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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1368016
審判番号 不服2019-14273  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-25 
確定日 2020-12-07 
事件の表示 特願2014-230338「摩擦効果及び振動触覚効果を生成するシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月18日出願公開、特開2015-111416、請求項の数(35)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年11月13日(パリ条約による優先権主張2013年11月26日、米国)の出願であって、平成30年8月24日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年2月28日に手続補正書が提出され、令和元年6月20日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年10月25日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正書が提出され、更に同年12月19日付けで前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年6月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1,4-9,14-17,19-24,28-32,34-37に係る発明は、以下の引用文献1,5-7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項2,3に係る発明は、以下の引用文献1,2,5-7に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項10-13,25-27に係る発明は、以下の引用文献1,3,5-7に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項18,33に係る発明は、以下の引用文献1,4-7に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表2012-520523号公報
2.米国特許出願公開第2012/0268412号明細書
3.特表2011-528475号公報
4.国際公開第2013/128989号
5.特開2006-351012号公報
6.特開2011-54079号公報
7.再公表特許第2009/035100号

第3 本願発明
本願請求項1-35に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明35」という。)は、令和元年10月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-35に記載された事項により特定される発明であり、それらのうち、本願発明1,18,20,33はそれぞれ以下の1?4のとおりの発明である。

1 本願発明1
「【請求項1】
表面において、受信した入力を検出するように構成されたセンサと、
第1の種類の触覚フィードバックを前記表面において生成するように構成された第1触覚出力装置と、
前記第1の種類の触覚フィードバックと異なる第2の種類の触覚フィードバックを生成するように構成された第2触覚出力装置と、
前記センサ、前記第1触覚出力装置、及び前記第2触覚出力装置と結合されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含むメモリと、
を備え、
前記命令によって前記プロセッサが、
前記入力に応答して前記第1の種類の触覚フィードバックである触覚効果を所定の持続時間にわたって出力することを決定し、
前記第1触覚出力装置に、前記所定の持続時間よりも短い時間にわたって前記触覚効果を出力させ、
前記第1触覚出力装置によって前記触覚効果が出力される前記時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過したことに応答して、前記第2触覚出力装置に、前記所定の持続時間において前記第2の種類の触覚フィードバックを出力させ、
前記第1の種類の触覚フィードバックから前記第2の種類の触覚フィードバックへの遷移は、ユーザに前記遷移が円滑であると感じさせるように段階的に行われ、
前記第1の種類の触覚フィードバックは摩擦効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果である、又は前記第1の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは摩擦効果である、システム。」

2 本願発明18
「【請求項18】
表面において、受信した入力を検出するように構成されたセンサと、
第1の種類の触覚フィードバックを前記表面において生成するように構成された第1触覚出力装置と、
前記第1の種類の触覚フィードバックと異なる第2の種類の触覚フィードバックを生成するように構成された第2触覚出力装置と、
前記センサ、前記第1触覚出力装置、及び前記第2触覚出力装置と結合されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含むメモリと、
を備え、
前記命令によって前記プロセッサが、
前記入力に応答して前記第1の種類の触覚フィードバックである触覚効果を所定の持続時間にわたって出力することを決定し、
第1の周波数レンジにおける第1の周波数を含む第1の駆動信号を前記第1触覚出力装置に送信することによって、前記第1触覚出力装置に、前記所定の持続時間よりも短い時間にわたって前記第1の種類の触覚フィードバックを出力させ、
前記第1触覚出力装置によって前記第1の種類の触覚フィードバックが出力される前記時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過したことに応答して、第2の周波数レンジにおける第2の周波数を含む第2の駆動信号を前記第2触覚出力装置に送信することによって、前記第2触覚出力装置に、前記所定の持続時間において前記第2の種類の触覚フィードバックを出力させ、
前記第1の種類の触覚フィードバックから前記第2の種類の触覚フィードバックへの遷移は、ユーザに前記遷移が円滑であると感じさせるように段階的に行われ、
前記第1の周波数レンジの下端は、前記第2の周波数レンジの下端よりも低く、
前記第1の周波数レンジの上端は、前記第2の周波数レンジの上端よりも低く、
前記第1の種類の触覚フィードバックは摩擦効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果である、システム。」

3 本願発明20
「【請求項20】
触覚効果に対する慣れを低減させるための方法であって、
入力に応答して第1の種類の触覚フィードバックである前記触覚効果を所定の持続時間にわたって出力することを決定する段階と、
第1触覚出力装置に、前記所定の持続時間よりも短い時間にわたって前記触覚効果を出力させる段階と、
前記触覚効果が出力される前記時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過したことに応答して、第2触覚出力装置に、前記所定の持続時間において前記第1の種類の触覚フィードバックと異なる第2の種類の触覚フィードバックを出力させる段階と、
を備える方法であって、
前記第1の種類の触覚フィードバックから前記第2の種類の触覚フィードバックへの遷移は、ユーザに前記遷移が円滑であると感じさせるように段階的に行われ、
前記第1の種類の触覚フィードバックは摩擦効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果である、又は前記第1の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは摩擦効果である、方法。」

4 本願発明33
「【請求項33】
触覚効果に対する慣れを低減させるための方法であって、
入力に応答して第1の種類の触覚フィードバックである前記触覚効果を所定の持続時間にわたって出力することを決定する段階と、
第1の周波数レンジにおける第1の周波数を含む第1の駆動信号を前記第1触覚出力装置に送信することによって、前記第1触覚出力装置に、前記所定の持続時間よりも短い時間にわたって前記第1の種類の触覚フィードバックを出力させる段階と、
前記第1触覚出力装置によって前記第1の種類の触覚フィードバックが出力される前記時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過したことに応答して、第2の周波数レンジにおける第2の周波数を含む第2の駆動信号を前記第2触覚出力装置に送信することによって、前記第2触覚出力装置に、前記所定の持続時間において前記第1の種類の触覚フィードバックと異なる第2の種類の触覚フィードバックを出力させる段階と、
を備える方法であって、
前記第1の種類の触覚フィードバックから前記第2の種類の触覚フィードバックへの遷移は、ユーザに前記遷移が円滑であると感じさせるように段階的に行われ、
前記第1の周波数レンジの下端は、前記第2の周波数レンジの下端よりも低く、
前記第1の周波数レンジの上端は、前記第2の周波数レンジの上端よりも低く、
前記第1の種類の触覚フィードバックは摩擦効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果である、方法。」

5 その余の発明について
請求項2-17,35は請求項1を引用し、請求項19は請求項18を引用し、請求項21-32は請求項20を引用し、請求項34は請求項33を引用しているから、本願発明2-17,35は本願発明1を、本願発明19は本願発明18を、本願発明21-32は本願発明20を、本願発明34は本願発明33を、それぞれ減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明、周知技術
1 引用文献1
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている((原文に付されているものを除き)下線は当審による。以下同様。)。
ア 「【0022】
他の触覚効果と連携して表面ベースの触覚効果を提供する例示のシステム
図1Aは、合成触覚効果を提供する実例のシステム100を示す。特に、この具体例にあって、システム100は、バス106を介して他のハードウェアと相互作用されるプロセッサ102の特色をなすコンピューティングデバイス101を備える。RAM、ROM、EEPROMなどのような適切な有固体(及び一時的ではない)の、コンピュータにて読み取りされる媒体を備えることができるメモリ104は、コンピューティングデバイスの動作を形成するプログラムコンポーネントを含む。この具体例にあって、コンピューティングデバイス101は、一つ以上のネットワークインターフェースデバイス110、入力/出力(I/O)インターフェースコンポーネント112、及び付加的な蓄積媒体114をさらに備える。」

