信することにより、前記送信処理を実行することを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの基地局装置において、
前記処理手段は、コアネットワーク側と通信することなく、前記送信処理を実行することを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
セルラー方式の移動通信を行う通信システムであって、
請求項1乃至9のいずれかの基地局装置と、
移動通信により前記基地局装置と通信可能な少なくとも1つの通信装置とを含むことを特徴とする通信システム。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

(1)「【0022】
図2に示す基地局50は、路側機20との双方向通信が可能であり、路側機20から取得した情報を記憶保存しておく保存手段50aを備える。さらに基地局50は、ユーザが携帯する携帯端末60との双方向通信(移動体通信)が可能であり、保存手段50aに記憶された情報の一部を60携帯端末へ送信することができる。
(中略)
【0035】
未熟運転が為されたと判定された場合、続くステップS11において、以下に詳述する画像P1?P6、Pr、Psのデータを、基地局50の保存手段50aに保存させるように指令する。当該指令(画像保存指令)の信号は、路車間通信により自車ECU30から路側機20へ送信される。画像P1?P6は、他車カメラ45、45rにより撮影された画像である。画像Prは、路側カメラ21により撮影された画像である。画像Psは、自車カメラ35、35rにより撮影された画像である。」

(2)「【0040】
続くステップS22では、路側カメラ21により撮影された画像であって先述した保存対象となる画像Prを、記憶部20dに保存する。続くステップS23では、他車カメラ45、45rにより撮影された画像であって先述した保存対象となる画像P1?P6を送信するように要求する送信要求信号を、他車ECU40へ送信する。さらにこの送信要求信号は、先述した識別情報および車両情報を含む他車情報を送信するようにも要求する。この送信要求信号はブロードキャストで送信される。そのため、送信元である路側機20の路車間通信エリアに存在する全ての他車両V1?V6へ、送信要求信号は送信される。
【0041】
続くステップS24では、送信要求信号に対する応答として、他車ECU40からの許可信号の送信が有ったか否かを判定する。当該送信が有ったと判定されれば、続くステップS25において、他車ECU40から送信されてきた画像P1?P6および他車情報を取得する。続くステップS26では、先述した路側機情報、取得した自車情報および他車情報と関連付けて、取得した全ての画像P1?P6、Pr、Psを基地局50へ送信する。上記関連付けの具体例としては、画像P1?P6、Pr、Psの撮影時刻と、自車情報、他車情報および路側機情報に含まれる情報の時刻とを関連付けることが挙げられる。」

(3)「【0044】
図6に示す処理は、基地局50が備えるECUにより所定周期で繰返し実行される。この処理では、先ずステップS40において、画像保存指令に対する応答として、路側機20から基地局50へ保存依頼信号の送信が有ったか否かを判定する。当該送信が有ったと判定されれば、続くステップS41において、路側機20から送信されてきた画像P1?P6、Pr、Ps、自車情報、他車情報および路側機情報を取得する。
(中略)
【0047】
上記画像データは、複数の画像P1?P6、Pr、Psを合成して作成されたものであってもよいし、複数の画像P1?P6、Pr、Psから選択された複数の画像であってもよい。また、自車両Vsが接近状態になった時点の画像データに加え、その前後の時点の画像データも作成する。なお、これらの画像データは、動画を構成する連続したフレームであってもよい。続くステップS42では、ステップS41で作成した画像データを保存手段50aに保存する。
【0048】
さて、このように保存された画像データは、携帯端末60等の外部機器からの問合せに応じて、基地局50から所定の外部機器へ送信される。なお、問合せ元の外部機器と送信先の外部機器とは、同一の機器であってもよいし異なる機器であってもよい。外部機器の具体例としては、複数の車両の運行状態を管理する管理センター、携帯端末60、自車ECU30等が挙げられる。問合せ内容の具体例としては、特定の車両における特定の走行期間に撮影された画像に基づく画像データを、特定の外部機器へ送信するように要求することが挙げられる。
【0049】
図6の説明に戻り、ステップS43では、携帯端末60等の外部機器から基地局50へ上記問合せが有ったか否かを判定する。問合せが有ったと判定された場合には、該当する画像データが保存手段50aに保存されているか否かを判定する。保存されていると判定されれば、ステップS45において、問合せのあった画像データを、問合せ元等の要求された送信先へ送信する。一方、問合せのあった画像データが保存されていないと判定されれば、ステップS46において、画像データを送信できない旨を報知するエラー情報を問合せ元へ送信する。」

