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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F01N
管理番号 1367469
審判番号 不服2019-13510  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-09 
確定日 2020-11-10 
事件の表示 特願2018- 95966「排気浄化装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月21日出願公開、特開2019-199851、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月18日の出願であって、平成31年2月14日付け(発送日:平成31年2月19日)で拒絶理由が通知され、平成31年4月19日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和元年7月4日付け(発送日:令和元年7月9日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和元年10月9日に拒絶査定不服審判が請求されるとともにその審判請求と同時に手続補正が提出され、令和元年12月13日付けで前置報告がされ、これに対し、令和2年2月27日に上申書が提出され、当審において令和2月7月7日付け(発送日:令和2年7月14日)で拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、それに対して令和2年8月4日に手続補正書が提出されたものである。

第2 当審拒絶理由について
当審拒絶理由は以下のとおりであるところ、この拒絶理由は、令和2年8月4日の手続補正により解消された。

<<当審拒絶理由>>
本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしていない。

●理由(特許法第36条第6項第2項)
本願請求項9において「該断面部分の横幅よりも長くなる」と記載されているが、「該断面部分」とはどの断面部分を意味しているかが不明であり、請求項に係る発明全体が明確でない。
(「該断面部分」ではなく、「該断熱部材」ではないかと思われる。)

したがって、請求項9及び請求項9を直接的又は間接的に引用する請求項10及び11に係る発明は明確ではない。


第3 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願の請求項1ないし11に係る発明は、その出願前に日本国又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2018/078955号
2.特開2003-049634号公報
3.特開2009-227190号公報
4.特開2003-20939号公報
5.実願平1-71494号(実開平3-10019号)のマイクロフィルム

第4 本願発明
本願の請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、令和2年8月4日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲請求項1ないし11に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
排気ガスが流入する触媒コンバータを有した排気浄化装置において、
前記触媒コンバータは、前記排気ガスを浄化する触媒担体を保持する内筒と、前記内筒の外周を囲むように隙間をあけて配置される外筒と、を備え、
前記内筒は、前記外筒の排気ガスの流れ方向の両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の上流端部に弾性力を有する断熱部材を介して固定され、かつ、前記外筒の前記両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の下流端部に溶着することで固定され、
前記内筒及び前記外筒の前記排気ガスの流れ方向下流側において固定された一端部に設けられた開口端を通じて、前記触媒担体を通過した排気ガスを前記内筒及び前記外筒の前記隙間に流入させるようにしたことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1記載の排気浄化装置であって、
前記触媒担体は、少なくとも前記内筒及び前記外筒の前記隙間によって覆われて、
前記隙間の前記排気ガスの流れ方向の上流側が閉じられて、前記排気ガスの流れ方向の下流側が開放されていることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項3】
請求項1記載の排気浄化装置であって、
前記開口端は、車両の床面の下側に向かって開口していることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記排気ガスの流れ方向の上流側に向けて径が大きくなる円錐筒状部が、前記開口端が設けられた側の前記外筒の一端部に設けられることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項5】
請求項1記載の排気浄化装置であって、
前記内筒の前記排気ガスの流れ方向の下流端部側を前記外筒に複数の中間部材を介して部分的に溶着したことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項6】
請求項1記載の排気浄化装置であって、
前記外筒の前記排気ガスの流れ方向の開口端は、前記内筒の前記排気ガスの流れ方向の下流端部との間に所定隙間を有して、前記所定隙間の断面積の合計は、前記外筒と前記内筒との間の断面積の80%?90%以内であることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項7】
請求項1記載の排気浄化装置であって、
前記内筒の前記排気ガスの流れ方向の上流端部側と前記外筒との間の全周に断熱部材を介在させて該内筒の上流端部側をスライド自在にシールしたことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項8】
請求項1記載の排気浄化装置であって、
前記内筒の前記排気ガスの流れ方向の下流端部側を前記外筒に複数の断熱部材を介して部分的に固着したことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項9】
請求項7記載の排気浄化装置であって、
前記断熱部材の継ぎ目部の長さを該断熱部材の横幅よりも長くなるように形成したことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項10】
請求項1?9のいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記内筒を収容した前記外筒を車両の床面に対して垂直の縦置きに配置したことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項11】
請求項1?10のいずれか1項に記載の排気浄化装置であって、
前記外筒の前記内筒に対向する外側を断熱遮熱部材で覆ったことを特徴とする排気浄化装置。」

