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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1367548 |
審判番号 | 不服2019-7283 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-06-04 |
確定日 | 2020-10-20 |
事件の表示 | 特願2017- 45027「メディアパッケージングのためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日出願公開、特開2017-143532〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 (1)経緯 本願は、2008年(平成20年)9月22日(パリ条約優先権主張外国庁受理2007年9月20日、米国)を国際出願日とする出願の一部を数次の分割を経て平成29年3月9日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 4月10日 :手続補正 平成30年 1月 5日 :手続補正 平成30年 3月 9日付け:拒絶理由通知 平成30年 8月20日 :意見書の提出、手続補正 平成31年 1月28日付け:拒絶査定 令和 1年 6月 4日 :審判請求、手続補正 令和 1年 6月25日 :手続補正(請求の理由) (2)令和1年6月4日付け手続補正 令和1年6月4日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、平成30年8月20日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下、「補正前の請求項1」という。)は、特許請求の範囲の請求項1(以下、「補正後の請求項1」という。)のとおり補正された(下線は、補正箇所である。)。 符号A?Fは説明のため当審で付与したものであり、以下、発明特定事項A?発明特定事項Fと称する。各請求項において同じ記載内容の発明特定事項には同じ符号を付し、本件補正により補正された発明特定事項の符号には「’」を付した。 (補正前の請求項1) 「【請求項1】 (A)端末宛先における表示のために、ブロードバンド通信ネットワークリンクを介した送信のためのメディア及びデータをパッケージするコンピュータ実現方法であって、 (B)前記端末宛先への送信のために、それぞれがコンテンツメッセージのフラグメントを含む複数のメディアセグメントをデータベースから収集するステップと、 (C)前記端末宛先への送信のためのターゲット情報であって、前記複数のメディアセグメント及びターゲットセグメントの視聴者の二又はそれ以上から形成される前記コンテンツメッセージの複数のバージョンを定義するターゲット情報を生成するステップと、 (D)前記複数のメディアセグメント及び前記ターゲット情報を単一の電子パッケージファイルにパッケージするステップと、 (E)前記単一の電子パッケージファイルと前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令とを送信するステップと、 を含み、 (F)前記端末宛先は、(F1)前記単一の電子パッケージファイルと前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令とに基づいて(F2)前記ターゲット情報を分析して、(F3)前記ターゲットセグメント視聴者に基づいてアセンブリするように前記コンテンツメッセージの複数のバージョンの一つを決定し、そして、(F4)収集した前記複数のメディアセグメントの一又は二以上をアセンブルして前記コンテンツメッセージを生成し、さらに、(F5)前記ターゲット情報にしたがってアセンブルされた前記コンテンツメッセージを前記端末宛先において表示するように構成されている、 (A)方法。 」 (補正後の請求項1) 「【請求項1】 (A)端末宛先における表示のために、ブロードバンド通信ネットワークリンクを介した送信のためのメディア及びデータをパッケージするコンピュータ実現方法であって、 (B)前記端末宛先への送信のために、それぞれがコンテンツメッセージのフラグメントを含む複数のメディアセグメントをデータベースから収集するステップと、 (C)前記端末宛先への送信のためのターゲット情報であって、前記複数のメディアセグメント及びターゲットセグメントの視聴者の二又はそれ以上から形成される前記コンテンツメッセージの複数のバージョンを定義するターゲット情報を生成するステップと、 (D)前記複数のメディアセグメント及び前記ターゲット情報を単一の電子パッケージファイルにパッケージするステップと、 (E’)前記単一の電子パッケージファイルと前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令とを前記端末宛先に送信するステップと、 を含み、 (F)前記端末宛先は、(F1)前記単一の電子パッケージファイルと前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令とに基づいて(F2)前記ターゲット情報を分析して、(F3)前記ターゲットセグメント視聴者に基づいてアセンブリするように前記コンテンツメッセージの複数のバージョンの一つを決定し、そして、(F4)収集した前記複数のメディアセグメントの一又は二以上をアセンブルして前記コンテンツメッセージを生成し、さらに、(F5)前記ターゲット情報にしたがってアセンブルされた前記コンテンツメッセージを前記端末宛先において表示するように構成されている、 (A)方法。」 (3)原査定の拒絶理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由1、2、4、5によって、拒絶をすべきというものであって、そのうち理由1に係る拒絶の理由は、以下のとおりである。 理由1.(新規事項)平成30年1月5日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 平成30年8月20日付け手続補正で補正された請求項1に記載された発明特定事項E?Fは、本願出願当初の明細書若しくは図面には記載されておらず、自明の事項とも認められない。 第2 令和1年6月4日付け手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和1年6月4日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正における請求項1に係る補正事項(以下、「本件補正事項」という。)は、以下のとおりである。 (本件補正事項) 発明特定事項Eの「前記単一の電子パッケージファイルと前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令とを送信するステップと」を、 発明特定事項E’の「前記単一の電子パッケージファイルと前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令とを前記端末宛先に送信するステップと」とする補正 2 本件補正の適否 本件補正事項(発明特定事項E’)が本願出願当初の明細書若しくは図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内であるかどうかについて、以下に検討する。 (1)当初明細書等の記載 当初明細書等には、以下の記載がある(下線は強調のため当審で付したものである。)。 ア 技術分野について 「【技術分野】 【0001】 本発明は、一般に、メディア配信システムにおけるメディア及びデータのパッケージングに関し、より具体的には、カスタマイズされた広告の作成及び配信に有用なパッケージング・プロセス及び装置に関する。」 イ 背景技術について 「【背景技術】 【0003】 カスタマイズされたアドレス指定可能な映像広告のためのシステムが開発されている。こうしたシステムは主として、従来のTV配給ネットワーク(ケーブル、衛星、及び放送)に実装されている。典型的なシステムを図1に示す。 【0004】 図1を参照すると、作成機能10は、一般に、カスタマイズ可能なキャンペーンを定義し、設定するプロセスを指す。このプロセスは、一般に、メディアツール(例えば、絵コンテ作成ツール、編集ツール、及び他の制作及び制作後ツール)、並びにデータツール(例えば、セグメント化ツール、分析ツール等)によりサポートされる。ライン12を介したこのプロセスの出力は、制作されたメディア(典型的には、DV50のような高品質フォーマット)と、グラフィックスと、タイミング情報と、セグメント化/ターゲットデータと、異なるバージョンのコマーシャルを作成し、それらを適切な視聴者に配信するために必要とされる全ての他のメタデータとで構成されたキャンペーンである。図1の作成プロセスは、一般に、キャンペーンがオンエアされ始める前に一度行われ、異なるコマーシャルは中間キャッシュサーバに格納される。 (略) 【0006】 パッケージング・プロセス18は、一般に、全てのメディア及び(メタ)データを、単一の「アセット」(本明細書においては「パッケージ」と呼ばれることもある)に統合するプロセスを指す。このプロセスは、単一アセットを生成するのに必要なメディア及びデータの全ての操作を網羅するものであり、単一アセットは、配信ネットワークを通して容易に配給することができ、その後、表示される必要がある最終的なコマーシャルに変換することができる。これは、グラフィックスを計算し、映像上にレンダリングすること、音声及び映像を宛先のネットワークが要求するフォーマットにエンコードすること、ターゲットデータを配信ポイントに対して適合させること等のプロセス・ステップを網羅することができる。 【0007】 パッケージ(例えば、キャンペーンに関連付けられたメディア及びデータを表わす単一アセット)は、パッケージング制御18によりライン20を介して出力され、配信ネットワーク22を通じてその宛先に配給される。配信ネットワークは、この用途で要求される 帯域幅及びセキュリティの制約を満たすいずれのコンピュータネットワークであってもよい。これは、典型的には、一対多方向接続である(換言すれば、パッケージは、典型的には、1つの場所から多数の宛先ポイントに(例えば、TVの配給ネットワークにおける異なるケーブルシステム、異なる衛星オペレータ、又はさらには、異なる個々のセットトップボックスに)送られる)。異なる配信ネットワークは、典型的には、それら自体の固有の構成の結果である、幾つかの固有の特徴及び/又は制約を有する(例えば、放送環境においては、全ての視聴者に対して同じ映像信号が一斉送信され、かつ提示され、ビデオ・オン・デマンド環境においては、全ての視聴者は、彼ら固有の映像信号のコピーを視聴する、等)。」 ウ 課題を解決するための手段について 「【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明は、端末宛先における表示のためにブロードバンド通信ネットワークリンク上で伝送するために、メディア及びデータをパッケージする方法に関する。本方法の特徴は、端末宛先への伝送のための所望のメディアセグメントを生成するステップと、端末宛先への伝送のための、例えば、全部又は一部がメタデータ形態のターゲット情報を生成するステップとを含む。他の特徴は、生成されたメディアセグメントと生成されたターゲット情報とを単一パッケージにパッケージするステップと、ターゲット命令に従って、ターゲットされたメディアを端末宛先において表示するために、単一パッケージをアンパックするステップとを含む。 