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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62K
管理番号 1368488
審判番号 不服2020-899  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-23 
確定日 2020-11-19 
事件の表示 特願2015-158748号「二輪車のフレーム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月16日出願公開,特開2017- 35995号〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成27年8月11日の出願であって,令和1年5月29日付けで拒絶理由が通知され,同年10月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,同年10月11日付けで拒絶査定がなされ,令和2年1月23日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1,2に係る発明は,令和1年10月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項より特定されるとおりのものであるところ,請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。
「ホーク足を支持するホーク足支持部が,下パイプまたはメインパイプの途中に設けられ,該ホーク足が該ホーク足支持部から前方に延出している前ホークと,
ヘッドパイプに取り付けられるハンドルステムの回動に連動させて前記ホーク足支持部を回動させる連動手段と,
を備える二輪車のフレーム。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,という理由を含むものである。

引用文献1:特開2005-125922号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1に記載された事項
引用文献1には,図面とともに次の記載がある(下線は当審で付した。)。
・「【技術分野】
【0001】
この発明は,操作ハンドルを回転自在に支持するヘッドの後方に荷籠又はキャリヤ等を固定できる空間を配置した自転車に関するものである。」
・「【実施例1】
【0014】
以下,図示の実施例に基づいてこの発明を詳細に説明すると,1はこの発明の一実施例を示す自転車であって,2は操作ハンドル,3はそのハンドルポスト,4は前車輪,5はマエホークである。
【0015】
一方,6は自転車1のメインフレーム,7はメインフレーム6の基端部に立設されたサドルポスト,8はサドルポスト7の上端部に設けられたサドル,9はサドルポスト7の下端部に設けられたペタルである。
【0016】
また,メインフレーム6の先端には延長フレーム10を設け,延長フレーム10の先端部には第一ヘッド11を設け,ハンドルポスト3を第一ヘッド7の上端部と下端部に設けられた回転部12,12に装着して操作ハンドル2を第一ヘッド7内に回転自在に支持させる。
【0017】
また,延長フレーム6の基端部には第二ヘッド13を設け,マエホーク5の基幹部を第二ヘッド13の上端部と下端部に設けられた回転部14,14に装着してマエホーク5を第二ヘッド13内に回転自在に支持させる。
【0018】
一方,第一ヘッド11と第二ヘッド13の下端部に設けられた回転部12と14の外径側にはリンクプレート15,15を設け,リンクプレート15,15はボールジョイント等を介してロッド16で連結して操作ハンドル2を回転させるとマエホーク5も同一方向に回転するように構成する。」
・「【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明においては操作ハンドルのふらつき等の支障を来すことなく,しかもひったくり等のの防止,荷物の出し入れがの容易等の効果を有する自転車構造を提供できる。」

ここで,段落【0015】の「7はメインフレーム6の基端部に立設されたサドルポスト」という記載,段落【0016】の「延長フレーム10の先端部には第一ヘッド11を設け」という記載,及び,図1の記載を踏まえれば,段落【0016】の「操作ハンドル2を第一ヘッド7内に回転自在に支持させる。」の記載は「操作ハンドル2を第一ヘッド11内に回転自在に支持させる。」の誤記と認める。
同様に,段落【0015】の「6は自転車1のメインフレーム」という記載,段落【0016】の「メインフレーム6の先端には延長フレーム10を設け」という記載,及び,図1の記載を踏まえれば,段落【0017】の「延長フレーム6の基端部には第二ヘッド13を設け」の記載は「延長フレーム10の基端部には第二ヘッド13を設け」の誤記と認める。

・図1には,以下の内容が示されている。


段落【0017】の記載事項と図1の図示内容からみて,マエホーク5の基幹部から前車輪14の車軸に向けて延びている部分が,前方かつ下方に延びているマエホーク5が理解できる。

