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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1367967 |
審判番号 | 不服2019-17525 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-12-25 |
確定日 | 2020-11-12 |
事件の表示 | 特願2015-190388「車載用センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日出願公開、特開2017- 67505〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年9月28日の特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 平成30年 8月10日付け:拒絶理由通知 同年10月17日 :意見書及び手続補正書の提出 平成31年 2月28日付け:拒絶理由通知 令和 元年 5月 9日 :意見書及び手続補正書の提出 同年 9月24日付け:拒絶査定 同年12月25日 :手続補正書(以下、この手続補正書によ る手続補正を「本件補正」という。)の 提出及び審判請求 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 センサ素子(10)に電気的に接続された複数本のリード線(2)と、 金属製の円筒状カバー(3)と、 該円筒状カバーの端部の内周側に配置され、上記複数本のリード線を挿通させるための複数の挿通穴(41)が設けられたゴム製のブッシュ(4)と、 液体を通過させない一方、気体を通過させる性質を有し、上記円筒状カバーの内周側と上記ブッシュの外周側との間に挟み込まれたフィルター(5)と、を備え、 上記円筒状カバーを縮径させ上記ブッシュを圧縮変形させることによって、上記各挿通穴に上記各リード線を保持する構造を有する車載用センサ(1)において、 上記円筒状カバーには、その端部の全周を内周側に屈曲させた屈曲部(31)が設けられており、 上記ブッシュには、上記屈曲部の軸線方向(L)の外側に対向する鍔部(43)が設けられており、 上記屈曲部は、上記鍔部と上記フィルターの上記軸線方向の外側の端部との間に配置されており、 上記挿通穴における上記軸線方向の外側とは反対側に位置する内側部位が、上記軸線方向に亘って部分的に拡径していることによって、上記内側部位の上記軸線方向の外側の底面が、上記リード線の被覆部の外周側に位置するとともに、上記内側部位と、上記リード線の端部に設けられて上記内側部位に配置された端子との間には、該端子と上記ブッシュとの接触を避けるための隙間が形成されており、 上記ブッシュにおける上記軸線方向の内側の端面は拘束されておらず、上記ブッシュの外周面における、上記軸線方向の内側の端部であって上記端子の外周側の位置には、段差状に縮径する縮径部が形成されており、かつ、該縮径部と上記円筒状カバーとの間には、隙間が形成されている、車載用センサ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和元年5月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 センサ素子(10)に電気的に接続された複数本のリード線(2)と、 金属製の円筒状カバー(3)と、 該円筒状カバーの端部の内周側に配置され、上記複数本のリード線を挿通させるための複数の挿通穴(41)が設けられたゴム製のブッシュ(4)と、 液体を通過させない一方、気体を通過させる性質を有し、上記円筒状カバーの内周側と上記ブッシュの外周側との間に挟み込まれたフィルター(5)と、を備え、 上記円筒状カバーを縮径させ上記ブッシュを圧縮変形させることによって、上記各挿通穴に上記各リード線を保持する構造を有する車載用センサ(1)において、 上記円筒状カバーには、その端部の全周を内周側に屈曲させた屈曲部(31)が設けられており、 上記ブッシュには、上記屈曲部の軸線方向(L)の外側に対向する鍔部(43)が設けられており、 上記屈曲部は、上記鍔部と上記フィルターの上記軸線方向の外側の端部との間に配置されており、 上記挿通穴における上記軸線方向の外側とは反対側に位置する内側部位が、上記軸線方向に亘って部分的に拡径していることによって、上記内側部位と、上記リード線の端部に設けられて上記内側部位に配置された端子との間には、隙間が形成されており、 上記ブッシュにおける上記軸線方向の内側の端面は拘束されておらず、上記ブッシュの外周面における、上記軸線方向の内側の端部であって上記端子の外周側の位置には、段差状に縮径する縮径部が形成されており、かつ、該縮径部と上記円筒状カバーとの間には、隙間が形成されている、車載用センサ。」 