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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G02F |
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管理番号 | 1369001 |
異議申立番号 | 異議2019-700872 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-11-07 |
確定日 | 2020-10-29 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6509478号発明「画像表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6509478号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6509478号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6509478号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成25年2月15日に出願され、平成30年4月12日にその特許権の設定登録がされ、同年5月8日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和元年11月 7日 :特許異議申立人鈴木美香による請求項1ない し3に係る特許に対する特許異議の申立て (全請求項) 同年12月16日付け:取消理由通知(同年12月19日発送) 令和2年 2月17日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 2月28日付け:通知書(同年3月4日発送) 同年 6月10日付け:取消理由通知(同年6月16日発送) 同年 7月29日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 8月18日付け:通知書(同年8月24日発送) なお、特許異議申立人鈴木美香に対して、令和2年2月28日付け及び同年8月18日付けで期限を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人鈴木美香からは何ら応答がなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和2年7月29日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし3を、次のとおり訂正しようとするものである(下線は、当審が付したものである。以下、同じ。)。 なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項1ないし4について請求されたものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに平行である画像表示装置を除く)。」と記載されているのを、 「「(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置を除く)」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに平行又は垂直である画像表示装置を除く)」と記載されているのを、 「(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置、及び、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く)」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記連続的な発光スペクトルを有する自色光源が、自色発光ダイオードである、請求項1又は2に記載の画像表示.」とあるうち、請求項1を引用するものについて、請求項3として独立形式に改め、 「【請求項3】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記連続的な発光スペクトルを有する白色光源が、白色発光ダイオードであり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下であり、 前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置を除く)。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に「前記連続的な発光スペクトルを有する白色光源が、自色発光ダイオードである、請求項1又は2に記載の画像表示。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、請求項4として独立形式に改め、 「【請求項4】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記連続的な発光スペクトルを有する白色光源が、白色発光ダイオードであり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く)。)」に訂正する。 2 訂正事項1ないし4の訂正要件の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明から「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置」を除く訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項追加の有無 (ア)訂正後の請求項1に係る発明は、「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり、」、「前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である」ところ、 本件特許明細書には、以下の記載がある。 「【0018】 画像表示装置が表示する画像における虹斑等の色調の乱れを抑制するという観点から、前記2枚の高リタデーション配向フィルムは、それらの配向主軸が互いに略平行であるように配置されることが好ましい。…よって、前記「0度±20度以下」とは、0度を中心に上下20度の範囲での変動を許容することを意味する。 【0019】 上記のように2枚の高リタデーション配向フィルムは、互いの配向主軸が平行であることが好ましいが、2枚のフィルムのリタデーション差が大きいほど、上記角度の許容範囲は大きくなる。2枚のフィルムのリタデーション差が3500nm以上、好ましくは4000nm以上であれば、上記角度に関係なく虹斑を抑制できる。」 「【0109】 視認側偏光子保護フィルム及び飛散防止フィルムである2枚の高リタデーション配向フィルムの配向主軸が形成する角が、20度?45度である場合は、「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+13」という式を満たせば虹斑が目立たないことが示され、好ましくは「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+23」を満たすことにより、より効果的に虹斑を抑制できることが示された。」 (イ)上記記載からして、本件特許明細書には、「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置」以外の画像装置が記載されているものと認められる。 (ウ)よって、上記訂正事項1は、新規事項を追加するものではない。 ウ 実質拡張変更の有無 上記ア及びイに照らして、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2に係る発明から「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置」及び「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置」を除く訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項追加の有無 (ア)訂正後の請求項2に係る発明は、「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上で」あるところ、 本件特許明細書には、以下の記載がある。 「【0018】 画像表示装置が表示する画像における虹斑等の色調の乱れを抑制するという観点から、前記2枚の高リタデーション配向フィルムは、それらの配向主軸が互いに略平行であるように配置されることが好ましい。…よって、前記「0度±20度以下」とは、0度を中心に上下20度の範囲での変動を許容することを意味する。 【0019】 上記のように2枚の高リタデーション配向フィルムは、互いの配向主軸が平行であることが好ましいが、2枚のフィルムのリタデーション差が大きいほど、上記角度の許容範囲は大きくなる。2枚のフィルムのリタデーション差が3500nm以上、好ましくは4000nm以上であれば、上記角度に関係なく虹斑を抑制できる。」 「【0109】 視認側偏光子保護フィルム及び飛散防止フィルムである2枚の高リタデーション配向フィルムの配向主軸が形成する角が、20度?45度である場合は、「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+13」という式を満たせば虹斑が目立たないことが示され、好ましくは「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+23」を満たすことにより、より効果的に虹斑を抑制できることが示された。」 (イ)上記記載からして、本件特許明細書には、「『偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置』及び『偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置』」以外の画像装置が記載されているものと認められる。 (ウ)よって、上記訂正事項2は、新規事項を追加するものではない。 ウ 実質拡張変更の有無 上記ア及びイに照らして、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、請求項間の引用を解消し、訂正前の請求項1を引用する請求3を独立形式に書き改める訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 また、訂正前の請求項1を引用する請求項3に係る発明から「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置」を除く訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項追加の有無 (ア)訂正後の請求項3に係る発明は、「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり、」、「前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である」ところ、 本件特許明細書には、以下の記載がある。 「【0018】 画像表示装置が表示する画像における虹斑等の色調の乱れを抑制するという観点から、前記2枚の高リタデーション配向フィルムは、それらの配向主軸が互いに略平行であるように配置されることが好ましい。…よって、前記「0度±20度以下」とは、0度を中心に上下20度の範囲での変動を許容することを意味する。 【0019】 上記のように2枚の高リタデーション配向フィルムは、互いの配向主軸が平行であることが好ましいが、2枚のフィルムのリタデーション差が大きいほど、上記角度の許容範囲は大きくなる。2枚のフィルムのリタデーション差が3500nm以上、好ましくは4000nm以上であれば、上記角度に関係なく虹斑を抑制できる。」 「【0109】 視認側偏光子保護フィルム及び飛散防止フィルムである2枚の高リタデーション配向フィルムの配向主軸が形成する角が、20度?45度である場合は、「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+13」という式を満たせば虹斑が目立たないことが示され、好ましくは「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+23」を満たすことにより、より効果的に虹斑を抑制できることが示された。」 (イ)上記記載からして、本件特許明細書には、「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置」以外の画像装置が記載されているものと認められる。 (ウ)よって、上記訂正事項3は、新規事項を追加するものではない。 ウ 実質拡張変更の有無 上記ア及びイに照らして、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4は、請求項間の引用を解消し、訂正前の請求項2を引用する請求3を、請求項4として独立形式に書き改める訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 また、訂正前の請求項2を引用する請求項3に係る発明から「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置」及び「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置」を除く訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 新規事項追加の有無 (ア)訂正後の請求項4に係る発明は、「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上で」あるところ、 本件特許明細書には、以下の記載がある。 「【0018】 画像表示装置が表示する画像における虹斑等の色調の乱れを抑制するという観点から、前記2枚の高リタデーション配向フィルムは、それらの配向主軸が互いに略平行であるように配置されることが好ましい。…よって、前記「0度±20度以下」とは、0度を中心に上下20度の範囲での変動を許容することを意味する。 