• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1367515
審判番号 不服2019-10015  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-30 
確定日 2020-10-21 
事件の表示 特願2017-508633「指紋認証装置、方法、プログラム、及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月 4日国際公開、WO2018/000766、平成30年10月 4日国内公表、特表2018-529131〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年6月30日、中国)を国際出願日とする出願であって、平成29年2月15日に手続補正がされ、平成30年9月10日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月10日に意見書が提出されたが、平成31年4月1日付けで拒絶査定がされ、これを不服として令和1年7月30日に審判請求がされ、同時に手続補正がされたものである。

第2 令和1年7月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和1年7月30日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
令和1年7月30日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正対象とし、平成29年2月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載を、本件補正後の請求項1の記載にする補正事項を含むものであり、本件補正前と本件補正後の請求項1の記載は次のとおりである。(下線部は、補正箇所である。)

(本件補正前の請求項1)
指紋センサー、少なくとも2つの湿度検出電極、及び処理モジュールを備える指紋認証装置であって、
前記指紋センサーは、前記処理モジュールに接続され、前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記処理モジュールに接続され、前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記指紋センサーの予め設定された範囲に位置し、
前記指紋センサーは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、前記処理モジュールに指紋信号を出力するためのものであり、
前記処理モジュールは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、特徴値を取得するためのものであり、前記特徴値は、前記少なくとも2つの湿度検出電極の間の抵抗値に正相関し、
前記処理モジュールは、更に、前記特徴値に整合される指紋認証パラメータを確定し、確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行うためのものである、ことを特徴とする指紋認証装置。

(本件補正後の請求項1)
指紋センサー、少なくとも2つの湿度検出電極、及び処理モジュールを備える指紋認証装置であって、
前記指紋センサーは、前記処理モジュールに接続され、前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記処理モジュールに接続され、前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記指紋センサーの予め設定された範囲に位置し、
前記指紋センサーは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、前記処理モジュールに指紋信号を出力するためのものであり、
前記処理モジュールは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、特徴値を取得するためのものであり、前記特徴値は、前記少なくとも2つの湿度検出電極の間の抵抗値に正相関し、
前記処理モジュールは、更に、前記特徴値に整合される指紋認証パラメータを確定し、確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行うためのものであり、
前記処理モジュールは、更に、前記指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋画像を生成し、前記指紋画像に対して特徴を抽出し、特徴情報を取得し、前記特徴情報を予め保存された特徴情報に整合するためのものである、ことを特徴とする指紋認証装置。

2 補正の適否
(1)補正の目的について
上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明特定事項である「処理モジュール」を、「前記処理モジュールは、更に、前記指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋画像を生成し、前記指紋画像に対して特徴を抽出し、特徴情報を取得し、前記特徴情報を予め保存された特徴情報に整合するためのものである」と限定するものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法第17条の2第5項第2号の規定に適合する。

(2)独立特許要件について
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むから、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(2-1)本件補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、本件補正発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成Aないし構成Dと称する。

(本件補正発明)
(A)指紋センサー、少なくとも2つの湿度検出電極、及び処理モジュールを備える指紋認証装置であって、

(B1)前記指紋センサーは、前記処理モジュールに接続され、

(C1)前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記処理モジュールに接続され、
(C2)前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記指紋センサーの予め設定された範囲に位置し、

(B2)前記指紋センサーは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、前記処理モジュールに指紋信号を出力するためのものであり、

(D1)前記処理モジュールは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、特徴値を取得するためのものであり、
前記特徴値は、前記少なくとも2つの湿度検出電極の間の抵抗値に正相関し、

(D21)前記処理モジュールは、更に、前記特徴値に整合される指紋認証パラメータを確定し、
(D22)確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行うためのものであり、

(D31)前記処理モジュールは、更に、前記指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋画像を生成し、
(D32)前記指紋画像に対して特徴を抽出し、特徴情報を取得し、
(D33)前記特徴情報を予め保存された特徴情報に整合するためのものである、

(A)ことを特徴とする指紋認証装置。

(2-2)引用文献、引用発明
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2003-187234号公報には、「画像読み取り装置及び画像読み取り方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

(ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、恣意的に変化させることが出来ない人体の生物学的特徴(たとえば、指紋)によって本人認証を行う、いわゆるバイオメトリック認証システムに適用して好適な画像読み取り装置及び画像読み取り方法に関する。
(略)
【0003】図15(a)は、指紋認証システム1の簡略構成図である。一般に、指紋認証システム1は、画像読み取り装置2と指紋照合装置3とを含み、指紋照合装置3の照合結果(本人認証結果)を利用して、上記各種システムの利用可否または入出可否等を行う。
【0004】画像読み取り装置2は、小型、軽量、低消費電力等の特徴を有する光学式の撮像デバイス、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)などの二次元固体撮像デバイスによって構成されており、認証対象者4の指紋画像を読み取って、その指紋画像を指紋照合装置3に出力する。指紋照合装置3は、例えば、特徴点抽出方式、すなわち、画像読み取り装置2で読み取られた指紋画像から指紋の特徴点(指紋の端点や分岐点)を抽出し、その特徴点が、あらかじめ登録されている登録者の特徴点情報と一致するか否かを判定して認証対象者4の本人認証を行い、その照合結果(本人認証結果)を、たとえば、前述の各種認証システムに出力する。
(略)
【0011】そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、従来の抵抗検知方式の構成を有する画像読み取り装置において、被写体の表面状態に応じて読取感度や画像処理を補正制御することにより、被写体の表面模様を画質の劣化を伴うことなく良好に読み取ることができ、もって、たとえば、指紋照合システムの照合性能改善に寄与することができる画像読み取り装置及び画像読み取り方法を提供することを目的とする。」

(イ)
「【0040】図5は、ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。図5に示すように、フォトセンサシステムは、大別して、多数のダブルゲート型フォトセンサ10を、たとえば、n行×m列(n、mは任意の自然数)のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、(略)アンプ133からなるドレインドライバ130と、を有して構成されている。
(略)
【0044】次いで、上述したフォトセンサシステムに適用される透明電極層の平面構造について、図面を参照して説明する。図6は、上述したフォトセンサシステムに適用される透明電極層の平面構造の一例を示す概略図である。図1(a)に示したダブルゲート型フォトセンサ10の最上層(保護絶縁膜20上)に積層形成される透明電極層30は、上記フォトセンサアレイ100のマトリクス領域に対応して、以下に示すような所定の平面構造(パターン)を有して形成され、被写体としての指40の載置面として用いられるものである。
【0045】
図6に示すように、透明電極層30は、二分割構造(図示の例では櫛歯構造)を有している。便宜的に、図面の左側櫛歯部分を「左透明電極層30a」、図面の右側櫛歯部分を「右透明電極層30b」ということにすると、左透明電極層30aと右透明電極層30bは、互いに微小な間隔で離隔配置されるなどして通常は電気的に分離(絶縁)されており、指40を載置したときに、その指40の皮膚抵抗を介して導通状態にされるようになっている。
【0046】
左透明電極層30a及び右透明電極層30bからは、それぞれリード線31a、31bが引き出されており、リード線31a、31bの先端には、図面では便宜的に端子32a、32bが設けられている。左透明電極層30a及び右透明電極層30bは、透明性と導電性とを有する透明導電薄膜(ITO等)であり、それぞれ、発明の要旨に記載の第1の導電体及び第2の導電体に対応し、指40の指紋像を効率よく透過させることができるとともに、指40の載置時には一対の端子32a、32bの間を指40の皮膚抵抗に相当する低い抵抗値で導通させることができるものである。ここで、透明電極層30(左透明電極層30a及び右透明電極層30b)は、後述するように、指40の載置、接触(タッチ)を検出する機能、載置された指40の皮膚抵抗を測定する機能、さらに、指に帯電した静電気を放電する機能を有するものであればよいので、図6に示した平面構造以外の他の構成を有するものであってもよい。
(略)
【0048】そして、指紋読み取り装置による指紋の検出時においては、指40の皮膚表層41の半透明層が、フォトセンサアレイ100の最上層に形成された透明電極層30に接触することにより、透明電極層30と皮膚表層41との間の界面に屈折率の低い空気層がなくなる。ここで、皮膚表層41の厚さは、650nmより厚いため、指紋42の凸部42aにおいて内部に入射された光Laは、皮膚表層41内を散乱、反射しながら伝搬する。伝搬された光Lbの一部は、透明電極層30(左透明電極層30a、右透明電極層30b)、保護絶縁膜20、15、14及びトップゲート電極21を透過してダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に励起光として入射される。このように、指40の凸部42aに対応する位置に配置されたダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に光が入射されて生成されるキャリヤ(正孔)が蓄積されることにより、上述した一連の駆動制御方法にしたがって、指40の画像パターンを明暗情報として読み取ることができる。」