イ 「【0025】
システム100は、この具体例の中では、デバイス101と一体化されている接触表面(タッチサーフェース)116をさらに備える。タッチサーフェース116は、ユーザの接触を感知するために構成されるいかなるサーフェースであることもできる。一つ以上のセンサ108は、物体がタッチサーフェースに接触するときに接触領域(タッチエリア)における接触(タッチ)を検出し、さらにプロセッサ102による使用のために適切なデータを提供する。いかなる適切な数、タイプ、又はセンサの配置が用いられることもできる。例えば、抵抗及び/又は容量性センサがタッチサーフェース116に埋め込まれ、タッチの位置を判断(或いは確定)するため、及びタッチ圧力のような他の情報を確定するために用いられる。他の具体例にあって、光学センサが用いられてもよい。
【0026】
この具体例にあって、プロセッサ102と通信する第1アクチュエータ118は、タッチサーフェース116に接続される。いくつかの具現化例にあって、第1アクチュエータ118は、第1触覚信号に応じてタッチサーフェースの摩擦係数を変化する触覚出力を出力するように構成される。他の又は代替にて、第1アクチュエータ118は、制御された方法においてタッチサーフェースを動かすことによって触覚出力を提供する。いくつかの触覚出力は、デバイスのハウジングに連結されたアクチュエータを用いるかもしれないし、さらにいくつかの触覚出力は、直列に接続された及び/又は並列に接続された複数のアクチュエータを用いるかもしれない。例えば、摩擦係数は、異なる周波数及び/又は振幅にて前記サーフェースを振動することによって変化される。相違の異なる組み合わせ/順序は、テクスチャ、障害物又は突起のような他の特徴物の存在の感覚をシミュレートするために、或いは他の効果を提供するために用いられる。
【0027】
単一の第1アクチュエータ118がここでは示されるが、具現化例は同一又は異なるタイプの複数のアクチュエータを、タッチサーフェースの摩擦係数を変化するために用いる。例えば、ピエゾ電気アクチュエータが超音波の周波数にて垂直及び/又は水平にタッチサーフェース116を部分的又は全体を表現するために、いくつかの具現化例にあって用いられる。
【0028】
図1Aは、さらに第2アクチュエータ119をも示す。第2アクチュエータ119は、第1アクチュエータによって提供された摩擦係数の変動に加えて第2触覚出力を提供するために用いられる。例えば、第2触覚出力は、デバイス及び/又はタッチサーフェース116の振動のような振動触感の触覚効果を含む。他の具現化例にて、第2触覚出力は、タッチサーフェース116における、温度、色、又はタッチサーフェース116にて部分的に上げる/下げることによって発生されるテクスチャにおける変化のような、変化を含む。
【0029】
アクチュエータ118及び119は、それぞれ複数のアクチュエータを備え、さらに同一又は異なるタイプである。適切なアクチュエータタイプは、しかし制限されるものではないが、ピエゾエレクトリックアクチュエータ、形状記憶合金、電気活性ポリマー、柔軟性合成ピエゾエレクトリックアクチュエータ(例えば、柔軟性材料を含むアクチュエータ)、電磁アクチュエータ、偏芯回転質量アクチュエータ、線形共振アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、静電気アクチュエータ、及び/又は静磁気アクチュエータを備える。別個のエレメント118及び119として示してはいるが、タッチサーフェース116の摩擦係数を変化し、他の触覚効果を生成することができる単一のアクチュエータを、別個の第1及び第2のアクチュエータの代わりに用いることができる。加えて、実際には一つ以上のアクチュエータが、タッチサーフェース116に埋め込まれることができる。」

ウ 「【0031】
触覚効果判断(確定)モジュール126は、生成された合成触覚効果を選択するためタッチ特性についてデータを解析するプログラムコンポーネントとして描かれる。例えば、いくつかの具現化例にあって、一つ以上のタッチのシーケンスを含む入力動作が認識され、一つ以上の合成触覚効果に相互関係があってもよい。他の具現化例にあって、タッチサーフェース116のいくつか又は全てのエリアは、グラフィカルインターフェースにマッピングされる。タッチサーフェースの摩擦を変化することによって、さらには一つ以上の触覚出力を提供することによって、スクリーン上に表示される特徴の存在をシミュレートする。このために、異なる合成触覚効果がタッチの位置に基づいて選択されるので、前記特徴は、前記特徴を有するスクリーンの位置をマッピングされたタッチサーフェース116の一部が発生されたときに、感じられる。しかし、触覚効果は、対応するエレメントがインターフェースに表示されていなくてもタッチサーフェース116を介して提供されてもよい(例えば、触覚効果は、インターフェースの境界、この境界は表示されていないかもしれないが、横切られると、提供されるかもしれない)。
【0032】
触覚効果生成モジュール128は、選択された合成触覚効果を少なくともタッチが生じたときに生成するために、プロセッサ102に触覚信号を生成させてアクチュエータ118/119に送信させるプログラミングの役割を果たす。例えば、触覚効果生成モジュール128は、アクチュエータ118及び119に送信するために格納されている波形又は命令にアクセスする。他の具現化例にあって、触覚効果生成モジュール128は、所望される摩擦係数を受け取り、適切な信号を生成してアクチュエータ118に送信するために信号処理アルゴリズムを用いる。モジュール128は、所望される触覚効果タイプを受け取り、さらにアクチュエータ119を選択し、選択されたアクチュエータに所望される触覚効果を提供させる。」

エ 「【図1A】



(2)上記(1)について、以下のことがいえる。
ア タッチサーフェース116は、ユーザの接触を感知するために構成されるサーフェースであり、センサ108は、物体がタッチサーフェースに接触するときに接触領域(タッチエリア)における接触(タッチ)を検出するものである(【0025】)。したがって、センサ108は、ユーザの接触を感知するためのタッチサーフェースへの接触を検出する。

イ 第1アクチュエータ118は、タッチサーフェースの摩擦係数を変化する触覚出力を出力するものであり、ここで、摩擦係数は、異なる周波数及び/又は振幅にて前記サーフェースを振動することによって変化されるものである(【0026】)。
また、第2アクチュエータ119は、デバイス及び/又はタッチサーフェース116の振動のような振動触感の触覚効果を含む、第2触覚出力を出力するものである(【0028】)。

ウ センサ108は、物体がタッチサーフェースに接触するときに接触領域(タッチエリア)における接触(タッチ)を検出し、さらにプロセッサ102による使用のために適切なデータを提供し(【0025】)、その一方で、選択された合成触覚効果を少なくともタッチが生じたときに生成するために、プロセッサ102に触覚信号を生成させてアクチュエータ118/119に送信させる(【0032】)ことが行われるのであるから、プロセッサ102は、センサ108からデータが提供され、タッチが生じたときにアクチュエータ118/119に触覚信号を送信するものである。

エ システム100が備えるコンピューティングデバイス101は、プロセッサ102の特色をなすものであり、メモリ104は、コンピューティングデバイスの動作を形成するプログラムコンポーネントを含む(【0022】)。

オ 図1Aから、システム100は、センサ108と、第1アクチュエータ118と、第2アクチュエータ119と、メモリ104と、を備えて構成されることが見て取れる。

(3)上記(1)、(2)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ユーザの接触を感知するためのタッチサーフェースへの接触を検出するセンサ108と、
タッチサーフェースの摩擦係数を変化する触覚出力を出力し、ここで、摩擦係数は、異なる周波数及び/又は振幅にて前記サーフェースを振動することによって変化される、第1アクチュエータ118と、
デバイス及び/又はタッチサーフェースの振動のような振動触感の触覚効果を含む、第2触覚出力を出力する第2アクチュエータ119と、
センサ108からデータが提供され、タッチが生じたときにアクチュエータ118/119に触覚信号を送信するプロセッサ102と、
プロセッサ102の特色をなすコンピューティングデバイス101の動作を形成するプログラムコンポーネントを含むメモリ104と、
を備えるシステム100。」

2 引用文献5
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0011】
図2は、本発明の一実施形態による全体システムの構成を示す図面である。本発明の一実施形態による触覚情報提供システムは、ユーザが入力手段30、例えば、マウス、電子グローブ、ジョイスティック、ハプチックデバイスなどを利用して仮想世界や現実世界に存在する物体と相互作用するとき、物体の位置、形態、質感などによってレンダリングして触覚信号を発生させた後、これを、接触器50を備える触覚デバイスに伝達して、触覚デバイスと接触しているユーザに触覚情報を伝達することができる。
【0012】
触覚デバイスを通じて触覚情報を提供する方法には、能動的接触方式、受動的接触方式などがある。以下では、人間の手は触覚デバイスの接触器に接触されたままであり、接触器、例えば、ピンまたはポリマーが動くことによって触覚情報を伝達する受動的接触方式を中心に説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
図3は、図2に示された全体システムが接触器を通じてユーザに触覚情報を提供する原理の一実施形態を示す図面である。入力手段で物体100のコーナーをスキャンする場合(210)、接触器50は、物体のコーナーの質感を伝達するためにピンP4の変位を高め(230)、次いで、ピンP5の変位を高める(240)。ユーザは、接触器50を備える触覚デバイス付きの入力手段を動かして物体をスキャンする間、接触器50上の指先でスキャンしている物体のコーナー、表面の粗度、表面の平滑度などの質感を知覚できる。」

