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審決分類 審判 全部申し立て 特39条先願  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
管理番号 1368983
異議申立番号 異議2019-700599  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-30 
確定日 2020-10-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6462943号発明「ティリロサイドを含有する飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6462943号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。 特許第6462943号の請求項1?5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6462943号の請求項1?5に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成29年8月10日(優先権主張 平成29年1月20日)を出願日とする特願2017-155898号の一部を、平成30年2月20日に新たな特許出願とした特願2018-27762号の一部を、同年8月28日に新たな特許出願としたものであって、平成31年1月11日にその特許権の設定登録がされ、同年同月30日に特許掲載公報が発行されたものである。その後、本件特許について、令和1年7月30日に、特許異議申立人:田中 亜実(以下、「申立人A」という。)及び特許異議申立人:櫻井 洋(以下、「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和1年11月13日付け:取消理由通知
令和2年 1月16日 :意見書の提出(特許権者)
同年 3月26日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年 5月26日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年 6月23日付け:訂正請求があった旨の通知
同年 7月30日 :意見書の提出(申立人B)

なお、申立人Aは、上記のとおり意見書を提出する機会を設けたが、審判長が指定する期間内に意見書を提出しなかった。

第2 訂正の適否についての判断
令和2年5月26日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。

1 訂正の内容
本件訂正の内容は以下の訂正事項1のとおりである。

訂正事項1
訂正前の請求項1の「可溶性固形分濃度が2.0以下である」との記載を訂正後に「可溶性固形分濃度が0.5より大きく2.0以下である」に訂正する。

なお、訂正前の請求項1?5について、請求項2?5は請求項1を直接あるいは間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1?5に対応する訂正後の請求項1?5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

2 判断
訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1の「可溶性固形分濃度が2.0以下である」から「可溶性固形分濃度が0.5より大きく2.0以下である」と可溶性固形分濃度の下限値を「0.5より大きく」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項1の「可溶性固形分濃度が0.5より大きく2.0以下である」における下限値については、本件特許明細書の段落【0021】?【0022】に可溶性固形分濃度として、「2.0以下」、「1.5」、「1.0」、「0.5」、「0」の値が記載されており、また、本件の原出願である特許第6297735号(申立人Bの甲第1号証)の請求項1に係る発明における「可溶性固形分濃度が0.5以下」との重複を除くために、可溶性固形分濃度を「0.5より大きく」と特定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内で行われるものであり、上記訂正は特許請求の範囲を減縮したものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。

第3 本件特許に係る発明
本件特許の請求項1?5に係る発明(以下、請求項に係る各発明を項番にしたがって「本件発明1」などという。)は、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
ティリロサイドを0.008?1mg/100mL、及びエタノールを0.001?1.2v/v%含有し、可溶性固形分濃度が0.5より大きく2.0以下である、飲料。
【請求項2】
ティリロサイドの含有量が0.01?0.5mg/100mLである、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
エタノールの含有量が0.01?1v/v%である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
pHが2.3?5である、請求項1?3のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項5】
容器詰め飲料である、請求項1?4のいずれか1項に記載の飲料。」

第4 当審が通知した取消理由並びに申立人A及び申立人Bが申し立てた理由
1 当審が令和1年11月13日付け及び令和2年3月26日付けで通知した取消理由
本件特許の請求項1?5に係る発明は、同日出願された下記の出願に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができず、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである(以下、「取消理由」という。)。

・特願2017-155898号(特許第6297735号:申立人Bの甲第1号証(以下、「B甲1」という。))

2 申立人Aが申し立てた理由
(1)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

ア 本件発明1?5の飲料において、ティリロサイド、エタノール、可溶性固形分濃度を規定しているが、それ以外の成分を含むことも許容しており、ティリロサイド以外の苦味や収斂味を呈する成分を含む場合、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善されたことを確認することは不可能であるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たさない(以下、「申立理由1-1」という)。

イ 緑茶、コーヒー飲料、炭酸飲料を包含する全ての飲料について、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1?5が包含する全範囲にわたって発明の効果を奏するように記載されていないから、実施可能要件を満たさない(以下、「申立理由1-2」という。)。

ウ エタノール以外のマスキング成分を含む飲料について、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1?5が包含する全範囲にわたって発明の効果を奏するように記載されていないから、実施可能要件を満たさない(以下、「申立理由1-3」という。)。

エ ティリロサイドの濃度を本件発明1?5に記載する濃度範囲内で変更したときのエタノールのすべての濃度範囲について、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1?5が包含する全範囲にわたって発明の効果を奏するように記載されていないから、実施可能要件を満たさない(以下、「申立理由1-4」という。)。

オ 本件特許明細書の実施例の「ティリロサイド特有の苦味及び収斂味」の官能評価における「緩和」について、どのように「緩和」を評価するのか理解できるように記載されていないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たさない(以下、「申立理由1-5」という。)。

カ 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、ティリロサイドが0.008?1mg/100mlであり、かつ、エタノールが0.001?1.2v/v%であるすべての場合に発明の効果を奏することを実証データで示されておらず、発明の作用機序も記載がなく、技術常識からも発明の効果を理解できないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たさない(以下、「申立理由1-6」という。)。

なお、飲料製品の例として、甲第1号証(産経ニュース、「セブンとコカ・コーラ、機能性緑茶のPB 体脂肪減らすローズヒップ成分配合」、2017年5月18日、[2019年3月18日検索]、インターネット<https://www.sankei.com/economy/print/170518/ecn1705180039-c.html>)が提出された(以下、「A甲1」という。)。

(2)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

ア 本件発明1?5が解決しようとする課題は、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することであるが、ティリロサイド由来の苦みや収斂味がどのようなものであるか理解することができず、実施例に記載されたティリロサイド、エタノール、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムを含む水において、前記課題を解決できたとしても、緑茶、コーヒー、炭酸飲料等を包含するすべての飲料について、本件発明1?5の課題が存在するとは認められないし、本件発明の効果を奏するものとも認められないから、本件発明1?5は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由2-1」という。)。

イ 本件発明1?5が解決しようとする課題は、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することであり、可溶性固形分濃度が2.0以下において特定の濃度のエタノールを含有することを課題解決のための手段とするものである。しかしながら、ティリロサイドの濃度を本件発明1に規定する濃度範囲内で変更したときに、エタノールのすべての濃度範囲にわたって発明の効果を奏するものとは認められない。また、水以外のすべての飲料において、上記課題が存在することも実証されていないから、本件発明1?5は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由2-2」という。)。

