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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1368660
審判番号 不服2020-108  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-06 
確定日 2020-11-26 
事件の表示 特願2017-522420「姿勢改善機器、システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月28日国際公開、WO2016/064905、平成29年10月26日国内公表、特表2017-531532〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015(平成27年)10月20日(パリ条約による優先権主張 2014年10月21日 米国、2015年10月20日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成31年4月1日付けで拒絶理由が通知され、令和元年6月28日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月29日付けで拒絶査定されたところ、令和2年1月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?8に係る発明は、令和元年6月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
センサ装置と、
姿勢改善システムインタフェースを含む姿勢改善ソフトウェアプログラムと、
1つ以上のユーザー装置と、
を備え、
前記センサ装置がユーザーと物理的に関連づけられるように構成され、
前記センサ装置が前記姿勢改善ソフトウェアプログラムと通信し、
前記センサ装置が1つ以上のセンサを備え、
前記1つ以上のセンサが、前記センサ装置が前記ユーザーと物理的に関連づけられると、前記ユーザーの体勢及び前記ユーザーの1つ以上の動作を監視し、
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムが、前記1つ以上のユーザー装置上で作動するように構成され、
前記姿勢改善システムインタフェースが、前記1つ以上のユーザー装置上で前記ユーザーに表示され、
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムが、前記ユーザーに関する情報を収集するように構成され、
前記姿勢を改善するシステムが、前記センサ装置によって通信されるデータ、及び前記ユーザーに関する収集された前記情報に基づいて、前記ユーザーの1つ以上の最適姿勢維持位を推定し、
前記姿勢を改善するシステムが、前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの少なくとも1つと前記ユーザーとの適合性を監視し、
前記姿勢を改善するシステムが、前記姿勢改善システムインタフェース上に前記適合性を表示し、
前記姿勢改善システムが、前記ユーザーに前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つを維持することを注意喚起するように、1つ以上の不適合性を検出し、該1つ以上の不適合性を前記ユーザーに通知し、
前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つと前記ユーザーとの前記適合性の前記表示が、標的及び姿勢標的ボールによって示される、
姿勢を改善するシステム。
【請求項2】
前記ユーザーが前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つと適合する場合、前記姿勢標的ボールが実質的に前記標的の中心内にある、請求項1に記載の姿勢を改善するシステム。
【請求項3】
前記ユーザーが前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つを維持できなかった場合、前記姿勢標的ボールが実質的に前記標的の中心内になく、前記姿勢改善システムインタフェースが前記1つ以上の不適合性を前記ユーザーに通知する、請求項2に記載の姿勢を改善するシステム。
【請求項4】
前記ユーザーが前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つを維持できなかった場合、前記ユーザーが前記不適合性を修正するまで、前記ユーザー装置が実質的に使用不能である、請求項3に記載の姿勢を改善するシステム。
【請求項5】
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムが、さらに、活動通知を含む、請求項1に記載の姿勢を改善するシステム。
【請求項6】
前記活動通知が、前記標的姿勢ボールが前記標的の推奨通路に沿って移動するように、前記ユーザーに身体を動かすことを要求する、請求項5に記載の姿勢を改善するシステム。
【請求項7】
センサ装置と、
姿勢改善システムインタフェースを含む姿勢改善ソフトウェアプログラムと、
1つ以上のユーザー装置と、
を備え、
前記センサ装置がユーザーと物理的に関連づけられるように構成され、
前記センサ装置が前記姿勢改善ソフトウェアプログラムと通信し、
前記センサ装置が1つ以上のセンサを備え、
前記1つ以上のセンサが、前記センサ装置が前記ユーザーと物理的に関連づけられると、前記ユーザーの体勢及び前記ユーザーの1つ以上の動作を監視し、
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムが、前記1つ以上のユーザー装置上で作動するように構成され、
前記姿勢改善システムインタフェースが、前記1つ以上のユーザー装置上で前記ユーザーに表示され、
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムが、前記ユーザーに関する情報を収集するように構成され、
前記姿勢を改善するシステムが、前記センサ装置によって通信されるデータ、及び前記ユーザーに関する収集された前記情報に基づいて、前記ユーザーの1つ以上の最適姿勢維持位を推定し、
前記姿勢を改善するシステムが、前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの少なくとも1つと前記ユーザーとの適合性を監視し、
前記姿勢を改善するシステムが、前記姿勢改善システムインタフェース上に前記適合性を表示し、
前記姿勢改善システムが、前記ユーザーに前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つを維持することを注意喚起するように、1つ以上の不適合性を検出し、該1つ以上の不適合性を前記ユーザーに通知し、
前記姿勢改善ソフトウェアシステムが調整プログラムを含み、
前記調整プログラムが、前記ユーザーの姿勢動作に基づいた間隔プログラムを提案し、
前記調整プログラムが前記ユーザーに自身の前記姿勢動作に関する洞察を提供する、
姿勢を改善するシステム。
【請求項8】
センサ装置と、
姿勢改善システムインタフェースを含む姿勢改善ソフトウェアプログラムと、
1つ以上のユーザー装置と、
を備え、
前記センサ装置がユーザーと物理的に関連づけられるように構成され、
前記センサ装置が前記姿勢改善ソフトウェアプログラムと通信し、
前記センサ装置が1つ以上のセンサを備え、
前記1つ以上のセンサが、前記センサ装置が前記ユーザーと物理的に関連づけられると、前記ユーザーの体勢及び前記ユーザーの1つ以上の動作を監視し、
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムが、前記1つ以上のユーザー装置上で作動するように構成され、
前記姿勢改善システムインタフェースが、前記1つ以上のユーザー装置上で前記ユーザーに表示され、
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムが、前記ユーザーに関する情報を収集するように構成され、
前記姿勢を改善するシステムが、前記センサ装置によって通信されるデータ、及び前記ユーザーに関する収集された前記情報に基づいて、前記ユーザーの1つ以上の最適姿勢維持位を推定し、
前記姿勢を改善するシステムが、前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの少なくとも1つと前記ユーザーとの適合性を監視し、
前記姿勢を改善するシステムが、前記姿勢改善システムインタフェース上に前記適合性を表示し、
前記姿勢改善システムが、前記ユーザーに前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つを維持することを注意喚起するように、1つ以上の不適合性を検出し、該1つ以上の不適合性を前記ユーザーに通知し、
前記1つ以上の不適合性の前記通知の感度が調節可能である、
姿勢を改善するシステム。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、
(1)この出願の請求項7に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、
(2)この出願の請求項8に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、
(3)この出願の請求項1ないし8に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1ないし6に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。

