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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1367963
審判番号 不服2019-16018  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-27 
確定日 2020-11-12 
事件の表示 特願2017-550545「セカンダリセルのディアクティベーション方法、装置及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月13日国際公開、WO2016/161548、平成30年 4月19日国内公表、特表2018-511259〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2015年(平成27年)4月7日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

平成29年10月11日 :手続補正書の提出
平成30年 6月18日付け:拒絶理由通知書
平成30年 8月 9日 :意見書,手続補正書の提出
平成31年 1月11日付け:拒絶理由通知書
平成31年 3月25日 :意見書,手続補正書の提出
令和 1年 8月22日付け:拒絶査定
令和 1年11月27日 :拒絶査定不服審判の請求,手続補正書の提

令和 2年 4月 8日 :上申書の提出

第2 令和1年11月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和1年11月27日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1及び請求項3の記載は,それぞれ次のとおり補正された。(下線は,当審が付与した。)

「【請求項1】
ユーザ装置に構成(configure)されるセカンダリセルのディアクティベーション(deactivation)装置であって,
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)をキャリー(carry)する第1セカンダリセル及びPUCCHをキャリーしない少なくとも1つの第2セカンダリセルを構成するための構成情報を受信するための受信ユニットであって,前記構成情報は,前記第1セカンダリセルのためのPUCCH構成情報及び前記第2セカンダリセルのためのディアクティベーションタイマー情報を含む,受信ユニットと,
前記PUCCHをキャリーする前記第1セカンダリセルが,ディアクティベーションMAC(Media Access Control)制御エレメント(CE)によりディアクティベーションされ,且つディアクティベーションタイマーを維持しないように構成し;及び,前記PUCCHをキャリーしない前記第2セカンダリセルが,ディアクティベーションタイマーにより前記ディアクティベーションタイマー情報に基づいてディアクティベーションされ,又は,ディアクティベーションMAC CEによりディアクティベーションされるように構成するための構成ユニットと,を含み,
前記PUCCHをキャリーする前記第1セカンダリセルは,前記第1セカンダリセル及び前記少なくとも1つの第2セカンダリセルのための上りリンク制御情報(UCI)を伝送する,ディアクティベーション装置。」

「【請求項3】
ユーザ装置を含む通信システムであって,
前記ユーザ装置は,PUCCHをキャリーする第1セカンダリセル及びPUCCHをキャリーしない少なくとも1つの第2セカンダリセルを構成するための構成情報を受信し,前記構成情報は,前記第1セカンダリセルのためのPUCCH構成情報及び前記第2セカンダリセルのためのディアクティベーションタイマー情報を含み,
前記ユーザ装置は,前記PUCCHをキャリーする前記第1セカンダリセルが,ディアクティベーションMAC CEによりディアクティベーションされ,且つディアクティベーションタイマーを維持しないように構成し;及び,前記PUCCHをキャリーしない前記第2セカンダリセルが,ディアクティベーションタイマーにより前記ディアクティベーションタイマー情報に基づいてディアクティベーションされ,又は,ディアクティベーションMAC CEによりディアクティベーションされるように構成し,
前記PUCCHをキャリーする前記第1セカンダリセルは,前記第1セカンダリセル及び前記少なくとも1つの第2セカンダリセルのための上りリンク制御情報(UCI)を伝送する,通信システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の,平成31年3月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項3の記載は,それぞれ次のとおりである。

「【請求項1】
ユーザ装置に構成されるセカンダリセルのディアクティベーション(deactivation)装置であって,
前記ユーザ装置は,物理上りリンク制御チャネルをキャリー(carry)する第1セカンダリセル及び物理上りリンク制御チャネルをキャリーしない少なくとも1つの第2セカンダリセルを有するように構成され,
前記ディアクティベーション装置は,
物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルが,ディアクティベーションMAC(Media Access Control)制御エレメントによりディアクティベーションされるように構成するための構成ユニットであって,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,前記第1セカンダリセル及び前記少なくとも1つの第2セカンダリセルのための上りリンク制御情報(UCI)を伝送する構成ユニットを含み,
物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,ディアクティベーションタイマーが維持されないように構成される,ディアクティベーション装置。」