【0019】 上記のように2枚の高リタデーション配向フィルムは、互いの配向主軸が平行であることが好ましいが、2枚のフィルムのリタデーション差が大きいほど、上記角度の許容範囲は大きくなる。2枚のフィルムのリタデーション差が3500nm以上、好ましくは4000nm以上であれば、上記角度に関係なく虹斑を抑制できる。」 「【0109】 視認側偏光子保護フィルム及び飛散防止フィルムである2枚の高リタデーション配向フィルムの配向主軸が形成する角が、20度?45度である場合は、「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+13」という式を満たせば虹斑が目立たないことが示され、好ましくは「当該角(度)≦0.00667×レタデーション差+23」を満たすことにより、より効果的に虹斑を抑制できることが示された。」 (イ)上記記載からして、本件特許明細書には、「『偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置』及び『偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置』」以外の画像装置が記載されているものと認められる。 (ウ)よって、上記訂正事項4は、新規事項を追加するものではない。 ウ 実質拡張変更の有無 上記ア及びイに照らして、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 訂正の適否についての小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、本件特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-4]について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明の認定 本件訂正は、上記「第2」のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1ないし4に係る発明(以下「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明4」という。)は、本件訂正後の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認められる。 [本件訂正発明1] 「【請求項1】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下であり、 前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置を除く)。」 [本件訂正発明2] 「【請求項2】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置、及び、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く)」 [本件訂正発明3] 「【請求項3】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記連続的な発光スペクトルを有する白色光源が、白色発光ダイオードであり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下であり、 前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置を除く)。」 [本件訂正発明4] 「【請求項4】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記連続的な発光スペクトルを有する白色光源が、白色発光ダイオードであり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く)。」 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1ないし3に係る特許(以下「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)に対して、当審が令和2年6月10日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 【理由】(進歩性欠如) 本件発明1ないし本件発明3は、下記の引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1ないし本件発明3に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消すべきものである。 引用文献:甲第1号証(特開2009-282424号公報) 第5 甲号1号証に記載された発明 1 引用文献の記載事項及び引用発明 (1)引用文献には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 画素電極及び共通電極を有する一対の基板の間に液晶を挟持して形成された液晶表示パネルと、 該液晶表示パネルの外側にそれぞれ配置された偏光体と、 を有し、 前記液晶表示パネルの表示面側に配置された前記偏光体は、 偏光子と、 該偏光子を挟持する一対の保護膜と、 を有し、 前記偏光子の表示面側に配置された前記保護膜は、位相差値を有し、 前記表示面側の偏光体よりも外側に、直線偏光の光を円偏光又は楕円偏光の光として射出することを特徴とする液晶表示装置。 【請求項2】 …… 【請求項5】 請求項1?4のいずれか一項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。」 イ 「【0004】 図5(A)に偏光サングラス対応をしていない液晶表示装置構成を示す。偏光体90は、観察者側(図面上側)から保護膜90c、偏光子90a、及び保護膜90bの順に構成されている。偏光体90の観察者側にはハードコート層52が形成されている。偏光体90の厚さは例えば120μmである。偏光体90はハードコート層52のため耐擦傷性に優れている。」 ウ 「【0029】 [液晶表示装置の構成] 先ず、本実施形態の液晶表示装置について、図1及び図2を参照して説明する。 図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。図2は、本実施形態に係る液晶表示装置の偏光体の断面図である。本実施形態に係る液晶表示装置2は、図1に示すように、主に、照明装置10と液晶表示パネル12とより構成される。照明装置10は、主に、導光板14と光源部16とより構成される。液晶表示パネル12は、導光板14の上面側に対向して配置される。又、照明装置10は、導光板14の下面側に反射シート18を備える。 【0030】 光源部16は、導光板14の端面14cに配置され、点光源である複数のLED20を備える。 【0031】 …… 【0032】 液晶表示パネル12は、導光板14の発光面積と略同一の表示面積を有する。液晶表示パネル12は、ガラス等の基板22及び24を、シール材26を介して貼り合わせてセル構造を形成し、その内部に液晶28を封入して構成される。