2 補正の適否 本件補正のうち、請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「内側部位」について、「上記内側部位の上記軸線方向の外側の底面が、上記リード線の被覆部の外周側に位置する」ことを限定し、「内側部位と、リード線の端部に設けられて内側部位に配置された端子との間に形成され」た「隙間」について、「該端子と上記ブッシュとの接触を避けるための」ものであることを限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1の記載事項 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2015-068682号公報(平成27年4月13日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審において付与した)。 (a)「【背景技術】 【0002】 従来、自動車エンジン等の内燃機関の燃焼排気流路に、燃焼排気中に含まれる酸素等の特定ガス成分の濃度を検知するガスセンサを配設して、検知された特定ガス成分の濃度によって空燃比制御や排気処理触媒の温度制御等を行っている。」 (b)「【発明を実施するための形態】 【0011】 図1A、図1Bを参照して、本発明の実施形態におけるガスセンサGSの概要について説明する。ガスセンサGSは、被測定ガス中の特定成分を検出するガスセンサであって、少なくとも、ガスセンサ素子4と、ガスセンサ素子4の内側に収容され、通電により発熱する発熱体51を内蔵し断面矩形で軸方向に伸びるヒータ5と、先端にヒータ5を把持するヒータ把持部10を設けたプラス端子金具1とを具備し、ヒータ把持部10が、ヒータ5の短辺側の側面の少なくとも先端をガスセンサ素子4の内周壁に当接させるようにヒータ5の長辺側平面を両側から弾性的に押圧する当接面102を具備することを特徴とする。 ・・・ 【0014】 ガスセンサ素子4の先端側には、センサ素子検出部40が形成され、中腹には径大となる拡径部41が形成され、基端側には、外部との接続を図る素子基端部42が形成されている。 素子検出部40は、固体電解質層400と、固体電解質層400の内側表面に形成され、基準ガスとして導入された大気に接する基準電極層401と、固体電解質層400の外側表面に形成され、被測定ガスに接する測定電極層402とによって構成されている。 ・・・ 【0015】 図1A、図2A、図2B、図2C、図2D、図2Eを参照して、本発明の要部であるプラス端子金具1について説明する。 プラス端子金具1は、弾性と電気伝導性に優れた公知の金属材料によって形成されている。 プラス端子金具1の先端には、ヒータ5を保持するヒータ把持部10が形成され、その基端側には、基準電極401に接続するプラス端子導通部11が形成され、さらにその基端側には、平板状で軸方向に伸びるプラス端子中継部12が形成され、さらにその基端側には、外部との接続を図るプラス信号線14との導通を図るプラス端子圧着部13が形成されている。 ・・・ 【0018】 図1A、図3A、図3Bを参照してヒータ端子金具2について説明する。 ヒータ端子金具2は、弾性と電気伝導性に優れた平板状の金属材料を用いて形成され、ヒータ5の基端側に引き出された一対の電極部52と外部の電源との接続を図る一対のヒータ通電線24との接続を図る。 ヒータ端子金具2は、ヒータ端子導通部20、ヒータ端子屈曲部21、ヒータ端子基部22、ヒータ端子圧着部23によって構成されている。 ・・・ 【0021】 図1A、図4A、図4Bを参照して、マイナス端子金具3について説明する。 マイナス接点金具3は、弾性と電気伝導性に優れた平板状の金属材料を用いて形成され、ガスセンサ素子4の基端部42に設けられ、測定電極402と外部との接続を図るマイナス信号線34との接続を図る。 ・・・ 【0025】 図1Aを参照して基端側固定手段8について説明する。基端側固定手段8は、この手のガスセンサにおいて慣用されているもので、上述の、プラス端子金具1、ヒータ端子金具2、マイナス端子金具3、プラス信号線14、一対のヒータ通電線24、マイナス信号線34を絶縁状態で保持し、外部からの水分の侵入は阻止し、基準ガスとしての大気の導入は許容するように、ガス栓センサGSの基端側を固定するものである。 基端側固定手段8は、アルミナ等の公知の絶縁材料からなる端子金具保持用絶縁体80と、端子金具保持用絶縁体80を弾性的に保持する絶縁体保持部81と、フッ素繊維等からなり大気は導入し水分は遮断する公知の撥水フィルタ82と、大気を導入するための大気導入孔83と、基端側を封止する公知の耐熱ゴム等からなる封止ゴム84、封止ゴム84をかしめ固定するケーシング加締め部85と、ステンレス等の金属製で、ハウジング6の基端側を覆う基端側封止用ケーシング86とによって構成されている。」 (c)【図1A】には、以下の図面が記載されている。 