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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1368512
審判番号 不服2019-8001  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-17 
確定日 2020-11-16 
事件の表示 特願2017- 69915号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月 8日出願公開、特開2018-171147号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成29年3月31日の出願であって、平成30年2月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月3日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月7日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年10月18日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年3月25日付け(謄本送達日:同年3月29日)で、平成30年10月18日付け手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和1年6月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 令和1年6月17日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成30年4月3日付け手続補正書による補正)
「【請求項1】
遊技の進行に関する遊技情報を表示する複数のLEDを有する遊技表示手段を備えた遊技機において、
前記遊技表示手段は、
前記複数のLEDが表面実装された基板と、
前記基板の前面全体をカバーすると共に、前記複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の導光孔を有する基板カバーとを有し、
前記基板カバーの前側に配置され、前記複数のLEDの発光態様を認識可能なシート材を備え、
前記シート材は、遮光部と、前記遮光部に囲われて前記遮光部よりも遮光率が低く且つ前記複数の導光孔に夫々対応する複数の発光部とが共通のシートに形成され、
前記遊技の進行を制御する遊技制御手段が、前記複数のLEDを制御して遊技情報を表示させることを特徴とする遊技機。」から、

(補正後:本件補正である令和1年6月17日付け手続補正書による補正)
「【請求項1】
A 遊技の進行に関する遊技情報を表示する複数のLEDを有する遊技表示手段を備えた遊技機において、
B 前記遊技表示手段は、
B1 複数のLEDが表面実装された基板と、前記基板が取付けられると共に前記基板の前面側におけるLED発光領域以外の所定領域を覆う第1カバーと、
B2 前記第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の導光孔と、
B3 前記第1カバーの前面側を覆う第2カバーと、
B4 前記第2カバーの前面側に配置され、複数のLEDの発光態様を認識可能なシート材を備え、
C 前記シート材は、遮光部と、前記遮光部に囲われて前記遮光部よりも遮光率が低く且つ前記複数の導光孔に夫々対応する複数の発光部とが共通のシートに形成され、
D1 前記第2カバーは、前記シート材を貼付するときの取付け位置を位置決め可能な起立部を有し、
D2 前記シート材を前記第2カバーの前面側に貼付するときに、前記シート材の外縁を前記起立部に沿わせることにより、前記複数の導光孔の各々と前記シート材の複数の発光部の各々とを合わせることが可能であり、
E 前記遊技の進行を制御する遊技制御手段が、複数のLEDを制御して遊技情報を表示させる
F ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。また、符号AからFは、当審にて分説して付した。)。

2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、補正前の請求項1について、

(i)発明を特定するために必要な事項である「カバー」について、「第1カバー」及び「第2カバー」という2種類のカバーを備えることを限定するとともに、
(i-1)発明を特定するために必要な事項である「基板の前面側に」、「基板の前面全体をカバーするように配置され」、「導光孔」を有する「カバー」について、
「第2カバー」が「第1カバーの前面側を覆う」ことを限定し、
「第1カバー」が、「前記基板が取付けられると共に前記基板の前面側におけるLED発光領域以外の所定領域を覆う」ことを限定し、
「第1カバー」に「導光孔」が設けられていることを限定し、
(i-2)さらに、発明を特定するために必要な事項である「シート材」が、「カバーの前面側」に配置されることを、「第2カバーの前面側」に配置されると限定するほか、
(i-3)「前記第2カバーは、前記シート材を貼付するときの取付け位置を位置決め可能な起立部を有し、
前記シート材を前記第2カバーの前面側に貼付するときに、前記シート材の外縁を前記起立部に沿わせることにより、前記複数の導光孔の各々と前記シート材の複数の発光部の各々とを合わせることが可能であ」ることを限定し、
(ii)「遊技表示手段」が有する「基板」について、「前記複数のLEDが表面実装された基板」としていたものから、「前記」を取って、「複数のLEDが表面実装された基板」と書き改め、さらに、
(iii)「遊技制御手段」が「制御」する対象について、「前記複数のLED」としていたものから、「前記」を取って、「複数のLED」と書き改めるものである。

(2)補正目的
上記(1)の補正事項(i)は、補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(3)新規事項
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の【0074】-【0078】、【0091】、【0093】、【0099】、図7-図9、図12の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に掲げる要件を満たす。

3 本件補正発明の独立特許要件についての検討
上記2(2)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含むことから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、本件補正である令和1年6月17日付け手続補正書により補正された、上記「第2の1 本件補正について」で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-63922号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞口へ遊技球が入賞したことを契機に取得される特別図柄判定用乱数を用いた抽選の結果に応じた図柄変動ゲームを実行する遊技機に関するものである。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0035】
[1.1遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機Pは、図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。・・・
【0038】
・・・遊技盤1には、この他、外側誘導レール17a、内側誘導レール17b、普通入賞口18、アウト口19等も設置されている。
・・・
【0041】
さらに、大入賞口15の下方に設置された装飾体51には特別図柄表示装置50が備えられると共に、風車12の下方には、第3の表示装置60も設置されている。
【0042】
第3の表示装置60は、図2(B)に示す様に、内側誘導レール17bの遊技領域側湾曲面に接する様に遊技盤に固定され、風車12で弾かれて落下してくる遊技球PBを、障害釘列11aへと誘導する誘導壁60aを形成する機能も発揮する様に取り付けられる。」

