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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1368534 |
審判番号 | 不服2018-12387 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-14 |
確定日 | 2020-11-18 |
事件の表示 | 特願2016-546933「ビデオソースデバイスからストリーム配信されるデータの格納管理」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月23日国際公開、WO2015/108671、平成29年 3月30日国内公表、特表2017-509204〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 (1)経緯 本願は、2014年(平成26年)12月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年1月15日、米国、2014年12月11日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 5月19日 :手続補正 同年10月17日付け:拒絶理由通知 平成30年 4月23日 :意見書の提出、手続補正 同年 5月 7日付け:拒絶査定 同年 9月14日 :審判請求、手続補正 同年11月 1日 :手続補正(請求の理由) 令和1年 9月25日付け:審尋 令和2年 3月31日 :回答書の提出 (2)原査定の拒絶理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2009-296207号公報 引用文献2:特開2005-217791号公報 引用文献3:特開2010-161632号公報 引用文献4:特開2003-153177号公報 引用文献5:特開平11-18072号公報 引用文献6:特開2004-48636号公報 (3)平成30年9月14日付け手続補正の内容 平成30年9月14日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成30年4月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?請求項11(以下、「補正前の請求項1?補正前の請求項11」という。)を本件補正後の特許請求の範囲の請求項1?請求項11(以下、「補正後の請求項1?補正後の請求項11」という。)とする補正するものである。 本件補正により、補正前の請求項1は、次のとおり補正された(下線は、補正箇所である。)。 符号A?Gは説明のため当審で付与したものであり、以下、構成A?構成Gと称する。各請求項において同じ記載内容の構成には同じ符号を付し、本件補正により補正された構成の符号には「’」を付した。 (補正前の請求項1) 「【請求項1】 (A)データを管理するシステムにおいて、 (B)コンピュータプロセッサと、 (C)前記コンピュータプロセッサと通信上結合するコンピュータメモリであって、実行時に前記システムに動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を内部に格納する、コンピュータメモリと を含み、 (C1)前記動作は、 (D)複数のデータストリームを受信するステップであって、各々は、少なくとも一つの異なるエンコーディングパラメータを用いてソースストリームの少なくとも一部をエンコードする複数の解像度エンコーディングから構成される、受信するステップと、 (E)記録のために前記複数のデータストリーム内の第1のデータストリームと第2のデータストリームを特定するステップと、 (F)(F1)第1のデータストリームを第1の格納部に関連付けて第2のデータストリームを第2の格納部に関連付けるステップであって、 (F2)第1の格納部と第2の格納部は異なるカテゴリのデータを格納するために割り当てられている、関連付けるステップと、 (G)第1のデータストリームからのデータを第1の格納部内に格納するステップと、及び、 第2のデータストリームからのデータを第2の格納部内に格納するステップと を含む、 (A)システム。」 (補正後の請求項1) 「【請求項1】 (A)データを管理するシステムにおいて、 (B)コンピュータプロセッサと、 (C)前記コンピュータプロセッサと通信上結合するコンピュータメモリであって、実行時に前記システムに動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を内部に格納する、コンピュータメモリと を含み、 (C1)前記動作は、 (D)複数のデータストリームを受信するステップであって、各々は、少なくとも一つの異なるエンコーディングパラメータを用いてソースストリームの少なくとも一部をエンコードする複数の解像度エンコーディングから構成される、受信するステップと、 (E)記録のために前記複数のデータストリーム内の第1のデータストリームと第2のデータストリームを特定するステップと、 (F’)(F1’)第1のデータストリームを第1のコンピュータデバイス内の第1の格納部に関連付けて第2のデータストリームを第1のコンピュータデバイスと分離する第2のコンピュータデバイス内の第2の格納部に関連付けるステップであって、 (F2)第1の格納部と第2の格納部は異なるカテゴリのデータを格納するために割り当てられている、関連付けるステップと、 (G’)第1のデータストリームからのデータを第1のコンピュータデバイスの第1の格納部内に格納するステップと、及び、 第2のデータストリームからのデータを第2のコンピュータデバイスの第2の格納部内に格納するステップと を含む、 (A)システム。 」 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和30年9月14日付け手続補正(「本件補正」)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正における請求項1に係る補正事項は、以下のとおりである(以下、「補正事項ア」?「補正事項イ」という。)