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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09D
管理番号 1367701
審判番号 不服2018-12996  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-28 
確定日 2020-10-29 
事件の表示 特願2016-242554「インクジェットインク組成物、インクジェットインクセット、蛍光検出方法、蛍光検出センサー、及び対象物の識別方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月21日出願公開、特開2018- 95750〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月14日の出願であって、平成30年1月22日付けで拒絶理由が通知され、同年5月31日に意見書及び手続補正が提出され、同年6月13日付けで拒絶査定がされ、同年9月28日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がなされ、平成31年4月19日に上申書が提出され、令和元年9月6日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年11月8日に意見書及び手続補正が提出され、令和2年2月21日付けで当審より拒絶理由(最後)が通知され、同年4月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和2年4月24日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「色材(A)と重合性化合物(B)と光重合開始剤(C)とを含み、色材(A)以外の着色剤及びポリマー分散剤を含まず、かつ、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物であるインクジェットインク組成物であり、
前記色材(A)は300?400nmに極大吸収波長(a)を有し、
前記色材(A)の含有量は、前記インク組成物中、0.005?0.3質量%であり、
前記重合性化合物(B)はアミノアクリレートを含み、
前記インク組成物は、前記波長(a)の光を照射したときに発光し、発光強度が最大となる波長が500?570nmの範囲に含まれるインク組成物。」

第3 令和元年9月6日付けの当審による拒絶の理由の概要
令和元年9月6日付けの当審による拒絶の理由は、本願発明は、その出願前日本国内において頒布された特開2010-90376号公報(以下、「引用例」という。)に記載された発明及び周知例(特開2011-219648号公報)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含む。

第4 上記第3 当審による拒絶の理由に対する判断
1 引用例の記載
引用例には、「放射線硬化性インク組成物およびイメージを形成する方法」(発明の名称)について、次の記載がある。
(1)「【0006】
本開示は、紫外線硬化性インク、特に少なくとも1つのナノスケールの蛍光顔料粒子および/または少なくとも1つの蛍光有機ナノ粒子を含有する放射線硬化性組成物を提供すること、ならびにイメージを形成するための方法およびインクジェット印刷における上記インクの使用によってこれらの必要性を解決しようとするものである。」
(2)「【0013】
本明細書中の用語「実質的に無色」とは、溶媒中に分散したナノスケールの蛍光顔料粒子および/または蛍光有機ナノ粒子の透明性を指す。具体的には、該ナノ粒子は、溶媒中に分散した個々のナノ粒子のかなりの部分が目視検査する際に検知できないとき、実質的に無色である。」
(3)「【0066】
これらのナノ粒子は、そのような高い正反射率(specular reflectance)を提供するさまざまな媒体中に分散させることができる。ナノスケールの大きさの顔料の分散およびコーティング能力に役立つポリマバインダー類(ポリマ分散剤類)としては、ロジン天然物、アクリル系ポリマ類、スチレン系コポリマ類、α-オレフィン類、例えば、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-トリアコンテンなどのコポリマ類、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドンのコポリマ類、ポリエステルコポリマ類、ポリアミドコポリマ類、ビニルアセタール類のコポリマ類およびアセタール類のコポリマ類の誘導体が挙げられるが、これらに限定はされない。また、ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(スチレン-b-4-ビニルピリジン)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。」
(4)「【0083】
蛍光ナノ粒子組成物または着色剤は、該インク組成物中に、所望の色または色相を得るために、該インクの少なくとも約0.1重量%、または少なくとも0.2重量%または少なくとも約0.5重量%、または約50重量%以下、または約20重量%以下、または約10重量%以下のような任意の望ましい効果的な量で存在させることができる。」
(5)「【0088】
放射線硬化性モノマおよびオリゴマとしては、アクリル化エステル類、アクリル化ポリエステル類、アクリル化エーテル類、アクリル化ポリエーテル類、アクリル化エポキシ類、ウレタンアクリレート類、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリアクリレート類、アミンアクリレート類、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。」
(6)「【0098】
該組成物は、該硬化性モノマおよび該硬化性ワックスを含む該インクの硬化性成分の重合を開始する光開始剤などの開始剤をさらに含むことができる。該開始剤は、該組成物に溶解しなければならない。その開始剤は紫外線で活性化される光開始剤であり得る。」
(7)「【実施例】
【0107】
<実施例1>
[蛍光顔料-ベンゾ[k,l]チオキサンテン-3,4-ジカルボン酸無水物の合成]
・・・
【0108】
[SPAN40によるナノスケール蛍光顔料粒子の形成]
・・・
【0109】
[オレイン酸によるナノスケール蛍光顔料粒子の形成]
・・・
【0110】
その製造されたナノスケール蛍光顔料粒子は、長さが100?500nmと幅が100nm未満の針状の形を有していた。それらは紫外光の下で緑黄色の蛍光を発した。最初の顔料の融解温度は約320℃である。その結果、固体インクプリンターにおいて120℃で長時間にわたって加熱されるとき、その蛍光ナノ粒子の漏れまたは融解が起こることは予想されない。」
(8)「【0118】
<実施例6>
次のようにして放射線硬化性インクを調製する。汚れがなく、乾燥した30mLの撹拌棒付のビンに、Dow Chemical Companyから入手できる4.0gのCyracure(登録商標)UVR-6105、Dow Chemical Companyから入手できる3.0gのCyracure(登録商標)UVR-6000、Morflex Inc.から入手できる2.5gのVEctomer(登録商標)3010、Byk-Chemieから入手できる0.02gのBYK(登録商標)3510を加える。その混合物を次にホットプレートスターラー上で50℃に加熱し、次いでその成分が溶液を形成するように混合する。次に、0.36gと0.07gのIrgacure(登録商標)250およびDarocur(登録商標)ITX(両方ともCiba-Geigy,Incから入手可)を、それぞれ、50℃で撹拌を続けながら加え、その光開始剤およびその光増感剤を溶解させる。その撹拌棒を該溶液から注意深く取り除いた後、0.05gの実施例1からの蛍光顔料をその溶液に加え、ミニスパチュラで穏やかに撹拌してそのカチオン性UVビヒクル中の顔料粒子の湿潤を促す。その分散液を、次に、Branson Sonifier 450により、3の出力レベルの3分間にわたる90%のデューティサイクルでエネルギーを与え、該蛍光顔料のカチオン性UVビヒクル中への分散を生じさせて蛍光顔料化したカチオン性UVインクを形成する。インク中に容易に分散するその顔料を、Pall Corporation製の1μmのガラス繊維フィルタを通して濾過する。
【0119】
実施例1で作製したインクの組成を表2に示す。
【0120】



