• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G08G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G08G
管理番号 1368002
審判番号 不服2019-3687  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-19 
確定日 2020-11-13 
事件の表示 特願2017-543787「センサ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月25日国際公開、WO2016/131617、平成30年 4月19日国内公表、特表2018-511113〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2016年(平成28年)1月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年2月17日 (DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成30年7月9日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月15日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年11月12日付けで拒絶査定がなされ(発送日 同年11月19日)、これに対して平成31年3月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、当審において、令和2年1月29日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年5月7日付けで意見書が提出されるとともに誤訳訂正がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1?18に係る発明は、令和2年5月7日付でされた誤訳訂正により補正された特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「センサ装置(101)であって、
内部に配置された1つまたは複数のセンサ(107)をカプセル化するセンサカプセル(103)と、
交通インフラストラクチャ(115)に固定されたホルダ(105)と
を含み、
前記センサカプセル(103)は、前記ホルダ(105)内に解離可能に固定されており、
前記1つまたは複数のセンサ(107)が、回路板(113)上に配置されており、
前記センサカプセル(103)は、前記1つまたは複数のセンサ(107)と、前記回路板(113)とをカプセル化しており、
前記ホルダ(105)は、前記センサカプセル(103)を前記交通インフラストラクチャ(115)に間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、
前記ホルダ(105)は、通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサ(107)のセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースを有し、これにより、前記ホルダ(105)は、前記別の機能として、通信機能を有している、
センサ装置(101)。」

第3 当審拒絶理由の概要

令和2年5月7日付でされた誤訳訂正による補正(以下、「本件補正」という)後の請求項1は、本件補正前の請求項1を引用する請求項3を引用する請求項4に本件補正前の明細書に記載された事項を加入したものであるが、本件補正前の請求項4に係る発明についての当審拒絶理由の理由A,Bは、概略、次のとおりのものである。
A.請求項4に係る発明は、その優先日前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用例1?3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
B.請求項4に係る発明は、その優先日前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用例1に記載された発明に基いて、引用例2に記載された発明に基いて、引用例3に記載された発明に基いて、引用例5に記載された発明及び引用例1?4に記載された技術に基いて、また引用例6に記載された発明及び引用例1?5に記載された技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.実願平4-88883号(実開平6-56893号)のCD-ROM
2.特開平9-161194号公報
3.特開2001-236577号公報
4.特開2001-248323号公報
5.国際公開第2014/109540号
6.米国特許出願公開第2013/0025115号明細書

第4 引用例の記載及び引用発明

1.引用例3の記載及び引用発明3
(1)当審拒絶理由で引用した引用例3である特開2001-236577号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。)。
ア.「【特許請求の範囲】
【請求項1】 光エネルギーを電気信号に変換する検知センサを備え、該検知センサにより所定の検知エリアを設定し、かつ、悪環境の空間内に設置して、該空間内の火災を検知する火災検知器において、
少なくとも、前記検知センサ、及び、前記検知センサから出力される前記電気信号に基づいて、火災判断等のための所定の電気的な処理を実行する回路が形成された回路基板部を収納する第1の密閉空間を有する検知器ユニットと、
前記検知器ユニットが着脱可能に取り付けられた取付ベースと、を備えていることを特徴とする火災検知器。
・・・(中略)・・・
【請求項5】 前記検知器ユニットは、第2の密閉用部材を介して、前記取付ベースに着脱可能に密着して取り付けられ、
前記検知器ユニット及び前記取付ベースにより形成される第2の密閉空間に、前記回路基板部と電気的に接続され、かつ、交換頻度の比較的高い回路部品を収納したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の火災検知器。
・・・(中略)・・・
【請求項7】 前記回路部品は、前記回路基板部に対して着脱可能なコネクタを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項5又は6記載の火災検知器。
【請求項8】 前記コネクタは、前記密閉用カバーに密着して一体的に形成されていることを特徴とする請求項7記載の火災検知器。
【請求項9】 前記取付ベースは、前記火災検知器の外部と電気的な接続を行うためのケーブルコネクタが密着して設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の火災検知器。」
イ.「【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>図1は、本発明に係る火災検知器の第1の実施形態を示す概略構成図であり、図2は、本実施形態に係る火災検知器の断面構造を示す概略断面図であり、図3は、本実施形態に係る火災検知器本体に適用される検知器ユニットの組立構造を示す分解図である。図1に示すように、火災検知器1Aは、大別して、所望の火災検知機能を実現するための種々のセンサや回路を備えた検知器ユニット10Aと、図示を省略した入出力用の伝送ケーブルが配索され、トンネル内壁面に設置された所定の検知器箱内に取り付け固定される取付ベース21と、を有し、これら検知器ユニット10A及び取付ベース21が簡易に着脱可能に構成されている。
【0020】図2、図3に示すように、検知器ユニット10Aは、上述した従来の火災検知器100の構成(図12、図13参照)と同様に、上部カバー11の一面側(図面上方)の略中央部において、トンネル内部方向に突出するように組み付けられ、火炎から放射される輻射光(赤外線エネルギー)を検知する焦電素子等からなる受光素子や光学フィルタを含む一対の検知センサ部(検知センサ)12a、12bが収納されたドーム状の透光性の受光ガラス(透光性窓)13と、該受光ガラス13の周辺に配置され、受光ガラス13の汚れ状態等を検知するための試験光を発する試験光源(チェックランプ)14が収納されたドーム状の透光性のグローブ15が設けられた構成を有している。ここで、受光ガラス13は、ドーム形状部分が上部カバー11の略中央部に形成された開口部11aから突出して、フランジ形状部分13aがOリング又はパッキンP11、P12を介して上記開口部11aの縁辺部に密着するように組み付け固定され、また、試験光源14を収納するグローブ15も、ドーム形状部分が上部カバー11の所定の位置に形成された開口部から突出して、Oリング又はパッキンを介して上記開口部に密着するように組み付け固定されている。