。 (補正事項ア) 構成F1の「第1の格納部」を、「第1のコンピュータデバイス内の第1の格納部」とする補正 (補正事項イ) 構成F1の「第2の格納部」を、「第1のコンピュータデバイスと分離する第2のコンピュータデバイス内の第2の格納部」とする補正 (補正事項ウ) 構成Gの「第1格納部」を、「第1のコンピュータデバイスの第1の格納部」とする補正 (補正事項エ) 構成Gの「第2格納部」を、「第2のコンピュータデバイスの第2の格納部」とする補正 2 補正の目的 補正事項ア、ウの補正は、「第1の格納部」を、「第1のコンピュータデバイス内の」、または、「第1のコンピュータデバイスの」であることに限定するものである。 補正事項イ、エの補正は、「第2格納部」を、「第1のコンピュータデバイスと分離する第2のコンピュータデバイス内の」、または、「第2のコンピュータデバイスの」であることに限定するものである。 よって、補正事項ア?エは、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当する。 3 新規事項、発明の特別な技術的特徴の変更 補正事項ア?エは、願書に最初に添付した明細書の段落【0049】及び図9等に記載されているから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、新たな技術事項を導入するものでないといえるから、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するものである。 4 独立特許要件 上記2のとおり本件補正のうち請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の請求項1に係る発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、上記1(3)の「補正後の請求項1」に記載されたとおりのものである。 (2)引用文献、引用発明 ア 引用文献1の記載事項、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2009-296207号公報)には、図面と共に次の事項(ア)?(ウ)が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 (ア)(段落0006) 「【0006】 本発明はかかる実情を鑑みてなされたもので、異常発生を検知するセンサを必要としない監視映像記録システムであって、データのサイズの増大化を抑制しつつ、滑らかな動画と高画質の映像とを共に得られる監視映像記録システムを提供することを目的とする。」 (イ)(段落0019-0023、図1) 「【0019】 本発明を具体化した監視映像記録システムおよび監視映像再生表示方法の一実施形態を図1?図3を用いて、以下に説明する。 【0020】 図1に示すように、監視カメラ1によって捕らえた映像をネットワーク2を介して監視用モニタ3でリアルタイムに監視するとともに、記録装置であるネットワークレコーダ4に記録する。この監視カメラ1はデータ変換装置を内蔵しており、動画データとして、撮影した映像を、640×480画素の映像を1秒間に15こまMPEG-4規格で送信している。また同時に画像データとして1280×960画素の映像を1秒間に6こまJPEG規格で送信している。従って1こまあたりで比較すると、画像データは映像データに比して4倍の画素数を有するため高画質であるが、データサイズも映像データに比して大きくなる。 【0021】 このように比較的データサイズ小さい映像用データで構成される動画データと、比較的データサイズの大きい画像データで構成される画像データとを共に送信することにより、画像データと同等の高画質の動画データを配信する場合に比べネットワーク2における通信負荷を下げることが可能となる。仮に、画像データと同等の画質のデータを1秒間に15こま送信すると1秒あたりに、1280×960×15=18432000画素のデータを送る必要が生ずる。一方、上述の送信方法であれば、画像データ+動画データ=1280×960×6+640×480×15=7372800+4608000=11980800であるので、11980800画素のデータを一秒間に送信するだけでよく、その差を比率計算すると、(略)即ち、35%送信するデータサイズを削減することが可能となるため、ネットワーク2における通信負荷をその分だけ小さくすることが可能となる。 【0022】 このMPEG-4規格のデータおよびJPEG規格のデータはネットワーク2を介して監視用モニタ3およびネットワークレコーダ4に送信される。監視用モニタ3はMPEG-4規格のデータのみを選択的に受信し、内蔵のアナログ-デジタルコンバータ(非図示)でMPEG-4規格のデータを動画に変換して動画として再生し、監視者(非図示)がこの動画を監視する。 【0023】 一方、ネットワークレコーダ4はMPEG-4規格のデータおよびJPEG規格のデータをともに受信し、記録媒体である内蔵のハードディスク(非図示)に記録する。このときMPEG-4規格のデータおよびJPEG規格のデータはともにメタデータとしてタイムスタンプが添付されている。このタイムスタンプを利用することにより、MPEG-4規格のデータとJPEG規格のデータとを撮影時刻を基準として対応させて記録することが可能である。 【図1】 」 (ウ)(段落0042-0043) 「【0042】 上記実施形態において、動画データはMPEG-4規格、画像データのデータはJPEG規格を用いて送信および記録しているが、他の構成であっても良い。例えば、MPEG-2やTIFFなどの他の規格を用いても良いし、独自の規格を用いても良い。 【0043】 上記実施形態において、画像データは静止画用のデータであるが、他の構成であっても良い。例えば、高画素あるいは低圧縮の高画質動画データであっても良い。画像データとして高画質動画データを用いる場合は、例えば、Motion JPEG規格のデータは静止画としての切り出しが容易であり、好適に用いることができる。」 (エ)引用発明 上記(ア)?(ウ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 符号a?d2は説明のため当審で付与したものであり、以下、構成a?