イ 「【0022】
実際感ある質感情報を提供するためには、物体の多様な質感によって人間の触受容器を同時にまたは選択的に刺激せねばならない。人間の触受容器は、4種に大別される。第1受容器(SA I類型:Merkel’s disk)は、コーナーと圧力を感じる触受容器であって、感じられる刺激の周波数は0.4?3Hzであり、最もよく感じられる周波数範囲は0.4?1Hzである。第2受容器(SA II類型:Ruffini ending)は、皮膚のストレッチを感じる触受容器であって、感じられる刺激の周波数は80?500Hzであり、最もよく感じられる周波数範囲は150?400Hzである。第3受容器(RA I類型:Meissner Corpuscles)は、粗い面の振動及び速度を感じる触受容器であって、感じられる刺激の周波数は3?100Hzであり、最もよく感じられる周波数範囲は25?40Hzである。第4受容器(RA II類型:Pacinian Corpuscles)は、加速及び柔らかい面の振動を感じる受容器であり、感じられる刺激の周波数は35?500Hzであり、最もよく感じられる周波数範囲は250?300Hzである。このように、それぞれの触受容器は、相異なる範囲の周波数を感じることによって多様な触覚を感知する。
【0023】
前記した原理を利用すれば、スキャンする物体の表面質感によって人間の触受容器が感知できる周波数で触覚デバイスの接触器を駆動することによって、あたかも物体を実際に触るような実際感ある触覚情報を提供できる。
【0024】
図6は、本発明の一実施形態による触覚情報提供方法のうち、物体の情報によって人間の触受容器を選択的に刺激する方法を示す概念図である。図6は、スキャンする物体の表面を拡大したものであり、高さの低くて粗い物体410をスキャンし、高さが相対的に高くて柔らかい物体430をスキャンする場合を示している。接触器一つが物体のA地点からB地点に通過するとき、接触器の周波数Fは次の数式のように計算できる。
F=v/I…(4)
【0025】
ここで、vとしては、触覚デバイスに速度センサーが付いている場合には速度センサーから読み取った速度値を用いることができるが、触覚デバイスに速度センサーが付いていない場合にはv=I/tを用いて計算できる。tは、A位置からB位置に移動するのにかかった時間を意味し、Iは、A位置からB位置までの距離を意味する。
【0026】
物体410をスキャンする間、触覚デバイスの接触器は一定周波数のストロークを発生させ、物体410と物体430との境界420に到達すれば、前記したコーナーに該当する周波数でストロークを発生させる。また、物体430をスキャンする間、接触器は物体410より高い周波数でストロークを発生させるようになるので、物体410をスキャンするときより相対的に柔らかい感じがする。0Hz周波数のストロークからコーナーを触る感じを受け、18Hz以上の周波数のストロークから粗い表面を触る感じを受け、178Hz以上の周波数のストロークから滑らかな表面を触る感じを受けることが実験的に分かる。」

ウ 「【0029】
人間が一定時間、例えば、2分以上粗い物体をスキャンすれば、第3受容器が鈍くなる。このとき、粗い感じを維持しつつも他の触受容器を刺激するために、同じ知覚レベルS(f)510を維持しつつ、重畳した周波数領域524、525の周波数512、516に変調できる。しかし、第3受容器を活性化させるためには他の触受容器を刺激すればよいので、重畳した周波数領域の周波数に限定されずに他の触受容器の周波数領域の周波数、例えば、第1受容器の周波数領域521の周波数511または第4受容器の周波数領域523の周波数511、518に変調できる。このように周波数を変調した後に再び変調前の周波数514に復調することによって、鈍くなった第3受容器の感覚を戻すことができる。
【0030】
例えば、人間がある物体の粗い面をスキャンしており、接触器が粗い面の触感を伝達するために約30Hzの周波数(f1)514で振動していると仮定する。接触器が約30Hzの周波数で2分以上振動すれば、ユーザの第3受容器は鈍くなってこれ以上粗い面を触る感覚をもつことができないことがある。このとき、接触器の周波数は、第3受容器を刺激すると同時に第4受容器を刺激する周波数である80Hz(f2)516に変換されつつ、接触器のストロークの大きさは、30Hzでのストロークの大きさと類似した感じを与える知覚レベル510を維持するために、30Hzでのストロークの大きさより弱い値516に変換される。周波数及びストロークの大きさの変調により第3受容器の感覚が活性化されれば、接触器の動きは再び以前の周波数及びストロークの大きさ514に復帰する。」

エ 「【図2】



(2)上記(1)から、引用文献5には次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「ユーザが入力手段を利用して仮想世界や現実世界に存在する物体と相互作用するとき、発生させた触覚信号を接触器を備える触覚デバイスに伝達して、触覚デバイスと接触しているユーザに触覚情報を伝達し、ユーザが、接触器を備える触覚デバイス付きの入力手段を動かして物体をスキャンする間、接触器上の指先でスキャンしている物体のコーナー、表面の粗度、表面の平滑度などの質感を知覚できる触覚情報提供システム(【0011】、【0013】)であって、
物体をスキャンする間、触覚デバイスの接触器が一定周波数のストロークを発生させ、18Hz以上の周波数のストロークから粗い表面を触る感じを受け、178Hz以上の周波数のストロークから滑らかな表面を触る感じを受ける(【0030】)、触覚情報提供システムにおいて、
接触器が約30Hzの周波数で2分以上振動すれば、ユーザの第3受容器が鈍くなってこれ以上粗い面を触る感覚をもつことができないことから、接触器の周波数を、第3受容器を刺激すると同時に第4受容器を刺激する周波数である80Hzに変換する(【0030】)こと。」

3 引用文献6
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0021】
図1のように上記の触覚子ユニットを6つ使用した情報伝達装置において、触覚子4を振動させることにより、単に突起しているか否かを判別する場合より、早く正確に判別できる。振動数が1?1000[Hz]の範囲で生態は感ずることが出来る。一番感受性の良い周波数にて触覚子4を駆動するが、具体的には30[Hz]付近が良く用いられる。しかし、この周波数単一で駆動している場合、わずか数分でどの触覚子4が振動しているか生体の性質から判別し辛くなる。特に、触覚子ユニット1A、2A,3Aのような縦の配列の判別が困難になってくる。
【0022】
そこで触覚子ユニット1Aを20Hzで駆動し、1Bを50[Hz]で、また、2Aを30[Hz]で駆動するなど、触覚子ユニットごとに駆動周波数を変える事により、各触覚子ユニットの判別能力が飛躍的に高まった。周波数を変える事により、単一周波数の刺激に麻痺した神経を、違う周波数で刺激することによりリフレッシュさせるためである。このため振動型点字表示装置やパターン認識装置のように近傍に多数触覚子4が設置されている場合でも、その各々を十分に判別でき、情報の伝達が正確に行えるようになった。」

イ 「【図1】



(2)上記(1)から、引用文献6には次の事項(以下「引用文献6記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「触覚子ユニットを6つ使用し、触覚子4を振動させる情報伝達装置(【0021】)において、一番感受性の良い周波数にて触覚子4を駆動し、この周波数単一で駆動している場合、わずか数分でどの触覚子4が振動しているか生体の性質から判別し辛くなる(【0021】)ことから、触覚子ユニットごとに駆動周波数を変える(【0022】)こと。」

4 引用文献7
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0041】
図1は、バーチャルリアリティ環境生成装置(VR環境生成装置)100において用いられる錯触力覚インタフェース装置101のハードウェア・ブロック図を示している。ここでは指先533に錯触力覚インタフェース装置101を装着した場合を例にとって説明するが、錯触力覚インタフェース装置101の装着場所は指先に限られない。また、図には、加速度センサ108、圧力センサ109、筋電センサ110が、錯触力覚デバイス107と一体となって、指先533に装着された錯触力覚インタフェース装置101内に配置された例を示しているが、これらのセンサは錯触力覚デバイス107とは別の身体位置に装着されていてもよい。本明細書では、錯触力覚デバイス107とセンサとが別体となってそれぞれ身体の別の部位に装着された場合でも、それらを合わせて錯触力覚インタフェース装置101という。
【0042】
各種センサからの情報及びコンテンツデータ104をもとにコンテンツが作成され、このコンテンツに合わせた錯触力覚誘起関数1713が錯触力覚誘起関数生成器115において錯触力覚データ106を用いて生成され、錯触力覚デバイス駆動制御装置112によって錯触力覚デバイス107が制御される。
【0043】
錯触力覚誘起装置115で生成された錯触力覚誘起関数に従い、錯触力覚デバイス107の偏心モータ815の位相、方向、回転速度が制御される。錯触力覚デバイス107において偏心モータによる偏心錘814の回転によって生成された運動量の変化(加減速パターン)により、触力覚に関する錯覚(錯触力覚)が誘起される。この錯触力覚誘起関数を用いれば、非線形感覚特性である錯覚を利用して、提示された運動量の変化によって発生する力(物理情報)とは異なる感覚を知覚させることができる。つまり、物理的には存在していない力及び運動成分を知覚させることができる。例えば、物理的には周期的に繰り返される振動は、周期的に力の方向が変わるため一定方向のみの力情報を持たないものであるが、本錯触力覚誘起関数に従って運動量の加減速パターンを制御することにより、心理物理的には、錯触力覚によって一方向にだけ連続的な力を知覚させることができる。錯触力覚誘起装置103は、学習器116及び補正器117を有しており、ユーザ個人の特性に合わせて最適化が行われる。」