(ウ)「【0049】
本実施例においては、第3の表示装置60は、特殊図柄変動表示を実行するだけでなく、特図保留情報、普通図柄変動ゲーム、普通図柄保留情報、及び、遊技者に対する右打ち・左打ちの示唆に関する表示も実行する様に、特図1変動表示部60b、特図1保留表示部60c、特図2変動表示部60d、特図2保留表示部60e、普通図柄変動表示部60f、普通図柄保留表示部60g、及び、右打ち・左打ち示唆表示部60hを備えている。
【0050】
[2 第3の表示装置]
この様な用い方をされる第3の表示装置60は、図3(A)に示す様に、シール61と、カバー体62と、内側ケース63と、LED基板64とから構成されている。
【0051】
シール61は、光透過性を有しない非透明領域61aの中に10個の光透過性を有する丸窓61b?61kを備えている。非透明領域61aは、LEDの発光状態を際立たせる観点から、黒あるいはダークグレーを基調とするとよい。
【0052】
カバー体62は、透明合成樹脂成形体によって構成され、図3(B)に示す様に、内側誘導レール17bの遊技領域側湾曲面に対応する形状のレール側端部62aと、レール側端部62aの上端から右下方に傾斜する上端部62bと、上端部62bからレール側端部62aの下端に向かって形成された右側端部62cとを有する正面板62dを備えると共に、図3(A)に示す様に、この正面板62dの上端部62bから後方に向かって伸びる上端壁62eと、正面板62aの右側端部62cから後方に向かって伸びる右側壁62fと、これら上端壁62e及び右側壁62fを取り囲む様に外へ伸びる平板部62gとを備えている。
【0053】
内側ケース63は、非透明合成樹脂成形体によって構成され、カバー体51の内側に収まる本体の上面63aに、10個の窓孔63b?63kを備えている。これら10個の窓孔63b?63kは、組み立てたときに、シール61の丸窓61b?61kと一致する位置に形成されている。
【0054】
LED基板64は、基板本体64aの上面に、10個のLED64b?64kが設置されたものとなっている。LED基板64は、内側ケース63の中に収納される様にして取り付けられ、10個のLED64b?64kは、内側ケース63の10個の窓孔63b?63kの直下に位置する様に配置されている。
【0055】
この結果、第3の表示装置60においては、シール61の丸窓61b?61k、内側ケース63の窓孔63b?63k、及び、LED基板64のLED64b?64kは、図3(A)?(C)に示す様に、遊技盤に組み付けたとき、対応するもの同士が互いに前後方向に重なり、窓孔63b?63k及び丸窓61b?61kを介して、各LED64b?64kの点灯、点滅等の表示態様を視認することができる構成となっている。また、内側ケース63の窓孔同士の間には、各LEDの光が他のLEDに対応する丸窓から視認されてしまわない様に構成するための仕切部63mがマス目状に形成されている。本実施例では、仕切部63mを、基板本体64aの上面近くまで伸ばして上記作用をより確実なものとすると共に、LED基板64の高さ方向位置決め部材としても機能させている。
【0056】
第3の表示装置60は、図3(B),(C)に示す様に、遊技盤1を構成する板部材1aの前面に平板部62gの裏面を当接させると共に、内側誘導レール17bの遊技領域側の湾曲面に天板62dのレール側端部62aを当接させる様にして位置決めし、ネジ止め固定される。図2(B)に示した様に、カバー体62の上端壁62eは、風車12で弾かれて落下してくる遊技球PBを、障害釘列11aへと誘導する誘導壁60aとして機能する。」

(エ)「【0058】
本実施例においては、第3の表示装置60は、制御信号を受けて、図4,図5に示す様に動作する。なお、図4,図5は、各図(A)の凡例に示す様に、白色で「消灯」を、縦ハッチングで「点滅」を、黒色で「点灯」を、それぞれ表現している。
【0059】
第3の表示装置60は、図4(B)に示す様に、始動入賞装置7への遊技球の入賞を契機として取得された特図1判定用乱数の特別図柄判定に伴って実行される特別図柄変動ゲーム(特図1変動ゲーム)に対応し、LED64bの消灯、点滅、点灯を実行する。この結果、丸窓61bを介して、[変動中]は「点滅」、[大当たり図柄確定時]は「点灯」、[はずれ図柄確定時]は「消灯」が視認されることとなる。なお、特図1変動ゲームが実行されていないときも「消灯」となる。
【0060】
第3の表示装置60は、図4(C)に示す様に、始動入賞装置7への遊技球の入賞を契機として取得された特図1判定用乱数の保留個数に応じて、LED64c,64dの消灯、点滅、点灯を実行する。[保留1個]のときはLED64cだけを「点灯」させ、[保留2個]のときはLED64c,64dを共に「点灯」させ、[保留3個]のときはLED64cを「点滅」,LED64dを「点灯」させ、[保留4個]のときはLED64c,64dを共に「点滅」させる。これらの表示状態は、丸窓61c,61dを介して視認される。なお、これら特図1保留個数を示す2個のLED64c,64dは、保留記憶がないとき(特図1変動ゲーム中を含む)においては、いずれもが「消灯」となる。
【0061】
第3の表示装置60は、図4(D)に示す様に、第2始動入賞装置27への遊技球の入賞を契機として取得された特図2判定用乱数の特別図柄判定に伴って実行される特別図柄変動ゲーム(特図2変動ゲーム)に対応し、LED64eの消灯、点滅、点灯を実行する。[変動中]は「点滅」、[大当たり図柄確定時]は「点灯」、[はずれ図柄確定時]は「消灯」となる。なお、特図2変動ゲームが実行されていないときも「消灯」となる。これらの表示状態は、丸窓61eを介して視認される。
【0062】
第3の表示装置60は、図4(E)に示す様に、第2始動入賞装置27への遊技球の入賞を契機として取得された特図2判定用乱数の保留個数に応じて、LED64f,64gの消灯、点滅、点灯を実行する。[保留1個]のときはLED64fだけを「点灯」させ、[保留2個]のときはLED64f,64gを共に「点灯」させ、[保留3個]のときはLED64fを「点滅」,LED64gを「点灯」させ、[保留4個]のときはLED64f,64gを共に「点滅」させる。これらの表示状態は、丸窓61f,61gを介して視認される。これら特図2保留個数を示す2個のLED64f,64gは、保留記憶がないとき(特図2変動ゲーム中を含む)においては、いずれもが「消灯」となる。
【0063】
本実施例の遊技機は、上述の様に、通常状態では普通図柄判定における当たり確率は「ほぼ0」であるから、右打ち遊技をしても遊技者は有利にならない。その一方、「右打ち有利状態」となっている間は、右打ち遊技が遊技者にとって有利となる。そこで、図5(B)に示す様に、第3の表示装置60のLED64hの消灯、点灯を実行することで、右打ち・左打ちの示唆を実行する。[左打ち]を示唆する条件にあるときはLED64hを「消灯」、[右打ち]を示唆する条件にあるときはLED64hを「点灯」に制御する。これらの表示状態は、丸窓61hを介して視認される。
【0064】
第3の表示装置60は、図5(C)に示す様に、ゲート37に対する遊技球の通過を契機として取得された普通図柄判定用乱数の普通図柄判定に伴って実行される普通図柄変動ゲームに対応し、LED64iの消灯、点滅、点灯を実行する。[変動中]は「点滅」、[当たり図柄確定時]は「点灯」、[はずれ図柄確定時]は「消灯」となる。なお、普通図柄変動ゲームが実行されていないときも「消灯」となる。これらの表示状態は、丸窓61iを介して視認される。
【0065】
第3の表示装置60は、図5(D)に示す様に、ゲート37に対する遊技球の通過を契機として取得された普通図柄判定用乱数の保留個数に応じて、LED64j,64kの消灯、点滅、点灯を実行する。[保留1個]のときはLED64jだけを「点灯」させ、[保留2個]のときはLED64j,64kを共に「点灯」させ、[保留3個]のときはLED64jを「点滅」,LED64kを「点灯」させ、[保留4個]のときはLED64j,64kを共に「点滅」させる。これらの表示状態は、丸窓61j,61kを介して視認される。これら普通図柄保留個数を示す2個のLED64j,64kは、保留記憶がないとき(普通図柄変動ゲーム中を含む)においては、いずれもが「消灯」となる。」

