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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
管理番号 1368044
異議申立番号 異議2019-700894  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-13 
確定日 2020-09-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6512804号発明「透明導電性フィルム積層体及びその用途」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6512804号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6512804号の請求項1?4に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許6512804号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成26年12月5日に出願されたものであって、平成31年4月19日にその特許権の設定登録がなされ、令和元年5月15日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和元年11月13日に特許異議申立人実川 栄一郎(以下「申立人」という。)により全請求項(請求項1?4)に対して特許異議の申立てがなされ、令和2年2月26日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和2年4月23日に意見書の提出及び訂正の請求がなされ、その訂正の請求に対して申立人から令和2年6月9日に意見書が提出されたものである。

第2.訂正の請求についての判断
1.訂正の内容
本件訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、特に訂正自体を「本件訂正」という。)による訂正の内容は、訂正箇所を下線を付して示すと、以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「、を含む透明導電性フィルム積層体であって、」
と記載されているのを、
「、を含み、ロールtoロール製法で搬送して使用される透明導電性フィルム積層体であって、」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、0.01μm以上であり、」
と記載されているのを、
「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、0.01?5μmであり、
前記第2の硬化樹脂層は、最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有し、」に訂正する。

2.一群の請求項
訂正前の請求項1?4について、請求項2?4は直接または間接的に請求項1を引用するものであるから、訂正前の請求項1?4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であって、上記訂正事項1及び2による訂正は、当該一群の請求項について請求されたものである。

3.訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的について
上記訂正事項1は、「ロールtoロール製法で搬送して使用される透明導電性フィルム積層体であって」との記載により、訂正前の請求項1において特定されていた「透明導電性フィルム積層体」が、「ロールtoロール製法で搬送して使用される」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。

イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項1は、上記ア.に示したとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1により限定される、「透明導電性フィルム積層体」が、「ロールtoロール製法で搬送して使用される」点は、特許明細書等の段落【0042】の「また、透明導電膜のアニール処理等も同様に長尺状の透明導電性フィルム積層体として、ロールtoロール製法で搬送しながら連続的に処理することが好ましい。透明導電性フィルム積層体とすることで、ロールtoロール製法において、透明導電性フィルム積層体の破断を防止することができ、その後の工程歩留りを確保できる。」との記載に基いて導き出されるものであるから、上記訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1において、
「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、0.01μm以上であり、」
と記載されているのを、
「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、0.01?5μmであり、」
に変更する訂正(以下「訂正事項2-1」)と、
「前記第2の硬化樹脂層は、最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有し、」
という記載を追加する訂正(以下「訂正事項2-2」という。)であり、以下、それぞれについて検討する。

(2-1)訂正事項2-1について
ア.訂正の目的について
上記訂正事項2-1は、「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRa」について、訂正前の請求項1においては、下限値のみが特定されており、上限値が特定されていなかったところ、「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、0.01?5μmであり、」として、下限値及び上限値を特定することでその範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。

イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項2-1は、上記ア.に示したとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2-1により限定される、「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRa」が、「0.01?5μm」である点は、特許明細書等の段落【0067】の「保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.01?5μmであることがより好ましく、0.05?2μmであることが更に好ましく、0.1?1μmであることが特に好ましい。」との記載に基いて導き出されるものであるから、上記訂正事項2-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。

(2-2)訂正事項2-2について
ア.訂正の目的について
上記訂正事項2-2は、「第2硬化樹脂層」について、「最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有し」ていることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。

イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項2-2は、上記ア.に示したとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2-2により限定される、「第2硬化樹脂層」が、「最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有し」ている点は、特許明細書等の段落【0031】の「なお、透明導電性フィルムに耐ブロッキング性を十分に付与し、かつヘイズの上昇を十分に抑制するという観点から、粒子の最頻粒子径は硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を用いることが好ましい。」との記載、段落【0076】の「紫外線硬化性樹脂組成物(JSR社製 商品名「オプスタ-Z7540」)を100重量部と、最頻粒子径が1.9μmであるアクリル系球状粒子(綜研化学社製 商品名「MX-180TA」)を0.2重量部とを含む、球状粒子入り硬化性樹脂組成物を準備した。」との記載、及び段落【0077】の「準備した球状粒子入り硬化性樹脂組成物を厚みが35μmでガラス転移温度が165℃のポリシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン製 商品名「ZEONOR(登録商標)」)の一方の面にコロナ処理を実施した後塗布し、塗布層を形成した。次いで、塗布層が形成された側から塗布層に紫外線を照射して、厚みが2.0μmとなる様に第2の硬化樹脂層を形成した。」との記載に基いて導き出されるものであるから、上記訂正事項2-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-4〕について、訂正することを認める。

第3.本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下「本件発明1?4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
保護フィルムの一方の面側に粘着剤層を有するキャリアフィルムと、前記粘着剤層を介して剥離可能に積層した透明導電性フィルムと、を含み、ロールtoロール製法で搬送して使用される透明導電性フィルム積層体であって、
前記透明導電性フィルムは、透明導電膜と、第1の硬化樹脂層と、透明樹脂フィルムと、第2の硬化樹脂層とをこの順に有し、
前記透明樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂からなり、
前記透明導電性フィルムの厚みは、20μm?150μmであり、
前記キャリアフィルムは、前記透明導電性フィルムの前記第2の硬化樹脂層が形成されている面側に積層されており、
前記保護フィルムは、非晶性樹脂からなり、
前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面にエンボス加工が施されており、
前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、
0.01?5μmであり、
前記第2の硬化樹脂層は、最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有し、
前記透明導電性フィルム積層体に対して180°折り曲げ試験を行った際に、前記透明導電性フィルム積層体の破断が発生しない透明導電性フィルム積層体。
【請求項2】
前記保護フィルムは、溶融押出しポリカーボネート系樹脂または溶融押出しシクロオレフィン系樹脂からなる請求項1に記載の透明導電性フィルム積層体。
【請求項3】
前記保護フィルムの厚みは、20μm?150μmである請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム積層体。
【請求項4】
前記第1の硬化樹脂層と前記透明導電膜との間に更に1層以上の光学調整層を備える請求項1?3いずれか1項に記載の透明導電性フィルム積層体。」

