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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1368462 |
審判番号 | 不服2019-10109 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-08-01 |
確定日 | 2020-12-14 |
事件の表示 | 特願2017-537370号「複数のオプトエレクトロニクス半導体素子を製造する方法およびオプトエレクトロニクス半導体素子」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月21日国際公開、WO2016/113314号、平成30年3月29日国内公表、特表2018-508984号、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2016年1月13日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2015年1月15日 ドイツ)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 9月14日 :翻訳文(特許請求の範囲、明細書及び図面 )提出 平成30年 8月14日付け:拒絶理由通知書 平成30年11月20日 :意見書、補正書の提出 平成31年 3月25日付け:拒絶査定(謄本発送 同年4月1日 以下 「原査定」という。) 令和元年 8月 1日 :審判請求書の提出 令和2年 3月17日付け:拒絶理由通知書(同年同月23日発送、以 下「当審拒絶理由」という。) 令和2年 9月23日 :意見書、補正書の提出(以下、この手続補 正書による手続補正を「本件補正」という 。) 2.本件発明について 本願請求項1ないし17に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明17」とそれぞれいう。)は、本件補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本件発明1及び10は、次のとおりのものである(なお、A1?H1は、本件発明1を分説するために、また、A2?H2は、本件発明10を分説するために当審で付した。) 「【請求項1】 A1 複数のオプトエレクトロニクス半導体素子(1)を製造する方法であって、当該方法は、 B1 a)機械的に相互に接続されている複数の素子領域(3)を有している、半導体層列(20)を備える結合体(30)を準備するステップ、 C1 b)各素子領域上に少なくとも1つの接続面が形成されるように、前記半導体層列の上に複数の接続面(4)を形成するステップ、 D1 c)前記接続面の間の間隙(45)を満たす成形材料(50)を前記半導体層列の上に形成するステップ、 E1 d)前記成形材料を備える前記結合体を個別化するステップを有しており、 F1 前記個別化時に前記成形材料から複数の成形体(5)が形成され、前記成形体(5)にはそれぞれ、前記結合体の素子領域から生じた半導体本体(2)が割り当てられており、 G1 前記半導体本体および前記成形体は、ステップd)の後、別の結合体(35)を形成するために、別の成形材料(550)によって包囲され、前記成形材料および前記別の成形材料は、前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性であり、前記別の成形材料は、前記半導体層列とは反対側に位置する面で前記別の成形材料によって前記接続面が完全に覆われるように形成され、かつ前記接続面は前記別の結合体の分断の前に、別のステップにおいて露出される、 H1 複数のオプトエレクトロニクス半導体素子(1)を製造する方法。 【請求項10】 A2 オプトエレクトロニクス半導体素子(1)であって、当該オプトエレクトロニクス半導体素子(1)は、 B2 ・ビームの生成および/または受信のために設けられている半導体本体(2)と、 C2 ・ビーム透過面(10)と、 D2 ・前記半導体本体の、前記ビーム透過面とは反対側に位置する面に配置されている少なくとも1つの接続面(4)と、 E2 ・前記半導体本体の、前記ビーム透過面とは反対側に配置されており、かつ前記半導体本体および前記接続面に接している成形体(5)と、 F2 ・前記オプトエレクトロニクス半導体素子(1)を、前記ビーム透過面に平行に延在するラテラル方向において制限する、前記オプトエレクトロニクス半導体素子(1)の側面(15)を形成し、かつ部分的に、前記成形体および前記半導体本体に接している別の成形体(55)とを有しており、 G2 前記成形体と前記別の成形体は部分的に、ビーム透過面とは反対側に位置する背面を形成し、 X2 前記成形体および前記別の成形体は、前記半導体本体において動作時に生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性である、 H2 オプトエレクトロニクス半導体素子(1)。」 3.引用文献の記載事項 (1)引用文献1及び引用発明1 ア 引用文献1には下記の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。 (ア)「【0018】 図1は本発明の第1実施形態に従う発光素子を示す側断面図であり、図2は図1の発光素子の底面図の例を示す図である。 【0019】 図1及び図2を参照すると、発光素子100は、基板111、第1半導体層113、第1導電型半導体層115、活性層117、第2導電型半導体層119、反射電極層131、絶縁層133、第1電極135、第2電極137、第1連結電極141、第2連結電極143、及び支持部材151を含む。・・・ 【0049】 前記発光素子100は、前記第1導電型半導体層115、活性層117、及び前記第2導電型半導体層119を発光構造物120として定義することができ、前記発光構造物はN-P接合構造、P-N接合構造、N-P-N接合構造、P-N-P接合構造のうち、いずれか1つの構造で具現できる。ここで、前記PはP型半導体層であり、前記NはN型半導体層であり、前記-はP型半導体層とN型半導体層とが直接接触するか間接接触された構造を含む。以下、説明の便宜のために、発光構造物120の最上層は第2導電型半導体層119として説明する。・・・ 【0074】 前記支持部材151は発光素子100を支持する支持層として使われる。前記支持部材151は絶縁性材質で形成され、前記絶縁性材質は、例えばシリコンまたはエポキシのような樹脂層で形成される。他の例として、前記絶縁性材質はペーストまたは絶縁性インキを含むことができる。・・・ 【0079】 ここで、前記支持部材151の下面面積は、前記基板111の上面と実質的に同一な面積で形成される。前記支持部材151の下面面積は、前記第1導電型半導体層115の上面面積と実質的に同一な面積で形成される。また、前記支持部材151の下面幅は前記基板111の上面と前記第1導電型半導体層115の上面幅と同一な幅で形成される。これは、支持部材151を形成した後、個別チップに分離することによって、前記支持部材151と前記基板111及び前記第1導電型半導体層115の側面が同一平面上に配置される。他の例として、前記支持部材151の下面面積は前記基板111の上面S1の面積より広いか狭いことがあり、これに対して限定するものではない。