【0012】 別の態様において、本発明は、端末宛先における表示のためにメディア及びデータをアンパックする方法を提供し、この方法は、ターゲット命令に従って、メディアセグメントとメディアセグメントの取り扱いに関する命令とを含む単一パッケージを受信し、単一パッケージからメディアセグメント及び命令をアンパックし、端末宛先における表示のためにメディアセグメントの1つ又はそれ以上をアセンブルするステップを実施する。」 エ 実施形態及び利点について 「【発明を実施するための形態】 【0016】 本発明の態様の実施形態によれば、本システムは、要求されるプレゼンテーションの適正なコマーシャルのバージョンを(好ましくはリアルタイム又はオン・デマンドで)生成できるようにするために必要な全てのメディア及びデータを含む、単一パッケージに関する。こうしたパッケージは、自己完結型であり、所与の各々のプレゼンテーション・コンテクストにおける適正なプレゼンテーション、例えば、コマーシャルの自動生成を可能にする。本実施形態は、多数の重要な利点を有する。 【0017】 第1に、パッケージは自己完結型であるため、単一アセットとして配給及び管理することができる(ルール、メタデータ、及びメディアのアセットを個別に管理する必要はない)。第2に、パッケージのサイズは最適化されており、すなわち、固有のアセット・ピースはパッケージに一度だけ含まれる(例えば、あるキャンペーンが、1000の異なるバージョンをもつ15秒間のコマーシャルを有し、その違いは最後の3秒間のみである場合には、パッケージは最初の12秒間を一度だけ含む。このことは、1000の完全に別個のコマーシャルのコピーを格納及び配給するよりはるかに効率的である)。第3に、パッケージが全てのルール及びメタデータを含むため、既存のネットワーク及び他のインフラストラクチャはそれについて懸念する必要がない。ルール及びメタデータの知識は、大部分はパッケージ内に保持され、ネットワーク及び他のシステム要素に対してトランスペアレントである。これにより、変更されたデータ、コンテンツ、又はルールを取り扱うことの複雑性が局所化され、パッケージ解除をメディアの宛先において、例えば、セットトップボックスで実行することが可能になる。理想的な状況においては、パッケージ解除は、コマーシャルが放送されるのと同じときに実行される(このことは、「リアルタイムのパッケージ解除」又は「オンザフライのパッケージ解除」と呼ばれることもある)。」 オ パッケージのコンテンツについて 「【0021】 パッケージのコンテンツ パッケージファイルのフォーマットは、パッケージ解除プログラムによる構文解析が可能であり、かつ、(正しいコンテクストパラメータを有するという条件で)そこから非常に迅速にブロードバンド映像(例えば、コマーシャル)を生成できるものとすべきである。理想的には、この機能の性能(速度)は、パッケージファイルのサイズに対して線形であるべきである(そのため、これは「(n)次」であるべきであり、ここで「n」はパッケージファイルのファイルサイズを表わす)。パッケージは、典型的には3つの情報の論理ブロック、すなわち、索引表、メディア・アセット、及びアセンブリ表を含むことができる。 【0022】 索引表は、基本的には、パッケージ内にある全てのメディア・アセットに対するルックアップ表である。例えば、索引表は、3つのFlash videoアセット(A、B、C)及び4つのMP3アセット(D、E、F及びG)がパッケージ内に存在することを示すことができる。 【0023】 メディア・アセットは、映像アセット、音声アセット、及びグラフィックス又は他のアセットに分けることができる。各々の種類のアセットは、典型的には、特定のフォーマットにエンコードされる(例えば、映像に対してFlash video、音声に対してMP3、等)。 【0024】 アセンブリ表は、所与の状況に対して最良の(コマーシャル)メッセージを生成するために種々のアセットをいつ、どのように統合すべきかについての情報を含む。実装に応じて、これらはかなり基本的なものとすることができ、例えば、コマーシャルの「スペイン語バージョン」を、Flash videoアセットA、C及びXと、MP3アセットX、Y及びZとを連結し、次いで、映像と音声を単一の.flvファイルに統合することにより生成することができることを指定することができる。これは、(後の段階でのグラフィックスのオーバーレイがサポートされている場合には)、グラフィックス・アセットGを、コマーシャルメッセージの最後の部分の上にオーバーレイすることを指定することもできる。より複雑な実装においては、アセンブリ命令は、ターゲット情報又はトラフィック情報を含むこともできる。例えば、特定の範囲(例えば、123.4.5.678から123.4.5.670)内の全てのIPアドレスが特定のバージョンのコマーシャルを受信すべきこと、又は、毎週日曜日の午前10時から11時の間に2つの異なるバージョンのコマーシャルメッセージを50%-50%でローテーションさせるべきことを指定することもできる。 【0025】 パッケージのフォーマットには、異なる実装の選択肢があることが明らかである。一例を以下でさらに詳細に説明する。 【0026】 この例では、パッケージは、以下のようにファイルとして実装される。 図2を参照すると、パッケージファイルの形式的ファイル構文ではなく論理構造が描かれている。従って、本発明のこの例示的な実施形態の説明を単純かつ明確にするために、例えば、チェックサム、種々のセグメントの長さ等のようなフィールドは、図から省略されている。 【0027】 図2に示される索引表区域40は、ファイル内で利用可能な全てのメディア・アセットをリスト化する。この例においては、MP3の音声フラグメント、及び、flv(Flash Video)の映像フラグメントのみがサポートされる。