第4.取消理由の概要
本件訂正前の請求項1?4に係る特許に対して、令和2年2月26日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。

理由1.本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

理由2.本件特許の請求項1?4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。



●理由1について
本件特許が解決しようとする課題は、「アンチブロッキング層を別途設けることなく、保護フィルム自体の表面に算術平均表面粗さRaを付与することで破断防止性とアンチブロッキング性とを両立させ」る(段落0009)ことであるから、当該課題を解決するには、保護フィルムの表面の算術平均表面粗さRaの具体的な数値範囲が、破断防止性とアンチブロッキング性を付与することができる範囲でなければならない。
しかしながら、請求項1には、「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRa」が「0.01μm以上であ」る点が特定されるのみである。
一方、保護フィルムの表面の表面粗さが粗すぎれば、ロールtoロール製法による巻取り等において、接触するフィルムに傷付きが発生する恐れがあることは明らかであり、当該傷を起因として破断が発生することは、十分に考えられることである。
そうすると、請求項1には、課題を解決することができないものを含み得るものである。
したがって、本件発明1及びその従属項たる本件発明2?4は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

●理由2について
本件発明1?4は、引用例1に記載された発明、引用例1に記載された事項及び各周知技術(引用例2?8、10参照)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本件発明1?4は、引用例9に記載された発明、引用例9に記載された事項及び各周知技術(引用例2?8、10参照)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

<引用例一覧>
引用例1:特開2010-157439号公報(甲第1号証)
引用例2:特開平9-262926号公報(甲第3号証)
引用例3:特開2001-030409号公報(甲第4号証)
引用例4:特開2000-111885号公報(甲第5号証)
引用例5:特開2000-353426号公報(甲第6号証)
引用例6:特開平8-20060号公報(甲第7号証)
引用例7:特開2001-11207号公報(甲第8号証)
引用例8:特開2002-241514号公報(甲第9号証)
引用例9:特開2000-108241号公報(甲第10号証)
引用例10:特開2011-150697号公報(当審で新たに示す引用例)

第5.当審の判断
1.理由1(特許法第36条第6項第1号)について
上記第2.に示したように、本件訂正が認められたことによって、本件発明1?4は、「前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRa」の上限値が特定され、課題を解決できないものを含まないものとなった。
したがって、本件発明1?4は、本件発明の課題を解決できるものであって発明の詳細な説明に記載した発明であり、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしているから、その特許は特許法第113条第4号に該当するものとはいえない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
(1)引用例1を主引用例とする場合
ア.引用例1に記載されている事項、引用例1に記載された発明
引用例1には、以下の記載がある。
(ア)「【0013】
図1で例示されている本発明の透明導電性積層体10は、透明有機高分子基板1、透明有機高分子基板1の一方の面上の透明導電層2、及び透明有機高分子基板1の他方の面上の凹凸表面を有する硬化樹脂層3を有する。ここで、透明有機高分子基板1の面上の凹凸表面を有する硬化樹脂層3は、拡大図を図2で示すように、平均一次粒子径200nm未満の金属酸化物及び/又は金属フッ化物超微粒子3aを含有しており、これらの超微粒子3aのうちの少なくとも一部は、硬化樹脂層3の凹凸表面に存在している。
【0014】
図3で例示されている本発明の透明導電性積層体50では、図1で例示されている本発明の透明導電性積層体10の構成(1、2、3)に加えて、硬化樹脂層3の凹凸表面上に貼り付けられている一時的な表面保護フィルム30を更に有している。ここで、この一時的な表面保護フィルム30は、基材としてのプラスチックフィルム6と、このプラスチックフィルムの片面に適用されている粘着剤層7を有している。」

(イ)「【0028】
本発明の透明導電性積層体では、硬化樹脂層の凹凸表面が、物性の差に基づいて相分離する少なくとも2種の成分を含有するコーティング組成物から形成されており、且つ硬化樹脂層が、平均一次粒子径200nm以上、特に150nm以上、より特に100nm以上の無機及び/又は有機微粒子、すなわち凹凸表面の形成等のために従来用いられてきた無機及び/又は有機微粒子を含有していないことによって、硬化樹脂層の凹凸表面上に、粘着剤層及び第2の透明基板を順次積層したときに、良好な透明性又はヘーズ特性を達成する透明導電性積層体を提供することができる。すなわちこの場合、本発明の透明導電性積層体では、凹凸表面を有する硬化樹脂層において、無機及び/又は有機微粒子に起因するヘーズが発生しない。」

(ウ)「【0031】
また、本発明の透明導電性積層体では、硬化樹脂層が、平均一次粒子径200nm未満の金属酸化物及び/又は金属フッ化物超微粒子を含有している。このような大きさの超微粒子は、硬化樹脂層表面における凹凸の形成には有意には貢献しないものの、硬化樹脂層の表面に存在することによって、一時的な表面保護フィルムを剥離するときの剥離力を調整し、それによって平均一次粒子径200nm以上の無機粒子及び/又は有機粒子を含有しているバインダーから作られた従来の易滑層からなる硬化樹脂層と同様な剥離力を提供することができる。」

(エ)「【0058】
〈透明導電性積層体-一時的な表面保護フィルム〉
本発明の透明導電性積層体は、硬化樹脂層の凹凸表面上に貼り付けられている一時的な表面保護フィルムを更に有することができる。この一時的な表面保護フィルムは一般的に、プラスチックフィルムを基材とし、基材の片面に粘着剤層を設けた構成を有している。また、この一時的な表面保護フィルムは、本発明の透明導電性積層体の硬化樹脂層の凹凸表面上に貼り付けることによって、輸送、貯蔵、加工等の間に本発明の透明導電性積層体を保護するために用い、その後で剥離して取り除かれるものである。」