引用文献1:米国特許出願公開第2013/0184611号明細書
引用文献2:米国特許出願公開第2013/0207889号明細書
引用文献3:特開2011-250915号公報
引用文献4:特開2010-172537号公報
引用文献5:米国特許出願公開第2011/0212810号明細書
引用文献6:米国特許出願公開第2014/0066811号明細書

以下、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないとされた請求項8に係る発明(以下、「本願発明」という。)について検討する。

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1に記載されている事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている(和訳は当審にて作成した。また、下線は当審にて付した。)。
(引1a)「[0002] The novel technology relates generally to the field of personal health and self-improvement, and, more specifically, to a biofeedback system, which may include a related software system, for training people to achieve better posture and other body position goals.」
(和訳)「[0002] この新規な技術は、一般に、個人の健康及び自己改善の分野、より具体的には、より良好な姿勢および他の身体位置の目標を達成するために人々を訓練するための関連ソフトウェアシステムを含んでもよいバイオフィードバックシステム、に関する。」

(引1b)「[0013] FIG. 1 is a schematic diagram of a biofeedback system (1) of a first embodiment of the present novel technology.
・・・
[0016] FIG. 3 is a Schematic Representation of Biofeedback System of FIG. 1. FIG. 4A graphically illustrates sample screenshots for portions of the System of FIG. 1.
[0017] FIG. 4B graphically illustrates sample screenshots for portions of the System of FIG. 1.
・・・
[0020] FIG. 6A graphically illustrates sample screenshots for portions of the System of FIG. 1.」
(和訳)「[0013] 図1は、本新規技術の第1の実施の形態のバイオフィードバックシステム(1)の概略図である。
・・・
[0016] 図3は、図1のバイオフィードバックシステムの概略図である。図4Aは、図1のシステムの一部についてのサンプルスクリーンショットを図示する。
[0017] 図4Bは、図1のシステムの一部についてのサンプルスクリーンショットを図示する。
・・・
[0020] 図6Aは、図1のシステムの一部についてのサンプルスクリーンショットを図示する。」

