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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1368884
審判番号 不服2020-1667  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-06 
確定日 2020-11-30 
事件の表示 特願2015-174724「偏光板、反射防止積層体及び画像表示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 49536〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2015-174724号(以下「本件出願」という。)は、平成27年9月4日を出願日とする特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 元年 6月 5日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 7月29日 :手続補正書、意見書
令和 元年10月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 2年 2月 6日 :審判請求書
令和 2年 2月 6日 :手続補正書

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年2月6日にした手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1?4の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
円偏光を出射する画像表示装置の視認側に配置され、前記円偏光を直線偏光に変換する偏光板であって、
前記円偏光が入射する側から第1光学素子(R1)と第1偏光子(P1)とをこの順で備え、
前記第1光学素子は、光弾性係数が0.5×10^(-12)m^(2)/N以上20×10^(-12)m^(2)/N以下の材料で構成されることを特徴とする偏光板。
【請求項2】
前記第1偏光子(P1)より視認側にλ/4板を備える請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の偏光板と透明板とを備える反射防止積層体。
【請求項4】
前記透明板は、反射率が3%以下の表面処理層を備える請求項3に記載の反射防止積層体。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。
「 【請求項1】
円偏光を出射する画像表示装置の視認側に配置され、前記円偏光を直線偏光に変換する偏光板と、
前記偏光板の視認側に配置された透明板と、
前記偏光板と前記透明板との間に設けられたλ/4板と
を備える反射防止積層体であって、
前記偏光板は、前記円偏光が入射する側から第1光学素子(R1)と第1偏光子(P1)とをこの順で備え、
前記第1光学素子は、光弾性係数が0.5×10^(-12)m^(2)/N以上20×10^(-12)m^(2)/N以下の材料で構成されており、
前記透明板は、反射率が3%以下の表面処理層を備える反射防止積層体。」

2 本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1?3の全てを引用する請求項4に係る発明の、発明を特定するために必要な事項である「λ/4板」の位置を、本件出願の明細書の【0025】?【0026】の記載に基づいて、「前記偏光板と前記透明板との間に設けられた」と限定して、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)とする補正事項を含むものである。
また、本件補正前の請求項1?3の全てを引用する請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)と、本件補正後発明の産業上の利用分野及び発明が解決しようとする課題は、同一である(本件出願の明細書の【0001】及び【0005】)。
そうしてみると、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものであり、また、同条第5項2号に掲げる事項(特許請求の範囲の限定的減縮)を目的とする補正を含むものである。
そこで、本件補正後発明が特許法17条の2条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

3 独立特許要件違反についての判断
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2001-311949号公報(以下「引用文献1」という。)は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 手書き入力装置を備えた液晶表示装置の表示面側に、透明保護板を設けてなる入出力一体型表示装置において、この入出力一体型表示装置の表示面側の外表面に反射防止層を設け、前記透明保護板の表示面側または裏面側に第1の偏光板と位相差値が120?160nmの第1位相差板とを前記第1の偏光板が上になるように配設し、前記液晶表示装置の表示面側の表面に第2の偏光板としてのP/S偏光分離素子と位相差値が120?160nmの第2位相差板とを順次配設したことを特徴とする入出力一体型表示装置。
【請求項2】 前記液晶表示装置は、ほぼ平行に配置され配向制御膜および透明電極が形成された一対の透明基板の間に、旋光性物質を含有した誘電率異方性が正のネマチック液晶による液晶分子のねじれ角が160?300°とされた液晶層と、この液晶層を挟持する上下の透明基板の透明電極間に電圧を印加する手段とを備え、前記液晶層の下側に第3の偏光板を配設し、前記第1の偏光板と前記第3の偏光板との間に前記第1位相差板および第2位相差板の他に少なくとも1枚の位相差板を配設したことを特徴とする請求項1に記載の入出力一体型表示装置。」