【0021】また、上部カバー11の他面側(図面下方)には、Oリング(第1の密閉用部材)16を介して、モールドカバー(密閉用カバー)17が着脱可能に密着して取り付けられ、上部カバー11とモールドカバー17により形成される空間には、上記検知センサ部12a、12bから出力される検出信号に基づいて、火災判断等を行う信号処理回路等が搭載された主回路基板(回路基板部)18が収納されている。ここで、上部カバー11に対して、上記モールドカバー17を密着して(気密性を有して)取り付ける構造としては、例えば、図2に示すように、モールドカバー17のOリング16近傍をボルトBT1等の締結部材により上部カバー11に均等に締結固定する構成を適用することができる。」
ウ.「【0045】<第3の実施形態>次に、本発明に係る火災検知器の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。図9は、本発明に係る火災検知器の第3の実施形態を示す概略構成図である。ここで、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化する。本実施形態においては、検知器ユニットにより形成される第1の密閉空間に収納された主回路基板と、検知器ユニット及び取付ベースにより形成される第2の密閉空間に収納された回路部品との接続構造について説明する。
・・・(中略)・・・
【0048】第2の接続構造の例は、図9(b)に示すように、第1の密閉空間SPAに収納された主回路基板18から延伸する接続ケーブルCB1を、樹脂材料等を封止することによりモールドカバー17に気密性を有して取り付け、当該接続ケーブルCB1の先端に取り付けられたコネクタCN4を、第2の密閉空間SPBに収納され、取付ベース21側にボルトBT5等の締結部材により取り付け固定された回路部品19側に設けられたコネクタCN5に着脱可能に接続することにより、電気的に接続するように構成したものである。なお、モールドカバー17に対して、接続ケーブルCB1を気密性を有して取り付ける構造としては、例えば、インサート成形法等により、接続ケーブルCB1をモールドカバー17に一体的に成形した構造を適用することができる。このような接続構造によれば、回路部品19を取付ベース21に固定することができ、当該回路部品19の交換の際に、モールドカバー17やコネクタCN4、CN5に負荷を与えることがないので、第1の密閉空間SPAの気密性を良好に確保することができる。なお、接続ケーブルCB1に替えて、導電性の接続ピンを適用することもできる。
エ.「【0049】<第4の実施形態>次に、本発明に係る火災検知器の第4の実施形態について、図面を参照して説明する。図10は、本発明に係る火災検知器の第4の実施形態を示す概略構成図である。ここで、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化する。本実施形態においては、火災検知器の外部から電気信号を伝送する入出力用の伝送ケーブルの接続構造について説明する。
【0050】図10に示すように、本実施形態に係る伝送ケーブルの接続構造は、取付ベース21に設けられた所定の開口部に対して、パッキンP22を介してボルトBT6等の締結部材により締結固定することにより、気密性を有して取り付けられた単一のケーブルコネクタ24と、取付ベース21の外方側に露出するケーブルコネクタ24の電極に、着脱可能に電気的に接続される外部コネクタ25と、取付ベース21の内部に露出するケーブルコネクタ24の電極に、着脱可能に電気的に接続される内部コネクタ26と、一端側に内部コネクタ26が接続された伝送線CB2の他端側に取り付けられた基板側コネクタ27と、を有している。ここで、基板側コネクタ27は、上述した第3の実施形態(図9参照)に示した接続構造により主回路基板18に電気的に接続された回路部品19に設けられた所定のコネクタに接続される。
【0051】このような構成において、ケーブルコネクタ24の両端に、トンネル内に配索されたメイン伝送ケーブルに接続された外部コネクタ25と、基板側コネクタ27を介して回路部品19に接続された内部コネクタ26とを電気的に接続することにより、図示を省略した検知器ユニットに収納された主回路基板とメイン伝送ケーブルが電気的に接続されて、火災検知情報等の電気信号や自己診断用の指令信号等が、管理センターとの間で送受信される。すなわち、トンネル内に配索される伝送ケーブルが取付ベース21内部にまで延在することなく、取付ベース21内の第2の密閉空間SPBが、外部と完全に遮断された構成を有している。したがって、本実施形態においては、トンネル内に配索される伝送ケーブルの接続部(ケーブルコネクタ24)を介して、第2の密閉空間SPB、更には、第1の密閉空間SPAにトンネル内の腐食性ガスが侵入することが防止され、検知センサ部や主回路基板に搭載されたIC、回路部品等の特性の劣化を一段と抑制することができる。」
オ.図2,3,8及び9の記載からみて、検知センサは、回路基板部上に配置されていることが理解できる。
(2)そうすると、これらの事項からみて、引用例3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「火災報知器であって、
検知センサ、及び、前記検知センサから出力される電気信号に基づいて火災判断等のための所定の電気的な処理を実行する回路が形成された回路基板部を収納する第1の密閉空間を有する検知器ユニットと、
トンネル内壁面に設置された検知器箱内に取り付け固定される取付ベースと
を備え、
前記検知器ユニットが前記取付ベースに着脱可能に取り付けられ、
前記検知センサが前記回路基板部上に配置され、
前記検知器ユニット及び前記取付ベースにより形成される第2の密閉空間に、前記取付ベース側に取り付け固定された回路部品を収納し、
前記回路基板部から延伸する接続ケーブルの先端に取り付けられたコネクタを、前記回路部品側に設けられたコネクタに着脱可能に接続し、
前記取付ベースに前記火災検知器の外部と電気的な接続を行うためのケーブルコネクタを密着して設け、
前記ケーブルコネクタの両端に、トンネル内に配索されたメイン伝送ケーブルに接続された外部コネクタと、前記回路部品に接続された内部コネクタとを電気的に接続することにより、前記回路基板部と前記メイン伝送ケーブルが電気的に接続されて、火災検知情報等の電気信号や自己診断用の指令信号等が、管理センターとの間で送受信される、
火災報知器。」

2.引用例5の記載及び引用発明5
(1)当審拒絶理由で引用した引用例5である国際公開第2014/109540号には、図面とともに、以下の事項が記載されている(訳は、当審による仮訳(以下、単に「仮訳」という。)である。また、下線は、当審で付加した。)。
ア.「[2] Generally, a home network system includes various sensors.」
(仮訳:一般に、ホームネットワークシステムは、種々のセンサを備えている。)
イ.「[14] According to the embodiment, there is provided a sensor module including a module unit including a first body having a cavity and a module substrate received in the first body; and a sensor unit including a second body detachable from the cavity of the module unit and a sensor received in the second body, wherein the module unit reads an output signal from the sensor unit to generate sensing information and wirelessly outputs the sensing information.」
(仮訳:[14] 実施形態によれば、空洞を有する第1の本体及び該第1の本体に収容されるモジュール基板を備えるモジュールユニットと、前記モジュールユニットの前記空洞から取り外し可能な第2の本体及び該第2の本体に収容されるセンサを備えるセンサユニットと、を備えるセンサモジュールであって、前記モジュールユニットは、前記センサユニットからの出力信号を読み込んで検出情報を生成し、該検出情報を無線で出力するセンサモジュールが提供される。)
ウ.「[38] As shown in FIG. 3, the sensor module 100 according to the embodiment includes a module unit 10 and a sensor unit 50.