この表は、各フラグメントについてのエントリを含む。各エントリは、固有のメディアid(id#)、ファイル内でのメディア・フラグメントの開始をメディア・アセット区域の開始点から相対的に示すベースオフセット(ベース)、ファイル内でのこのフラグメントの長さ(長さ)、及び、mp3(音声の場合)又は.flv(映像の場合)のいずれかであり得るタイプ・フィールドを定義する。 【0028】 メディア・アセット区域42は、全ての実際のメディア・フラグメント(この場合はmp3又は.flvフラグメント)を含む。超高速パッケージ解除のための性能要件を満たすには、メディア・アセットは、単に互いに連結するだけで、いかなる音声又は映像アーチファクトも生じることなく有効なシームレスのコマーシャルを生成することができるような方法で、準備され/エンコードされる必要がある。 【0029】 アセンブリ表区域44は、ファイルから生成することができる全ての有効なコマーシャル・バージョンをリスト化する。この例においては、時間/日に特有の幾つかのバージョンがある(1つのバージョンは朝に有効であり、1つは午後に有効である、等)。アセンブリ表は、各々の有効なコマーシャル・バージョンについてのエントリを含む。各エントリは、固有のバージョン名(バージョン)、並びに、連結されるべき映像フラグメントのシーケンスの識別情報(映像)、及び連結されるべき音声フラグメントのシーケンスの識別情報(音声)を定義する。 【0030】 この例においては、ターゲット条件(全て時間特有である)は暗黙的であり、バージョンの固有名により駆動される(例えば、「朝」の意味は、「就業日の東部標準時の真夜中から正午まで」を意味するようにハードコード化することができる、等)ことに注目されたい。これらのルール(時間に基づくルール、又はIPアドレスに基づくルール等のいずれも)も表わすように、パッケージファイルのフォーマットをさらに拡張することができることが容易に理解される。このことは、例えば、アセンブリ表を拡張することにより、又は、アセンブリ表44における「バージョン」を特定のターゲットルールに関連付けるための別の表を導入する(付加する)ことにより、実行することができる。 【図2】 ![]() 」 カ パッケージング・プロセスについて 「【0031】 パッケージング・プロセス パッケージング・プロセスの入力及び出力を図3に示す。メタデータは、プロセスへの入力である。これは1つ又はそれ以上のXMLファイルとして表わすことができるが、他の(ファイル又は非ファイル)表現もまた可能である。これは、ソースメディア・アセットを識別するものであり、また、異なるバージョンのコマーシャルを生成するためにメディア・アセットのどの有効な組み合わせを用いるべきであるかを定義するメタデータ及びルールさらに含む。これは、これらのシーケンスのためのターゲットルールの幾つかの定義を含むこともできる。 【0032】 メディア・アセットもまたプロセスへの入力である。これらは、典型的には、高(制作)品質であり、音声に対しては.WAVファイル、映像に対しては.AVIファイルの形態とすることができる。 【0033】 プロセスの出力は単一パッケージである。実装は様々であってよいが、この説明の残りの部分では、この実装が単純なバイナリファイルとして表されるものと想定する。 (略) 【0044】 メタデータのパッケージング メタデータは、パッケージファイルの別の要素である。図2のパッケージファイル・フォーマットにおいては、メタデータは、アセンブリ表の一部である。他の実装において、メタデータは別個の区域内にあるものとすることもできる。 【0045】 図6は、メタデータのパッケージング・プロセスの例示的な実装を示す。メディアのパッケージング・プロセスとメタデータのパッケージング・プロセスとは高度に相関していることに注目されたい。パッケージング・プロセスの実装は、以下に説明されるようなメタデータのパッケージングと組み合わされた、上述のようなメディアのパッケージングを含むことができる。 【0046】 図6を参照すると、広告主メタデータ80は、キャンペーン特有のものであり、XMLファイル又は他の表現として供給することができる。これは、ビジネスルール(又はデータのセグメント化)を定義し、それらをメディアとリンクさせる。これは、パッケージング・プロセスにおいて配信アドレスに対して方法を解決するのに十分なデータが存在するという条件で、いずれかのデータのセグメント化方法を参照するビジネスルールを定義することができる。広告メタデータの例は以下の表に示され、第1の列はメディア/コマーシャルを参照し、第2の列はターゲットとなる受け手を定義する。 【表1】 ![]() 本例においては、コマーシャルのバージョン_Aはボストンに住む人々に提示され、バージョン_Bはサンフランシスコに住む人々に提示され、以下同様である。」 キ パッケージング解除について 「【0050】 パッケージング解除 本発明によると、パッケージ解除プロセスは、ストリーミングプロセスにおいて、エンドユーザ/表示装置へのストリームが固有のものになるポイントで行われる。その位置では、パッケージ解除は実質的にオン・デマンドで生じ、従って、パッケージ解除プロセスは、メディア/コマーシャルが必要になったときに実行できるように、簡単なものであることが要求される。 【0051】 上述のように、パッケージ解除プロセスにとって、性能は重要な基準である。一般に、パッケージ解除プロセスは、ターゲット基準をその環境から(例えば、特定のコマーシャルが要求されるIPアドレスから)判断し、メディア・フラグメントを見出し、それらを連結し、それらを多重化して、正しいファイルのフォーマットにする。より詳細なパッケージ解除のフローの例を図7に示す。 【0052】 図7を参照すると、コマーシャルに対する要求90は、典型的には、配信ネットワークを通じて開始される。