イ 「【0077】
図8-1(a)?図8-1(d)は、錯触力覚を誘起するデバイスの制御方法の一例を示している。
【0078】
図8-1(a)は加減速機構であり、2つの偏心回転子A及び偏心回転子Bから構成されている。図8-1(b)は、この2つの偏心回転子を反対方向に同期回転させた場合を模式化したものである。この反対方向の同期回転の結果、平面内で任意の方向に直線的に加速・減速する力を合成することができる。図8-1(c)は振動、力、トルクなどの感覚特性が対数関数的な特性の場合を模式化したものである。この感覚特性上の、動作点Aで正の力を発生し、動作点Bで逆方向の負の力を発生した場合を考えると、力感覚は図8-1(d)のように表わされる。2つの偏心回転子の合成運動量の大きさは偏心回転子A及び偏心回転子Bの角運動量の合成であり、力は2つの偏心回転子の合成運動量の大きさの時間微分に比例する。
【0079】
図8-2(a)?図8-2(c)は偏心錘の形状を示しており、図8-2(b)のように流線形にしたり、図8-(c)のように比重が異なる材質を不均質に配置することにより、回転による抵抗が減り、大きな回転加減速を得ることができる。
【0080】
図9は、この図8の現象及びその効果を模式的に示している。錯触力覚に関する感覚特性を考慮して、偏心モータ815の回転パターンを制御して2つの偏心回転子の合成運動量を時間的に変化させることにより、平衡点周りに周期的に加減速する振動904から、一定方向に連続的に働く力が知覚される錯覚905を誘起させることができる。つまり、物理的には一定方向に働く力のような成分は存在していないが、一定方向に力が働いているように知覚される錯覚が誘起される。
【0081】
動作点A、及び動作点Bで位相180°毎に交互に加減速させると、一定方向の力感覚905が連続的に知覚される。力は、物理的に1サイクルで初期状態に戻り、その運動量及び力の積分値はゼロとなっている。つまり、平衡点周りに留まり、加減速機構が左側に移動することはない。しかし、感覚量である力感覚の感覚的積分値はゼロにならない。この時、正の方向の力の積分908の知覚は低下し、負の方向の力の積分909だけが知覚される。
【0082】
ここで、角運動量の時間微分がトルク、運動量の時間微分が力であり、一定方向に連続してトルク及び力を発生し続けるためには、モータの回転数もしくはリニアモータを連続的に加速し続ける必要があり、そのため、回転体などを周期的に回転させ方法は力覚を一定方向に連続的に提示するのに適していない。特に、モバイル等で利用される非ベース型インタフェースでは、一方向への連続的な力の提示は物理的には不可能である。
【0083】
しかし、人は非線形感覚特性を有しており、本発明の手法を用いれば、錯触力覚特性に関する知覚感度の利用や運動量の加減速パターン制御によって、物理特性とは異なった力・力パターンを錯覚的に知覚させることができる。例えば、与えた刺激強度に対する感じられた刺激の大きさの比が感度であるが、人間の感覚特性は与えた刺激の強度に対して感度が異なっており、弱い刺激にはより敏感であり、強い刺激には鈍感である。そこで、モータ回転の加減速の位相を制御し周期的に加減速を繰り返すことで、弱い刺激を提示した方向に連続的な力覚を提示させることに成功している。また、感覚特性の適切な動作点A及びBを選択することにより、強い刺激を提示した方向にも連続的な力覚を提示させることもできる。」

ウ 「【0087】
図10(a)?図10(c)に示した感覚特性のように、ユーザごとの感覚特性は異なる。このため、錯触力覚がはっきりと知覚される人や知覚されにくい人、学習によって知覚されやすさが向上する人がいる。本発明では、この個人差を補正する装置を有する。また、同じ刺激が持続的に提示される場合、その刺激に対して感覚が鈍化してしまうこともある。そのため、刺激の強度・周期や方向に揺らぎを与えたりすることで慣れを防止することは効果的である。」

エ 「【図1】



(2)上記(1)から、引用文献7には次の事項(以下「引用文献7記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「指先533に装着する錯触力覚インタフェース装置101内に錯触力覚デバイス107を配置し、錯触力覚デバイス107の偏心モータ815の位相、方向、回転速度が制御され、偏心モータによる偏心錘814の回転によって生成された運動量の変化(加減速パターン)により、触力覚に関する錯覚(錯触力覚)が誘起され(【0041】、【0043】)、偏心モータ815の回転パターンを制御して2つの偏心回転子の合成運動量を時間的に変化させることにより、平衡点周りに周期的に加減速する振動904から、一定方向に連続的に働く力が知覚される錯覚905を誘起させ(【0080】)、モータ回転を制御することで刺激を提示する(【0083】)、バーチャルリアリティ環境生成装置(VR環境生成装置)100(【0041】)において、同じ刺激が持続的に提示される場合、その刺激に対して感覚が鈍化してしまうことから、刺激の強度・周期や方向に揺らぎを与えたりすることで慣れを防止する(【0087】)こと。」

5 引用文献8
(1)特表2013-524351号公報(前置報告書で引用された文献。以下「引用文献8」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0010】
図1は,一又は複数のユーザに伝達される他の感覚コンテンツに関連する触覚刺激を提供するように構成されたシステム10を図示する。これにより,当該一又は複数のユーザに対して当該コンテンツによって提供される体験を向上させることができる。この感覚コンテンツには,映像コンテンツ,ビデオゲームコンテンツ,オーディオコンテンツ,3次元コンテンツ,及び/又はこれら以外のコンテンツを含み得る。このシステム10は,位置情報に基づいて当該他の感覚コンテンツに関連する触覚刺激を変更するように構成される。このような位置情報には,一又は複数のユーザの位置に関連する情報,コントローラ(例えば,ゲームコントローラ)の位置に関連する情報,触覚刺激を提供するアクチュエータの位置に関連する情報,及び/又はこれら以外の位置情報が含まれ得る。一実施形態において,システム10は,コンテンツ配信部14を含むユーザインタフェース装置12,一又は複数のアクチュエータ16,一又は複数のセンサ18,一又は複数のコントローラ20,電子ストレージ22,一又は複数のプロセッサ24,及び/又はこれら以外の構成要素の一又は複数を備える。」

イ 「【0023】
図1に示されるように,プロセッサ24は,一又は複数のコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成される。当該一又は複数のコンピュータプログラムモジュールには,コンテンツ提供モジュール26,位置モジュール28,刺激モジュール30,アクチュエータ制御モジュール32,及び/又は前記以外のモジュールの一又は複数が含まれる。プロセッサ24は,ソフトウェア,ハードウェア,ファームウェア,ソフトウェア,ハードウェア及び/もしくはファームウェアの組み合わせ,並びに/又はプロセッサ24上で処理能力を構成する前記以外のメカニズムによって,モジュール26,28,30,及び/又は32を実行するように構成される。」

ウ 「【0027】
刺激モジュール30は,ユーザのために生成される触覚刺激を決定するように構成される。触覚刺激の決定には,どのアクチュエータ16が刺激を印可するかを決定すること,及び/又は触覚刺激の一又は複数のパラメータを決定することが含まれる。このような一又は複数のパラメータには,力の大きさ,方向性及び方向,刺激の位置,振動の周波数,大きさ,持続期間,及び/又は前記以外のパラメータの一又は複数が含まれる。
【0028】
刺激モジュール30によって決定される触覚刺激は,ユーザインタフェース装置12によって伝達される感覚コンテンツに関連づけられる。したがって,当該刺激は,コンテンツとともに電子的に記憶されている情報(例えば,電子ストレージ22に記憶されたもの)によって少なくともある程度は決定される。当該触覚刺激は,当該コンテンツによって提供される体験の一又は複数の側面を改善するために刺激モジュール30によって決定される。触覚刺激は,例えば,コンテンツのリアルさ,コンテンツの楽しさ,ユーザによるコンテンツの感じ方,及び/又はユーザインタフェース装置12を介してユーザに伝達されるコンテンツによって提供される体験の他の側面の一又は複数を向上させるように決定される。
【0029】
ユーザインタフェース装置12を介してユーザに伝達されるコンテンツによって提供される体験の一又は複数の側面を改善するために,刺激モジュール30は,位置に関する情報に基づいて触覚刺激を決定するように構成される。これには,ユーザインタフェース装置12に対するユーザの位置,ユーザの体の一部分の他の部分に対する位置,あるユーザの一又は複数の他のユーザに対する位置,及び/又は位置情報に基づいて触覚刺激を変えることが含まれる。位置に基づいて触覚刺激を変える場合には,刺激モジュール30は,別の工程において刺激を変更することができ,又はスムーズに変更することもできる。例えば,ユーザインタフェース装置12がコンテンツ配信部14として機能するディスプレイ表面に対して離散的な既定の視聴角度で3次元表示を提供するように構成されている場合には,刺激モジュール30は,当該既定の視聴角度の各々においてその3次元表示に対応する触覚刺激が受けられるように触覚刺激を変更することができる。他の例として,一人のユーザがユーザインタフェース装置12に対して他のユーザの背後に立っている場合には,遠くにいるユーザに提供される触覚刺激は,中間に立っているユーザによる「遮蔽」を反映するように決定される。」