(引1c)「[0027] FIG. 1 diagrams the biofeedback system (1) and its component devices and representative parts of the body monitored for positional changes. The biofeedback system (1) includes one or more ‘Sensor’/transceiver biofeedback devices (101) (each a Sensor) programmed to detect changes in posture and body position through an internal gyroscope and/or based on wireless measurement of the distance between another Sensor. Each Sensor has a built-in vibration and/or sound device activated by changes in body position. Such changes are also wirelessly communicated to a remote ‘Controller’/transceiver biofeedback device (301) (Controller) that also has built-in sound and/or vibration devices. The Controller (301) may be a specially-made transceiver device, or a conventional, programmable device on which the biofeedback system software (401) may be installed (e.g. smart-phone, handheld computer, PDA, PC, etc.). The Controller maintains a communication link (201) with each Sensor via Bluetooth, infrared, radio frequency or other technologies. The Sensors (101) are attached to or worn on a person's body (or on clothing or accessories) through adhesion, straps, hair and other clips, bindings and other mechanisms (113). For certain embodiments of the system (5), the system software (Biofeedback System Software) (401) is installed on the Controller (301), which displays on an internal screen or external monitor real-time body position information based on communication from one or more Sensors.
・・・
[0042] Also as shown in FIG. 2, the Controller (301) may be a specially-made transceiver device, or a conventional device on which the biofeedback software Program (401) may be installed (e.g., smart-phone, PDA or computer), in either case that would include a housing, circuitry and other components that may include all or some of the following:
[0043] (i) An internal display screen or external monitor (302) enabling a user to view menu options, obtain information about and program the Sensors (101).
[0044] (ii) User Interface (303) comprised of a keyboard, keypad, touchscreen, etc. to let user enter data and perform programming functions.
・・・
[0053] (xi) Programs and operating systems (312) to enable the biofeedback system software and application (401) to be installed and run on the Controller (301), which software and application may be configured as computer readable program code and stored in the device's memory (304).
[0054] FIG. 3 illustrates a first embodiment of the present, novel biofeedback system (1, 5) for training users to attain and maintain targeted posture and/or other positions for different parts of the body. The training is provided through signals (i.e., vibration, sound and/or visual alarms and alerts) transmitted to a user and activated by measured changes in posture and position. Those signals are provided by one or more ‘Sensor’/transceiver biofeedback devices (101) and in some embodiments a ‘Controller’/transceiver biofeedback device (301). Each Sensor (101) is directly or indirectly (i.e., through clothes or accessories) attached to or worn on a specific part of a user's body (FIGS. 501-505). Those parts of the body are selected based on certain activities the user engages in where biofeedback information and/or training can enhance appearance, performance, health or safety. Selected activities may be as simple as standing or sitting with head held high and back erect (501 and 504); or as complicated as skiing with legs shoulder-width apart, knees bent at a 50 degree angle, and hips centered over the ball of the feet (505); or as critical as keeping a head up and staying awake while driving (503).
[0055] The Sensor detects and activates an alarm when a user attains or deviates from a targeted posture or position by gyroscopically measuring changes in the user's horizontal and/or vertical fields, and/or by wirelessly measuring distances between two or more of such devices. For example, if one Sensor is attached to a user's right shoulder, and a second is attached to a user's left shoulder, the Controller sets a target position when both shoulders are arched backward. The coordinates for that target position are represented by either or both (x) the distance between the devices and/or (y) the horizontal/vertical planes of each device. If the user slouches forward, the targeted distance is exceeded and planes change; either of which activates an alarm.
[0056] Biofeedback information and training is provided via the alarms from the Sensors (101) and in certain embodiments from the Controller (301). Those alarms are activated when either (x) the user deviates from a pre-set position or posture (506) (which can be adjusted with tolerances so that a deviation must be more than a pre-set degree and/or for more than a pre-set period of time (507) before the alarm is activated); or (y) the user achieves a pre-set, targeted position or posture (506). The devices are programmed so that the alarm will continue until a deviation is corrected.
・・・
[0058] FIG. 4 illustrates one embodiment of a menu system of, and other screen shots for, the biofeedback system (5) that utilizes a device on which the biofeedback system software (401) has been installed (e.g., smart-phone, PDA, PC, laptop, etc.). FIG. 4 also illustrates certain functionalities of the system (5), and the “look and feel” of the biofeedback system software and application (401).
・・・
[0062] The Device Manager screen/page (604) provides various programming functions to manage system devices. Users can set parameters for the Sensors (101) and the Controller (301). Those parameters include (i) activating audible alarms in Sensors and the Controller, (ii) selecting a specific audible sound for each Sensor, (iii) activating a vibration alarm in the Controller, (iv) setting permitted deviations from targeted positions, (v) designating the period of time a deviation in position may be permitted to continue before an alarm is activated in a Sensor, (vi) assigning a number to each Sensor, and (vii) associating each Sensor with a specific part or area of the user's body.
[0063] The Posture & Position screen/page (605) allows users to program targeted positions and postures for Sensors (101). From this screen, a user can select a prescribed activity (e.g., standing, sitting, driving, skiing, etc.) which then opens a body avatar on which the user can virtually place one or more Sensors. With a Sensor attached to the user's body, he or she can then change positions in order to create a targeted posture or pose that can be saved. This page/screen also illustrates permitted deviations from targeted positions. Once a targeted position has been saved, the user can proceed to a biofeedback session, and will be “trained” by receiving vibration and/or sound and visual alarms/alerts whenever he or she deviates from, or achieves, that target.
[0064] The Biofeedback Alerts screen/page (606) provides additional biofeedback information to users. Unless de-activated by a user for an activity, the screen automatically opens each time an alarm is activated by one or more Sensors (101). The screen provides real-time notifications and visual displays of deviations from, or attainment of, targeted postures or positions.
・・・
[0066] The Progress Chart screen/page (608) provides historical and real time data to a user about progress in reaching and maintaining targeted posture or position goals. From this screen/page, a user can select the activity he or she wishes to monitor, and can view a graphic representation of progress in relation to the established target for that activity.」