(オ)「【0068】
サブ制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、発光装置LED、スピーカーSP,SP、モータMT、ソレノイドSOLに対して制御信号を出力して発光演出、音声演出、可動体演出を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力し、さらに、第3の表示装置60に対しても、図4,図5で示した様な表示動作を実行させるための制御指令を出力している。演出表示制御基板370は、サブ制御基板320からの演出表示のための指令信号に基づいて、液晶表示装置LCDに対して制御信号を出力し、表示演出を実行する。第3の表示装置60は、図4,図5に示した様な表示態様に従い、特殊図柄や保留個数等に対応する表示を実行する。
・・・
【0092】
こうして読み出した特図2保留情報中の乱数1が、主制御基板310のROMに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定する(S310)。この大当り判定(当り抽選)は、非確変の時(低確率の時)に大当り判定の判定結果が肯定となる確率(すなわち大当り確率)は、164/65536に設定され、確変状態の時(高確率の時)に判定結果が肯定となる確率(大当り確率)は、1518/65536に設定されている。
【0093】
大当り判定の判定結果が肯定の場合には(S310:YES)、大当りの変動であることを示す大当りフラグに「1」が設定される(S320)。そして、主制御基板310は、乱数2の値に基づき、特別図柄表示装置50に確定停止表示させる「大当り図柄」を決定する(S330)。ここで、乱数2の値には、特図2保留情報に対する当たり種別の振り分け率に対応して大当り図柄が対応付けられている。従って、主制御基板310は、S330の処理においては、読み出した乱数2の値に対応付けられた大当り図柄を決定することになる。大当り図柄(特図)が決定されると、乱数4の値に基づいて「大当り演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S340)。
【0094】
一方、S310の大当り判定の判定結果が否定の場合には(大当りでない場合には)、主制御基板310は、S270で読み出した特図2保留情報中の乱数3に基づいてリーチ演出を実行させるか否かを判定する(S350)。本実施例では、主制御基板310は、乱数3の値が、ROMに記憶してあるリーチ演出実行判定値と一致するか否かによりS350の判定を行う。S350の判定結果が肯定の場合には(リーチ演出を行う場合には)、主制御基板310は、特別図柄表示装置50に確定停止表示させる「はずれ図柄」を決定し(S335)、乱数4の値に基づいて「はずれリーチ演出用の変動パターン」の中から1つの変動パターンを決定する(S345)。
・・・
【0096】
こうして変動パターンおよび最終停止図柄を決定した主制御基板310は、サブ制御基板310に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する(S360)。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特別図柄表示装置50を制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特別図柄表示装置50の表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、サブ制御基板320に対して飾り図柄及び特殊図柄の変動停止を指示し、飾り図柄及び特殊図柄を確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。これらの指令を受け、サブ制御基板320は、液晶表示装置LCDに表示する第1図柄?第3図柄(飾り図柄)と第3の表示装置60のLED64eで表示する第5図柄(特殊図柄)について、特別図柄の変動開始に同期させて変動表示を開始し、特別図柄の停止に同期させて確定停止表示を実行する。第3の表示装置60は、変動開始から変動停止までの間、LED64eは、図4(B)に示した点滅表示を続行し続ける。
【0097】
これに対し、特図保留情報が特図2保留情報でない場合は(S250:NO)、特図1保留情報であるか否かを判定する(S255)。特図1保留情報である場合は(S255:YES)、特図1記憶数N1をデクリメントし(S265)、記憶順の一番早い特図保留情報を読み出す(S275)。その後は、特図1変動表示用処理(S400)を実行する。この特図1変動表示用処理は、S310?S360と同様に構成されている。なお、S330に対応するステップでの乱数2に基づく当たり種別の振り分け確率は、上述の様に特図2保留情報の方が、「長時間開放動作」となる大当たりパターンへの振り分け確率を高めたり、あるいは確率変動状態への突入割合を高めるなど、遊技者に有利となる様な設定となっている。特図1保留情報に基づくS400の処理に対応して、主制御基板310から指令を受けたサブ制御基板320は、液晶表示装置LCDに表示する第1図柄?第3図柄(飾り図柄)と第3の表示装置60のLED64bで表示する第4図柄(特殊図柄)とを、特別図柄の変動開始に同期させて変動表示を開始し、特別図柄の停止に同期させて確定停止表示を実行する。この場合においても、第3の表示装置60は、変動開始から変動停止までの間、LED64eは、図4(B)に示した点滅表示を続行し続ける。」

(カ)「【図3】


また、上で摘記した(ウ)における、【0053】の「カバー体51」との記載は、【0050】、【0052】及び図3(A)等明細書及び図面の他の記載を併せると、「カバー体62」の誤りであると認められる。