ウ 本件特許明細書の実施例において、本件発明1?5の課題を解決できるものとして記載されているものは、表3の飲料No.2?No.7、No.9?No.14のみであり、これらの飲料は水にティリロサイドとエタノールを溶解し、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムを添加してpH3.0に調整した飲料であり、Brix値は0?0.1程度である(段落【0039】?【0042】)。しかしながら、可溶性固形分濃度について、濃度が0.1より高く2.0以下である飲料は実施例には記載されていない。また、水以外の飲料、pHが3.0以外の飲料についても実施例が記載されておらず、本願発明1の全範囲にわたり発明の効果を奏するものであることを理解することができないから、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2?5は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由2-3」という。)。

エ 本件特許明細書の実施例において、本件発明1?5の効果を実証するために、3名の専門パネリストによる官能評価を行ったことが記載されている。その官能評価について、「緩和」が苦味や収斂味がどの程度違って感じられた場合に「大きく緩和」、「やや緩和」、「緩和」と評価するのかが明らかでなく、「風味がある」、「風味が強い」についても同様である。以上のことから、発明の効果を確認するための評価方法が合理的であったと推認することができず、「ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料」が裏付けられていることを当業者が理解することができないから、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2?5は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由2-4」という。)。

オ 本件特許明細書の実施例において、「苦味」及び「収斂味」を評価するに当たり、ティリロサイド含有量、エタノール含有量及び可溶性固形分濃度を変化させてこれら三つの要素の数値範囲と風味との関連を測定する場合、1)「苦味」及び「収斂味」の風味に見るべき影響を与えるのが、これら三つの要素のみである場合や、影響を与える要素はあるが、その条件をそろえる必要がない場合には、そのことを技術的に説明した上で上記三要素を変化させて風味評価試験をするか、2)「苦味」及び「収斂味」の風味に見るべき影響を与える要素は、上記三つ以外にも存在し、その条件をそろえる必要がないといえない場合には、当該他の要素を一定にした上で、上記三要素の量を変化させて風味評価試験をするという方法がとられるべきである。しかしながら、本件特許明細書には、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善されたとの風味を得るために、ティリロサイド含有量、エタノール含有量及び可溶性固形分濃度の範囲を特定すれば足り、他の成分及び物性や、飲料の特定は要しないことを、当業者が理解できるように記載されているといえないから、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2?5は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由2-5」という。)。

カ 本件特許明細書の実施例において、本件発明1?5の課題を解決できるものとして記載されているものは、表3の飲料No.2?No.7、No.9?No.14のみであり、これらの飲料は水にティリロサイドとエタノールを溶解し、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムを添加してpH3.0に調整した飲料であり、Brix値は0?0.1程度である(段落【0039】?【0042】)。例えば、飲料No.2とNo.13を比較すると、ティリロサイドの含有量は、0.008mg/100mlと1mg/100mlで100倍以上異なる一方、エタノール含有量は、0.001v/v%で同一の添加量である。そして、官能評価の結果は同じ評価であるが、ティリロサイドの含有量が100倍以上も異なるのに同一量のエタノール添加により同じ効果を得られることが技術常識から考えて理解できない。このことは、飲料No.3と飲料No.14でも同様である。さらに、飲料No.3と飲料No.10とを比較した場合には、ティリロサイドの含有量が多く、エタノールの含有量が少ないNo.10の方が、さらによい結果が得られており、技術常識から考えて理解できない。そうすると、本件特許明細書に発明の作用機序が記載されておらず、技術常識からも理解できない状況で、本件発明の効果を奏するかは実証されなければ理解できないから、本件特許1の課題が解決できると理解できないから、本件発明1及び本件発明1を引用する本件発明2?5は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由2-6」という。)。

3 申立人Bが申し立てた理由
(1)本件特許の請求項1?5に係る発明は、同日出願された下記の出願に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができず、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである。

提示された証拠は、甲第1号証(上記1のB甲1と同じ)である。

なお、実質同一の考え方を示すものとして甲第2号証(特許庁、「特許・実用新案 審査基準」、第III部、第4章 先願(特許法第39条)、1?13頁)が提出された(以下、「B甲2」という。)。

(2)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

本件発明1?5は、ティリロサイド0.008?1mg/100ml、エタノール0.001?1.2v/v%、可溶性固形分濃度(Brix値)2.0以下という極めて数値範囲の広い範囲の組成物の発明であるにも関わらず、その製造方法はほとんど示唆がなく、当業者は広範囲な数値範囲を任意に組み合わせて過度の労力を要して味覚矯正効果を持つ条件を決定した後に、発明を実施しなければならないのであり、ティリロサイド及びエタノールとも独特の味覚を持つものであり、その効果は特許請求の範囲に記載された3つの要素のすべての数値範囲で認められる訳ではないから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たさない(以下、「申立理由3」という。)。

(3)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

ア 本件発明1?5は、適切な濃度のティリロサイドとエタノールで、低Brix値の飲料を製造すれば、すっきりした味わいや爽やかな風味といった飲料の美味しさを維持しながら、ティリロサイドに由来する苦味や収斂味を感じにくいという特徴の飲料を提供することを目的としている。しかしながら、本件特許は、請求項にティリロサイドとエタノールの配合比0.0067?1000という上位概念の発明が記載されているのに対して、発明の詳細な説明には、具体的には「配合比0.001?150、好ましくは0.1?70、より好ましくは1?30である。」とその下位概念しか記載されておらず、発明の詳細な説明に記載されたティリロサイド濃度に対するエタノールの組成比を超えて特許が付与されており、本件発明1?5に係る特許は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由4-1」という。)。

イ 本件明細書の発明の詳細な説明には、実施例の表3(段落【0042】)に本件発明1?5に適合する組成物として13例の組成物が具体的に開示されているのみであり、本件発明1?5の数値限定範囲と得られる効果との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度には記載されておらず、本件発明1?5に係る特許は、サポート要件を満たさない(以下、「申立理由4-2」という。)。