(和訳)「[0027] 図1は、バイオフィードバックシステム(1)と、そのコンポーネント装置と、位置変化に対して監視される代表的な身体部位を示す。バイオフィードバックシステム(1)は、1つ以上の「センサ」/トランシーババイオフィードバック装置(101)(各々がセンサである)であって、内部ジャイロスコープを介して、及び/又は他のセンサとの間の距離のワイヤレス測定に基づいて、姿勢及び体の位置変化を検出するようにプログラムされる装置を含むものである。各センサは、体の位置の変化により活性化される内蔵式の振動および/または音響装置を有している。そのような変化もまた、遠隔「コントローラ」/トランシーババイオフィードバック装置(301)(コントローラ)に無線送信され、コントローラもまた、内蔵式の音響および/または振動装置を有する。コントローラ(301)は、特別に作られたトランシーバ装置、または、バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)がインストールされた従来のプログラマブルデバイス(例えば、スマートフォン、ハンドヘルドコンピュータ、PDA、PC等)であってもよい。コントローラは、ブルートゥース、赤外線、無線周波数、または他の技術を介して、各センサとの通信リンク(201)を維持する。センサ(101)は、接着剤、ストラップ、毛髪および他のクリップ、締め具、その他の機構(113)を介して、人の体(又は衣類またはアクセサリ上)に装着される。システム(5)の特定の実施形態では、システムソフトウェア(バイオフィードバックシステムソフトウェア)(401)がコントローラ(301)にインストールされ、コントローラは1つまたは複数のセンサからの通信に基づいて、内部表示画面又は外部モニタにリアルタイムの身体位置情報を表示する。
・・・
[0042]また、図2に示すように、コントローラ(301)は、特別に作られたトランシーバ装置、またはバイオフィードバックソフトウェアプログラム(401)がインストールされていてもよい従来の装置(例えば、スマートフォン、PDAまたはコンピュータ)であってもよく、いずれの場合であっても筐体、回路および次のすべてまたはいくつかを含んでいてもよい他の構成要素を含む:
[0043](i)ユーザーがメニューオプションを見ること、センサ(101)に関する情報を取得すること、センサをプログラムすることを可能にする内部表示画面又は外部モニタ(302)。
[0044](ii)ユーザーにデータを入力させ、プログラミング機能を実行させるためのキーボード、キーパッド、タッチスクリーンなどからなるユーザーインターフェース(303)。
・・・
[0053](xi)コンピュータ可読プログラムコードとして構成されデバイスのメモリ(304)に格納され得るバイオフィードバックシステムソフトウェアおよびアプリケーション(401)をコントローラ(301)上でインストールおよび実行することを可能とする、プログラムおよびオペレーティングシステム(312)。
[0054] 図3は、身体の異なる部分にとって目標の姿勢及び/又は位置を達成及び維持するためにユーザーをトレーニングする、新規なバイオフィードバックシステム(1, 5)の第1実施形態を示す図である。トレーニングは、ユーザーへ送信され、姿勢及び位置の測定された変化により活性化される信号(振動、音および/または視覚的なアラーム及びアラート)を通じて提供される。これらの信号は、一つ以上の「センサ」/トランシーババイオフィードバック装置(101)によって提供され、いくつかの実施形態では、「コントローラ」/トランシーババイオフィードバック装置(301)によって提供される。各センサ(101)は、直接的または間接的に(すなわち、衣服またはアクセサリを介して)ユーザーの身体の特定の部分(図中501-505)に取り付けられるかまたは装着される。身体のそれらの部分は、バイオフィードバック情報および/またはトレーニングが、外観、性能、健康または安全性を高めることができる場所にユーザーが従事する特定の活動に基づいて選択される。選択された活動は、頭部が高く保たれ背部が直立した状態の、起立や着座のような単純なもの(501および504)であってもよいし、両脚が肩幅程度に離れ、膝が50度の角度で曲げられ、臀部が足のボールの上に中心されるスキーのような複雑なもの(505)であってもよいし、また、頭部を上方に持ち上げて覚醒状態を維持する、運転中のような重大なもの(503)であってもよい。
[0055] センサは、ユーザーの水平方向および/または垂直方向の場の変化をジャイロスコープ的に測定することによって、および/または、2以上のそのようなデバイスの間の距離を無線で測定することによって、ユーザーが目標姿勢または目標位置を達成、または目標姿勢または目標位置から逸脱すると、アラームを検出し、起動する。例えば、1つのセンサがユーザーの右肩に取り付けられ、第2のセンサがユーザーの左肩に取り付けられている場合、コントローラは両方の肩が後ろにアーチ状である姿勢を目標位置に設定する。その目標位置の座標は、(x)デバイス間の距離および/または(y)各デバイスの水平/垂直平面のいずれかまたは両方によって表される。ユーザーが前屈みの姿勢になると、目標距離を超え、面が変化し、これらのいずれかがアラームを起動する。
[0056] バイオフィードバック情報およびトレーニングは、センサ(101)からのアラームを介して、また特定の実施形態ではコントローラ(301)からのアラームを介して提供される。これらのアラームは、(x)ユーザーが予め設定された位置または姿勢(506)から逸脱したとき(これは、逸脱が予め設定された度合いよりも大きくなって、および/または、逸脱が予め設定された期間(507)よりも長くなってアラームが起動されるように、許容誤差で調整できる。)、または(y)ユーザーが予め設定された目標位置または姿勢(506)を達成したときに起動される。逸脱が修正されるまで警報が継続するように、装置はプログラムされる。
・・・
[0058] 図4は、本発明のメニューシステムと、バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)がインストールされている装置(例えば、スマートフォン、PDA、パーソナルコンピュータ、ラップトップなど)を利用したバイオフィードバックシステム(5)のメニューシステムの一実施形態及びその他のスクリーンショットを示す図である。図4はまた、システム(5)の特定の機能を示し、バイオフィードバックシステムソフトウェアおよびアプリケーション(401)の「ルックアンドフィール」を示している。
・・・
[0062] デバイスマネージャ画面/ページ(604)は、システムデバイスを管理するための様々なプログラミング機能を提供する。ユーザーは、センサ(101)およびコントローラ(301)のパラメータを設定することができる。これらのパラメータは以下のものを含む。(i)センサおよびコントローラにて可聴アラームを起動すること、(ii)各センサのための特定の可聴音を選択すること、(iii)コントローラにて振動アラームを起動すること、(iv)目標位置からの許容逸脱を設定すること、(v)センサにてアラームが起動されるまでの、許容される位置の逸脱の継続期間を指定すること、(vi)番号を各センサに割り当てること、および、(vii)各々のセンサをユーザーの体の特定の部分または領域に対応付けること。
[0063] 姿勢及び位置画面/ページ(605)は、ユーザーがセンサ(101)の目標位置及び姿勢をプログラムすることを可能にする。この画面から、ユーザーは、所定のアクティビティ(例えば、起立、着座、運転、スキーなど)を選択することができ、その後、ユーザーは、一つ以上のセンサを仮想的に配置することができる身体アバターを開く。ユーザーの身体に取り付けられたセンサを用いて、ユーザーは、セーブ可能な目標姿勢またはポーズを作成するために位置を変更することができる。このページ/画面はまた、目標位置からの許容される逸脱を示す。一旦目標位置が保存されると、ユーザーはバイオフィードバックセッションに進むことができ、そして、ユーザーが目標を逸脱するか、または目標を達成するときはいつでも、振動および/または音および視覚アラーム/警告を受信することによって「トレーニング」される。
[0064] バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)は、ユーザーに追加のバイオフィードバック情報を提供する。アクティビティを行うユーザーによって不活性化されない限り、画面は、アラームが一つ以上のセンサ(101)によって起動されるたびに自動的に開く。画面は、目標姿勢又は目標位置からの逸脱、又は目標姿勢又は目標位置の達成の、リアルタイム通知及び視覚表示を提供する。
・・・
[0066] 進捗チャート画面/ページ(608)は、目標姿勢または目標位置に到達したことおよび維持することに関して、履歴およびリアルタイムのデータをユーザーに提供する。この画面/ページから、ユーザーは、監視を望むアクティビティを選択することができ、そのアクティビティのために確立された目標に関する進捗状況のグラフィック表現を見ることができる。」