(4)「



引用文献1の上記記載、図面及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記(1)の段落【0022】の記載によれば、基地局50は、ユーザが携帯する携帯端末60との双方向通信(移動体通信)が可能であり、上記(4)の図2からは、基地局が移動体通信を行う基地局であることが見て取れる。
そうすると、引用文献1には、「移動体通信の基地局50」、及び「基地局50は、ユーザが携帯する携帯端末60との双方向通信(移動体通信)を行う」ものが記載されている。

イ 上記(1)の段落【0035】の記載によれば、画像P1?P6は他車カメラにより撮影された画像であり、画像Psは自車カメラにより撮影された画像であり、これらの画像P1?P6、Psは路車間通信により自車ECU30から路側機20へ送信されるものである。そして、上記(3)の段落【0044】の記載によれば、基地局50は、基地局50が備えるECUによって、路側機20から送信されてきた画像P1?P6、Pr、PS、等を取得するものである。また、上記(3)の段落【0044】、【0047】の記載によれば、基地局は、路側機20から送信されてきた画像P1?P6、Pr、Ps、自車情報、他車情報および路側機情報を取得するものであり、画像データは、複数の画像P1?P6、Pr、Psを合成して作成されたものであってもよいし、複数の画像P1?P6、Pr、Psから選択された複数の画像であってもよく、基地局は、画像データを保存手段50aに保存するものであり、上記(4)の図2からは保存手段50aが基地局の内部に存在することが見て取れる。さらに、上記(2)の段落【0040】、【0041】の記載によれば、保存対象となる画像P1?P6を送信するように要求する送信要求信号は、他車両V1?V6へ送信され、その応答として画像P1?P6を他車両V1?V6から取得するのだから、他車両は複数存在するものであるといえる。
そうすると、引用文献1には、「基地局50は、路車間通信によって複数の他車から送信される他車カメラにより撮影された画像データを内部の保存手段50aに保存する」ものが記載されている。

ウ 上記(3)の段落【0047】、【0048】、【0049】の記載によれば、画像データは、携帯端末60等の外部機器からの問合せ(例えば、特定の車両における特定の走行期間に撮影された画像に基づく画像データを、特定の外部機器へ送信するように要求する)に応じて、携帯端末60等の外部機器から基地局50へ上記問合せが有ったか否かを判定し、問合せが有ったと判定された場合には、該当する画像データが保存手段50aに保存されているか否かを判定し、保存されていると判定されれば、ステップS45において、問合せのあった画像データを、問合せ元等の要求された送信先へ送信するものである。
そうすると、引用文献1には、「基地局50は、携帯端末60から特定の車両における特定の走行期間に撮影された画像に基づく画像データの問合せ(要求)に応じて、保存手段50aに保存されている画像データを、問合せ元等の要求された送信先へ送信する」ものが記載されている。

以上を総合すると、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「 移動体通信の基地局50であって、
基地局50は、路車間通信によって複数の他車から送信される他車カメラにより撮影された画像データを内部の保存手段50aに保存し、
基地局50は、ユーザが携帯する携帯端末60との双方向通信(移動体通信)を行い、
基地局50は、携帯端末60から特定の車両における特定の走行期間に撮影された画像に基づく画像データの問合せ(要求)に応じて、保存手段50aに保存されている画像データを、問合せ元等の要求された送信先へ送信する、
基地局50。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信端末として移動体端末が用いられる移動体通信システムに好適な、データ送受信システム及び方法、移動体装置及び基地局、媒体に関する。」