2 周知例の記載
令和元年9月6日付けの当審による拒絶理由において周知例として引用された特開2011-219648号公報には、次の記載がある。
(1)「【請求項1】
重合性化合物と、光重合開始剤と、無機系紫外線吸収剤と、を少なくとも含有する、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。」
(2)「【0024】
・・・光硬化型インク組成物は、重合性化合物を含有する。重合性化合物としては、特に制限されないが、以下に例示するような単官能(メタ)アクリレート、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、ウレタン系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、アミノ(メタ)アクリレート、N-ビニル化合物等が挙げられる。」
(3)「【0036】
アミノ(メタ)アクリレートの含有量は、光硬化型インク組成物の全質量に対して、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。アミノ(メタ)アクリレートの含有量が前記範囲にあると、硬化反応を円滑に進行させて、記録媒体上に記録した画像の硬化性を向上させることができる。」

3 引用発明
引用例の【0110】(上記1(7))には、【0107】?【0109】(同(7))に記載された実施例1において、紫外光の下で緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子が製造されたことが記載されている。
同【0118】?【0119】(同(8))には、実施例1で製造されたナノスケール蛍光顔料粒子を用いて、放射線硬化性インクを調製することが記載され、同【0120】(同(8))には、調製された放射線硬化性インクの組成が記載されている。
また、同【0006】(同(1))には、当該放射線硬化性インクが、インクジェット印刷に用いられるものであることが記載されている。
そうすると、引用例の【0120】(同(8))に記載された放射線硬化性インクについて、次の発明が記載されていると認められる。
「Cyracure UVR-6105 40重量%、
Cyracure UVR-6000 30重量%、
VEctomer 3010 25重量%、
紫外光の下で緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子 0.5重量%、
Irgacure 250 3.6重量%、
Darocur ITX 0.7重量%、及び、
BYK 3510 0.2重量%からなる、
インクジェット印刷用の放射線硬化性インク組成物。」(以下、「引用発明」という。)