構成d2と称する。 (引用発明) (a)監視映像記録システムであって、 (a1)データのサイズの増大化を抑制しつつ、滑らかな動画と高画質の映像とを共に得られる監視映像記録システムを提供することを目的とし、 (a)監視映像記録システムは、 (a2)監視カメラ1によって捕らえた映像をネットワーク2を介して記録装置であるネットワークレコーダ4に記録し、 (b)監視カメラ1は、 (b1)データ変換装置を内蔵しており、 (b2)動画データとして、撮影した映像を、640×480画素の映像を1秒間に15こまMPEG-4規格で送信し、 (b3)また同時に画像データとして1280×960画素の映像を1秒間に6こまJPEG規格で送信し、 (b4)従って1こまあたりで比較すると、画像データは映像データに比して4倍の画素数を有するため高画質であるが、データサイズも映像データに比して大きくなり、 (b5)このMPEG-4規格のデータおよびJPEG規格のデータはネットワーク2を介してネットワークレコーダ4に送信され、 (c)ネットワークレコーダ4は、 (c1)MPEG-4規格のデータおよびJPEG規格のデータをともに受信し、記録媒体である内蔵のハードディスクに記録し、 (c2)このように比較的データサイズ小さい映像用データで構成される動画データと、比較的データサイズの大きい画像データで構成される画像データとを共に送信することにより、画像データと同等の高画質の動画データを配信する場合に比べネットワーク2における通信負荷を下げることが可能となり、仮に、画像データと同等の画質のデータを1秒間に15こま送信すると1秒あたりに、1280×960×15=18432000画素のデータを送る必要が生じ、一方、上述の送信方法であれば、11980800画素のデータを一秒間に送信するだけでよく、その差を比率計算すると、35%送信するデータサイズを削減することが可能となるため、ネットワーク2における通信負荷をその分だけ小さくすることが可能となり、 (c3)タイムスタンプを利用することにより、MPEG-4規格のデータとJPEG規格のデータとを撮影時刻を基準として対応させて記録し、 (d)上記実施形態において、動画データはMPEG-4規格、画像データのデータはJPEG規格を用いて送信および記録しているが、 (d1)他の構成であっても良く、例えば、MPEG-2やTIFFなどの他の規格を用いても良いし、独自の規格を用いても良く、 (d2)上記実施形態において、画像データは静止画用のデータであるが、他の構成であっても良く、 例えば、高画素あるいは低圧縮の高画質動画データであっても良く、画像データとして高画質動画データを用いる場合は、例えば、MotionJPEG規格のデータは静止画としての切り出しが容易であり、好適に用いることができる (a)監視映像記録システム。 イ 引用文献2の記載事項、文献2技術 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2005-217791号公報)には、図面と共に次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。 (ア)引用文献2の記載事項 「【0016】 図1は、本発明による画像再生方法が適用される画像蓄積配信システムの全体構成の1例を示す。ここに示した画像蓄積配信システムは、画像(音声を含む場合もある)データを蓄積するための記録装置(以下、ディスク装置と言う)3を備えた画像蓄積配信サーバ1と、ネットワーク4を介して上記画像蓄積配信サーバ1に接続された複数のWebカメラ5(5-1?5-n)および複数のクライアント端末6(6-1?6-m)からなる。本発明の画像蓄積配信システムにおいては、1のWebカメラ5の画像データを、例えば、記録モードに応じて複数のチャネル(本実施例では2つのチャネル)に分けて記録する構成としているため、Webカメラ5-1?5-nは、それぞれ固有のチャネル番号を複数有している。例えば、5-1はチャネル1(ch1)用、及び、チャネル2(ch2)用、‥‥‥、5-nはチャネルp-1(chp-1)用、及び、チャネルp(chp)のWebカメラとする。ここで、n、m、pは自然数であり、n=m=pである必要はなく、その組み合わせは任意に選択できる。」 「【図1】 」 「【0020】 図2は、本発明の一実施例に係るディスク装置の記録内容を説明するための図である。図2に示すように、例えば、ディスク装置3の記録容量のコスト制約から、通常録画を行う場合には低フレームレートで通常chへ画像データの記録を行い、アラーム録画を行う場合にはアラームが発生した時のみ高フレームレートでアラームchへ画像データの記録を行うような態様が用いられる。なお、図2のアラームchに示したように、アラーム録画については、アラーム発生から時系列を遡ってアラーム発生時刻前の所定時間の画像(プリアラーム画像)の記録も行うようにしている。なお、ここでは、通常録画とアラーム録画とでは、記録される画像データのフレームレートのみが異なる場合を例に説明するが、更に画像の圧縮率や解像度を変える等、各記録モードの記録内容は実際のシステムの設定状況に応じて任意に設定することが可能である。一例として、アラーム録画は、通常録画に比べて、高フレームレート、低圧縮率、高解像度で画像データの記録を行うようにすることが可能である。」 「【0021】 図3は、本発明の一実施例に係るディスク装置への記録動作を説明するための図である。図3を用いて、Webカメラ5の画像データを通常録画、及び、アラーム録画によりディスク装置3の記憶領域30-1(ch1)、30-2(ch2)に記録する際の、Webカメラ5及び画像蓄積配信サーバ1の構成を説明する。なお、ここでは、簡単化のため、Webカメラ5のうちの1台のWebカメラ5-1を用いて説明を行う。 (略) 【0025】 エンコーダ部51で符号化された画像データは、例えば、30fpsで送信映像メモリ52に入力され、送信映像メモリ52において一時的に記憶される。送信映像メモリ52は、エンコーダ部51より新たな1フレームの画像データが入力されると、それまで記憶していた画像データを破棄し、新たな画像データを記憶するような構成が用いられる。