[39] The first and second embodiments are distinguished from each other according to a kind of signal transmitted from the sensor unit 50 to the module unit 10.
[40] That is, in the first embodiment, an analog sensing signal is generated from the sensor unit 50 and transmitted to the module unit 10. The module unit 10 converts the analog sensing signal into a digital signal and generates sensing information based on the digital signal.
[41] In the second embodiment, the analog sensing signal is generated from the sensor unit 50 and the sensor unit 50 converts the analog sensing signal into a digital signal. Then, the sensor unit 50 transmits the digital signal to the module unit 10. The module unit 10 generates sensing information by using the digital signal.
[42] The module unit 10 according to the embodiment includes a wireless communication unit 20 and a control unit 30.」
(仮訳:[38] 図3に示すように、実施形態に係るセンサモジュール100は、モジュールユニット10とセンサユニット50とを備えている。
[39] 第1及び第2の実施形態は、センサユニット50からモジュールユニット10に送信される信号の種類によって区別される。
[40] すなわち、第1の実施形態では、センサユニット50からアナログ検出信号が生成され、モジュールユニット10に送信される。モジュールユニット10は、アナログ検出信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号に基づいて検出情報を生成する。
[41] 第2の実施形態では、センサユニット50からアナログ検出信号が生成され、センサユニット50が該アナログ検出信号をデジタル信号に変換する。そして、センサユニット50は、該デジタル信号をモジュールユニット10に送信する。モジュールユニット10は、該デジタル信号を用いて検出情報を生成する。
[42] 本実施形態によれば、モジュールユニット10は、無線通信ユニット20及び制御ユニット30を備えている。)
エ.「[47] The module unit 10 includes the wireless communication unit 20 and the control unit 30 therein, and is connected to the sensor unit 50 through a connector 15. The connector 15 includes a connector pin 16 and a connector guide 17.」
(仮訳:[47] モジュールユニット10は、無線通信ユニット20と制御ユニット30とを備え、コネクタ15を介してセンサユニット50に接続されている。コネクタ15は、コネクタピン16及びコネクタガイド17を備える。)
オ.「[51] Since the wireless communication unit 20 communicates with a server through a wireless network, the wireless communication unit 20 receives a control signal transmitted through the server and transmits sensing information generated based on the sensing signal of the sensor unit 50 to the server.」
(仮訳:[51] 無線通信ユニット20は、無線ネットワークを介してサーバと通信するので、無線通信ユニット20は、該サーバから制御信号を受信し、該サーバにセンサユニット50の検出信号に基づいて生成される検出情報を送信する。)
カ.「[53] The control unit 30 receives an output signal (sensing signal) output from the sensor unit 50 and reads the output signal to generate the sensing information which is transmitted to the server.
[54] The control unit 30 may selectively include the converting unit (A-D converting unit) 32 according to the kind of signal transmitted from the sensor unit 50.
[55] The control unit 31, which is an element of the control unit 30, is a main control unit for substantially controlling an overall operation of the module unit 10. Thus, the control unit 31 will be called a main control unit below.
・・・(中略)・・・
[58] Meanwhile, the main control unit 31 stores a plurality of firmware corresponding to kinds of the sensor unit 50.
[59] For example, the main control unit 31 stores a firmware for driving a temperature sensor, a firmware for driving a humidity sensor, a PIR (Pyroelectric Infrared Ray) sensor, a firmware for driving an illumination sensor , a firmware for driving a microwave sensor and a firmware for driving an electric field sensor.」
(仮訳:[53] 制御ユニット30は、センサユニット50から出力される出力信号(検出信号)を受信し、該出力信号を読み込んで前記サーバに送信される検出情報を生成する。
[54] 制御ユニット30は、センサユニット50から送信された信号の種類に応じて変換ユニット(A/D変換ユニット)32を選択的に含むことができる。
[55] 制御ユニット31は、制御ユニット30の一要素であって、モジュールユニット10の全体的な動作を実質的に制御する主制御ユニットである。したがって、以下、制御ユニット31を主制御ユニットと呼ぶ。
・・・(中略)・・・
[58] 同時に、主制御ユニット31は、センサユニット50の種類に対応する複数のファームウェアを記憶している。
[59] 例えば、主制御ユニット31は、温度センサを駆動するためのファームウエア、湿度センサを駆動するためのファームウエア、PIR(焦電型赤外線)センサ、照度センサを駆動するためのファームウエア、マイクロ波センサを駆動するためのファームウエア及び電界センサを駆動するためのファームウエアを記憶している。)
キ.「[78] The sensor unit 50 is physically spaced apart from the module unit 10 and connected to the module unit 10 through the connector 15. That is, the sensor unit 50 may be selectively coupled to or separated from the connector 15 of the module unit 10.