4 対比
本願発明と引用発明と対比する。
引用発明の「インクジェット印刷用の放射線硬化性インク組成物」の「放射線硬化性」とは、「放射線」によって「硬化」する性質をいうものであることは明らかであるから、引用発明の「放射線」は本願発明の「活性エネルギー線」に相当し、「放射線硬化性」は本願発明の「活性エネルギー線硬化型」に相当する。
また、引用発明の「紫外光の下で緑黄色の蛍光を発する緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子」は、「紫外光」を吸収して緑黄色の蛍光を発する色材であることは明らかであり、また紫外線の波長は「300?400nm」といえることから、本願発明の「300?400nmに極大吸収波長(a)を有」する「色材(A)」と、引用発明の「紫外光の下で緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子」とは、「300?400nmに」「吸収波長(a)を有」する「色材(A)」である点で共通する。
そして、引用発明の「インクジェット印刷用の放射線硬化性インク組成物」は、それに含まれる「ナノスケール蛍光顔料粒子」が「紫外光の下で緑黄色の蛍光を発する」ものであり、「緑黄色の蛍光」の波長は、500?570nmの範囲に含まれることから、本願発明の「前記波長(a)の光を照射したときに発光し、発光強度が最大となる波長が500?570nmの範囲に含まれる」「活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物」(「インク組成物」)に相当する。
また、引用発明の「Cyracure UVR-6105」及び「Cyracure UVR-6000」は、重合性化合物であることは明らかであるから、本願発明の「重合性化合物(B)」に相当する
そして、引用発明の「Darocur ITX」及び「Irgacure 250」は、光重合開始剤であることは明らかであるから、本願発明の「光重合開始剤(C)」に相当する。
また、引用発明の「VEctomer 3010」は、安息香酸ブチルであって、溶媒といえるものであることは明らかであり、また、「BYK 3510」はシリコーン系界面活性剤であることは明らかであるところ、本願発明は、溶媒やシリコーン系界面活性剤を含有することを排除するものではないことから、引用発明に「BYK 3510」が含まれることは、本願発明との相違点にはならない。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「色材(A)と重合性化合物(B)と光重合開始剤(C)とを含み、かつ、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物であるインクジェットインク組成物であり、
前記色材(A)は300?400nmに吸収波長(a)を有し、
前記インク組成物は、前記波長(a)の光を照射したときに発光し、発光強度が最大となる波長が500?570nmの範囲に含まれるインク組成物。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点1)
重合性化合物(B)について、本願発明は、アミノアクリレートを含むのに対し、引用発明には、アミノアクリレートは含まれない点。
(相違点2)
色材(A)について、本願発明は、色材(A)以外の着色剤を含まないのに対し、引用発明は、「ナノスケール蛍光顔料粒子」以外の色材を含むかどうかは規定されていない点。
(相違点3)
色材(A)の300?400nmにある吸収波長(a)について、本願発明では、極大吸収波長であることが特定されているのに対し、引用発明の「ナノスケール蛍光顔料粒子」の紫外光の極大吸収波長は不明な点。
(相違点4)
インク組成物中の色材(A)の含有量について、本願発明は、「0.005?0.3質量%」であるのに対し、引用発明の「紫外光の下で緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子」の含有量は、0.5質量%である点。
(相違点5)
本願発明は、ポリマー分散剤を含まないことが規定されているのに、引用発明では、そのようなことは規定されていない点。

5 判断
ここで、相違点について検討する。
(相違点1について)
引用例の【0088】(上記1(5))には、放射線硬化性モノマとして、アミンアクリレート類が例示され、アミンアクリレート類に「アミノアクリレート」が含まれることは、当業者にとって明らかである。
また、同【0088】には、アミンアクリレート類を「アクリル化エステル類、アクリル化ポリエステル類、アクリル化エーテル類、アクリル化ポリエーテル類、アクリル化エポキシ類、ウレタンアクリレート類、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリアクリレート類」との混合物からなる群から選択されるものを用いてもよいことが記載されている。
さらに、紫外線硬化型インクジェット印刷用インクに、アミノアクリレートを含む重合性化合物と光重合開始剤とを含むことは周知であり、硬化性を向上させるために、アミノアクリレートは、適宜用いられるものであるといえる(必要であれば、「上記2 周知例」を参照されたい。)。
そうすると、引用発明の放射線硬化性モノマの混合物として、「Cyracure UVR-6105」及び「Cyracure UVR-6000」に加えて、アミノアクリレートを含む重合性化合物を用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点2について)
引用発明は、「紫外光の下で緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子」以外には色材は含んでおらず、上記相違点2は、実質的な相違点ではない。