(ウ)
「【0053】図8に示すように、本実施形態に係る2次元画像読み取り装置200は、大別して、図5に示したフォトセンサシステムと同様に、ダブルゲート型フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ100と、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGに所定のタイミングで、所定のトップゲート電圧(リセットパルス)を印加するトップゲートドライバ110と、ダブルゲート型フォトセンサ10のボトムゲート端子BGに所定のタイミングで、所定のボトムゲート電圧(読み出しパルス)を印加するボトムゲートドライバ120と、ダブルゲート型フォトセンサ10へのプリチャージ電圧の印加及びドレイン電圧の読み出しを行うコラムスイッチ131、プリチャージスイッチ132、アンプ133からなるドレインドライバ130と、図6に示した構成を有する透明電極層30(左透明電極層30a及び右透明電極層30b)上に載置された被写体(指先)の電気的抵抗値を検出して、透明電極層30への被写体(指40)の接触検知とその被写体の表面抵抗測定とを行い、電圧に変換して出力する検知回路140と、上記ドレインドライバ130を介して読み出されたドレイン電圧(出力電圧Vout)、又は、上記検知回路140から出力される抵抗値測定信号(詳しくは後述する)のいずれか一方を選択して出力する切替器150と、該切替器150により選択された信号電圧をデジタル信号に変換して、画像出力信号(画像データ)又は抵抗値信号を生成するアナログ-デジタル変換器(以下、「A/Dコンバータ」と記す)160と、所定の制御プログラムにしたがって、フォトセンサアレイ100による被写体画像の読取動作制御や画像データの照合、加工等の所定の画像処理を実行する外部機能部190とのデータのやり取り等を行うとともに、画像読み取り動作や画像処理に関する諸設定を修正又は補正する機能を備えたコントローラ170と、画像データや読取感度の設定等に関連するデータ等を記憶するRAM180と、を有して構成されている。
(略)
【0064】さらに、コントローラ170には、検知回路140からタッチ検知信号が入力されるとともに、このタッチ検知信号に基づいて切替制御される切替器150により選択設定された、ドレインドライバ130から出力される出力電圧Vout、もしくは、検知回路140から出力される抵抗値測定信号のいずれか一方が、A/Dコンバータ160を介してデジタル信号に変換されて、画像データもしくは抵抗値信号として入力される。
【0065】そして、コントローラ170は、この画像データに対して、所定の画像処理を施したり、RAM180への書き込み、読み出しを行うとともに、画像データの照合や加工等の所定の処理を実行する外部機能部190に対するインターフェースとしての機能と、抵抗値信号に基づいて、所定の補正テーブルを参照(ルックアップ)して、被写体(指40)の表面状態(乾き具合や湿り具合)に応じた読取感度の調整、設定や、上記画像データに対するデジタル化処理における閾値の補正及び/又は特徴点抽出における画像処理の補正等を実行する読取画像の適正化機能と、を備えている。」
「【図8】



(エ)
「【0083】<画像読み取り方法>次に、上述した構成を有する画像読み取り装置における駆動制御方法(画像読み取り方法)について、図面を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る画像読み取り方法の概略フローチャートを示す図である。なお、以下に示す一連の処理手順は、上述したコントローラ170により実行される。ここで、コントローラ170(具体的には、メインコントローラ173)には、以下の一連の手順を実行するための制御プログラムが組み込まれているものとする。
【0084】図13に示すように、本実施形態に係る画像読み取り方法は、まず、タッチ検知信号がアクティブであるか否か、すなわち、透明電極層30に被写体である指40が載置されているか否かを判定する(ステップS11)。ここで、指40が載置されていないと判定した場合には、そのまま判定処理をループし、載置されていると判定した場合には、検知回路140のボルテージフォロワ64の出力電位、すなわち、載置された指40の皮膚抵抗を表す抵抗値測定信号(抵抗値信号)を読み込む(ステップS12;測定ステップ)。
【0085】次いで、ROM175に格納された補正テーブル(図11(a)、(b)参照)を参照して、その抵抗値測定信号に基づく皮膚抵抗(抵抗値)がRE1?RE5のいずれの領域に入っているかを調べ、該当する領域に対応した補正値(H1?H5のいずれか)を抽出し(ステップS13)、次に、参照、抽出された補正値でフォトセンサシステム201の電荷蓄積期間Taを可変設定する(ステップS14;制御ステップ)。
(略)
【0087】次いで、フォトセンサシステム201を駆動して、上述したステップS13、S14において設定された電荷蓄積期間に基づいて、載置された指40の指紋画像の読み取りを開始する(ステップS15)。そして、指紋画像の一画面分の読み取りが終了した場合には(ステップS16)、読み取られた指紋画像を、指紋照合処理等の所定の画像処理を実行する外部機能部190等に出力して(ステップS17)、フローチャートを終了する。」