参考まで、上記図面の一部分を当審で拡大したものを以下に示す。 (d)【図1B】には、以下の図面が記載されている。 (e)【図2A】には、以下の図面が記載されている。 (f)【図2C】には、以下の図面が記載されている。 (イ)図1Aの記載事項の整理 a 図1Aを見ると、撥水フィルタ82は、ケーシング86の内周側と封止ゴム84の外周側に挟み込まれている点が見てとれる。 b 図1Aを見ると、封止ゴム84の軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位を見てとれるが、【0025】欄に「封止ゴム84をかしめ固定するケーシング加締め部85」と記載されていることから、封止ゴム84の軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位は、ケーシング86のケーシング加締め部85における加締めによって、変形させられたものであるといえる。 c 図1Aを見ると、ケーシング86は基端側端部が屈曲部を有しており、屈曲部は、その端部の全周を内周側に屈曲させており、封止ゴム84の鍔部と撥水フィルタ82の間に配置されている点が見てとれる。 d 図1Aを見ると、封止ゴム84は、屈曲部よりも基端側に対向する鍔部を有している点が見てとれる。 e 図1Aを見ると、封止ゴム84における軸方向における先端側の端面は他の部材と接触しておらず、封止ゴム84の外周面における、軸方向における先端側の端部であってプラス端子金具1、マイナス端子金具3の外周側の位置には、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位が形成されており、かつ、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位とケーシング86との間には、隙間が形成されている点が見てとれる (ウ)図1Bの記載事項の整理 ガスセンサの全体概要を示す縦断面図である図1A中B-Bに沿った要部横断面図である図1Bを見ると、ガスセンサのセンサ素子の横断面が円状である点が見てとれる。 (エ)図2A及び図2Cの記載事項の整理 ガスセンサの要部であるプラス端子金具の概要を示す側面図である図2A中C-Cに沿った断面図である図2Cを見ると、ガスセンサのプラス端子導通部11の横断面が円状である点が見てとれる。 (オ)ガスセンサ及びその構成要素の記載の整理 【0025】欄の「ガス栓センサGS」は「ガスセンサGS」の誤記であり、「ガスセンサGS」と「ガスセンサ」とは同じものを指していることから、「ガスセンサ」として整理する。 【0011】欄には「ガスセンサGSは、・・・、少なくとも、ガスセンサ素子4と、・・・ヒータ5と、・・・プラス端子金具1とを具備」すると記載されているが、ガスセンサ素子4、ヒータ5と、プラス端子金具1以外に、「マイナス接点金具3」、「ヒータ端子金具2」、「基端側固定手段8を備えているものである。 (カ)引用文献1に記載された発明 上記(b)の【発明を実施するための形態】に記載されているガスセンサは、上記(a)の【背景技術】に記載されているガスセンサに対するものであるから、上記(ア)?(オ)に記載されていることをまとめると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「自動車エンジン等の内燃機関の燃焼排気流路に配設され、燃焼排気中に含まれる酸素等の特定ガス成分の濃度を検知するガスセンサであって、 ガスセンサは、少なくとも、ガスセンサ素子4、プラス端子金具1、マイナス接点金具3、ヒータ端子金具2、ヒータ5、基端側固定手段8とを具備し、 ガスセンサ素子4の先端側には、センサ素子検出部40が形成され、ガスセンサのセンサ素子の横断面が円状であって、センサ素子検出部40は、固体電解質層400と、基準電極層401と、測定電極層402とによって構成され、 プラス端子金具1の基端側には、基準電極401に接続するプラス端子導通部11が形成され、さらにその基端側には、外部との接続を図るプラス信号線14との導通を図るプラス端子圧着部13が形成され、ガスセンサのプラス端子導通部11の横断面が円状であって、 マイナス接点金具3は、測定電極402と外部との接続を図るマイナス信号線34との接続を図り、 ヒータ端子金具2は、弾性と電気伝導性に優れた平板状の金属材料を用いて形成され、ヒータ5の基端側に引き出された一対の電極部52と外部の電源との接続を図る一対のヒータ通電線24との接続を図り、 