イ 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入出力一体型表示装置に係り、特に液晶表示画面において入力ペン等により入力を行なうことができ、屋外の強い外光下でも視認性を著しく向上させることを可能とした入出力一体型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、中間に液晶を充填した2枚の透明基板の所定の部分に、選択的に電界を与えて特定の図形や文字等の情報を表示するための液晶表示装置がコンピュータや携帯電話等の表示装置として多く用いられている。
・・・中略・・・
【0005】このような液晶表示装置において、従来から、液晶表示画面に対して入力ペン等により入力を行なうことができる手書き入力装置を備えた入出力一体型の液晶表示装置が知られている。このような入出力一体型の液晶表示装置においては、入力ペンの筆圧から液晶表示装置を保護するため、液晶表示装置の表示面側に透明保護板を一定の間隙をもって配設するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の入出力一体型表示装置においては、液晶表示装置の表面側に透明保護板を設けるようにしているので、透明保護板と液晶表示装置との間に空気層との境界面が多く形成されてしまい、透明保護板から外光が入射した場合に、この入射光が各境界面で反射し、視認性が著しく低下してしまい、特に強い外光下では、表示画面を視認することができなくなるという問題を有している。
【0007】そのため、入射光が各薄膜の境界面で生じる反射光を互いに干渉するように設計し、反射防止効果を有する反射防止層を各境界面に設けることにより、表示画面の視認性を向上させることができるが、すべての境界面に対して反射防止層を設けると、生産性が著しく低下し、製造コストも高くなってしまう。
【0008】さらに、従来から、例えば、特開平10-301099号公報に開示されているように、円偏光を用いて外光の反射防止を行なう手段が知られている。この場合、屋外の強い外光下では表示画面の視認性は向上するものの、偏光板の枚数が多くなるため、表示画面が暗くなり、屋内における視認性が低下してしまうという問題を有している。
【0009】本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、屋外における外光下であってもその入射光の反射を低減させ、視認性を著しく向上させることのできる入出力一体型表示装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため請求項1に記載の発明に係る入出力一体型表示装置は、手書き入力装置を備えた液晶表示装置の表示面側に、透明保護板を設けてなる入出力一体型表示装置において、この入出力一体型表示装置の表示面側の外表面に反射防止層を設け、前記透明保護板の表示面側または裏面側に第1の偏光板と位相差値が120?160nmの第1位相差板とを前記第1の偏光板が上になるように配設し、前記液晶表示装置の表示面側の表面に第2の偏光板としてのP/S偏光分離素子と位相差値が120?160nmの第2位相差板とを順次配設したことを特徴とするものである。
【0011】この請求項1に記載の発明によれば、偏光板、第1および第2位相差板、P/S偏光分離素子をそれぞれ配設することにより、液晶表示装置からの液晶表示光は透明保護板から出射するが、外光が入射した場合の反射光は透明保護板から出射しなくなるので、屋外等の強い外光下であっても視認性を著しく高めることができる。しかも、従来の偏光板に変えてP/S偏光分離素子を配設するようにしているので、偏光板の偏光子として利用されているヨウ素や染料等による余分な光の吸収がなくなり、その結果、表示画面が明るくなり、表示画面の視認性を向上させることができる。」