イ 認定事項
(ア) 認定事項1
上記ア(ウ)に示した【0055】には、「この結果、第3の表示装置60においては、シール61の丸窓61b?61k、内側ケース63の窓孔63b?63k、及び、LED基板64のLED64b?64kは、図3(A)?(C)に示す様に、遊技盤に組み付けたとき、対応するもの同士が互いに前後方向に重なり、窓孔63b?63k及び丸窓61b?61kを介して、各LED64b?64kの点灯、点滅等の表示態様を視認することができる構成となっている。」と記載されており、遊技盤に組み付けたとき、シール61が前側に位置し、LED基板64が後ろ側に位置することは明らかであり、上記ア(カ)に示した図3(A)?(C)を参照すると、引用文献1には、以下の事項が記載されていると認められる。
・LED基板64の基板本体64aの前面側に、10個のLED64b?64kが設置されていること(認定事項1-1)。
・カバー体62は、内側ケース63の上面63aの前面側を覆っていること(認定事項1-2)。
・シール61は、カバー体62の正面板62dの前面側に配置されていること(認定事項1-3)。

(イ) 認定事項2
また、上記ア(ウ)に示した【0055】の「内側ケース63の窓孔63b?63k」との記載から、「窓孔63b?63k」とは、「内側ケース63」の上面63aにおいて、「窓」となる「孔」、すなわち、開口を形成していると解される。
そして、上記ア(ウ)に示した【0054】の「LED基板64は、基板本体64aの上面に、10個のLED64b?64kが設置されたものとなっている。LED基板64は、内側ケース63の中に収納される様にして取り付けられ、10個のLED64b?64kは、内側ケース63の10個の窓孔63b?63kの直下に位置する様に配置されている。」との記載、及び、上記ア(ウ)に示した【0055】の「シール61の丸窓61b?61k、内側ケース63の窓孔63b?63k、及び、LED基板64のLED64b?64kは、・・・遊技盤に組み付けたとき、対応するもの同士が互いに前後方向に重なり、窓孔63b?63k及び丸窓61b?61kを介して、各LED64b?64kの点灯、点滅等の表示態様を視認することができる」との記載とを併せ、さらに、上記ア(カ)に示した図3(A)?(C)を参照すると、LED基板64の基板本体64aの前面側に設置されたLED64b?64kについて、遊技盤に組み付けたとき、対応するもの同士が互いに前後方向に重なっている、内側ケース63の窓孔63b?63kは、開口を形成しており、当該LED64b?64kの箇所は、内側ケース63により覆われていないこととなるので、引用文献1には、以下の事項が記載されていると認められる。
・LED基板64は、内側ケース63の中に取り付けられ、
内側ケース63は、LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所を、覆っていないが、LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所以外を、覆っていること(認定事項2)。

ウ 引用発明
上記ア、イを総合すると、引用文献1には、次の引用発明が記載されていると認められる。

引用発明
「第3の表示装置60が遊技盤1に設置されているパチンコ機Pであって(【0035】、【0038】、【0041】)、

第3の表示装置60は、LED基板64と、内側ケース63と、カバー体62と、シール61とから構成され(【0050】)、

LED基板64の基板本体64aの前面側に、10個のLED64b?64kが設置され、
LED基板64は、内側ケース63の中に取り付けられ、
内側ケース63は、LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所を、覆っていないが、LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所以外を、覆っており(認定事項1-1、認定事項2)、

非透明合成樹脂成形体によって構成された内側ケース63は、カバー体62の内側に収まる本体の上面63aに10個の窓孔63b?63kを備え、カバー体62は、内側ケース63の上面63aの前面側を覆っていて(【0053】、認定事項1-2)、

透明合成樹脂成形体によって構成されたカバー体62は、内側誘導レール17bの遊技領域側湾曲面に対応する形状のレール側端部62aと、レール側端部62aの上端から右下方に傾斜する上端部62bと、上端部62bからレール側端部62aの下端に向かって形成された右側端部62cとを有する正面板62dを備えると共に、この正面板62dの上端部62bから後方に向かって伸びる上端壁62eと、正面板62aの右側端部62cから後方に向かって伸びる右側壁62fと、これら上端壁62e及び右側壁62fを取り囲む様に外へ伸びる平板部62gとを備え、
第3の表示装置60は、遊技盤1を構成する板部材1aの前面に平板部62gの裏面を当接させると共に、内側誘導レール17bの遊技領域側の湾曲面に天板62dのレール側端部62aを当接させる様にして位置決めし、ネジ止め固定され(【0052】、【0056】)、

シール61は、光透過性を有しない非透明領域61aの中に10個の光透過性を有する丸窓61b?61kを備えるとともに、シール61は、カバー体62の正面板62dの前面側に配置され(【0051】、認定事項1-3)、

第3の表示装置60においては、シール61の丸窓61b?61k、内側ケース63の窓孔63b?63k、及び、LED基板64のLED64b?64kは、遊技盤に組み付けたとき、対応するもの同士が互いに前後方向に重なり、窓孔63b?63k及び丸窓61b?61kを介して、各LED64b?64kの点灯、点滅等の表示態様を視認することができる構成となっていて、内側ケース63の窓孔同士の間には、各LEDの光が他のLEDに対応する丸窓から視認されてしまわない様に構成するための仕切部63mがマス目状に形成され(【0055】)、

第3の表示装置60は、
始動入賞装置7への遊技球の入賞を契機として取得された特図1判定用乱数の特別図柄判定に伴って実行される特別図柄変動ゲーム(特図1変動ゲーム)に対応し、LED64bの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61bを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されることとなり、
第2始動入賞装置27への遊技球の入賞を契機として取得された特図2判定用乱数の特別図柄判定に伴って実行される特別図柄変動ゲーム(特図2変動ゲーム)に対応し、LED64eの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61eを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されることとなり(【0059】、【0061】)、

主制御基板310とサブ制御基板320とを備え、
主制御基板310は、特別図柄表示装置50に確定停止表示させる特別図柄として、大当り判定の判定結果が肯定の場合には、大当り図柄を決定する一方、大当り判定の判定結果が否定の場合には、はずれ図柄を決定し、
サブ制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、第3の表示装置60に対して制御指令を出力し、第3の表示装置60のLED64b又はLED64eで、特別図柄の変動開始に同期させて変動表示を開始し、特別図柄の停止に同期させて確定停止表示を実行する(【0068】、【0093】、【0094】、【0096】、【0097】)、