[79] As shown in FIG. 6, the sensor unit 50 according to the first embodiment includes a sensor 53, a filter unit 52 and an amplifier unit 51.
[80] . In addition, as shown in FIG. 7, the sensor unit 50 according to the second embodiment includes a sensor 53, a filter unit 52, a converting unit 54 and an amplifier unit 55.
[81] . Hereinafter the sensor unit 50 according to the first embodiment will be described.
[82] The sensor 53 may include various sensors, such as a temperature sensor, a humidity sensor, a PIR (Pyroelectric Infrared Ray) sensor, an illumination sensor, a microwave sensor or an electric field sensor, which may be used to wirelessly control a lighting and HVAC (Heating, Ventilation, Air Conditioning) system.」
(仮訳:[78] センサユニット50は、モジュールユニット10から物理的に離隔し、コネクタ15を介してモジュールユニット10に接続されている。つまり、センサユニット50は、選択的に、モジュールユニット10のコネクタ15に結合し又はモジュールユニット10のコネクタ15から分離することができる。
[79] 図6に示すように、第1の実施形態に係るセンサユニット50は、センサ53と、フィルタユニット52と、増幅ユニット51と、を備える。
[80] また、図7に示すように、第2の実施形態に係るセンサユニット50は、センサ53と、フィルタユニット52と、変換ユニット54と、増幅ユニット55と、を備える。
[81] 以下、第1の実施形態に係るセンサユニット50について説明する。
[82] センサ53は、照明及びHVAC(暖房、換気及び空調)システムを無線で制御するために使用することができる、温度センサ、湿度センサ、PIR(焦電型赤外線)センサ、照度センサ、マイクロ波センサ又は電界センサ等、種々のセンサを含んでもよい。)
ク.「[95] FIG. 8 is a perspective view showing one example of the module unit 10 depicted in FIG. 3. FIG. 9 is a perspective view showing a combination of the module unit 10 and the sensor unit 50.
[96] Referring to FIGS. 8 and 9, the sensor module 100 according to the embodiment is divided into the module unit 10 and the sensor unit 50.
[97] As shown in FIG. 8, the module unit 10 includes a body 18 having the cavity 12 provided on a top surface thereof.
[98] The body 18 has a space therein. A module substrate including a wireless communication unit 20 and a control unit 30 is received in the space of the body 18.
・・・(中略)・・・
[100] The body 18 may have a rear surface of a flat shape to be attachable.
・・・(中略)・・・
[104] The cavity 12 has a predetermined depth and includes the connector 15 protruding from the bottom surface of the cavity 12.
・・・(中略)・・・
[107] The connector 15 guides the sensor unit 50 inserted into the cavity 12 to allow the sensor unit 12 to make contact with the module substrate disposed in the body 18.」
(仮訳:[95] 図8は、図3に示したモジュールユニット10の一例を示す斜視図であり、図9は、モジュールユニット10とセンサユニット50との組み合わせを示す斜視図である。
[96] 図8及び図9を参照すると、本実施形態に係るセンサモジュール100は、モジュールユニット10とセンサユニット50とに分割される。
[97] 図8に示すように、モジュールユニット10は、その頂面に設けられた空洞12を有する本体18を備えている。
[98] 本体18は、内部に空間を有している。無線通信ユニット20及び制御ユニット30を備えるモジュール基板は、本体18の前記空間に収容されている。
・・・(中訳)・・・
[100] 本体18は、取り付け可能なように平坦な形状の後背面を有することができる。
・・・(中略)・・・
[104] 空洞12は、所定の深さを有し、空洞12の底面から突出しているコネクタ15を備えている。
・・・(中略)・・・
[107] コネクタ15は、空洞12内に挿入されたセンサユニット50を案内し、センサユニット12を本体18内に設けられたモジュール基板に接続する。)
ケ.「[114] Referring to FIG. 9, the sensor unit 50 is inserted into the body 18 of the module unit 10.
[115] The sensor unit 50 has the same shape as that of the cavity 12 regardless of a type of sensor formed in the sensor unit 50. The sensor unit 50 has an area equal to or larger than that of the cavity 12 such that the sensor unit 50 may be received in the cavity 12.