(2)「【0033】ここで、上記各移動局は、例えば上記情報取得部にて取得した情報を他に提供する意思を利用者が明示している移動局(図1の例では移動局4、以下適宜、情報提供候補端末4と呼ぶ。)や、自車の進路方向に関わる情報(例えば自車が将来到達する位置の画像など)を取得したいという意思(要求)を利用者が明示している移動局(図1の例では移動局6、以下適宜、情報要求端末6と呼ぶ。)や、上記情報取得部にて取得した情報を他に提供している移動局(図1の例では移動局5、以下適宜、情報提供端末5と呼ぶ。)として動作する。
(中略)
【0035】基地局2は、各移動局4?6との間でデータの送受信を行う送受信部だけでなく、例えば上記情報提供候補端末4から送信されてき位置情報を一定期間保持すると共に、その他各端末の位置情報や各端末の識別番号、後述するような各端末の課金情報などを保持する利用者データベース3をも備えている。基地局2は、上記情報提供候補端末4から位置情報が送信されてきたとき、図2の処理P1として、その位置情報を利用者データベース3に保存する。なお、基地局2の詳細な構成及び動作については後述する。
【0036】一方、上記情報要求端末6は、自車の進路方向に関わる情報(例えば、自車が将来到達する位置の画像など)を取得したいという意思(要求)を利用者が明示しているとき、図2の処理T2として、基地局2に対し、自己が上記自車の進路方向に関わる情報を要求している旨の情報(以下、要求情報と呼ぶ)を送信する。
(中略)
【0038】なお、情報要求端末6は、当該端末の利用者により情報取得の意思(要求)があることの明示がなされている場合だけでなく、常に基地局2に対して自車の進路方向に関わる情報を要求するようにしてもよい。なお、以下では、自車の進路方向に関わる情報を取得したいという意思(要求)を利用者が明示しているときに、上記要求情報を基地局に送信する場合を例に挙げ、また、情報要求端末6が要求する情報(自車の進路方向に関わる情報)として画像の情報を例に挙げて説明する。
(中略)
【0041】情報提供端末5は、基地局2から上記画像情報の返信(送信)要求を受信すると、図2の処理P4として、その要求がなされた位置(移動進路上の所望の位置)で上記情報取得部により画像情報を取得し、図2の処理T4として、その取得した画像情報を基地局2に返信する。なお、この例のように、情報提供端末5にて画像情報を取得する場合、当該情報提供端末5の情報取得部は、例えば車両の前方等を撮影するビデオカメラを備えることになる。」

(3)「【0126】ここで、上記予測により得られた情報要求端末の進路上、或いは上記情報要求端末の利用者が所望する位置に、情報提供候補端末が存在する場合、提供端末検索部45は、その情報提供候補端末を情報提供端末として選定し、その旨を提供端末情報要求部47と要求端末現状報告部46に送る。」

(4)「【0194】次に、上述した第1の実施の形態では、基地局2が位置情報や課金情報を保持する利用者データベース3を備える例を挙げているが、図20の第3の実施の形態に示すように、過去に送受信された画像情報を蓄積する画像データベース64を備えておき、その画像データベース64から必要に応じて画像情報を読み出して、情報要求端末6に提供することも可能である。なお、図20の各構成要素のうち、前記図11と対応する構成要素には同じ指示符号を付し、それらの説明は省略する。
【0195】すなわちこの図20に示す第3の実施の形態の基地局の画像データベース64には、情報提供端末5から過去に送信されてきた画像情報が蓄積されており、情報要求端末6からの要求に応じた画像情報が当該画像データベース64に蓄積されている場合は、その画像情報を読み出し、メモリ48に蓄積した後に読み出して送受信部41に送り、情報要求端末6へ送信する。」

(5)「



引用文献2の上記記載、図面及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記(1)の段落【0001】の記載によれば、本発明は、通信端末として移動体端末が用いられる移動体通信システムに好適な、データ送受信システム及び方法、移動体端末及び基地局、媒体に関するものである。
そうすると、引用文献2には、「移動体通信システムの基地局」が記載されている。

イ 上記(2)の段落【0033】、【0035】の記載によれば、移動局4?6は、情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6と同じものであり、基地局2は、各移動局4?6との間でデータの送受信を行うものである。そして、上記(4)の段落【0195】の記載によれば、基地局の画像データベース64には、情報提供端末5から過去に送信されてきた画像情報が蓄積されているものであり、上記(2)の段落【0041】の記載によれば、情報提供端末5は、車両前方等を撮影するビデオカメラを用いて画像情報を取得するものである。また、上記(5)の図1からも、情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6が基地局と通信可能であることが見て取れる。そして、上記(3)の段落【0126】の記載によれば、情報要求端末の進路上に存在する情報提供候補端末は、情報提供端末として選定されるものであるから、情報提供端末は、複数存在し得るものである。
そうすると、引用文献2には、「基地局は、複数の情報提供端末5で撮影され送信されてきた画像情報が蓄積される画像データベースを有する」もの、「基地局は、情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6との間でデータの送受信を行う」ものが記載されている。