(オ)「【0089】
[実施例及び比較例]
実施例及び比較例の透明導電性積層体を、図3で示すようにして構成して、一時的な表面保護フィルムを剥離して除去するときの剥離力に関する試験を行った。また、実施例及び比較例の透明導電性積層体を、図4で示すようにして構成して、粘着剤層及び第2の透明基板を積層する前後で透明導電性積層体のヘーズ値を測定した。結果を下記の表1に示す。具体的には、実施例及び比較例の透明導電性積層体は下記のようにして製造した。
【0090】
[実施例1]
(硬化樹脂層の形成) 実施例1の透明導電性積層体は下記のようにして製造した。すなわち、厚さ100μmのカーボネート(PC)フィルム(帝人化成(株)製 C110)(透明基板A、ヘーズ値0.11%)の片面に、下記塗工液Rを用いてバーコート法によりコーティングし、30℃で1分間乾燥した後、紫外線を照射して硬化させることにより、厚さ3.0μmの硬化樹脂層を形成した。
【0091】
塗工液Rは、凹凸表面を有する硬化樹脂層を構成する第1の成分として不飽和二重結合含有アクリル共重合体(Sp値:10.0、Tg:92℃)4.5重量部、凹凸表面を有する硬化樹脂層を構成する第2の成分としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(Sp値:12.7)100重量部、金属フッ化物超微粒子分散液10質量部(固形分換算2質量部、シーアイ化成株式会社製、MgF2超微粒子20質量%、イソプロピルアルコール分散液、超微粒子の一次平均粒子径50nm)、光重合開始剤としてのイルガキュア184(チバスペシャリティーケミカル社製)7重量部を、イソブチルアルコール溶媒に固形分が30重量%となるように溶解して作製した。
【0092】
なお、第1の成分としての不飽和二重結合含有アクリル共重合体(Sp値:10.0、Tg:92℃)は以下の通りに調整を行った。
【0093】
イソボロニルメタクリレート171.6g、メチルメタクリレート2.6g、メチルアクリル酸9.2gからなる混合物を混合した。この混合液を、攪拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で110℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル330.0gに、ターシャルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート1.8gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル80.0g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後、110℃で30分間反応させた。
【0094】
その後、ターシャルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート0.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテル17.0gの溶液を滴下して、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.4gとハイドロキノン0.1gを含む5.0gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル22.4gとプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0gの溶液を2時間かけて滴下し、その後5時間かけて更に反応させて、第1の成分としての不飽和二重結合含有アクリル共重合体を得た。
【0095】
得られた不飽和二重結合含有アクリル共重合体は、数平均分子量5,500、重量平均分子量18,000、Sp値:10.0、Tg:92℃、表面張力:31dyn/cmであった。
【0096】
(ITO層の形成)
次いで硬化樹脂層を形成した他方の面上に、酸化インジウムと酸化錫の重量比が95:5の組成で充填密度が98%の酸化インジウム-酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法により透明導電層-1(ITO層)を形成した。ITO層の厚さは約20nm、表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。
【0097】
(剥離力の測定)硬化樹脂層の上に保護フィルム(サンエー科研製PAC-2-70)を室温で圧着し、130℃で90分熱処理した。その後で保護フィルムを剥離して、保護フィルムの剥離力(密着強度)を測定した。」

(カ)「【0101】
・・・
[実施例4]
実施例1の硬化樹脂層の膜厚を1.0μmとした以外は実施例1と同様にして透明導電性積層体を得た。作製した透明導電性積層体の特性を表1に示す。」

(キ)「【図1】



(ク)「【図3】



(ケ)引用例1の図1及び図3から、透明導電性積層体50が、プラスチックフィルム6の一方の面側に粘着剤層7を有する表面保護フィルム30と、粘着剤層7を介して積層した透明導電性積層体10とを含み、透明導電性積層体10は、透明導電層2と、透明有機高分子基板1と、硬化樹脂層3とをこの順に有しており、表面保護フィルム30は、透明導電性積層体10の硬化樹脂層3が形成されている面側に積層されていることが看取できる。

以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「プラスチックフィルム6の一方の面側に粘着剤層7を有する表面保護フィルム30と、粘着剤層7を介して剥離可能に積層した透明導電性積層体10と、を含む透明導電性積層体50であって、
透明導電性積層体10は、透明導電層2と、透明有機高分子基板1と、硬化樹脂層3とをこの順に有し、
透明有機高分子基板1は、カーボネート(PC)フィルムからなり、
透明有機高分子基板1の厚みは100μmであり、透明導電層2の厚みは20nmであり、硬化樹脂層3の厚みは3.0μmまたは1.0μmであり、
表面保護フィルム30は、透明導電性積層体10の硬化樹脂層3が形成されている面側に積層されており、
硬化樹脂層3は、一次平均粒子径が50nmの超微粒子を含有する、透明導電性積層体50。」

イ.本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「プラスチックフィルム6」、「粘着剤層7」、「表面保護フィルム30」、「透明導電性積層体10」及び「透明導電性積層体50」は、それぞれ、本件発明1の「保護フィルム」、「粘着剤層」、「キャリアフィルム」、「透明導電性フィルム」及び「透明導電性フィルム積層体」に相当する。
また、引用発明1の「透明導電層2」及び「透明有機高分子基板1」は、本件発明1の「透明導電膜」及び「透明樹脂フィルム」に相当し、引用発明1の「硬化樹脂層3」は、「硬化樹脂層」である限りにおいて本件発明1の「第2の硬化樹脂層」に一致する。
また、引用発明1の「透明有機高分子基板1は、カーボネート(PC)フィルムからな」る点は、「ポリカーボネート系樹脂」という限りにおいて、本件発明1の「前記透明樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂からな」る点に一致する。