次いでこの要求はパッケージ解除プロセスに渡される。これはインターネット上のブロードバンドのコマーシャルに対する要求の場合もあり、又は、ビデオ・オン・デマンド・セッションにおけるコマーシャル等に対する要求の場合もある。 【0053】 パッケージ解除プロセスは、最初に、ターゲットパラメータを決定する92。これらは、適正なバージョンのコマーシャルを生成するのに用いられるべきパラメータである。これらのパラメータは、要求と共にパッケージ解除器に渡されるべきである。インターネット環境においては、これは、ターゲットコンピュータのIPアドレスとすることができる。ビデオオンデマンドシステムにおいては、これは、宛先セットトップボックスのMACアドレスとすることができる。 【0054】 パッケージ解除プロセスは、94において、ターゲットパラメータを用いて、パッケージファイルのバージョンを探索する。これは、典型的には、アセンブリ表、又はパッケージの別の区域内で探索される。このステップの結果は、バージョンの固有識別子である。 【0055】 96における次のステップで、パッケージファイル内のメディアを探索する。これは、パッケージファイル内の索引表を用いて実行される。このステップの結果は、連結される必要があるパッケージファイル内の種々のメディア・フラグメントを指示するポインタのリストである。 【0056】 98における次のステップで、メディアを読み込む/連結する。種々の音声フラグメントが順々に読み込まれ、種々の映像フラグメントが順々に読み込まれる。その結果は、単一の映像ストリーム及び単一の音声ストリームである。 【0057】 最終ステップ100は、音声ストリーム及び映像ストリームの多重化である。このステップは、音声及び映像のパケットを(正しい順番及び比率で)多重化して、単一のシーケンスとする。このプロセスはまた、得られる単一ファイルをシームレスかつ適正なものにするために、パケットヘッダに対する軽微な調整(又はタイムスタンプの再スタンプ)を含むことができる。 次いで102において、得られたファイルが呼び出し元に戻される。 【図7】 ![]() 」 (2)当初明細書等の記載事項 上記(1)から、当初明細書等には、以下の事項が記載されているといえる。(以下、記載事項ア?記載事項キという。) (ア)本発明は、メディア配信システムにおけるメディア及びデータのパッケージングに関し、カスタマイズされた広告の作成及び配信に有用なパッケージング・プロセス及び装置に関する。 (イ)パッケージ(例えば、キャンペーンに関連付けられたメディア及びデータを表わす単一アセット)は、パッケージング制御18によりライン20を介して出力され、配信ネットワーク22を通じてその宛先に配給される。 (ウ) 課題を解決するための手段について (ウ1)本発明は、端末宛先における表示のためにブロードバンド通信ネットワークリンク上で伝送するために、メディア及びデータをパッケージする方法に関する。本方法の特徴は、端末宛先への伝送のための所望のメディアセグメントを生成するステップと、端末宛先への伝送のための、例えば、全部又は一部がメタデータ形態のターゲット情報を生成するステップとを含む。他の特徴は、生成されたメディアセグメントと生成されたターゲット情報とを単一パッケージにパッケージするステップと、ターゲット命令に従って、ターゲットされたメディアを端末宛先において表示するために、単一パッケージをアンパックするステップとを含む。 (ウ2)別の態様において、本発明は、端末宛先における表示のためにメディア及びデータをアンパックする方法を提供し、この方法は、ターゲット命令に従って、メディアセグメントとメディアセグメントの取り扱いに関する命令とを含む単一パッケージを受信し、単一パッケージからメディアセグメント及び命令をアンパックし、端末宛先における表示のためにメディアセグメントの1つ又はそれ以上をアセンブルするステップを実施する。 (エ) 実施形態及び利点について (エ1)本発明の態様の実施形態によれば、本システムは、要求されるプレゼンテーションの適正なコマーシャルのバージョンを生成できるようにするために必要な全てのメディア及びデータを含む、単一パッケージに関する。本実施形態は、多数の重要な利点を有する。 (エ2)第1に、パッケージは自己完結型であるため、単一アセットとして配給及び管理することができる(ルール、メタデータ、及びメディアのアセットを個別に管理する必要はない)。第3に、パッケージが全てのルール及びメタデータを含むため、既存のネットワーク及び他のインフラストラクチャはそれについて懸念する必要がない。 (オ) パッケージのコンテンツについて (オ1)パッケージは、典型的には3つの情報の論理ブロック、すなわち、索引表、メディア・アセット、及びアセンブリ表を含むことができる。 (オ2)索引表は、基本的には、パッケージ内にある全てのメディア・アセットに対するルックアップ表である。 (オ3)メディア・アセットは、映像アセット、音声アセット、及びグラフィックス又は他のアセットに分けることができる。 (オ4)アセンブリ表は、所与の状況に対して最良の(コマーシャル)メッセージを生成するために種々のアセットをいつ、どのように統合すべきかについての情報を含む。より複雑な実装においては、アセンブリ命令は、ターゲット情報を含むこともできる。例えば、特定の範囲(例えば、123.4.5.678から123.4.5.670)内の全てのIPアドレスが特定のバージョンのコマーシャルを受信すべきことを指定することもできる。 (オ5)図2に示される索引表区域40は、ファイル内で利用可能な全てのメディア・アセットをリスト化する。この例においては、MP3の音声フラグメント、及び、flv(Flash Video)の映像フラグメントのみがサポートされる。 (オ6)メディア・アセット区域42は、全ての実際のメディア・フラグメント(この場合はmp3又は.flvフラグメント)を含む。 (カ) パッケージング・プロセスについて (カ1)パッケージング・プロセスの入力及び出力を図3に示す。メタデータは、プロセスへの入力である。これは、ソースメディア・アセットを識別するものであり、また、異なるバージョンのコマーシャルを生成するためにメディア・アセットのどの有効な組み合わせを用いるべきであるかを定義するメタデータ及びルールさらに含む。 (カ2)メディア・アセットもまたプロセスへの入力である。これらは、典型的には、高(制作)品質であり、音声に対しては.WAVファイル、映像に対しては.AVIファイルの形態とすることができる。 (カ3)プロセスの出力は単一パッケージである。 (カ4)メタデータは、パッケージファイルの別の要素である。図2のパッケージファイル・フォーマットにおいては、メタデータは、アセンブリ表の一部である。 (カ5)図6を参照すると、広告主メタデータ80は、キャンペーン特有のものであり、XMLファイル又は他の表現として供給することができる。これは、ビジネスルール(又はデータのセグメント化)を定義し、それらをメディアとリンクさせる。広告メタデータの例は以下の表に示され、第1の列はメディア/コマーシャルを参照し、第2の列はターゲットとなる受け手を定義する。 (キ) パッケージング解除について (キ)パッケージ解除プロセスは、ストリーミングプロセスにおいて、エンドユーザ/表示装置へのストリームが固有のものになるポイントで行われる。コマーシャルに対する要求90は、典型的には、配信ネットワークを通じて開始される。次いでこの要求はパッケージ解除プロセスに渡される。パッケージ解除プロセスは、最初に、ターゲットパラメータを決定する92。これらのパラメータは、要求と共にパッケージ解除器に渡されるべきである。パッケージ解除プロセスは、94において、ターゲットパラメータを用いて、パッケージファイルのバージョンを探索する。これは、典型的には、アセンブリ表、又はパッケージの別の区域内で探索される。96における次のステップで、パッケージファイル内のメディアを探索する。これは、パッケージファイル内の索引表を用いて実行される。98における次のステップで、メディアを読み込む/連結する。最終ステップ100は、音声ストリーム及び映像ストリームの多重化である。 (3)本件補正事項に関する検討 本件補正事項は、その内容からみて、以下の2つの事項が特定されているといえる(以下、「発明特定事項E1’」、「発明特定事項E2’」という。)。そこで、発明特定事項E1’と発明特定事項E2’に分けて検討する。 (E1’)前記単一の電子パッケージファイルを前記端末宛先に送信する (E2’)前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令を前記端末宛先に送信する (3-1)発明特定事項E1’について a.まず、発明特定事項E1’の「単一の電子パッケージファイル」を検討する。 a1.発明特定事項E1’の「前記単一の電子パッケージファイル」は、発明特定事項D(パッケージするステップ)によれば、「複数のメディアセグメント」及び「ターゲット情報」をパッケージしたものであって、発明特定事項Dの「複数のメディアセグメント」は、「それぞれがコンテンツメッセージのフラグメントを含む複数のメディアセグメント」(発明特定事項B)であり、発明特定事項Dの「ターゲット情報」は、「前記複数のメディアセグメント及びターゲットセグメントの視聴者の二又はそれ以上から形成される前記コンテンツメッセージの複数のバージョンを定義するターゲット情報」(発明特定事項C)である。 a2.一方、当初明細書等には、記載事項カの「パッケージング・プロセス」に「プロセスの出力は単一パッケージである」(記載事項カ3)とあり、記載事項オに「パッケージのコンテンツ」とあるから、当初明細書等の「単一パッケージ」が、発明特定事項E1’の「単一の電子パッケージファイル」に対応するといえる。 また、当初明細書等の「パッケージング・プロセス」は、記載事項カ1の「メタデータ」と記載事項カ2の「メディア・アセット」がプロセスへの入力であり、当該「メタデータ」はパッケージファイル・フォーマットにおいて「アセンブリ表の一部」(記載事項カ4)とあり、また、記載事項オ1に「パッケージは、・・・索引表、メディア・アセット、及びアセンブリ表を含む」とあるから、当初明細書等の「単一パッケージ」は、「メディア・アセット」及び「アセンブリ表」をパッケージしたものである。 そして、当初明細書等の「メディア・アセット」は、「音声フラグメント」及び「映像フラグメント」(記載事項オ5、オ6)であり、「(コマーシャル)メッセージを生成するために」結合される(記載事項オ4)から、発明特定事項Dの「それぞれがコンテンツメッセージのフラグメントを含む複数のメディアセグメント」に対応するといえる。 同様に、当初明細書等の「ターゲット情報」を検討する。 記載事項オ4において、「アセンブリ表」と「アセンブリ命令」の関係が明確ではないものの、その文体からみて、両者は同じものを示す、あるいは、アセンブリ表が含む「種々のアセットをいつ、どのように統合すべきかについての情報」のより複雑な実装が「アセンブリ命令」であると解釈できる。そして、「アセンブリ命令」は「ターゲット情報」を含むことから、「アセンブリ表」は「ターゲット情報」を含むといえる。 加えて、記載事項カのアセンブリ表の一部である「メタデータ」は、「異なるバージョンのコマーシャル」と「ターゲットとなる受け手」を定義する(記載事項カ5)ものであって、当該「ターゲットとなる受け手」は「ターゲットセグメントの視聴者」といえることから、当初明細書等の「ターゲット情報」は、発明特定事項Cの「前記複数のメディアセグメント及びターゲットセグメントの視聴者の二又はそれ以上から形成される前記コンテンツメッセージの複数のバージョンを定義するターゲット情報」に対応するといえる。 