(2)上記(1)から、引用文献8には次の事項(以下「引用文献8記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「一又は複数のアクチュエータ16を含むシステム10(【0010】)において、どのアクチュエータ16が刺激を印可するかを決定する、及び/又は触覚刺激の一又は複数のパラメータを決定することが含まれる、ユーザのために生成される触覚刺激の決定を行い(【0027】)、位置に基づいて触覚刺激を変える場合には、スムーズに変更する(【0029】)こと。」

6 引用文献9
(1)特表2007-519099号公報(前置報告書で引用された文献。以下「引用文献9」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0007】
以下に、マルチモード触覚デバイスを制御するためのシステム及び方法について説明する。より詳細には、本発明の一実施形態について、複数の動作モードを有する触覚デバイスの枠内で説明するが、これらの動作モードはそれぞれ、周波数範囲と関連している。そして、コントローラが触覚デバイスに結合されるとともに、該コントローラが上記した複数の動作モードと関連する複数の制御スキームを触覚デバイスに送信する構成となっている。
【0008】
触覚デバイスを介して提供されるフィードバックは、振動触覚フィードバック又は運動感覚フィードバックと呼ばれることもあるが、本明細書中では、より一般的に「触覚フィードバック」と称している。このような触覚フィードバックは、例えば、触覚デバイス又は触覚デバイスを含むインターフェースデバイスを介して提供することができる。触覚フィードバックを提供するインターフェースデバイスは、肉体的感覚を提供することができ、当該感覚については、ある計量(例えば、知覚可能な周波数成分)により測定可能であって、かつ、コントローラを使用し又はインターフェースデバイスの対象物を操作するユーザが感じ取ることができる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、触覚デバイスは複数の動作モードを有する。第1の動作モードは、例えば、高周波数範囲と関連し、第2の動作モードは、例えば、低周波数範囲と関連しており、これらの各動作モードと関連する制御スキームが触覚デバイスに送信される。これら制御スキームのそれぞれによって、触覚デバイスが特定の触覚フィードバックを提供することになる。各周波数範囲と関連した制御スキームは、(例えば、重ね合わせによる合成、加算、乗算、コンボリューション(畳み込み)、非ベクトル演算による組み合わせにより)1つ以上の残りの制御スキームと組み合わせるか、あるいは、所定の規則に従って操作することで、周波数範囲に亘る遷移応答を提供することができる。このようにして、本発明の一実施形態は、触覚フィードバックの低周波数範囲から高周波数範囲への「ブレンド」又は「遷移」を提供し、これにより、低周波数範囲や高周波数範囲に亘る性能及び低周波数範囲と高周波数範囲との間における性能が比較的シームレス(途切れなく)に発揮されることになる。
【0010】
また、本発明の別の実施形態によれば、複数の動作モードを有する触覚デバイスが提供される。触覚デバイスのこれら複数の動作モードを例示すると、低周波数動作モード、高周波数動作モード及び遷移動作モードがある。遷移動作モードは、低周波数モードに関連する低周波数と、高周波数モードに関連する高周波数との間の周波数に関連している。本明細書中、低周波数動作モードは「一方向性」(例えば、回転デバイスの一方向性回転)とも呼ばれ、また、本明細書中、高周波数動作モードを「ハーモニック(調和的)」又は「振動的」と称することもある。また、遷移動作モードは、遷移周波数範囲に関連しており、この遷移周波数範囲では、一方向性モードとハーモニックモードでの各応答が重なり合うことで組み合わされる。低周波数動作モードは、例えば、約10Hzまでの周波数と関連し、高周波数動作モードは、例えば、約10Hzより高い周波数と関連する。遷移動作モードに関連する遷移周波数範囲を例示すると、例えば、約5Hz?約25Hzの周波数とされ、ここでは、低周波数動作モードが遷移周波数範囲未満の周波数と関連し、高周波数動作モードが遷移周波数範囲を超える周波数と関連する。」

イ 「【0058】
図10は、本発明の一実施形態によるマルチモード触覚デバイスの駆動信号周波数範囲の一例を示すプロット図である。より詳細には、図10に示す周波数範囲は、2モードの触覚デバイスを駆動する際に用いる駆動信号周波数の範囲であり、該デバイスは低周波数範囲に対応する第1のモード及び高周波数範囲に対応する第2のモードを有する。但し、図10のプロット図中に示す原理については、3つ以上のモードを有するマルチモードの触覚デバイスに対して一般化することができ、上記と同様に、多数の周波数範囲をもち、各周波数範囲が、デバイスにおける多数のモードのそれぞれに対応するとともに、遷移周波数範囲が、それらの多数の周波数範囲の間にそれぞれ位置することになる。
【0059】
図10に示す例において、低周波数応答は低周波数範囲内の駆動信号によって引き起こされ、この低周波数範囲は、例えば、DC(すなわち0Hz)から約5Hzの低周波数限界flowにまで及んでいる。また、遷移周波数応答は、遷移周波数範囲内の駆動信号によって引き起こされ、この遷移周波数範囲は、例えば、低周波数限界flowから約25Hzの高周波数限界fhighにまで及んでいる。そして、高周波数応答は、高周波数範囲内の駆動信号によって引き起こされ、この高周波数範囲は、例えば、高周波数限界fhighからそれよりも高い全周波数(例えば、デバイスが出力可能な全周波数)に及ぶ。共振周波数fres応答については、触覚デバイスの物理的特性に依存するが、本例にて高周波数範囲内に位置する周波数の駆動信号によって実現される。例えば、共振周波数fres応答は、約60Hz?200Hzの周波数を有する駆動信号を用いることによって実現可能である。この共振周波数fresを実現するために用いる駆動信号は、触覚デバイスの設計制約及び所望の性能に従って変更することができる。
【0060】
デバイスの一方向性動作モードの高域端は、使用するアクチュエータの特性に依存する。よって、触覚デバイスが一方向性動作モードにおいて動作を中断し、調和動作モードにおいて動作を開始する際の正確な周波数は、デバイスによって異なる。従って、遷移周波数範囲については、ほとんどのアクチュエータが一方向性動作モードでの動作から調和モードでの動作に遷移する際の、駆動信号の周波数を含むように設計される。よって、図10に示す低周波数範囲は、いくつかの触覚デバイスを一方向性動作モードで動作させることが可能な駆動信号の周波数を含み、また、高周波数範囲は、これらの触覚デバイスを調和動作モードで動作させることが可能な駆動信号の周波数を含む。遷移周波数範囲内に位置する周波数をもった駆動信号を用いて、低周波数での一方向性動作モードから高周波数での調和動作モードへの遷移が円滑に行われるようにすることができる。」

(2)上記(1)から、引用文献9には次の事項(以下「引用文献9記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「マルチモード触覚デバイスを制御するためのシステム(【0007】)において、触覚デバイスが「一方向性」の低周波数動作モード、「ハーモニック(調和的)」の高周波数動作モード、及び、一方向性モードとハーモニックモードでの各応答が重なり合うことで組み合わされる遷移周波数範囲に関連する遷移動作モードを有し(【0027】)、遷移周波数範囲が、アクチュエータが一方向性動作モードでの動作から調和モードでの動作に遷移する際の駆動信号の周波数を含み、遷移周波数範囲内に位置する周波数をもった駆動信号を用いて、低周波数での一方向性動作モードから高周波数での調和動作モードへの遷移が円滑に行われるようにする(【0029】)こと。」

7 周知技術
(1)周知技術1
ア 引用文献5記載事項の「一定周波数のストロークを発生させる接触器を備えた、スキャンする物体の表面質感によって人間の触受容器が感知できる周波数で触覚デバイスの接触器を駆動すること」における、「接触器」、
引用文献6記載事項の「触覚子ユニットを6つ使用し、触覚子4を振動させる情報伝達装置において、一番感受性の良い周波数にて触覚子4を駆動」することにおける、「触覚子4」、及び、
引用文献7記載事項の「指先533に装着する錯触力覚インタフェース装置101内に錯触力覚デバイス107を配置し、錯触力覚デバイス107の偏心モータ815の位相、方向、回転速度が制御され、偏心モータによる偏心錘814の回転によって生成された運動量の変化(加減速パターン)により、触力覚に関する錯覚(錯触力覚)が誘起され、モータ回転を制御することで刺激を提示する」ことにおける、「錯触力覚デバイス107」
は、いずれも「触覚効果」を出力するものであって、「触覚出力装置」である点で共通しているといえる。