基端側固定手段8は、プラス端子金具1、ヒータ端子金具2、マイナス端子金具3、プラス信号線14、一対のヒータ通電線24、マイナス信号線34を絶縁状態で保持し、外部からの水分の侵入は阻止し、基準ガスとしての大気の導入は許容するように、ガスセンサの基端側を固定するものであって、基端側固定手段8は、アルミナ等の公知の絶縁材料からなる端子金具保持用絶縁体80と、端子金具保持用絶縁体80を弾性的に保持する絶縁体保持部81と、フッ素繊維等からなり大気は導入し水分は遮断する公知の撥水フィルタ82と、ステンレス等の金属製で、ハウジング6の基端側を覆う基端側封止用ケーシング86と、大気を導入するための大気導入孔83と、基端側を封止する公知の耐熱ゴム等からなる封止ゴム84と、封止ゴム84をかしめ固定するケーシング加締め部85とによって構成され、 撥水フィルタ82は、ケーシング86の内周側と封止ゴム84の外周側に挟み込まれ、 ケーシング86は基端側端部が屈曲部を有しており、屈曲部は、その端部の全周を内周側に屈曲させており、封止ゴム84の鍔部と撥水フィルタ82の間に配置されており、 封止ゴム84は、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位が、ケーシング86のケーシング加締め部85における加締めによって、変形させられ、屈曲部よりも基端側に対向する鍔部を有しており、封止ゴム84における軸方向における先端側の端面は他の部材と接触しておらず、封止ゴム84の外周面における、軸方向における先端側の端部であってプラス端子金具1、マイナス端子金具3の外周側の位置には、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位が形成されており、かつ、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位とケーシング86との間には、隙間が形成されている、 ガスセンサ。」 イ 周知技術について (ア)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として提示された本願の出願前に頒布された文献である、特開2009-162668号公報(平成21年7月23日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審において付与した)。 (a)「【0027】 また、自由状態において、保持部材押圧部103をなす大径部の外径は保持部材71の後端(フランジ73)の外径と略同じとされ、小径部をなす本体部102の外径はカシメ前のシール用筒部83の内径と同じか、隙間嵌め状態で、そのシール用筒部83内に容易に装填できる外径とされている。(図4?図6参照)そして、軸線Gに沿って形成された空孔106に対して、リード線61を先後に挿通させているが、その空孔106のうち、先端寄り部位である保持部材押圧部103に対応する厚さ部位には、端子金具51のバレル部52が一部又は全部収容されるように、相対的に大径とされている。なお、本体部102と保持部材押圧部103の各厚みは本例では略同じとされている。しかして、シール用筒部83を縮径状にかしめることにより、シール用筒部83の内周面とシール用弾性部材101の本体部102の外周面の間、そして、各空孔106の内周面と各リード線61の外周面の間のシールが保持されている。」 (b)【図1】には、以下の図面が記載されている。 (c)【図2】には、以下の図面が記載されている。 (イ)引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として提示され、本願の出願前に頒布された文献である、特開2008-122414号公報(平成20年5月29日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審において付与した)。 (a)「【0045】 また、上記金属端子543は円筒状であり、上記バネ部541から延設された連結部542に固定されている。また、上記金属端子543は、上記リード線31の端部にパンチにより押圧固定された状態で、上記掛合凹部21に掛合されている。上記金属端子543の幅は、上記挿通孔20の孔径より大きく、上記掛合凹部21の孔径より小さい。 【0046】 次に、本例の作用効果につき説明する。 本例の酸素センサ1においては、酸素センサ1にリード線31を装着したとき、上記ブッシュ2に設けた掛合凹部21に、上記リード線31を接続する金属端子543を掛合することができる(図2)。」 (b)【図1】には、以下の図面が記載されている。 (c)【図2】には、以下の図面が記載されている。 (ウ)周知技術 上記引用文献2及び引用文献3の記載事項から、ガスセンサのブッシュ(引用文献2記載の「保持部材押圧部103」、引用文献3記載の「ブッシュ2」)において、リード線と接合部材(引用文献2記載の「バレル部52」、引用文献3記載の「金属端子543」)とを接合する部分を、接続部材を収容するために接続部材より拡径の収容空間(引用文献2記載の「シール用弾性部材101の空孔106のうち、先端寄り部位である保持部材押圧部103に対応する厚さ部位」、引用文献3の「ブッシュ2に設けた掛合凹部21」)とし、接続部材とブッシュ内側面との間に隙間を設けることは、周知技術であるといえる。 