パチンコ機P(【0035】)。」

(3)対比
引用発明と本件補正発明とを対比する。
ア 発明特定事項A及び発明特定事項Fについて
引用発明において、
「第3の表示装置60」が、「特別図柄変動ゲーム(特図1変動ゲーム)に対応し、LED64bの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61bを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されること」、及び、「特別図柄変動ゲーム(特図2変動ゲーム)に対応し、LED64eの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61eを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されること」は、いずれも、
本件補正発明において、
「遊技表示手段」が、「遊技の進行に関する遊技情報を表示」することに相当し、
引用発明の「特別図柄変動ゲーム(特図1変動ゲーム)に対応し」て「消灯、点滅、点灯を実行」する「LED64b」、及び、「特別図柄変動ゲーム(特図2変動ゲーム)に対応し」て「消灯、点滅、点灯を実行」する「LED64e」は、本件補正発明の「複数のLED」に相当する。
また、引用発明の「パチンコ機P」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明の「第3の表示装置60が遊技盤1に設置されているパチンコ機Pであって、」「第3の表示装置60は、」「特別図柄変動ゲーム(特図1変動ゲーム)に対応し、LED64bの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61bを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されること」となり、「特別図柄変動ゲーム(特図2変動ゲーム)に対応し、LED64eの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61eを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されること」となる「パチンコ機P」は、本件補正発明の発明特定事項A及び発明特定事項Fに相当する。

イ 発明特定事項B、B1?B4について
発明特定事項B、B1?B4についてまとめて検討する。
(ア)上記アで検討したとおり、引用発明の「LED64b」及び「LED64e」は、本件補正発明の「複数のLED」に相当することから、引用発明において、「LED64b」及び「LED64e」を含んだ「10個のLED64b?64kが」「基板本体64aの前面側に」「設置され」た「LED基板64」は、本件補正発明の発明特定事項B1の「複数のLEDが表面実装された基板」に相当する。

(イ)また、引用発明における、「LED基板64」と「内側ケース63」との関係をみると、
引用発明において、
「LED基板64」が「内側ケース63の中に取り付けられ」ていること、
「内側ケース63は、LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所は、覆っていないが、
LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所以外を、覆って」いること、
「内側ケース63」はそれぞれ、
本件補正発明の発明特定事項B1において、
「前記基板」が「第1カバー」に「取付けられる」こと、
「第1カバー」が「前記基板の前面側におけるLED発光領域以外の所定領域を覆う」こと、
「第1カバー」に相当する。
そうすると、引用発明の「LED基板64」が「内側ケース63の中に取り付けられ」、「内側ケース63は、LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所は、覆っていないが、LED基板64の基板本体64aの前面側のうち、LED64b?64kが設置された箇所以外を、覆って」いる「内側ケース63」は、本件補正発明の発明特定事項B1の「前記基板が取付けられると共に前記基板の前面側におけるLED発光領域以外の所定領域を覆う第1カバー」に相当する。

(ウ)次に、引用発明は、「シール61の丸窓61b?61k、内側ケース63の窓孔63b?63k、及び、LED基板64のLED64b?64kは、遊技盤に組み付けたとき、対応するもの同士が互いに前後方向に重な」るから、引用発明の「LED64b」及び「LED64e」に対応する窓孔は、「窓孔63b」及び「窓孔63e」であり、前記窓孔に対応する丸窓は、「丸窓61b」及び「丸窓61e」であって、当該窓孔及び丸窓を介して、「LED64b」及び「LED64e」の「点灯、点滅等の表示態様を視認することができる構成」である。
ところで、引用発明の「第3の表示装置60」において、「内側ケース63の窓孔同士の間には、各LEDの光が他のLEDに対応する丸窓から視認されてしまわない様に構成するための仕切部63mがマス目状に形成され」ることは、すなわち、引用発明は、「内側ケース63」に、「窓孔63b」と他の「窓孔」と「の間に」「形成され」た「仕切部63m」が設けられることにより、引用発明は、「各LEDの光が他のLEDに対応する丸窓から視認されてしま」うことなく、「LED64b」が発する光を、「窓孔63b」を介してのみ前方の「丸窓61b」に導くとともに、同様に、「内側ケース63」に、「窓孔63e」と他の「窓孔」と「の間に」「形成され」た「仕切部63m」が設けられることにより、「LED64e」が発する光を、「窓孔63e」を介してのみ前方の「丸窓61e」に導くものである。
そうすると、引用発明の「内側ケース63」に設けられた、「窓孔63b」及び当該「窓孔63b」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、並びに、「窓孔63e」及び当該「窓孔63e」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」という構成は、本件補正発明の「複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の」手段に相当するから、引用発明の前記構成と、本件補正発明の発明特定事項B2とは、「前記第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の」手段であるという点で共通する。

(エ)さらに、引用発明の「内側ケース63」(本件補正発明の「第1カバー」に相当。)の「上面63aの前面側を覆っていて」いる「カバー体62」は、本件補正発明の発明特定事項B3に相当する。

(オ)加えて、引用発明の「シール61」は、「カバー体62の正面板62dの前面側に配置され」、また、上記(ウ)で述べたとおり、引用発明の「LED64b」及び「LED64e」に対応する窓孔は、「窓孔63b」及び「窓孔63e」であり、同丸窓は、「丸窓61b」及び「丸窓61e」であって、当該窓孔及び丸窓を介して、「LED64b」及び「LED64e」の「点灯、点滅等の表示態様を視認することができる構成」であることから、
引用発明において、
「シール61」は、「カバー体62の正面板62dの前面側に配置され」ること、
「シール61」が備える「丸窓61b」及び「丸窓61e」を介して、「LED64b」及び「LED64e」の「点灯、点滅等の表示態様を視認することができる構成」であることはそれぞれ、
本件補正発明の発明特定事項B4において、
「シート材」は、「第2カバーの前面側に配置され」ること、
「複数のLEDの発光態様を認識可能」であることに相当し、
引用発明の「シール61」は、本件補正発明の発明特定事項B4の「シート材」に相当する。
そうすると、引用発明の「カバー体62の正面板62dの前面側に配置され」、「丸窓61b」及び「丸窓61e」を介して、「LED64b」及び「LED64e」の「点灯、点滅等の表示態様を視認することができる構成」を備える「シール61」は、本件補正発明の発明特定事項B4に相当する。

(カ)そして、上記アで検討したとおり、引用発明の「第3の表示装置60」は、本件補正発明の「遊技表示手段」に相当し、上記(ア)?(オ)の対比を踏まえると、
引用発明の「第3の表示装置60は、LED基板64と、内側ケース63と、カバー体62と、シール61とから構成され」ることは、本件補正発明の「遊技表示手段は」、「基板と、」「第1カバーと、」「第2カバーと、」「シート材とを備え」ることに相当する。