イ 引用文献5記載事項の、「接触器が約30Hzの周波数で2分以上振動すれば、ユーザの第3受容器が鈍くなってこれ以上粗い面を触る感覚をもつことができないことから、接触器の周波数を、第3受容器を刺激すると同時に第4受容器を刺激する周波数である80Hzに変換する」こと、
引用文献6記載事項の、「一番感受性の良い周波数にて触覚子4を駆動し、この周波数単一で駆動している場合、わずか数分でどの触覚子4が振動しているか生体の性質から判別し辛くなることから、触覚子ユニットごとに駆動周波数を変える」こと、
引用文献7記載事項の、「錯触力覚デバイス107」の「偏心モータ815の回転パターンを制御して2つの偏心回転子の合成運動量を時間的に変化させることにより、平衡点周りに周期的に加減速する振動904から、一定方向に連続的に働く力が知覚される錯覚905を誘起させ、モータ回転を制御することで刺激を提示する」際に、「同じ刺激が持続的に提示される場合、その刺激に対して感覚が鈍化してしまうことから、刺激の強度・周期や方向に揺らぎを与えたりすることで慣れを防止する」こと
は、いずれも、「触覚効果が出力される時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過した」場合でも、「触覚効果」を人間が知覚できる態様で、「触覚出力装置」の振動の周波数を制御することである点で共通しているといえる。

ウ したがって、
「触覚効果が出力される時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過した場合でも、触覚効果を人間が知覚できる態様で、触覚出力装置の振動周波数を制御すること」
は周知技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。

(2)周知技術2
ア 引用文献8記載事項の「どのアクチュエータ16が刺激を印可するかを決定する、及び/又は触覚刺激の一又は複数のパラメータを決定する」ことが行われる、「一又は複数のアクチュエータ16」、
引用文献9記載事項の「触覚デバイス」
は、いずれも「触覚効果」を出力するものであって、「触覚出力装置」である点で共通しているといえる。

イ 引用文献8記載事項の、「どのアクチュエータ16が刺激を印可するかを決定する、及び/又は触覚刺激の一又は複数のパラメータを決定することが含まれる、ユーザのために生成される触覚刺激の決定を行い、位置に基づいて触覚刺激を変える場合には、スムーズに変更する」こと、
引用文献9記載事項の、「触覚デバイスが「一方向性」の低周波数動作モード、「ハーモニック(調和的)」の高周波数動作モード、及び、一方向性モードとハーモニックモードでの各応答が重なり合うことで組み合わされる遷移周波数範囲に関連する遷移動作モードを有し、遷移周波数範囲が、アクチュエータが一方向性動作モードでの動作から調和モードでの動作に遷移する際の駆動信号の周波数を含み、遷移周波数範囲内に位置する周波数をもった駆動信号を用いて、低周波数での一方向性動作モードから高周波数での調和動作モードへの遷移が円滑に行われるようにする」こと
は、いずれも、「触覚出力装置」が出力する「触覚効果」を変化させることを、当該変化が「ユーザに円滑であると感じさせるように段階的に行う」点で共通しているといえる。

ウ したがって、
「触覚出力装置が出力する触覚効果を変化させることを、ユーザに前記変化が円滑であると感じさせるように段階的に行うこと」
は周知技術(以下「周知技術2」という。)であると認められる。

8 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「[0027] The system 100 may provide a haptic effect at the surface of the display screen 110 through one or more actuators 112, 114, 116, through an electrostatic device 120, or through combinations thereof. The actuators 112, 114, and 116 are configured to generate mechanical motion that may translate into vibrations at the surface of the screen 110. The actuators may be implemented as piezoelectric actuators, voice coils, magnetic actuators such as solenoids, pneumatic actuators, ultrasonic energy actuators, an eccentric mass actuator, an electroactive polymer actuator, a shape memory alloy, or some other type of actuator. The actuators may rely on motors that convert torque into vibrations, on fluid pressure, on changes in the shape of a material, or on other forces that generate motion. For example, the actuators may use the electrostatic attraction between two objects, such as a conductive layer 120 and insulating layer 122 discussed below, or between layers in an electrostatic surface actuator, to generate motion. Further, the actuators are not limited to generating vibrations, but may instead generate lateral motion, up and down motion, rotational motion, or some combinations thereof, or some other motion. For the embodiment in FIG. 1A, actuator 116 may be a piezoelectric or a voice coil actuator that generates vibrations to generate a haptic effect, actuator 112 may be a solenoid that generates up and down motion to generate a haptic effect, and actuator 114 may be a pneumatic actuator that generates lateral motion to generate a haptic effect. The actuators may all be activated when a haptic effect is desired, or only one may be activated to conserve power or to generate different haptic effects. Further, a particular actuator may be positioned and be configured to generate a haptic effect for the entire system 100, for only the display screen 110 that interfaces with the user, for only a portion of the display screen, or on some other part of the system 100. For example, the actuator 116 can be configured to generate vibrations for only its corner of the display screen 110 by keeping the level of vibrations low enough so that vibration amplitude outside of its corner is less than a threshold amplitude.

[0028] The system 100 also provides a haptic effect through an electrostatic device. The electrostatic device may be an electrovibrotactile display or any other device that applies voltages and currents instead of mechanical motion to generate a haptic effect. The electrostatic device in this embodiment has at least a conductive layer 120 and an insulating layer 122. The conducting layer 120 may be any semiconductor or other conductive material, such as copper, aluminum, gold, or silver. The insulating layer 122 may be glass, plastic, polymer, or any other insulating material. The system 100 may operate the electrostatic device by applying an electric signal to the conducting layer 120. The electric signal may be an AC signal that, in this embodiment, capacitively couples the conducting layer with an object near or touching the display screen 110. The AC signal may be generated by a high-voltage amplifier. The system 100 may also rely on principles other than capacitive coupling to generate a haptic effect. The capacitive coupling may simulate a friction coefficient or texture on the surface of the display screen 110. A coefficient of friction is a simulated one in that while the display screen 110 can be smooth, the capacitive coupling may produce an attractive force between an object near the screen 100 and the conducting layer 120. The attractive force increases the friction on the surface even when the structure of the material at the surface has not changed. Varying the levels of attraction between the object and the conducting layer can vary the friction on an object moving across the display screen 110. Varying the friction force simulates a change in the coefficient of friction. The simulated coefficient of friction may be changed by the actuators as well. For example, the actuators may increase the friction force by generating vibrations, or by changing the surface relief of the display screen 110 to change the actual coefficient of friction.」

(当審訳: 「[0027] システム100は、1つまたは複数のアクチュエータ112、114、116を通じて、静電デバイス120を通じて、又はこれらの組み合わせを通じて、ディスプレイスクリーン110の表面に触覚効果を提供することができる。アクチュエータ112、114、及び116は、スクリーン110の表面の振動に変換し得る機械的運動を生成するように構成される。アクチュエータは、圧電アクチュエータ、ボイスコイル、ソレノイドなどの磁気アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、超音波エネルギーアクチュエータ、偏心質量アクチュエータ、電気活性ポリマーアクチュエータ、形状記憶合金、又は他の何らかのタイプのアクチュエータとして実施することができる。アクチュエータは、トルクを振動に変換するモータ、流体圧、材料の形状の変化、又は動きを生成する他の力に依存してもよい。例えば、アクチュエータは、後述する導電層120と絶縁層122、または静電表面アクチュエータの層間のような2つの物体との間の静電引力を使用して動きを生成することができる。アクチュエータが振動発生に限定されるものではなく、横方向運動は上下運動、回転運動、またはそれらの組合せ、または他の運動を生成することができる。図1Aの実施形態では、アクチュエータ116は、圧電素子や振動、触覚効果を生成するために生成するボイスコイルアクチュエータであってもよいし、アクチュエータ112は、触覚効果を生成する動きを上下に生成するソレノイドであり、アクチュエータ114は、触覚効果を生成するために横方向運動を発生させる空気圧式アクチュエータであってもよい。触覚効果が望まれる場合にアクチュエータが全て活性化されてもよく、又は、電力を節約するために若しくは異なる触覚効果を生成するために1つのみが活性化されてもよい。また、特定のアクチュエータが配置され、システム100全体に関する触覚効果を生成するように構成され、ユーザとインタフェースのみディスプレイスクリーン110は、ディスプレイスクリーンの一部のみ、またはシステム100の他の部分上にあってもよい。例えば、そのコーナーの振動振幅外にある閾値電圧よりも小さくなるように、アクチュエータ116は、ディスプレイスクリーン110の角部のみを振動レベルを十分に低く保つことによっての振動を発生するように構成することができる。