画像蓄積配信サーバ1のCPU(不図示)は、通常録画を行う際は、予め画像蓄積配信サーバ1内のデータメモリ(不図示)に設定されている通常録画用レート(フレームレート)に従い、Webカメラ5-1に対して画像データの配信要求を送信する。Webカメラ5-1は、画像データの配信要求を受信すると、その時点において送信映像メモリ52に記憶されている1フレームの画像データを画像蓄積配信サーバ1へ送信する。通常録画の場合、画像蓄積配信サーバ1は、クライアント端末6-1等のユーザにより設定された録画開始から録画終了に至るまで、Webカメラ5-1に対して画像データの配信要求を繰り返す。画像蓄積配信サーバ1は、受信した画像データを受信映像メモリ11-1に一時的に記憶し、その後、画像データをディスクI/F12を介してWebカメラ5-1の通常chとして使用されるディスク装置3の記憶領域30-1(ch1)に記録する。なお、本実施形態では、要求がある毎に画像データを1フレームずつネットワーク4を介して通信する方法を採用しているが、要求がある毎に画像データを複数フレーム分(あるいは1ファイル分)通信するようにしてもよい。また、本実施形態では、Webカメラ5から出力される画像データは間欠的に時系列に連続した準動画像であるが、他の形式が用いられてもよい。また、本実施形態のように、画像蓄積配信サーバ1側からのアクセス(配信要求)を受けて、Webカメラ5が画像データの配信を行うpull型のシステム構成の他、サーバ1側からのアクセスなしに、例えば、所定のタイミングでWebカメラ5が画像データの配信を行うpush型のシステム構成が用いられても良い。 【0026】 また、エンコーダ部51で符号化された画像データは、予めWebカメラ5-1内のデータメモリ(不図示)に設定されているアラーム録画用レート(フレームレート)に従って、送信映像メモリ53に入力され、送信映像メモリ53において一時的に記憶される。送信映像メモリ53は、送信映像メモリ52の構成とは異なり、例えば、100フレーム分といった複数フレームの画像データを保持できるような構成となっている。これは、上述した通り、アラーム録画においては、アラームが発生する前の所定期間における画像データ(プリアラーム画像)の記録を行う必要があるためである。Webカメラ5-1に接続されている外部センサ(不図示)が作動しWebカメラ5-1に対してアラーム信号が入力されると、Webカメラ5-1から画像蓄積配信サーバ1に対してアラーム発生通知が送信される。アラーム発生通知を受信した画像蓄積配信サーバ1のCPUは、アラーム録画を開始する。アラーム録画を行う際は、アラーム発生の所定時間前の時刻を指定してWebカメラ5-1に対して画像データの配信要求を送信する。Webカメラ5-1は、送信映像メモリ53から当該指定時刻からの画像データを画像蓄積配信サーバ1へ送信する。画像蓄積配信サーバ1は、受信した画像データを受信映像メモリ11-2に一時的に記憶し、その後、画像データをディスクI/F12を介してWebカメラ5-1のアラームchとして使用されるディスク装置3の記憶領域30-2(ch2)に記録する。」 「【図3】 」 (イ)文献2技術 上記(ア)の記載から、引用文献2には、次の技術(文献2技術)が記載されている。 (文献2技術) 画像蓄積配信システムの画像データを蓄積するためのディスク装置3を備えた画像蓄積配信サーバ1において、 ネットワーク4を介して上記画像蓄積配信サーバ1に接続された複数のWebカメラ5(5-1?5-n)の画像データを、記録モードに応じて複数のチャネルに分けて記録する構成であって、 アラーム録画は、通常録画に比べて、高フレームレート、低圧縮率、高解像度で画像データの記録を行うようにし、 通常録画を行う際は、画像蓄積配信サーバ1は、受信した画像データをWebカメラ5-1の通常chとして使用されるディスク装置3の記憶領域30-1(ch1)に記録し、 アラーム録画を行う際は、アラーム発生の所定時間前の時刻を指定してWebカメラ5-1に対して画像データの配信要求を送信し、画像蓄積配信サーバ1は、受信した画像データをWebカメラ5-1のアラームchとして使用されるディスク装置3の記憶領域30-2(ch2)に記録する技術。 ウ 引用文献3の記載事項、周知技術 引用文献3(特開2007-235914号公報)には、図面と共に次の記載がある。下線は当審で付したものである。 (ア)引用文献3の記載事項 「【0011】 以下、本発明を図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。 <第1の実施の形態>図1は本発明に係るデジタル映像監視システムの第1の実施の形態の概略構成図である。図1において、監視カメラとしてのネットワークカメラ1?12が、ハブ21を介して、ネットワーク20に接続されている。ネットワーク20には、もう1つのハブ22を介して、映像データ記録装置としてのネットワークレコーダ31?33と、監視コントローラ40Aとが接続されている。 【0012】 上記のように構成された第1の実施の形態の動作について以下に説明する。ネットワークカメラ1?12はそれぞれの監視対象領域を撮影した画像をJPEG圧縮した後、映像データをそれぞれに定められたマルチキャストアドレスに送信する。ネットワークレコーダ31?33はマルチキャストで送信されている映像データを受信し、受信日時と共に内蔵している不図示のハードディスクに映像データファイルとして記録する。ネットワークレコーダ31?33は120fpsの記録性能を有しており、それぞれネットワーク20を介して送られてくる映像データを30fpsで記録するとすれば、ネットワークカメラ1?12のうち4台分の映像データを記録することができる。 【0013】 監視コントローラ40Aには、その詳細を後述するように、ネットワークカメラ1?12及びネットワークレコーダ31?33が各種の情報と共に登録されている。そして、監視コントローラ40Aは、例えば、ネットワークレコーダ31にはネットワークカメラ1?4を、ネットワークレコーダ32にはネットワークカメラ5?8を、ネットワークレコーダ33にはネットワークカメラ9?12をそれぞれ割り当てて、各映像データを記録するように制御している。