(キ)上記(ア)から(カ)をまとめると、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項B、発明特定事項B1、発明特定事項B3及び発明特定事項B4に相当する構成を備えるとともに、引用発明と本件補正発明の発明特定事項B2とは、「前記第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の」手段を有しているという点で共通する。

ウ 発明特定事項Cについて
(ア)引用発明の「シール61」が、本件補正発明の「シート材」に相当することは、上記イ(オ)で検討したとおりであって、引用発明の「シール61」が備える「光透過性を有しない非透明領域61a」は、本件補正発明の「遮光部」に相当する。

(イ)上記イ(ウ)で述べたとおり、引用発明の「LED64b」及び「LED64e」に対応する窓孔は、「窓孔63b」及び「窓孔63e」であり、前記窓孔に対応する丸窓は、「丸窓61b」及び「丸窓61e」であるから、引用発明の「内側ケース63」に設けられた、「丸窓61b」及び「丸窓61e」は、「窓孔63b」と当該「窓孔63b」と他の「窓孔」と「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、及び、「窓孔63e」と当該「窓孔63e」と他の「窓孔」と「の間に」「形成され」た「仕切部63m」(本件補正発明の「複数の導光孔」と「複数の手段」である点で共通。)とも、夫々対応しているといえる。
そして、引用発明の「シール61」が備える「丸窓61b」及び「丸窓61e」を含んだ「10個の」「丸窓61b?61k」は、「非透明領域61aの中に」備えられていて、しかも、「丸窓61b」及び「丸窓61e」を含んだ「10個の」「丸窓61b?61k」は、「光透過性を有する」一方、「非透明領域61a」は「光透過性を有しない」こと、すなわち、「非透明領域61a」の遮光率は、「光透過性を有しない」程度に高く、「丸窓61b」及び「丸窓61e」を含んだ「10個の」「丸窓61b?61k」の遮光率は、「光透過性を有する」程度に低いことを意味していると認められる。
よって、引用発明の「丸窓61b」及び「丸窓61e」は、本件補正発明の「複数の発光部」に相当するとともに、
引用発明において、
「丸窓61b」及び「丸窓61e」が、「非透明領域61aの中に」備えられていること、
「丸窓61b」及び「丸窓61e」を含んだ「10個の」「丸窓61b?61k」は、「光透過性を有する」一方、「非透明領域61a」は、「光透過性を有しない」ことはそれぞれ、
本件補正発明において、
「複数の発光部」が、「遮光部に囲われて」いること、及び、「遮光部」と「複数の発光部」とが、「共通のシートに形成され」ていること、
「複数の発光部」が、「遮光部よりも遮光率が低」いことに相当する。
したがって、引用発明の「シール61は、」「非透明領域61a」と、「光透過性を有しない非透明領域61aの中に」、「光透過性を有する」とともに、「窓孔63b」及び当該「窓孔63b」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、並びに、「窓孔63e」及び当該「窓孔63e」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」と、夫々対応した「丸窓61b」及び「丸窓61e」を含んだ「10個の」「丸窓61b?61k」を備えることと、本件補正発明の発明特定事項Cとは、「前記シート材は、遮光部と、前記遮光部に囲われて前記遮光部よりも遮光率が低く且つ前記複数の手段に夫々対応する複数の発光部とが共通のシートに形成され」ているという点で共通する。

エ 発明特定事項Eについて
(ア)引用発明の「特別図柄表示装置50に確定停止表示させる特別図柄として、大当り判定の判定結果が肯定の場合には、大当り図柄を決定する一方、大当り判定の判定結果が否定の場合には、はずれ図柄を決定」することは、本件補正発明の「遊技の進行を制御する」ことに相当し、引用発明の「主制御基板310」は、本件補正発明の「遊技制御手段」に相当する。

(イ)また、上記アより、
引用発明において、「第3の表示装置60」が、「特別図柄変動ゲーム(特図1変動ゲーム)に対応し、LED64bの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61bを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されること」、及び、「特別図柄変動ゲーム(特図2変動ゲーム)に対応し、LED64eの消灯、点滅、点灯を実行し、丸窓61eを介して、変動中は「点滅」、大当たり図柄確定時は「点灯」、はずれ図柄確定時は「消灯」が視認されること」は、いずれも、本件補正発明において、「遊技表示手段」が、「遊技の進行に関する遊技情報を表示」することに相当するとともに、引用発明の「特別図柄変動ゲーム(特図1変動ゲーム)に対応し」て「消灯、点滅、点灯を実行」する「LED64b」、及び、「特別図柄変動ゲーム(特図2変動ゲーム)に対応し」て「消灯、点滅、点灯を実行」する「LED64e」は、本件補正発明の「複数のLED」に相当することを踏まえると、
引用発明の「特別図柄変動ゲーム」「に対応し」た「LED64b」及び「LED64e」「の消灯、点滅、点灯を実行」することは、本件補正発明の「遊技制御手段が、複数のLEDを制御して遊技情報を表示させる」ことに相当する。

(ウ)したがって、引用発明において、「特別図柄表示装置50に確定停止表示させる特別図柄として、大当り判定の判定結果が肯定の場合には、大当り図柄を決定する一方、大当り判定の判定結果が否定の場合には、はずれ図柄を決定」する「主制御基板310からの指令信号に基づいて、」「サブ制御基板320は、」「第3の表示装置60に対して制御指令を出力」することにより、「特別図柄変動ゲーム」「に対応し」た「LED64b」及び「LED64e」「の消灯、点滅、点灯を実行」することは、本件補正発明において、「前記遊技の進行を制御する遊技制御手段が、複数のLEDを制御して遊技情報を表示させる」ことに相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Eに相当する構成を備えているといえる。