「【請求項3】
ユーザ装置を含む通信システムであって,
前記ユーザ装置は,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする第1セカンダリセル及び物理上りリンク制御チャネルをキャリーしない少なくとも1つの第2セカンダリセルを有するように構成され,
前記ユーザ装置は,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルが,ディアクティベーションMAC制御エレメントによりディアクティベーションされるように構成し,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,前記第1セカンダリセル及び前記少なくとも1つの第2セカンダリセルのための上りリンク制御情報を伝送し,
物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,ディアクティベーションタイマーが維持されないように構成される,通信システム。」

2.補正の適否
(1)新規事項の追加について
請求項1についての本件補正は,本件補正前の請求項1に対して,上記1.(1)で下線を付した
「…構成するための構成情報を受信するための受信ユニットであって,前記構成情報は,前記第1セカンダリセルのためのPUCCH構成情報及び前記第2セカンダリセルのためのディアクティベーションタイマー情報を含む,受信ユニット」
という事項(以下,「補正事項1」という。)を追加する補正を含む。
また,請求項3についての本件補正は,本件補正前の請求項3に対して,上記1.(1)で下線を付した
「…構成するための構成情報を受信し,前記構成情報は,前記第1セカンダリセルのためのPUCCH構成情報及び前記第2セカンダリセルのためのディアクティベーションタイマー情報を含み」
という事項(以下,「補正事項2」という。)を追加する補正を含む。
ここで,補正事項1及び補正事項2に関連して,本願の願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,これらを「当初明細書等」という。)には,以下の記載がある。なお,下線は当審で付与した。

「【実施例3】
【0057】
本発明の実施例は,セカンダリセルのディアクティベーション方法を提供し,該方法は,ユーザ装置に応用され,前記ユーザ装置は,PUCCHをキャリーする第1セカンダリセル及びPUCCHをキャリーしない第2セカンダリセルを有するように構成させる。
【0058】
図4は,本発明の実施例のディアクティベーション方法を示す図である。図4に示すように,前記方法は,次のようなステップを含む。
【0059】
ステップ401:ユーザ装置により,前記PUCCHをキャリーする第1セカンダリセルについて,ディアクティベーションタイマーがワーキングしないように構成し,又は,前記第1セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値が前記第2セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値よりも大きいように構成する。
【0060】
本実施例では,PUCCHをキャリーするSCellについて,UEの自主的ディアクティベーションメカニズムを設定しなくても良い。
【0061】
1つの実施方式では,ユーザ装置は,前記PUCCHをキャリーする第1セカンダリセルについて,ディアクティベーションタイマーがワーキングしないようにさせ,前記PUCCHをキャリーしない第2セカンダリセルについて,ディアクティベーションタイマーがワーキングするようにさせる。
【0062】
もう1つの実施方式では,ユーザ装置は,前記第1セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値を,前記第2セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値よりも大きく構成する。具体的には,前記第1セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値が前記第2セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値よりも遥かに大きいように構成しても良く,例えば,無限大と構成しても良い。
【0063】
即ち,異なるSCellのために,異なるディアクティベーションタイマー値を導入することができ,そのうち,PUCCHをキャリーするSCellのディアクティベーションタイマーの値は,例えば,無限大と設定され,他のPUCCHをキャリーしない普通のSCellの値は,現在のメカニズムをできるだけ再利用するために,同じ値として設定されても良い。このように,基地局が構成したタイマーの値は,PUCCHをキャリーしない普通のSCellにのみ適する。
【0064】
SCellがアクティベーションされる時に,ディアクティベーションタイマーをスタットさせ,このSCellがPUCCHをキャリーするSCellである場合,デフォルト値である無限大の値を使用し,そうでない場合,このSCellがPUCCHをキャリーしない普通のSCellであるため,現在のメカニズムに従って,基地局が構成したタイマーの値を用いるが,基地局がそれを構成していなければ,デフォルトとしての無限大を使用する。
【0065】
しかし,本発明は,第1セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値を無限大と設定することに限定されず,前記第2セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値よりもかなり大きいように設定すれば良い。例えば,第1セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値を,該タイマーが有し得る最大値などと設定しても良く,また,実際の状況に応じて他の具体的な値と設定しても良い。
【0066】
本実施例では,PUCCHをキャリーするSCellは,ディアクティベーションMAC CEのみによりディアクティベーションされ得るため,上述のような技術問題,即ち,“基地局は,このSCellがアクティベーション状態にあると見なすが,UEは,このSCellがディアクティベーション状態にあると見なす”との問題が存在しない。
【0067】
上述の実施例から分かるように,PUCCHをキャリーするセカンダリセルのために,ユーザ装置の自主的ディアクティベーションメカニズムを構成せず,これにより,ユーザ装置の自主的ディアクティベーションメカニズムによる,ユーザ装置及び基地局のセカンダリセルのアクティベーション状態への認識が不一致の問題が生じることがない。」