(オ)
「【0093】さらに、上述した実施形態においては、図11(b)に示したように測定された皮膚抵抗(抵抗値)に基づいて補正テーブルを参照することにより、該抵抗値が含まれる抵抗範囲に応じて(もしくは、標準状態における抵抗値に対する測定された抵抗値の比較値に応じて)、時間成分からなる補正値を抽出して、予め設定された読取感度(標準状態における電荷蓄積期間)を修正する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0094】たとえば、予め設定された一定の読取感度で指紋画像を読み込んだ後、測定された皮膚抵抗と標準状態における抵抗値との比較に基づいて、たとえば、図11(a)に示したように、測定された皮膚抵抗が標準状態における抵抗値に対して、所定値以上異なっていた場合に、上記読み取った指紋画像の画像信号を所定の階調(例えば256階調)のデジタル値に変換する際の閾値を補正値に基づいて修正(補正)するものであってもよいし、外部機能部における指紋画像の照合処理において、特徴点抽出を行う画像処理に適用される所定のパラメータ等の設定を変更(補正)するものであってもよい。これによれば、上述した実施形態に示したように、コントローラにより読取感度の設定を修正、設定して、電荷蓄積期間を変化させる制御を行う必要がないので、常に一定の読み取り時間で指紋画像を読み取ることができる。また、コントローラにおいて、補正テーブルを参照して測定された皮膚抵抗に応じた補正値のみを抽出し、該補正値を外部機能部等に出力することにより、指の肌状態に応じた適切な画像処理が実行されるので、コントローラにおける制御処理上の負担を軽減することができる。」

イ 引用文献1に記載された発明
(ア)上記ア(ア)段落【0011】の記載事項から、引用文献1に記載の「画像読み取り装置」は、従来の指紋認証システム1に含まれる画像読み取り装置の課題を解決して、指紋照合システムの照合性能改善に寄与することを目的としているから、引用文献1に記載の画像読み取り装置を含む指紋認証システム1の発明を引用文献1に記載された発明として認定する。

(イ)上記ア(オ)段落【0093】に、本発明は、上記ア(エ)<画像読み取り方法>の実施形態に限定されるものではないと記載があり、同段落【0094】に「たとえば、・・・であってもよい」と記載があるから、引用文献1に記載の「画像読み取り装置」の画像読み取り方法として、同段落【0094】の記載事項に基づいて認定する。

(ウ)よって、上記アの記載事項(特に、下線部)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、引用発明の各構成の符号は、説明のために当審にて付したものであり、以下、構成aないし構成eと称する。また、【】内は、対応する構成が記載された引用文献1の段落番号を示す。

(引用発明)
(a)人体の生物学的特徴(たとえば、指紋)によって本人認証を行う認証システムであって、【0001】
(a1)指紋認証システム1は、画像読み取り装置2と指紋照合装置3とを含み、【0003】
(a2)画像読み取り装置2は、認証対象者4の指紋画像を読み取って、その指紋画像を指紋照合装置3に出力し、指紋照合装置3は、特徴点抽出方式、すなわち、画像読み取り装置2で読み取られた指紋画像から指紋の特徴点(指紋の端点や分岐点)を抽出し、その特徴点が、あらかじめ登録されている登録者の特徴点情報と一致するか否かを判定して認証対象者4の本人認証を行い、【0004】