[0028] システム100はまた、静電デバイスを通じて触覚効果を提供する。静電デバイスは、電気振動触覚ディスプレイ、又は触覚効果を発生させるために機械的運動の代わりに電圧および電流を印加する他の任意のデバイスであってもよい。本実施形態の静電デバイスは、少なくとも導電層120と絶縁層122が設けられている。導電層120は、いずれかの半導体または他の導電性材料、例えば、銅、アルミニウム、金、または銀であってもよい。絶縁層122は、ガラス、プラスチック、ポリマー、又は他の任意の絶縁材料であってもよい。システム100は導電層120に電気信号を印加することにより静電デバイスを動作させ得る。電気信号は、本実施形態では、導電層をディスプレイスクリーン110に近接する又は接触する物体と容量結合させる交流信号であってもよい。交流信号は、高電圧用アンプ回路によって生成することができる。システム100はまた、触覚効果を生成する容量結合以外の原則に頼ってもよい。容量結合は、ディスプレイスクリーン110の表面上で摩擦係数や触感を模擬することができる。摩擦係数は、ディスプレイスクリーン110が滑らかなものとされ得る一方、容量結合は、スクリーン100に近接する物体と導電層120との間の吸引力を生成し得る点で模擬されたものである。表面における材料の構造が変化しない場合であっても、吸引力が表面の摩擦を増加させる。物体と導電層との間の吸引力のレベルを変化させることは、ディスプレイスクリーン110を移動する物体の摩擦を変化させることができる。摩擦力の変化は摩擦係数の変化を模擬する。模擬された摩擦係数は、アクチュエータによっても変更することができる。例えば、アクチュエータは、振動を発生させることにより、又は、実際の摩擦係数を変化させるためにディスプレイスクリーン110の表面起伏を変化させることにより、摩擦力を増大させることができる。」)

9 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0027】
(相互作用の受動及び能動モード間における触覚フィードバック機能を転換する例示のシステム) 次に、複数の図面を通じて同様の番号が同様の要素を示す図面を参照すると、図1は、本発明の1実施形態による受動及び能動モード間で触覚フィードバック機能を転換するシステムのブロック図である。図1を参照すると、システム100は、例えば、携帯電話、PDA(portable digital assistant)、携帯型メディアプレーヤ、又は携帯型ゲーム装置等のメッセージング装置102を備える。メッセージング装置102は、ネットワークインターフェース112、センサ114、ディスプレイ116、アクチュエータ118、及びスピーカ120と通信するプロセッサ110を備える。プロセッサ110は、ディスプレイ116に示される仮想環境を生成するように構成される。」

(2)「【0038】
図1に示されるように、プロセッサ110は、1つ以上のアクチュエータ118とも通信する。アクチュエータ118は、プロセッサ110から信号を受信して、触覚効果を生成するように構成されてもよい。プロセッサ110が触覚効果を決定した後、プロセッサ110は、アクチュエータ118に触覚効果を出力させるように構成されるアクチュエータ118に触覚信号を送信してもよい。アクチュエータ118は、例えば、圧電アクチュエータ、電気モータ、電磁アクチュエータ、音声コイル、リニア共振アクチュエータ、形状記憶合金、電気活性ポリマ、ソレノイド、偏心回転質量モータ(ERM)又はリニア共振アクチュエータ(LRA)であってもよい。」

10 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「[0015] 本形態は図1及び図2に示すように、平板状の筐体2の一方の面に、接触/近接検知手段となるタッチパネル部10と、表示手段となるディスプレイ部20と、スピーカ部30と、マイク部40とが設けられているとともに、筐体2の側面にキーボタン部50が設けられた携帯端末1である。

[0016] ディスプレイ部20は、液晶等から構成されており、制御手段であるCPU90の制御によって画像等の情報を表示する。

[0017] タッチパネル部10は、ディスプレイ部20上に設けられており、指等の接触体による接触操作が行われた場合にその接触操作を検知する。例えば、抵抗膜を用いたものや、静電容量を用いたもの等が挙げられる。」

(2)「[0022] 触覚提示部60は、例えば、小型の振動子等からなり、タッチパネル部10を振動させることにより、タッチパネル部10に接触した指等の接触体に対して、ディスプレイ部20に表示された画像に応じた触覚をタッチパネル部10を介して提示する。

[0023] 入力判定部70は、タッチパネル部10に対する接触操作に応じてディスプレイ部20の表示及び触覚提示部60の動作を決定するためのテーブル(不図示)を有している。入力判定部70は、このテーブルを参照して、タッチパネル部10に対する接触操作に応じたディスプレイ部20の表示及び触覚提示部60の動作を決定する。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「センサ」は、「ユーザの接触を感知するためのタッチサーフェースへの接触を検出する」ものであるところ、「ユーザの接触を感知する」ことは、「ユーザの入力を検出する」ことであり、「タッチサーフェース」は、ユーザの接触がタッチとして行われる「表面」であるといえる。

(イ)引用発明の「第1アクチュエータ118」が出力する「タッチサーフェースの摩擦係数を変化する触覚出力」と、「第2アクチュエータ119」が出力する「デバイス及び/又はタッチサーフェースの振動のような振動触感の触覚効果を含む、第2触覚出力」とは、「異なる」出力といえ、前者は「摩擦効果」の出力であり、後者は「振動触覚効果」の出力であるといえる。また、両「触覚出力」はいずれも、「プロセッサ102」が「タッチが生じたときにアクチュエータ118/119に触覚信号を送信する」ことにより出力されることが明らかであって、「タッチが生じた」ことに対する触覚による応答、すなわち「触覚フィードバック」として「生成」されるものであるといえる。
また、上記(ア)も踏まえると、「タッチサーフェースの摩擦係数を変化する触覚出力」は、「表面」における「摩擦効果」の出力である。
そして、引用発明の「タッチサーフェースの摩擦係数を変化する触覚出力」、「第1アクチュエータ118」は、それぞれ本願発明1の「第1の種類の触覚フィードバック」、「第1触覚出力装置」に相当し、引用発明の「デバイス及び/又はタッチサーフェースの振動のような振動触感の触覚効果を含む、第2触覚出力」、「第2アクチュエータ119」は、それぞれ本願発明1の「第2の種類の触覚フィードバック」、「第2触覚出力装置」に相当する。

(ウ)引用発明の「プロセッサ102」は、「センサ108からデータが提供され、タッチが生じたときにアクチュエータ118/119に触覚信号を送信する」から、「プロセッサ102」は「センサ108」、「第1アクチュエータ118」、及び「第2アクチュエータ119」と「結合された」ものであることが明らかである。

(エ)引用発明の「メモリ104」が含む「プログラムコンポーネント」は、「プロセッサ102」により実行されることが明らかであって、本願発明1の「実行可能な命令」に相当する。

イ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる(当該総相違点については、以下「相違点1」という。)。
(一致点)
「表面において、受信した入力を検出するように構成されたセンサと、
第1の種類の触覚フィードバックを前記表面において生成するように構成された第1触覚出力装置と、
前記第1の種類の触覚フィードバックと異なる第2の種類の触覚フィードバックを生成するように構成された第2触覚出力装置と、
前記センサ、前記第1触覚出力装置、及び前記第2触覚出力装置と結合されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含むメモリと、
を備え、
前記第1の種類の触覚フィードバックは摩擦効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果である、又は前記第1の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは摩擦効果である、システム。」

(相違点1)
本願発明1は、「前記命令によって前記プロセッサが、前記入力に応答して前記第1の種類の触覚フィードバックである触覚効果を所定の持続時間にわたって出力することを決定し、前記第1触覚出力装置に、前記所定の持続時間よりも短い時間にわたって前記触覚効果を出力させ、前記第1触覚出力装置によって前記触覚効果が出力される前記時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過したことに応答して、前記第2触覚出力装置に、前記所定の持続時間において前記第2の種類の触覚フィードバックを出力させ」ることが行われるものであり、かつ、「前記第1の種類の触覚フィードバックから前記第2の種類の触覚フィードバックへの遷移は、ユーザに前記遷移が円滑であると感じさせるように段階的に行われ」るものであるのに対し、引用発明は、単に「プロセッサ102」が「アクチュエータ118/119」に「触覚信号を送信する」ものであって、「タッチサーフェースの摩擦係数を変化する触覚出力」や「デバイス及び/又はタッチサーフェースの振動のような振動触感の触覚効果を含む、第2触覚出力」の具体的な態様については特定されない点。