(4)一致点及び相違点
上記(3)によれば、本件補正発明と引用発明とは、
[一致点]
「A 遊技の進行に関する遊技情報を表示する複数のLEDを有する遊技表示手段を備えた遊技機において、
B 前記遊技表示手段は、
B1 複数のLEDが表面実装された基板と、前記基板が取付けられると共に前記基板の前面側におけるLED発光領域以外の所定領域を覆う第1カバーと、
B2’ 前記第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の手段と、
B3 前記第1カバーの前面側を覆う第2カバーと、
B4 前記第2カバーの前面側に配置され、複数のLEDの発光態様を認識可能なシート材とを備え、
C’ 前記シート材は、遮光部と、前記遮光部に囲われて前記遮光部よりも遮光率が低く且つ前記複数の手段に夫々対応する複数の発光部とが共通のシートに形成され、
E 前記遊技の進行を制御する遊技制御手段が、複数のLEDを制御して遊技情報を表示させる
F 遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
ア 相違点1(発明特定事項B2)
第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の手段について、本件補正発明においては、「導光孔」であると特定されているのに対し、引用発明における「内側ケース63」に設けられた、「窓孔63b」及び当該「窓孔63b」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、並びに、「窓孔63e」及び当該「窓孔63e」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」が、「導光孔」であるかどうか不明である点。

イ 相違点2(発明特定事項C)
シート材に形成された「複数の発光部」が夫々対応するものである、第1カバーに設けられた複数の手段について、本件補正発明においては、「導光孔」であると特定されているのに対し、引用発明における「内側ケース63」に設けられた、「窓孔63b」及び当該「窓孔63b」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、並びに、「窓孔63e」及び当該「窓孔63e」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」が、「導光孔」であるかどうか不明である点。

ウ 相違点3(発明特定事項D1及び発明特定事項D2)
シート材の貼付について、本件補正発明は、「前記第2カバーは、前記シート材を貼付するときの取付け位置を位置決め可能な起立部を有し」、「前記シート材を前記第2カバーの前面側に貼付するときに、前記シート材の外縁を前記起立部に沿わせることにより、前記複数の導光孔の各々と前記シート材の複数の発光部の各々とを合わせることが可能である」のに対し、引用発明は、「シール61」が、「カバー体62の正面板62dに配置され」るものの、位置決めを行うために、そのような構成を備えていない点。

(5)当審の判断
ア 相違点1及び相違点2(発明特定事項B2及び同C)について
相違点1及び相違点2はいずれも、「導光孔」に関わる相違点であるから、まとめて検討する。

(ア)判断1
本件補正発明の「導光孔」について、「前記第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く」(発明特定事項B2)ものと特定されている。当該特定は文言上明確であると認められるので、文言とおりに理解する。
上記(3)イ(ウ)における検討を踏まえると、引用発明は、「内側ケース63」に設けられた、「窓孔63b」及び当該「窓孔63b」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、並びに、「窓孔63e」及び当該「窓孔63e」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」を備え、「LED64b」が発する光を、「窓孔63b」を介してのみ前方の「丸窓61b」に導くとともに、「LED64e」が発する光を、「窓孔63e」を介してのみ前方の「丸窓61e」に導くものである。
そして、引用発明の「窓孔63b」及び「窓孔63e」は、いずれも、「孔」であって、当該「窓孔63b」及び「窓孔63e」を介して、LEDが発する光をそれぞれ前方に導くことから、引用発明の、上記「孔」を含む、「内側ケース63」に設けられた、「窓孔63b」及び当該「窓孔63b」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、並びに、「窓孔63e」及び当該「窓孔63e」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」は、複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く導光孔であるということができ、本件補正発明の「前記第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く複数の導光孔」に相当するから、上記相違点1及び相違点2として挙げた点は、実質的に相違するものではない。

(イ)判断2
上記(ア)のとおり、本件補正発明の「導光孔」について、「前記第1カバーに設けられ複数のLEDが発する光を夫々前方へ導く」という特定は明確であるが、本件明細書の「【0069】
基板カバー55は、光を透過させない合成樹脂製のカバーからなり、基板カバー55の後端部分に基板52の取付凹部56が形成され、基板カバー55の取付凹部56の前側部分に、複数のLED53に夫々対応する複数(32個)の導光孔57を有し、これら複数の導光孔57を前後に貫通状に形成する厚肉の導光孔形成部58を有する。」という記載を参酌すると、本件補正発明の「導光孔」とは、基板カバー55に、前後に貫通状に形成されたという形状のものを指して、「導光孔」と特定する趣旨である可能性があるので、念のため検討する(下線は当審が付した。)。

LEDを用いた表示装置において、LEDが実装された基板の前面側を覆う部材に、前後に貫通状に形成された複数の導光孔を設ける技術(以下、「周知技術1」という。)は、本願の出願前において従来周知の技術である。

例えば、特開2014-176554号公報(以下、「周知例1」という。)には、パチンコ機に配置される遊技情報表示手段27において、発光基板58にLEDからなる多数の発光体38が装着され、前ケース体56の発光基板58と対向する前面側には、発光体38からの光を表示部41へと導光する複数の導光手段67が設けられ、導光手段67は発光基板58側の各発光体38に対応して前ケース体56に前後方向に形成された導光孔68を有する技術が示されている(【0018】、【0024】、【0049】、【0052】、図4、図5、図6等を参照。)。

特開2006-190597号公報(以下、「周知例2」という。)には、操作スイッチが設けられた透明の操作パネルの所定の位置を操作スイッチの操作に応じて点灯させる点灯装置において、照明位置10に投光するLED11をプリント配線板8に設け、照明位置10とLED11との間の前記キートッププレート7には貫通孔12が形成されており、該貫通孔12にはキートッププレート7と一体に形成された円筒状の遮光筒部13が照明位置10に向かって延びている技術が示されている(【0001】、【0014】、図3、図4等を参照。)。

実願平5-52405号(実開平7-23378号)のCD-ROM(以下、「周知例3」という。)には、7セグメントLEDを使用した操作パネルにおいて、操作パネルは、プリント基板2上に7セグメントで数字が表示されるように所定の位置に表面実装したチップLED3と、該チップLED3に被せて前記プリント基板2上に載置されると共に、前記チップLED3に対応した各位置に両端開口した複数の導光孔4を有するハウジング5からなり、導光孔4の下部開口部が前記チップLED3の上部に近接して光が他に散乱しないように設けられる技術が示されている(【0008】、【0009】、【0012】、図2-図4等を参照。)。