2 引用発明
そうすると,引用文献1には,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「メインフレーム6の先端には延長フレーム10を設け,延長フレーム10の基端部には第二ヘッド13を設け,マエホーク5の基幹部を第二ヘッド13の上端部と下端部に設けられた回転部14,14に装着してマエホーク5を第二ヘッド13内に回転自在に支持させ,マエホーク5の基幹部から前車輪14の車軸に向けて延びている部分が前方かつ下方に延びているマエホーク5と,
延長フレーム10の先端部には第一ヘッド11を設け,ハンドルポスト3を第一ヘッド11の上端部と下端部に設けられた回転部12,12に装着して操作ハンドル2を第一ヘッド11内に回転自在に支持させ,
第一ヘッド11と第二ヘッド13の下端部に設けられた回転部12と14の外径側にはリンクプレート15,15を設け,リンクプレート15,15はボールジョイント等を介してロッド16で連結して操作ハンドル2を回転させるとマエホーク5も同一方向に回転するように構成した,
自転車構造。」

第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比すると,後者の「マエホーク5の基幹部から前車輪14の車軸に向けて延びている部分」は,基幹部を除く部分であって,前者の「ホーク足」に相当し,以下同様に,「マエホーク5」は「前ホーク」に,「第一ヘッド11」は「ヘッドパイプ」に,「ハンドルポスト3」は「ハンドルステム」に,「自転車構造」はフレームを含むから「二輪車のフレーム」に,それぞれ相当する。
2 後者の「マエホーク5の基幹部」は,当該基幹部を除く「マエホーク5の基幹部から前車輪14の車軸に向けて延びている部分」を支持することが明らかであるから,前者の「ホーク足を支持するホーク足支持部」に相当する。
後者は「メインフレーム6の先端には延長フレーム10を設け,延長フレーム10の基端部には第二ヘッド13を設け,マエホーク5の基幹部を第二ヘッド13の上端部と下端部に設けられた回転部14,14に装着してマエホーク5を第二ヘッド13内に回転自在に支持させ」ているから,後者の「マエホーク5の基幹部」が「メインフレームの6の先端」に設けた「延長フレーム10の基端部」に設けられるものであって,「メインフレーム6」及び「延長フレーム10」はフレームであるから,後者の「マエホーク5の基端部」と,前者の「ホーク足を支持するホーク足支持部が,下パイプまたはメインパイプの途中に設けられ」ているものとは,「下パイプまたはメインパイプ」も「フレーム」であるから,上記1.を踏まえると,「ホーク足を支持するホーク足支持部がフレームの途中に設けられ」ている点において共通する。
3 後者の「マエホーク5の基幹部から前車輪14の車軸に向けて延びている部分が前方かつ下方に延びているマエホーク5」は,上記1.を踏まえると,前者の「該ホーク足が該ホーク足支持部から前方に延出している前ホーク」に相当する。
4 後者は「延長フレーム10の先端部には第一ヘッド11を設け,ハンドルポスト3を第一ヘッド11の上端部と下端部に設けられた回転部12,12に装着して操作ハンドル2を第一ヘッド11内に回転自在に支持させ」るから,「第一ヘッド11」に「ハンドルポスト3」が取り付けられていることが明らかであり,上記1.を踏まえると,後者の「ハンドルポスト3」は,前者の「ヘッドパイプに取り付けられているハンドルステム」に相当する。
後者の「回転部12」,「リンクプレート15,15」,「ロッド16」及び「ボールジョイント」,「回転部14」からなる「操作ハンドル2を回転させるとマエホーク5も同一方向に回転する」構成は,操作ハンドル2を回転させるとハンドルポスト3が回動してマエホーク5を回動させることになることになるから,上記1.を踏まえると,前者の「ハンドルステムの回動に連動させて前記ホーク足支持部を回動させる連動手段」に,相当する。
よって,後者の「延長フレーム10の先端部には第一ヘッド11を設け,ハンドルポスト3を第一ヘッド11の上端部と下端部に設けられた回転部12,12に装着して操作ハンドル2を第一ヘッド11内に回転自在に支持させ,第一ヘッド11と第二ヘッド13の下端部に設けられた回転部12と14の外径側にはリンクプレート15,15を設けリンクプレート15,15はボールジョイント等を介してロッド16で連結して操作ハンドル2を回転させるとマエホーク5も同一方向に回転するように構成した」ことは,前者の「ヘッドパイプに取り付けられているハンドルステムの回動に連動させて前記ホーク足支持部を回動させる連動手段」に相当する。