基板22の内面上には、サブ画素毎に画素電極30が配置され、基板24の内面上には、全面に共通電極32、サブ画素毎に着色層34が配置される。尚、本実施形態に係る液晶表示パネル12は、TN(Twisted Nematic)方式の液晶表示パネルであり、画素電極30と共通電極32との間に電圧を印加することにより、液晶28の液晶分子を反転させ、その配向を変化させる。 【0033】 基板22の外面上には、下偏光板(偏光体)36が設置され、基板24の外面上には、偏光体38が設置される。図2に示すように、下偏光板36は、液晶表示パネル12の基板22(図1参照)の外面上に接着剤40を介して接着されている。偏光体38は、液晶表示パネル12の基板24(図1参照)の外面上に接着剤40を介して接着されている。 【0034】 下偏光板36は、偏光子36aと偏光子36aを挟持する一対の保護膜36b,36cとを有している。 【0035】 液晶表示パネル12の表示面側に配置された偏光体38は、偏光子42と偏光子42を挟持する一対の保護膜44,46とを有している。偏光体38の片側の支持基材である保護膜46の変わりに一般的に用いられる位相差膜を配置する。偏光子42の表示面側に配置された保護膜46は、位相差値を有し、表示面側の偏光体38よりも外側に、直線偏光の光Lを円偏光又は楕円偏光として射出する。 【0036】 偏光子42の厚さは、例えば20?30μmである。保護膜44の厚さは、例えば数十?80μmである。位相差膜(保護膜)46の厚さは、例えば30?60μmである。これにより、偏光体38の厚みは従来の構成と同等程度になる。」 エ 「【0039】 位相差膜46は、例えばリターデイションΔn・dを120?160nmの範囲に設定し、且つ、位相差膜46の光学軸と偏光子42の吸収軸とのなす角度を45°に設定する。 【0040】 位相差膜46は、例えばポリカーボネイト等の異常光線と常光線との間で位相差を生じるフィルムからなり、高分子材料が熱延伸され、一軸延伸高分子フィルムに形成されている。……接着剤40は、例えばアクリル系で厚さは20μmである。」 オ 「【0060】 (電子機器) 図4は、本実施形態に係る電子機器の一例を示す斜視図である。……。従って、従来の偏光サングラス対応よりも保護膜1枚分薄型の偏光体構成で、観察者48が偏光めがね50をかけて眺めた場合でも、見る方向によって表示面が見えなくなることのない偏光サングラス対応を可能とする薄型の携帯型電話機100を提供する。 【0061】 上記実施形態に係る液晶表示装置2は、上記携帯型電話機100に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型或いはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器、フィールドシーケンシャル(FS)表示方式を用いた3D液晶表示装置、2画面液晶表示装置、プロジェクションテレビ向けライトバルブ等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、観察者48が偏光めがね50をかけて眺めた場合でも、見る方向によって表示面が見えなくなることのない偏光サングラス対応を可能とする薄型の電子機器を提供する。」 カ 図1及び図2は、以下のものである。 図1 図2 2…液晶表示装置 10…照明装置 12…液晶表示パネル 14…導光板 16…光源部 20…LED 36…下偏光板(偏光体) 38…偏光体 42…偏光子 44…保護膜 46…位相差膜(保護膜) 48…観察者 50…偏光めがね 52…ハードコート層 (2)引用文献に記載された発明 ア 上記(1)アの記載からして、引用文献には、 「液晶表示装置を備えた電子機器であって、 液晶表示パネルと、 該液晶表示パネルの外側にそれぞれ配置された偏光体と、 を備え、 前記液晶表示パネルの表示面側に配置された前記偏光体は、偏光子と、該偏光 子を挟持する一対の保護膜と、を有し、 前記偏光子の表示面側に配置された前記保護膜は、位相差値を有し、 前記表示面側の偏光体よりも外側に、直線偏光の光を円偏光又は楕円偏光の光として射出する、液晶表示装置を備えた電子機器。」(請求項1-5)が記載されているものと認められる。 ※以下、 上記「液晶表示パネルの外側にそれぞれ配置された偏光体」を、それぞれ、「光源側偏光板」及び「視認側偏光板」という。 また、上記「偏光子を挟持する一対の保護膜」を、それぞれ、「光源側保護膜」及び「視認側保護膜」という。 イ 上記(1)イの記載からして、 従来の「偏光体」の全体の厚みは、例えば、120μm程度であることが理解できる。 ウ 上記(1)ウの記載からして、以下のことが理解できる。 (ア)「液晶表示装置」は、セル構造を有する液晶パネルと照明装置とより構成されること。 (イ)照明装置は、点光源である複数のLEDを備える光源部を備えること(以下「複数のLEDを備えた光源」という。) (ウ)偏光体の全体の厚みは、従来と同程度の120μm程度であること。 エ 上記(1)エの記載からして、 「視認側保護膜」は、例えば、高分子フィルムの位相差膜であって、リタデーションΔn・dを、例えば120?160nmの範囲に設定し、その光学軸と偏光子の吸収軸とのなす角度を45°に設定していてもよいことが理解できる。 オ 上記(1)オの記載を踏まえて、図1及び図2を見ると、以下のことが理解できる。 (ア)「液晶表示装置を備えた電子機器」は、「タッチパネルを備えた電子機器」であってもよいこと。 (イ)偏光サングラス対応を可能とすること。 カ 上記アないしオからして、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「偏光サングラス対応を可能としたタッチパネルを備えた電子機器であって、 タッチパネルと、 複数のLEDを備えた光源と、 セル構造を有する液晶表示パネルと、 光源側偏光板及び視認側偏光板と、を備え、 前記視認側偏光板は、偏光子と、該偏光子を挟持する、光源側保護膜と視認側保護膜と、を有し、 前記視認側保護膜は、分子フィルムの位相差膜であって、リタデーションΔn・dを、例えば120?160nmの範囲に設定し、その光学軸と前記偏光子の吸収軸とのなす角度を45°とし、直線偏光の光を円偏光又は楕円偏光の光として射出する、 偏光サングラス対応を可能としたタッチパネルを備えた電子機器。」 第6 当審の判断 1 本件訂正発明1について (1)対比 ア 引用発明の「複数のLEDを備えた光源」は、本件訂正発明1の「発光スペクトルを有する白色光源」に相当する。 以下、同様に、 「セル構造を有する液晶表示パネル」は、「画像表示セル」に、 「『視認側偏光板』の『偏光子』」は、「画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子」に、 「(高分子フィルムの位相差膜である)視認側保護膜」は、「偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム」に、 「タッチパネルを備えた電子機器」は、「画像表示装置」に、それぞれ、相当する。 