したがって、本件発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「保護フィルムの一方の面側に粘着剤層を有するキャリアフィルムと、前記粘着剤層を介して剥離可能に積層した透明導電性フィルムと、を含む透明導電性フィルム積層体であって、
前記透明導電性フィルムは、透明導電膜と、透明樹脂フィルムと、硬化樹脂層とをこの順に有し、
前記透明樹脂フィルムは、ポリカーボネート系樹脂からなり、
前記キャリアフィルムは、前記透明導電性フィルムの前記硬化樹脂層が形成されている面側に積層されている、
透明導電性フィルム積層体。」

<相違点1-1>
「透明導電性フィルム」について、本件発明1は「ロールtoロール製法で搬送して使用される」ものであるのに対し、引用発明1は「ロールtoロール製法で搬送して使用される」ものであるか否か明らかでない点。

<相違点1-2>
「透明導電性フィルム」について、本件発明1は「透明導電膜」と、「第1の硬化樹脂層」と、「透明樹脂フィルム」と、「第2の硬化樹脂層」とをこの順に有し、「厚みが20μm?150μm」であるのに対し、引用発明1は「厚さが20nm」の「透明導電層2」と、「厚さが100μm」の「透明有機高分子基板1」と、「厚さが3.0μmまたは1.0μm」の「硬化樹脂層3」とをこの順に有したものであり、「第1の硬化樹脂層」を有しておらず、そのため、合計の厚みは103.02μmまたは101.02μmであり本件発明1の「透明導電性フィルム」の厚みに含まれるものであるが、「第1の硬化樹脂層」の厚みが含まれないものである点。

<相違点1-3>
「透明樹脂フィルム」について、本件発明1は「シクロオレフィン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂」からなるのに対し、引用発明1は選択肢として「シクロオレフィン系樹脂」を含まない点。

<相違点1-4>
「保護フィルム」について、本件発明1は「非晶性樹脂」からなるのに対し、引用発明1は「非晶性樹脂」からなるか否か明らかでない点。

<相違点1-5>
「保護フィルム」について、本件発明1は「粘着剤層を有しない面側の表面にエンボス加工が施されて」いるのに対し、引用発明1は「エンボス加工」が施されているか否か明らかでない点。

<相違点1-6>
「保護フィルム」について、本件発明1は、「粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaが0.01μm以上である」のに対し、引用発明1は、粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaの具体的な大きさが明らかでない点。

<相違点1-7>
「第2の硬化樹脂層」について、本件発明1は、「最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有」するものであるのに対し、引用発明1は、「厚さが3.0μmまたは1.0μm」の「硬化樹脂層3」において、「一次平均粒子径が50nmの超微粒子を含有する」ものである点。

<相違点1-8>
「透明導電性フィルム積層体」について、本件発明1は「180°折り曲げ試験を行った際」に、「破断が発生しないものである」のに対し、引用発明1の「透明導電性積層体50」はそのようなものであるか否か明らかでない点。

(イ)判断
事案に鑑み、まず<相違点1-7>について検討する。
引用例1の段落【0028】には、上記ア.(イ)に摘記したように、「本発明の透明導電性積層体では、硬化樹脂層の凹凸表面が、物性の差に基づいて相分離する少なくとも2種の成分を含有するコーティング組成物から形成されており、且つ硬化樹脂層が、平均一次粒子径200nm以上、特に150nm以上、より特に100nm以上の無機及び/又は有機微粒子、すなわち凹凸表面の形成等のために従来用いられてきた無機及び/又は有機微粒子を含有していないことによって、硬化樹脂層の凹凸表面上に、粘着剤層及び第2の透明基板を順次積層したときに、良好な透明性又はヘーズ特性を達成する透明導電性積層体を提供することができる。すなわち、この場合、本発明の透明導電性積層体では、凹凸表面を有する硬化樹脂層において、無機及び/又は有機微粒子に起因するヘーズが発生しない。」と記載されているから、引用発明1は、硬化樹脂層が、平均一次粒子径200nm以上の無機及び/又は有機微粒子を含有していないことによって、無機及び/又は有機微粒子に起因するヘーズの発生を防止しようとするものであるといえる。
そうすると、引用発明1において、硬化樹脂層に、一次平均粒子径200nm以上の無機及び/又は有機微粒子を含有させることは、その動機付けがなく、ヘーズの発生を招くこととなるから、むしろ阻害要因があるというべきである。
そして、引用発明1の「一次平均粒子径」と本件発明1の「最頻粒子径」とは、それぞれ粒子径分布における異なる指標であるが、仮に両者がほぼ同じ値を示すとしても、引用発明1の「厚さが3.0μmまたは1.0μm」の「硬化樹脂層3」に対し、そこに含有される「無機及び/又は有機微粒子」の「一次平均粒子径」の上限値である200nmは、「硬化樹脂層3」の厚みの±50%の範囲を満たさない。
したがって、引用発明1において、「厚さが3.0μmまたは1.0μm」の「硬化樹脂層3」に対し、無機及び/又は有機微粒子に起因するヘーズの発生を防止しつつ、「一次平均粒子径」が200nm以上の「微粒子」を含有させることで、上記相違点1-7に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(ウ)申立人の主張について
申立人は、上記<相違点1-7>に関し、本件発明1においては、第2の硬化樹脂層の厚さが規定されていないから、本件発明1における第2の硬化樹脂層の厚さが100nmであれば、最頻粒子径が50?150nmの粒子を含有することとなり、引用発明1との相違点とはならない旨主張している(申立人意見書3ページ10?14行)。
しかしながら、引用発明1は、本件発明1の「最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有」する構成は有しておらず、引用文献1には、「硬化樹脂層3」の厚さを100nmとすることも記載されていないから、<相違点1-7>は引用発明1との相違点とはならないとする申立人の主張は、採用することができない。