ウ 上記(2)の段落【0036】、【0038】の記載によれば、情報要求端末6は、自車の進路方向に関わる情報を要求している旨の情報(要求情報)を基地局に対し送信するものである。そして、上記(4)の段落【0195】の記載によれば、情報要求端末6からの要求に応じた画像情報が当該画像データベース64に蓄積されている場合は、その画像情報を読み出し、メモリ48に蓄積した後に読み出して送受信部41に送り、情報要求端末6へ送信するものである。
そうすると、引用文献2には、「情報要求端末6から基地局に対して自車の進路方向に関わる情報を要求している旨の情報(要求情報)を送信し、情報要求端末6からの要求に応じた画像情報が当該画像データベース64に蓄積されている場合は、その画像情報を読み出し、メモリ48に蓄積した後に読み出して送受信部41に送り、情報要求端末6へ送信する」ものが記載されている。

以上を総合すると、上記引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「 移動体通信システムの基地局であって、
基地局は、複数の情報提供端末5で撮影され送信されてきた画像情報が蓄積される画像データベースを有するものであり、
基地局は、情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6との間でデータの送受信を行うものであって、
情報要求端末6から基地局に対して自車の進路方向に関わる情報を要求している旨の情報(要求情報)を送信し、情報要求端末6からの要求に応じた画像情報が当該画像データベース64に蓄積されている場合は、その画像情報を読み出し、メモリ48に蓄積した後に読み出して送受信部41に送り、情報要求端末6へ送信する、
基地局。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明1の「移動体通信の基地局」は移動通信のための「装置」であることは自明であるから、「移動通信の基地局装置」であるといえる。
そうすると、本願発明1の「セルラー方式の移動通信の基地局装置」と、引用発明1の「移動体通信の基地局50」は、「移動通信の基地局装置」という点で共通する。

イ 引用発明1の「他車」は路車間通信を行うものであるから、通信装置を搭載しているといえ、「他車」は移動可能であるから、「通信装置を搭載する移動体」であるといえる。また、引用発明1の「画像データ」は、他車カメラにより撮影されたものであるから、「通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像」であり、該「画像データ」は保存手段50aに保存されるものであるから記憶対象情報とも言える。さらに、引用発明1の「内部の保存手段50a」は、「画像データ」を記憶する記憶手段とも言えるから「内部記憶手段」であるといえる。
そうすると、本願発明1の「当該基地局装置によって形成されるセル内に在圏する通信装置を搭載する複数の移動体で撮像された撮像画像を含む記憶対象情報を記憶する内部記憶手段」と、引用発明1の「基地局50は、路車間通信によって複数の他車から送信される他車カメラにより撮影された画像データを内部の保存手段50aに保存し」という事項における「保存手段」は、「通信装置を搭載する複数の移動体で撮像された撮像画像を含む記憶対象情報を記憶する内部記憶手段」である点で共通する。

ウ 引用発明1の「ユーザが携帯する携帯端末60」は「基地局50」と双方向通信(移動体通信)を行うものであるから「ユーザが携帯する携帯端末60」は「通信装置」に含まれ、また引用発明1の「基地局50」は、在圏する通信装置と無線通信する通信手段を有しているといえる。
そうすると、本願発明1の「前記セル内に在圏する通信装置と無線通信するセル側通信手段」と、引用発明1の「基地局50」が有する上記通信手段は、「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」である点で共通する。