(2)相違点1についての判断
相違点1について、以下、検討する。
ア 相違点1は、「前記第1の種類の触覚フィードバックから前記第2の種類の触覚フィードバックへの遷移」という構成を含むところ、本願発明1において、「第1の種類の触覚フィードバック」は「第1触覚出力装置」が「生成」し、「第2の種類の触覚フィードバック」は「第2触覚出力装置」が「生成」するものである。
一方、上記第4の7(1)ウのとおり、「触覚効果が出力される時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過した場合でも、触覚効果を人間が知覚できる態様で、触覚出力装置の振動周波数を制御すること」は周知技術(周知技術1)であるものの、周知技術1は、2つの異なる触覚出力装置の一方の触覚出力装置による触覚出力から、他方の触覚出力装置による触覚出力へ遷移させる構成を含むものではない。
そうすると、仮に、引用発明に周知技術1を適用したとしても、「第1アクチュエータ118」が出力する「摩擦係数を変化する触覚出力」における「摩擦係数」が「異なる周波数及び/又は振幅にて前記サーフェースを振動することによって変化される」ものであることに基づいて、「第1アクチュエータ118」の振動周波数を制御すること、及び、「第2アクチュエータ119」が出力する「触覚効果」が「デバイス及び/又はタッチサーフェースの振動のような振動触感の触覚効果」であることに基づいて、「第2アクチュエータ119」の振動周波数を制御すること、のいずれか一方又は両方を行う構成が得られるにとどまり、「第1アクチュエータ118」及び「第2アクチュエータ119」の一方から他方へ「触覚出力」が「遷移」する構成には至らない。
そして、この点は、上記第4の7(2)ウの周知技術2を考慮しても変わるものではない。周知技術2も、2つの異なる触覚出力装置の一方の触覚出力装置による触覚出力から、他方の触覚出力装置による触覚出力へ遷移させる構成を含むものではないから、結局、上記構成には至らない。

イ また、他に、相違点1に係る構成とすることについて当業者が容易に想到し得た、と認めるに足りる証拠は見当たらない。引用文献5?9の各記載事項を個別に検討しても、それらのいずれかが当該証拠に該当しないことは明らかである。例えば、引用文献5記載事項については以下のとおりである。

(ア)引用文献5記載事項において、
「入力手段」は、それによって「ユーザ」が「物体をスキャンする」ことで「触覚信号」が「発生」するものであるから、本願発明1の「表面において、受信した入力を検出するように構成されたセンサ」に相当し、
「接触器」は、本願発明1の「触覚出力装置」に相当し、
「触覚情報」は、「ユーザ」が「物体をスキャンする」ことに対する触覚による応答、すなわち「触覚フィードバック」として「生成」されるものであるといえ、
「18Hz以上の周波数のストロークから粗い表面を触る感じ」は、本願発明1の「摩擦効果」に相当し、
「周波数のストローク」が振動であることは明らかであるから、「18Hz以上の周波数のストロークから粗い表面を触る感じ」は、本願発明1の「振動触覚効果」に相当する。

(イ)また、引用文献5記載事項の、「接触器が約30Hzの周波数で2分以上振動すれば、ユーザの第3受容器が鈍くなってこれ以上粗い面を触る感覚をもつことができないことから、接触器の周波数を、第3受容器を刺激すると同時に第4受容器を刺激する周波数である80Hzに変換する」ことは、換言すれば、「触覚効果が出力される時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過した」場合でも、「触覚効果」を人間が知覚できる態様で、「触覚出力装置」の振動の周波数を制御すること(上記第4の7(1)イ)であるといえる。

(ウ)しかしながら、振動が「約30Hzの周波数」である場合と「80Hz」である場合とで「接触器」は共通であって、引用文献5記載事項では、2つの異なる「触覚出力装置」に相当する構成は存在しない。
したがって、仮に引用発明に引用文献5記載事項を適用したとしても、上記アと同様に、「第1アクチュエータ118」及び「第2アクチュエータ119」の一方から他方へ「触覚出力」が「遷移」する構成には至らない。

ウ 更に、引用文献2?4のいずれも、上記第4の8?10に摘記した各文献の主な記載内容からすれば、上記イの証拠に該当しないことは明らかである。

(3)小括
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえず、引用発明及び引用文献2?9に記載の発明に基づいて容易に発明できたものともいえない。

2 本願発明18について
(1)本願発明18は、本願発明1の一部の発明特定事項について、実質的に、以下のア、イの点で減縮したものであるといえる。
ア 本願発明1における、「前記第1触覚出力装置に、前記所定の持続時間よりも短い時間にわたって前記触覚効果を出力させ」ることが、「第1の周波数レンジにおける第1の周波数を含む第1の駆動信号を前記第1触覚出力装置に送信することによって、」行われるものである点。
イ 本願発明1における、「前記第2触覚出力装置に、前記所定の持続時間において前記第2の種類の触覚フィードバックを出力させ」ることが、「第2の周波数レンジにおける第2の周波数を含む第2の駆動信号を前記第2触覚出力装置に送信することによって、」行われるものである点。

(2)また、本願発明18は、本願発明1には含まれていない
「前記第1の周波数レンジの下端は、前記第2の周波数レンジの下端よりも低く、
前記第1の周波数レンジの上端は、前記第2の周波数レンジの上端よりも低く、」
という発明特定事項を含む。

(3)一方、本願発明18は、「第1の種類の触覚フィードバック」、「第2の種類の触覚フィードバック」が取り得る触覚効果の種類について、本願発明1における「前記第1の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは摩擦効果である」という選択肢が削除されている。

(4)以上を踏まえると、本願発明18と引用発明とを対比したときの両者の相違点には、本願発明1と引用発明との対比における相違点1がすべて含まれている。

(5)したがって、本願発明18は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえず、引用発明及び引用文献2?9に記載の発明に基づいて容易に発明できたものともいえない。

3 本願発明20について
(1)本願発明20は、本願発明1における
「前記入力に応答して前記第1の種類の触覚フィードバックである触覚効果を所定の持続時間にわたって出力することを決定し、
前記第1触覚出力装置に、前記所定の持続時間よりも短い時間にわたって前記触覚効果を出力させ、
前記第1触覚出力装置によって前記触覚効果が出力される前記時間が前記触覚効果への慣れに関連付けられる所定期間を超過したことに応答して、前記第2触覚出力装置に、前記所定の持続時間において前記第2の種類の触覚フィードバックを出力させ、
前記第1の種類の触覚フィードバックから前記第2の種類の触覚フィードバックへの遷移は、ユーザに前記遷移が円滑であると感じさせるように段階的に行われ、
前記第1の種類の触覚フィードバックは摩擦効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果である、又は前記第1の種類の触覚フィードバックは振動触覚効果であり、前記第2の種類の触覚フィードバックは摩擦効果である、」
との発明特定事項に対応する方法の発明であり、当該発明特定事項において本願発明1とカテゴリ表現が異なる発明である。

(2)一方、本願発明20は、本願発明1における
「表面において、受信した入力を検出するように構成されたセンサと、
第1の種類の触覚フィードバックを前記表面において生成するように構成された第1触覚出力装置と、
前記第1の種類の触覚フィードバックと異なる第2の種類の触覚フィードバックを生成するように構成された第2触覚出力装置と、
前記センサ、前記第1触覚出力装置、及び前記第2触覚出力装置と結合されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含むメモリ」
に対応する発明特定事項については、「第1の種類の触覚フィードバック」と「第2の種類の触覚フィードバック」とが「異なる」点を除き、有していない。

(3)以上を踏まえると、本願発明20と引用文献1に記載の発明とを対比したときの両者の相違点には、実質的に、本願発明1と引用発明との対比における相違点1がすべて含まれている。

(4)したがって、本願発明20は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載の発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえず、引用文献1に記載の発明及び引用文献2?9に記載の発明に基づいて容易に発明できたものともいえない。

4 本願発明33について
本願発明33は、本願発明20との間で、上記2(1)?(3)で述べた本願発明18の本願発明1に対する関係と同様の関係を有している。
そうすると、本願発明33と引用文献1に記載の発明とを対比したときの両者の相違点には、実質的に、本願発明1と引用発明との対比における相違点1がすべて含まれている。
したがって、本願発明33は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載の発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえず、引用文献1に記載の発明及び引用文献2?9に記載の発明に基づいて容易に発明できたものともいえない。

5 その余の発明について
上記第3の5のとおり、本願発明2-17,35は本願発明1を、本願発明19は本願発明18を、本願発明21-32は本願発明20を、本願発明34は本願発明33を、それぞれ減縮した発明であるところ、上記1?4のとおり、本願発明1,18,20,33は、当業者であっても容易に発明できたものとはいえないから、本願発明2-17,19,21-32,34,35についても同様に、容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-35は、当業者が引用文献1に記載の発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、引用文献1に記載の発明及び引用文献2?9に記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-11-17 
出願番号 特願2014-230338(P2014-230338)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野村 和史梅本 章子  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 林 毅
富澤 哲生
発明の名称 摩擦効果及び振動触覚効果を生成するシステム及び方法  
代理人 岡部 憲昭  
代理人 穐場 仁  

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