また、申立人は上記<相違点1-7>に関し、当面導電性フィルムの技術分野において、硬化樹脂層に、最頻粒子径がその硬化樹脂層の厚みの±50%程度の範囲の粒子を用いることは、意見書において提出する甲第13号証(特開2012-206502号公報)及び甲第14号証(特開平9-165555号公報)に記載されているように周知技術であり、引用発明1において、ヘイズの上昇を十分に抑制し、耐ブロッキング性を付与するために、上記周知技術を適用して、本件特許発明1の構成とすることは当業者にとって極めて容易である旨主張している(申立人意見書3ページ20行?8ページ17行)。
しかしながら、硬化樹脂層に最頻粒子径がその硬化樹脂層の厚みの±50%程度の範囲の粒子を用いることが技術常識であるとしても、上記(イ)に示したとおり、引用発明1において、「厚さが3.0μmまたは1.0μm」硬化樹脂層に、平均一次粒子径200nm以上の無機及び/又は有機微粒子を含有させることは、ヘーズの発生を招くこととなり阻害要因があるといえるから、引用発明1に当該周知技術を適用して、上記<相違点1-7>に係る本件発明1の構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)小括
したがって、本件発明1は、上記<相違点1-1>?<相違点1-6>及び<相違点1-8>について判断するまでもなく、引用発明1、引用例1に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。

ウ.本件発明2?4
本件発明2?4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本件発明2?4についても同様に、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。

(2)引用例9を主引用例とする場合
ア.引用例9に記載されている事項、引用例9に記載された発明
引用例9には、以下の記載がある。

(ア)「【請求項1】 非晶質プラスチックからなりガラス転移温度が100℃以上である透明プラスチックフィルムAの少なくとも一方の表面に透明導電層が形成されており、もう一方の表面に、粘着層を介して粘着層と反対の面の摩擦係数が0.7以下であるプラスチックフィルムBがラミネートされていることを特徴とする、透明導電層を有する積層フィルム。」

(イ)「【0006】この様な、透明導電性フィルムに用いられる透明プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムが、耐熱性と透明性を備えており広く用いられている。一方、プラスチック液晶や、特開平3-121523号、特開平10-48625号に見られるような、特殊な機能を付与したタッチパネルが、近年注目されつつある。この様な用途に用いる場合、プラスチックフィルムの耐熱性、高度な表面平滑性や光学特性がより重要となり、ガラス転移温度が100℃以上であるポリアリレート系やポリカーボネート系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系の他、ノルボルネン系などの非晶質プラスチックからなるフィルムが用いられている。これらフィルムへの透明導電層を形成する場合は、フィルム巻き取り式真空成膜装置が一般に用いられ、真空チャンバーにロール状の長尺フィルムを入れ、一方からフィルムを繰り出し他方でフィルムを巻き取りながら、連続的に透明導電層を形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらフィルムは、表面粗さ(Ra)が100nm以下と、極めて平滑な表面性を有しており、ロール状で長尺フィルムを取り扱う場合、フィルム同士の滑り性が悪いため、巻き取ったフィルムにしわが入りやすく特別な巻き取り装置が必要である他、ブロッキングと言われるフィルム同士の融着が起こりやすくなり、滑らかにフィルムを巻き出すことが出来なくなると言う問題を抱えている。また、しわが発生したフィルムに真空成膜を行うと、フィルムと冷却ロールとの密着性が悪くなり、冷却不足によりフィルムが部分的な熱ダメージを受け、得られた透明導電層の電気的、光学的特性が不均一になるという問題を生じる。一方、真空成膜装置の真空チャンバー内に特別なフィルム巻き取り装置を配置すると、真空チャンバー全体が極めて嵩高いものになり現実的ではない。そのため、フィルムの厚みを100μm以上に厚くし、剛性を増すことにより取り扱いにくさを克服しているのが現状である。ところが、フィルムを厚くすると、透明導電層を形成する前に必要とされる、フィルム内に含まれる水分などの乾燥除去に時間がかかる他、真空チャンバー内に装着できるフィルムのロール径が一定であるため装着可能なフィルム長さが短くなり、量産時の生産性が悪くなると言う問題を抱えている。
【0008】フィルムの滑り性を改善するために、表面にフィラーを有するコーテイング層を形成し表面平滑性を低下させる、いわゆる易滑コーティングも利用可能であるが、当然の事ながら得られた透明導電フィルムも表面平滑性が低下する他、フィルムのヘーズが高くなる等、特性の低下を伴うという問題点を抱えている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明プラスチックフィルムの透明導電層を形成する面の反対側面に、摩擦係数の小さい第二のフィルムを粘着剤を介してラミネートすることにより、前記課題を解決するものである。」

(ウ)「【0018】透明プラスチックフィルムAに、粘着層を介してラミネートされるプラスチックフィルムBとしては、摩擦係数が0.7以下である公知のプラスチックフィルムの片面を粘着加工したものを用いることができる。プラスチックフィルムBは、最終用途である液晶表示装置やタッチパネルに加工される前に、あるいは、途中で、除去されるため、透明である必要はない。フィルムの厚みは、一般には5μmから100μmであり、5μm以下では透明プラスチックフィルムAとのラミネートの際、取り扱いが困難となる。また、100μm以上では、フィルム全体の厚みが厚くなりすぎるため、本発明目的を達成することが出来ない。フィルム厚みのより好ましい範囲は、10μm以上60μm未満である。」

(エ)「【0020】プラスチックフィルムBは、片面に粘着剤層を形成させてから、透明プラスチックフィルムAにラミネートする。粘着剤層としては、公知のアクリル系やシリコン系の粘着剤が適応できるが、粘着剤の種類によっては、積層フィルムの加工中に発泡したり、粘着強度が上がり、プラスチックフィルムBを剥離しにくくなったりする事があるため、加工条件に耐え得る粘着剤を選定する必要がある。また、プラスチックフィルムBの剥離時には、粘着剤は透明プラスチックフィルムAの表面に粘着剤が残ると透明性を損なうほか異物として認識されることがあり好ましくない。従って、剥離時にはプラスチックフィルムBとともに除去される必要がある。その為、プラスチックフィルムBに粘着加工を行う際に、該フィルムの粘着加工面にコロナ処理などの粘着剤との親和性を向上する前処理を行うことが望ましい。もちろん、剥離の際の粘着剤残りの問題が無ければ、透明プラスチックフィルムAに粘着加工してからプラスチックフィルムBを粘着加工面にラミネートしてもかまわない。また、ラミネート時にフィルムを加熱することは、ラミネートフィルムの品質を安定させる上で好ましい。ラミネート時の異物巻き込みは、加工を経て透明プラスチックフィルムへ異物斑が転写し光学的欠陥を形成するので、フィルムや環境に対して公知の異物対策を行う必要がある。」