ウ 「【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1から図4を参照して説明する。
【0015】図1は本発明に係る入出力一体型表示装置の実施の一形態を示したもので、本実施形態においては、入出力一体型表示装置は、液晶表示装置1を有している。
【0016】この液晶表示装置1は、ガラスまたはプラスチック等からなる一対の透明基板2,2を有しており、これら各透明基板2の互いに対向する面には、例えば、スパッタ法等の手段によりITO(In_(2)O_(3)-SnO_(2))、SnO_(2)等の電極材料を成膜した後にフォトリソ法等の手段により所望のパターンを形成してなる透明電極(図示せず)が形成されている。
【0017】また、前記各透明基板2の各透明電極の表面には、ポリイミド、ポリアミド等からなる膜の表面をラビングしたり、SiO等を斜め蒸着することにより配向制御膜(図示せず)を形成し、前記透明電極と配向制御膜との間に透明基板2間の短絡防止のためにTiO_(2)、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)等からなる絶縁膜(図示せず)を形成した後、一方の透明基板2にスペーサ材を散布し、他方の透明基板2の液晶パネルの周辺に対応する部分にシール材3を塗布し、これら各透明基板2を対向させ、熱圧着工程によりシール材3を硬化させて各透明基板2を固着する。その後、注入口、端子部等を切り出し、各透明基板2の間に液晶を注入し、注入口にエポキシ樹脂を塗布して封止し、前記透明電極間に電圧を印加する手段を接続して液晶表示装置1を構成するようになっている。なお、前記透明電極にAl、Cr、Ti等の低抵抗材料からなるリード電極(図示せず)を併設したり、透明電極の上側あるいは下側にカラーフィルタ(図示せず)を積層してもよい。
【0018】また、前記液晶表示装置1の表示面側には、所定間隙をもって透明保護板5が配置されており、この透明保護板5は、透明で一定の強度を有していればよく、例えば、ガラス、プラスチック樹脂等により形成することができ、特に、化学強化ガラスが好ましい。また、前記透明保護板5の厚さ寸法は、0.1?3.0mmとされる。これは、0.1mm未満では強度を確保することができず割れる可能性が極めて高くなってしまい、逆に3.0mmを越えると重くて厚くなってしまうためである。また、この透明保護板5の厚さ寸法は、特に0.4?1.1mmが好ましい。
【0019】この透明保護板5の表示面側の外表面には、反射防止層6が形成されており、この反射防止層6は、その反射率が1.5%以下であることが好ましく、特に1%以下が好ましい。さらに、反射防止層6の表面に微細な凹凸を形成して、外光を多方向に散乱させ、外光の反射光が直接眼に入ることがないように防眩効果をもたせたいわゆるアンチグレア層を形成するようにしてもよい。
【0020】さらに、透明保護板5の裏面側には、入射光を直接偏光に変える第1の偏光板7が配設されており、この偏光板7の液晶表示装置1側には、第1位相差板8が配設されている。この第1位相差板8の位相差値は、120?160nmが好ましく、特に130?150nmが好ましい。これら偏光板7および第1位相差板8は、反射防止層6から入射した外光が、透明保護板5の裏面と液晶表示装置1の表面で生じる反射光を少なくするために設けるものである。
【0021】また、本実施形態においては、前記液晶表示装置1の表側に位置する透明基板2の表示側には、第2の偏光板としてのP/S偏光分離素子9が配設されるとともに、このP/S偏光分離素子9の上側には、位相差値が120?160nmの第2位相差板10が設置される。この第2位相差板10の位相差値は、特に130?150nmが好ましい。さらに、前記液晶表示装置1の裏側に位置する透明基板2の下側には、第3の偏光板11が配設されている。また、このP/S偏光分離素子9は、図3に示すように、反射時にはS偏光が主利用光となり、透過時にはP偏光が主利用光となるものである。
【0022】そして、図4に示すように、透明保護板5の下側に配設された偏光板7とP/S偏光分離素子9とは、偏光板7の偏光軸20の方向と、P/S偏光分離素子9の透過偏光軸21の方向とがほぼ平行となるように配置されており、また、第1位相差板8と第2位相差板10とは、第1位相差板8の延伸軸22の方向と、第2位相差板10の延伸軸23の方向とがほぼ直交するように配置されている。さらに、偏光板7の偏光軸20と第1位相差板8の延伸軸22とのなす角θ_(1)は、40°≦θ_(1)≦50°とすることが好ましく、また、P/S偏光分離素子9の透過偏光軸21と第2位相差板10の延伸軸23とのなす角θ_(2)は、40°≦θ_(2)≦50°とすることが好ましい。
【0023】また、前記P/S偏光分離素子9は、強い外光下では反射光(S偏光)が強すぎて、そのままでは用いることができないことから、本実施形態においては、P/S偏光分離素子9を第2位相差板10の裏面側に配置するようになっている。
【0024】また、前記液晶表示装置1の裏面側には、例えば、タングステンランプ、LED、CCT等の光源(図示せず)を用いたバックライトユニット12が配設されており、このバックライトユニット12の裏面側には、手書き入力装置13が配設されている。この手書き入力装置13としては、例えば、電磁誘導方式、電磁授受方式あるいは静電容量方式等の各種入力装置を用いることができる。なお、静電容量方式の場合は、液晶表示装置1の透明電極により入力ペン14の位置検出を行なうことができるので、手書き入力装置13のデジタイザ部分が不要となる。」