(相違点3について)
引用発明の「ナノスケール蛍光顔料粒子」は、「紫外光の下で緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子」であるから、紫外線を吸収するものであり、しかも、引用例の【0013】(上記1(2))には、実質的に無色であり、目視検査する際に検知できないものであることが記載されていることから、可視光及び可視光より波長が長い光に対しては極大吸収波長を有するものではない、といえる。
そうすると、引用発明の「蛍光を発する」ために用いられた「紫外光」は、該「ナノスケール蛍光顔料粒子」の極大吸収波長を含むものである蓋然性がきわめて高い。
したがって、該「ナノスケール蛍光顔料粒子」は、紫外光の波長である「300?400nm」の範囲内に極大吸収波長を有しているというべきであり、上記相違点3は、実質的な相違点ではない。

(相違点4について)
引用例の【0083】(上記1(4))には、「蛍光ナノ粒子組成物」(ナノスケール蛍光顔料粒子)のインク組成物中の含有量について、「所望の色または色相を得るために、該インクの少なくとも約0.1重量%、または少なくとも0.2重量%または少なくとも約0.5重量%、または約50重量%以下、または約20重量%以下、または約10重量%以下のような任意の望ましい効果的な量で存在させることができる。」と記載され、当該含有量は、0.1重量%から50重量%の範囲で、適宜決定するものであることが記載されている。
そうすると、引用発明において、「紫外光の下で緑黄色の蛍光を発するナノスケール蛍光顔料粒子」の含有量を、所望の色または色相を得るために、0.5質量%から、適宜、本願発明において規定された「0.005?0.3質量%」の範囲のものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
なお、請求人は、令和元年11月8日付けの意見書において、インク組成物中の色材(A)の含有量が1質量%の比較実験2(インク13)においては、色材(A)の全量が溶解せず、紫外線照射下での外観評価ができず、発色性の観点で問題があるものである旨主張しているが、引用発明は「0.5質量%」のものであるから、上記比較実験2は、引用発明が発色性の観点で問題があるものであるという根拠にはならない。
したがって、本願発明において、色材(A)の含有量を「0.005?0.3質量%」の範囲とすることで、発色性において、格別顕著な作用効果を奏するものであるとは認めることができない。

(相違点5について)
引用例の【0066】(上記1(3))の記載から、「ポリマー分散剤」は、「ポリマバインダー類」をも指すものと解することができるところ、引用発明は、【0066】において例示された「ポリマー分散剤」(ポリマバインダー類)を含むものではないことから、引用発明は、ポリマバインダーとしての「ポリマー分散剤」を含むものではないといえる。
したがって、上記相違点5は、実質的な相違点ではない。

6 本願発明の効果について
本願明細書には、【0034】に、「本発明によれば、幅広い基材上でも紫外線照射下で認識可能であり、比較的安価で耐候性も良好なインク組成物、及びデザイン性にも優れたインクセットを提供することができる。」と記載され、【0099】に、「一方、紫外線照射下で青色に発光する比較例1、3、又は5は蛍光増白剤が含まれる塗工紙上では、紫外線照射下でも基材の発光と同調して認識不可能であった。更に、紫外線照射で赤色に発光する比較例2、4、又は6は、耐候性が著しく悪い結果であった。」と記載されていることから、本願発明の奏する効果は、紫外線照射下で緑色に発光するものが、本来的に備えているものであるといえる。
そうすると、本願発明と同様に紫外線で緑色に発光する微粒蛍光体を含む引用発明に比べて、本願発明が格別顕著な作用効果を奏するものとはいえない。
また、本願明細書の表5の参考例1(当初の「実施例1」)と、実施例2とから、アミノアクリレートを含む重合性化合物は、表面タック性に優れたものであるということがいえたとしても、アミノアクリレートによって、硬化性が向上することがあることは上記周知例に示されており(上記2(3))、当業者が予測し得ないものとはいえない。

7 まとめ
以上のことから、本願発明は、引用発明及び周知例に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-08-18 
結審通知日 2020-08-25 
審決日 2020-09-09 
出願番号 特願2016-242554(P2016-242554)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C09D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 南 宏樹上條 のぶよ  
特許庁審判長 天野 斉
特許庁審判官 古妻 泰一
川端 修
発明の名称 インクジェットインク組成物、インクジェットインクセット、蛍光検出方法、蛍光検出センサー、及び対象物の識別方法  
代理人 関口 正夫  
代理人 仲野 孝雅  
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