ここで,当初明細書等の【0059】,【0061】-【0064】によれば,「ユーザ装置により,PUCCHをキャリーする第1セカンダリセルについて,ディアクティベーションタイマーがワーキングしないように構成し,又は,前記第1セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値が第2セカンダリセルのディアクティベーションタイマーの値よりも大きいように構成すること,SCellがPUCCHをキャリーしない普通のSCell,すなわち第2セカンダリセルである場合,基地局が構成したタイマーの値を用いること」が記載されているといえる。
しかしながら,当初明細書等には,補正事項1又は補正事項2に含まれる「第1セカンダリセルのためのPUCCH構成情報」について記載も示唆もされていない。また,本願の国際出願時点の技術常識を踏まえても,「第1セカンダリセルのためのPUCCH構成情報」との記載によって特定される「PUCCH構成情報」が,当初明細書等から自明な事項ともいえない。
更に,当初明細書等には,補正事項1又は補正事項2に含まれる「第1セカンダリセルのためのPUCCH構成情報及び前記第2セカンダリセルのためのディアクティベーションタイマー情報」の両方を含む「構成情報」をユーザ装置が「受信」することについても何ら記載されていない。
したがって,本件補正により追加された補正事項1及び補正事項2は,当初明細書等には記載がなく,当初明細書等から自明でもないから,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。したがって,本件補正は,当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(2)補正の目的について
2.(1)で検討したとおり,請求項1についての本件補正は,本件補正前の請求項1に対して,補正事項1に係る「受信ユニット」を追加する補正を含む。そして,本件補正前の請求項1に対して,補正事項1に係る「受信ユニット」を追加する補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
しかしながら,2.(1)に記載した補正事項1に係る「受信ユニット」は,本件補正前の請求項1には存在せず,また,本件補正前の請求項1の発明特定事項である「構成ユニット」というユニットとは別のユニットである。してみると,本件補正は,本件補正前の請求項1の発明特定事項のいずれかを限定するものではない。
したがって,請求項1についての本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」(以下,「特許請求の範囲の限定的減縮」という。)を目的とするものに該当しない。
また,特許法第17条の2第5項第1号に掲げる「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」を目的とするものにも該当しない。
さらに,請求項1についての本件補正は,特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものにも該当しない。
そして,請求項1についての本件補正は,特許法第17条の2第5項第3号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものにも該当しない。
以上のとおりであるから,請求項1についての本件補正は,特許法第17条の2第5項第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものではないから,同法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(3)まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり,また,同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
令和1年11月27日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1ないし3に係る発明は,平成31年3月25日にされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記第2の[理由]の1.(2)に本件補正前の請求項3として記載したとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項3に係る発明は,下記の引用例1に記載された発明であり,また,引用例1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第1項第3号,同条第2項の規定により特許を受けることができない,という理由を含むものである。

引用例1:Intel Corporation,Considerations for PUCCH on SCell in carrier aggregation,3GPP TSG RAN WG2 Meeting #89 R2-150169,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_89/Docs/R2-150169.zip>,2015年1月31日アップロード

3.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「1. Introduction
At the 3GPP TSG RAN #66 meeting, a work item for carrier aggregation enhancement beyond 5 carriers for LTE Release 13 was approved in [1]. One of the objectives of the work item is to specify and complete the support of PUCCH on SCell for UEs supporting uplink Carrier Aggregation (CA). This contribution intends to discuss the required L2/L3 functions and procedures to support PUCCH on SCell in CA for the UE.」