(b)ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムは、
(b1)多数のダブルゲート型フォトセンサ10を、n行×m列(n、mは任意の自然数)のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、ドレインドライバ130と、を有して構成され、【0040】
(b2)フォトセンサシステムに適用される透明電極層の平面構造は、ダブルゲート型フォトセンサ10の最上層に積層形成される透明電極層30は、上記フォトセンサアレイ100のマトリクス領域に対応して形成され、被写体としての指40の載置面として用いられ、【0044】
(b3)透明電極層30は、二分割構造(櫛歯構造)を有し、左透明電極層30aと右透明電極層30bは、互いに微小な間隔で離隔配置されるなどして通常は電気的に分離(絶縁)されており、指40を載置したときに、その指40の皮膚抵抗を介して導通状態にされ、【0045】
(b4)透明電極層30(左透明電極層30a及び右透明電極層30b)は、指40の載置、接触(タッチ)を検出する機能、載置された指40の皮膚抵抗を測定する機能、さらに、指に帯電した静電気を放電する機能を有するものであればよく、【0046】
(b5)指紋読み取り装置による指紋の検出時においては、指40の皮膚表層41の半透明層が、フォトセンサアレイ100の最上層に形成された透明電極層30に接触することにより、指40の画像パターンを明暗情報として読み取ることができ、【0048】

(c)画像読み取り装置の一実施形態に係る2次元画像読み取り装置200は、
(c1)ダブルゲート型フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ100と、
(c2)ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン電圧の読み出しを行うドレインドライバ130と、
(c3)透明電極層30(左透明電極層30a及び右透明電極層30b)上に載置された被写体(指先)の電気的抵抗値を検出して、透明電極層30への被写体(指40)の接触検知とその被写体の表面抵抗測定とを行い、電圧に変換して出力する検知回路140と、
(c4)上記ドレインドライバ130を介して読み出されたドレイン電圧、又は、上記検知回路140から出力される抵抗値測定信号のいずれか一方を選択して出力する切替器150と、
(c5)該切替器150により選択された信号電圧をデジタル信号に変換して、画像出力信号(画像データ)又は抵抗値信号を生成するアナログ-デジタル変換器(A/Dコンバータ)160と、
(c6)所定の制御プログラムにしたがって、フォトセンサアレイ100による被写体画像の読取動作制御や画像データの照合、加工等の所定の画像処理を実行する外部機能部190とのデータのやり取り等を行うとともに、画像読み取り動作や画像処理に関する諸設定を修正又は補正する機能を備えたコントローラ170と、を有して構成され、【0053】
(c7)コントローラ170には、ドレインドライバ130から出力される出力電圧Vout、もしくは、検知回路140から出力される抵抗値測定信号のいずれか一方が、A/Dコンバータ160を介してデジタル信号に変換されて、画像データもしくは抵抗値信号として入力され、【0064】
(c8)コントローラ170は、画像データの照合や加工等の所定の処理を実行する外部機能部190に対するインターフェースとしての機能と、抵抗値信号に基づいて、所定の補正テーブルを参照(ルックアップ)して、被写体(指40)の表面状態(乾き具合や湿り具合)に応じた読取感度の調整、設定や、上記画像データに対するデジタル化処理における閾値の補正及び/又は特徴点抽出における画像処理の補正等を実行する読取画像の適正化機能と、を備え、【0065】

(d)画像読み取り装置における駆動制御方法(画像読み取り方法)について、以下に示す一連の処理手順は、コントローラ170により実行され、【0083】
(d1)タッチ検知信号がアクティブであるか否か、すなわち、透明電極層30に被写体である指40が載置されているか否かを判定し(ステップS11)、【0084】
(d2)載置されていると判定した場合には、検知回路140の出力電位、すなわち、載置された指40の皮膚抵抗を表す抵抗値測定信号(抵抗値信号)を読み込み(ステップS12;測定ステップ)、【0084】
(d3)ROM175に格納された補正テーブルを参照し(ステップS13)、次に、参照、抽出された補正値で電荷蓄積期間Taを可変設定し(ステップS14;制御ステップ)、【0085】
(d4)次いで、上述したステップS13、S14において設定された電荷蓄積期間に基づいて、載置された指40の指紋画像の読み取りを開始し(ステップS15)、【0087】
(d5)指紋画像の一画面分の読み取りが終了した場合には(ステップS16)、読み取られた指紋画像を、指紋照合処理等の所定の画像処理を実行する外部機能部190に出力し(ステップS17)、【0087】

(e)上述した実施形態においては、予め設定された読取感度(標準状態における電荷蓄積期間)を修正する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、【0093】
(e1)予め設定された一定の読取感度で指紋画像を読み込んだ後、測定された皮膚抵抗と標準状態における抵抗値との比較に基づいて、測定された皮膚抵抗が標準状態における抵抗値に対して、所定値以上異なっていた場合に、上記読み取った指紋画像の画像信号を所定の階調(例えば256階調)のデジタル値に変換する際の閾値を補正値に基づいて修正(補正)するものであってもよい、【0094】