(引1d)[図4A, 4B]



(引1e)[図6A, 6B]


2 引用発明
(1)「メニューシステム」について
ア 引用文献1の段落[0058]の記載及び図4A,4Bからは、「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」がインストールされている「装置」に表示されている「メニューシステム」が、「Sensor Manager」(和訳:センサ管理)、「Posture & Position Settings」(和訳:姿勢及び位置セッティング)、「Biofeedback Alerts」(和訳:バイオフィードバックアラート)、「Progress Chart」(和訳:進捗チャート)という項目を含むことが認められる。

イ 引用文献1の段落[0042]の「コントローラ(301)は、・・・バイオフィードバックソフトウェアプログラム(401)がインストールされていてもよい従来の装置(例えば、スマートフォン、PDAまたはコンピュータ)であってもよ」い、という記載に鑑みれば、上記アにおける「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」がインストールされている「装置」は「コントローラ(301)」であると認められる。また、同段落には、「コントローラ(301)」が「ユーザーがメニューオプションを見ること、センサ(101)に関する情報を取得すること、センサをプログラムすることを可能にする内部表示画面」を有することが記載されている。

ウ 引用文献1の段落[0062]?[0064]、[0066]の記載における「デバイスマネージャ画面/ページ(604)」、「姿勢及び位置画面/ページ(605)」、「バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)」、及び「進捗チャート画面/ページ(608)」は、図4A,4Bに開示されている「メニューシステム」から遷移できる画面またはページである。
そうすると、上記ア、イを踏まえれば、「デバイスマネージャ画面/ページ(604)」、「姿勢及び位置画面/ページ(605)」、「バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)」、及び「進捗チャート画面/ページ(608)」は、「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」がインストールされている「コントローラ(301)」の「内部表示画面」に表示されるものと認められる。また、「デバイスマネージャ画面/ページ(604)」、「姿勢及び位置画面/ページ(605)」、「バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)」、及び「進捗チャート画面/ページ(608)」は、「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」により表示が行われるものと認められる。

(2)上記(引1b)において、図3,4A,4B,6Aが全て図1に開示の「第1の実施の形態のバイオフィードバックシステム(1)」を示した図であることに鑑みれば、上記(引1c)の摘記は、引用文献1において1つの実施形態として記載されているものと認められる。

(3)上記(1),(2)を踏まえると、上記引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「センサ(101)と、
バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)がインストールされたプログラマブルデバイスであるコントローラ(301)と、
を含み、
センサ(101)がユーザーの身体に取り付けられ、
センサ(101)がコントローラ(301)と通信し、
センサ(101)はユーザーの水平方向および/または垂直方向の場の変化をジャイロスコープ的に測定し、ユーザーが目標姿勢または目標位置を達成、または目標姿勢または目標位置から逸脱すると、アラームを起動し、
コントローラ(301)は内部表示画面を含み、
バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)は内部表示画面にデバイスマネージャ画面/ページ(604)、姿勢及び位置画面/ページ(605)、バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)、及び進捗チャート画面/ページ(608)を表示させ、
デバイスマネージャ画面/ページ(604)では、目標位置からの許容逸脱を設定すること、及び、センサにてアラームが起動されるまでの許容される位置の逸脱の継続期間を指定することを含む、センサ(101)およびコントローラ(301)のパラメータをユーザーが設定することができ、
姿勢及び位置画面/ページ(605)にてユーザーが所定のアクティビティを選択することができ、その後、ユーザーは、ユーザーの身体に取り付けられたセンサを用いて、セーブ可能な目標姿勢またはポーズを作成するために位置を変更することができ、
バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)は、アラームが起動されるたびに開き、画面は、目標姿勢又は目標位置からの逸脱の視覚表示を提供し、
進捗チャート画面/ページ(608)は、目標姿勢または目標位置に到達したことおよび維持することに関して、履歴およびリアルタイムのデータをユーザーに提供する、
バイオフィードバックシステム(1)。」