エ 引用発明1の「基地局50」は、「携帯端末60」から特定の車両における特定の走行期間に撮影された画像に基づく画像データの問合せ(要求)に応じて、保存手段50aに保存されている画像データを、問合せのあった画像データを問合せ元の要求された送信先へ送信するものであり、そのような処理を行うための手段を有していることは自明である。また「携帯端末」は、上記「ウ」で述べたように、ユーザが携帯する携帯端末であり、問合せを行うものであるから本願発明1の「一の移動体の通信装置」であるといえ、携帯端末からの問合せに応じて送信される画像データは複数の他車により撮影された画像データであるから、携帯端末とは異なる「別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像」であるといえる。そして、引用発明1の「基地局50」は、該「携帯端末」からの問合せに応じて、問合せのあった内部の保存手段50aに保存されている画像データを、問合せ元等の要求された送信先へ送信するのであるから、該「画像データの問合せ」は「撮像画像を要求する情報取得要求」であるといえ、該「問合せ元等の要求された送信先」とは、「携帯端末」を含むことは明らかである。さらに、上記「ウ」で述べたとおり、引用発明1の「基地局」は、「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」を有しているのであるから、該「画像データ」は「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」を介して送信されるものであり、該「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」によって画像データを送信する送信処理を実行する処理手段を有しているものであるといえ、上記「イ」に述べたとおり、「内部の保存手段50a」は、「内部記憶手段」であるといえる。
そうすると、本願発明1の「前記セル内に在圏する一の移動体の通信装置から別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を要求する情報取得要求を前記セル側通信手段により取得したら、前記内部記憶手段に記憶されている該別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を該一の通信装置へ該セル側通信手段により送信する送信処理を実行する処理手段」と、引用発明1の「基地局50は、携帯端末60から特定の車両における特定の走行期間に撮影された画像に基づく画像データの問合せ(要求)に応じて、保存手段50aに保存されている画像データを、問合せ元等の要求された送信先へ送信する」処理を実行する処理手段は、「在圏する一の移動体の通信装置から別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を要求する情報取得要求を前記通信手段により取得したら、前記内部記憶手段に記憶されている該別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を該一の通信装置へ該通信手段により送信する送信処理を実行する処理手段」を有する点で共通する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 移動通信の基地局装置であって、
通信装置を搭載する複数の移動体で撮像された撮像画像を含む記憶対象情報を記憶する内部記憶手段と、
在圏する通信装置と無線通信する通信手段と、
在圏する一の移動体の通信装置から別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を要求する情報取得要求を前記通信手段により取得したら、前記内部記憶手段に記憶されている該別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を該一の通信装置へ該通信手段により送信する送信処理を実行する処理手段と、を有する基地局装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1の「移動通信の基地局装置」は、「セルラー方式の移動通信」であって、その通信手段が「セル側通信手段」であるのに対し、引用発明1の「移動体通信の基地局」はそのような発明特定事項を有していない点。

(相違点2)本願発明1の「通信装置を搭載する複数の移動体」は、「当該基地局によって形成されるセル内に在圏する」移動体であるのに対し、引用発明1の「複数の他車」はそのような発明特定事項を有していない点。

(相違点3)本願発明1の「一の移動体の通信装置」は、基地局の「セル内に在圏する」のに対し、引用発明1の「携帯端末」は基地局の「セル内に在圏する」のかが発明特定事項として特定されていない点。

(相違点4)本願発明1の「記憶対象情報」は「当該基地局装置のセル内に存在する移動体の通信装置の位置を示す位置情報と歩行者が所持する移動局装置の位置情報とを含」むのに対し、引用発明1の「画像データ」が「当該基地局装置のセル内に存在する移動体の通信装置の位置を示す位置情報と歩行者が所持する移動局装置の位置情報とを含」むものであるのかの特定がされていない点。

(相違点5)本願発明1の「処理手段」は「前記一の移動体の通信装置から前記情報取得要求を取得したときに、前記一の移動体の通信装置から該通信装置の識別情報が関連付けられて送信された、歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求を、前記セル側通信手段の無線通信により受信したら、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報を参照し、受信した前記情報取得要求に関連づけられた前記一の移動体の通信装置の識別情報から前記一の移動体の位置情報を特定し、特定した前記一の移動体の位置情報から、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断し、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理を実行する」のに対し、引用発明1の「基地局」は、そのような発明特定事項を有していない点。

また、本願発明1と引用発明2とを対比すると、以下のことが言える。

オ 引用発明2の「移動体通信システムの基地局」は移動通信のための「装置」であることは自明であるから、「移動通信の基地局装置」であるといえる。
そうすると、本願発明1の「セルラー方式の移動通信の基地局装置」と、引用発明2の「移動体通信システムの基地局」は、「移動通信の基地局装置」という点で共通する。