(a)指紋認証システム1。

(2-3)本件補正発明と引用発明との対比

ア 構成Aについて

構成bの「ダブルゲート型フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ」は、「指40の画像パターンを明暗情報として読み取る」(構成b5)センサーであり、当該「指40の画像パターンの明暗情報」は、構成a、a1、a2より指紋といえるから、構成Aの「指紋センサー」に相当する。

また、構成b2?b4の「透明電極層30」は、互いに微小な間隔で離隔配置された左透明電極層30a及び右透明電極層30bを有するから、「2つの電極」といえ、また、載置された指40の皮膚抵抗を測定するものであり、当該皮膚抵抗の抵抗値は、被写体(指40)の表面状態(乾き具合や湿り具合)に応じた補正(構成c8及び構成e1)の処理に用いられるから、指の乾き具合や湿り具合を検出する機能を有する電極、すなわち、「湿度検出」に用いられる電極といえる。
よって、構成b2?b4の「透明電極層30」は、構成Aの「少なくとも2つの湿度検出電極」に相当する。

さらに、構成c6?構成c8、構成dの「コントローラ170」は、「所定の制御プログラムにしたがって」、「一連の処理手順を実行」するものであるから、構成Aの「処理モジュール」に相当する。

引用発明は、構成c、c1、c8、a1によれば、「ダブルゲート型フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ」、「透明電極層30(左透明電極層30a及び右透明電極層30b)」、「コントローラ170」を備える「画像読み取り装置」を含む「指紋認証システム1」であるから、構成Aの「指紋センサー、少なくとも2つの湿度検出電極、及び処理モジュールを備える指紋認証装置」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Aで一致する。

イ 構成B1、B2について
上記アのとおり、構成bの「ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ」は、構成B1及びB2の「指紋センサー」に相当する。

構成bの「ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ」は、ドレインドライバ130(構成c2)と切替器150(構成c4)とA/Dコンバータ160(構成c5)を介してコントローラ170と接続している(構成c7)から、引用発明は、構成B1に相当する構成を有している。

構成bの「ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ」は、構成b2によると、「最上層に積層形成される透明電極層30」を有し、構成b5によると、「指40の皮膚表層41の半透明層が、・・・透明電極層30に接触することにより、指40の画像パターンを明暗情報として読み取ることができ」るものであるから、「ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合」に、画像パターンを読み取るものといえる。

また、構成b5の「フォトセンサアレイ」が明暗情報として読み取る「指40の画像パターン」は、構成c5によれば、A/Dコンバータ160がデジタル信号に変換した「画像出力信号(画像データ)」を生成し、構成c7によれば、当該「画像データ」としてコントローラ170に入力されるものであるから、「処理モジュール」に、画像パターンを出力するものといえる。

そして、構成b5の「フォトセンサアレイ」が明暗情報として読み取る「指40の画像パターン」は、構成d及び構成eによれば、画像読み取り装置における画像読み取り方法において、「指40の指紋画像」(構成d4)及び「指紋画像の画像信号」(構成e1)として処理されるものであるから、「指紋信号」といえる。

以上のことから、構成bの「ダブルゲート型フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ」は、構成B2の「ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、前記処理モジュールに指紋信号を出力するためのもの」であることに相当し、引用発明は、構成B2に相当する構成を有している。

したがって、本件補正発明と引用発明は、構成B1及びB2で一致する。

ウ 構成C1、C2について
上記アのとおり、構成bの「透明電極層30」は、構成C1及びC2の「少なくとも2つの湿度検出電極」に相当する。

構成bの「透明電極層30」は、検知回路140(構成c3)と切替器150(構成c4)とA/Dコンバータ160(構成c5)を介してコントローラ170と接続している(構成c7)から、構成C1に相当する構成を有している。

上記アのとおり、構成b2の「フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ」は、構成C2の「指紋センサー」に相当する。
構成bの「透明電極層30」は、構成b2によると、「ダブルゲート型フォトセンサ10の最上層に積層形成され」、「フォトセンサアレイ100のマトリクス領域に対応して形成され」るものであり、このように形成される領域は、「指紋センサーの予め設定された範囲」の位置といえる。