また、監視コントローラ40Aは、定期的にネットワークレコーダ31?33に対してTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)で状態確認コマンドを送り、ネットワークレコーダ31?33から、監視コントローラ40Aに対して、その応答を返させることによって、稼動確認を行っている。」 「【図1】 」 (イ)文献3周知技術 上記(ア)の記載から、引用文献3には、次の周知技術(文献3周知技術)が記載されている。 (文献3周知技術) デジタル映像監視システムの映像データ記録装置としてのネットワークレコーダ31?33において、 ネットワークカメラ1?12はそれぞれの監視対象領域を撮影した映像データを送信し、 ネットワークレコーダ31?33は映像データを受信し、ハードディスクに映像データファイルとして記録し、 ネットワークレコーダ31にはネットワークカメラ1?4を、ネットワークレコーダ32にはネットワークカメラ5?8を、ネットワークレコーダ33にはネットワークカメラ9?12をそれぞれ割り当てて、各映像データを記録するように制御する技術。 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 構成Aについて 構成aの「監視映像」の「記録」は、構成cによれば、複数のデータを撮影時刻を基準として対応させて記録することであることから、構成Aの「データを管理する」ことに相当する。 よって、構成aの「監視映像記録システム」は、構成Aの「データを管理するシステム」に相当する。 したがって、引用発明は本件補正発明と構成Aを有する点で一致する。 イ 構成B、C、C1について 構成aの「監視映像記録システム」において、構成cの「ネットワークレコーダ4」は、構成a2の「監視カメラ1によって捕らえた映像をネットワーク2を介して記録装置であるネットワークレコーダ4に記録」するという動作を実行するものである。 しかしながら、構成cの「ネットワークレコーダ4」の構成について、「コンピュータプロセッサ」や、「コンピュータプロセッサと通信上結合するコンピュータメモリであって、実行時に当該システムに前記動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を内部に格納するコンピュータメモリ」を含むかは明記がない。 よって、本件補正発明と引用発明は、「前記システムに動作を実行させる装置」を含む点で共通する。 しかしながら、システムに動作を実行させるために、本件補正発明は、構成B及び構成Cを含むのに対して、引用発明はそのような構成を備えるか明記がない点で相違する。(相違点1) ウ 構成Dについて 構成b2の「動画データ」及び構成b5の「MPEG-4規格のデータ」は、同じデータであって「MPEG-4規格の動画データ」といえる。同じく、構成b3の「画像データ」及び構成b5の「JPEG規格のデータ」は、同じデータであって「JPEG規格の画像データ」といえる。 構成b及び構成cの「MPEG-4規格の動画データ」及び「JPEG規格の画像データ」は、ともに符号化規格に準拠した連続して送信されるデータであるので、「データストリーム」といえる。 そして、構成b及び構成cの「MPEG-4規格の動画データ」は、「第1のデータストリーム」といえ、構成b及び構成cの「JPEG規格の画像データ」は、「第2のデータストリーム」といえる。 そうすると、構成cの「ネットワークレコーダ4」は、「第1のデータストリーム」及び「第2のデータストリーム」を含む「複数のデータストリーム」を受信するといえるから、引用発明は本件補正発明とは、「複数のデータストリームを受信するステップ」を含む点で共通する。 しかしながら、構成b及び構成cの「MPEG-4規格の動画データ」及び「JPEG規格の画像データ」は、「少なくとも一つの異なるエンコーディングパラメータを用いてソースストリームの少なくとも一部をエンコードする複数の解像度エンコーディングから構成される」ものとはいえない。 よって、本件補正発明と引用発明は、「複数のデータストリームを受信するステップ」を含む点で共通する。 しかしながら、受信する「複数のデータストリーム」について、本件補正発明は「少なくとも一つの異なるエンコーディングパラメータを用いてソースストリームの少なくとも一部をエンコードする複数の解像度エンコーディングから構成される」のに対して、引用発明は「MPEG-4規格の動画データ」及び「JPEG規格の画像データ」から構成される点で相違する。(相違点2) エ 構成Eについて 上記ウのとおり、構成c1の「ネットワークレコーダ4」が受信した「MPEG-4規格の動画データおよびJPEG規格の画像データ」は、「複数のデータストリーム内の第1のデータストリームと第2のデータストリーム」といえる。 しかしながら、構成c1は、「MPEG-4規格の動画データおよびJPEG規格の画像データ」を記録するものの、記録のためにデータを特定することは行っていない。 よって、本件補正発明と引用発明は、本件補正発明が構成Eを含むのに対して、引用発明は構成Eを備えない点で相違する。(相違点3) オ 構成F’、G’について 構成c1の「ネットワークレコーダ4」が受信した「MPEG-4規格の動画データおよびJPEG規格の画像データ」を記録する「記録媒体である内蔵のハードディスク」は、「格納部」といえる。 そして、構成c1の「ネットワークレコーダ4」が受信した「MPEG-4規格の動画データおよびJPEG規格の画像データ」を記録することは、「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」と、「第2のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」を含むといえる。 よって、本件補正発明と引用発明は、「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」と、「第2のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」を有する点で共通する。 しかしながら、「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」と、「第2のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」について、本件補正発明では、構成F’及び構成G’を含むのに対して、引用発明ではそのような構成を有していない点で相違する。