なお、以下の甲第3号証?甲第8号証を証拠として提出した。
甲第3号証:平成17年(行ケ)第10042号判決、平成17年11月11日言渡、知的財産高等裁判所(以下、「B甲3」という。)
甲第4号証:本件特許の審査段階における平成30年8月30日付け上申書(以下、「B甲4」という。)
甲第5号証:本件特許の審査段階における平成30年8月30日付け手続補正書(以下、「B甲5」という。)
甲第6号証:B甲1の審査段階における平成29年9月27日付け拒絶理由通知書(以下、「B甲6」という。)
甲第7号証:B甲1の審査段階における平成29年11月17日付け意見書(以下、「B甲7」という。)
甲第8号証:平成21年(行ケ)第10238号判決、平成22年7月15日言渡、知的財産高等裁判所(以下、「B甲8」という。)

また、申立人Bが申し立てた理由のうち、上記(1)の特許法第39条第2項を申立ての理由とするものは、上記1の当審が令和1年11月13日付け及び令和2年3月26日付けで通知した取消理由と同趣旨である。

第5 当審の判断
1 当審が令和1年11月13日付け及び令和2年3月26日付けで通知した取消理由について
(1)B甲1の特許請求の範囲の記載
B甲1の特許請求の範囲には、以下のとおり記載されている(以下、請求項に係る各発明を項番にしたがって「同日発明1」などという。)。
「【請求項1】
ティリロサイドを0.008?1mg/100mL、及びエタノールを0.001?1.2v/v%含有し、可溶性固形分濃度が0.5以下である飲料。
【請求項2】
ティリロサイドの含有量が0.01?0.5mg/100mLである、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
エタノールの含有量が0.01?1v/v%である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
pHが2.3?5である、請求項1?3のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項5】
容器詰め飲料である、請求項1?4のいずれか1項に記載の飲料。」

(2)本件発明1と同日発明1との対比
B甲1は、平成29年8月10日(優先権主張 平成29年1月20日)を出願日とする特許出願であり、本件特許とB甲1は、同じ優先権主張に基づいた特許出願である。
そこで、本件発明1と同日発明1を対比すると、
両者は、「ティリロサイドを0.008?1mg/100mL、及びエタノールを0.001?1.2v/v%含有し、可溶性固形分濃度が特定されている飲料」である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点>
可溶性固形分濃度について、本件発明1は「0.5より大きく2.0以下」であるのに対して、同日発明1は、「0.5以下」である点

上記相違点について検討する。
本件発明1は、可溶性固形分濃度を「0.5より大きく2.0以下」と特定しており、同日発明1は、可溶性固形分濃度を「0.5以下」と特定しており、両者は、可溶性固形分濃度に関して、重複している範囲がなく、B甲2の審査基準を参酌するまでもなく、上記相違点は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1と同日発明1は、同一ではない。

(3)本件発明2?5と同日発明2?5との対比
本件発明2?5は、いずれも本件発明1を直接あるいは間接的に引用し、本件発明2は「ティリロサイドの含有量が0.01?0.5mg/100mLである」こと、本件発明3は「エタノールの含有量が0.01?1v/v%である」こと、本件発明4は、「pHが2.3?5である」こと、本件発明5は、「容器詰め飲料である」ことを、それぞれ特定している。
これらの本件発明2?5の特定は、上記(1)に記載された同日発明2?5の特定と同じである。
しかしながら、本件発明2?5は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであり、上記(2)で検討したとおり、本件発明1の上記相違点は実質的な相違点であるから、本件発明1を直接あるいは間接的に引用している本件発明2?5についても、同日発明2?5と同一ではない。

(4)まとめ
したがって、本件発明1?5と同日発明1?5は同一ではないから、本件発明1?5に係る特許は、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、取り消されるべきものではない。

2 当審の取消理由通知において採用しなかった申立人A及び申立人Bが申し立てた理由について
(1)本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載
(1-1)「【背景技術】
【0002】
ティリロサイドは、ローズヒップ等の植物に含まれているポリフェノールの一種である。ローズヒップはバラ科バラ属の植物の果実であり、それに含まれる豊富な栄養成分によって、高い美肌効果が得られることや、抗菌、抗ウイルス及び免疫力強化等の効果が得られることが知られている。
【0003】
近年では、ローズヒップから得られた抽出物に体脂肪率の低下作用や肝臓中の中性脂質の減少作用があることが報告されており(特許文献1)、その作用をもたらす主要成分はティリロサイドであると言われている。体脂肪の蓄積は肥満につながり、また、肥満になることによって、糖尿病、高脂血症、高血圧及び動脈硬化等の発症にもつながるおそれがある。そのため、体脂肪の減少作用を有するティリロサイドやこれを含むローズヒップ抽出物の利用は、肥満の解消に有用であると考えられる。」

(1-2)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した通り、ティリロサイド及びこれを含むローズヒップ抽出物は、体脂肪の減少作用等を通じて肥満の解消が期待できる有効な素材である。しかしながら、本発明者らによるティリロサイドの飲料への利用検討において、ティリロサイドの独特の苦味や収斂味が感じられること、特に可溶性固形分濃度が低い飲料ではティリロサイドの苦味や収斂味が顕著であることが判明した。
【0006】
そこで、本発明は、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することを目的とする。」

(1-3)「【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、飲料におけるティリロサイド由来の苦味や収斂味の改善に関して、所定量のエタノールとプロピレングリコールに特に優れた効果があることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)ティリロサイドを0.005?1.5mg/100mL、及びエタノールまたはプロピレングリコールを0.001?1.5v/v%含有し、可溶性固形分濃度が2.0以下である、飲料。
(2)ティリロサイドの含有量が0.01?0.5mg/100mLである、(1)に記載の飲料。
(3)エタノールまたはプロピレングリコールの含有量が0.01?1v/v%である、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4)pHが2.3?5である、(1)?(3)のいずれか1に記載の飲料。
(5)容器詰め飲料である、(1)?(4)のいずれか1に記載の飲料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することが可能となる。また、本発明の飲料はティリロサイドを含有することから、本発明の飲料を利用することによって、ティリロサイドの作用効果として知られる体脂肪の減少や肝臓中の中性脂質の減少等を効果的に実施できることが期待される。また、ティリロサイドの作用効果に基づいて、本発明の飲料は抗肥満に有用であるものと考えられる。
【0009】
ティリロサイドはまた、ローズヒップ等の天然植物に含まれており、飲食品に使用可能な素材である。そのため、本発明によって提供される飲料は、安全性が高く、副作用も少ないものと考えられる。なお、詳細な作用機序は明らかではなく、特に限定することを意図するものではないが、ティリロサイドにより生じる独特の苦味や収斂味と、エタノールが有する特有の苦味やピリピリとした刺激感、又はプロピレングリコールが有する特有の苦味とが互いに打ち消し合い、結果としてティリロサイドに由来する苦味や収斂味が感じられにくくなるものと考えられる。」