引用発明と上記周知技術1とは、LEDが発する光を夫々前方へ導く手段を備えた表示装置という点で技術分野が共通するから、引用発明の「内側ケース63」に、「窓孔63b」及び当該「窓孔63b」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」、並びに、「窓孔63e」及び当該「窓孔63e」と他の「窓孔」「の間に」「形成され」た「仕切部63m」を設けることに替えて、上記周知技術1を採用することにより、前後に貫通状に形成されたという形状の複数の導光孔を設ける構成とし、上記相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点3(発明特定事項D1及び同D2)について
(ア)各種表示装置において、表示装置の前面は、シート材を貼付するときの取付け位置を位置決め可能な起立部を有し、前記シート材を表示装置の前面側に貼付するときに、シート材の外縁を起立部に沿わせることにより、シート材を表示装置の前面側に位置決めする技術(以下、「周知技術2」という。)は、本願の出願前において従来周知の技術であって、例えば、特開2011-56073号公報(以下、「周知例4」という。)、実願昭62-152662号(実開昭64-57688号)のマイクロフィルム(以下、「周知例5」という。)に示されるとおりである。

(イ)上記(ア)において、周知技術2の証拠として提示した周知例4及び周知例5に示される技術事項は、次のとおりである。
・周知例4には、
パチンコ機10において、パチンコ機10に関する文字情報を表示するための情報表示部である情報表示シール92が前面91aに貼付された表示用部材91を備え、
表示用部材91の前面91aに、情報表示シール92を貼付するためのシール貼付用凹部191を設け、シール貼付用凹部191の深さは、情報表示シール92の厚さと等しく設定されていることにより、情報表示シール92の貼付位置を確実に認識できるため、情報表示シール92を位置ずれすることなく貼付することができる技術、が示されている(【0032】、【0053】、【0092】、図7等を参照。該技術における、「情報表示シール92」は、本件補正発明における、「シート材」に対応する。そして、該技術における、「情報表示シール92の厚さと等しく設定されている」「深さ」である「シール貼付用凹部191」が果たす機能は、「情報表示シール92を位置ずれすることなく貼付すること」であることを鑑みると、該技術における、「シール貼付用凹部191」は、本件補正発明における、シート材を「貼付するときの取付け位置を位置決め可能な起立部」に対応する部分を含み、また、該技術において、情報表示シール92を、表示用部材91の前面91aに貼付するときに、前記情報表示シール92の外縁を前記シール貼付用凹部191に沿わせることにより、位置決めを行っていると認められる。)。


・周知例5には、
電子部品の筐体において、
筐体1の上面に、略L字形の凸部からなる位置決め部2を形成し、ラベル3を、前記位置決め部2によって端縁を位置決めした状態で貼着して用いられることにより、作業性が良く確実に所定位置にラベル3を貼着する技術、が示されている(第1頁第16行、第2頁第19行-第20行、第3頁第13行-第16行、第3頁20行-第4頁第3行、第1図を特に参照。該技術における、「ラベル3」は、本件補正発明における、「シート材」に対応し、同様に、該技術における、「凸部からなる位置決め部2」は、本件補正発明における、シート材を「貼付するときの取付け位置を位置決め可能な起立部」に対応し、また、該技術において、「筐体1の上面に」、「ラベル3」の「端縁を位置決めした状態で」「貼着」することは、ラベル3を表示装置の前面側である筐体1の上面に貼付するときに、ラベル3の端縁を位置決め部2に沿わせることにより、ラベル3を表示装置の前面側に位置決めを行うことであると認められる。


(ウ)引用発明と周知技術2とは、シート材を、表示装置の前面側に配置しているという点で構成上の共通点が見られるとともに、シート材を、表示装置の前面側に配置するに際し、シート材を表示装置の前面側に対し、正確な位置決めを行う必要があることが周知の課題であることは上記周知技術2からも明らかであるので、引用文献1にその旨の記載がなくても、引用発明において、シール61をカバー体62の正面板62dに配置するにあたり、シール61を、カバー体62の正面板62dに対し、正確に位置決めをして配置しようとすることは、引用発明にも内在している自明な課題であると認められる。
したがって、引用発明において、「シール61」を、「カバー体62の正面板62dに配置」するに際し、上記自明な課題を解決するために、上記周知技術2を採用することにより、表示装置の前面側となる「カバー体62の正面板62d」に対し、「シール61」の位置決めを行うための手段として、上記周知技術2を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、「シール61の丸窓61b?61k、内側ケース63の窓孔63b?63k、及び、LED基板64のLED64b?64kは、遊技盤に組み付けたとき、対応するもの同士が互いに前後方向に重な」る構成である、引用発明において、上記周知技術2を採用して、前記の位置決めを行うと、「窓孔63b」及び「窓孔63e」を含む「内側ケース63の窓孔63b?63k」の各々と、「丸窓61b」及び「丸窓61e」を含む「シール61の丸窓61b?61k」の各々とを合わせることが可能であることはいうまでもないから、引用発明において、上記周知技術2を採用し、上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が想到容易である。

(6)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術2に基いて、又は、引用発明、周知技術1、周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年4月3日付け手続補正書により補正された、上記「第2の1 本件補正について」で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりのものである。
1.(新規性)本願発明は、その出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内において、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.特開2016-063922号公報

3 引用文献に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記「第2の3(2)引用文献1に記載された発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2の2(1)本件補正」において検討したとおり、本件補正発明において、
発明を特定するために必要な事項である「第1カバー」及び「第2カバー」について、「第1カバー」及び「第2カバー」という2種類のカバーを備えるとの限定を省くとともに、
「前記第2カバーは、前記シート材を貼付するときの取付け位置を位置決め可能な起立部を有し、
前記シート材を前記第2カバーの前面側に貼付するときに、前記シート材の外縁を前記起立部に沿わせることにより、前記複数の導光孔の各々と前記シート材の複数の発光部の各々とを合わせることが可能であ」るという限定を省いたものである。

そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2の3(4)一致点及び相違点」において検討した、相違点1及び相違点2の点で異なるものである。

そして、上記相違点1及び相違点2については、前記「第2の3(5)当審の判断 ア」において検討したように、実質的な相違点とならないか、又は、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないか、又は、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-09-09 
結審通知日 2020-09-10 
審決日 2020-09-29 
出願番号 特願2017-69915(P2017-69915)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福田 知喜  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 赤坂 祐樹
▲吉▼川 康史
発明の名称 遊技機  
代理人 岡村 俊雄  

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