カ 引用発明2の「情報提供端末」は、画像情報を基地局に送信するのだから通信装置を搭載しているといえ、「情報提供端末」は「移動局」であるから、「通信装置を搭載する移動体」であるといえる。また、引用発明2の「画像情報」は、「情報提供端末」で撮影されたものであるから、「通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像」であり、該「画像情報」は「画像データベース」に記憶、蓄積されるものであるから、記憶対象情報ともいえる。さらに、引用発明2の基地局の「画像データベース」は、「画像情報」を記憶する記憶手段ともいえるから、基地局が「画像データベース」を有するのであるから、「内部記憶手段」であるといえる。
そうすると、本願発明1の「当該基地局装置によって形成されるセル内に在圏する通信装置を搭載する複数の移動体で撮像された撮像画像を含む記憶対象情報を記憶する内部記憶手段」と、引用発明2の「基地局は、複数の情報提供端末5で撮影され送信されてきた画像情報が蓄積される画像データベースを有するものであり、」という事項における「画像データベース」は、「通信装置を搭載する複数の移動体で撮像された撮像画像を含む記憶対象情報を記憶する内部記憶手段」である点で共通する。

キ 引用発明2の「移動局である情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6」は、「基地局」との間でデータの送受信を行うものであるから、「移動局である情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6」は、「通信装置」に含まれ、また引用発明2の「基地局」は、在圏する通信装置と無線通信する手段を有しているといえる。
そうすると、本願発明1の「前記セル内に在圏する通信装置と無線通信するセル側通信手段」と、引用発明2の上記手段である「基地局は、移動局である情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6との間でデータの送受信を行うもの」は、「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」である点で共通する。

ク 引用発明2の「情報要求端末6」は「基地局」に対して情報(要求情報)を送信し、要求に応じた画像情報が画像データベース64に蓄積されている場合、その画像情報を読み出し、情報要求端末6へ送信するものである。また、「情報要求端末6」は、自車の進路方向に関わる情報である複数の情報提供端末5で撮影された画像情報を要求するために情報(要求情報)を基地局に送信するものであるから、引用発明2の「情報要求端末6」は、本願発明1の「一の移動体の通信装置」であるといえ、「情報要求端末6」からの情報(要求情報)に応じて「情報要求端末6」に送信される「画像情報」は、複数の情報提供端末5で撮影され基地局に送信されたものであるから、「一の移動体の通信装置」とは異なる「別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像」であるといえ、「情報要求端末6」からの情報(要求情報)は「撮像画像を要求する情報取得要求」であるといえる。そして、上記「キ」で述べたとおり、引用発明2の「基地局」は、「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」を有しているのであるから、該「画像情報」は「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」を介して送信されるものであり、該「在圏する通信装置と無線通信する通信手段」によって画像情報を送信する送信処理を実行する処理手段を有しているものであるといえ、上記「カ」で述べたとおり、「画像データベース」は「内部記憶手段」であるといえる。
そうすると、本願発明1の「前記セル内に在圏する一の移動体の通信装置から別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を要求する情報取得要求を前記セル側通信手段により取得したら、前記内部記憶手段に記憶されている該別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を該一の通信装置へ該セル側通信手段により送信する送信処理を実行する処理手段」と、引用発明2の「情報要求端末6から基地局に対して自車の進路方向に関わる情報を要求している旨の情報(要求情報)を送信し、情報要求端末6からの要求に応じた画像情報が当該画像データベース64に蓄積されている場合は、その画像情報を読み出し、メモリ48に蓄積した後に読み出して送受信部41に送り、情報要求端末6へ送信する」処理を実行する処理手段は、「在圏する一の移動体の通信装置から別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を要求する情報取得要求を前記通信手段により取得したら、前記内部記憶手段に記憶されている該別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を該一の通信装置へ該セル側通信手段により送信する送信処理を実行する処理手段」である点で共通する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明2とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 移動通信の基地局装置であって、
通信装置を搭載する複数の移動体で撮像された撮像画像を含む記憶対象情報を記憶する内部記憶手段と、
在圏する通信装置と無線通信する通信手段と、
在圏する一の移動体の通信装置から別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を要求する情報取得要求を前記通信手段により取得したら、前記内部記憶手段に記憶されている該別の通信装置を搭載する移動体で撮像された撮像画像を該一の通信装置へ該通信手段により送信する送信処理を実行する処理手段と、を有する基地局装置。」

(相違点)
(相違点6)本願発明1の「移動通信の基地局装置」は、「セルラー方式の移動通信」であって、その通信手段が「セル側通信手段」であるのに対し、引用発明2の「移動体通信システムの基地局」はそのような発明特定事項を有していない点。

(相違点7)本願発明1の「通信装置を搭載する複数の移動体」は、「当該基地局によって形成されるセル内に在圏する」移動体であるのに対し、引用発明2の「複数の情報提供端末5」はそのような発明特定事項を有していない点。