(相違点4) カ まとめ 以上によると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 [一致点] (A)データを管理するシステムにおいて、 (C’)前記システムに動作を実行させる装置を含み、 (C1)前記動作は、 (D’)複数のデータストリームを受信するステップと、 (F’、G’)第1のデータストリームを格納部内に格納するステップと、及び、 第2のデータストリームを格納部内に格納するステップと を含む、 (A)システム。 [相違点] (相違点1) 「前記システムに動作を実行させる装置」について、本件補正発明は、「(B)コンピュータプロセッサと、(C)前記コンピュータプロセッサと通信上結合するコンピュータメモリであって、実行時にシステムに動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を内部に格納する、コンピュータメモリ」とを含むのに対して、引用発明はそのような構成を備えるか明記がない点。 (相違点2) 受信する「複数のデータストリーム」について、本件補正発明は「少なくとも一つの異なるエンコーディングパラメータを用いてソースストリームの少なくとも一部をエンコードする複数の解像度エンコーディングから構成される」のに対して、引用発明は「MPEG-4規格の動画データ」及び「JPEG規格の画像データ」から構成される点。 (相違点3) 本件補正発明は、「(E)記録のために複数のデータストリーム内の第1のデータストリームと第2のデータストリームを特定するステップ」を含むのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。 (相違点4) 「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」と「第2のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」について、 本件補正発明は、「(F’)(F1’)第1のデータストリームを第1のコンピュータデバイス内の第1の格納部に関連付けて第2のデータストリームを第1のコンピュータデバイスと分離する第2のコンピュータデバイス内の第2の格納部に関連付けるステップであって、(F2)第1の格納部と第2の格納部を異なるカテゴリのデータを格納するために割り当てられている、関連付けるステップと、 (G’)第1データストリームからのデータを第1のコンピュータデバイス内の第1の格納部に格納するステップと、及び、第2データストリームからのデータを第2のコンピュータデバイス内の第2の格納部に格納するステップと」を含むのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1について データを管理するシステムをコンピュータシステムで実現することは慣用技術であり、監視映像記録システムにおいて、監視カメラの撮影映像をネットワーク2を介して記録する記録装置の構成について、コンピュータシステムで構成すること、即ち、「コンピュータプロセッサと、システムに動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を格納するコンピュータメモリ」を備える構成とすることは、当然が当然になし得ることである。 したがって、引用発明の構成cの「ネットワークレコーダ4」の構成について、当該慣用技術を適用して、「コンピュータプロセッサと、前記コンピュータプロセッサと通信上結合するコンピュータメモリであって、実行時に前記システムに動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を内部に格納する、コンピュータメモリ」とを含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 イ 相違点2について 引用発明は、構成d1のとおり、「画像データのデータ」は「他の構成であっても良く、例えば、TIFFなどの他の規格を用いても良い」としており、さらに、構成d2のとおり、「画像データは静止画用のデータであるが、他の構成であっても良く、例えば、高画素あるいは低圧縮の高画質動画データであっても良く」として、「画像データとして高画質動画データを用いる場合」の例として、「MotionJPEG規格のデータ」を好適に用いることができるとある。 引用発明の「画像データ」は、構成b3において「監視カメラ1」の「データ変換装置」が送信するデータであるから、引用発明において、「画像データ」の他の構成として「高画素あるいは低圧縮の高画質動画データ」を用いた構成は、引用発明の構成b1の「監視カメラ1」の「データ変換装置」が、「高画素あるいは低圧縮の高画質動画データ」を送信する構成といえる。 よって、引用発明において、「画像データ」を、「高画素あるいは低圧縮の高画質動画データ」を送信する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 その際に、「高画素あるいは低圧縮の高画質動画データ」の「画素数」、「1秒間に送信するこま数」の設定は、引用発明の構成a1にあるように、滑らかな動画と高画質の映像とを共に得られる監視映像記録システムを提供するという目的に即して、当業者が適宜に設計し得る事項である。 また、構成c2の「画像データと同等の高画質の動画データを配信する場合に比べネットワーク2における通信負荷を下げる」ことについても、「MPEG-4規格のデータ」及び「高画素あるいは低圧縮の高画質動画データ」の「画素数」、「1秒間に送信するこま数」の設定を、ネットワーク2の通信不可を下げる比率(例えば、35%)に応じて、当業者が適宜に設計し得る事項である。 そして、引用発明において、「画像データ」を「高画素あるいは低圧縮の高画質動画データ」とした発明は、「動画データ」と「高画質動画データ」を送信するものであるから、2種類の動画データを「少なくとも一つの異なるエンコーディングパラメータを用いてソースストリームの少なくとも一部をエンコードする複数の解像度エンコーディングから構成される」ようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 ウ 相違点3について 上記(2)イ(イ)のとおり、引用文献2には、文献2技術が記載されている。 