(オ)「【0022】この様にして得られた積層フィルムの、透明プラスチックフィルムAの表面に、透明導電層が形成される。積層フィルムの透明導電層を形成する面には、透明導電層の機械的強度や密着性改良、あるいは、ガスバリヤー性や耐溶剤性改良の目的で、予め、その表面に公知のコーティング層が形成されていてもかまわない。
【0023】好ましいコーティング層を例示すると、有機系コーティング層としては、メラミン樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アルキド樹脂系、含フッソ系樹脂系であり、また有機-シリコーン複合系としては、ポリエステルポリオールやエーテル化メチロールメラミンにアルキルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの部分加水分解物を配合したものが挙げられる。また、アミノシランやエポキシシランの部分加水分解物、シランカップリング剤とアルキルトリアルコキシシラン・テトラアルコキシシランの部分加水分解物、コロイダルシリカとアルキルトリアルコキシシランの加水分解物等のシリコーン系材料も好適に用いることができる。これら材料を本発明透明フィルムの片面又は両面にコーティング後、熱硬化により耐溶剤性皮膜を有するフィルムを得ることが出来る。この時、低温硬化型の触媒を同時に用いることは、好ましくないフィルムの熱変性を抑制するために好ましい方法である。また多官能アクリレート等のモノマーやオリゴマーに光増感剤を添加し、紫外線や電子線により得られる硬化層も好適に用いることが出来る。」

(カ)「【0026】本発明の透明導電層を有する積層フィルムは、前記積層フィルムを用いて、透明プラスチックフィルムAの、プラスチックフィルムBをラミネートしていない表面上に、フィルム巻き取り式真空成膜装置を用いてフィルムに連続的に透明導電層を形成することにより得られる。
【0027】該透明導電層としては、インジウム酸化物を主体とする金属酸化物が好ましい。該層は、目的により、透明プラスチックフィルムAに直接形成されることもあれば、前記ガスバリヤー層や耐溶剤性コーティング層上に形成されることもあり、また、基材との密着性改善のための中間層を設けその上に形成されることもある。前記インジウム酸化物を主体とする金属酸化物とは、酸化インジウムまたはこれを主成分、具体的には80%(重量%、以下同様)以上、さらには90?95%含み、酸化スズ、酸化カドミウムなどの他の金属酸化物の1種以上を20%以下、さらには5?10%含む化合物であり、この化合物の具体例としては、例えばITO、CdIn_(2)O_(4)などがあげられる。前記インジウム酸化物を主体とした金属酸化物のうちでもITO、とくに金属換算でスズが10%以下、好ましくは5?10%のものが、高い透明性が得られる点から好ましい。これら透明導電層の成膜方法としては、DCマグネトロンスパッタ、EB蒸着、CVD等の方法を用いて作製されるが、これらの中で抵抗安定性、フィルムに対する密着性の点からDCマグネトロンスパッタが特に好ましく用いられる。DCマグネトロンスパッタによるフィルム巻き取り式真空成膜装置の一例を図1に示す。図1に示したフィルム巻き取り式DCマグネトロンスパッタ装置は、ロール状フィルムを繰り出しロール2より連続的に繰り出し、これを冷却ロール1へ導き、巻き取りロール3にてフィルムを連続的に巻き取るロールツゥロールの搬送機構を備えている。透明導電層のスパッタ成膜は、フィルムを搬送しながら、冷却ロール近傍に設けられたターゲット(カソード)4により行われる。」

(キ)「【0033】・・・
(実施例2)1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA(モル比7:3)、ホスゲンからなるポリカーボネート[分子量は、ηSP/C=0.85(32℃、クロロホルム中0.32g/dl)、ガラス転移温度206℃(DSC)]からなる、厚さ60μm、位相差155nm、遅相軸のバラツキが±1.5°である位相差フィルムを透明プラスチックフィルムAとして用い、フィルムの表面に平均粒径2μmのジビニルベンゼン系フィラーを分散させたエポキシアクリレート系の紫外線硬化型塗液を塗布硬化し、層厚約2μmのハードコート層を形成した。ハードコート層と反対の表面に実施例1記載のフィルムBをラミネートし積層フィルムを得た。該フィルムの剥離力は18g/25mmであった。また、プラスチックフィルムBの粘着層と反対の面の摩擦係数は、0.5であった。更に、該積層フィルムのハードコート層表面に、実施例1と同様にして膜厚20nmのITO透明導電膜を形成したところ、フィルムはしわ無く巻き取ることができた。また、粘着材の発泡も発生しなかった。ITO透明導電膜の抵抗値は410オーム/□でありその分布はフィルム幅方向で±5%以内であった。一方、光線透過率は87%でありその分布は±1%以内であった。」

以上を総合すると、引用例9には、以下の発明(以下、「引用発明9」という。)が記載されている。
「一方の面側に粘着層を有し、加工の際に保護する機能を有するプラスチックフィルムBと、粘着層を介して剥離可能に積層した、表面に透明導電層が形成された透明プラチックフィルムAと、を含み、ロールツゥロールの搬送機構で搬送される、透明導電層を有する積層フィルムであって、
表面に透明導電層が形成された透明プラチックフィルムAは、透明プラスチックフィルムAの表面にエポキシアクリレート系の紫外線硬化型塗液を塗布硬化したハードコート層が形成され、ハードコート層表面にITO透明導電膜を形成されており、
透明プラスチックフィルムAは、ポリカーボネートからなり、
透明プラスチックフィルムAの厚さは60μmであり、ハードコート層の層厚は約2μmであり、ITO透明導電膜の厚みは20nmであり、
一方の面側に粘着層を有するプラスチックフィルムBは、表面に透明導電層が形成された透明プラスチックフィルムAのハードコート層と反対の表面にラミネートされており、
プラスチックフィルムBの粘着層と反対の面の摩擦係数は0.5である、透明導電層を有する積層フィルム。」