そうすると,両者は,
「ホーク足を支持するホーク足支持部がフレームの途中に設けられ,該ホーク足が該ホーク足支持部から前方に延出している前ホークと,
ヘッドパイプに取り付けられるハンドルステムの回動に連動させて前記ホーク足支持部を回動させる連動手段と,
を備える二輪車のフレーム。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

<相違点>
ホーク足支持部がフレームの途中に設けられることに関して,本願発明では,ホーク足支持部が,「下パイプまたはメインパイプ」の途中に設けられているのに対して,引用発明では,マエホーク5の基幹部が「メインフレーム6の先端に設けられた延長フレーム10の基端部に設けられた第二ヘッド13に設けられ」ている点。

第6 判断
1 相違点について
上記相違点について,判断する。
本願発明の「ホーク足支持部」が「メインパイプの途中に設けられ」た構成について検討する。本願の明細書の段落【0015】及び図1の記載を踏まえれば,本願の明細書等に記載された「上パイプ21」及び「下パイプ23」は「サドル9」の「シートポスト33」側から「ヘッドパイプ25」側に伸びる部材であると認められる。そして,段落【0023】の「上パイプ21及び下パイプ23に代えて,メインパイプを有するフレーム体であってもよい。」という記載を踏まえれば,本願発明の「メインパイプ」は「シートポスト33」側から「ヘッドパイプ25」側に伸びるフレーム部材であると認められる。
一方,引用発明におけるサドルポスト7側から第一ヘッド11側に伸びるフレーム部材はメインフレーム6及び延長フレーム10が該当する。また,引用文献1の図1を参照すると,メインフレーム6と延長フレーム10は,連続して延びる一連のフレームとして記載されている。
そうしてみれば,引用発明においては,マエホーク5の基幹部(ホーク足支持部)が,延長フレーム10の基端部に設けられた第二ヘッド13に設けられているから,メインフレーム6と延長フレーム10とからなる一連のフレームの途中に設けられているといえ,本願発明の如くメインパイプの途中に設けられた構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
そして,本願発明の効果について検討しても,引用発明から当業者が予測し得る範囲のものであって,格別なものとはいえない。