(当審仮訳:
1. イントロダクション
3GPP TSG RAN#66会議で,LTEリリース13のための5キャリアを超えるキャリアアグリゲーション拡張のための作業項目が[1]で承認された。作業項目の目的の1つは,アップリンクキャリアアグリゲーション(CA)をサポートするUEのためのSCell上のPUCCHのサポートを特定して完了することである。 この寄書は,UEのためのCAにおけるSCell上のPUCCHをサポートするために必要なL2 / L3機能と手順について検討することを目的としている。)

(2)「2. Discussion
Based on the information provided in RAN1 LS [2], we know that following agreements were made for support of SCell PUCCH for CA:

Agreements:
・ If PUCCH on Scell for CA is supported,
- PUCCH transmission on two serving cells in CA is realized by following methods:
・ On the PCell for SCells in PUCCH cell group 1
・ On one SCell configured to carry PUCCH for SCells in PUCCH cell group 2
・ One SCell can only belong to one PUCCH cell group
・ One of the two serving cells is PCell
(中略)
To make the discussion simpler, we use term special SCell to denote the SCell containing UL PUCCH resources.
In the following, we discuss various aspects related to the support PUCCH on SCell in CA: 」

(当審仮訳:
2. ディスカッション
RAN1 LS [2]で提供された情報に基づいて,CAのためのSCell PUCCHのサポートに関して以下の事項が合意された。

合意事項
・ CAのためのScell上のPUCCHがサポートされている場合,
- CAにおいて2つのサービングセル上のPUCCH送信は,次の方法で実現される。
・ PUCCHセルグループ1に含まれる複数のSCellのためのPCell上で
・ PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送するように構成された1つのSCell上で
・ 1つのSCellは1つのPUCCHセルグループにのみ属することができる。
・ 2つのサービングセルのうちの1つはPCellである。
(中略)
検討を簡単にするために,UL PUCCHリソースを含むSCellを示すスペシャルSCellという用語を使用する。
以下では,CAにおけるSCell上のサポートPUCCHに関連する様々な側面について検討する。)

(3)「 ・ PUCCH cell group management
○ Several options have been discussed in [3] for grouping the SCells which share a CC for PUCCH transmission. It is the simplest way to extend the existing RRC signalling for CA by adding the PUCCH cell group configuration e.g. mapping between SCell and a PUCCH cell group, and PUCCH configuration on special SCell. It should be taken as the baseline.
○ The eNB would select the special SCell among current SCell or candidate SCell considering cell loading or channel status. Therefore, we think that the existing RRM measurement is sufficient for special SCell management.
○ For a SCell other than a special SCell, PUCCH cell group re-association can be achieved by using SCell addition/release procedure to remove it and then add a new SCell associated with another PUCCH cell group.
○ If no PUCCH cell group assignment is provided, the SCell(s) could implicitly be associated to PCell for PUCCH transmission, thus ensuring a Rel-13 CA UE would behave like a Rel-12 UE in a Rel-12 network regarding PUCCH transmission.」

(当審仮訳:
・ PUCCHセルグループ管理
○ [3]において,PUCCH送信のためのCCを共有するSCellをグループ化するためのいくつかのオプションが検討された。PUCCHセルグループ構成を追加することによりCAのための既存のRRCシグナリングを拡張することは,最も簡単な方法である。PUCCHセルグループ構成の例として,SCellとPUCCHセルグループ間のマッピング,及びスペシャルSCell上のPUCCH構成が挙げられる。これをベースラインとする必要がある。
○ eNBは,セルの負荷又はチャネル状態を考慮して,現在のSCell又は候補SCellからスペシャルSCellを選択する。したがって,既存のRRM測定は,スペシャルSCell管理のために十分であると考える。
○ スペシャルSCell以外のSCellの場合,SCell追加/解放手順を使用してSCellを削除し,別のPUCCHセルグループに関連付けられた新しいSCellを追加することで,PUCCHセルグループの再関連付けを実現できる。
○ PUCCHセルグループの割り当てが提供されない場合,SCellはPUCCH送信のためのPCellに暗黙的に関連付けられ,PUCCH送信に関して,Rel-13 CA UEが,Rel-12ネットワークにおけるRel-12 UEのように動作することを保証する。)