エ 「【0031】次に、本実施形態の作用について説明する。
【0032】本実施形態においては、透明保護板5の偏光板7および第1位相差板8と、液晶表示装置1の第2位相差板10およびP/S偏光分離素子9とにより、外光が透明保護板5の裏面と液晶表示装置1の表面との間で生じる反射光を少なくするようになっている。すなわち、外光が透明保護板5から入射して偏光板7を通過すると、入射光は直線偏光となり、この入射光が第1位相差板8を通過すると円偏光状態となる。この光が第2位相差板10により反射されると、第2位相差板10を通過することにより、直線偏光に戻されるが、この反射光の偏光方向は、偏光板7による直線偏光の方向と90°ずれていることから、偏光板7を通過することができず、偏光板7から外部に出射する反射光を極めて少なくすることができる。
【0033】また、第2位相差板10を通過した入射光は、直線偏光に戻され、P/S偏光分離素子9によりS偏光が反射される。この場合、偏光板7の偏光軸とP/S偏光分離素子9の透過偏光軸はほぼ平行に配置されているので、反射光のS偏光は、偏光板7の偏光軸と90°ずれており、このP/S偏光分離素子9により反射されたS偏光も偏光板7を通過することができず、偏光板7から外部に出射するS偏光も極めて少なくすることができる。
【0034】一方、バックライトユニット12から照射される光は、偏光板11を通過して直線偏光となり、P/S偏光分離素子9によりP偏光のみが通過され、第2位相差板10および第1位相差板8によりそれぞれ偏光され、この偏光の偏光方向と偏光板7の偏光方向とが同じなので、バックライトユニット12の光は偏光板7を通過することができるものである。そのため、液晶表示装置1の裏面側からバックライトユニット12の光を照射した状態で、所定の表示情報に基づいて液晶に対して電圧を印加することにより、この液晶による表示を視認することができるようになっている。
【0035】したがって、本実施形態においては、偏光板7、第1および第2位相差板8,10、P/S偏光分離素子9をそれぞれ配設することにより、液晶表示装置1からの液晶表示光は透明保護板5から出射するが、外光が入射した場合の反射光は透明保護板5から出射しなくなるので、屋外等の強い外光下であっても視認性を著しく高めることができる。しかも、従来の偏光板に変えてP/S偏光分離素子9を配設するようにしているので、偏光板の偏光子として利用されているヨウ素や染料等による余分な光の吸収がなくなり、その結果、表示画面が明るくなり、表示画面の視認性を向上させることができる。」

オ 「【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
[実施例]まず、第1の基板として、ガラス基板上に設けられたITOの透明電極をストライプ状にバターニング(当合議体注:「バターニング」は「パターニング」の誤記である。)し、SiO_(2)による短絡防止用の絶縁膜を形成し、その上にポリイミドのオーバーコートをスピンコートし、これをラビングして配向制御膜を形成した基板を作成した。
【0038】第2の基板として、ガラス基板上に設けられたITOの透明電極を第1の基板と直交するようにストライプ状にバターニング(当合議体注:「バターニング」は「パターニング」の誤記である。)し、SiO_(2)による短絡防止用の絶縁膜を形成した後、ポリイミドのオーバーコートをスピンコートし、これをラビングして配向制御膜を形成した基板を作成した。
【0039】この2枚の基板の周辺をシール材でシールして、液晶セル(当合議体注:「液晶セル」は「液晶」の意味と理解される。)を注入する層を形成し、この層に誘電異方性が正のネマチック液晶を注入して、注入口を封止した。
【0040】この液晶セルの片側に位相差板を積層し、さらにその上にはP/S偏光分離素子(住友3M製DBEF-A)を積層し、さらに上側に140nmの位相差板を配置し、液晶セルの下側には半透過板付偏光板(日東電工製NPF-EG4225P3)を配置して、ポジ型の白黒液晶表示装置を作成した。
【0041】この時、液晶層は240°ねじれの左らせんとし、Δn・d=0.87μm、位相差板の位相差値を585nmとし、この液晶表示装置の裏面側には白色LEDのバックライトユニットを配置した。
【0042】さらに、透明保護板は、0.7mmの化学強化ガラスとし、その上側には反射率が0.3%の反射防止層、下側には偏光板(日東電工製NPF-EG1425DU)と140nmの位相差板を積層した。この時、偏光板の偏光軸は、液晶表示装置の上側のP/S偏光分離素子の透過偏光軸と同じ方向とし、140nmの位相差板の延伸軸は液晶表示装置側の140nmの位相差板の延伸軸と直交するように、相対関係はθ_(1)=45°、θ_(2)=45°とした。
【0043】この入出力一体型表示装置を1/160デューティ、1/12バイアスで駆動した場合、強い外光下でも鮮明な表示が得られ、視認性が向上した。
[比較例1]比較例として、P/S偏光分離素子の代わりに通常の偏光板(日東電工製NPF-EG1425DU)を用いて、入出力一体型表示装置を作成した。実施例は比較例に比べ、明るく見え、透過率が約10%向上し、屋内での視認性も向上することができた。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように請求項1に記載の発明に係る入出力一体型表示装置は、外光の反射光の出射を防止して屋外等の強い外光下であっても視認性を著しく高めることができる。しかも、従来の偏光板に変えてP/S偏光分離素子を配設するようにしているので、偏光板の偏光子として利用されているヨウ素や染料等による余分な光の吸収がなくなり、その結果、表示画面が明るくなり、表示画面の視認性を向上させることができる。」