以上のことから、構成bの「透明電極層30」は、構成C2の「前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記指紋センサーの予め設定された範囲に位置」することに相当し、引用発明は、構成C2に相当する構成を有している。
したがって、本件補正発明と引用発明は、構成C1及びC2で一致する。

オ 構成D1について
上記アのとおり、構成bの「透明電極層30」は、構成D1の「少なくとも2つの湿度検出電極」に相当する。
また、構成bの「透明電極層30」は、構成b4によると、「載置された指40の皮膚抵抗を測定する機能」を有するものであるから、「ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合」に、「載置された指40の皮膚抵抗」を出力するものといえる。
構成b3及び構成b4の「皮膚抵抗」は、構成b3及び構成c3によれば、「互いに微小な間隔で離隔配置されるなどして通常は電気的に分離(絶縁)されて」いる左透明電極層30aと右透明電極層30b上に載置された「被写体(指先)の電気的抵抗値」を検出したものであるから、構成D1の「少なくとも2つの湿度検出電極の間の抵抗値」に相当する。

構成c5の「抵抗値信号」は、構成c3の「載置された被写体(指先)の電気的抵抗値」を、構成c5のA/Dコンバータ160がデジタル信号に変換して生成した「抵抗値信号」であるから、「電気的抵抗値」に「正相関」しているといえ、構成D1の「特徴値」に相当する。
構成c7の「コントローラ170」は、構成c5の「抵抗値信号」を入力するものである(構成c7)から、「特徴値を取得する」といえる。

以上のことから、構成c7の「コントローラ170」は、構成D1の「ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、特徴値を取得するためのもの」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明は、構成D1で一致する。

カ 構成D21?D33ついて
構成eの「上述した実施形態」における「予め設定された読取感度(標準状態における電荷蓄積期間)を修正する場合」とは、構成d3の「電荷蓄積期間Taを可変設定」するステップS13及びS14を意味しており、引用発明は、この構成に代えて構成e1の構成を備えるものである。

上記オのとおり、構成e1の「測定された皮膚抵抗」は、構成D21の「特徴値」に相当する。
構成e1の「上記読み取った指紋画像の画像信号を所定の階調(例えば256階調)のデジタル値に変換する際の閾値」における「画像信号」は、構成d5によれば、外部機能部190が実行する指紋照合処理に用いられる画像信号であるから、該画像信号を変換する際の上記「閾値」は、「指紋認証パラメータ」といえる。
そして、この「閾値」を、「測定された皮膚抵抗と標準状態における抵抗値との比較に基づいて、測定された皮膚抵抗が標準状態における抵抗値に対して、所定値以上異なっていた場合に」、「補正値に基づいて修正(補正)する」ことは、構成D21の「特徴値に整合される指紋認証パラメータを確定」することに相当する。

また、構成e1の「読み取った指紋画像の画像信号を所定の階調(例えば256階調)のデジタル値に変換する」ことは、構成D31の「前記指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋画像を生成」することに相当する。

さらに、構成e1の処理は、構成d3の電荷蓄積期間の修正と同様に、「コントローラ170」により実行されるものである。

したがって、本件補正発明と引用発明は、「処理モジュール」について、
「(D21)前記処理モジュールは、更に、前記特徴値に整合される指紋認証パラメータを確定し、
(D31)前記処理モジュールは、更に、前記指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋画像を生成し」という構成を有している点で共通する。

しかしながら、「処理モジュール」について、本件補正発明は、
「(D22)確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行うためのものであり、
(D32)前記指紋画像に対して特徴を抽出し、特徴情報を取得し、
(D33)前記特徴情報を予め保存された特徴情報に整合するためのものである」
のに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点で、両者は相違する。

キ 一致点、相違点
以上をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
(A)指紋センサー、少なくとも2つの湿度検出電極、及び処理モジュールを備える指紋認証装置であって、

(B1)前記指紋センサーは、前記処理モジュールに接続され、

(C1)前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記処理モジュールに接続され、
(C2)前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記指紋センサーの予め設定された範囲に位置し、

(B2)前記指紋センサーは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、前記処理モジュールに指紋信号を出力するためのものであり、

(D1)前記処理モジュールは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、特徴値を取得するためのものであり、前記特徴値は、前記少なくとも2つの湿度検出電極の間の抵抗値に正相関し、