(4)「・ Activation/Deactivation
○ In DC, cross-eNB SCells activation/deactivation is not supported due to non-ideal backhaul between two eNBs. Consequently, it was agreed that pSCell is always activated such that SeNB can dynamically activate/deactivate serving cells in SCG based on UE’s traffic demand in a timely manner. In CA, PCell is always kept activated and serves for activation/deactivation of SCells associated with a single eNB. Although the special SCell is introduced, the special SCell can be still activated/deactivated. However, there would be some restriction considering that the special SCell serves other SCells. For instance, special SCell can be deactivated if there was no traffic activity on serving cells associated with special SCell for PUCCH feedback. It is our understanding that a UE is not expected to receive MAC CE to deactivate special SCell unless all the other serving cells within the corresponding PUCCH cell group has been deactivated. That means, the network should ensure that the special SCell is not deactivated by a deactivation command unless all SCells in the same cell group have been deactivated.
○ In CA, SCells can get deactivated either by an Activation/deactivation MAC CE or by the sCellDeactivationTimer. The UE maintains one sCellDeactivationTimer per SCell with a common value across SCells. The sCellDeactivationTimer may still expire which could cause the special SCell to be deactivated. To avoid this, UE shall not apply a sCellDeactivationTimer for special SCell. Alternatively, it can be left for the responsibility of eNB to avoid this situation, e.g. by sending message before it expired, which causes increased complexity at eNB side.」

(当審仮訳:
・ アクティベーション/ディアクティベーション
○ DCにおいて,2つのeNB間の非理想的なバックホールが原因で,クロスeNB SCellアクティべーション/ディアクティベーションはサポートされていない。その結果,pSCellは常にアクティベートされ,SeNBがUEのトラフィック要求に基づいてSCGのサービングセルをタイムリーに動的にアクティべート/ディアクティベートできることが合意された。CAにおいて,PCellは,常にアクティベートされたままであり,単一のeNBに関連付けられたSCellのアクティべーション/ディアクティベーションを行う。スペシャルSCellが導入されるものの,スペシャルSCellは引き続きアクティべート/ディアクティベートされうる。しかしながら,スペシャルSCellが他のSCellにサービスを提供することを考慮すると,いくつかの制限がある。例えば,PUCCHフィードバックのためのスペシャルSCellに関連付けられたサービングセルにトラフィックアクティビティがない場合,スペシャルSCellをディアクティベートすることができる。対応するPUCCHセルグループ内の他の全てのサービングセルがディアクティベートされていない限り,UEがMAC CEを受信してスペシャルSCellをディアクティベートすることは期待されていない。つまり,ネットワークは,同じセルグループ内の全てのSCellがディアクティベートされていない限り,ディアクティベーションコマンドによりスペシャルSCellがディアクティベートされないように保証する必要がある。
○ CAにおいて,SCellは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CE又はsCellDeactivationTimerのいずれかによってディアクティベートできる。UEは,複数のSCellにわたり共通の値を持つSCellごとに1つのsCellDeactivationTimerを維持する。sCellDeactivationTimerがまだ期限切れになる可能性があり,それによりスペシャルSCellがディアクティベートされうる。これを回避するために,UEはスペシャルSCellにsCellDeactivationTimerを適用しない。あるいは,この状況を回避するのはeNBの責任であり,例えば,期限が切れる前にメッセージを送信することが挙げられる。これにより,eNB側の複雑さが増すことになる。)