・・・ 【0086】 前記の発光素子100はフリップ方式により搭載され、基板111の上面方向に大部分の光が放出され、一部の光は前記基板111の側面及び前記発光構造物120の側面を通じて放出されるので、前記第1電極135及び第2電極137による光損失を減らすことができる。これによって、前記の発光素子100の上部に配置された前記基板111の第1パターン部と第2パターン部により光抽出効率が改善され、前記支持部材151により放熱効率は改善できる。・・・ 【0088】 図3乃至図9は、本発明の第1実施形態に従う発光素子の製造過程を示す図である。以下の製造過程は説明の容易性のために個別素子として図示されたが、ウエハレベルで製造され、個別素子は後述する処理工程を通じて製造されることと説明される。また、個別素子の後述する製造工程に限定するものでなく、各工程の特定工程に追加的な工程またはより少ない工程により製造できる。 【0089】 図3を参照すると、基板111は成長装備にローディングされ、その上にII族乃至VI族元素の化合物半導体が層またはパターン形態に形成される。前記基板111は成長基板に使われる。・・・ 【0090】 ここで、前記基板111は、透光性基板、絶縁基板、または伝導性基板からなることができ、例えばサファイア基板(Al_(2)O_(3))、GaN、SiC、ZnO、Si、GaP、InP、Ga_(2)O_(3)、そしてGaAsなどからなる群から選択できる。このような基板111の上面には凹凸パターンのような光抽出構造が形成され、このような凹凸パターンは光の臨界角を変化させて光抽出効率を改善させることができる。・・・ 【0099】 図4を参照すると、発光構造物120の一部領域(A1)に対してエッチングを遂行するようになる。前記発光構造物120の一部領域(A1)は、前記第1導電型半導体層115が露出されることができ、前記第1導電型半導体層115の露出部分は前記活性層117の上面より低い高さに形成される。・・・ 【0102】 図5を参照すると、前記発光構造物120の上に反射電極層131を形成するようになる。前記反射電極層131は、前記第2導電型半導体層119の上面面積より小さな面積で形成され、これは反射電極層131の製造過程に従うショートを防止することができる。ここで、前記反射電極層131は、前記第2導電型半導体層119の上面エッジから所定距離(D3)離隔した領域と前記発光構造物120の一部領域(A1)にマスクでマスキングした後、スパッタ(Sputter)装備または/及び蒸着装備で蒸着させることができる。・・・ 【0105】 前記第1導電型半導体層115の上に第1電極135を形成し、前記反射電極層131の上に第2電極137を形成するようになる。・・・ 【0109】 図6を参照すると、前記第1電極135の上に第1連結電極141をボンディングし、前記第2電極137の上に第2連結電極143をボンディングするようになる。前記第1連結電極141はソルダーボールまたは/及び金属バンプのような伝導性パッドを含み、前記第1電極135の上にボンディングされる。前記第1連結電極141は、前記第1導電型半導体層115の上面に対して垂直な方向に配置される。前記第2連結電極143はソルダーボールまたは/及び金属バンプのような伝導性パッドを含み、前記第2電極137の上にボンディングされる。前記第2連結電極143は、前記第2導電型半導体層119の上面に対して垂直な方向に配置される。・・・ 【0111】 図7を参照すると、支持部材151は前記絶縁層133の上にスキージまたは/及びディスペンシング方式により形成する。前記支持部材151は、シリコンまたはエポキシのような樹脂物の内に熱拡散剤を添加して絶縁性支持層に形成される。・・・ 【0119 】 図7のように製造された発光素子を180度回転させた後、図8のように前記基板111の上面S1、即ち半導体層が形成された面(下面)の反対側の面には第1エッチング方式により複数の突起11を有する第1パターン部を形成するようになる。・・・ 【0120】 図9の発光素子は個別チップ単位でスクライビング、ブレーキングまたは/及びカッティングして、図1のような個別発光素子に提供できる。前記発光素子はウエハレベルでパッケージングされることで、モジュール基板の上に別途のワイヤー無しでフリップボンディング方式により搭載できる。図9の発光素子は、図10のようにモジュール基板170の上に搭載されて発光モジュールのような装置に利用できる。」 (イ)「【0192】 図25は、図1の発光素子が搭載された発光素子パッケージを示す図である。 【0193】 図25を参照すると、発光素子パッケージ200は、胴体部211、前記胴体部211に設置された第1リード電極215及び第2リード電極217、モールディング部材219、及び発光素子100を含む。 【0194】 前記胴体部211は高反射樹脂系列(例;PPA)、ポリマー系列、プラスチック系列のうちから選択的に射出成形されるか、単層または多層の基板積層構造で形成される。前記胴体部211は上部が開放されたキャビティ212を含み、前記キャビティ212の周り面は傾斜するか、キャビティ底面に対して垂直するように形成される。 【0195】 前記キャビティ212には第1リード電極215及び第2リード電極217が配置され、前記第1リード電極215及び第2リード電極217は互いに離隔する。 【0196】 前記第1リード電極215及び第2リード電極217の上に発光素子100がフリップ方式によりボンディングされる。即ち、前記発光素子100の第1連結電極141は第1リード電極215にボンディングされ、前記第2連結電極143は第2リード電極217にボンディングされる。 【0197】 前記第1リード電極215及び前記第2リード電極217の上面と前記発光素子100の下面、即ち第1連結電極141、第2連結電極143、及び前記支持部材151の下面の間の間隔は同一な間隔で形成される。 【0198】 前記発光素子100の支持部材151は、前記第1リード電極215及び前記第2リード電極217の上に離隔し、全表面を通じて放熱する。 【0199】 前記キャビティ212の内にはモールディング部材219が形成され、前記モールディング部材219はシリコンまたはエポキシのような透光性樹脂材質で形成され、蛍光体を含むことができる。 【0200】 前記発光素子100の内部で発生した光は発光素子100の上面及び側面を通じて大部分の光が抽出され、前記抽出された光は前記モールディング部材219を通じて外部に放出できる。ここで、前記発光素子100の上面に図1のように形成された第1パターン部と第2パターン部により基板の上面を通じた光抽出効率はより改善できる。」 (ウ)「【0304】 前記胴体部211は高反射樹脂系列(例;PPA)、ポリマー系列、プラスチック系列のうちから選択的に射出成形されるか、単層または多層の基板積層構造で形成される。前記胴体部211は上部が開放されたキャビティ212を含み、前記キャビティ212の周り面212Aは傾斜したりキャビティ底面に対して垂直するように形成される。」 (エ)図1?9及び図25は次のとおりである。 (オ)上記(ア)ないし(ウ)の記載を踏まえて、上記(エ)の図1、3?9及び25をみると下記の各点を見てとることができる。 ・支持部材151は、第1電極135と第1連結電極141、及び、第2電極137と第2連結電極143の間隙を満たすこと。 ・個別チップに分離する(【0079】)時に複数の支持部材151が形成され、前記支持部材151にはそれぞれ発光構造物120が割り当てられること。 (カ)上記(ア)ないし(ウ)の記載を踏まえて、上記(エ)の図25をみると下記の各点を見てとることができる。 ・発光構造物120の、基板111とは反対側に位置する面に第1連結電極141及び第2連結電極143が配置されていること。 ・支持部材151が、発光構造物120の基板111とは反対側に配置されており、かつ発光構造物120および第1連結電極141及び第2連結電極143に接していること。・モールディング部材219が、部分的に、支持部材151および発光構造物120に接していること。 ・支持部材151とモールディング部材219は部分的に、基板111とは反対側に位置する第1リード電極215及び第2リード電極217の上面に接する発光素子100の下面と同じ高さの面を形成する(【0197】)こと。 イ 上記アによれば、引用文献1には下記の各発明(以下それぞれ「引用発明1」及び「引用発明1´」という。)が記載されていると認められる(a1?h1及びa2?h2は、それぞれ構成A1?H1、及びA2?H2に対応させて当審が付した。)。 ・(引用発明1) 「a1 複数の発光素子100が搭載された発光素子パッケージ200を製造する方法であって、当該方法は、 b1 ウエハレベルで製造され(【0088】)、上にII族乃至VI族元素の化合物半導体が層またはパターン形態に形成され(【0089】)、当該化合物半導体は、第1導電型半導体層115、活性層117及び第2導電型半導体層119を発光構造物120とする発光素子100である(【0049】)基板111を準備するステップ、 c1 前記第1導電型半導体層115の上に第1電極135を形成し、前記反射電極層131の上に第2電極137を形成し(【0105】)、前記第1電極135の上に第1連結電極141をボンディングし、前記第2電極137の上に第2連結電極143をボンディングするステップ(【0109】)、 d1 第1電極135と第1連結電極141、及び、第2電極137と第2連結電極143の間隙を支持部材151で満たすステップ(上記「ア」「(オ)」)、 e1 支持部材151を形成した後、個別チップに分離するステップを有しており(【0079】)、 f1 個別チップに分離する時に複数の支持部材151が形成され、前記支持部材151にはそれぞれ発光構造物120が割り当てられ(上記「ア」「(オ)」)、 g1 個別チップに分離した後に、シリコンまたはエポキシのような透光性樹脂材質で形成され(【0199】)、前記発光素子100の内部で発生した光は発光素子100の上面及び側面を通じて大部分の光が抽出され、前記抽出された光は前記モールディング部材219を通じて外部に放出(【0200】)されるモールディング部材219によって包囲され、前記モールディング部材219は、前記接続面が完全に覆われるように形成される、 h1 複数の発光素子100が搭載された発光素子パッケージ200を製造する方法。」 ・(引用発明1´) 「a2 発光素子100が搭載された発光素子パッケージ200であって、当該発光素子パッケージ200は(【0192】)、 b2 光を放出する(【0086】)前記発光素子100は、第1導電型半導体層115、活性層117及び第2導電型半導体層119からなる発光構造物120と(【0049】)、 c2 上面には凹凸パターンの光抽出構造が形成され、前記凹凸パターンが光の臨界角を変化させて光抽出効率を改善させる基板111と(【0090】)、 d2 前記発光構造物120の、基板111とは反対側に位置する面に配置されている第1連結電極141及び第2連結電極143と(上記「ア」「(カ)」)、 e2 前記発光構造物120の基板111とは反対側に配置されており、かつ発光構造物120および第1連結電極141及び第2連結電極143に接している支持部材151と(上記「ア」「(カ)」)、 f2 部分的に、支持部材151および発光構造物120に接し(上記「ア」「(カ)」)、発光素子パッケージ200を基板111に平行に延在する図面視横方向において制限する垂直なキャビティ212の周り面212Aを形成する(【0304】)、シリコンまたはエポキシのような透光性樹脂材質で形成され(【0199】)、前記発光素子100の内部で発生した光は発光素子100の上面及び側面を通じて大部分の光が抽出され、前記抽出された光は前記モールディング部材219を通じて外部に放出(【0200】)するモールディング部材219と、 g2 支持部材151とモールディング部材219は部分的に、基板111とは反対側に位置する第1リード電極215及び第2リード電極217の上面に接する発光素子100の下面と同じ高さの面を形成する(【0197】) h2 発光素子100が搭載された発光素子パッケージ200(【0192】)。」 (2)引用文献2及び引用発明2 ア 引用文献2には下記の記載がある。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話のバックライト、動画照明補助光源、その他の一般的民生用光源などに用いられる発光装置及びその製造方法に関する。」 (イ)「【0015】 (発光装置の構造) 本実施の形態の発光装置100は、発光素子104と、互いに離間する第1導電部材101及び第2導電部材102と、発光素子104と第1導電部材101及び第2導電部材102とを接続する接着部材103と、を備えている。発光素子104は、同一面側に正電極104a及び負電極104bを有している。接着部材103は、絶縁領域103aと導電領域103bとを有するものである。接着部材103としては、例えば、絶縁部材に導電性フィラーが混合された異方性導電材料が挙げられる。接着部材103は、第1導電部材101及び第2導電部材102の上面及び側面に接続されている。発光素子104の正電極104a及び負電極104bは、接着部材103の導電領域103b上に接続されている。具体的には、発光素子104の正電極104aは、第1導電部材101の上に配置され、発光素子104の負電極104bは、第2導電部材102の上に配置されている。接着部材103の導電領域103bは、少なくとも第1導電部材101と発光素子104の正電極104aとの間、及び第2導電部材102と発光素子104の負電極104bとの間に設けられている。導電領域103bは、絶縁領域103aによって囲まれている。すなわち、上記の2つの導電領域103bは、絶縁領域103aによって分離されている。 発光素子104の正電極104a及び負電極104bには、Au等の金属バンプ105が設けられていてもよい。この場合、発光素子104の正電極104a及び負電極104bは、金属バンプ105を介して接着部材103の導電領域103b上に接続される。 また、発光装置100は、発光素子104とともに、第1導電部材101及び第2導電部材102の少なくとも一面を被覆する封止部材106とを備える。封止部材106は、発光装置100の上面、側面及び下面の一部を形成している。第1導電部材101及び第2導電部材102の下面側は、外部に露出しており、発光装置100の下面の一部を形成している。第1導電部材101及び第2導電部材102は、封止部材106の下面と面一であることが好ましい。