(D21)前記処理モジュールは、更に、前記特徴値に整合される指紋認証パラメータを確定し、

(D31)前記処理モジュールは、更に、前記指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋画像を生成するためのものである、

(A)ことを特徴とする指紋認証装置。

[相違点]
「処理モジュール」について、本件補正発明は、
「(D22)確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行うためのものであり、
(D32)前記指紋画像に対して特徴を抽出し、特徴情報を取得し、
(D33)前記特徴情報を予め保存された特徴情報に整合するためのものである」
のに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点

(2-4)判断
引用発明は、構成d5によれば、指紋画像を、「指紋照合処理等の所定の画像処理を実行する外部機能部190」に出力するものであり、当該「外部機能部」である構成a2の「指紋照合装置3」が、「画像読み取り装置2で読み取られた指紋画像から指紋の特徴点(指紋の端点や分岐点)を抽出し、その特徴点が、あらかじめ登録されている登録者の特徴点情報と一致するか否かを判定して認証対象者4の本人認証を行」う処理を実行する。

構成a2の「指紋画像から指紋の特徴点(指紋の端点や分岐点)を抽出」は、構成D32の「前記指紋画像に対して特徴を抽出」に相当する。
構成a2の「その特徴点が、あらかじめ登録されている登録者の特徴点情報と一致するか否かを判定」は、構成D33の「特徴情報を予め保存された特徴情報に整合する」に相当する。
構成a2の「指紋画像から」「認証対象者4の本人認証を行」うことは、構成D31の「確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行う」ことに相応する。

引用発明のコントローラ170及び外部機能部190は、指紋によって本人認証を行う認証システムにおける指紋認証を行うために必要な処理を協働して行うものであるといえる。
一方、協働して行う複数の処理を1つの一体化したシステムで行うことは、処理や構成の効率等を考慮してシステムの設計をする際に当業者が普通に考えることであるから、引用発明において、コントローラ170及び外部機能部190が協働して行う指紋認証を行うために必要な処理を、コントローラ170で一体として行うようにすることは当業者が容易に想到し得ることであり、そのことを阻害する要因もない。

よって、引用発明において、コントローラ170が、外部機能部190が実行する指紋照合処理を一体で行うようにすることで、
「処理モジュール」について、
「(D22)確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行うためのものであり、
(D32)前記指紋画像に対して特徴を抽出し、特徴情報を取得し、
(D33)前記特徴情報を予め保存された特徴情報に整合するためのものである」
ように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、本件補正発明が奏する効果は、上記容易想到である構成から当業者が予測し得るものである。

(2-5)独立特許要件についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和1年7月30日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年2月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

(本願発明)
【請求項1】
指紋センサー、少なくとも2つの湿度検出電極、及び処理モジュールを備える指紋認証装置であって、
前記指紋センサーは、前記処理モジュールに接続され、前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記処理モジュールに接続され、前記少なくとも2つの湿度検出電極は、前記指紋センサーの予め設定された範囲に位置し、
前記指紋センサーは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、前記処理モジュールに指紋信号を出力するためのものであり、
前記処理モジュールは、ユーザの指が前記指紋センサー及び前記少なくとも2つの湿度検出電極に触れる場合、特徴値を取得するためのものであり、前記特徴値は、前記少なくとも2つの湿度検出電極の間の抵抗値に正相関し、
前記処理モジュールは、更に、前記特徴値に整合される指紋認証パラメータを確定し、確定された指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋認証を行うためのものである、ことを特徴とする指紋認証装置。
【請求項5】
前記処理モジュールは、更に、前記指紋認証パラメータ及び前記指紋信号によって、指紋画像を生成し、前記指紋画像に対して特徴を抽出し、特徴情報を取得し、前記特徴情報を予め保存された特徴情報に整合するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の指紋認証装置。

2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1、2、4-14に係る発明は、本願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2003-187234号公報

3 判断
本願発明は、引用形式の記載を独立形式の記載とすると、上記「第2 2(2)独立特許要件について」で検討した本件補正発明と同じものである。
したがって、上記「第2 2(2)(2-5)」により、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項5に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


 
別掲
 
審理終結日 2020-03-31 
結審通知日 2020-04-01 
審決日 2020-06-08 
出願番号 特願2017-508633(P2017-508633)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐田 宏史  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 藤原 敬利
渡辺 努
発明の名称 指紋認証装置、方法、プログラム、及び記録媒体  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