2 請求人の主張の検討
請求人は,令和2年3月5日の手続補正書において,審判請求書の請求の理由を補正しており,当該審判請求書において,
・「(1)理由1について
(ア)拒絶査定の認定は引用文献1の文脈に沿った認定ではない。
拒絶査定の理由1によりますと,『引用文献1に記載の発明において,延長フレーム10はメインフレーム6の延長部であって,実質的には延長フレーム10とメインフレーム6とでメインフレームを構成しているから,「延長フレーム10とメインフレーム6」が本願発明の「メインパイプ」に相当する。』とされました。
しかしながら,当該引用文献1に記載された発明は,自転車の操作上に支障を来すことなく(段落0007),カゴやキャリア内の荷物のひったくりの防止を図るという目的を達成するために(段落0006),メインフレーム6の先端に延長フレーム10を設け,その先端に第一ヘッド11を,その基端に第二ヘッド13を設け,第一ヘッド11に取り付けられた操作ハンドル2と第二ヘッド13に設けられたマエホーク5をロッド16によって連動させるとともに(段落0014?0018,図1),第一ヘッド12の後方に荷籠17を配置しているのである(段落0019,図1)。すなわち,荷籠17をハンドルよりも後方に配したことに起因して自転車の操作上に支障を生じないよう,第一ヘッド11を“従来の(一般的な)”ヘッド位置よりも前方に配すべく,メインフレーム6に延長フレーム10を付加させているのである。
このような引用発明1では,延長フレーム10は,メインフレーム6とは,文言上および符号上,別個の構成として記載されており,第一ヘッド11(荷籠17)を従来の自転車構造より前方に配置するための構成として記載されている。したがって,当該引用文献1の文脈に沿って解釈すれば,延長フレーム10はメインフレーム6とは別の構成として解釈すべきであり,拒絶査定に記載されたような「延長フレーム10はメインフレーム6の延長部」との認定(延長フレーム10がメインフレームの一部分であるかのような認定)は,引用文献1の文脈に沿った認定ではないから認められない。また,「延長フレーム10とメインフレーム6とでメインフレームを構成している」との認定も同様の理由により認められるべきではない。
また,引用文献1の図1によると,引用発明1の自転車1のホイールベースやキャスター角は一般的な自転車と同様に図示されており,マエホーク5が接続されているメインフレーム6の長さも一般的な自転車と同様に図示されている。このことからも,引用発明1のメインフレーム6が本願発明のメインパイプに相当するといえる。
そうすると,本願発明と引用発明1はホーク足支持部(第二ヘッド13)の設置箇所が下パイプ/メインパイプの途中であるか,メインフレーム6の先端部であるか否かで相違しており,本願発明は新規性を有している。
(2)理由2について
(ア)本願発明の「下パイプまたはメインパイプ」が「メインパイプ」である場合。
拒絶査定によりますと,「引用文献1に記載の発明に基づいて請求項1に係る発明のようにすること,・・・は当業者にとって容易である」と判断されています。
しかしながら,引用文献1には上記相違点に係る構成,すなわち,ホーク足支持部(第二ヘッド13)の設置箇所がメインパイプ(メインフレーム6)の途中であることは記載も示唆もない。したがって,相違点に係る論理付けができないから本願発明は進歩性を有している。
また,仮に,上記相違点に係る構成を引用発明1に採用したとすれば,メインフレーム6の先端に第一ヘッド11が設けられ,メインフレーム6の途中に第二ヘッド13が設けられることとなる。しかしながら,当該態様において,第一ヘッド11の後方と第二ヘッド13の上部とサドル8前方に囲まれた空間に荷籠17を配すると,段落0007に記載されているように「従来の自転車構造ではペダルを漕ぐ際にカゴ又はキャリヤに膝が当たるなど自転車の操作上に支障を来す」こととなるため,引用発明の目的が達成できなくなってしまう。このように相違点に係る構成を引用発明1に採用することには阻害要因が存在している。」旨主張する。
しかしながら,上述したように,本願発明の「メインパイプ」は「シートポスト33」側から「ヘッドパイプ25」側に伸びるフレーム部材であり,引用発明におけるサドルポスト7側から第一ヘッド11側に伸びるフレーム部材はメインフレーム6及び延長フレーム10が該当する。
また,「引用発明1のメインフレーム6の長さが一般的な自転車と同様に図示されている」との主張についても,本願発明においては「メインパイプ」の長さは何ら特定されていないから,引用発明の「メインフレーム6」と「延長フレーム10」とからなる一連のフレームを,メインパイプとすることに格別の困難性は認められない。
したがって,「引用発明1のメインフレーム6が本願発明のメインパイプに相当するといえる。」といった請求人の審判請求書における上記主張は採用することができない。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-09-08 
結審通知日 2020-09-15 
審決日 2020-09-29 
出願番号 特願2015-158748(P2015-158748)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B62K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 畔津 圭介  
特許庁審判長 佐々木 一浩
特許庁審判官 藤井 昇
出口 昌哉
発明の名称 二輪車のフレーム  
代理人 浅野 哲平  
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