第5 引用文献、引用発明 等
1 引用文献1(国際公開第2018/078955号公報)
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2018/078955号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「排気管」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同様。)

ア「[0002] 従来より、車両のエンジンとマフラーとを接続する排気管内に触媒を配設し、エンジンから排出される排気ガスを触媒で浄化して、浄化後の排気ガスをマフラーを介して外部に排出することが行われている。特開2002-309931号公報には、排気管の外壁と、触媒を保持する触媒保持容器との間に有底筒状の隔壁を配置し、触媒から排出された排気ガスを触媒保持容器及び隔壁によって形成されるガス流路に流すことにより、触媒保持容器を介して触媒を活性化温度にまで短時間で昇温させ、該触媒の浄化性能を十分に発揮できるようにすることが開示されている。」

イ「[0013]本発明の第1の特徴によれば、出口部における車両の垂直方向に沿った長さ、及び、出口部における車両の水平方向に沿った長さのうち、一方の長さが触媒の直径よりも短く、他方の長さが触媒の直径よりも長く設定されている。このように、出口部の短径が触媒の直径よりも短いため、触媒から排出された排気ガスの一部は、外管又は内管における出口部の短径部分の形成箇所にぶつかり、触媒側に戻される。
[0014]この場合、外管に出口部が設けられていれば、ぶつかった一部の排気ガスは、外管と内管との隙間に戻される。これにより、戻された一部の排気ガスは、内管を介して触媒(の外周部分)を昇温させるので、該触媒の浄化性能を向上させることが可能となる。一方、内管に出口部が設けられていれば、ぶつかった一部の排気ガスは、触媒の外周側に戻され、触媒の外周部分を昇温させるので、この場合でも、触媒の浄化性能を向上させることが可能となる。
[0015]このように、第1の特徴によれば、外管又は内管における出口部の短径部分の形成箇所で、排気ガスの一部を触媒側に戻す簡単な構成であるため、出力を低下させることなく触媒を昇温できると共に、排気管の部品点数及び製造工数の増加を抑制することが可能となる。」

ウ「[0033][第1実施例]第1実施例について、図2?図5Bを参照しながら説明する。
[0034] 第1実施例の排気管10Aは、該排気管10Aの外観形状を構成する外管70を有する。従って、外管70は、一端部50がシリンダ部48に接続されると共に、他端部54がマフラー56に接続される。また、外管70は、一端部50からクランクケース46前方の屈曲部分までの箇所が比較的小径であり、一方で、触媒58が収容される水平部分が比較的大径の管形状を有する。
[0035] 図1?図3に示すように、外管70における触媒58が配設される箇所は、屈曲部分に連結される上流側(一端部50側)の小径部分72と、小径部分72から後方に向かって拡開する拡開部分74と、拡開部分74から後方に向かって略水平に延びる大径部分76とから構成される。外管70における大径部分76の内部には、触媒58を収容し、且つ、大径部分76に沿って前後方向に延びる筒状の内管78が配設されている。
[0036] 内管78の上流側の一端は、拡開部分74に入り込み、該拡開部分74の内周面に連結されている。内管78の下流側(他端部54側)の他端は、大径部分76の下流側の端部近傍で開口している。内管78の長手方向(前後方向)に沿った中央部よりも僅かに下流側の箇所には、内管78を大径部分76の内周面に支持するためのステー80が設けられている。
[0037] ステー80は、内管78の外周面と外管70の大径部分76の内周面とを連結する略円環状の部材であり、図3に示すように、大径部分76の内周面から内管78の外周面に向かって、後方に傾斜するように配設されている。これにより、内管78と大径部分76との隙間は、ステー80によって上流側の空間と下流側の空間とに仕切られることになる。
[0038] 内管78の内方には、内管78の長手方向に沿って円柱状の触媒58が配設されている。触媒58の上流側の表面(排出ガスの入口面79)は、内管78の上流側の一端から僅かに下流側に位置する。一方、触媒58の下流側の表面(排出ガスの出口面81)は、内管78の下流側の他端から僅かに上流側に位置する。
[0039] そのため、エンジン22から排出された排気ガスは、外管70の一端部50から屈曲部分、小径部分72及び拡開部分74を介して内管78に流入し、触媒58の入口面79に至る。触媒58の温度が活性化温度にまで昇温されていれば、触媒58は、入口面79から流入した排気ガスを浄化し、浄化後の排気ガスを出口面81から下流側に排出することができる。図2及び図3には、触媒58の入口面79に対する排出ガスの流入方向(図面右側から入口面79に向かう矢印)と、出口面81からの排気ガスの排出方向(出口面81から図面左側に向かう矢印)とを、それぞれ図示している。
[0040] なお、エンジン22の始動時のように、触媒58の温度が活性化温度よりも低い状態では、硫黄被毒による触媒58の劣化が発生しやすいので、触媒58の温度を活性化温度にまで昇温させた状態で排気ガスの浄化を行うことが望ましい。また、エンジン22から排出される排気ガスは、比較的高温であるため、触媒58は、入口面79を介して流入する排気ガスによって昇温される。従って、出口面81から排出される浄化後の排気ガスは、入口面79を介して流入する排気ガスよりも低温である。」