・・・ 【0024】 (ダイボンディング工程) 次いで、第1導電部材及び第2導電部材の上に、接着部材を介して発光素子を載置する。接着部材は、第1導電部材及び第2導電部材と、発光素子との間に介在するように形成する。 【0025】 図4(d)は、第1導電部材及び第2導電部材の上に、接着部材を設けた状態を示している。接着部材を形成する方法としては、ディスペンス、ピン転写、印刷等が挙げられる。 【0026】 接着部材は、異方性導電材料を用いることが好ましい。異方性導電材料は、樹脂ボールを金属層で覆った導電性フィラーや、さらにこの金属層の外郭を絶縁膜で覆った導電性フィラーなどを、樹脂などの絶縁部材に混合したものをいう。 接着部材は、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状)のものを用いることができ、特にペースト状が好ましい。接着部材の形状は、接着部材の組成や導電部材の形状、発光素子の電極の形状等に応じて、適宜選択することができる。・・・ 【0030】 (封止部材形成工程) 次に、発光素子を被覆する封止部材をトランスファモールド、ポッティング、印刷などの方法で形成する。図4(f)は、発光素子の上に封止部材を形成した状態を示す図である。封止部材は、上面を平坦な面としてもよく、或いは、中央が凹んだ、又は突出したような曲面状に形成してもよい。また、封止部材は、1層構造、又は組成が異なる2層以上の多層構造としてもよい。」 (ウ)図2は次のとおりである。 【図2】 (エ)上記(ア)及び(イ)の記載を踏まえて、上記(ウ)の図2をみると下記の各点を見てとることができる。 ・発光素子104の封止部材106側は光透過面であること。 ・金属バンプ105は、発光素子104の光透過面とは反対側に位置する面に配置されていること。 ・接着部材103は、発光素子104の、光透過面とは反対側に配置されており、かつ発光素子104および金属バンプ105に接していること。 ・封止部材106は、発光装置100を光透過面に平行に延在する図面視横方向において制限する発光装置100の側面を形成し、かつ部分的に、接着部材103および発光素子104に接していること。 ・接着部材103と封止部材106は部分的に、光透過面とは反対側に位置する背面を形成すること。 イ 上記アによれば、引用文献2には下記の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる(a3?h3は、それぞれ構成A2?H2に対応させて当審が付した。)。 「a3 発光装置100であって、当該発光装置100は、 b3 発光素子104と、 c3 発光素子104の封止部材106側が光透過面であり、 d3 前記発光素子104の、前記光透過面とは反対側に位置する面に配置されている金属バンプ105と、 e3 前記発光素子104の、前記光透過面とは反対側に配置されており、かつ前記発光素子104および前記金属バンプ105に接している接着部材103と、 f2 前記発光装置100を光透過面に平行に延在する図面視横方向において制限する発光装置100の側面を形成し、かつ部分的に、接着部材103および発光素子104に接している封止部材106とを有しており、 g3 前記接着部材103と前記封止部材106は部分的に、光透過面とは反対側に位置する背面を形成する、 h3 発光装置100。」 4.引用発明との対比・判断 (1)本件発明1と引用発明1との対比 ア 対比 本件発明1と引用発明1を対比すると、引用発明1の「発光素子100が搭載された発光素子パッケージ200」、「発光構造物120」、「第1電極135、第1連結電極141、第2電極137及び第2連結電極143」、「支持部材151」及び「モールディング部材219」は、本件発明1の「オプトエレクトロニクス半導体素子(1)」、「複数の素子領域(3)、半導体層列(20)を備える結合体(30)、及び、半導体本体(2)」、「接続面(4)」、「成形材料(50)」及び「別の結合体(35)、及び、別の成形材料(550)」にそれぞれ相当するから、引用発明1の構成a1ないしf1及びh1は、本件発明1の構成A1ないしF1及びH1にそれぞれ相当する。 したがって、本件発明1と引用発明1は、下記点で相違し、その余の点で一致する。 ・相違点1 「前記半導体本体および前記成形体は、ステップd)の後、別の結合体(35)を形成するために、別の成形材料(550)によって包囲され」た後、本件発明1は、「前記成形材料および前記別の成形材料は、前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性であり、前記別の成形材料は、前記半導体層列とは反対側に位置する面で前記別の成形材料によって前記接続面が完全に覆われるように形成され、かつ前記接続面は前記別の結合体の分断の前に、別のステップにおいて露出され」るのに対して、引用発明1は、このような工程を備えないとともに、「モールディング部材219」は、「シリコンまたはエポキシのような透光性樹脂材質で形成され、前記発光素子100の内部で発生した光は発光素子100の上面及び側面を通じて大部分の光が抽出され、前記抽出された光は前記モールディング部材219を通じて外部に放出」(構成g1)するものである点。 イ 判断 相違点1について 引用発明1の「モールディング部材219」は、「シリコンまたはエポキシのような透光性樹脂材質で形成され、前記発光素子100の内部で発生した光は発光素子100の上面及び側面を通じて大部分の光が抽出され、前記抽出された光は前記モールディング部材219を通じて外部に放出」する部材(構成g1)であるから、当該「モールディング部材219」を「前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性」の部材とすることは想定されない。 また、引用文献1の記載を見ても、引用発明1において、「モールディング部材219」を「前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性」の部材とした上で、上記相違点1に係る本件発明1の構成となすことが容易に想到し得たことであったとする証拠も見当たらない。 したがって、引用発明1において、「モールディング部材219」を「前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性」の部材とした上で、上記相違点1に係る本件発明1の構成となす動機も見当たらない。 よって、本件発明1は、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (2)本件発明10と引用発明1´との対比 ア 対比 本件発明10と引用発明1´を対比すると、引用発明1´の「発光素子100が搭載された発光素子パッケージ200」、「発光構造物120」、「基板111」、「第1連結電極141及び第2連結電極143」、「支持部材151」及び「モールディング部材219」は、本件発明10の「オプトエレクトロニクス半導体素子(1)」、「半導体本体(2)」、「ビーム透過面(10)」、「接続面(4)」、「成形体(5)」及び「別の成形体(55)」にそれぞれ相当するから、引用発明1´の構成a2ないしh2は、本件発明10の構成A2?G2及びH2にそれぞれ相当する。 したがって、本件発明10と引用発明1´は、下記点で相違し、その余の点で一致する。 ・相違点2 本件発明10の「前記成形体および前記別の成形体」は、「前記半導体本体において動作時に生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性である」のに対して、引用発明1´の「モールディング部材219」は、「シリコンまたはエポキシのような透光性樹脂材質で形成され、前記発光素子100の内部で発生した光は発光素子100の上面及び側面を通じて大部分の光が抽出され、前記抽出された光は前記モールディング部材219を通じて外部に放出」(構成f2)するものである点。 イ 判断 相違点2について 引用発明1´の「モールディング部材219」は、「シリコンまたはエポキシのような透光性樹脂材質で形成され、前記発光素子100の内部で発生した光は発光素子100の上面及び側面を通じて大部分の光が抽出され、前記抽出された光は前記モールディング部材219を通じて外部に放出」する部材(構成f2)であるから、当該「モールディング部材219」を「前記半導体本体において動作時に生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性である」の部材とすることは想定されない。 また、引用文献1の記載を見ても、引用発明1において、「モールディング部材219」を「前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性」の部材することが周知の技術事項であった、あるいは、容易に想到し得た事項であるとする証拠も見当たらない。 そして、引用発明1´において、「モールディング部材219」を「前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性」とした上で、上記相違点2に係る本件発明10の構成となす動機も見当たらない。 したがって、引用発明1´は本件発明10ではない。また、本件発明10は、当業者であっても引用発明1´に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (3)本件発明10と引用発明2との対比 ア 対比 本件発明10と引用発明2を対比すると、引用発明2の「発光装置100」、「発光素子104」、「光透過面」、「金属バンプ105」、「接着部材103」及び「封止部材106」は、本件発明10の「オプトエレクトロニクス半導体素子(1)」、「半導体本体(2)」、「ビーム透過面(10)」、「接続面(4)」、「成形体(5)」及び「別の成形体(55)」にそれぞれ相当するから、引用発明2の構成a3ないしh3は、本件発明10の構成A2?G2及びH2にそれぞれ相当する。 したがって、本件発明10と引用発明2は、下記点で相違し、その余の点で一致する。 ・相違点3 本件発明10の「前記成形体および前記別の成形体」は、「前記半導体本体において動作時に生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性である」のに対して、引用発明2の「封止部材106」は、このように特定されない点。 イ 判断 相違点3について 引用発明2の「封止部材106」に関して、「発光素子104の封止部材106側が光透過面であ」(構成c3)るから、当該「封止部材106」を「前記半導体本体において動作時に生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性である」部材とすることは想定されない。 また、引用文献2の記載を見ても、引用発明2において、「封止部材106」を「前記半導体本体において動作時に生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性である」の部材することが周知の技術事項であった、あるいは、容易に想到し得た事項であるとする証拠も見当たらない。 そして、引用発明2において、「封止部材106」を「前記半導体本体において動作時に生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性である」部材となし、上記相違点3に係る本件発明10の構成となす動機も見当たらない。 したがって、引用発明2は本件発明10ではない。また、本件発明10は、当業者であっても引用発明2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (4)本件発明2?9、11?17について 本件発明2ないし9は本件発明1を減縮した発明であり、本件発明11ないし17は本件発明10を減縮した発明である。 したがって、上記(1)における本件発明1と同じ理由により、本件発明2?9は、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 また、上記(2)及び(3)における本件発明10と同じ理由により、引用文献1´あるいは引用発明2は、本件発明11?17ではなく、また、本件発明11?17は、当業者であっても引用発明1´あるいは引用発明2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 5.当審拒絶理由の概要及び当審拒絶理由についての判断 当審拒絶理由は、(平成30年11月20日付けの手続補正により補正された)請求項1ないし19に係る発明に関して、請求項1ないし10に係る発明は、引用発明1及び引用文献1に記載されている事項に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであり、請求項11ないし19に係る発明は、引用発明1´及び引用文献1に記載されている事項に基づいて、あるいは、引用発明2及び引用文献2に記載されている事項に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものである。 <引用文献等一覧> 引用文献1.特開2013-106048号公報 引用文献2.特開2011-181655号公報 しかしながら、上記「4」「(1)」及び「(4)」で検討したとおり、本件発明1ないし9は、当業者であっても引用発明1及び引用文献1に記載されている事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 また、上記「4」「(2)」ないし「(4)」で検討したとおり、引用文献1´あるいは引用発明2は、本件発明11?17ではなく、また、本件発明11?17は、当業者であっても引用発明1´及び引用文献1に記載されている事項に基づいて、あるいは、引用発明2及び引用文献2に記載されている事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 したがって、本件補正により当審拒絶理由は解消された。 6.原査定の概要及び原査定についての判断 (1)原査定は、(平成30年11月20日付けの手続補正により補正された)請求項1ないし19に係る発明に関して、引用文献1´?3´に記載された事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 引用文献1´.国際公開第2006/035664号 引用文献2´.特開2012-222320号公報 引用文献3´.特開2013-201273号公報 (2)引用文献1´ないし3´の記載事項 (2-1)引用文献1´ ア 引用文献1´には下記の記載がある。 (ア)「[0026]《第1実施形態》 図1は本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の一例であるLEDチップ1を配線基板40に導電性接着材料層の一例であるはんだ31を介して実装した発光装置を示す縦断面図であり、図2はLEDチップ1の底面図である。図1は図2中のA-A線の位置における断面を模式的に示している。なお、図1の断面図は、本発明の理解を容易にするために、一部誇張して表現している。以下、図の下方向に各層、及び各電極を積層していくように説明する。 [0027] 図1において、LEDチップ1は、素子基板11と、素子基板11を覆うように素子基板11上に形成されたn型半導体層12と、n型半導体層12の角部のn電極用領域12aを除いたn型半導体層12のp型半導体層用領域12b上に形成されたp型半導体層13と、n電極用領域12a上に形成された第1n電極14と、p型半導体層13上に形成された第1p電極15とにより構成される基礎チップ10(図3参照)を備えている。 [0028] また、LEDチップ1は、第1n電極14及び第1p電極15を覆うとともに、第1n電極14と第1p電極15とを絶縁するように形成された第1絶縁層16と、第1絶縁層16上(すなわち、図1においてLEDチップ1の最も下側)に形成され、第1絶縁層14を貫通して第1n電極14に電気的に接続された第2n電極17及び第1p電極15に電気的に接続された第2p電極18を備えている。 [0029] 素子基板11は、例えばサファイアにて形成された大略正四角形状の光透過性の基板である。n型半導体層12は、素子基板11の(図1における)下面11aの全面を覆うように形成されている。p型半導体層13は、n型半導体層12のp型半導体層用領域12bを覆うように形成されている。第1n電極14は、n電極用領域12aの大略全面を覆うように、スパッタリングやメッキなどにより、例えば厚さ0.1μm?0.3μm程度の薄膜で形成されている。n電極用領域12aは、発光面であるpn接合部23の面積を大きく取るために、図2に示すように、p型半導体層用領域12bよりも十分に小さい領域(例えば、p型半導体層用領域の10%)とされている。第1p電極15は、p型半導体層13の大略全面を覆うように、スパッタリングやメッキなどにより、例えば厚さ0.1μm?0.3μ程度の薄膜から形成されている。第1n電極14の下面14aと第1p電極15の下面15aとは、素子基板11の下面11aを基準として大略同じ高さとなるように形成されている。 [0030] 第1絶縁層16は、電気的リークや静電気破壊などを抑制するために、第1n電極14と1p電極15との間、及び第1n電極14の下面14a及び第1p電極15の下面15aの大略全面を覆うように形成されている。また、第1絶縁層16は、このように形成されることで、後述する第2n電極17と第1p電極15とが接続されないようにしている。つまり、後述する第2n電極17と第1p電極15とを絶縁する。第1絶縁層16は、シリコンの酸化膜や窒化膜などで形成され、例えば0.1μm?0.3μの厚さに形成されている。第1絶縁層16には、n電極用開口16aと複数のp電極用開口16bとがそれぞれ設けられている。 [0031]第2n電極17と第2p電極18とは、第1絶縁層16上にスパッタリングやメッキなどにより、例えば厚さ0.1μm?0.3μ程度の薄膜で形成され、図2に示すように、素子基板11の一つの対角線部を挟んで二等辺三角形状で大略同じ大きさとなるように形成されている。すなわち、第2n電極17の下面17aはn型半導体層12と第1n電極14との接合面よりも面積が大きくされ、その分、第2p電極18の下面18aはn型半導体層12とp型半導体層との接合面よりも面積が小さくされている。換言すれば、LEDチップ1では第1n電極14と第1p電極15とが、ほぼ同サイズに形成された第2n電極17と第2p電極18とへとそれぞれ配置を変えている。そして、第2n電極17は第1絶縁層16のn電極用開口16aを介して第1n電極14に電気的に接続され、第2p電極18は複数のp電極用開口16bを介して第1p電極15に電気的に接続されている。このとき、第2n電極17の下面17aと第2p電極18の下面18aとは、素子基板11を基準として大略同じ高さとなるように形成されている。なお、LEDチップ1の各層及び各界面には電極と面との接合を強化したり、絶縁を強化する等のために、必要に応じて非常に薄V、他の層や膜を設けてもよい。 [0032]本第1実施形態に係るLEDチップ1は、以上のように構成されている。」 (イ)「[0043] 次いで、上記のようにして製造したLEDチップ1の集合体を、図6及び図7の一点鎖線X-Xの位置でダイシングにより切断し、1個1個のLEDチップ1に分割する(ステツプS15)。これにより、LEDチップ1の製造が完了する。なお、上記LEDチップ1の製造工程においては、第2n電極17及び第2p電極18がスパッタリングを利用して形成されると説明したが、これらの電極はメツキ(及び付随する処理)によって形成してもよい。」 (ウ)図1及び7は次のとおりである。 [図1] [図7] イ 上記アによれば、引用文献1´には下記の各発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる(a3ないしc3は、引用発明3を分説するために当審が付した。)。 「a3 素子基板11と、素子基板11を覆うように素子基板11上に形成されたn型半導体層12と、n型半導体層12の角部のn電極用領域12aを除いたn型半導体層12のp型半導体層用領域12b上に形成されたp型半導体層13と、n電極用領域12a上に形成された第1n電極14と、p型半導体層13上に形成された第1p電極15とにより構成される基礎チップ10を備え([0027])、 b3 第1n電極14及び第1p電極15を覆うとともに、第1n電極14と第1p電極15とを絶縁するように形成された第1絶縁層16と、第1絶縁層16上に形成され、第1絶縁層14を貫通して第1n電極14に電気的に接続された第2n電極17及び第1p電極15に電気的に接続された第2p電極18を備えている([0028])、 c3 LEDチップ1。」 (2-2)引用文献2´ ア 引用文献2´には下記の記載がある。 (ア)「【0087】 図3は、図2に示される発光素子転写シート10の製造方法を示す工程図である。 【0088】 次に、上記した発光素子転写シート10を製造する方法について、図3を参照して説明する。 【0089】 この方法では、まず、図3(a)に示すように、発光素子シート11を用意する。 【0090】 発光素子シート11は、複数(例えば、8つ)の発光素子3を一体的に備える発光素子3の集合体シートであって、後述するように、分割されることによって複数(例えば、8つ)の発光素子3を形成する。 【0091】 具体的には、発光素子シート11は、面方向に長いシート状の光半導体層7(光半導体シート)と、その光半導体層7の厚み方向一方側面(裏面(図3(a)における下面))に、各発光素子3に対応するように接続された複数の電極部8と、光半導体層7の厚み方向他方側面(表面(図3(a)における上面))に積層された面方向に長いシート状の蛍光体層5とを備えている。 