ここで、文献2技術において、アラーム録画を行う際は、所定時間前の時刻を指定することで「受信したデータを記憶領域30-2(ch2)に記録する」ことから、記録のために「受信した画像データ」を特定しているといえる。 引用発明と文献2技術は、カメラからネットワークを介して複数のデータを受信し、記録装置に記録するという点で共通の技術分野に属することから、引用発明に文献2技術を適用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 よって、引用発明に文献2技術を適用し、受信した複数のデータストリームについて、「記録のために前記複数のデータストリーム内の第1のデータストリームと第2のデータストリームを特定するステップ」とを含む構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 エ 相違点4について (ア)請求人は、令和2年3月31日付けで提出された回答書において、本件補正発明の構成F’について、「請求項では、解像度エンコードを用いて二つのデータストリームのそれぞれがどの格納エリアに格納されるかを判別することを、明確に述べているわけではありませんが、「データのカテゴリ」が格納エリアの分離に使用されていることは明確です。 段落[0050]は、「データのカテゴリ」を、解像度エンコーディングなどのメタデータとして説明しています。」と説明している。 よって、構成F2’の「第1の格納部と第2の格納部」は、「異なるカテゴリのデータを格納するために割り当てられており、異なるカテゴリは異なる解像度エンコーディングを含む」を意味するものとして判断する。 (イ)文献2技術において、「ディスク装置3の記憶領域30-1(ch1)」及び「ディスク装置3の記憶領域30-2(ch2)」は、「第1の格納部」及び「第2の格納部」といえる。 そして、文献2技術において、「ch2」は、「ch1」に比べて「高フレームレート、低圧縮率、高解像度で画像データの記録を行う」から、文献2技術の「ch1」と「ch2」は、「異なる解像度エンコーディングを含む異なるカテゴリ」のデータを格納するために割り当てられているといえる。 (ウ)文献3周知技術において、「ネットワークレコーダ31」及び「ネットワークレコーダ32」のハードディスクは「第1の格納部」及び「第2の格納部」と、「ネットワークレコーダ31」及び「ネットワークレコーダ32」は「第1のコンピュータデバイス」及び「第1のコンピュータデバイスと分離する第2のコンピュータデバイス」と、また、「ネットワークカメラ1?4の映像データ」及び「ネットワークカメラ5?8の映像データ」は「第1のデータストリーム」及び「第2のデータストリーム」といえることから、 文献3周知技術において、「ネットワークレコーダ31にはネットワークカメラ1?4を、ネットワークレコーダ32にはネットワークカメラ5?8」を、「それぞれ割り当てて、各映像データを記録するように制御する」ことは、「第1のデータストリームを第1のコンピュータデバイス内の第1の格納部に関連付けて」及び「第2のデータストリームを第1のコンピュータデバイスと分離する第2のコンピュータデバイス内の第2の格納部に関連付ける」といえる。 (エ)引用発明に文献2技術を適用することは、当業者であれば容易に想到し得るものであるから、引用発明に文献2技術を適用し、 引用発明の「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」及び「第2のデータ」を「格納部内に格納するステップ」について、 「第1のデータストリームを第1の格納部に関連付けて第2のデータストリームを第2の格納部に関連付けるステップであって、第1の格納部と第2の格納部は、異なる解像度エンコーディングを含む異なるカテゴリのデータを格納するために割り当てられている関連付けるステップと、 第1のデータストリームからのデータを第1の格納部内に格納するステップと、及び、 第2のデータストリームからのデータを第2の格納部内に格納するステップとを含む」構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 (オ)そして、引用発明に文献2技術を適用する際に、関連付けるステップにおいて、「第1のデータストリームを第1のコンピュータデバイス内の第1の格納部に関連付けて第2のデータストリームを第1のコンピュータデバイスと分離する第2のコンピュータデバイス内の第2の格納部に関連付ける」ことも、当業者の周知技術(文献3周知技術)に基づいて当然になし得ることである。 (カ)したがって、引用発明において、「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」と、「第2のデータ」を「格納部内に格納するステップ」について、文献2技術、文献3周知技術に基づいて相違点4の構成を含むようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 オ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、文献2技術、及び文献3周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (5)請求人の主張について 請求人は、平成30年11月1日付け手続補正(【請求の理由】(3)本願発明が特許されるべき理由)において、以下のとおり主張している。 (以下、説明のために「主張1」及び「主張2」と称する。) (主張1) 「引用文献1は、単独の送信および記録されるビデオデータストリームと、送信および記録されるものの、送信の前に動画データからカメラによって生成され得る、静止画像の独立のセットとを、開示するに過ぎません。この解釈(考え方)は、引用文献1の全体でサポートされており、異常センサを必要とすること無く且つ格納データの量を増やすこと無く、監視ビデオシステムからの高画質動画を記録するという課題を解決することに向けられています。