a3.以上から、当初明細書等の「単一パッケージ」は、発明特定事項Dの「複数のメディアセグメント」に対応する「メディア・アセット」及び発明特定事項Cの「ターゲット情報」に対応する「ターゲット情報」を含む「アセンブリ表」をパッケージしたものであり、発明特定事項E1’の「前記単一の電子パッケージファイル」に対応するといえる。 b.次に、発明特定事項E1’の「前記端末宛先に送信する」を検討する。 b1.発明特定事項E1’の「前記端末宛先」は、発明特定事項Aの「端末宛先」であって、ブロードバンド通信ネットワークリンクを介した送信の「宛先」である。 b2.一方、当初明細書等において、記載事項イに、背景技術として、パッケージは「配信ネットワーク22を通じてその宛先に配給される」とあり、記載事項カから、パッケージが、パッケージ解除プロセスが行われる端末に渡されることは明らかであるから、当初明細書等の「単一パッケージ」は、「宛先」に「配給」されるといえる。 b3.以上から、当初明細書等の「単一パッケージ」は、発明特定事項Aの「端末宛先」に対応する「宛先」に配給されるものであり、当初明細書等の「単一パッケージ」を配給することは、発明特定事項E1’の「前記端末宛先に送信する」に対応するといえる。 c.以上の検討から、当初明細書等には、「メディア・アセット」及び「ターゲット情報」を含む「アセンブリ表」をパッケージした「単一パッケージ」を「宛先」に送信することが記載されている。よって、発明特定事項E1’の「前記単一の電子パッケージファイルを前記端末宛先に送信する」ことは当初明細書等に記載されているといえる。 (3-2)発明特定事項E2’について a.まず、発明特定事項E2’の「前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令」を検討する。 a1.発明特定事項E2’の「前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令」は、発明特定事項Fに、「アンパックする命令に基づいて」、端末宛先が行う処理(発明特定事項F2?F5)が記載されており、当該「アンパック」は、端末宛先による発明特定事項F2?F5の処理であることが特定されている。しかし、請求項1の他の発明特定事項に、当該「アンパックする命令」を特定する記載はない。 a2.当初明細書等には、「アンパックする命令」は記載されていない。よって、発明特定事項E2’の「前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令」は、当初明細書等に記載されているとはいえない。 b.次に、発明特定事項E2’の「アンパックする命令を前記端末宛先に送信する」を検討する。 b1.上記(3-1)bで検討したとおり、当初明細書等において、発明特定事項E’の「前記端末宛先に送信する」に対応するのは、記載事項イの「宛先に配給」であって、記載事項イ及び記載事項キから、当初明細書等において、「宛先」に配給されるのは「単一パッケージ」であるといえる。 しかし、当初明細書等において、「単一パッケージ」の他に「宛先」に配給するものについて記載はない。 b2.よって、当初明細書等において、「アンパックする命令」を「前記端末宛先に送信する」ことが記載されているとはいえない。 c.念のために、「アンパックする命令」以外の「命令」について検討する。記載事項オに「アセンブリ命令」、及び、記載事項ウに「ターゲット命令」がある。そこで、「アセンブリ命令」及び「ターゲット命令」について検討する。 c1.「アセンブリ命令」は、上記(3-1)a2で検討したとおり、アセンブリ表それ自体もしくはその一部といえることから、単一パッケージに含まれる。 c2.「ターゲット命令」は、記載事項ウ1及びウ2において、「ターゲット命令に従って、単一パッケージをアンパックする」、「ターゲット命令に従って、単一パッケージを受信し、単一パッケージからメディアセグメント及び命令をアンパックし、メディアセグメントの1つ又はそれ以上をアセンブルする」(記載事項ウ2)ことは記載されている。 しかし、「ターゲット命令」は「アンパックする命令」であること、及び、「ターゲット命令」を端末宛先へ送信することについて記載はない。 c3.記載事項キにはパッケージを解除プロセスについて記載があるものの、単一パッケージとは別の「命令」を渡されることについては、記載も示唆もない。 c4.他方、記載事項エによれば、当初明細書等に記載の発明の利点は、「要求されるプレゼンテーションの適正なコマーシャルのバージョンを生成できるようにするために必要な全てのメディア及びデータを含む、単一パッケージ」(記載事項エ1)、「パッケージは自己完結型」(記載事項エ2)であるから、ターゲット命令のようなパッケージ解除に必要な命令を、単一パッケージと別個に端末宛先に送信することは、当初明細書等に記載の発明の利点を得られないこととなるため、本来想定されないといえる。 d.したがって、発明特定事項E2’の「前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令を前記端末宛先に送信する」ことは、当初明細書に記載された事項の範囲内とはいえない。 (3-3)小括 よって、発明特定事項E2’は当初明細書等に記載されている事項の範囲内といえないから、本件補正事項は、当初明細書等に記載されている事項の範囲内においてしたものとはいえない。 (3-4)請求人の主張について 請求人は、令和1年6月25日付け手続補正(【請求の理由】3.特許されるべき理由)において、以下のとおり主張している。 「請求項1及び9に記載の「命令」は、段落[0011]及び[0012]の記載「ターゲット命令」に該当するものであります。