カ 図1




キ 図4




(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)によれば、引用文献1の【0037】?【0043】には、図1及び図4に記載された実施の形態を具体化した「実施例」の「入出力一体型表示装置」が記載されている。また、【0035】の記載からみて、この「入出力一体型表示装置」は、「偏光板7、位相差板8及び位相差板10、P/S偏光分離素子9をそれぞれ配設することにより、液晶表示装置1からの液晶表示光は透明保護板5から出射するが、外光が入射した場合の反射光は透明保護板5から出射しなくなるので、屋外等の強い外光下であっても視認性を著しく高めることができる」ものである。
そうしてみると、引用文献1には、次の「入出力一体型表示装置」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
(当合議体注:各部材を区別するため図1に記載の符号を付し、「位相差板8」及び「位相差板10」の序数詞、各部材の入手先等の記載は省略した。なお、θ_(1)及びθ_(2)の定義は、【0022】の記載を考慮した。)

(引用発明)
「第1の基板として、ガラス基板上に設けられたITOの透明電極をストライプ状にパターニングし、SiO_(2)による短絡防止用の絶縁膜を形成し、その上にポリイミドのオーバーコートをスピンコートし、これをラビングして配向制御膜を形成した基板を作成し、
第2の基板として、ガラス基板上に設けられたITOの透明電極を第1の基板と直交するようにストライプ状にパターニングし、SiO_(2)による短絡防止用の絶縁膜を形成した後、ポリイミドのオーバーコートをスピンコートし、これをラビングして配向制御膜を形成した基板を作成し、
この2枚の基板の周辺をシール材3でシールして、液晶を注入する層を形成し、この層に誘電異方性が正のネマチック液晶を注入して、注入口を封止し、
この液晶セルの片側に位相差板を積層し、さらにその上にはP/S偏光分離素子9を積層し、さらに上側に140nmの位相差板10を配置し、液晶セルの下側には半透過板付偏光板11を配置して液晶表示装置1を作成し、
さらに、透明保護板5は、0.7mmの化学強化ガラスとし、
その上側には反射率が0.3%の反射防止層6、下側には偏光板7と140nmの位相差板8をこの順で積層し、この時、偏光板7の偏光軸20は、P/S偏光分離素子9の透過偏光軸21と同じ方向とし、140nmの位相差板8の延伸軸22は140nmの位相差板10の延伸軸23と直交するように、相対関係はθ_(1)=45°、θ_(2)=45°とし、
ここで、θ_(1)は、偏光板7の偏光軸20と位相差板8の延伸軸22とのなす角であり、θ_(2)は、P/S偏光分離素子9の透過偏光軸21と位相差板10の延伸軸23とのなす角であり、
偏光板7、位相差板8及び位相差板10、P/S偏光分離素子9をそれぞれ配設することにより、液晶表示装置1からの液晶表示光は透明保護板5から出射するが、外光が入射した場合の反射光は透明保護板5から出射しなくなるので、屋外等の強い外光下であっても視認性を著しく高めることができる、
入出力一体型表示装置。」

(3)引用文献4
原査定の拒絶の理由において引用された、米国特許出願公開第2006/0262255号明細書(以下「引用文献4」という。)は、本件出願前に日本国内及び外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
なお、下線は当合議体が付したものであり、判断等に活用した箇所を示す。

ア 「[0005] Certain embodiments of liquid crystal displays and liquid crystal display functional parts have low reflection for outdoor applications and also have the advantage of being able to provide increased contrast and brightness for certain convenient viewing directions for outdoor viewers wearing polarized sunglasses.」
(日本語仮訳)
「[0005]液晶ディスプレイ及び液晶ディスプレイ機能部品の特定の実施形態は、戸外用途のために低反射であり、偏光サングラスを装着した戸外視聴者のために、特定の好都合な視線方向のための増加したコントラストと輝度を提供することができるという利点を有している。」

イ 「[0048] Referring now to FIG. 2, a liquid crystal display having non-linearly polarized light output, abbreviated as NLP-LCD hereafter, is shown.」
(日本語仮訳)
「[0048]ここで図2を参照すると、非直線偏光出力を有する液晶ディスプレイをこれ以降、NLP-LCDと省略されるものが示されている。」

ウ 「[0075] FIG. 12 is a diagram schematically illustrating an NLP-LCD 1200 structure integrated together with functional parts.
・・・
[0080] Additionally, a third retarder layer 1203 can be disposed forward of the second linear polarizer 807. The third retarder layer 1203 may comprise, for example, a quarter wave retarder having a retardance of about (2k+1)λ/4, where k is an integer and λ is between about 400 nm-700 nm. This third retarder layer 1203 can be a single sheet retarder, a stack of laminated or loose sheets, or a film or multiple films. Additionally, this third retarder layer 1203 may comprise combinations of quarter wave plates, half wave plates, or full wave plates. In certain embodiments, the slow axis of the third retarder layer 1203 is at an angle substantially in the range of about 25° to 65° or ?(25° to 65°), an may be at about 45° or ?45° with respect to the polarization axis of the second linear polarizer 807. Addition of the third retarder layer 1203 converts the otherwise linearly polarized output of the integrated NLP-LCD 1200 to a non-linearly polarized transmission. As discussed above in connection with FIGS. 6A-6C and 7A-7B, a circularly or elliptically polarized output provides more homogeneity to a wide variety of viewing zones for viewers wearing polarized sunglasses.」
(日本語仮訳)
「[0075]図12は、機能部品と統合されたNLP-LCD1200構造を概略的に図示する図である。導電膜を備えた機能部品は、NLP-LCD統合構造1200を形成するために、NLP-LCDシェル構造800(図8参照)に容易に組み込むことができる。
・・・中略・・・
[0080]さらに、第3のリターダ層1203を、第2の直線偏光子807前面に配置できる。第3のリターダ層1203は、例えば、約(2k+1)λ/4(kは整数であり、λは約400?700ナノメータ(nm))のリターダンスを有する1/4波リターダを備えていてもよい。この第3のリターダ層1203は、単一のシートリターダ、積層された又は分離したシートの積層であってもよく、あるいは一枚のフィルム又は複数枚のフィルムであってもよい。さらに、この第3のリターダ層1203は、1/4波長板、1/2波長板、1波長板の組合せを備えていてもよい。特定の実施形態では、第3のリターダ層1203の遅相軸は、第2の直線偏光子807の偏光軸に対して、実質的に25°?65°又は-(25°?65°)の範囲の角度であってもよいし、約45°又は-約45°であってもよい。第3のリターダ層1203を追加することにより、統合されたNLP-LCD1200のさもなければ直線偏光された出力を非直線偏光された透過に変換する。図6A?6C及び7A?7Bに関連してすでに考察したように、円又は楕円偏光出力は、偏光サングラスを装着した広範囲にわたる視聴者の視聴領域に対し、より均質性をもたらす。」

エ FIG.12




(4)対比
本件補正後発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。

ア 画像表示装置
引用発明の「入出力一体型表示装置」において、「液晶表示装置1」は、「液晶セルの片側に位相差板を積層し、さらにその上にはP/S偏光分離素子9を積層し、さらに上側に140nmの位相差板10を配置し、液晶セルの下側には半透過板付偏光板11を配置して」なる。
ここで、「液晶表示装置1」が「画像表示装置」といえることは技術常識である。また、上記「液晶セル」、「P/S偏光分離素子9」及び「140nmの位相差板10」(当合議体注:λ/4位相差板と理解される。)の積層関係からみて、引用発明の「液晶表示装置1」は、円偏光を出射するものである。
そうしてみると、引用発明の「液晶表示装置1」は、本件補正後発明の「画像表示装置」に相当するとともに、本件補正後発明の「画像表示装置」における、「円偏光を出射する」という要件を満たす。

イ 第1光学素子(R1)、第1偏光子(P1)、偏光板
引用発明の「入出力一体型表示装置」において、「透明保護板5は、0.7mmの化学強化ガラスとし」、「その上側には反射率が0.3%の反射防止層6、下側には偏光板7と140nmの位相差板8をこの順で積層し、この時、偏光板7の偏光軸20は、P/S偏光分離素子9の透過偏光軸21と同じ方向とし、140nmの位相差板8の延伸軸22は140nmの位相差板10の延伸軸23と直交するように、相対関係はθ_(1)=45°、θ_(2)=45°とし」、「ここで、θ_(1)は、偏光板7の偏光軸20と位相差板8の延伸軸22とのなす角であり、θ_(2)は、P/S偏光分離素子9の透過偏光軸21と位相差板10の延伸軸23とのなす角であり」、「偏光板7、位相差板8及び位相差板10、P/S偏光分離素子9をそれぞれ配設することにより、液晶表示装置1からの液晶表示光は透明保護板5から出射する」ものとされている。
上記の積層関係及び液晶表示光の出射機能からみて、引用発明の「位相差板8」及び「偏光板7」を併せたもの(以下「円偏光板」という。)は、「液晶表示装置1」の視認側に配置され、「液晶表示装置1」から出射された円偏光を直線偏光に変換し偏光光として出射する偏光板といえる。また、引用発明の「位相差板8」及び「偏光板7」は、その機能からみてそれぞれ「光学素子」及び「偏光子」ということができ、また、これに「第1」といった序数詞や「R1」といった符号を付して称しても、その構成は変わらない。
そうしてみると、引用発明の「位相差板8」、「偏光板7」及び「円偏光板」は、それぞれ本件補正後発明の「第1光学素子(R1)」、「第1偏光子(P1)」及び「偏光板」に相当する。また、引用発明の「円偏光板」は、本件補正発明の「偏光板」における、「円偏光を出射する画像表示装置の視認側に配置され、前記円偏光を直線偏光に変換する」及び「円偏光が入射する側から第1光学素子(R1)と第1偏光子(P1)とをこの順で備え」という要件を満たす。

ウ 透明板、表面処理層、反射防止積層体
前記イで述べた積層関係からみて、引用発明の「透明保護板5」は、「円偏光板」の視認側に配置されたものであり、また、その文言が意味するとおり「透明」な「板」といえる。さらに、引用発明の「反射防止層6」の反射率は、3%より小さい「0.3%」である。加えて、引用発明の「入出力一体型表示装置」のうち、「位相差板8」、「偏光板7」、「透明保護板5」及び「反射防止層6」を併せたもの(以下「前面板」という。)は、「反射」を「防止」する機能を有する「積層体」といえる。
そうしてみると、引用発明の「透明保護板5」及び「前面板」は、それぞれ本件補正後発明の「透明板」及び「反射防止積層体」に相当する。また、引用発明の「透明保護板5」は、本件補正後発明の「透明板」の「前記偏光板の視認側に配置された」という要件を満たす。さらに、引用発明の「反射防止層6」と本件補正後発明の「表面処理層」は、「反射率が3%以下の」「層」の点で共通するとともに、引用発明の「透明保護板5」と本件補正後発明の「透明板」は、「反射率が3%以下の」「層を備える」点で共通する。加えて、引用発明の「前面板」と本件補正後発明の「反射防止積層体」は、「偏光板と」、「透明板と」「を備える」点で共通する。

(5)一致点及び相違点
ア 一致点
本件補正後発明と引用発明は、次の構成で一致する。
「円偏光を出射する画像表示装置の視認側に配置され、前記円偏光を直線偏光に変換する偏光板と、
前記偏光板の視認側に配置された透明板と、
を備える反射防止積層体であって、
前記偏光板は、前記円偏光が入射する側から第1光学素子(R1)と第1偏光子(P1)とをこの順で備え、
前記透明板は、反射率が3%以下の層を備える反射防止積層体。」

イ 相違点
本件補正後発明と引用発明(の前面板)は、以下の点で相違する,又は一応相違する。
(相違点1)
「反射防止積層体」が、本件補正後発明は、「偏光板と前記透明板との間に設けられたλ/4板」を備えるのに対して、引用発明は「λ/4板」を有していない点。

(相違点2)
「第1光学素子」が、本願補正後発明は、「光弾性係数が0.5×10^(-12)m^(2)/N以上20×10^(-12)m^(2)/N以下の材料で構成されて」いるのに対して、引用発明では、材料及びその光弾性係数が特定されていない点。

(相違点3)
「反射率が3%以下の層」が、本件補正後発明は、「表面処理」層であるのに対して、引用発明は、このような文言で特定されたものでない点。

(6)判断
ア 相違点1について
引用文献4の[0080]及び図12(前記(3)参照。)からは、「NLP-LCD1200」において、「第3のリターダ層1203を、第2の直線偏光子807前面に配置でき」、「第3のリターダ層1203は」、「1/4波リターダを備え」、「第3のリターダ層1203の遅相軸は、第2の直線偏光子807の偏光軸に対して」「約45°又は-約45°で」、「第3のリターダ層1203を追加することにより」、「直線偏光された出力を非直線偏光された透過に変換」できることが記載されており、このような事項は、一般的に行われている事項といえる(以下「引用文献4記載技術」という。)。
ここで、「NLP-LCD」は、「非直線偏光出力を有する液晶ディスプレイ」の略称であり([0048])、また、この構成は、「戸外用途のために低反射であり、偏光サングラスを装着した戸外視聴者のために、特定の好都合な視線方向のための増加したコントラストと輝度を提供することができるという利点を有している」([0005])。
ところで、引用発明の「入出力一体型表示装置」は、「屋外等の強い外光下」での使用を前提としたものであるから、引用文献4記載技術を適用するに適したものといえる。そして、引用発明に対して引用文献4記載技術を適用して上記の利点を得るためには、「1/4波リターダ」を「偏光板7」よりも視認側に配置する必要があり、ただし、「透明保護板5」よりも視認側に配置したのでは、「透明保護板5」の保護機能を活かせない。
以上勘案すると、引用発明において「1/4波リターダ」を「偏光板7」と「透明保護板5」の間に設けること、すなわち、相違点1に係る本件補正後発明の構成を採用することは、当業者における通常の創意工夫の範囲内の事項である。

イ 相違点2について
高温高湿環境下でレタデーションの変化を小さくするために、画像表示装置に適用される位相差フィルムの光弾性係数を「光弾性係数が0.5×10^(-12)m^(2)/N以上20×10^(-12)m^(2)/N以下の材料で構成」することは、例えば、特開2009-122454号公報(【0036】)及び特開2008-250237号公報(【0028】)に記載されているとおり、本件出願前の周知技術である。
そして、「透明保護板5」を具備する、引用発明の「入出力一体型表示装置」は、「屋外等の強い外光下で」の使用に供されるものであるから、高温高湿環境下での「透明保護板5」のレタデーション変化は小さいことが好ましいことは明らかである。
そうすると、引用発明の「位相差板8」を、「光弾性係数が0.5×10^(-12)m^(2)/N以上20×10^(-12)m^(2)/N以下の材料」で構成して、相違点2に係る本件補正後発明の構成に到ることは、上記周知技術を心得た当業者にとって格別困難なことではない。

ウ 相違点3について
本件出願の明細書の【0054】には、「表面処理層21として、屈折率の異なる層の多層積層体が好適に用いられる。」と記載されている。そして、このような多層積層体は、耐擦傷性を有する反射防止層として典型的なものである。
そうしてみると、引用発明の「反射防止層6」を、本件補正後発明でいう「表面処理層」とすることは、当業者が自然に採用する構成にすぎない。

(7)発明の効果について
本件出願の明細書には、発明の効果に関する明示的な記載はない。ただし、発明の目的に関して、本件出願の明細書の【0006】には、「本発明は、上記課題に鑑み、パブリックディスプレイの低反射率化及び視認性向上の可能な偏光板、反射防止積層体及び画像表示システムの提供を目的とする。」と記載されているから、この目的を達することが、本件補正後発明の課題であると善解できる。
しかしながら、このような効果は、引用発明において引用文献4記載技術を採用する当業者が期待する効果にとどまる。

(8)請求人の主張について
請求人は、令和2年2月6日提出の審判請求書において、概略、以下の点を主張している。
ア 引用発明では従来の「偏光板(偏光子)」に代えて「P/S偏光分離素子」を用いることを特徴としていることから、従来の「第1直線偏光子」が用いられている引用文献4の技術を引用発明に採用することには阻害要因がある点。
イ 引用文献7及び8に記載された光弾性係数の値は、本件補正後発明における「第1光学素子(R1)」に相当する部材の光弾性係数ではない点。

上記主張について検討する。
上記アについて、引用発明において引用文献4記載技術を採用する際には、「1/4波リターダ」を組み合わせれば足り、引用発明の「P/S偏光分離素子」まで引用文献4に記載されたもの(従来の偏光板)に変更する必要はない。
上記イについては、前記(6)イで述べたとおりである。
以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できない。

(9)小括
本件補正後発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献4に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 補正の却下の決定のむすび
本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]に記載のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2」[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本件出願前に日本国内及び外国において頒布された刊行物である、特開2001-311949号公報(引用文献1)に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

3 引用文献及び引用発明
引用文献1の記載及び引用発明は、前記「第2」[理由]3(1)及び(2)に記載したとおりである。

4 対比及び判断
本願発明は、前記「第2」[理由]3で検討した本件補正後発明から「前記偏光板の視認側に配置された透明板と、前記偏光板と前記透明板との間に設けられたλ/4板とを備える反射防止積層体であって、前記透明板は、反射率が3%以下の表面処理層を備える反射防止積層体」との限定を省いたものに相当する。そして、本願発明の構成を全て具備し、さらに上記限定を有する、本件補正後発明は、前記「第2」[理由]3で述べたとおり、引用文献1に記載された発明、引用文献4に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。また、本願発明については、上記限定を有さないから、引用文献4に記載された技術については考慮する必要がない。
そうしてみると、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2020-09-25 
結審通知日 2020-09-29 
審決日 2020-10-16 
出願番号 特願2015-174724(P2015-174724)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 慎平清水 督史菅原 奈津子  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 福村 拓
里村 利光
発明の名称 偏光板、反射防止積層体及び画像表示システム  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
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