エ 上記アの「排気管の外壁と、触媒を保持する触媒保持容器との間に有底筒状の隔壁を配置し」の記載、イの「内管78の内方には、内管78の長手方向に沿って円柱状の触媒58が配設されている。」の記載及び図面より、「排気ガスを浄化する触媒を保持する内管」が認定できる。

オ 上記イの「外管に出口部が設けられていれば、ぶつかった一部の排気ガスは、外管と内管との隙間に戻される。」の記載及び図面より、「管の外周を囲むように隙間をあけて配置される外管」が認定できる。

上記記載事項及び図面の図示内容から、引用文献1には次の事項(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

引用発明1
「排気ガスが流入する触媒を有した排気管において、
前記触媒は、前記排気ガスを浄化する触媒を保持する内管と、前記内管の外周を囲むように隙間をあけて配置される外管と、を備え、
前記内管は、前記外管の排気ガスの流れ方向の両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の上流端部に固定され、かつ、前記外管の前記両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の下流端部に固定され、
前記内管及び前記外管の前記排気ガスの流れ方向下流側において固定された一端部に設けられた出口部を通じて、前記触媒を通過した排気ガスを前記内管及び前記外管の前記隙間に流入させるようにした排気管。」

2 引用文献2(特開2003-49634号公報)
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-49634号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「車両用パーティキュレートフィルタ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジン搭載車などの排気系に設置され、排気に含まれる煤等を捕集、燃焼させるパーティキュレートフィルタの構造に関する。」

イ「【0015】図2は本実施の形態の実施例を示す。上述のように、円筒型のアウタシェル2内にフィルタユニット40が設けられる。フィルタユニット40は、フィルタ41の外周に保持マット42を巻いたうえ、外筒43に挿入して構成されている。フィルタ41は、コージエライトや炭化珪素等のセラミック製で、軸方向に多数の通気孔を有し、通気孔の壁面に微小の孔を備えるとともに、通気孔の壁面に触媒を担持している。
【0016】アウタシェル2内には、排気入口側のフロントエンドプレート3から所定長さだけ延びる第1のインナシェル11が設けられ、第1のインナシェル11とアウタシェル2間には間隙Dが形成されている。第1のインナシェル11の内方端の外周面には周方向数箇所にスペーサ18が設けられて、第1のインナシェル11とアウタシェル2間の上記間隙Dを保持している。図3は図2におけるA-A部の拡大横断面図でスペーサ18を示す。スペーサ18は予め第1のインナシェル11に溶接しておくが、第1のインナシェル11をアウタシェル2内に配置後、アウタシェル2と栓溶接するのが好ましい。」

ウ 上記イの「スペーサ18は予め第1のインナシェル11に溶接しておくが、第1のインナシェル11をアウタシェル2内に配置後、アウタシュル2と栓溶接するのが好ましい」の記載及び図1,図2の排気の流れより、「インナシェル11が、アウタシェル2の両端部のうち排気の流れ方向の下流端部に溶着する栓溶接することで固定された」が認定できる。