開示されている解決策は、より低い画質の動画データ(MPEG-4若しくはより低いもの)を送信し記録することであり、それら動画データはより狭い帯域幅及び格納スペースを要求するものですが、同時に、より高い画質の静止画像(JPEG)を送信して記録し、動画データのフレームが対応する静止画像とマッチし得るように両方のセットの画像にタイムスタンプする、というものです。一方が低画質であり他方が高画質である、2つのビデオデータのストリームを含む引用文献1を改良することは、本願発明の目的と全くそぐわないものです。よって、上述の審査官殿の主張(及び立場)は正確ではないと思われます。」 (主張2) 「審査官殿は、引用文献2は第1と第2の格納部に関する限定を開示している、と主張されています。しかしながら、補正後の請求項1、10は更に、これらの格納部が物理的に独立した実体であることを規定しています。引用文献2は、2つの異なるストリームのための独立の格納部を開示するものではありません。寧ろ、引用文献2は、単独のディスク装置3を開示するに過ぎません。」 主張1について検討すると、上記(4)イで検討したとおり、引用発明において、「画像データ」を、「高画素あるいは低圧縮の高画質動画データ」を送信する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものであるから、請求人の上記主張1は採用できない。 主張2について検討すると、上記(4)エで検討したとおり、引用発明において、「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」と、「第2のデータ」を「格納部内に格納するステップ」について、文献2技術、文献3周知技術に基づいて相違点4の構成を含むようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものであるから、請求人の上記主張2は採用できない。 (6)まとめ 以上のように、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術、及び引用文献3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年9月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年4月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?請求項11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第1(3)において、「補正前の請求項1」として記載したとおりのものである。 2 引用文献、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]4(2)に記載したとおりである。 3 対比 本願発明は、上記第2[理由]1で摘記した本件補正発明に追加された限定事項を省いたものである。 そうすると、上記第2[理由]4(3)の「対比」における検討を援用すると、本願発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。 [一致点] データを管理するシステムにおいて、 前記システムに動作を実行させる装置を含み、 前記動作は、 複数のデータストリームを受信するステップと、 第1のデータストリームを第1の格納部内に格納するステップと、及び、 第2のデータストリームを第2の格納部内に格納するステップと を含む、 システム。 [相違点] (相違点1) 前記システムに動作を実行させる装置」について、本願発明は、「コンピュータプロセッサと、前記コンピュータプロセッサと通信上結合するコンピュータメモリであって、実行時にシステムに動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を内部に格納する、コンピュータメモリ」を含むのに対して、引用発明はそのような構成を備えるか明記がない点。 (相違点2) 受信する「複数のデータストリーム」について、本願発明は「少なくとも一つの異なるエンコーディングパラメータを用いてソースストリームの少なくとも一部をエンコードする複数の解像度エンコーディングから構成される」のに対して、引用発明は「MPEG-4規格の動画データ」及び「JPEG規格の画像データ」から構成される点。 (相違点3) 本願発明は、「記録のために複数のデータストリーム内の第1のデータストリームと第2のデータストリームを特定するステップ」を含むのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。 (相違点4) 「第1のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」と、「第2のデータストリーム」を「格納部内に格納するステップ」について、本願発明は、 「第1のデータストリームを第1の格納部に関連付けて第2のデータストリームを第2の格納部に関連付けるステップであって、 第1の格納部と第2の格納部は異なるカテゴリのデータを格納するために割り当てられている、関連付けるステップと、 第1のデータストリームからのデータを第1の格納部内に格納するステップと、及び、 第2のデータストリームからのデータを第2の格納部内に格納するステップと」を含むのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。 4 判断 上記第2[理由]4(4)における検討を援用すると、相違点1?相違点4は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-06-09 |
結審通知日 | 2020-06-16 |
審決日 | 2020-06-30 |
出願番号 | 特願2016-546933(P2016-546933) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松元 伸次 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
曽我 亮司 清水 正一 |
発明の名称 | ビデオソースデバイスからストリーム配信されるデータの格納管理 |
代理人 | 山田 卓二 |
代理人 | 柏原 啓伸 |