第5 対比
1 「センサ装置」について
(1)引用発明の「センサ(101)」は、本願発明の「センサ装置」に相当する。
(2)引用発明における「センサ(101)」が「ユーザーの身体に取り付けられ」ることは、本願発明の「センサ装置がユーザーと物理的に関連づけられるように構成され」ることに相当する。
(3)引用発明の「センサ(101)」は、「コントローラ(301)」と通信する。
(4)引用発明の「センサ(101)」は、「ユーザーの水平方向および/または垂直方向の場の変化をジャイロスコープ的に測定」するから、少なくとも1つのジャイロスコープセンサを有しているといえ、そのため「1つ以上のセンサを備え」ていると認められる。
(5)引用発明の「センサ(101)」は、「ユーザーの水平方向および/または垂直方向の場の変化をジャイロスコープ的に測定し、ユーザーが目標姿勢を達成または目標姿勢から逸脱すると、アラームを起動」する。ここで、「ジャイロスコープ的に測定」した「ユーザーの水平方向および/または垂直方向の場の変化」はユーザーの「体勢」及び「動作」の変化によって生じるといえる。そして、ユーザーの姿勢が目標姿勢から逸脱しているかに応じてアラームが起動されることから、ユーザーの「体勢」及び「動作」が「監視」されているといえる。また、上記「監視」は、「センサ(101)」が「ユーザーの身体に取り付けられ」てから行われているといえる。
すなわち、引用発明における「センサ(101)」が「ユーザーの水平方向および/または垂直方向の場の変化をジャイロスコープ的に測定し、ユーザーが目標姿勢を達成または目標姿勢から逸脱すると、アラームを起動」することは、本願発明の「1つ以上のセンサが、前記センサ装置が前記ユーザーと物理的に関連づけられると、前記ユーザーの体勢及び前記ユーザーの1つ以上の動作を監視」することに相当する。

2 引用発明の「コントローラ(301)」は、本願発明の「ユーザー装置」に相当する。

3 引用発明の「目標姿勢」は、ユーザーが目標とする姿勢であるから、本願発明の「最適姿勢維持位」に相当する。

4 引用発明の「バイオフィードバックシステム(1)」は、「ユーザー」の姿勢について、姿勢が目標姿勢となるようにフィードバックを行うものであるから、本願発明の「姿勢を改善するシステム」に相当する。

5 「姿勢改善システムインタフェース」について
(1)引用発明の「進捗チャート画面/ページ(608)」は、「目標姿勢」に「到達したことおよび維持することに関して、履歴およびリアルタイムのデータをユーザーに提供する」ものであるところ、この「提供」は「表示」という形式で行われる。また、「目標姿勢」に「到達したことおよび維持すること」は、本願発明における「最適姿勢維持位」と「ユーザー」との「適合性」に相当する。
そうすると、引用発明の「進捗チャート画面/ページ(608)」が本願発明の「姿勢改善システムインタフェース」に相当し、引用発明の「進捗チャート画面/ページ(608)」が「目標姿勢」に「到達したことおよび維持することに関して、履歴およびリアルタイムのデータをユーザーに提供する」ことが、本願発明の「姿勢改善システムインタフェース上に」「適合性を表示」することに相当する。

(2)引用発明の「進捗チャート画面/ページ(608)」は「コントローラ(301)」の「内部表示画面」に表示される。そうすると、上記2で指摘したように引用発明の「コントローラ(301)」は本願発明の「ユーザー装置」に相当するから、引用発明の「進捗チャート画面/ページ(608)」が「コントローラ(301)」の「内部表示画面」に表示されることは、本願発明の「姿勢改善システムインタフェース」が、「ユーザー装置上で」「ユーザーに表示され」ることに相当する。

6 「姿勢改善ソフトウェアプログラム」について
(1)引用発明の「進捗チャート画面/ページ(608)」は「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」により表示されるものであるから、「進捗チャート画面/ページ(608)」は「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」に含まれるものといえる。
よって、引用発明の「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」は、本願発明の「姿勢改善システムインタフェースを含む姿勢改善ソフトウェアプログラム」に相当する。

(2)引用発明の「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」は「コントローラ(301)」にインストールされているから、「コントローラ(301)」上で作動するように構成されているといえる。そうすると、引用発明の「コントローラ(301)」は、本願発明の「ユーザー装置」に相当するから、引用発明の「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」は「1つ以上のユーザー装置上で作動するように構成され」ているといえる。

(3)上記1(3)にて、引用発明の「センサ(101)」は「コントローラ(301)」と通信する、と記載したところ、引用発明の「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」は「コントローラ(301)」にインストールされていることに鑑みれば、結局のところ「センサ(101)」は「バイオフィードバックシステムソフトウェア(401)」と通信しているといえる。
すなわち、引用発明の「センサ(101)がコントローラ(301)と通信」することは、本願発明の「センサ装置」が「姿勢改善ソフトウェアプログラムと通信」することに相当する。