イ 引用発明の「視認側保護膜」は、「分子フィルムの位相差膜であって、リタデーションΔn・dを、例えば120?160nmの範囲に設定し、その光学軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が45°である」から、 本件訂正発明1と引用発明とは、「偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、前記配向フィルムの配向主軸と偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である」点で一致する。 ウ 上記ア及びイからして、本件訂正発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「発光スペクトルを有する白色光源、 画像表示セル、 前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、及び 前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム を有し、 前記偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、前記配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、画像表示装置。」 エ 一方、両者は、以下の点で相違する。 <相違点1> 発光スペクトルに関して、 本件訂正発明1は、「連続的」であるのに対して、 引用発明は、不明である点。 <相違点2> 配向フィルムに関して、 本件訂正発明1は、 (ア)「偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルムを有し、前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり」、 (イ)「前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり」、 (ウ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下であり」、 (エ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり」、 (オ)「前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である」のに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 <相違点3> 画像表示装置に関して、 本件訂正発明1は「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置を除く」のに対して、 引用発明は、飛散防止フィルムは備えておらず、偏光子保護フィルムの厚みが不明である点。 (2)判断 ア まず、上記<相違点2>について検討する。 (ア)a 引用文献には、引用発明の「タッチパネル」の具体的な構造について明記されていないものの、下記の文献に示されているように、タッチパネルは、通常、表面保護や飛散防止等を目的としたPETフィルム等を備えているものである(以下「周知技術1」という。)。 文献a:特開2011-227436号公報(【請求項12】) 文献b:特開2008-276729号公報(【0006】、図6(a)) 文献c:特開2006-110754号公報(【0002】) 文献d:国際公開第2012/161078号([0106]、図13) ちなみに、文献dの図13は、以下のものである。 11…タッチパネル本体 12…LCDパネル 13…飛散防止フィルム(厚さ115μm) 31…PETフィルムからなる基材フィルム(厚さ95μm) 34…ハードコート層(厚さ5μm) 35…印刷層(厚さ10μm) 36…粘着層(厚さ15μm) b また、上記「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」は、耐貫通性等の機械的強度が要求されることから、通常、二軸延伸であって、Nz係数は、概ね、「1.0?2.0」の範囲内であり、その比(Re/Rth)は、「0.6?2.0」であると解される。 ・Nz係数=Rth/Re+0.5 であることは、以下の文献を参照。 国際公開第2011/065584号([0020]) 「広視野角位相差フィルム用高分子材料の開発」、東ソー研究・技術報告第48巻(2004)、p23-29 c そうすると、引用発明の「タッチパネル」の視認側表面に、例えば、上記文献dの図15に示された「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」を配置することは、当業者が上記周知技術1に基づいて容易になし得たことである。 d また、引用発明は、偏光サングラス対応を可能としたものであって、「複数のLEDを備えた光源部」を備えているものであるところ、 液晶表示装置において、光源として「連続的な発光スペクトルを有する白色光を用いるとともに、偏光子から出射される光の光路中に「3000?30000nm程度の高リタデーションフィルム」の配向主軸と該偏光子の透過軸とのなす角度を約45度の状態で配置することにより、偏光サングラス対応を可能にしつつ、視認性を向上させることのできることは、下記の文献に記載されているように、本件の出願時点(2013年2月15日)で周知である(以下「周知技術2」という。)。 文献e:甲2号証(特開2011-107198号公報の【要約】) 文献f:国際公開第2012/157662号(請求の範囲) 文献g:国際公開第2012/049977号([0030]) 文献h:国際公開第2011/058774号(請求の範囲) 文献i:東洋紡株式会社 ニュースリリース 「LED光源の特徴を生かして虹むらを解消したポリエステルフィルムを開発」 2013年2月5日 e その際、2枚の配向フィルムの配向主軸が形成する角度が0度(つまり、厳密に平行)では、全体のリタデーションは、両者のリタデーションの和(相加の関係)となり、角度が大きくなるに従い、全体のリタデーションは、連続的に減少し、90度(つまり、厳密に垂直)で、両者のリタデーションの差(相滅の関係)になることは、当業者によく知られていることであるから、両者の配向主軸が形成する角度を0度となるように配置にすることはごく自然なことである。 また、引用文献の【0036】の記載によれば、引用発明の「偏光体」の厚みは、従来と同程度の120μmであるから、全体の厚みが120μm程度となるように、「視認側保護膜(高分子フィルム)」を厚さ65μmとし、「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」との、リタデーションの差を1800nm以上とすることは、設計事項である。 