また、段落[0011]には、「ターゲット命令に従って、ターゲットされたメディアを端末宛先において表示するために、単一パッケージをアンパックする」と記載されているように、命令が端末宛先に送信される構成が示唆されています。」 請求人の主張について検討すると、上記(3-2)で検討したとおり、当初明細書等には「ターゲット命令」は「アンパックする命令」であること、及び、「ターゲット命令」を端末宛先へ送信することについて記載はないから、請求人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ したがって、本件補正事項は、当初明細書等に記載されている事項の範囲内においてしたものとはいえない。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和1年6月4日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年8月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第1(2)において、「補正前の請求項1」として記載したとおりのものである。 2 原査定の検討 平成30年8月20日付け手続補正(以下、「当初補正」という。)が当初明細書等に記載された事項の範囲内であるか検討する。 (1)当初補正の内容 当初補正は、平成30年1月5日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に対する平成30年3月9日付け拒絶理由通知を受けてしたものであり、平成30年1月5日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19のうち、以下の請求項1に係る発明(以下、「当初補正前の請求項1」という。)を、「補正前の請求項1」とする補正である。 符号A?Gは説明のため当審で付与したものであり、以下、発明特定事項A?発明特定事項Gと称する。各請求項において「補正前の請求項1」と同じ記載内容の発明特定事項には同じ符号を付した。 (当初補正前の請求項1) 【請求項1】 (A)端末宛先における表示のために、ブロードバンド通信ネットワークリンクを介した送信のためのメディア及びデータをパッケージするコンピュータ実現方法であって、 (B)前記端末宛先への送信のために、それぞれがコンンテンツメッセージのフラグメントを含む複数のメディアセグメントをデータベースから収集するステップと、 (C)前記端末宛先への送信のためのターゲット情報であって、前記複数のメディアセグメント及びターゲットセグメントの視聴者の二又はそれ以上から形成される前記コンテンツメッセージの複数のバージョンを定義するターゲット情報を生成するステップと、 (D)前記複数のメディアセグメント及び前記ターゲット情報を単一の電子パッケージファイルにパッケージするステップと、 (G)前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令であって、前記ターゲットセグメント視聴者に基づいてアセンブリするように前記コンテンツメッセージの複数のバージョンの一つを決定し、そして、収集した前記複数のメディアセグメントの一又は二以上をアセンブルして前記コンテンツメッセージを生成し、さらに、前記ターゲット情報にしたがってアセンブルされた前記コンテンツメッセージを前記端末宛先において表示するように前記ターゲット情報を分析することを前記端末宛先に指示するように構成された命令と前記単一の電子パッケージファイルとを送信するステップと、 を含む、方法。 (2)当初補正 当初補正における請求項1に係る補正事項(以下、「当初補正事項」という。)は、以下のとおりである。 (当初補正事項) 発明特定事項Gを、 発明特定事項Eの「前記単一の電子パッケージファイルと前記単一の電子パッケージファイルをアンパックする命令とを送信するステップと、」と発明特定事項F とにする補正 (3)発明特定事項Eの検討 当初補正事項の発明特定事項Eについて検討する。 発明特定事項Eは、上記第2[理由]2で検討した発明特定事項E’の「前記端末宛先」の限定を除外したものである。 そうすると、上記第2[理由]2(3)の「本件補正事項に関する検討」における検討を援用すると、発明特定事項Eは、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえない。 3 まとめ したがって、当初補正事項を含む当初補正は、当初明細書等に記載されている事項の範囲内においてしたものとはいえない。 第4 むすび 以上のとおり、平成30年8月20日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないことから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-05-14 |
結審通知日 | 2020-05-18 |
審決日 | 2020-06-05 |
出願番号 | 特願2017-45027(P2017-45027) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(H04N)
P 1 8・ 55- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川中 龍太 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
曽我 亮司 小池 正彦 |
発明の名称 | メディアパッケージングのためのシステム及び方法 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 山崎 貴明 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 近藤 直樹 |
代理人 | 那須 威夫 |
代理人 | 上杉 浩 |