(4)引用発明では、「姿勢及び位置画面/ページ(605)にてユーザーが所定のアクティビティを選択することができ」るところ、「ユーザー」が「選択」した「アクティビティ」が、本願発明の「ユーザーに関する情報」に相当する。そして、「姿勢及び位置画面/ページ(605)」にて「ユーザー」が「アクティビティ」の「選択」することが可能となっていることが、本願発明の「姿勢改善ソフトウェアプログラム」が、「ユーザーに関する情報を収集するように構成され」ることに相当する。

7 引用発明では「姿勢及び位置画面/ページ(605)にてユーザーが所定のアクティビティを選択することができ、その後、ユーザーは、ユーザーの身体に取り付けられたセンサを用いて、セーブ可能な目標姿勢またはポーズを作成するために位置を変更することができ」る。
ここで、「目標姿勢またはポーズ」はユーザーが行う「アクティビティ」の種類によって変わるものであるから、「目標姿勢またはポーズ」は「ユーザーの身体に取り付けられたセンサ」からのデータのみならず、「姿勢及び位置画面/ページ(605)」にて選択された「アクティビティ」の種類にも基づいて作成されていることは明らかである。
そうすると、引用発明の「姿勢及び位置画面/ページ(605)にてユーザーが所定のアクティビティを選択」し、「ユーザーの身体に取り付けられたセンサを用いて、セーブ可能な目標姿勢またはポーズを作成する」ことは、本願発明の「センサ装置によって通信されるデータ」、及び「ユーザーに関する収集された」「情報」に基づいて、「ユーザーの1つ以上の最適姿勢維持位を推定」することに相当する。

8 引用発明の「センサ(101)」は、「ユーザーが目標姿勢を達成または目標姿勢から逸脱すると、アラームを起動」するところ、「ユーザー」が「目標姿勢から逸脱すると、アラームを起動」することは、本願発明の「最適姿勢維持位」と「ユーザーとの適合性を監視」することに相当する。

9 引用発明の「バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)は、アラームが起動されるたびに開き、画面は、目標姿勢又は目標位置からの逸脱の視覚表示を提供」することについて、「アラーム」は「ユーザー」が「目標姿勢から逸脱」することで起動されるから、「最適姿勢維持位を維持することを注意喚起する」ために起動されるものであり、また、「目標姿勢から逸脱」することを検知することが、本願の「不適合性」の「検出」に相当する。さらに、引用発明の「目標姿勢又は目標位置からの逸脱の視覚表示を提供」することは、本願発明の「不適合性」を「ユーザーに通知」することに相当する。
よって、引用発明の「バイオフィードバックアラート画面/ページ(606)は、アラームが起動されるたびに開き、画面は、目標姿勢又は目標位置からの逸脱の視覚表示を提供」することは、本願発明の「ユーザーに前記1つ以上の最適姿勢維持位のうちの前記少なくとも1つを維持することを注意喚起するように、1つ以上の不適合性を検出し、該1つ以上の不適合性を前記ユーザーに通知」することに相当する。

10 引用発明では「ユーザー」の「姿勢」または「位置」が「目標姿勢」または「目標位置」から逸脱するとアラームが起動され、「デバイスマネージャ画面/ページ(604)では、目標位置からの許容逸脱を設定すること、及び、センサにてアラームが起動されるまでの許容される位置の逸脱の継続期間を指定することを含む、センサ(101)およびコントローラ(301)のパラメータをユーザーが設定することができ」る。そうすると、この「許容逸脱」を「ユーザーが設定することができ」ることは、本願発明の「不適合性」の「通知の感度が調節可能である」ことに相当する。

第6 判断
第5にて対比したように、本願発明と引用発明の間に差異は認められない。

第7 請求人の主張について
請求人は令和2年2月13日付けで提出の手続補正書(方式)の【請求の理由】(3)本願発明が特許されるべき理由や、令和2年6月8日付けで提出の上申書において、本願発明に対応する米国特許出願が米国にて特許されている旨を主張している。
しかし、請求人は本願発明が拒絶査定において引用された各引用文献に記載された発明に対して新規性及び進歩性を有するとする具体的な理由は何ら主張していない。
そのため、請求人の主張は採用できない。