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)各部品について 引用発明の「ガスセンサ素子4」、「信号線14、34」、「ケーシング86」、「封止ゴム84」、「撥水フィルタ82」、「屈曲部」及び「鍔部」はそれぞれ、本件補正発明の「センサ素子」、「リード線」、「カバー」、「ブッシュ」、「フィルター」、「屈曲部」及び「鍔部」に相当する。 (イ)リード線について 引用発明の「ガスセンサは、少なくとも、ガスセンサ素子4、プラス端子金具1、マイナス接点金具3、・・・とを具備し」ている。また、「ガスセンサ素子4の先端側には、センサ素子検出部40が形成され、素子検出部40は、固体電解質層400と、基準電極層401と、測定電極層402とによって構成され」ている。 ここで、「プラス信号線14」は、「プラス端子金具1」と導通し、「プラス端子金具1」の「プラス端子導通部11」は、「ガスセンサ素子4」の「センサ素子検出部40」の「基準電極401」に接続している。一方、「マイナス信号線34」は、「ガスセンサ素子4」の「センサ素子検出部40」の「測定電極402」に接続している。 よって、引用発明における「プラス信号線14及びマイナス信号線34」は、本件補正発明の「センサ素子(10)に電気的に接続された複数本のリード線(2)」に相当する。 (ウ)カバーについて a 引用発明は、「ガスセンサのセンサ素子の横断面が円状」であり、「プラス端子導通部11の横断面が円状」であることから、「ケーシング86」も円筒状であるといえる。 よって、引用発明における「ステンレス等の金属製で」ある「ケーシング86」は、本件補正発明の「金属製の円筒状カバー(3)」に相当する。 b 屈曲部について 引用発明における「ケーシング86」の「その端部の全周を内周側に屈曲させている」「屈曲部」は、本件補正発明における「円筒状カバーには、その端部の全周を内周側に屈曲させた屈曲部(31)」に相当する。 (エ)ブッシュについて a 引用発明における「封止ゴム84」は、「プラス端子金具1、ヒータ端子金具2、マイナス端子金具3、プラス信号線14、一対のヒータ通電線24、マイナス信号線34を絶縁状態で保持」するものであって、プラス信号線14、一対のヒータ通電線24、マイナス信号線34は「外部との接続を図る」ものであるから、「封止ゴム84」はプラス信号線14、一対のヒータ通電線24、マイナス信号線34のそれぞれが貫通する穴を備えているといえる。また、「封止ゴム84」は、「ケーシング86」の「端部」の「内周側」に配置されているものである。 よって、引用発明における「封止ゴム84」は、本件補正発明の「該円筒状カバーの端部の内周側に配置され、上記複数本のリード線を挿通させるための複数の挿通穴(41)が設けられたゴム製のブッシュ(4)」に相当する。 b 引用発明の「封止ゴム84は、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位が、ケーシング86のケーシング加締め部85における加締めによって、変形させ」ることは、本件補正発明における「上記円筒状カバーを縮径させ上記ブッシュを圧縮変形させる」ことに相当する。 c 鍔部について 引用発明における「封止ゴム84」の「屈曲部よりも基端側に対向する鍔部」は、本件補正発明における「ブッシュ」の「上記屈曲部の軸線方向(L)の外側に対向する鍔部(43)」に相当する。 d ブッシュの内側端面について 引用発明の「封止ゴム84の外周面における、軸方向における先端側の端部であってプラス端子金具1、マイナス端子金具3の外周側の位置には、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位が形成されており、かつ、軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位とケーシング86との間には、隙間が形成され」ていることは、封止ゴムの軸方向に対して垂直な方向における径が小さくなっている部位とケーシング86との間には、隙間が形成されているのであるから、拘束されていないといえ、本件補正発明における「上記ブッシュにおける上記軸線方向の内側の端面は拘束されておらず、上記ブッシュの外周面における、上記軸線方向の内側の端部であって上記端子の外周側の位置には、段差状に縮径する縮径部が形成されており、かつ、該縮径部と上記円筒状カバーとの間には、隙間が形成され」ていることに相当する。 (オ)フィルターについて 引用発明における「大気は導入し水分は遮断するものであって、ケーシング86の内周側と封止ゴム84の外周側に挟み込まれる」「撥水フィルタ82」は、本件補正発明の「液体を通過させない一方、気体を通過させる性質を有し、上記円筒状カバーの内周側と上記ブッシュの外周側との間に挟み込まれたフィルター(5)」に相当する。 (カ)屈曲部とフィルターとの関係 引用発明における「屈曲部」が、「封止ゴム84の鍔部と撥水フィルタ82の間に配置され」ていることは、本件補正発明における「屈曲部は、上記鍔部と上記フィルターの上記軸線方向の外側の端部との間に配置され」ていることに相当する。 (キ)車載用センサについて 引用発明における「自動車エンジン等の内燃機関の燃焼排気流路に配設され、燃焼排気中に含まれる酸素等の特定ガス成分の濃度を検知するガスセンサ」は、上記(エ)aを踏まえると、本件補正発明における「上記各挿通穴に上記各リード線を保持する構造を有する車載用センサ」に相当する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。なお、図面番号は略した。 【一致点】 「センサ素子に電気的に接続された複数本のリード線と、 金属製の円筒状カバーと、 該円筒状カバーの端部の内周側に配置され、上記複数本のリード線を挿通させるための複数の挿通穴が設けられたゴム製のブッシュと、 液体を通過させない一方、気体を通過させる性質を有し、上記円筒状カバーの内周側と上記ブッシュの外周側との間に挟み込まれたフィルターと、を備え、 上記円筒状カバーを縮径させ上記ブッシュを圧縮変形させることによって、上記各挿通穴に上記各リード線を保持する構造を有する車載用センサにおいて、 上記円筒状カバーには、その端部の全周を内周側に屈曲させた屈曲部が設けられており、 上記ブッシュには、上記屈曲部の軸線方向の外側に対向する鍔部が設けられており、 上記屈曲部は、上記鍔部と上記フィルターの上記軸線方向の外側の端部との間に配置されており、 上記ブッシュにおける上記軸線方向の内側の端面は拘束されておらず、上記ブッシュの外周面における、上記軸線方向の内側の端部であって上記端子の外周側の位置には、段差状に縮径する縮径部が形成されており、かつ、該縮径部と上記円筒状カバーとの間には、隙間が形成されている、車載用センサ。」 【相違点】 本件補正発明は、「上記挿通穴における上記軸線方向の外側とは反対側に位置する内側部位が、上記軸線方向に亘って部分的に拡径していることによって、上記内側部位の上記軸線方向の外側の底面が、上記リード線の被覆部の外周側に位置するとともに、上記内側部位と、上記リード線の端部に設けられて上記内側部位に配置された端子との間には、該端子と上記ブッシュとの接触を避けるための隙間が形成されて」いるのに対し、引用発明は、当該構成について特定していない点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点について (ア)引用発明の認定に用いた引用文献1の図1Aを見ると、プラス端子金具1、ヒータ端子金具2及びマイナス端子金具3と封止ゴム84との間には隙間は見てとれないが、引用発明において、「プラス信号線14」、「ヒータ通電線24」及び「マイナス信号線34」と「プラス端子金具1」、「ヒータ端子金具2」及び「マイナス端子金具3」とを「接続」する「封止ゴム84」の部分を、上記周知技術に鑑みて、「プラス端子金具1」、「ヒータ端子金具2」及び「マイナス端子金具3」を収容するために、「プラス信号線14」、「ヒータ通電線24」及び「マイナス信号線34」より拡径の収容空間とし、「プラス端子金具1」、「ヒータ端子金具2」及び「マイナス端子金具3」と「封止ゴム84」の内側面との間に隙間を設けることは当業者が容易になし得た設計事項である。 そして、上記図1Aを見ると、「プラス信号線14」、「ヒータ通電線24」及び「マイナス信号線34」には被覆部(端子付近の導線は細くなっていることからそれ以外の部分が被覆されている)があり、「プラス信号線14」、「ヒータ通電線24」及び「マイナス信号線34」と「プラス端子金具1」、「ヒータ端子金具2」及び「マイナス端子金具3」とを「接続」する「封止ゴム84」の部分を、「プラス信号線14」、「ヒータ通電線24」及び「マイナス信号線34」よりも拡径の収容空間とし、「プラス端子金具1」、「ヒータ端子金具2」及び「マイナス端子金具3」と「封止ゴム84」の内側面との間に隙間を設けることは、上記相違点である「上記挿通穴における上記軸線方向の外側とは反対側に位置する内側部位が、上記軸線方向に亘って部分的に拡径していることによって、上記内側部位の上記軸線方向の外側の底面が、上記リード線の被覆部の外周側に位置するとともに、上記内側部位と、上記リード線の端部に設けられて上記内側部位に配置された端子との間には、該端子と上記ブッシュとの接触を避けるための隙間が形成されて」いるという構成を満たすことになる。 (イ)また、上記(ア)で述べたとおり、引用文献1の図1Aを見ると、プラス端子金具1、ヒータ端子金具2及びマイナス端子金具3と封止ゴム84との間には隙間は見てとれないが、引用文献1に記載されているガスセンサのタイプでは、端子金具に封止ゴムをモールドするのではなく、封止ゴムの既に形成されている収容空間に端子金具を収容するのが通常であり、引用文献1の明細書には、プラス端子金具1、ヒータ端子金具2及びマイナス端子金具3と封止ゴム84とを密着させなければならない(隙間を設けてはならない)ことは記載されておらず、引用発明に上記周知技術を適用する阻害要因は認められない。 (ウ)よって、上記相違点は、周知技術に鑑みて当業者が容易になし得た設計事項であるから、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (エ)なお、上記相違点である「上記挿通穴における上記軸線方向の外側とは反対側に位置する内側部位が、上記軸線方向に亘って部分的に拡径していることによって、上記内側部位の上記軸線方向の外側の底面が、上記リード線の被覆部の外周側に位置するとともに、上記内側部位と、上記リード線の端部に設けられて上記内側部位に配置された端子との間には、該端子と上記ブッシュとの接触を避けるための隙間が形成されて」いるとの事項は、平成30年10月17日提出の意見書で「上記挿通穴における上記軸線方向の外側とは反対側に位置する内側部位が、上記軸線方向に亘って部分的に拡径していることによって、上記内側部位と、上記リード線の端部に設けられて上記内側部位に配置された端子との間には、隙間が形成されている、」との補正は、図1?図3の記載を根拠とした。」、審判請求書で「上記内側部位の上記軸線方向の外側の底面が、上記リード線の被覆部の外周側に位置するとともに、」との補正及び「該端子と上記ブッシュとの接触を避ける」との補正は、図1?図3の記載を根拠とした。リード線が導体部及び被覆部によって構成されていることは、図3の記載から明らかである。」と請求人が説明しているように、図面から導出された事項であり、本願明細書には記載されていないことから、設計上、単にそのような形態となっているとはいえるが、それ以上の格別な技術的意義を認めることはできない。 イ 効果について 本件補正発明の効果について、本願明細書には、 「【発明の効果】 【0008】 上記車載用センサにおいては、円筒状カバーとブッシュとの形状に工夫をしており、車載用センサの防水性をさらに高めることができる。具体的には、円筒状カバーには、その端部の全周を内周側に屈曲させた屈曲部が設けられている。この屈曲部の形成により、円筒状カバーの端部の強度が高くなる。そして、各挿通穴に各リード線が挿通されたブッシュを円筒状カバーの端部の内周側に配置して、この円筒状カバーを縮径させるときには、屈曲部の存在により、円筒状カバーに座屈等の変形が生じにくくなる。これにより、円筒状カバーの変形を防止して、円筒状カバーを縮径させる量及びブッシュの圧縮変形量を大きくすることができる。そして、特にリード線の本数が増加した場合等においても、円筒状カバーとブッシュとの間、ブッシュの挿通穴とリード線との間のシール面圧を高く維持することができる。 【0009】 また、ブッシュには、円筒状カバーの屈曲部の軸線方向の外側に対向する鍔部が設けられている。そして、屈曲部の先端が鍔部によって覆われることにより、円筒状カバーの屈曲部の先端とブッシュとの隙間からセンサの内部へ水分が浸入しにくくすることができる。このように上記車載用センサにおいては、円筒状カバーに屈曲部を設けた効果と、屈曲部の外側に配置する鍔部をブッシュに設けた効果とが相乗的に発揮される。 それ故、上記車載用センサによれば、その内部への水分の浸入をより効果的に防止することができる。」と記載されている。 しかしながら、上記効果は本件補正発明の「円筒状カバーには、その端部の全周を内周側に屈曲させた屈曲部(31)が設けられており、上記ブッシュには、上記屈曲部の軸線方向(L)の外側に対向する鍔部(43)が設けられており」「上記円筒状カバーを縮径させ上記ブッシュを圧縮変形させることによって」奏するものであるから、上記(3)アの対比で述べたように、引用発明においても、これらの事項を満たしていることから、引用発明においても上記効果を奏するものといえる。 よって、本件補正発明の上記明細書に記載されている効果は、引用発明に対して格別顕著なものとはいえない。 ウ 請求人の主張について (ア)請求人は、審判請求書で、 「引用文献2?4においては、一見、請求項1の発明のI要件の「端子とブッシュとの接触を避けるための隙間」がブッシュに形成されているようにも見える。しかし、以下の理由で、引用文献2?4には、端子に相当する部材の変形を避けるために、ブッシュに相当する部材と端子に相当する部材との接触を避けるための隙間を形成することは何ら記載されていない。」 「引用文献1?4のいずれにおいても、円筒状カバーを縮径させるときに、リード線が繋がる端子の変形を防止するといった課題は記載されていない。そのため、引用文献1の発明に引用文献2?4の発明を適用したとしても、当業者が請求項1の発明を容易に想到することはできない。」(下線は当審で付与した。)と主張している。 (イ)当審の反論 a 上記(2)イ「周知技術について」で記載した引用文献2及び3には、接続部材(端子)とブッシュとの間に隙間を設けるという周知技術が記載されているものの、その隙間が「端子に相当する部材の変形を避けるため」であること、「円筒状カバーを縮径させるときに、リード線が繋がる端子の変形を防止するといった課題」については記載されていない。 しかしながら、上記引用文献2の図1及び2並びに引用文献3の図1及び2は、加締めた(円筒状カバーを縮径させた)後のガスセンサの図面であり、それらの図面を参照するに、接合部材(引用文献2では「バレル部52」、引用文献3では「金属端子543」)は変形していないことが見て取れることから、上記隙間が、「端子に相当する部材の変形を避ける」こと及び「円筒状カバーを縮径させるときに、リード線が繋がる端子の変形を防止する」ことに全く寄与していないとはいえない。 そうすると、請求人の「そのため、引用文献1の発明に引用文献2?4の発明を適用したとしても、当業者が請求項1の発明を容易に想到することはできない。」とはいえず、請求人が主張する「端子に相当する部材の変形を避ける」こと及び「円筒状カバーを縮径させるときに、リード線が繋がる端子の変形を防止する」ことを効果としてみても、それは周知技術に対して格別顕著な効果とはいえない。 してみれば、上記ア(ア)で記載したように、引用発明に引用文献2及び3記載の周知技術を適用して、本件補正発明とすることは当業者が容易になし得た設計事項であるとの判断に変わりない。 b なお、上記周知技術の隙間に「端子に相当する部材の変形を避ける」、「円筒状カバーを縮径させるときに、リード線が繋がる端子の変形を防止する」といった技術的意義あるいは効果はなく、それは当業者において自明なものでもないとすると、上記ア(エ)で述べたように、「該端子と上記ブッシュとの接触を避けるための隙間」は図面から導出された事項であり、「端子に相当する部材の変形を避けるため」、「円筒状カバーを縮径させるときに、リード線が繋がる端子の変形を防止するといった課題」についての記載は明細書にはないから、発明の構成要素に新たな自明でない技術的意義あるいは効果を付加するものとなる。 そうすると、請求人の上記主張を踏まえて「該端子と上記ブッシュとの接触を避けるための隙間」を解釈すると、それは新規事項の追加にもなり得るものである。そして、仮に新規事項とすると、新規事項を含む本件補正は却下されるべきであり、その新規事項を省いた発明についても、引用発明から当業者が容易になし得た発明といえることから、下記の第4のむすびにおいて述べる結論に変わりはないことになる。 エ 小括 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和元年12月25日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年5月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1?4に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし4に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1.特開2015-068682号公報 引用文献2.特開2009-162668号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3.特開2008-122414号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4.実願平04-065272号(実願平05-069669号)のCD-ROM(周知技術を示す文献) 引用文献5.米国特許出願公開第2010/0050738号明細書(周知技術を示す文献) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び周知技術を示す文献(引用文献2、3)の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「内側部位」及び「内側部位と、リード線の端部に設けられて内側部位に配置された端子との間に形成され」た「隙間」に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-09-02 |
結審通知日 | 2020-09-08 |
審決日 | 2020-09-23 |
出願番号 | 特願2015-190388(P2015-190388) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 櫃本 研太郎 |
特許庁審判長 |
森 竜介 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 三崎 仁 |
発明の名称 | 車載用センサ |
代理人 | 特許業務法人あいち国際特許事務所 |