イ.本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明9とを対比する。
引用発明9の「加工の際に保護する機能を有するプラスチックフィルムB」及び「粘着層」は、本件発明1の「保護フィルム」及び「粘着剤層」に相当するから、引用発明9の「一方の面側に粘着層を有し、加工の際に保護する機能を有するプラスチックフィルムB」は、本件発明1の「保護フィルムの一方の面側に粘着剤層を有するキャリアフィルム」に相当する。
また、引用発明9の「表面に透明導電層が形成された透明プラチックフィルムA」及び「ロールツゥロールの搬送機構で搬送される、透明導電層を有する積層フィルム」は、本件発明1の「透明導電性フィルム」及び「ロールtoロール製法で搬送して使用される透明導電性フィルム積層体」に相当する。
また、引用発明9の「透明プラスチックフィルムA」及び「ITO透明導電膜」は、本件発明1の「透明樹脂フィルム」及び「透明導電膜」に相当し、引用発明9の「エポキシアクリレート系の紫外線硬化型塗液を塗布硬化したハードコート層」は、硬化樹脂層である限りにおいて、本件発明1の「第1の硬化樹脂層」に相当するから、引用発明9の「透明プラスチックフィルムAの表面にエポキシアクリレート系の紫外線硬化型塗液を塗布硬化したハードコート層が形成され、ハードコート層表面にITO透明導電膜を形成されて」いる点は、本件発明1の「前記透明導電性フィルムは、透明導電膜と、」「硬化樹脂層と、透明樹脂フィルムと」「をこの順に有し」ている点に相当する。
また、引用発明9の「透明プラスチックフィルムAは、ポリカーボネートからな」る点は、「ポリカーボネート系樹脂」という限りにおいて、本件発明1の「前記透明樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂からな」る点に一致する。

したがって、本件発明1と引用発明9との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「保護フィルムの一方の面側に粘着剤層を有するキャリアフィルムと、前記粘着剤層を介して剥離可能に積層した透明導電性フィルムと、を含むロールtoロール製法で搬送して使用される透明導電性フィルム積層体であって、
前記透明導電性フィルムは、透明導電膜と、硬化樹脂層と、透明樹脂フィルムとをこの順に有し、
前記透明樹脂フィルムは、ポリカーボネート系樹脂からなる、
透明導電性フィルム積層体。」

<相違点9-1>
「透明導電性フィルム」について、本件発明1は、「透明導電膜」と、「第1の硬化樹脂層」と、「透明樹脂フィルム」と、「第2の硬化樹脂層」とをこの順に有し、「厚みが20μm?150μm」であり、「キャリアフィルム」が「前記透明導電性フィルムの前記第2の硬化樹脂層が形成されている面側に積層されており」、「第2の硬化樹脂層」が、「最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有」するのに対し、引用発明9は、「厚みが20nm」の「ITO透明導電膜」と、「層厚が約2μm」である「ハードコート層」と、「厚さが60μm」の「透明プラスチックフィルムA」とをこの順に有したものであり、「第2の硬化樹脂層」を有しておらず、そのため、合計の厚みは約62μmであり本件発明1の「透明導電性フィルム」の厚みに含まれるものであるものの「第2の硬化樹脂層」の厚みが含まれないものである点。

<相違点9-2>
「透明樹脂フィルム」について、本件発明1は「シクロオレフィン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂」からなるのに対し、引用発明9は選択肢として「シクロオレフィン系樹脂」を含まない点。

<相違点9-3>
「保護フィルム」について、本件発明1は「非晶性樹脂」からなるのに対し、引用発明9は「非晶性樹脂」からなるか否か明らかでない点。

<相違点9-4>
「保護フィルム」について、本件発明1は「粘着剤層を有しない面側の表面にエンボス加工が施されて」いるのに対し、引用発明9は「エンボス加工」が施されているか否か明らかでない点。

<相違点9-5>
「保護フィルム」について、本件発明1は「粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaが0.01μm以上である」のに対し、引用発明9は、「粘着層と反対の面の摩擦係数は0.5である」が、算術平均表面粗さRaの具体的な大きさは明らかでない点。

<相違点9-6>
「透明導電性フィルム積層体」について、本件発明1は「180°折り曲げ試験を行った際」に、「破断が発生しないものである」のに対し、引用発明9の「透明導電層を有する積層フィルム」はそのようなものであるか否か明らかでない点。