上記記載及び図面の図示内容から、引用文献2には、以下の事項が記載されていると認められる。

引用文献2記載事項
「インナシェル11が、アウタシェル2の両端部のうち排気の流れ方向の下流端部に溶着する栓溶接することで固定された」こと。


第6 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明1とを対比すると、後者における「排気ガス」は、その機能、構成または技術的意義から見て、前者における「排気ガス」に相当し、以下同様に、「流入する」は「流入する」に、「触媒」は「触媒コンバータ」に、「排気管」は「排気浄化装置」に、「内管」は「内筒」に、「外管」は「外筒」に、「出口部」は「開口端」に相当する。
そして、引用発明1の「内管は、前記外管の排気ガスの流れ方向の両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の上流端部に固定され」は、本願発明1の「内筒は、前記外筒の排気ガスの流れ方向の両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の上流端部に弾性力を有する断熱部材を介して固定され」とは、「内筒は、外筒の排気ガスの流れ方向の両端部のうち排気ガスの流れ方向の上流端部に固定され」という限りにおいて一致している。
また、引用発明1の「外管の前記両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の下流端部に固定され」は、本願発明1の「外筒の前記両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の下流端部に溶着することで固定され」は、「外筒の両端部のうち排気ガスの流れ方向の下流端部に固定され」という限りにおいて一致している。

したがって、両者の一致点、相違点は以下の通りである。
[一致点]
「排気ガスが流入する触媒コンバータを有した排気浄化装置において、
前記触媒コンバータは、前記排気ガスを浄化する触媒担体を保持する内筒と、前記内筒の外周を囲むように隙間をあけて配置される外筒と、を備え、
前記内筒は、前記外筒の排気ガスの流れ方向の両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の上流端部に固定され、かつ、前記外筒の前記両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の下流端部に固定され、
前記内筒及び前記外筒の前記排気ガスの流れ方向下流側において固定された一端部に設けられた開口端を通じて、前記触媒担体を通過した排気ガスを前記内筒及び前記外筒の前記隙間に流入させるようにした排気浄化装置。」

[相違点1]
「内筒は、外筒の排気ガスの流れ方向の両端部のうち排気ガスの流れ方向の上流端部に固定され」ている点に関して、本願発明1は、「弾性力を有する断熱部材を介して」固定されているのに対して、引用発明1はその固定について「弾性力を有する断熱部材を介」されていない点

[相違点2]
「内筒は、前記外筒の排気ガスの流れ方向の両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の上流端部に固定され」ている点に関して、本願発明1は「溶着することで固定され」ているのに対して、引用発明1は「溶着することで固定され」ていない点

事実に鑑み上記相違点2から検討する
本願発明1の「内筒が、外筒の両端部のうち排気ガスの流れ方向の下流端部に溶着する」技術事項と引用文献2記載事項を対比すると、後者の「インナシェル11」は、その機能、構成または技術的意義から見て、前者の「内筒」に相当し、以下同様に「アウタシェル2」は「外筒」に、「排気」は「排気ガス」に、「栓溶接」は「溶着」に相当する。
そうすると、引用文献2記載事項は本願発明1の用語を用いると

「内筒は、前記外筒の排気ガスの流れ方向の両端部のうち前記排気ガスの流れ方向の下流端部に溶着することで固定された」ことということができる。

引用発明1と引用文献2記載事項は、「排気浄化装置」という同一の技術分野に属し、排気ガスを浄化するという作用・機能も同一であることから、引用文献2記載事項を引用発明1に用いて相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことである。

上記相違点1について検討する
本願発明1の「内筒が、外筒の排気ガスの流れ方向の上流端部に弾性力を有する断熱部材を介して固定されている」点は、引用文献1、引用文献2、原査定において引用された引用文献3ないし引用文献5及び令和元年12月13日付け前置報告書において引用された特開平3-157139号公報、特開平9-108576号公報、特開2010-209815号公報のいずれにも記載おらず、これを示唆する記載もない。

ゆえに、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明及び上記引用文献1ないし引用文献5に記載された事項に基いて当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本願発明1は引用発明及び上記引用文献1ないし引用文献5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2ないし11について
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし11は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載されたものであるから、本願発明2ないし本願発明11は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし本願発明11は、本願発明1について述べたものと同様の理由により、引用発明及び上記引用文献1ないし引用文献5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし本願発明11は、引用発明及び上記引用文献1ないし引用文献5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではないから、原査定の理由によっては、本願発明を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶する理由を発見しない。
よって、結論の通り審決する。

 
審決日 2020-10-20 
出願番号 特願2018-95966(P2018-95966)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅野 京一村山 禎恒稲村 正義  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 谷治 和文
北村 英隆
発明の名称 排気浄化装置  
代理人 三好 秀和  

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