(1-4)「【0011】
(ティリロサイド)
本発明の飲料に含まれるティリロサイド(Tiliroside)は、フラボノイド配糖体に分類される有機化合物の一種であって、下式(1)の構造を有している。ティリロサイドの別名はKaempferol-3-O-glucoside-6''-E-coumaroylとも称され、そのCAS登録番号は20316-62-5である。構造名・構造式から自明な通り、ティリロサイドは、ケンフェロール、クマル酸、グルコースから構成されている。
【0012】
【化1】

【0013】
このようにティリロサイドは、他のフラボノイドや配糖体にはない特徴的な構造を持つ。飲料形態でティリロサイドを利用したときに苦味や収斂味を有することは、このユニークな構造からは容易に想像できるものではない。
【0014】
ティリロサイドは、市販されている既知の化合物である。本発明では、ティリロサイドは純品又は植物抽出物の形態で用いることができる。ティリロサイドの市販品としては、フナコシより販売されているもの、Merck KGaAによって販売されているもの等が挙げられる。また、ティリロサイドを含む植物抽出物としては、森下仁丹製のローズヒップ抽出物、オリザ油化製のイチゴ種子抽出物等が挙げられる。
【0015】
本発明の飲料は、0.005?1.5mg/100mLのティリロサイドを含有する。飲料中のティリロサイドの含有量が上記の範囲内であれば、ティリロサイドの有益な作用効果を発揮しつつ、且つティリロサイドに由来する苦味や収斂味をエタノール又はプロピレングリコールによって効果的に改善することができる。本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量は、好ましくは0.008mg/100mL以上、0.01mg/100mL以上、又は0.02mg/100mL以上、より好ましくは0.05mg/100mL以上である。また、本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量は、好ましくは、1mg/100mL以下、0.5mg/100mL以下、又は0.3mg/100mL以下、より好ましくは0.1mg/100mL以下である。
【0016】
ティリロサイドの含有量は、HPLCを用いて測定することができる。ここで、HPLCによる測定条件を以下に示す。
・溶離液:37.5%アセトニトリル
・流速:1 mL
・検出:UV 254 nm
・カラム:資生堂CAPCELL PAK C18 (4.6 × 250 mm)」

(1-5)「【0017】
(エタノール又はプロピレングリコール)
本発明の飲料は、0.001?1.5v/v%のエタノール又はプロピレングリコールを含有する。エタノール又はプロピレングリコールの飲料中の含有量が上記の範囲内であれば、ティリロサイドに由来する苦味や収斂味を効果的に改善することができる。本発明の飲料におけるエタノールの含有量は、好ましくは0.01v/v%以上、より好ましくは0.05v/v%以上である。また、本発明の飲料におけるエタノールの含有量は、好ましくは1.2v/v%以下、又は1v/v%以下、より好ましくは0.5v/v%以下である。本発明の飲料におけるプロピレングリコールの含有量は、好ましくは0.01v/v%以上、より好ましくは0.05v/v%以上である。また、本発明の飲料におけるプロピレングリコールの含有量は、好ましくは1.2v/v%以下、又は1v/v%以下、より好ましくは0.5v/v%以下である。なお、本発明の飲料には、エタノールとプロピレングリコールの両方が含まれていてもよい。
【0018】
本発明の飲料におけるエタノール又はプロピレングリコールの含有量は、当業者に公知の方法で測定することができる。例えば、HPLC法、LC-MS法、GC-MS法、LC法、GC法、近赤外線法などの分光法などを用いてエタノール又はプロピレングリコールの含有量を測定することができる。
【0019】
本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量に対するエタノールの含有量の割合(エタノール/ティリロサイド)は、特に限定されないが、例えば0.001?150、好ましくは0.1?70、より好ましくは1?30である。なお、前記の割合は、ティリロサイドの含有量をmg/100mLの単位で表し、且つエタノールの含有量の単位をv/v%で表したときの数値である。
【0020】
本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量に対するプロピレングリコールの含有量の割合(プロピレングリコール/ティリロサイド)は、特に限定されないが、例えば0.001?150、好ましくは0.1?70、より好ましくは1?30である。なお、前記の割合は、ティリロサイドの含有量をmg/100mLの単位で表し、且つプロピレングリコールの含有量の単位をv/v%で表したときの数値である。」

(1-6)「【0021】
(可溶性固形分濃度)
本発明の飲料は、飲料中の可溶性固形分濃度が2.0以下である。本発明において、可溶性固形分濃度は、糖度計や屈折計などを用いて得られるBrix(ブリックス)値に相当する。ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である(単位:「°Bx」、「%」または「度」)。
【0022】
飲料中の可溶性固形分濃度が2.0以下のような低Brixの飲料は、それよりもBrixが高い飲料と比較して、ティリロサイドの苦味や収斂味が感知されやすい。このようなティリロサイドの苦味や収斂味が感じられやすい飲料に対して、その苦味や収斂味を改善することのできる本発明の意義は大きい。したがって、低Brixの飲料、すなわち飲料の可溶性固形分濃度が2.0以下の飲料は、本発明の好適な一態様である。本発明の飲料は、好ましくは飲料中の可溶性固形分濃度が0?1.5であり、より好ましくは0?1.0であり、さらに好ましくは0?0.5である。」

(1-7)「【0023】
(酸性飲料)
本発明の飲料は、酸性飲料であることが好ましい。所定量のエタノールまたはプロピレングリコールに加えて酸性成分を含有させることにより、飲料に含まれるティリロサイドの苦味や収斂味をより効果的に抑制又は低減することができる。本発明の飲料のpHは好ましくは2.3?5であり、より好ましくは2.5?4.5であり、さらに好ましくは3?4である。飲料のpH調整は、酸味料やpH調整剤を用いて適宜行うことができる。本発明の飲料で使用できる酸味料又はpH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸等の有機酸、リン酸等の無機酸及びそれらの塩類、またはレモン、グレープフルーツ、オレンジ、ミカン等の果汁類から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0024】
(無色透明な飲料)
本発明の飲料は、無色であってもよい。飲料が無色であることは、測色色差計(ZE2000(日本電色工業)など)を用いて純水を基準として測定した際の透過光のΔE値(色差)をもって規定することができる。具体的には、本発明の飲料が無色である場合、純水を基準とした場合のΔE値は3.5以下である。ΔE値は、好ましくは2.3以下である。
【0025】
また、本発明の飲料は、透明であってもよい。「飲料が透明である」とは、いわゆるスポーツドリンクのような白濁や、混濁果汁のような濁りがなく、水のように視覚的に透明な飲料であることをいう。飲料の透明度は、液体の濁度を測定する公知の手法を用いることにより、数値化することができる。紫外可視分光光度計(UV-1600(島津製作所)など)を用いて測定した波長660nmにおける吸光度をもって飲料の透明度を規定することができる。具体的には、本発明の飲料が透明である場合、波長660nmの吸光度は0.06以下である。
【0026】
フレーバードウォーターのような無色透明な飲料では、一般に、水以外の配合成分の種類や量が比較的少ないことが特徴とされている。そのため、別の成分を添加すると飲料の香味のバランスが崩れやすくなり、すっきりした味わいや爽やかな風味といった飲料の美味しさを維持しながらティリロサイドの苦味を抑制することは困難である。本発明の飲料は、エタノールまたはプロピレングリコールを特定の濃度範囲で含有することにより、すっきりした味わいや爽やかな風味といった飲料の美味しさを維持しながら、ティリロサイドに由来する苦味や収斂味を感じにくいという特徴を有する。したがって、無色透明な飲料、特にBrix値の低い無色透明な飲料は、本発明の好適な一態様である。
【0027】
(飲料)
本発明の飲料の種類は特に限定されず、清涼飲料、栄養飲料、機能性飲料、フレーバードウォーター(ニアウォーター)系飲料などいずれであってもよい。また、本発明の飲料は、炭酸ガスを含まない飲料であってもよく、炭酸ガスを含む飲料であってもよい。炭酸ガスを含まない飲料としては、例えば、果汁飲料、乳飲料、スポーツドリンク等が挙げられるが、これらに限定されない。炭酸ガスを含む飲料としては、例えば、コーラ、ダイエットコーラ、ジンジャーエール、サイダー、及び果汁風味が付与された炭酸水等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本発明の飲料は、上記に示した各種成分のほか、飲料の種類に応じて、各種添加剤等が配合されていてもよい。各種添加剤としては、例えば、上記以外の糖類等の甘味料、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、品質安定剤等が挙げられる。
【0029】
本発明の飲料は、上述した成分を適宜配合することにより製造することができる。また、本発明の飲料は、必要に応じて殺菌等の工程を経て、容器詰め飲料とすることができる。例えば、飲料を容器に充填した後に加熱殺菌等を行う方法や、飲料を殺菌してから無菌環境下で容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。本発明の好ましい実施形態として、本発明の飲料は容器詰め飲料である。
【0030】
容器の種類は特に限定されず、PETボトル、缶、瓶、紙パックなどを挙げることができる。特に、無色透明のPETボトルは、容器中の飲料の色味が外部から視認しやすく、且つ充填後の飲料の取り扱いも容易であるため、好ましい。
【0031】
(飲料の香味を改善する方法)
本発明によって、別の観点からは、飲料の香味を改善する方法が提供される。本発明の方法は、ティリロサイド0.005?1.5mg/100mLを含有し、可溶性固形分濃度が2.0以下である飲料の香味を改善する方法であって、0.001?1.5v/v%の量でエタノール又はプロピレングリコールを飲料に配合する工程を含む、上記方法である。
【0032】
本発明の方法では、各種成分の配合順序は特に限定されるものではない。また、本発明の方法は、上記に示した成分及び材料を配合する工程やそれらの含有量を調整する工程も含むことができる。本発明の方法において、飲料中の成分の種類やその含有量等の各種要素については、本発明の飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。」

(1-8)「【実施例】
【0033】
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0034】
(1)ティリロサイド含有飲料の評価
下記の配合表(表1)に従い、ティリロサイドを含有するpH3.3のペットボトル容器詰めの有糖飲料(試料1-1)及び無糖飲料(試料1-2、試料1-3)を調製した。なお、ティリロサイドはフナコシ製の純度99%のものを使用した。得られた飲料はいずれも無色透明な外観であり、分光光度計(UV-1600(島津製作所))による波長660nmにおける吸光度は0.06以下、測色色差計(ZE2000(日本電色工業))による純水に対する透過光のΔEは3.5以下であった。
【0035】
【表1】

【0036】
得られた各飲料の20℃におけるBrix値を糖用屈折計示度(アタゴRX-5000)で測定した。また、十分に訓練を受けた3名の専門パネリストにより、各飲料においてティリロサイドの苦味及び収斂味が感じられるかどうか官能評価を行った。
【0037】
結果を表2に示す。表2の官能評価結果は、ティリロサイドの苦味及び収斂味を感じると評価した人数を示す。Brixの高い有糖飲料(試料1-1)では、3名のパネルのうち1名のみがティリロサイドの苦味及び収斂味をわずかに感じる程度であったが、Brixの低い無糖飲料(試料1-2、試料1-3)では、パネル全員がティリロサイドの苦味及び収斂味を感じると評価した。これにより、Brixが低い飲料では、ティリロサイドの苦味及び収斂味がより知覚されやすいことが判明した。
【0038】
【表2】



(1-9)「【0039】
(2)エタノール添加の検討
下表に示した量(濃度)となるように、ティリロサイド(フナコシ製、純度99%)及びエタノール(和光純薬工業)を水に溶解し、容器に充填して容器詰め飲料を得た(いずれの飲料もBrix値は0?0.1程度)。得られた飲料はいずれも無色透明な外観であり、分光光度計(UV-1600(島津製作所))による波長660nmにおける吸光度は0.06以下、測色色差計(ZE2000(日本電色工業))による純水に対する透過光のΔEは3.5以下であった。なお、飲料のpHは、クエン酸(ナカライテスク)及びクエン酸三ナトリウム(ナカライテスク)を用いてpH3.0に調整した。
【0040】
得られた飲料について、香味の官能評価を行った。香味については、ティリロサイド特有の苦味及び収斂味、またはエタノール特有の風味の観点から主に評価した。具体的には、十分に訓練を受けた3名の専門パネリストにより、下記の通り評価した。なお、評価用の飲料は、室温にて調製された容器詰め飲料をそのまま使用した。
5点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味が大きく緩和されている。
4点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味が緩和されている。
3点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味がやや緩和されている。
2点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味、またはエタノール特有の風味があり、後味に残る。
1点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味、またはエタノール特有の風味が強く、後味に大きく残る。
【0041】
各種飲料の評価結果を下表に示す。
【0042】
【表3】



(2)申立人Aが申し立てた理由について
ア 特許法第36条第4項第1号について
(ア)申立理由1-1及び申立理由1-2について
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記(1-3)?(1-6)にティリロサイド、エタノール及び可溶性固形分濃度について、上記(1-7)に酸性飲料、無色透明な飲料、飲料についての一般的な記載があり、上記(1-8)及び(1-9)に本件発明1?5の具体的な態様である実施例が、それぞれ記載されている。そして、上記(1-8)では、3名のパネラーにより、Brix値が高い飲料(Brix値は8.3)とBrix値が低い飲料(Brix値は0.1及び0.2)を比較し、Brix値が低い飲料で、ティリロサイドの苦味や収斂味がより知覚されやすいことを示しており、上記(1-9)では、ティリロサイド及びエタノールを水に溶解した飲料(Brix値は、0?0.1程度)において、ティリロサイドの含有量、エタノールの含有量を変えた実施例(No.2?No.7、No.9?No.14)及び比較例(No.1、No.8、No.15及びNo.16)が記載されている(なお、上記(1-6)の記載から明らかなとおり、本件特許では、可溶性固形分濃度は、Brix値に相当する。)。
そうすると、具体的にティリロサイドの含有量、エタノールの含有量及び可溶性固形分濃度(Brix値)が示された飲料についての実施例では、これらが所定の割合で添加された飲料が、十分訓練された3名のパネリストにより評価され、苦味及び収斂味が改善されたことが記載されているといえる。
そして、それ以外の成分を含む場合や飲料の種類については、上記(1-7)に一般的な記載があり、具体的に記載された実施例と同様に作成すればよいのであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を製造することができる程度にその物を作り、その物を使用することができる程度にその発明が記載されているといえ、実施可能要件を満たさないとまではいえない。
また、申立人Aは、A甲1を示して、市販されているA甲1の飲料製品を飲んだところ、ティリロサイド含有量が0.02mg/100mLであるにも関わらず、ティリロサイド由来の苦みや収斂味を知覚することができず、ティリロサイド由来の苦みや収斂味を理解することができなかった旨主張する。
しかしながら、本件特許明細書において、苦味及び収斂味が改善されたことが記載され、その物を使用することができる程度にその発明が記載されているといえることは、上記のとおりであるから、市販されているA甲1の飲料製品を飲んでもティリロサイド由来の苦みや収斂味を知覚できなかったとしても、本件特許明細書の記載に何ら影響を与えるものではなく、この申立人Aの主張は、採用することができない。

(イ)申立理由1-3について
エタノール以外のマスキング成分を含む飲料については、少なくとも、上記(ア)で検討したとおり、具体的にティリロサイドの含有量、エタノールの含有量及び可溶性固形分濃度(Brix値)が示された飲料について本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されているのであるから、さらに、マスキング成分を含む飲料についても同様に作成すればよいのであり、上記(ア)と同様に、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を製造することができる程度にその物を作り、その物を使用することができる程度にその発明が記載されているといえ、実施可能要件を満たさないとまではいえない。

(ウ)申立理由1-4及び申立理由1-6について
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記(1-8)及び(1-9)に本件発明1?5の具体的な態様である実施例が、それぞれ記載されている。そして、上記(1-8)では、3名のパネラーにより、Brix値が高い飲料(Brix値は8.3)とBrix値が低い飲料(Brix値は0.1及び0.2)を比較し、Brix値が低い飲料で、ティリロサイドの苦味や収斂味がより知覚されやすいことを示しており、上記(1-9)では、ティリロサイド及びエタノールを水に溶解した飲料(Brix値は、0?0.1程度)において、ティリロサイドの含有量、エタノールの含有量を変えた実施例(No.2?No.7、No.9?No.14)及び比較例(No.1、No.8、No.15及びNo.16)が記載されている。
そこには、具体的にティリロサイドの含有量として0.008?1mg/100mlの範囲、エタノールの含有量として0.001?1.2v/v%の範囲で、それぞれティリロサイド特有の苦味及び収斂味がやや緩和されていると評価できる3点以上の評価(実証データ)が示されていることから、その範囲における効果は確認できるといえる。
したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を製造することができる程度にその物を作り、その物を使用することができる程度にその発明が記載されているといえ、実施可能要件を満たさないとまではいえない。

(エ)申立理由1-5について
本件特許明細書の実施例の「ティリロサイド特有の苦味及び収斂味」の官能評価は、上記(1-9)に「香味については、ティリロサイド特有の苦味及び収斂味、またはエタノール特有の風味の観点から主に評価した。具体的には、十分に訓練を受けた3名の専門パネリストにより、下記の通り評価した。なお、評価用の飲料は、室温にて調製された容器詰め飲料をそのまま使用した。」と記載されているように、十分に訓練された専門パネリストが、ティリロサイド特有の苦味及び収斂味が「大きく緩和されている」、「緩和されている」、「やや緩和されている」にしたがって評価したことが記載されている。
また、上記(1-1)や(1-4)の記載から明らかなようにティリロサイドは有機化合物として市販されている既知の化合物であることも知られている。
そうすると、当業者であれは、市販の化合物としてのティリロサイドを入手し、専門パネリストを訓練し、当該ティリロサイドの所定濃度の苦味及び収斂味を緩和したかどうかを判断させることは、通常行われている官能評価の範囲内で行うことができるものと認められる。
したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を製造することができる程度にその物を作り、その物を使用することができる程度にその発明が記載されているといえ、実施可能要件を満たさないとまではいえない。

(オ)小括
上記のとおりであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たさないとまではいえず、申立理由1-1?申立理由1-6によって、取り消されるべきものではない。

イ 特許法第36条第6項第1号について
(ア)本件発明1?5が解決しようとする課題は、上記(1-2)及び上記(1-3)?(1-9)に記載された事項から、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することであると認められる。

(イ)本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記(1-1)に背景技術としてティリロサイドの作用・効果等について、上記(1-3)?(1-5)にティリロサイド、エタノールの含有量等について、上記(1-6)に可溶性固形分濃度が2.0以下であることについて、上記(1-7)に酸性飲料、無色透明な飲料、飲料についての一般的な記載があり、上記(1-8)及び(1-9)に本件発明1?5の具体的な態様である実施例が、それぞれ記載されている。
上記(1-8)では、3名のパネラーにより、Brix値が高い飲料(Brix値は8.3)とBrix値が低い飲料(Brix値は0.1及び0.2)を比較し、Brix値が低い飲料で、ティリロサイドの苦味や収斂味がより知覚されやすいことを示しており、上記(1-9)では、ティリロサイド及びエタノールを水に溶解した飲料(Brix値は、0?0.1程度)において、ティリロサイドの含有量、エタノールの含有量を変えた実施例(No.2?No.7、No.9?No.14)及び比較例(No.1、No.8、No.15及びNo.16)が記載されている。
そして、具体的にティリロサイドの含有量、エタノールの含有量及び可溶性固形分濃度(Brix値)が示された飲料についての実施例では、これらが所定の割合で添加された飲料が、十分訓練された3名のパネリストにより評価され、苦味及び収斂味が改善されたことが記載されているといえる。

(ウ)そうすると、当業者は、上記(イ)に記載された事項から、ティリロサイドの含有量として0.008?1mg/100mlの範囲、エタノールの含有量として0.001?1.2v/v%の範囲で、Brix値が低い飲料(可溶性固形分濃度2.0以下、実施例では0?0.1程度)、pHが2.3?5(実施例ではpHが3.0?3.2)の飲料について、上記(ア)の本件発明1?5が解決しようとする課題を解決することができると認識できると認められる。

(エ)一方、本件発明1?5は、可溶性固形分濃度が「0.5より大きく2.0以下である」と下限値が特定されたことにより、上記(1-8)及び(1-9)に記載された実施例のBrix値を含まない範囲のものとなっている。
しかしながら、上記(1-6)には、「本発明の飲料は、飲料中の可溶性固形分濃度が2.0以下である」とし、「飲料中の可溶性固形分濃度が2.0以下のような低Brixの飲料は、それよりもBrixが高い飲料と比較して、ティリロサイドの苦味や収斂味が感知されやすい」こと、「低Brixの飲料、すなわち飲料の可溶性固形分濃度が2.0以下の飲料は、本発明の好適な一態様である。本発明の飲料は、好ましくは飲料中の可溶性固形分濃度が0?1.5であり、より好ましくは0?1.0であり、さらに好ましくは0?0.5である」ことが、また、上記(1-8)には、表2を示し、Brixの高い有糖飲料(試料1-1)(Brix値は8.3)とBrixの低い無糖飲料(試料1-2)及び(試料1-3)(Brix値は0.1及び0.2)を比較して、Brixが低い飲料では、ティリロサイドの苦味及び収斂味がより知覚されやすいことが、それぞれ記載されている。

(オ)そこで、上記(ウ)及び(エ)の記載から総合的に判断すると、実施例において、可溶性固形分濃度が2.0より高い(試料1-1)と可溶性固形分濃度が2.0より低い(試料1-2)及び(試料1-3)を比較して、可溶性固形分濃度が2.0以下のような低Brixの飲料であれば、本件発明1?5が解決しようとする課題を解決することができると当業者が認識できると認められることから、その範囲に含まれる具体的な実施例がないとしても、可溶性固形分濃度が2.0以下のような低Brixの飲料に含まれる「0.5より大きく2.0以下である」範囲についてサポート要件を満たしていないとまでは認められない。
したがって、本件発明1?5は、いずれもサポート要件を満たしている。

(カ)申立理由2-1について
申立理由2-1は、実施例に記載されたティリロサイド、エタノール、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムを含む水において、前記課題を解決できたとしても、緑茶、コーヒー、炭酸飲料等を包含するすべての飲料について、本件発明1?5の課題が存在するとは認められないし、本件発明の効果を奏するものとも認められないというものである。
しかしながら、上記(1-7)には、炭酸飲料、無色透明な飲料、清涼飲料、栄養飲料等に適用できることが記載されていることから、当業者であれば、これらの飲料についても本件発明1の課題を解決できると認識することができるといえ、本件発明1は、サポート要件を満たしている。また、本件発明2?5は、本件発明1を直接あるいは間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであり、さらに技術的事項を特定したものであることから、本件発明1と同様である。
したがって、申立理由2-1によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。

(キ)申立理由2-2、申立理由2-3及び申立理由2-6について
申立理由2-2、申立理由2-3及び申立理由2-6は、結局のところ、上記(1-8)及び(1-9)の実施例の記載から本件発明1?5の全範囲について効果を奏することが理解できない、あるいは、実証されておらず、確認できないというものである。
しかしながら、上記(ア)?(オ)で検討したとおり、本件発明1?5の課題を解決できると当業者が認識できるように記載されているといえるから、本件発明1?5は、サポート要件を満たしている。
したがって、申立理由2-2、申立理由2-3及び申立理由2-6によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。

(ク)申立理由2-4及び申立理由2-5について
申立理由2-4及び申立理由2-5は、結局のところ、発明の詳細な説明に記載されている官能評価から苦味や収斂味の程度、風味と本件発明1?5の各成分との関係を理解できないというものである。
しかしながら、上記(1-8)及び(1-9)の実施例の記載には、ティリロサイドの苦味や収斂味が改善されることが官能評価と共に、記載されており、その評価基準は著しく不明瞭とまではいえないから、上記(ア)?(オ)で検討したとおり、本件発明1?5は、サポート要件を満たしている。
したがって、申立理由2-4及び申立理由2-5によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。