f 上記aないしeの検討からして、引用発明において、 (a)偏光子の視認側に、リタデーションが3000?30000nm程度の「視認側保護膜(高分子フィルム)」と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」を配置し、 (b)「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」のリタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)を、0.2以上2.0以下とし、 (c)「視認側保護膜(高分子フィルム)」と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」のうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と偏光子の偏光軸とが形成する角を45度とし、 (d)「視認側保護膜(高分子フィルム)」と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」が互いに異なるリタデーションを有し、その差を1800nm以上とし、 (e)「視認側保護膜(高分子フィルム)」の配向主軸と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」の配向主軸が形成する角を0度となるように配置とすることは、当業者が上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。 (イ)よって、引用発明において、上記<相違点2>に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、当業者が上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。 イ 次に、上記<相違点3>について検討する。 上記アで<相違点2>について検討したように、引用発明において、「視認側保護膜(高分子フィルム)」の配向主軸と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」の配向主軸が形成する角を0度となるように配置することが自然であり、20度を超える角度に配置する動機が生じるものではない。 また、特許異議申立人の提出した他の各甲号証の記載を見ても、そのことを動機づける記載はない。 ウ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 本件訂正発明1についてのまとめ 本件訂正発明1は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本件訂正発明2について (1)対比 ア 引用発明の「複数のLEDを備えた光源」は、本件訂正発明2の「発光スペクトルを有する白色光源」に相当する。 以下、同様に、 「セル構造を有する液晶表示パネル」は、「画像表示セル」に、 「『視認側偏光板』の『偏光子』」は、「画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子」に、 「(高分子フィルムの位相差膜である)視認側保護膜」は、「偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム」に、 「タッチパネルを備えた電子機器」は、「画像表示装置」に、それぞれ、相当する。 イ 引用発明の「視認側保護膜」は、「分子フィルムの位相差膜であって、リタデーションΔn・dを、例えば120?160nmの範囲に設定し、その光学軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が45°である」から、 本件訂正発明2と引用発明とは、「偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、前記配向フィルムの配向主軸と偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である」点で一致する。 ウ 上記ア及びイからして、本件訂正発明2と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「発光スペクトルを有する白色光源、 画像表示セル、 前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、及び 前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム を有し、 前記偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、画像表示装置。」 エ 一方、両者は、以下の点で相違する。 <相違点4> 発光スペクトルに関して、 本件訂正発明2は、「連続的」であるのに対して、 引用発明は、不明である点。 <相違点5> 配向フィルムに関して、 本件訂正発明2は、 (ア)「偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルムを有し、前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり」、 (イ)「前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり」、 (ウ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である」のに対して、 (エ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上」であるのに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 <相違点6> 画像表示装置に関して、 本件訂正発明2は、「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置、及び、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く」のに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 (2)判断 ア まず、上記<相違点5>について検討する。検討する。 (ア)上記<相違点5>のうち(ア)ないし(ウ)は、本件訂正発明1に関する上記<相違点2>の(ア)ないし(ウ)と実質的に同様である。 よって、引用発明において、上記<相違点5>のうち(ア)ないし(ウ)に係る本件訂正発明2に係る構成を採用することは、当業者が上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。 (イ)次に、上記<相違点5>のうち(エ)について検討する。 引用文献の【0036】の記載によれば、引用発明の「偏光体」の厚みは、従来と同程度の120μmであるから、全体の厚みが120μm程度となるように、「視認側保護膜(高分子フィルム)」を厚さ65μmとし、「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」との、リタデーションの差を3500nm以上とすることは、設計事項である。 (ウ)よって、引用発明において、上記<相違点5>に係る本件訂正発明2の構成を採用することは、当業者が上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。 イ 次に、上記<相違点6>について検討する。 上記1(2)アで<相違点2>について検討したように、引用発明において、「視認側保護膜(高分子フィルム)」の配向主軸と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」の配向主軸が形成する角を0度となるように配置することが自然であり、20度を超える角度に配置する動機が生じるものではない。 