そして,上記(1)ないし(4)の記載から,引用例1には,次の事項が記載されているといえる。

ア. (2)の「CAにおいて2つのサービングセル上のPUCCH送信は,次の方法で実現される。(中略)PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送するように構成された1つのSCell上で」,及び「UL PUCCHリソースを含むSCellを示すスペシャルSCellという用語を使用する。」との記載によれば,CAにおいて,PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送するようにスペシャルSCellが構成されることが記載されているといえる。そして,(1)の「この寄書は,UEのためのCAにおけるSCell上のPUCCHをサポートするために必要なL2 / L3機能と手順について検討することを目的としている。」との記載から,スペシャルSCellがUEにおいて構成されることは明らかである。更に,CA,すなわちキャリアアグリゲーションが,UEを含む通信システムで実現されることは,当業者にとって自明の事項である。
よって,引用例1には,「UEを含む通信システムであって,UEは,CAにおいて,PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送するようにスペシャルSCellが構成される」ことが記載されている。

イ. (3)の「PUCCHセルグループ構成を追加することによりCAのための既存のRRCシグナリングを拡張することは,最も簡単な方法である。PUCCHセルグループ構成の例として,SCellとPUCCHセルグループ間のマッピング,及びスペシャルSCell上のPUCCH構成が挙げられる。」,及び「スペシャルSCell以外のSCellの場合,SCell追加/解放手順を使用してSCellを削除し,別のPUCCHセルグループに関連付けられた新しいSCellを追加することで,PUCCHセルグループの再関連付けを実現できる。」との記載によれば,RRCシグナリングによりSCellとPUCCHセルグループ間のマッピングを含みうるPUCCHセルグループ構成が実現され,スペシャルSCell以外のSCellの場合,SCell追加/解放手順を使用してPUCCHセルグループの再関連付けを実現できることが記載されているといえる。そして,UEにおいてPUCCHセルグループ構成やPUCCHセルグループの再関連付けが実現されることは,当業者にとって自明の事項である。
よって,引用例1には,「UEは,RRCシグナリングによりSCellとPUCCHセルグループ間のマッピングを含みうるPUCCHセルグループ構成が実現され,スペシャルSCell以外のSCellの場合,SCell追加/解放手順を使用してPUCCHセルグループの再関連付けを実現できる」ことが記載されている。

ウ. (4)の「スペシャルSCellが導入されるものの,スペシャルSCellは引き続きアクティべート/ディアクティベートされうる。」,「対応するPUCCHセルグループ内の他の全てのサービングセルがディアクティベートされていない限り,UEがMAC CEを受信してスペシャルSCellをディアクティベートすることは期待されていない。」,及び「CAにおいて,SCellは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CE又はsCellDeactivationTimerのいずれかによってディアクティベートできる。」との記載によれば,UEは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CEを受信することにより,スペシャルSCellをディアクティベートすることが記載されているといえる。
よって,引用例1には,「UEは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CEを受信することにより,スペシャルSCellをディアクティベートする」ことが記載されている。

エ. (4)には「これを回避するために,UEはスペシャルSCellにsCellDeactivationTimerを適用しない。」と記載されている。
よって,引用例1には,「UEは,スペシャルSCellにsCellDeactivationTimerを適用しない」ことが記載されている。

以上を総合すると,引用例1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「 UEを含む通信システムであって,
UEは,CAにおいて,PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送するようにスペシャルSCellが構成され,
UEは,RRCシグナリングによりSCellとPUCCHセルグループ間のマッピングを含みうるPUCCHセルグループ構成が実現され,スペシャルSCell以外のSCellの場合,SCell追加/解放手順を使用してPUCCHセルグループの再関連付けを実現でき,
UEは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CEを受信することにより,スペシャルSCellをディアクティベートし,
UEは,スペシャルSCellにsCellDeactivationTimerを適用しない,
通信システム。」

4. 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「UE」は,本願発明の「ユーザ装置」に相当する。また,本願発明の「ユーザ装置を含む通信システム」と引用発明の「UEを含む通信システム」は,双方とも「ユーザ装置を含む通信システム」である点で一致する。