(ケ)小括
以上のとおり、本件発明1?5は、サポート要件を満たしており、これらの申立理由2-1?申立理由2-6によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。

(3)申立人Bの特許異議申立理由について
ア 特許法第36条第4項第1号
(ア)申立理由3について
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記(1-3)?(1-5)にティリロサイド、エタノールの含有量等について、上記(1-6)に可溶性固形分濃度が2.0以下であることについて、上記(1-7)に酸性飲料、無色透明な飲料、飲料についての一般的な記載があり、上記(1-8)及び(1-9)に本件発明1?5の具体的な態様である実施例が、それぞれ記載されている。
特に、上記(1-8)では、3名のパネラーにより、Brix値が高い飲料(Brix値は8.3)とBrix値が低い飲料(Brix値は0.1及び0.2)を比較し、Brix値が低い飲料で、ティリロサイドの苦味や収斂味がより知覚されやすいことを示しており、上記(1-9)では、ティリロサイド及びエタノールを水に溶解した飲料(Brix値は、0?0.1程度)において、ティリロサイドの含有量、エタノールの含有量を変えた実施例(No.2?No.7、No.9?No.14)及び比較例(No.1、No.8、No.15及びNo.16)が記載され、ティリロサイドの含有量として0.008?1mg/100mlの範囲、エタノールの含有量として0.001?1.2v/v%の範囲で、それぞれティリロサイド特有の苦味及び収斂味がやや緩和されていると評価できる3点以上の評価(実証データ)が示されており、その範囲における効果も確認できるといえる。
加えて、上記(1-6)には、「本発明の飲料は、飲料中の可溶性固形分濃度が2.0以下である」とし、「飲料中の可溶性固形分濃度が2.0以下のような低Brixの飲料は、それよりもBrixが高い飲料と比較して、ティリロサイドの苦味や収斂味が感知されやすい」こと、「低Brixの飲料、すなわち飲料の可溶性固形分濃度が2.0以下の飲料は、本発明の好適な一態様である。本発明の飲料は、好ましくは飲料中の可溶性固形分濃度が0?1.5であり、より好ましくは0?1.0であり、さらに好ましくは0?0.5である」ことが記載されている。
そうすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、可溶性固形分濃度が2.0より高い(試料1-1)と可溶性固形分濃度が2.0より低い(試料1-2)及び(試料1-3)を比較して、可溶性固形分濃度が2.0以下のような低Brixの飲料であればティリロサイドの苦味及び収斂味がより知覚されやすいことが記載されており、Brix値が低い飲料(具体的には、Brix値が0.1、0.2及び0?0.1程度)が示されているのであるから、可溶性固形分濃度が2.0以下のような低Brixの飲料に含まれる「0.5より大きく2.0以下である」範囲について、当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく、その物を製造することができる程度にその物を作り、その物を使用することができる程度にその発明が記載されているといえ、実施可能要件を満たさないとまではいえない。

(イ)小括
上記のとおりであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たさないとまではいえず、申立理由3によって、取り消されるべきものではない。

イ 特許法第36条第6項第1号
(ア)本件発明1?5は、上記(2)イ(ア)?(オ)で検討したとおりサポート要件を満たしているといえる。

(イ)申立理由4-1について
申立理由4-1は、ティリロサイドとエタノールの配合比を示し、その配合比を超えた特許が付与されており、サポート要件を満たさないというものである。
しかしながら、本件発明1には、ティリロサイドとエタノールの配合比については何ら特定されていないものであり、当該申立理由4-1は、本件発明1?5の記載に基づかないものである。
そして、本件発明1?5がサポート要件を満たすことは、上記(ア)のとおりである。
したがって、申立理由4-1によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。

(ウ)申立理由4-2について
申立理由4-2は、結局のところ、B甲3?B甲8を提示して上記(1-8)及び(1-9)の実施例の記載から数値限定範囲と得られる効果との関係を理解できないというものである。
しかしながら、上記(1-8)及び(1-9)の実施例の記載は、上記(2)イ(ア)?(オ)で検討したとおり、本件発明1?5の課題を解決できると当業者が認識できるように記載されているといえるから、本件発明1?5は、サポート要件を満たしている。
したがって、申立理由4-2によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。

(エ)小括
以上のとおり、本件発明1?5は、サポート要件を満たしており、これらの申立理由4-1?申立理由4-2によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。

ウ 申立人Bの令和2年7月30日付け意見書について
申立人Bは、参考資料1を提出した上で、本件訂正において本件発明1の可溶性固形分濃度が「0.5より大きく2.0以下である」と可溶性固形分濃度の下限値が特定されたとしても、依然として、実施可能要件、サポート要件を満たさないと主張している。
しかしながら、本件発明1?5が実施可能要件及びサポート要件を満たすことは、上記ア及びイに示したとおりであり、申立人Bの主張は採用することができない。

(4)まとめ
上記のとおり、申立人A及び申立人Bが申立てた特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号に関する特許異議申立理由によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに申立人A及び申立人Bが申し立てた特許異議申立理由のいずれによっても、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティリロサイドを0.008?1mg/100mL、及びエタノールを0.001?1.2v/v%含有し、可溶性固形分濃度が0.5より大きく2.0以下である、飲料。
【請求項2】
ティリロサイドの含有量が0.01?0.5mg/100mLである、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
エタノールの含有量が0.01?1v/v%である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
pHが2.3?5である、請求項1?3のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項5】
容器詰め飲料である、請求項1?4のいずれか1項に記載の飲料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-10-05 
出願番号 特願2018-159072(P2018-159072)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (A23L)
P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 4- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福間 信子  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 佐々木 秀次
関 美祝
登録日 2019-01-11 
登録番号 特許第6462943号(P6462943)
権利者 サントリーホールディングス株式会社
発明の名称 ティリロサイドを含有する飲料  
代理人 中西 基晴  
代理人 宮前 徹  
代理人 武田 健志  
代理人 中村 充利  
代理人 山本 修  
代理人 武田 健志  
代理人 山本 修  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  
代理人 小野 新次郎  
代理人 中西 基晴  
代理人 宮前 徹  
代理人 中村 充利  
代理人 小野 新次郎  
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