(イ)判断
まず<相違点9-1>について検討する。
引用例9には、上記ア.(オ)に摘記したように、透明プラスチックフィルムAの表面の透明導電層が形成される面には、透明導電層の機械的強度や密着性改良、あるいは、ガスバリヤー性や耐溶剤性改良の目的で、予め、その表面に公知のコーティング層が形成されていてもかまわない点(段落【0022】)、及び、コーティング材料を透明フィルムの片面又は両面にコーティング後、熱硬化により耐溶剤性皮膜を有するフィルムを得ることが出来る点(段落【0023】)、が記載されているから、引用例9には、透明プラスチックフィルムAの両面に硬化層を形成する点についての示唆はあるといえる。
しかしながら、引用例9は、上記ア.(ア)に摘記したように、当面導電性フィルムの表面に、フィルムの滑り性を改善するために、フィラーを有するコーテイング層を形成すると、透明導電フィルムも表面平滑性が低下する他、フィルムのヘーズが高くなる等、特性の低下を伴うという問題点(段落【0008】)に対して、透明プラスチックフィルムの透明導電層を形成する面の反対側面に、摩擦係数の小さい第二のフィルムを粘着剤を介してラミネートすることにより、フィルムの滑り性を改善するものである(段落【0009】)。
そうすると、引用発明9において、引用例9の段落【0022】、【0023】の記載等に基づき、透明プラスチックフィルムAのITO透明導電膜側の面だけでなく、プラスチックフィルム側の面にもハードコート層を形成したとしても、当該プラスチックフィルム側の面のハードコート層にフィラーを含有させることは、その動機付けがなく、ヘーズが高くなることから、むしろ阻害要因があるというべきである。
したがって、引用発明9において、透明プラスチックフィルムAのプラスチックフィルム側の面にハードコート層を形成し、さらに当該プラスチックフィルム側の面のハードコート層に、ハードコート層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有するフィラーを含有させることで、上記<相違点9-1>に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(ウ)申立人の主張について
申立人は、上記<相違点9-1>に関し、<相違点1-7>に関する主張と同様の理由により、本件発明1?4は引用発明9に周知技術を適用することによって容易に成し遂げることができるものである旨主張している(申立人意見書10ページ2?17行)。
しかしながら、硬化樹脂層に最頻粒子径がその硬化樹脂層の厚みの±50%程度の範囲の粒子を用いることが技術常識であるとしても、上記(イ)に示した通り、引用発明9において透明プラスチックフィルムAのITO透明導電膜側の面だけでなく、プラスチックフィルム側の面にもハードコート層を形成したとしても、当該プラスチックフィルム側の面のハードコート層にフィラーを含有させることは、ヘーズが高くなることとなり阻害要因があるといえるから、引用発明9に当該周知技術を適用して、上記<相違点9-1>に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)小括
したがって、本件発明1は、上記<相違点9-2>?<相違点9-7>について判断するまでもなく、引用発明9、引用例9に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。

ウ.本件発明2?4
本件発明2?4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本件発明2?5についても同様に、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件発明1?4は、引用発明1、引用例1に記載された事項及び各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではなく、その特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。
また、本件発明1?4は、引用発明9、引用例9に記載された事項及び各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではなく、その特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。

第6.取消理由としなかった特許異議の申立理由について
上記取消理由として採用しなかった特許異議の申立理由は、以下のとおりである。

特許権者が平成31年3月4日に提出した意見書において主張する、本件特許明細書等において、実施例1?6でキャリアフィルムがないものでは折り曲げ試験がNGでも、キャリアフィルムが積層されたものではOKになっており、キャリアフィルムによる効果も重要であるとする主張については、本件特許明細書に記載されている実施例1?6においては、キャリアフィルムが設けられていない透明導電性フィルムは、180°折曲げ試験で破断が発生しているのに対し、甲第2号証(特開2015-115171号公報)の実施例1、2で示されている透明導電性フィルムは、本件発明1で規定する透明導電性フィルム(キャリアフィルムが設けられていないもの)であるにもかかわらず、180°折曲げ試験で破断していないから、特許権者が主張するキャリアフィルムの有無による効果は、本件特許発明1における透明導電性フィルムに相当するものであっても、その種類によっては達成し得ない効果であり、出願時の技術常識に照らしても、本件発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。(異議申立書第3.4.(5))

しかしながら、甲第2号証は、本件特許の出願後に公開されたものであり、本件特許の出願時の技術水準を示すものではない。
そして、本件特許明細書等の【表1】の実施例1?6からは、本件発明1における透明導電性フィルムに相当するものに対し、本件発明1におけるキャリアフィルムを積層することで、180°折曲げ試験で破断が発生しなくなることが明らかであるから、上記申立人の主張は採用できない。

したがって、本件発明1?4は、「透明導電性フィルム積層体搬送時の張力の印加でも透明導電性フィルム積層体に破断が発生せず」(段落【0006】)という本件発明の課題を解決するものであって、発明の詳細な説明に記載した発明であり、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしているから、その特許は特許法第113条第4号に該当するものとはいえない。

第7.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1?4に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立の理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護フィルムの一方の面側に粘着剤層を有するキャリアフィルムと、前記粘着剤層を介して剥離可能に積層した透明導電性フィルムと、を含み、ロールtoロール製法で搬送して使用される透明導電性フィルム積層体であって、
前記透明導電性フィルムは、透明導電膜と、第1の硬化樹脂層と、透明樹脂フィルムと、第2の硬化樹脂層とをこの順に有し、
前記透明樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂からなり、
前記透明導電性フィルムの厚みは、20μm?150μmであり、
前記キャリアフィルムは、前記透明導電性フィルムの前記第2の硬化樹脂層が形成されている面側に積層されており、
前記保護フィルムは、非晶性樹脂からなり、
前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面にエンボス加工が施されており、
前記保護フィルムの前記粘着剤層を有しない面側の表面の算術平均表面粗さRaは、0.01?5μmであり、
前記第2の硬化樹脂層は、最頻粒子径がその第2の硬化樹脂層の厚みの±50%の範囲内の粒子径を有する粒子を含有し、
前記透明導電性フィルム積層体に対して180°折り曲げ試験を行った際に、前記透明導電性フィルム積層体の破断が発生しない透明導電性フィルム積層体。
【請求項2】
前記保護フィルムは、溶融押出しポリカーボネート系樹脂または溶融押出しシクロオレフィン系樹脂からなる請求項1に記載の透明導電性フィルム積層体。
【請求項3】
前記保護フィルムの厚みは、20μm?150μmである請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム積層体。
【請求項4】
前記第1の硬化樹脂層と前記透明導電膜との間に更に1層以上の光学調整層を備える請求項1?3いずれか1項に記載の透明導電性フィルム積層体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-08-21 
出願番号 特願2014-247040(P2014-247040)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加賀 直人  
特許庁審判長 石井 孝明
特許庁審判官 井上 茂夫
中村 一雄
登録日 2019-04-19 
登録番号 特許第6512804号(P6512804)
権利者 日東電工株式会社
発明の名称 透明導電性フィルム積層体及びその用途  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
代理人 特許業務法人ユニアス国際特許事務所  

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