また、特許異議申立人の提出した他の各甲号証の記載を見ても、そのことを動機づける記載はない。 ウ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 本件訂正発明2についてのまとめ 本件訂正発明2は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 本件訂正発明3について (1)対比 ア 引用発明の「複数のLEDを備えた光源」は、本件訂正発明3の「発光スペクトルを有する白色光源」及び「白色発光ダイオード」に相当する。 以下、同様に、 「セル構造を有する液晶表示パネル」は、「画像表示セル」に、 「『視認側偏光板』の『偏光子』」は、「画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子」に、 「(高分子フィルムの位相差膜である)視認側保護膜」は、「偏光子の視認側 に積層される偏光子保護フィルム」に、 「タッチパネルを備えた電子機器」は、「画像表示装置」に、それぞれ、相当する。 イ 引用発明の「視認側保護膜」は、「分子フィルムの位相差膜であって、リタデーションΔn・dを、例えば120?160nmの範囲に設定し、その光学軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が45°である」から、 本件訂正発明1と引用発明とは、「偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、前記配向フィルムの配向主軸と偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である」点で一致する。 ウ 上記ア及びイからして、本件訂正発明3と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「発光スペクトルを有する白色光源、 画像表示セル、 前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、及び 前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム を有し、 前記発光スペクトルを有する白色光源が、白色発光ダイオードであり 前記偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、画像表示装置。」 エ 一方、両者は、以下の点で相違する。 <相違点7> 発光スペクトルに関して、 本件訂正発明3は、「連続的」であるのに対して、 引用発明は、不明である点。 <相違点8> 配向フィルム及び画像表示装置に関して、 本件訂正発明3は、 (ア)「偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルムを有し、前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり」、 (イ)「前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり」、 (ウ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下であり」、 (エ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり」、 (オ)「前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である」のに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 <相違点9> 本件訂正発明3は、「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置を除く」のに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 (2)判断 ア まず、上記<相違点8>について検討する。 (ア)上記<相違点8>は、本件訂正発明1に関する上記<相違点2>と実質的に同様である。 よって、引用発明において、上記<相違点8>に係る本件訂正発明3に係る構成を採用することは、当業者が上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。 イ 次に、上記<相違点9>について検討する。 上記1(2)アで<相違点2>について検討したように、引用発明において、「視認側保護膜(高分子フィルム)」の配向主軸と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」の配向主軸が形成する角を0度となるように配置することが自然であり、20度を超える角度に配置する動機が生じるものではない。 また、特許異議申立人の提出した他の各甲号証の記載を見ても、そのことを動機づける記載はない。 ウ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 本件訂正発明3についてのまとめ 本件訂正発明3は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 本件訂正発明4について (1)対比 ア 引用発明の「複数のLEDを備えた光源」は、本件訂正発明4の「発光スペクトルを有する白色光源」に相当する。 以下、同様に、 「セル構造を有する液晶表示パネル」は、「画像表示セル」に、 「『視認側偏光板』の『偏光子』」は、「画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子」に、 「(高分子フィルムの位相差膜である)視認側保護膜」は、「偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム」に、 「タッチパネルを備えた電子機器」は、「画像表示装置」に、それぞれ、相当する。 イ 引用発明の「視認側保護膜」は、「分子フィルムの位相差膜であって、リタデーションΔn・dを、例えば120?160nmの範囲に設定し、その光学軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が45°である」から、 本件訂正発明4と引用発明とは、「偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、前記配向フィルムの配向主軸と偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である」点で一致する。 ウ 上記ア及びイからして、本件訂正発明4と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「発光スペクトルを有する白色光源、 画像表示セル、 前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、及び 前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム を有し、 前記偏光子保護フィルムは、所定のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、画像表示装置。」 