[116] A groove is formed in the rear surface of the sensor unit 50 such that the connector of the module unit 10 is inserted into the groove. The module unit 10 may be connected to the amplifier unit 51 of the sensor unit 50 or the converting unit 54.」
(仮訳:[114] 図9を参照すると、センサユニット50は、モジュールユニット10の本体18内に挿入される。
[115] センサユニット50は、センサユニット50に形成されたセンサの種類に関わらず、空洞12の形状と同じ形状を有している。センサユニット50は、空洞12の面積と等しいか又はそれより大きい面積を有し、空洞12内に受容されることができる。
[116] 溝がセンサユニット50の後背面に形成され、該溝にモジュールユニット10のコネクタが挿入される。モジュールユニット10は、センサユニット50の増幅ユニット51又は変換ユニット54に接続されることができる。)
(2)そうすると、これらの事項からみて、引用例5には次の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「センサモジュール(a sensor module)であって、
センサ(a sensor)を収容する第2の本体(a second body)を含むセンサユニット(a sensor unit 50)と、
空胴(a cavity)と取付のための後背面(a rear surface)とを有する第1の本体(a first body)を含むモジュールユニット(a module unit 10)と
からなり、
前記第2の本体は、前記第1の本体の前記空胴から取り外し可能であり、
前記モジュールユニットは、前記センサユニットの出力信号(an output signal)を受信し、検出情報(sensing information)を生成する制御ユニット(a control unit 30)と、無線ネットワークを介してサーバ(a server)と通信し、当該サーバから制御信号(a control signal)を受信し、当該サーバに前記検出情報を送信する無線通信ユニット(a wireless communication unit 20)とを備えている、
センサモジュール。」

3.引用例1の記載
当審拒絶理由で引用した引用例1である実願平4-88883号(実開平6-56893号)のCD-ROMには、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア.「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、有料道路あるいは、駐車場等における有人料金収受システム及び自動料金収受システムに利用される車両検知装置に関する。」

4.引用例2の記載
当審拒絶理由で引用した引用例2である特開平9-161194号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有料道路等の車両通行路の幅方向に長手方向を一致させて路面に埋設され、通行車両の踏圧を検知することにより、上記通行車両の軸数の確認、前後進の判別等を行なう踏板装置に関する。」

5.引用例4の記載
当審拒絶理由で引用した引用例4である特開2001-248323号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は駐車場への車両の無断駐停車を防止するための駐停車防止警報装置に関するものである。」
イ.「【0007】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本発明の駐停車防止警報装置の第1の実施形態を図1、図2に基づいて詳細に説明する。この駐停車防止警報装置20は図1に示すように進入検知センサ2、警報発生部3、警報解除部4を備えており、それらは図2に示す筐体1に内蔵されている。
【0008】図2の筐体1は駐車場の地面、床面等に固定される取付け板21とケース22を一体成型してある。取付け板21とケース22はアクリル樹脂、強化樹脂といった樹脂、強化ガラス、金属等で作られている。取付け板21は方形枠状であり、その四隅に通孔23が開けられており、この通孔23に釘24を打ち込んで駐車場の地面、床面等に固定できるようにしてある。取付け板21の取付けは螺子、接着剤等で固定することもできる。
【0009】又、ケース22は内部が中空になっており、その内側に進入検知センサ2、警報発生部3、警報解除部4を取付けてある。これら進入検知センサ2、警報発生部3、警報解除部4は取付け板21に取付けることもできる。」
ウ.「【0016】(実施形態2)本発明の駐停車防止警報装置の第2の実施形態を図3、図4に基づいて詳細に説明する。本実施形態の基本的な構成は、前記実施形態1と同様である。異なるのは筐体1を丸型にしたこと、ランプ32の外側に窓42を設けてランプ32の光が筐体1の外側に漏れる様にしたこと、筐体1を取付け板21に着脱可能としたことである。」

第5 対比・判断

1.引用例3を主引用例とする当審拒絶理由について
(1)本願発明と引用発明3を対比する。
ア.引用発明3の「火災報知器」は,本願発明の「センサ装置」に相当する。
イ.引用発明3の「検知センサ」及び「前記検知センサから出力される電気信号に基づいて火災判断等のための所定の電気的な処理を実行する回路が形成された回路基板部」は、それぞれ、本願発明の「1つまたは複数のセンサ」及び「回路板」に相当する。そうすると、引用発明3の「前記検知センサが前記回路基板部上に配置され」ていることは、本願発明の「前記1つまたは複数のセンサが、回路板上に配置されて」いることに相当する。
引用発明3の前記検知センサは、検知器ユニットが有する第1の密閉空間に収納されているから、引用発明3の「検知器ユニット」は、本願発明の「センサカプセル」に相当する。そうすると、引用発明3の「検知センサ、及び、前記検知センサから出力される電気信号に基づいて火災判断等のための所定の電気的な処理を実行する回路が形成された回路基板部を収納する第1の密閉空間を有する検知器ユニット」は、本願発明の「内部に配置された1つまたは複数のセンサをカプセル化するセンサカプセル」であって、「前記センサカプセルは、前記1つまたは複数のセンサと、前記回路板とをカプセル化して」いるものに相当する。
ウ.引用発明3の「トンネル」は、本願発明の「交通インフラストラクチャ」に相当する。
本願発明の「ホルダ」は、前記センサカプセルが解離可能に固定されるものであり、引用発明3の「着脱可能に取り付けられ」ることは、本願発明の「解離可能に固定される」ことに相当するから、引用発明3の「取付ベース」は、本願発明の「ホルダ」に相当し、引用発明3の「前記検知器ユニットが前記取付ベースに着脱可能に取り付けられ」ることは、本願発明の「前記センサカプセルは、前記ホルダ内に解離可能に固定されて」いることに相当する。
そして、引用発明3において、前記取付ベースは、前記トンネル内壁面に設置された検知器箱内に取り付け固定されるから、間接的に前記トンネル内壁面に固定されているといえる。そうすると、引用発明3の「トンネル内壁面に設置された検知器箱内に取り付け固定される取付ベース」は、本願発明の「交通インフラストラクチャに固定されたホルダ」に相当する。
エ.引用発明3の前記取付ベースは、前記のとおり、前記トンネル内壁面に間接的に固定されており、かつ前記検知器ユニットが着脱可能に取り付けられるから、前記検知器ユニットを前記トンネル内壁面に間接的に固定する機能を有しているといえ、当該機能は、本願発明の「前記センサカプセル(103)を前記交通インフラストラクチャ(115)に間接的に固定する機能」に相当する。
引用発明3は、前記接続ケーブル、前記回路部品側に設けられたコネクタ、前記回路部品、前記回路部品に接続された内部コネクタ及び前記ケーブルコネクタを介して、前記回路基板部と前記メイン伝送ケーブルが電気的に接続されて、火災検知情報等の電気信号や自己診断用の指令信号等が管理センターとの間で送受信されるものである。そして、前記回路部品及び前記ケーブルコネクタは前記取付ベースに設けられているから、引用発明3の前記取付ベースは、前記検知器ユニットを前記トンネル内壁面に間接的に固定する機能に加え、前記回路基板部から前記管理センターに前記火災検知情報等の電気信号に送信するという機能をも奏しているといえ、この点は、本願発明の「前記センサカプセル(103)を前記交通インフラストラクチャ(115)に間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、」「前記別の機能として、通信機能を有している」ことに相当する。
そして、引用発明3において、前記回路基板部から前記管理センターへの前記電気信号の送信は、当然、何らかの通信ネットワークを介して行われ、「火災検知情報」は、本願発明の「前記1つまたは複数のセンサのセンサデータ」に相当し、「前記回路部品側に設けられたコネクタ」及び「ケーブルコネクタ」は、前記火災検知情報等の電気信号を前記回路基板部から前記管理サーバに送信するためのコネクタといえるから、引用発明3の「前記回路部品側に設けられたコネクタ」及び「ケーブルコネクタ」は、いずれも、本願発明の「通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェース」に相当する。
そうすると、引用発明3の「前記検知器ユニット及び前記取付ベースにより形成される第2の密閉空間に、前記取付ベース側に取り付け固定された回路部品を収納し、前記回路基板部から延伸する接続ケーブルの先端に取り付けられたコネクタを、前記回路部品側に設けられたコネクタに着脱可能に接続し、前記取付ベースに前記火災検知器の外部と電気的な接続を行うためのケーブルコネクタを密着して設け、前記ケーブルコネクタの両端に、トンネル内に配索されたメイン伝送ケーブルに接続された外部コネクタと、前記回路部品に接続された内部コネクタとを電気的に接続することにより、前記回路基板部と前記メイン伝送ケーブルが電気的に接続されて、火災検知情報等の電気信号や自己診断用の指令信号等が、管理センターとの間で送受信される」ことは、本願発明の「前記ホルダは、前記センサカプセルを前記交通インフラストラクチャに間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、前記ホルダは、通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースを有し、これにより、前記ホルダは、前記別の機能として、通信機能を有している」ことに相当する。
オ.以上のとおりであるから、本願発明と引用発明3とは、以下の点で一致し、相違点は存在せず、本願発明は、引用例3に記載された発明である。
【一致点】
センサ装置であって、
内部に配置された1つまたは複数のセンサをカプセル化するセンサカプセル(103)と、
交通インフラストラクチャに固定されたホルダ(105)と
を含み、
前記センサカプセルは、前記ホルダ内に解離可能に固定されており、
前記1つまたは複数のセンサが、回路板上に配置されており、
前記センサカプセルは、前記1つまたは複数のセンサと、前記回路板とをカプセル化しており、
前記ホルダは、前記センサカプセルを前記交通インフラストラクチャに間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、
前記ホルダは、通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースを有し、これにより、前記ホルダは、前記別の機能として、通信機能を有している、
センサ装置。
(2)請求人は、令和2年5月7日付の意見書において、「本願請求項1に係る発明は、(a)センサカプセル内に、センサが配置された回路板がカプセル化されている、(b)ホルダがセンサデータを送信するための通信インタフェースを有する、という発明特定事項を備えています。・・・(中略)・・・引用例3には事項(a)が開示されています。しかし、事項(b)に関して、引用例3において、当業者が、取付ベース21(本願のホルダに相当)に、通信インタフェースを配置することはないと思量いたします。なぜなら、取付ベース21に通信インタフェースを配置すれば、これが腐食性ガスに曝されやすくなり、火災監視機能の特性劣化を抑制するという課題(段落0013)の解決が妨げられるからです。引用例3において、主回路基板18は、密閉空間SPA内で腐食性ガスから保護されます(段落0025)。」と主張している。
ア.しかしながら、「通信インタフェース」は、通信ネットワークに接続するための装置という意味を有し、そのような装置にはコネクタも含まれるから、前記「(1)エ」で検討したとおり、引用発明3の「前記回路部品側に設けられたコネクタ」及び「ケーブルコネクタ」は、本願発明の「通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェース」に相当し、請求人の前記主張は認められない。
イ.仮に、本願発明の「通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェース」が、コネクタを包含せず、前記通信ネットワークを介して前記センサデータを送信するために何らかの処理又は動作をする部品であるとすると、引用発明3も、当然、前記回路基板部から前記管理センターへ前記電気信号を送信するための処理又は動作を行う部品を有しており、当該部品は、本願発明の「通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェース」に相当するから、この場合,本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。
【一致点’】
センサ装置であって、
内部に配置された1つまたは複数のセンサをカプセル化するセンサカプセルと、
交通インフラストラクチャに固定されたホルダと
を含み、
前記センサカプセルは、前記ホルダ内に解離可能に固定されており、
前記1つまたは複数のセンサが、回路板上に配置されており、
前記センサカプセルは、前記1つまたは複数のセンサと、前記回路板とをカプセル化しており、
前記ホルダは、前記センサカプセルを前記交通インフラストラクチャに間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、
通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースを有している、
センサ装置。
【相違点’】
通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースに関し、
本願発明は、前記ホルダが前記通信インタフェースを有し、これにより、前記ホルダが、前記別の機能として、通信機能を有しているのに対し、
引用発明3は、何が前記通信インタフェースを有しているのか明らかではない点。
前記相違点’について検討すると、引用発明3は、前記センサカプセル(検知器ユニット)と前記ホルダ(取付ベース)とからなるから、おのずと、前記センサカプセル又は前記ホルダのいずれかは前記通信インタフェースを有することとなる。そして、引用発明3においては、前記「(1)エ」で検討したとおり、前記センサカプセルによりカプセル化された前記1つまたは複数のセンサ(検知センサ)のセンサデータ(火災検知情報)は、前記ホルダ側に固定された回路部品側に設けられたコネクタ、当該回路部品、当該回路部品に接続された内部コネクタ及び前記ホルダに固定されたケーブルコネクタを介して、前記管理センターに送信され、また前記1つまたは複数のセンサが故障すると、前記センサカプセルごと他の前記センサカプセルと交換されることとなるから、前記通信インタフェースのコストや故障頻度等を考慮して、前記ホルダが前記通信インタフェースを有するようにすることは、当業者が容易になし得る事項であり、結果として、前記ホルダは、前記通信インタフェースを有することにより、前前通信機能を有することとなる。
請求人は、前記のとおり,「引用例3において、当業者が、取付ベース21(本願のホルダに相当)に、通信インタフェースを配置することはないと思量いたします。なぜなら、取付ベース21に通信インタフェースを配置すれば、これが腐食性ガスに曝されやすくなり、火災監視機能の特性劣化を抑制するという課題(段落0013)の解決が妨げられるからです。」と主張しているが、引用発明3は、前記メイン伝送ケーブルが前記ホルダ内部にまで延在することなく、前記ホルダ内の第2の密閉空間が外部と完全に遮断された構成を有しており、前記ケーブルコネクタを介して、前記第2の密閉空間にトンネル内の腐食性ガスが侵入することが防止され、前記回路部品等の特性の劣化を一段と抑制することができるものであるから(前記「第4 1(1)エ」参照)、引用発明3において、前記ホルダが前記通信インタフェースを有するようにすることに特段の支障は見いだすことができず、請求人の前記主張は採用できない。
そうすると、引用発明3において、相違点’に係る本願発明を特定する事項を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。
そして、本願発明が奏する効果に、引用例3に記載されている事項に基いて、当業者が容易に予測し得る範囲を超えるものは見いだせない。
したがって、仮に、本願発明の「通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェース」が、コネクタを包含せず、前記通信ネットワークを介して前記センサデータを送信するために何らかの処理又は動作をする部品であったとしても、本願発明は、引用発明3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2.引用例5を主引用例とする当審拒絶理由について
(1)本願発明と引用発明5を対比する。
ア.引用発明5の「センサモジュール(a sensor module)」は、本願発明の「センサ装置」に相当する。
イ.引用発明5の「センサ(a sensor)」は、本願発明の「1つまたは複数のセンサ」に相当し、当該センサは、センサユニット(a sensor unit 50)の第2の本体(a second body)に収納されているから、引用発明5の「センサユニット(a sensor unit 50)」は、本願発明の「センサカプセル」に相当する。そうすると、引用発明5の「センサ(a sensor)を収容する第2の本体(a second body)を含むセンサユニット(a sensor unit 50)」は、本願発明の「内部に配置された1つまたは複数のセンサをカプセル化するセンサカプセル」に相当するとともに、本願発明の「前記センサカプセルは、前記1つまたは複数のセンサと、前記回路板とをカプセル化して」いることと、前記センサカプセルは、前記1つまたは複数のセンサをカプセル化している点で一致する。
ウ.本願発明の「ホルダ」は、前記センサカプセルが解離可能に固定されるものである。
一の部材が他の部材から取り外し可能であるためには、当然、その前提として、一の部材が他の部材に取り付け固定されていることが必要であるから、引用発明5の「取り外し可能」であることは、本願発明の「解離可能に固定される」ことに相当する。そして、引用発明5は、前記センサユニットの前記第2の本体がモジュールユニット(a module unit 10)の第1の本体(a first body)が有する空胴(a cavity)から取り外し可能であるから、引用発明5の「モジュールユニット(a module unit 10)」は、本願発明の「ホルダ」に相当し、引用発明5の「前記第2の本体は、前記第1の本体の前記空胴から取り外し可能であ」ることは、本願発明の「前記センサカプセルは、前記ホルダ内に解離可能に固定されて」いることに相当する。
そして、引用発明5の前記モジュールユニットは、前記第1の本体が取付のための後背面(a rear surface)を有しており、何らかの対象に取り付け固定されることは明らかであるから、引用発明5の「空胴(a cavity)と取付のための後背面(a rear surface)とを有する第1の本体(a first body)を含むモジュールユニット(a module unit 10)」は、本願発明の「交通インフラストラクチャに固定されたホルダ」と、固定対象に固定されたホルダである点で一致する。
エ.引用発明5の前記モジュールユニットは、前記のとおり、何らかの固定対象に固定されることは明らかであり、かつ前記センサユニットが取り外し可能であるから、前記センサユニットを前記固定対象に間接的に固定する機能を奏しているといえ、当該機能は、本願発明の「前記センサカプセル(103)を前記交通インフラストラクチャ(115)に間接的に固定する機能」と、前記センサカプセルを固定対象に間接的に固定する機能である点で一致する。
引用発明5の「無線通信ユニット(a wireless communication unit 20)」は、無線ネットワークを介してサーバ(a server)と通信するから、本願発明の「通信インタフェース」に相当する。前記無線通信ユニットは、制御ユニット(a control unit 30)が前記センサユニットの出力信号(an output signal)を受信して生成する検出情報(sensing information)を前記サーバに送信しており、実質的に前記センサユニットの出力信号を送信しているといえ、更に引用発明5の「前記センサユニットの出力信号(an output signal)」及び「無線ネットワーク」は、それぞれ、本願発明の「前記1つまたは複数のセンサのセンサデータ」及び「通信ネットワーク」に相当するから、引用発明5の「無線ネットワークを介してサーバ(a server)と通信し、当該サーバから制御信号(a control signal)を受信し、当該サーバに前記検出情報を送信する無線通信ユニット(a wireless communication unit 20)」は、本願発明の「通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェース」に相当する。