(相違点8)本願発明1の「一の移動体の通信装置」は、基地局の「セル内に在圏する」のに対し、引用発明2の「情報提供候補端末4、情報提供端末5、情報要求端末6」は基地局の「セル内に在圏する」のかが発明特定事項として特定されていない点。

(相違点9)本願発明1の「記憶対象情報」は「当該基地局装置のセル内に存在する移動体の通信装置の位置を示す位置情報と歩行者が所持する移動局装置の位置情報とを含」むのに対し、引用発明2の「画像情報」が「当該基地局装置のセル内に存在する移動体の通信装置の位置を示す位置情報と歩行者が所持する移動局装置の位置情報とを含」むものであるのかの特定がされていない点。

(相違点10)本願発明1の「処理手段」は「前記一の移動体の通信装置から前記情報取得要求を取得したときに、前記一の移動体の通信装置から該通信装置の識別情報が関連付けられて送信された、歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求を、前記セル側通信手段の無線通信により受信したら、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報を参照し、受信した前記情報取得要求に関連づけられた前記一の移動体の通信装置の識別情報から前記一の移動体の位置情報を特定し、特定した前記一の移動体の位置情報から、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断し、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理を実行する」のに対し、引用発明2の「基地局」は、そのような発明特定事項を有していない点。

(2)新規性(特許法第29条第1項第3号)についての判断
本願発明1と引用発明1は、上記「(1)」で説示した相違点1ないし5で相違するから、本願発明1は引用発明1であるとはいえない。
また、本願発明1と引用発明2は、上記「(1)」で説示した相違点6ないし10で相違するから、本願発明1は引用発明2であるとはいえない。

(3)進歩性(特許法第29条第2項)についての判断
ア 引用発明1との相違点について
事案に鑑み、まず、上記相違点5について検討する。
引用発明1及び2のいずれにも、本願発明1の「基地局装置の処理手段」において「前記一の移動体の通信装置から前記情報取得要求を取得したときに、前記一の移動体の通信装置から該通信装置の識別情報が関連付けられて送信された、歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求を、前記セル側通信手段の無線通信により受信したら、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報を参照し、受信した前記情報取得要求に関連づけられた前記一の移動体の通信装置の識別情報から前記一の移動体の位置情報を特定し、特定した前記一の移動体の位置情報から、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断し、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理を実行する」事項、すなわち「歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求」、「一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断」、「一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理」を行うことは記載されていない。また、これらの該「取得要求」、該「判断」、該「送信処理」を行うことは、当該技術分野において周知技術であるとも認められない。
したがって、上記相違点1ないし4について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明することができたものであるとはいえない。

イ 引用発明2との相違点について
事案に鑑み、まず、上記相違点10について検討する。
上記アで説示したとおり、引用文献1及び2のいずれにも、基地局装置の処理手段において「前記一の移動体の通信装置から前記情報取得要求を取得したときに、前記一の移動体の通信装置から該通信装置の識別情報が関連付けられて送信された、歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求を、前記セル側通信手段の無線通信により受信したら、前記内部記憶手段に記憶されている前記位置情報を参照し、受信した前記情報取得要求に関連づけられた前記一の移動体の通信装置の識別情報から前記一の移動体の位置情報を特定し、特定した前記一の移動体の位置情報から、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断し、前記一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理を実行する」事項、すなわち「歩行者の存在を報知する歩行者報知情報の取得要求」、「一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在するか否かを判断」、「一の移動体の前方エリア内の位置情報を有する歩行者の移動局装置が存在する場合、その移動局装置の位置情報を含む歩行者報知情報を前記セル側通信手段の無線通信により前記一の移動体の通信装置に送信する送信処理」を行うことは記載されておらず、それらが記載された他の公知文献はなく、当該技術分野において周知技術であるとも認められない。
したがって、上記相違点6ないし9について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし10について
本願発明2ないし10は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1又は引用発明2に記載された発明ではないし、当業者であっても容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
本願発明1ないし10は、上記「第6 対比・判断」で説示したように、原査定において引用された引用文献1に記載された発明又は引用文献2に記載された発明であるとはいえないし、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由1及び2を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-10-28 
出願番号 特願2017-38804(P2017-38804)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石原 由晴  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 廣川 浩
本郷 彰
発明の名称 基地局装置及び通信システム  
代理人 中村 弘通  
代理人 黒田 壽  
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