第8 補正案について
なお、出願人は令和2年6月8日付けの上申書において、特許請求の範囲の補正案を提示している。当該補正案に記載の特許請求の範囲のうち、独立請求項は以下に記載される請求項1,3の2つである。
「[請求項1]
姿勢を改善するためのシステムであって:
センサ装置と;
姿勢改善システムインターフェースを含む姿勢改善ソフトウェアプログラムとを備え;
前記センサ装置は、ユーザと物理的に関連付けられるように構成され;
前記センサ装置は、1つまたはそれ以上のセンサと、無線通信装置と、ハウジングとを備え;
前記1つまたはそれ以上のセンサは、前記センサ装置が前記ユーザと物理的に関連付けられている場合、前記ユーザの物理的位置及び前記ユーザの1つまたはそれ以上の動きを監視し、
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムは、1つまたはそれ以上のユーザ装置上で作動するように構成され;
前記無線通信装置は、前記センサ装置が前記姿勢改善ソフトウェアプログラムと通信するように、前記1つまたはそれ以上のユーザ装置と通信するように構成され;
前記姿勢改善システムインターフェースは、前記1つまたはそれ以上のユーザ装置上で前記ユーザに表示され;
前記姿勢改善ソフトウェアプログラムは、前記ユーザに関する情報を収集するように構成され;
姿勢を改善するための前記システムは、前記センサ装置によって通信されたデータ及び前記収集された前記ユーザに関する情報に基づいて、前記ユーザのための1つまたはそれ以上の最適姿勢位置を計算し;
姿勢を改善するための前記システムは、前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置のうちの少なくとも1つとの前記ユーザの適合性を監視し;
姿勢を改善するための前記システムは、前記姿勢改善システムインターフェース上に前記適合性を表示し;
前記姿勢改善システムは、前記ユーザは前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置のうちの前記少なくとも1つを維持するように注意喚起されるように前記ユーザに1つまたはそれ以上の不適合を検出及び通知し、;
前記姿勢改善システムインターフェース上に一日の時間が表示され;
前記姿勢改善システムインターフェース上に心拍数が表示され;
前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置のうちの少なくとも1つを有する前記ユーザの前記適合性の前記表示は、ターゲット及び姿勢ターゲットアイコンを介して図示され;
前記姿勢ターゲットアイコンは、前記ユーザが前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置の前記少なくとも1つに適合しているときに、前記ターゲットの中心内に実質的に存在し;
前記ユーザが、前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置のうちの少なくとも1つを維持しない場合、前記姿勢ターゲットアイコンは前記ターゲットの前記中心内に実質的に存在せず、前記姿勢改善システムインターフェースは、前記1つまたはそれ以上の不適合を前記ユーザに通知し;及び
前記ユーザが、前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置のうちの少なくとも1つを維持しない場合、前記ユーザが前記不適合を是正するまで、前記ユーザ装置は実質的に無効にされることを含む姿勢を改善するためのシステム。
[請求項3]
姿勢及び深呼吸を改善するためのシステムであって:
センサ装置と、
姿勢及び深呼吸改善システムインターフェースを備えた姿勢及び深呼吸改善ソフトウェアプログラムとを備え、
前記センサ装置はユーザと物理的に関連付けられるように構成され;
前記センサ装置は、1つまたはそれ以上のセンサと、無線通信装置と、ハウジングとを備え;
前記1つまたはそれ以上のセンサは、前記センサ装置が前記ユーザと物理的に関連付けられている場合、前記ユーザの物理的位置及び前記ユーザの1つまたはそれ以上の動きを監視し;
前記姿勢及び深呼吸改善ソフトウェアプログラムは、1つまたはそれ以上のユーザ装置上で作動するように構成され;
前記無線通信装置は、前記センサ装置が前記姿勢及び深呼吸改善ソフトウェアプログラムと通信するように、前記1つまたはそれ以上のユーザ装置と通信するように構成され;
前記姿勢及び深呼吸改善システムインターフェースは、前記1つまたはそれ以上のユーザ装置上で前記ユーザに表示され;
前記姿勢及び深呼吸改善ソフトウェアプログラムは、前記ユーザに関する情報を収集するように構成され;
前記姿勢及び深呼吸を改善するためのシステムは、前記センサ装置によって通信されたデータ及び前記収集された前記ユーザに関する情報に基づいて、前記ユーザのための1つまたはそれ以上の最適姿勢位置を計算し;
前記姿勢及び深呼吸を改善するためのシステムは、前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置のうちの少なくとも1つとの前記ユーザの適合性を監視し;
前記姿勢及び深呼吸を改善するためのシステムは、前記姿勢及び深呼吸改善システムインターフェース上に前記適合性を表示し;
前記姿勢及び深呼吸改善のためのシステムは、前記ユーザは前記1つまたはそれ以上の最適姿勢位置のうちの前記少なくとも1つを維持するように注意喚起されるように前記ユーザに1つまたはそれ以上の不適合を検出及び通知し、;
前記姿勢及び深呼吸改善システムインターフェースは、1つまたはそれ以上のポップアップリマインダを前記ユーザに表示することを含み、及び
前記1つまたはそれ以上のポップアップリマインダのうちの少なくとも1つは、呼吸休憩を取ることである姿勢及び深呼吸を改善するためのシステム。」
念のため、上記補正案についても検討する。

1 補正案の請求項1に係る発明について
補正案の請求項1には「前記姿勢改善システムインターフェース上に一日の時間が表示され」及び「前記姿勢改善システムインターフェース上に心拍数が表示され」と記載されている。しかし、本願の国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(以下、「翻訳文等」という。)には、「姿勢改善システムインターフェース上」に「一日の時間」や「心拍数」を表示する点は記載されていない。
すなわち、補正案による請求項1についての補正のうち、「前記姿勢改善システムインターフェース上に一日の時間が表示され」及び「前記姿勢改善システムインターフェース上に心拍数が表示され」という記載を追加する補正は、請求項1に係る発明に新たな技術的事項を導入するものである。
そのため、上記補正案による補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

2 補正案による請求項3に係る発明について
補正案の請求項3には「姿勢及び深呼吸を改善するためのシステム」と記載されている。しかし、本願の翻訳文等には、「システム」が「深呼吸」を「改善」する点は記載されていない。
すなわち、補正案による請求項3についての補正のうち、「システム」が「深呼吸」を「改善」する点を追加する補正は、請求項3に係る発明に新たな技術的事項を導入するものである。
そのため、上記補正案による補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第9 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-06-22 
結審通知日 2020-06-24 
審決日 2020-07-10 
出願番号 特願2017-522420(P2017-522420)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 裕勝  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 森 竜介
磯野 光司
発明の名称 姿勢改善機器、システム及び方法  
代理人 浜田 治雄  

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