そして、前記モジュールユニットは、前記無線通信ユニットを備えているから、前記センサユニットを前記固定対象に間接的に固定する機能に加え、前記モジュールユニットは、通信機能を有しているといえる。
そうすると、引用発明5の「前記モジュールユニットは、前記センサユニットの出力信号(an output signal)を受信し、検出情報(sensing information)を生成する制御ユニット(a control unit 30)と、無線ネットワークを介してサーバ(a server)と通信し、当該サーバから制御信号(a control signal)を受信し、当該サーバに前記検出情報を送信する無線通信ユニット(a wireless communication unit 20)とを備えている」ことは、本願発明の「前前記ホルダ(105)は、前記センサカプセル(103)を前記交通インフラストラクチャ(115)に間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、前記ホルダ(105)は、通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサ(107)のセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースを有し、これにより、前記ホルダ(105)は、前記別の機能として、通信機能を有している」ことと、前記ホルダは、前記センサカプセルを固定対象に間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、前記ホルダは、通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースを有し、これにより、前記ホルダは、前記別の機能として、通信機能を有している点で一致する。
オ.以上のとおりであるから、本願発明と引用発明5との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
センサ装置であって、
内部に配置された1つまたは複数のセンサをカプセル化するセンサカプセルと、
固定対象に固定されたホルダと
を含み、
前記センサカプセルは、前記ホルダ内に解離可能に固定されており、
前記センサカプセルは、前記1つまたは複数のセンサをカプセル化しており、
前記ホルダは、前記センサカプセルを前記固定対象に間接的に固定する機能に加えて、1つまたは複数の別の機能をさらに有し、
前記ホルダは、通信ネットワークを介して前記1つまたは複数のセンサのセンサデータを送信するように構成された通信インタフェースを有し、これにより、前記ホルダは、前記別の機能として、通信機能を有している、
センサ装置。
【相違点1】
本願発明は、前記1つまたは複数のセンサが回路板上に配置されており、前記センサカプセルが前記1つまたは複数のセンサと前記回路板とをカプセル化しているのに対し、
引用発明5は、前記1つまたは複数のセンサ(センサ(a sensor))が何に配置されているのか、そして前記センサカプセル(センサユニット(a sensor unit 50))が前記1つまたは複数のセンサの他に何かをカプセル化しているか否か、が不明である点。
【相違点2】
固定対象について、本願発明は、交通インフラストラクチャであるのに対し、
引用発明5は、前記ホルダ(モジュールユニット)が何に固定されるのか不明である点。
(2)相違点について検討する。
ア.相違点1について検討すると、
センサを回路板上に配置することは、慣用手段である。更に、引用例5には、前記通信インタフェース(無線通信ユニット(a wireless communication unit 20))をモジュール基板に備え、該モジュール基板を前記ホルダ(モジュールユニット(a module unit 10))の前記第1の本体の内部の空間に収容することが記載されているから(前記「第4 2(1)ク」参照)、部品を回路板上に配置することについての開示又は示唆があるといえる。そうすると、引用発明5において、前記慣用手段を適用し、前記1つ又は複数のセンサ(センサ(a sensor))を回路板上に配置することは,当業者が容易になし得る事項である。そして、引用発明5は、前記センサカプセル(センサユニット(a sensor unit 50))が前記1つ又は複数のセンサをカプセル化しているものであるから、前記前記1つ又は複数のセンサを回路板上に配置するようにすれば、おのずと、前記センサカプセルは、当該回路板もカプセル化することとなる。
そうすると、引用発明5において、相違点1に係る本願発明を特定する事項を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。
イ.相違点2について検討すると、引用例5には、引用発明5を住居にて使用することの示唆がある(前記「第4 2(1)ア,キ」参照)。
一方、センサ装置は、引用例1?4に記載されているように、交通インフラストラクチャに広く適用されている。更に、引用例5には、種々の状態量を検出するために引用発明5を用い得ることが記載されており(前記「第4 2(1)カ,キ」参照)、また引用発明5を住居以外にて使用することを妨げる記載は見いだせない。
してみれば、引用例1?4に記載された技術を参酌すれば、引用発明5を交通インフラストラクチャに適用することは、当業者にとって容易である。そして、引用発明5を交通インフラストラクチャに適用すれば、前記固定対象は、おのずと、当該交通インフラストラクチャとなる。
そうすると、引用発明5において、相違点2に係る本願発明を特定する事項を採用することは、引用例1?4に記載された技術に基いて、当業者が容易に想到し得る事項である。
ウ.そして、本願発明が奏する効果に、引用例5及び引用例1ないし4に記載されている事項に基いて、当業者が容易に予測し得る範囲を超えるものは見いだせない。
エ.したがって、本願発明は、引用発明5及び引用例1ないし4に記載されている技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、または特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-06-05 
結審通知日 2020-06-09 
審決日 2020-06-24 
出願番号 特願2017-543787(P2017-543787)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G08G)
P 1 8・ 113- WZ (G08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武内 俊之  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 久保 竜一
長馬 望
発明の名称 センサ装置  
代理人 二宮 浩康  
代理人 上島 類  
代理人 前川 純一  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