(2) 引用発明の「PUCCH」は,本願発明の「物理上りリンク制御チャネル」に相当する。また,引用発明の「スペシャルSCell」は,PUCCHを伝送する,すなわちキャリー(carry)するセカンダリセルであり,UEにおいて構成されるものであるから,本願発明の「第1セカンダリセル」に相当する。
更に,引用発明の「スペシャルSCell以外のSCell」が,PUCCHを伝送しない,すなわちキャリー(carry)しない通常のセカンダリセルであることは明らかである。また,引用発明は「UEは,RRCシグナリングによりSCellとPUCCHセルグループ間のマッピングを含みうるPUCCHセルグループ構成が実現され,スペシャルSCell以外のSCellの場合,SCell追加/解放手順を使用してPUCCHセルグループの再関連付けを実現でき」るものであるから,PUCCHセルグループに含まれるスペシャルSCell以外のSCellは,UEにおいて構成されるものである。してみると,引用発明の「スペシャルSCell以外のSCell」は,本願発明の「第2セカンダリセル」に相当する。
よって,引用発明の「UEは,CAにおいて,PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送するようにスペシャルSCellが構成され,
UEは,RRCシグナリングによりSCellとPUCCHセルグループ間のマッピングを含みうるPUCCHセルグループ構成が実現され,スペシャルSCell以外のSCellの場合,SCell追加/解放手順を使用してPUCCHセルグループの再関連付けを実現でき」は,本願発明の「前記ユーザ装置は,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする第1セカンダリセル及び物理上りリンク制御チャネルをキャリーしない少なくとも1つの第2セカンダリセルを有するように構成され」に相当する。

(3) 引用発明の「アクティべーション/ディアクティベーションMAC CE」は,「スペシャルSCell」をディアクティベートするためのものであるから,本願発明の「ディアクティベーションMAC制御エレメント」に含まれる。また,引用発明の「UE」が 「アクティべーション/ディアクティベーションMAC CEを受信することにより,スペシャルSCellをディアクティベート」するように構成されていることは自明である。
よって,引用発明の「UEは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CEを受信することにより,スペシャルSCellをディアクティベートし」は,本願発明の「前記ユーザ装置は,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルが,ディアクティベーションMAC制御エレメントによりディアクティベーションされるように構成し」に含まれる。

また,引用発明の「スペシャルSCell」は,「CAにおいて,PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送する」ためのものであるところ,「PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCell」に,PUCCHをキャリーしない「スペシャルSCell以外のSCell」が含まれることは明らかである。更に,「スペシャルSCell」も「PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCell」に含まれるから,「スペシャルSCell」のための「PUCCH」も「スペシャルSCell」によって伝送されることは明らかである。そして,「PUCCH」が上りリンク制御情報(UCI)を伝送するための物理上りリンク制御チャネルであることは自明であり,引用発明の「スペシャルSCell」が「PUCCH」を介して上りリンク制御情報を伝送していることは明らかである。
よって,引用発明の「UEは,CAにおいて,PUCCHセルグループ2に含まれる複数のSCellのためのPUCCHを伝送するようにスペシャルSCellが構成され」は,本願発明の「物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,前記第1セカンダリセル及び前記少なくとも1つの第2セカンダリセルのための上りリンク制御情報を伝送し」に相当する。

(4) 引用発明の「sCellDeactivationTimer」は,ディアクティベーションタイマーの一種であるから,本願発明の「ディアクティベーションタイマー」に含まれる。また,引用発明は「UEは,スペシャルSCellにsCellDeactivationTimerを適用しない」ものであるから,スペシャルSCellは,sCellDeactivationTimerが維持されないように構成されていることは自明である。
よって,引用発明の「UEは,スペシャルSCellにsCellDeactivationTimerを適用しない」は,本願発明の「物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,ディアクティベーションタイマーが維持されないように構成される」に含まれる。

以上を総合すると,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,相違するところはない。

(一致点)
「 ユーザ装置を含む通信システムであって,
前記ユーザ装置は,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする第1セカンダリセル及び物理上りリンク制御チャネルをキャリーしない少なくとも1つの第2セカンダリセルを有するように構成され,
前記ユーザ装置は,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルが,ディアクティベーションMAC制御エレメントによりディアクティベーションされるように構成し,物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,前記第1セカンダリセル及び前記少なくとも1つの第2セカンダリセルのための上りリンク制御情報を伝送し,
物理上りリンク制御チャネルをキャリーする前記第1セカンダリセルは,ディアクティベーションタイマーが維持されないように構成される,通信システム。」

したがって,本願発明は,引用例1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により,特許を受けることができない。

[請求人の主張等について]
請求人は審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」において,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明及び請求項3に係る発明に関して,「しかし,引例1は,UEが構成情報を含む信号を受信することを開示しておらず,前記構成情報が第1セカンダリセル及び第2セカンダリセルの構成を示すことも開示していない。
また,引例2も,構成情報を含む信号を受信することについて記載していない。
従って,本願発明は,当業者が引例1‐3に基づいて容易に発明をすることができたものではないから,引例1-3に対して新規性,進歩性を有するものである。」と主張している。
しかし,「第2」で検討したとおり,本件補正は却下されたので,請求人の上記主張は採用することはできない。

また,請求人は令和2年4月8日に提出された上申書において,特許請求の範囲の補正案を添付するとともに,当該補正案のとおりに補正する機会を求めている。
しかしながら,「第2」で検討したとおり本件補正は却下すべきものである。また,「第3」で検討したとおり,本願発明は,原査定の拒絶の理由に引用された引用例1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により,特許を受けることができない。よって,補正の機会を再度与える合理的な理由を見出すことはできない。

なお,仮に補正案のとおりに補正したとしても,以下に検討するとおり、原査定の拒絶の理由は解消しない。

ア. 補正案の請求項3に係る発明について
令和2年4月8日に提出された上申書の「2,特許請求範囲の補正案」の「【請求項3】」の記載は,次のとおりである。

「【請求項3】
ユーザ装置を含む通信システムであって,
前記ユーザ装置は,PUCCHをキャリーする第1セカンダリセル及びPUCCHをキャリーしない少なくとも1つの第2セカンダリセルを有するように構成され,
前記ユーザ装置は,前記PUCCHをキャリーする前記第1セカンダリセルが,ディアクティベーションMAC CEによりディアクティベーションされ,且つディアクティベーションタイマーを維持しないように構成し;及び,前記PUCCHをキャリーしない前記第2セカンダリセルが,ディアクティベーションタイマーにより前記ディアクティベーションタイマー情報に基づいてディアクティベーションされ,又は,ディアクティベーションMAC CEによりディアクティベーションされるように構成し,
前記PUCCHをキャリーする前記第1セカンダリセルは,前記第1セカンダリセル及び前記少なくとも1つの第2セカンダリセルのための上りリンク制御情報(UCI)を伝送する
,通信システム。」

上記補正案の請求項3に係る発明と本願発明を比較すると,上記補正案の請求項3に係る発明は,実質的に,本願発明に以下の事項(以下,「補正案の追加事項」という。)を追加し,本願発明を限定したものといえる。

「前記PUCCHをキャリーしない前記第2セカンダリセルが,ディアクティベーションタイマーにより前記ディアクティベーションタイマー情報に基づいてディアクティベーションされ,又は,ディアクティベーションMAC CEによりディアクティベーションされるように構成し」

イ. 引用例1に記載された事項について
引用例1に記載された事項について検討すると,「第3」の「3.引用発明」の(4)の「CAにおいて,SCellは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CE又はsCellDeactivationTimerのいずれかによってディアクティベートできる。」との記載によれば,SCellは,アクティべーション/ディアクティベーションMAC CE又はsCellDeactivationTimerのいずれかによってディアクティベートされるように構成されていることは自明である。
また,sCellDeactivationTimerは,ディアクティベーションタイマーの一種であるところ,SCellがsCellDeactivationTimerによりディアクティベーションされる場合,ディアクティベーションを行うためのタイマー値やタイマーを動作させるための条件を含むディアクティベーションタイマー情報に基づいて,Scellがディアクティベーションされることは自明である。

そうすると,補正案の追加事項は,引用例1に記載されているといえるから,補正案の請求項3に係る発明も,引用例1に記載された発明である。したがって,補正案のとおりに補正したとしても,原査定の拒絶の理由は解消しない。

5 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-09-02 
結審通知日 2020-09-08 
審決日 2020-09-23 
出願番号 特願2017-550545(P2017-550545)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H04W)
P 1 8・ 572- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
P 1 8・ 561- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石原 由晴  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 本郷 彰
相澤 祐介
発明の名称 セカンダリセルのディアクティベーション方法、装置及び通信システム  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

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