エ 一方、両者は、以下の点で相違する。 <相違点10> 発光スペクトルに関して、 本件訂正発明4は、「連続的」であるのに対して、 引用発明は、不明である点。 <相違点11> 配向フィルムに関して、 本件訂正発明4は、 (ア)「偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルムを有し、前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり」、 (イ)「前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり」、 (ウ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である」のに対して、 (エ)「前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上」であるのに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 <相違点12> 画像表示装置に関して、 本件訂正発明4は、「偏光子保護フィルムの配向主軸と飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角度が20度以下である画像表示装置、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く」のに対して、 引用発明は、上記構成を備えていない点。 (2)判断 ア まず、上記<相違点11>について検討する。検討する。 上記<相違点11>は、本件訂正発明2に関する上記<相違点5>と実質的に同様である。 よって、引用発明において、上記<相違点11>に係る本件訂正発明4に係る構成を採用することは、当業者が上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。 イ 次に、上記<相違点12>について検討する。 上記1(2)アで<相違点2>について検討したように、引用発明において、「視認側保護膜(高分子フィルム)」の配向主軸と「厚さ95μmのPETフィルムからなる基材フィルム」の配向主軸が形成する角を0度となるように配置することが自然であり、20度を超える角度に配置する動機が生じるものではない。 また、特許異議申立人の提出した他の各甲号証の記載を見ても、そのことを動機づける記載はない。 ウ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明4は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 本件訂正発明4についてのまとめ 本件訂正発明4は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、訂正後の請求項1ないし請求項4に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由、つまり、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。他に訂正後の請求項1ないし請求項4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下であり、 前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が20度以下である画像表示装置を除く)。 【請求項2】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が20度以下である画像表示装置、及び、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く)。 【請求項3】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記連続的な発光スペクトルを有する白色光源が、白色発光ダイオードであり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が1800nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下であり、 前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が30度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が20度以下である画像表示装置を除く)。 【請求項4】 (1)連続的な発光スペクトルを有する白色光源、 (2)画像表示セル、 (3)前記画像表示セルよりも視認側に配置される偏光子、 (4)前記偏光子の視認側に積層される偏光子保護フィルム、及び (5)前記偏光子保護フィルムより視認側に配置される飛散防止フィルム を有し、 前記連続的な発光スペクトルを有する白色光源が、白色発光ダイオードであり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、いずれも3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルムであり、 前記飛散防止フィルムは、リタデーション(Re)と厚さ方向のリタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が0.2以上2.0以下であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムは、互いに異なるリタデーションを有し、その差が3500nm以上であり、 前記偏光子保護フィルム及び前記飛散防止フィルムのうち、リタデーションが高い方の配向フィルムの配向主軸と前記偏光子の偏光軸とが形成する角が45度±10度以下である、 画像表示装置(但し、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が形成する角が20度以下である画像表示装置、及び、前記偏光子保護フィルムの配向主軸と前記飛散防止フィルムの配向主軸が互いに垂直である画像表示装置を除く)。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-10-14 |
出願番号 | 特願2013-28048(P2013-28048) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(G02F)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 三笠 雄司、右田 昌士 |
特許庁審判長 |
瀬川 勝久 |
特許庁審判官 |
近藤 幸浩 星野 浩一 |
登録日 | 2019-04-12 |
登録番号 | 特許第6509478号(P6509478) |
権利者 | 東洋紡株式会社 |
発明の名称 | 画像表示装置 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |