• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C23C
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  C23C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C23C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C23C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C23C
管理番号 1368964
異議申立番号 異議2019-700448  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-06-04 
確定日 2020-10-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6432072号発明「メタルマスク基材、および、メタルマスクの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6432072号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕、4について訂正することを認める。 特許第6432072号の請求項1?4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6432072号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、2016年(平成28年)3月22日(優先権主張 平成27年7月17日(JP)日本国)を国際出願日とする出願であって、平成30年11月16日にその特許権の設定登録がされ、同年12月5日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許の請求項1?4に係る特許に対して、令和1年6月4日付けで特許異議申立人林紀美江(以下、「申立人1」という。)による特許異議の申立てがされ、同年6月5日付けで特許異議申立人佐藤徹(以下、「申立人2」という。)による特許異議の申立てがされた。
その後の経緯(提出書類等)は、概略、以下のとおりである。
令和 1年 8月30日付け 取消理由通知
同年11月 1日 意見書(特許権者)
同年11月12日付け 申立人1及び申立人2に対する審尋
同年12月13日 回答書(申立人1)
同年12月13日 回答書(申立人2)
令和 2年 1月17日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 3月23日 意見書及び訂正請求書(特許権者)
同年 4月27日 意見書(申立人1)
同年 4月28日 意見書(申立人2)
同年 5月19日付け 特許権者に対する審尋
同年 6月24日 回答書(特許権者)
同年 8月 6日 上申書(申立人2)
同年 9月18日 上申書(特許権者)

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和2年3月23日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であり」と記載されているのを、「10μm以上50μm以下の厚さを有し、鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であり」に訂正する。請求項1を引用する請求項2及び3について同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に「鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であって」と記載されているのを、「10μm以上50μm以下の厚さを有し、鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であって」に訂正する。

なお、訂正前の請求項2及び3は、訂正前の請求項1を引用し、これら請求項1?3は一群の請求項を構成するところ、上記訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、この一群の請求項1?3を訂正の単位として請求されたものである。

2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「圧延材」の厚さを「10μm以上50μm以下」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付した明細書には、「金属層の厚さは、例えば、10μm以上50μm以下であることが好ましい。」(段落【0026】)、及び、「圧延材21bの厚さは、例えば、10μm以上50μm以下である。」(段落【0056】)と記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項4に記載された「圧延材」の厚さを「10μm以上50μm以下」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付した明細書には、「金属層の厚さは、例えば、10μm以上50μm以下であることが好ましい。」(段落【0026】)、及び、「圧延材21bの厚さは、例えば、10μm以上50μm以下である。」(段落【0056】)と記載されているから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものである。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕、4について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 訂正後の本件発明
本件訂正の請求により訂正された請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」?「本件発明4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するためのメタルマスク基材であって、
前記メタルマスク基材は、
10μm以上50μm以下の厚さを有し、鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であり、
5μm以上20μm以下の厚さを有した前記ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の表面を備え、
前記表面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、
前記表面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下である
メタルマスク基材。
【請求項2】
前記表面が第1面であり、
前記ドライフィルムレジストが第1ドライフィルムレジストであり、
前記第1面とは反対側の面であって、5μm以上20μm以下の厚さを有した第2ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記第2ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記第2ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の第2面をさらに備え、
前記第2面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、
前記第2面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下である
請求項1に記載のメタルマスク基材。
【請求項3】
前記表面は、インバー製である
請求項1または2に記載のメタルマスク基材。
【請求項4】
パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するメタルマスクの製造方法であって、
10μm以上50μm以下の厚さを有し、鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であって、5μm以上20μm以下の厚さを有した前記ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の表面を備え、前記表面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、前記表面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下であるメタルマスク基材を準備することと、
前記表面に前記ドライフィルムレジストを貼り付けることと、
前記メタルマスク基材に、前記メタルマスク基材の厚さ方向に沿って窪み、かつ、前記表面に開口を有した複数の凹部を形成するための貫通孔を前記ドライフィルムレジストに形成することと、
前記ドライフィルムレジストを介して、前記メタルマスク基材に複数の前記凹部を形成することと、を備える
メタルマスクの製造方法。」

2 取消理由(決定の予告)の概要について
令和2年1月17日付けの取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。

(取消理由)
訂正前の請求項1?4に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明及び同引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(引用文献一覧)
引用文献1:特開2015-129334号公報
(申立人1提出の甲第1号証、申立人2提出の甲第1号証)
引用文献2:特許第5641462号公報
(申立人2提出の甲第7号証)
引用文献3:特開平9-209176号公報
(申立人1提出の甲第2号証、申立人2提出の甲第2号証)
引用文献4:TADAO TSUKADA et al., "EVALUATION OF TWO- AND THREE-
DIMENSIONAL SURFACE ROUGHNESS PROFILES AND THEIR
CONFIDENCE", Wear, 1986, Vol.109, p.69-78
(申立人1提出の甲第3号証、申立人2提出の甲第10号証)
引用文献5:ISO 25178-2:2012
(申立人2提出の甲第4号証)
引用文献6:特開平11-140667号公報
(申立人2提出の甲第6号証)
引用文献7:国際公開第2014/038510号
(申立人2提出の甲第11号証)

3 引用文献の記載事項及び引用発明について
(1)引用文献1の記載事項(下線は当審が付した。以下、同様である。)
ア 「【0008】
本発明は、
複数の貫通孔を有し、前記貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクの製造方法において、
第1面と、前記第1面とは反対側に設けられるとともに蒸着時には前記基板側に配置される第2面とを有する金属基材を準備する工程と、
前記金属基材の前記第1面に第1面側樹脂層を設けると共に、当該金属基材の前記第2面に第2面側樹脂層を設ける工程と、
前記第1面側樹脂層および前記第2面側樹脂層を露光して現像することにより、前記第1面側樹脂層に第1面側樹脂層開口部を形成すると共に、前記第2面側樹脂層に第2面側樹脂層開口部を形成する工程と、
前記第1面側樹脂層開口部を介して前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程であって、当該金属基材に、前記第2面側樹脂層開口部に連通して当該第2面側樹脂層開口部とともに前記貫通孔を画成する基材穴を形成する工程と、を備え、
前記第2面側樹脂層開口部の壁面は、前記基材穴の壁面よりも前記貫通孔の内側に配置されることを特徴とする積層マスクの製造方法、
を提供する。」
イ 「【0040】
金属板21は、36%Niインバー材により形成することができ、金属板21の厚さは、例えば、10μm?100μmとすることが好適である。」
ウ 「【0041】
第1面側樹脂層43および第2面側樹脂層46は、金属板21のエッチング時にマスク(あるいはレジスト)として機能する。このため、第1面側樹脂層43および第2面側樹脂層46は、金属板21をエッチングする際に使用される塩化鉄第二水溶液等のエッチング液に対する耐エッチング性、金属板21との密着性を有していることが好適である。・・・」
エ 「【0065】
以上のような積層マスク20によれば、貫通孔25の一部を画成する第2面側樹脂層開口部48の壁面48が、第1面側樹脂層開口部44の壁面45および基材穴30の壁面31よりも貫通孔25の内側に配置される。この場合、貫通孔25の最小断面積の部分を、形状精度の良い第2面側樹脂層開口部47によって画成することができる。すなわち、第2面側樹脂層開口部47は、露光および現像によって形成することができるため、貫通孔25の最小断面積の部分を露光および現像によって精度良く形成することができる。このため、貫通孔25の形状の精度を向上させることができ、蒸着のパターニング精度を向上させることができる。とりわけ、有機ELディスプレイ装置では、高価な蒸着材料98を高精細なパターンで基板92上にパターニングすることが所望されている。このため、本実施の形態の積層マスク20は、有機ELディスプレイ装置を製造するために用いられる積層マスクに特に適している。
オ 「【0068】
次に、このような積層マスク20の製造方法について、主に図8?図15を用いて説明する。
【0069】
図8には、積層マスク20を作製するための製造装置60が示されている。図8に示すように、まず、長尺金属板71を供給コア61に巻き取った巻き体62が準備される。そして、この供給コア61が回転して巻き体62が巻き戻されることにより、図8に示すように帯状に延びる長尺金属板71が供給される。長尺金属板71に第1面側樹脂層43および第2面側樹脂層46が積層されて長尺状の積層体70が形成される。この積層体70に貫通孔25が形成されるとともに保護フィルム84が貼り付けられて、その後切断されることにより枚葉状の保護フィルム付き積層マスク50が得られる。したがって、上述したように、長尺金属板71は、例えば36%Niインバー材からなる。ただし、これに限られず、ステンレス、銅、鉄、アルミニウムからなるシートを長尺金属板71として用いることも可能である。
【0072】
続いて、図10に示すように、長尺金属板71の第1面71a上に第1面側樹脂層43が形成されるとともに、長尺金属板71の第2面71b上に第2面側樹脂層46が形成される。具体的には、長尺金属板71の第1面71a上および長尺金属板71の第2面71b上に、上述したアジド化合物を含む液状のゴム系感光性材料の感光性材料、または液状のアクリル系ネガ型感光性樹脂の感光性材料が塗布されて硬化される。このようにして、長尺金属板71上に第1面側樹脂層43および第2面側樹脂層46が形成される。なお、アクリル系ネガ型感光性樹脂を用いる場合には、これらの樹脂層は、ドライフィルムレジストを長尺金属板71の第1面71aおよび第2面71bにラミネートして形成することもできる。この場合、ドライフィルムレジストは、2μm?15μmの厚さを有し、真空ラミネーターを用いてラミネートされることが好適である。このことにより、ドライフィルムレジストと長尺金属板71との間に気泡が入ることを防止し、後のエッチング工程において欠陥が生じることを防止できる。また、このようなドライフィルムレジストを用いる場合、露光して現像した後に、150度以上の温度でベークすることが好ましい。このことにより、樹脂層の強度を向上させることができるとともに、積層マスクを洗浄するために使用されるアルカリ洗浄液に対する耐アルカリ性を持つことができる。
【0073】
次に、図11および図12に示すように、第1面側樹脂層43および第2面側樹脂層46が露光されて現像される。この場合、まず、樹脂層43、46のうちの除去したい領域に光を透過させないようにした第1ガラス乾板(第1露光マス)67および第2ガラス乾板(第2露光マスク)48を準備する。続いて、第1ガラス乾板67が第1面側樹脂層43の上方に配置され、第2ガラス乾板68が第2面側樹脂層46の下方に配置される。この際、第1ガラス乾板67および第2ガラス乾板68は、互いに位置合わせされる。次に、露光光L2を照射して、第1面側樹脂層43を、第1ガラス乾板67を介して露光し、第2面側樹脂層46を、第2ガラス乾板68を介して露光する(図11参照)。この際、第1面側樹脂層43と第2面側樹脂層46とは、同時に露光することが好適である。その後、第1面側樹脂層43および第2面側樹脂層46を炭酸ナトリウム溶液を用いて現像する(図12参照)。このことにより、樹脂層のうち露光されていない領域が除去されて、第1面側樹脂層43に所望のパターンで第1面側樹脂層開口部44が形成されるとともに、第2面側樹脂層46に所望のパターンで第2面側樹脂層開口部47が形成される。この際、第1面側樹脂層開口部44は、積層マスク20の金属板21に形成される基材穴30の平面形状に対応する平面形状を有し、第2面側樹脂層開口部47は、積層マスク20の金属板21に形成される基材凹部35の平面形状に対応する平面形状を有する。その後、第1面側樹脂層43および第2面側樹脂層46がベーク(硬化)される。
【0075】
次に、図13に示すように、長尺金属板71が第2面71bの側からエッチングされる。この場合、長尺金属板71は、第2面側樹脂層46をマスクとして、噴射されるエッチング液(例えば塩化第二鉄溶液)によって長尺金属板71の第2面71b側からエッチングされる。この結果、図13に示すように、第2面側樹脂層開口部47を介して長尺金属板71がエッチングされ、長尺金属板71の第2面71bの側に基材凹部35が形成される。すなわち、長尺金属板71のうち第2面側樹脂層開口部47の領域で、エッチング液による浸食が進む。以上のようにして、第2面71bの側から長尺金属板71に多数の基材凹部35が形成される。エッチング液による浸食は、長尺金属板71の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、第2面側樹脂層開口部47から長尺金属板71の板面に沿った方向にも進む。このため、長尺金属板71の第2面71b上における基材凹部35の平面視の輪郭は、第2面側樹脂層開口部47の輪郭より大きくなる。
・・・
【0078】
その後、図14に示すように、第2面側樹脂層46の長尺金属板71の側とは反対側の面上に、保護フィルム84が貼り付けられる。このことにより、保護フィルム84によって、上記のように形成された基材凹部35が被覆される。すなわち、エッチング液に対する耐エッチング性を有した保護フィルム84によって、基材凹部35が封止される。この保護フィルム84は、長尺金属板71の第2面71bに以下の工程で使用されるエッチング液が入り込まないように貼り付けられることが好ましい。
【0079】
次に、図15に示すように、長尺金属板71に対して第2回目のエッチングが行われ、長尺金属板71が第1面71aの側からエッチングされる。この場合、長尺金属板71は、第1面側樹脂層43をマスクとして、噴射されるエッチング液(例えば、塩化第二鉄水溶液)によって長尺金属板71の第1面71aの側からエッチングされる。この結果、図15に示すように、第1面側樹脂層開口部44を介して長尺金属板71の第1面71aがエッチングされ、長尺金属板71に基材穴30が形成される。すなわち、第1面側樹脂層開口部44の領域で、エッチング液による浸食が進む。このようにして、第1面71aの側から長尺金属板71に多数の基材穴30が形成される。エッチング液による浸食は、長尺金属板71の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、第1面側樹脂層開口部44から長尺金属板71の板面に沿った方向にも進む。このため、長尺金属板71の第1面71a上における基材穴30の平面視の輪郭は、第1面側樹脂層開口部44の輪郭よりも大きくなる。
【0080】
この第1面71aの側からのエッチングは、エッチングにより形成される基材穴30が、第2面側樹脂層46に達するまで行われる。このことにより、互いに連通した基材穴30と第2面側樹脂層開口部47とによって画成される貫通孔25が形成される。この際、基材穴30は基材凹部35を包含するように形成され、基材凹部35は残存しなくなる。
・・・
【0083】
このようにして、長尺金属板71の第1面71aの側からのエッチングが予め設定した量だけ進んで、長尺金属板71に対する第2回目のエッチングが終了する。これにより、長尺金属板71と第1面側樹脂層43と第2面側樹脂層46との有する積層体70に、互いに通じ合っている基材穴30、第1面側樹脂層開口部44および第2面側樹脂層開口部47によって画成される貫通孔25が形成される。
【0084】
以上のようにして多数の貫通孔25が形成された長尺状の保護フィルム付き積層体70は、図8に示すように、当該積層体70を狭持した状態で回転する搬送ローラ65、65により、切断装置(切断手段)66へ搬送される。切断装置66において、長尺状の積層体70が所定の長さに切断される。このようにして、枚葉状の保護フィルム付き積層マスク50が得られる。なお、この搬送ローラ65、65の回転によって長尺金属板71に作用するテンション(張力)を介し、上述した供給コア61が回転させられ、巻き体62から長尺金属板71が供給されるようになっている。」

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)ア、イ及びオの記載事項を「長尺金属板」に注目して整理すると、引用文献1には、
「第1面と、第1面とは反対側に設けられるとともに蒸着時には基板側に配置される第2面とを有する長尺金属板を準備する工程と、
長尺金属板の第1面及び第2面に、2μm?15μmの厚さのドライフィルムレジストをラミネートして、長尺金属板の第1面に第1面側樹脂層を設けると共に、長尺金属板の第2面に第2面側樹脂層を設ける工程と、
第1面側樹脂層及び第2面側樹脂層を露光して現像することにより、第1面側樹脂層に第1面側樹脂層開口部を形成すると共に、第2面側樹脂層に第2面側樹脂層開口部を形成する工程と、
第2面側樹脂層開口部を介して長尺金属板を第2面側からエッチングして、長尺金属板の第2面側に、第2面側樹脂層開口部の輪郭より大きな輪郭の基材凹部を形成する工程と、
第1面側樹脂層開口部を介して長尺金属板を第1面側からエッチングして、長尺金属板の第1面側に、第1面側樹脂層開口部の輪郭よりも大きな輪郭を有し、第2面側樹脂層開口部に連通して第2面側樹脂層開口部とともに貫通孔を画成する基材穴を形成する工程であって、第2面側樹脂層開口部の壁面は、基材穴の壁面よりも内側に配置される貫通孔を形成する工程とを備える、
複数の貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクの製造方法において使用される長尺金属板であって、
10μm?100μmの厚さを有し、36%Niインバー材により形成された長尺金属板。」
の発明(以下、「引用1発明1」という。)が記載されていると認められる。

また、上記(1)ア、イ及びオの記載事項を「積層マスクの製造方法」に注目して整理すると、引用文献1には、
「第1面と、第1面とは反対側に設けられるとともに蒸着時には基板側に配置される第2面とを有する長尺金属板を準備する工程と、
長尺金属板の第1面及び第2面に、2μm?15μmの厚さのドライフィルムレジストをラミネートして、長尺金属板の第1面に第1面側樹脂層を設けると共に、長尺金属板の第2面に第2面側樹脂層を設ける工程と、
第1面側樹脂層及び第2面側樹脂層を露光して現像することにより、第1面側樹脂層に第1面側樹脂層開口部を形成すると共に、第2面側樹脂層に第2面側樹脂層開口部を形成する工程と、
第2面側樹脂層開口部を介して長尺金属板を第2面側からエッチングして、長尺金属板の第2面側に、第2面側樹脂層開口部の輪郭より大きな輪郭の基材凹部を形成する工程と、
第1面側樹脂層開口部を介して長尺金属板を第1面側からエッチングして、長尺金属板の第1面側に、第1面側樹脂層開口部の輪郭よりも大きな輪郭を有し、第2面側樹脂層開口部に連通して第2面側樹脂層開口部とともに貫通孔を画成する基材穴を形成する工程であって、第2面側樹脂層開口部の壁面は、基材穴の壁面よりも内側に配置される貫通孔を形成する工程とを備える、
複数の貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクの製造方法であって、
長尺金属板は、10μm?100μmの厚さを有し、36%Niインバー材により形成された長尺金属板である、積層マスクの製造方法。」
の発明(以下、「引用1発明2」という。)が記載されていると認められる。

(3)引用文献3の記載事項
ア 「【0003】しかし、最近になってリードフレームの多ピン化やブラウン管用シャドウマスクの高精細化が要求されるに伴い、エッチング加工には従来にない超微細加工が要求されるようになってきたことから、エッチング加工の際に生じるサイドエッチングによるエッチング精度の限界が問題となってきた。このサイドエッチングとは、エッチング加工の際にFe-Ni系合金薄板の表面とフォトレジストの密着が不十分であるため、フォトレジストとFe-Ni系合金薄板表面との接着面に僅かな剥離が生じてしまい、その剥離部分の隙間に腐食液が入り込みフォトレジストによってカバーされた部分をも侵食してしまう現象である。」
イ 「【0007】また、上述のリードの薄幅化に対応するためのエッチングを行う場合、薄板の方向によりエッチングの進行速度の微妙な違いからエッチング加工にムラが生じることが問題となってきており、薄板の方向によりエッチング速度に差がなく、より精度の高いFe-Ni系合金薄板が求められている。そこで本発明は上述した問題に鑑み、サイドエッチングを効果的に防止するとともに薄板の方向によるエッチング速度の違いを少なくすることでエッチング加工性に優れたFe-Ni系合金薄板を提供することを目的とする。」
ウ 「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のような表面粗さを大きくする方法では、表面を粗くすることにより生じた粗さの谷にまで完全にフォトレジストを浸透させることができず、微小に残留するフォトレジストの未密着部の存在がサイドエッチングの改善を妨げていることを見出した。そして、極めて微細な0.25mm以下のリード幅を要求されるリードフレーム材にも適用が可能のように素材の表面状態とサイドエッチング等のエッチング特性との関係を再検討した。その結果、本発明者らは、従来のように表面粗さを高める手法でなく、反対に表面粗さを極力抑えることで、微小なフォトレジストの未密着部に起因するサイドエッチングを抑えることができることを見出した。」
エ 「【0010】すなわち、本発明は、冷間圧延仕上げを行ったFe-Ni系合金薄板において、圧延方向と圧延方向に垂直な方向の表面粗さを十点平均粗さでそれぞれRz_(L)およびRz_(T)とする時、Rz_(L)≦0.5μm、Rz_(T)≦0.5μmの値を満足することでフォトレジストとFe-Ni系合金薄板表面との間に十分な密着性を得ることができ、その結果、高精度のエッチング加工性に優れたFe-Ni系合金薄板である。更に1<Rz_(T)/Rz_(L)≦4の値を満足することでRz_(L)とRz_(T)との間に大きな差を生じさせないことにより、エッチング加工時の薄板の方向によるエッチング速度の差を生じ難くしたことでエッチング加工性をより改善することができる。」
オ 「【0013】
【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴の一つは、Fe-Ni系合金薄板の表面粗さを極力小さくすることでエッチング加工時に使用されるフォトレジストとFe-Ni系合金薄板表面との密着性がより改善されることを見いだした点にある。具体的には、圧延方向と圧延方向に垂直な方向の表面粗さを十点平均粗さでそれぞれRz_(L)およびRz_(T)とする時、Rz_(L)≦0.5μm、Rz_(T)≦0.5μmの値を満足することにより、Fe-Ni系合金薄板表面とフォトレジストとの密着性はより強固となる。
【0014】よって、Fe-Ni系合金薄板表面とフォトレジストとの間に隙間が発生せず、腐食時における腐食液の回り込みによるサイドエッチングが抑えられ、この結果、0.25mm以下といった極めて細いリードを有する高精度のリードフレームをも十分にエッチング加工することができるのである。また、本発明の表面粗さを別の表現で表せば、圧延方向と圧延方向に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さでそれぞれRa_(L)およびRa_(T)とする時、Ra_(L)≦0.08μm、Ra_(T)≦0.08μm、表面粗さの最大値Rmax.を1.0μm以下程度に相当する。」

4 取消理由の検討
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と引用1発明1との対比
(ア)本件発明1と引用1発明1とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。
・引用1発明1の「基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスク」は、本件発明1の「蒸着用のメタルマスク」に相当する。
・引用1発明1の「ドライフィルムレジストをラミネート」することで設けられた「第2面側樹脂層」は、本件発明1の「ドライフィルムレジスト」に相当する。
・引用1発明1の「第2面側樹脂層を露光して現像することにより」「第2面側樹脂層開口部」が形成された「第2面側樹脂層」は、本件発明1の「ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされたドライフィルムレジスト」に相当する。
・引用1発明1の「第2面側樹脂層」の「第2面側樹脂層開口部を介し」た「エッチング」は、本件発明1の「パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチング」に相当する。
・引用1発明1の「第2面側樹脂層開口部とともに貫通孔を画成する基材穴を形成」することにより「複数」の「貫通孔」を形成することは、本件発明1の「エッチングによって複数の貫通孔を形成すること」に相当する。
・引用1発明1の「長尺金属板」は、積層マスクの製造方法に使用されるものであるから、本件発明1の「メタルマスク基材」に相当する。
・引用1発明1の「36%Niインバー材」は、本件発明1の「鉄とニッケルとを主成分とする合金」に相当する。
・引用1発明1の「長尺金属板」の「第2面」は、ドライフィルムレジストをラミネートされ、第2面側樹脂層の第2面側樹脂層開口部を介してエッチングされる面であるから、本件発明1の「表面」に相当する。

(イ)以上の点に照らすと、本件発明1と引用1発明1との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するためのメタルマスク基材であって、
前記メタルマスク基材は、鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製であり、
前記ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の表面を備えた、
メタルマスク基材。」
(相違点1)
本件発明1のメタルマスク基材は、「10μm以上50μm以下の厚さ」の「圧延材」であるのに対して、引用1発明1の長尺金属板は、「10μm?100μmの厚さ」であり、圧延材であることは明らかでない点。
(相違点2)
本件発明1のドライフィルムレジストは、「5μm以上20μm以下の厚さ」であるのに対して、引用1発明1の第2面側樹脂層は、「2μm?15μmの厚さ」である点。
(相違点3)
本件発明1では、メタルマスク基材の表面について、「前記表面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、前記表面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下である」ことが特定されているのに対して、引用1発明1では、長尺金属板の表面の三次元粗さが明らかでない点。

イ 相違点の検討
事案に鑑み、まず上記相違点3について検討をする。
引用文献3には、上記3(3)ア?オに摘示したとおり、Fe-Ni系合金薄板の圧延方向と圧延方向に垂直な方向の二次元表面粗さの十点平均粗さRzを0.5μm以下、中心線平均粗さRaを0.08μm以下、又は、最大表面粗さRmaxを1.0μm以下にすることで、エッチング加工時に使用されるフォトレジストとFe-Ni系合金薄板との密着性を改善して、Fe-Ni系合金薄板のエッチング加工精度を改善するとの技術的事項が記載されている。
一方、引用1発明1における、多層マスクの貫通孔の形状の精度は、上記3(1)エによれば、貫通孔の最小断面積である第2面側樹脂層開口部の露光及び現像によって決まるものであり、第2面側樹脂層開口部を介した長尺金属板のエッチングによって決まるものでないから、引用1発明1の多層マスクの貫通孔の形状の精度を向上させるために、引用文献3に記載された技術的事項を適用することは、当業者であっても困難といわざるをえない。
また、引用文献1には、上記3(1)ウによれば、第2面側樹脂層は、長尺金属板との密着性を有していることが好適であると記載されていることから、引用1発明1における長尺金属板と第2面側樹脂層の密着性との観点から、引用文献3に記載された技術的事項に基づき、長尺金属板の第2面を平滑にすることが容易に想到できるとしても、引用文献3に記載された表面粗さは、ドライフィルムレジストとFe-Ni系合金薄板の密着性の観点から特定された三次元表面粗さSaや三次元表面粗さSzの数値範囲を特定するものではないから、引用1発明1の長尺金属板の第2面の三次元表面粗さSaを0.11μm以下とし、三次元表面粗さSzを3.17μm以下とすることは、当業者が容易に導き出せるものでない。
そして、引用文献2及び引用文献4?7には、メタルマスク基材の表面の三次元表面粗さとドライフィルムレジストの密着性に関する技術思想は記載も示唆もされていないことから、これらの引用文献に記載された技術的事項を参酌しても、引用1発明1の長尺金属板の第2面の三次元表面粗さSaを0.11μm以下とし、三次元表面粗さSzを3.17μm以下とすることは、当業者が容易になし得ることとはいえない。
したがって、上記相違点1及び2について検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(2)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の特定事項をさらに減縮したものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(3)本件発明4について
ア 本件発明4と引用1発明2との対比
(ア)本件発明4と引用1発明2とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。
・引用1発明2の「基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクの製造方法」は、本件発明4の「蒸着用のメタルマスクを製造するメタルマスクの製造方法」に相当する。
・引用1発明2の「ドライフィルムレジストをラミネート」することで設けられた「第2面側樹脂層」は、本件発明4の「ドライフィルムレジスト」に相当する。
・引用1発明2の「第2面側樹脂層を露光して現像することにより」「第2面側樹脂層開口部」が形成された「第2面側樹脂層」は、本件発明4の「ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされたドライフィルムレジスト」に相当する。
・引用1発明2の「第2面側樹脂層に第2面側樹脂層開口部を形成する」ことは、第2面側樹脂層開口部が、長尺金属板に基材凹部を形成するためのものであるから、本件発明4の「メタルマスク基材に、メタルマスク基材の厚さ方向に沿って窪み、かつ、表面に開口を有した複数の凹部を形成するための貫通孔をドライフィルムレジストに形成する」ことに相当する。
・引用1発明2の「第2面側樹脂層」の「第2面側樹脂層開口部を介し」た「エッチング」は、本件発明4の「パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチング」に相当する。
・引用1発明2の「第2面側樹脂層開口部の輪郭より大きな輪郭の基材凹部を形成」し、「第2面側樹脂層開口部とともに貫通孔を画成する基材穴を形成」することにより「複数」の「貫通孔」を形成することは、本件発明4の「エッチングによって複数の貫通孔を形成すること」に相当する。
・引用1発明2の「長尺金属板」は、積層マスクの製造方法に使用されるものであるから、本件発明4の「メタルマスク基材」に相当する。
・引用1発明2の「36%Niインバー材」は、本件発明4の「鉄とニッケルとを主成分とする合金」に相当する。
・引用1発明2の「長尺金属板」の「第2面」は、ドライフィルムレジストをラミネートされ、第2面側樹脂層の第2面側樹脂層開口部を介してエッチングされる面であるであるから、本件発明4の「表面」に相当する。

(イ)以上の点に照らすと、本件発明4と引用1発明2との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するメタルマスクの製造方法であって、
鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製であって、前記ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の表面を備えるメタルマスク基材を準備することと、
前記表面に前記ドライフィルムレジストを貼り付けることと、
前記メタルマスク基材に、前記メタルマスク基材の厚さ方向に沿って窪み、かつ、前記表面に開口を有した複数の凹部を形成するための貫通孔を前記ドライフィルムレジストに形成することと、
前記ドライフィルムレジストを介して、前記メタルマスク基材に複数の前記凹部を形成することと、を備える
メタルマスクの製造方法。」
(相違点4)
本件発明4のメタルマスク基材は、「10μm以上50μm以下の厚さ」の「圧延材」であるのに対して、引用1発明2の長尺金属板は、「10μm?100μmの厚さ」であり、圧延材であることは明らかでない点。
(相違点5)
本件発明4のドライフィルムレジストは、「5μm以上20μm以下の厚さ」であるのに対して、引用1発明2の第2面側樹脂層は、「2μm?15μmの厚さ」である点。
(相違点6)
本件発明4では、メタルマスク基材の表面について、「前記表面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、前記表面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下である」ことが特定されているのに対して、引用1発明2では、長尺金属板の表面の三次元粗さが明らかでない点。

イ 相違点の検討
事案に鑑み、まず上記相違点6について検討をすると、当該相違点6は、上記(1)イにおいて検討した相違点3と同じ事項であるから、当該相違点3の検討と同様、相違点6に係る本件発明4の発明特定事項についても容易想到の事項ということはできない。
したがって、上記相違点4及び5について検討をするまでもなく、本件発明4は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(4)小括
以上の検討のとおりであるから、取消理由に理由はない。

5 取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第36条第4項第1号所定の規定違反に係る申立理由について
ア 申立人1は、本件明細書の発明の詳細な説明には、メタルマスク基材の製造方法について「圧延工程」及び「アニール工程」を有することが記載されているものの、「表面」の三次元表面粗さを「Saが0.11μm以下」、「Szが3.17μm以下」に制御するための具体的な製造条件が記載されておらず、当業者が訂正前の請求項1?4に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしてない特許出願に対してなされたものである旨の申立理由を主張している(申立人1提出の特許異議申立書第17頁第14行?第20頁第8行)。
そこで検討するに、上記引用文献3(申立人1提出の甲第2号証、申立人2提出の甲第2号証)の「上記の値を満足する表面粗さを得るためには、例えば、冷間圧延の際に使用するロールの表面粗さを制御する」(段落【0011】)との記載や、上記引用文献6(申立人2提出の甲第6号証)の「本発明の基材は、鋼塊の圧延によって製造した鋼板の表面を、表面の粗度を調整したロールによって圧延を行うことによって鋼板の表面の粗度を所定の大きさとする方法、圧延後の鋼板の表面を研磨材を用いた物理的研磨、化学研磨、電解研磨等によって研磨する方法によって製造することができ、具体的には、物理的研磨の場合、バフ研磨やロール研磨材あるいはフィルム研磨材を用いた研磨等の方法によって製造することができ、なかでもロール研磨材あるいはフィルム研磨材を用いた研磨の場合、粉粒を次の工程に持ち込まずより好ましい。」(段落【0017】)との記載からみて、圧延ロールの表面粗度を調整するなどして、金属基材の表面粗さを制御することは、慣用の手法であるというべきであるから、当該慣用の手法を踏まえれば、メタルマスク基材の表面の三次元表面粗さを「Saが0.11μm以下」、「Szが3.17μm以下」に制御することは、当業者が過度な試行錯誤を要することなく実施できるものといえる。
したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。

イ 申立人2は、本件明細書の発明の詳細な説明には、メタルマスク基材の具体的な製造条件も、第1及び第2ドライフィルムレジストの具体的な材料も具体的な性状も、第1ドライフィルレジスト/金属層/第2ドライフィルムレジストの積層体にかけた熱や圧力の具体的条件も、金属層の第2表面の三次元表面粗さSa及びSzも記載されておらず、当業者が訂正前の請求項1?4に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしてない特許出願に対してなされたものである旨の申立理由を主張している(申立人提出の異議申立書第45頁第17行?第46頁第22行)。
そこで検討するに、メタルマスク基材の具体的な製造条件については、上記アで検討したとおりである。
また、本件明細書の発明の詳細な説明には、第1及び第2ドライフィルムレジストの材料や性状や、第1ドライフィルレジスト/金属層/第2ドライフィルムレジストの積層体に加える貼り付け条件が記載されていないことからして、特別なドライフィルムレジストや貼り付け条件が使用されているのでなく、メタルマスクの製造に使用される一般的なドライフィルムレジストや貼り付け条件で実施されているとみるのが自然である。
さらに、本件明細書の発明の詳細な説明には、メタルマスク基材の第1面の三次元表面粗さと第1ドライフィルムレジストとの密着性やマスク形状の精度について記載されているから、メタルマスク基材の第2面に対しても、第1面と同様に実施できることも、当業者であれば理解できる。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1?4を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるから、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

(2)特許法第36条第6項第1号所定の規定違反に係る申立理由について
ア 申立人1は、訂正前の請求項1?4に係る発明は、「5μm以上20μm以下の厚さを有した前記ドライフィルムレジストが貼り付けられ」るとの特定事項を含むところ、本件明細書の発明の詳細な説明で実際に効果が確認されているドライフィルムレジストの厚み等が記載されていないため、本件課題が解決されるものと認識し得る程度に記載又は示唆があるといえず、訂正前の請求項1?4に係る発明の範囲まで拡張又は一般化できるといえないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしてない特許出願に対してなされたものである旨の申立理由を主張している(申立人1提出の特許異議申立書第20頁第9行?第22頁第10行)。
そこで検討するに、本件明細書の発明の詳細な説明には、第1及び第2ドライフィルムレジストの厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましいこと(段落【0028】、【0032】)が記載され、そして、実施例のドライフィルムレジストの厚みは、前記記載の厚みと同程度のものであるとみるのが自然であるから、本件発明1?4は、発明の詳細な説明に記載された発明であると、当業者が認識できるものである。
したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。

イ 申立人2は、本件明細書の発明の詳細な説明の実施例には、メタルマスク基材の一部分の三次元表面粗さしか測定されておらず、それによって、ドライフィルムレジストとの密着性が接触面全体において保障されるものでなく、本件課題が解決できることを当業者が認識できる程度に記載されているといえないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしてない特許出願に対してなされたものである旨の申立理由を主張している(申立人2提出の特許異議申立書第46頁第24行?第47頁第5行)。
そこで検討するに、マスク基材の表面とドライフィルムレジストとの密着性を高めて、マスク開口の寸法精度を向上されるとの本件課題(段落【0007】、【0050】、【0110】等)に対して、本件明細書の発明の詳細な説明の実施例では、段落【0081】?【0088】に記載されたマスク基材の表面粗さの測定方法で評価された三次元表面粗さSaが0.11μm以下及びSzが3.17μm以下である場合に、本件課題が解決できることが記載されている。一方、本件発明1?4の三次元表面粗さSa及びSzも、上記測定方法によって評価されたものといえるから、本件発明1?4についても、実施例と同様に、本件課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものと解することができる。
したがって、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

ウ 申立人2は、訂正前の請求項1?4に係る発明は、第1及び第2ドライフィルムレジストの材料や性状の特定がなく、第1ドライフィルレジスト/金属層/第2ドライフィルムレジストの積層体にかけた熱や圧力の条件の特定がないため、発明の課題が解決できない態様が含まれることは明らかであるから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしてない特許出願に対してなされたものである旨の申立理由を主張している(申立人2提出の特許異議申立書第47頁第6行?同頁第21行)。
そこで検討するに、上記(1)イで検討したと同様に、本件発明1?4においても、メタルマスクの製造に使用される一般的なドライフィルムレジストを使用して、一般的な条件でドライフィルムレジストをメタルマスク基材に貼り付けているといえるから、本件課題が解決できない態様を含まないことは、当業者にとって明らかである。
したがって、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

エ 申立人2は、本件明細書の発明の詳細な説明の実施例には、メタルマスク基材の片方の表面の三次元表面粗さSa及びSzが測定されているのみであり、第2面の三次元表面粗さSa及びSzが不明であるため、本件発明2のように、第1面及び第2面の両面で所定の三次元表面粗さSa及びSzを満たず場合の効果が確認されていないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしてない特許出願に対してなされたものである旨の申立理由を主張している(申立人2提出の特許異議申立書第47頁第22行?同頁第27行)。
そこで検討するに、上記(1)イで検討したとおり、発明の詳細な説明の実施例には、メタルマスク基材の第1面の三次元表面粗さと、第1ドライフィルムレジストとの密着性やマスク開口の寸法精度との関係が記載されているし、さらに、メタルマスク基材の第2面に対しても、第1面と同様の三次元表面粗さとすることで、同様な効果が得られることを当業者であれば認識できると解するのが相当である。
したがって、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

(3)特許法第36条第6項第2号所定の規定違反に係る申立理由について
申立人2は、訂正前の請求項1?3に係る発明は実質「金属製の圧延材」であるのに、当該発明が規定する、「メタルマスク基材」として用いられることや、5μm以上20μm以下の厚さを有するパターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしてエッチングすることによって複数の貫通孔を形成すること等は、単なる用途であって、当該「金属製の圧延材」自体の構造・特性を特徴付けるものでないため、物の発明との関係が不明確であるから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしてない特許出願に対してなされたものである旨の申立理由を主張している(申立人2提出の特許異議申立書第47頁第31行?第48頁第14行)。
そこで検討するに、確かに、本件発明1は、「メタルマスク基材」や、「パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するため」といった、用途に関連する発明特定事項を有するものであるが、このような事項を有するからといって、直ちに明確性要件違反となるわけではない。むしろ、これらの事項は、本件発明1に係るメタルマスク基材を有意に特定するものであり、実際、本件発明1?3に係る請求項1?3の記載をみると、メタルマスク基材としての構造やその用途を明確に理解することができるのであるから、当該記載に、第三者に不測の不利益を及ぼすほどの不備があるとは認められない。
したがって、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

(4)特許法第29条第1項第3号及び第2項所定の規定違反に係る申立理由について
ア 申立人1は、本件明細書の発明の詳細な説明に、メタルマスク基材の「表面」の三次元表面粗さを「Saが0.11μm以下」、「Szが3.17μm以下」に制御するための具体的な製造条件が記載されていないことを根拠に、当該三次元表面粗さSa及びSzは、一般的な圧延工程で得られたものであるとした上で、訂正前の請求項1?4に係る発明は、甲第1号証(上記引用文献1)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1?4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである旨の申立理由を主張している(申立人1提出の特許異議申立書第22頁第13行?第24頁第21行、第28頁第13行?第29頁第13行、同頁第19行?同頁第27行、第30頁第5行?第32頁第9行)。
そこで検討するに、甲第1号証には、上記3(2)で検討したとおりの引用1発明1及び引用1発明2が記載されていると認められる。
次に、本件発明1?3と引用1発明1とを対比すると、上記4(1)ア(イ)に示した相違点3の点で少なくとも相違している。また、本件発明4と引用1発明2とを対比すると、上記4(3)ア(イ)に示した相違点6の点で少なくとも相違している。
そして、一般的な圧延工程で製造した金属板における三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、三次元表面粗さSzが3.17μm以下であるというに足りる証拠も見当たらないから、上記相違点3及び6は実質的なものといえる。
したがって、本件発明1?4は、甲第1号証に記載された発明といえないから、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。

イ 申立人2は、訂正前の請求項1に記載された「メタルマスク基材」として用いられることや、5μm以上20μm以下の厚さを有するパターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしてエッチングすることによって複数の貫通孔を形成すること等は、単なる用途であって、「金属製の圧延材」自体の構造・特性を特徴付けるものでなく、訂正前の請求項1に係る発明は、三次元表面粗さとして、Saが0.11μm以下であり、かつ、Szが3.17μm以下であることを規定する金属製の圧延材に過ぎないと主張した上で、訂正前の請求項1?3に係る発明は、甲第2号証(上記引用文献3)に記載された発明、甲第6号証(上記引用文献6)に記載された発明、又は、甲第8号証(特開平5-290724号公報)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、あるいは、これらの発明と技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1?3に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである旨の申立理由を主張している(申立人2提出の異議申立書第39頁第22行?第45頁第15行)。
そこで検討するに、上記(3)で検討したとおり、本件発明1における「メタルマスク基材」や、「パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するため」ものであることは、本件発明1?3を有意に特定するものであるから、申立人2の主張する上記申立理由は、その前提を欠くものといわざるを得ない。
また、甲第2号証には、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2の記載によれば、「冷間圧延仕上げを行ったFe-Ni系合金薄板において、圧延方向と圧延方向に垂直な方向の表面粗さを十点平均粗さでそれぞれRz_(L)およびRz_(T)とする時、Rz_(L)≦0.5μm、Rz_(T)≦0.5μmの値を満足し、かつ、1<Rz_(T)/Rz_(L)≦4の値を満足するエッチング加工性に優れたFe-Ni系合金薄板。」の発明(以下、「甲2発明」という。)が、甲第6号証には、その特許請求の範囲の請求項1の記載によれば、「金属基材上に形成した感光性樹脂層を露光してレジストのパターンを形成した後にエッチングすることによって金属基材にパターンを形成するエッチング用基材において、エッチング基材の表面の中心線平均粗さRaが0.10μm以下であり、最大粗さRmaxが1.0μm以下であるエッチング用基材。」の発明(以下、「甲6発明」という。)が、さらに、甲第8号証には、その明細書の段落【0004】の記載によれば、「平均粗度Raが約0.15?0.45μm、最大粗度Rmaxが4.5μm以下の低粗度材からなるシャドウマスク素材。」の発明(以下、「甲8発明1」という。)、及び、「平均粗度Raが約0.50?0.80μm、最大粗度Rmaxが6.0μm以下のいわゆる高粗度材からなるシャドウマスク素材。」の発明(以下、「甲8発明2」という。)が、それぞれ記載されていると認められるものの、これら甲2発明、甲6発明、甲8発明1及び甲8発明2はいずれも、二次元表面粗さを特定するにとどまり、三次元表面粗さSa及び三次元表面粗さSzについて教示するものではない。
また、当該甲2発明、甲6発明、甲8発明1及び甲8発明2は、ドライフィルムレジストとの密着性の観点から表面粗さを特定するものでないから、当業者といえども、それらの二次元表面粗さに関する規定を根拠にして、本件発明1に係る三次元表面粗さSa及び三次元表面粗さSzに関する規定を容易に導き出せるとは言い難い。
したがって、本件発明1?3は、甲第2号証に記載された発明、甲第6号証に記載された発明、又は、甲第8号証に記載された発明であるといえないし、これらの発明と技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1?4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するためのメタルマスク基材であって、
前記メタルマスク基材は、
10μm以上50μm以下の厚さを有し、鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であり、
5μm以上20μm以下の厚さを有した前記ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の表面を備え、
前記表面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、
前記表面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下である
メタルマスク基材。
【請求項2】
前記表面が第1面であり、
前記ドライフィルムレジストが第1ドライフィルムレジストであり、
前記第1面とは反対側の面であって、5μm以上20μm以下の厚さを有した第2ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記第2ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記第2ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の第2面をさらに備え、
前記第2面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、
前記第2面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下である
請求項1に記載のメタルマスク基材。
【請求項3】
前記表面は、インバー製である
請求項1または2に記載のメタルマスク基材。
【請求項4】
パターニングされたドライフィルムレジストをマスクとしたエッチングによって複数の貫通孔を形成することによって蒸着用のメタルマスクを製造するメタルマスクの製造方法であって、
10μm以上50μm以下の厚さを有し、鉄とニッケルとを主成分とする合金からなる金属製の圧延材であって、5μm以上20μm以下の厚さを有した前記ドライフィルムレジストが貼り付けられ、前記ドライフィルムレジストに対する露光と現像とが行われることによってパターニングされた前記ドライフィルムレジストを用いてエッチングされるための前記合金製の表面を備え、前記表面の三次元表面粗さSaが0.11μm以下であり、前記表面の三次元表面粗さSzが3.17μm以下であるメタルマスク基材を準備することと、
前記表面に前記ドライフィルムレジストを貼り付けることと、
前記メタルマスク基材に、前記メタルマスク基材の厚さ方向に沿って窪み、かつ、前記表面に開口を有した複数の凹部を形成するための貫通孔を前記ドライフィルムレジストに形成することと、
前記ドライフィルムレジストを介して、前記メタルマスク基材に複数の前記凹部を形成することと、を備える
メタルマスクの製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-09-29 
出願番号 特願2017-529473(P2017-529473)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C23C)
P 1 651・ 851- YAA (C23C)
P 1 651・ 121- YAA (C23C)
P 1 651・ 537- YAA (C23C)
P 1 651・ 536- YAA (C23C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今井 淳一  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 村岡 一磨
宮澤 尚之
登録日 2018-11-16 
登録番号 特許第6432072号(P6432072)
権利者 凸版印刷株式会社
発明の名称 メタルマスク基材、および、メタルマスクの製造方法  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