【0092】 このような発光素子シート11は、例えば、まず、上記した蛍光体組成物を、面方向に長いシート状に成形し、例えば、50?150℃に、加熱して乾燥することにより、蛍光体層5を形成し、次いで、蛍光体層5の厚み方向一方側面(裏面(図3(a)における下面))に、公知の方法により、面方向に長いシート状の光半導体層7を積層し、その後、光半導体層7の厚み方向一方側面(裏面(図3(a)における下面))に、電極部8を接続することにより、得ることができる。 【0093】 次いで、この方法では、図3(a)において一点鎖線で示すように、発光素子シート11を複数に分割し、発光素子3、詳しくは、電極部8、光半導体層7および蛍光体層5を備える発光素子3を、複数(例えば、8つ)形成する。 【0094】 発光素子シート11を分割する方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。 【0095】 なお、上記の分割によって得られた複数(例えば、8つ)の発光素子3を、次の工程(図3(b)?図3(d))において、上下方向を反転させる。 【0096】 次いで、この方法では、図3(b)に示すように、複数(例えば、3つ)の発光素子3を、離型基材14上に、発光素子3の蛍光体層5が離型基材14と対向するように、互いに間隔を隔てて配置する。 【0097】 なお、各発光素子3の間隔は、特に制限されず、目的および用途に応じて適宜設定される。 【0098】 次いで、この方法では、図3(c)に示すように、離型基材14上において、反射樹脂層4を、発光素子3を被覆するように、形成する。 【0099】 反射樹脂層4を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、上記した反射樹脂組成物を、例えば、印刷、ディスペンサなどの塗布方法により、離型基材14の上に、発光素子3を被覆するように、塗布する。 【0100】 次いで、この方法では、図3(d)に示すように、反射樹脂層4から電極部8の厚み方向一方側面(裏面(図3(d)における上面))が露出するように、公知のエッチング法などによって、反射樹脂層4を一部除去する。 【0101】 詳しくは、電極部8の厚み方向一方側面(裏面(図3(d)における上面))と、反射樹脂層4の厚み方向一方側面(裏面(図3(d)における上面))とが面一となるように、反射樹脂層4を一部除去する。 【0102】 これにより、離型基材14の上において、発光素子3を被覆するとともに、電極部8の厚み方向一方側面(裏面(図3(d)における上面))を露出させるように、反射樹脂層4を形成し、発光素子転写シート10を製造することができる。 【0103】 このような発光素子転写シート10の製造方法およびそれにより得られる発光素子転写シート10では、光反射成分を含有する反射樹脂層4を、発光素子3を被覆するように形成する。」 (イ)図3は次のとおりである。 イ 上記アによれば、引用文献2´には下記の事項(以下「引用文献2´に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 「まず、面方向に長いシート状の光半導体層7と、その光半導体層7の厚み方向一方側面に、各発光素子3に対応するように接続された複数の電極部8と、光半導体層7の厚み方向他方側面に積層された面方向に長いシート状の蛍光体層5とを備えている(【0091】)、複数の発光素子3を一体的に備える発光素子3の集合体シートであって、分割されることによって複数の発光素子3を形成する(【0090】)発光素子シート11を用意し(【0089】)、 次いで、発光素子シート11を複数に分割し(【0093】)、 次いで、複数の発光素子3を、離型基材14上に、発光素子3の蛍光体層5が離型基材14と対向するように、互いに間隔を隔てて配置(【0096】)し、 次いで、離型基材14上において、反射樹脂層4を、発光素子3を被覆するように、形成し(【0098】)、 次いで、反射樹脂層4から電極部8の厚み方向一方側面が露出するように、公知のエッチング法などによって、反射樹脂層4を一部除去する(【0100】)ことにより、離型基材14の上において、発光素子3を被覆するとともに、電極部8の厚み方向一方側面を露出させるように、反射樹脂層4を形成し、発光素子転写シート10を製造する(【0102】)、 発光素子転写シート10を製造する方法(【0088】)。」 (2-3)引用文献3´ ア 引用文献3´には下記の記載がある。 「【0029】 以下、半導体発光素子110の製造方法の例を説明する。図2(a)?図2(c)、図3(a)?図3(c)、及び、図4(a)?図4(d)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する模式的断面図である。・・・ 【0038】 図3(a)に表したように、支持基板100の表面6aの上に、粘着層7を形成する。 【0039】 複数の半導体部品100を粘着層7の上に並べ、複数の半導体部品100を粘着層7によって支持基板6の表面6aの上に固定する。これにより、加工体102を形成する。これにより、加工体102が準備される。 【0040】 支持基板6には、例えば、シリコンウェーハ、ガラス基板、石英基板、セラミック基板またはポリテトラフルオロエチレン製基板などが用いられる。支持基板6に用いられる材料は、例えば、封止部44を形成するための樹脂の硬化温度による変性、分解、及び、反りなどに耐えられる任意の材料でよい。支持基板6のZ軸方向に見た形状は、円形状でもよいし、多角形状でもよい。粘着層7には、例えば、粘着剤、または、粘着剤を含む粘着シートなどが用いられる。粘着層7は、例えば、粘着剤を塗布したり、粘着シートを貼り付けたりすることによって形成される。粘着剤の塗布には、例えば、スピンコート法や印刷法などが用いられる。粘着シートの貼り付けには、例えば、ローラーラミネート法などが用いられる。粘着剤には、例えば、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤などが用いられる。 【0041】 複数の半導体部品100は、発光部15から放出される光のピーク波長に応じて、支持基板6の表面6aの上に並べる。支持基板6には、例えば、1つのグループに属する複数の半導体部品100を接着する。すなわち、支持基板6には、例えば、発光光のピーク波長の近い半導体部品100を接着する。支持基板6に接着する1つのグループの半導体部品100は、例えば、1つの成長用基板5から形成された半導体部品100でもよいし、複数の成長用基板5から形成された半導体部品100でもよい。支持基板6には、例えば、複数のグループの半導体部品100をエリア毎に分けて接着してもよい。 【0042】 図3(b)に表したように、複数の半導体部品100のそれぞれの上及び支持基板6の表面6aの上(粘着層7の上)に、封止部44となる樹脂膜44fを形成する。樹脂膜44fは、複数の半導体部品100のそれぞれの、発光部15の側面15s、第1導電性ピラー41の側面41s、及び、第2導電性ピラー42の側面42sを覆う。この例において、樹脂膜44fは、複数の半導体部品100のそれぞれの、第1導電性ピラー41の端部41a、及び、第2導電性ピラー42の端部42aも覆う。樹脂膜44fの形成には、例えば、塗布法が用いられる。例えば、樹脂膜44fを塗布した後、樹脂膜44fを硬化させる。 【0043】 図3(c)に表したように、例えば、研削加工やウェットエッチング、または、ドライエッチングなどによって樹脂膜44fの一部を削ることにより、第1導電性ピラー41の端部41a及び第2導電性ピラー42の端部42aを露呈させる。」 (イ)図3は次のとおりである。 イ 上記アによれば、引用文献3´には下記の事項(以下「引用文献3´に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。 「支持基板100の表面6aの上に、粘着層7を形成し(【0038】)、 複数の半導体部品100を粘着層7の上に並べ、複数の半導体部品100を粘着層7によって支持基板6の表面6aの上に固定することにより、加工体102を形成し、これにより、加工体102を準備し(【0039】)、 複数の半導体部品100のそれぞれの上及び支持基板6の表面6aの上に、封止部44となる樹脂膜44fを形成し、樹脂膜44fは、複数の半導体部品100のそれぞれの、発光部15の側面15s、第1導電性ピラー41の側面41s、及び、第2導電性ピラー42の側面42sを覆い、樹脂膜44fは、複数の半導体部品100のそれぞれの、第1導電性ピラー41の端部41a、及び、第2導電性ピラー42の端部42aも覆い、樹脂膜44fを塗布した後、樹脂膜44fを硬化させ(【0042】)、 研削加工やウェットエッチング、または、ドライエッチングなどによって樹脂膜44fの一部を削ることにより、第1導電性ピラー41の端部41a及び第2導電性ピラー42の端部42aを露呈させる(【0043】)、 半導体発光素子110の製造方法(【0029】)。」 (3)引用発明3との対比・判断 (3-1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明3を対比すると、引用発明3の「LEDチップ1」、「素子基板11を覆うように素子基板11上に形成されたn型半導体層12と、n型半導体層12の角部のn電極用領域12aを除いたn型半導体層12のp型半導体層用領域12b上に形成されたp型半導体層13」、「n電極用領域12a上に形成された第1n電極14と、p型半導体層13上に形成された第1p電極15」及び「第1n電極14及び第1p電極15を覆うとともに、第1n電極14と第1p電極15とを絶縁するように形成された第1絶縁層16」は、本件発明1の「オプトエレクトロニクス半導体素子(1)」、「複数の素子領域(3)、半導体層列(20)を備える結合体(30)、及び、半導体本体(2)」、「接続面(4)」及び「成形材料(50)」にそれぞれ相当するから、引用発明3の構成a1ないしc3は、本件発明1の構成A1?D1及びH1にそれぞれ相当する。 したがって、本件発明1と引用発明3は、下記各点で相違し、その余の点で一致する。 ・相違点4 本件発明1は、「d)前記成形材料を備える前記結合体を個別化するステップを有しており」、「前記個別化時に前記成形材料から複数の成形体(5)が形成され、前記成形体(5)にはそれぞれ、前記結合体の素子領域から生じた半導体本体(2)が割り当てられて」いるのに対して、引用発明3は、このように特定されない点。 ・相違点5 本件発明1は「前記半導体本体および前記成形体は、ステップd)の後、別の結合体(35)を形成するために、別の成形材料(550)によって包囲され、前記成形材料および前記別の成形材料は、前記半導体本体において生成される、または受信されるべきビームに対して不透過性であり、前記別の成形材料は、前記半導体層列とは反対側に位置する面で前記別の成形材料によって前記接続面が完全に覆われるように形成され、かつ前記接続面は前記別の結合体の分断の前に、別のステップにおいて露出される」のに対して、引用発明3は、このような別の成形材料(550)に係る構成を備えない点。 イ 判断 事案に鑑みて、相違点4及び5をまとめて検討する。 引用発明3は相違点4及び5に係る本件発明1の構成をいずれも備えていないところ、引用文献2´及び3´には、別の成形材料に相当する樹脂で覆うことが記載されるにとどまり(引用文献2´に記載された事項、引用文献3´に記載された事項)、引用発明3に引用文献2´に記載された事項及び引用文献3´に記載された事項を適用しても、上記相違点4及び5に係る本件発明1の構成の特に、「d)前記成形材料を備える前記結合体を個別化するステップを有しており」、「前記半導体本体および前記成形体は、ステップd)の後、別の結合体(35)を形成するために、別の成形材料(550)によって包囲され」「前記別の成形材料は、前記半導体層列とは反対側に位置する面で前記別の成形材料によって前記接続面が完全に覆われるように形成され、かつ前記接続面は前記別の結合体の分断の前に、別のステップにおいて露出される」構成とすることは想定されない。 また、引用文献1´ないし3´の記載を見ても、引用発明3において、「d)前記成形材料を備える前記結合体を個別化するステップを有しており」、「前記半導体本体および前記成形体は、ステップd)の後、別の結合体(35)を形成するために、別の成形材料(550)によって包囲され」「前記別の成形材料は、前記半導体層列とは反対側に位置する面で前記別の成形材料によって前記接続面が完全に覆われるように形成され、かつ前記接続面は前記別の結合体の分断の前に、別のステップにおいて露出される」構成とすることが容易に想到し得た事項であるとする証拠も見当たらず、また、このような構成となす動機も見当たらない。 したがって、本件発明1は、当業者であっても引用発明3及び引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (3-2)本件発明10について 本件発明10は方法の発明である本件発明1のカテゴリーを物の発明としたものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件発明10は、当業者であっても引用発明3及び引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (3-3)本件発明2?9、11?17について 本件発明2ないし9は本件発明1を減縮した発明であり、本件発明11ないし17は本件発明10を減縮した発明である。 したがって、上記(4-1)及び(4-2)における本件発明1ないし本件発明10と同じ理由により、本件発明2?9、11?17は、当業者であっても引用発明3及び引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (4)小括 以上(3)での検討によれば、原査定を維持することはできない。 7.むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-11-25 |
出願番号 | 特願2017-537370(P2017-537370) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01L)
P 1 8・ 113- WY (H01L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉野 三寛 |
特許庁審判長 |
瀬川 勝久 |
特許庁審判官 |
星野 浩一 松川 直樹 |
発明の名称 | 複数のオプトエレクトロニクス半導体素子を製造する方法およびオプトエレクトロニクス半導体素子 |
代理人 | 上島 類 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 二宮 浩康 |
代理人 | 前川 純一 |