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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1369225
審判番号 不服2019-15449  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-19 
確定日 2020-12-17 
事件の表示 特願2018-162288号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月22日出願公開、特開2018-183687号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成30年8月31日の出願であって、平成31年4月5日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年6月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月22日付け(送達日:同年9月3日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和2年6月24日付けで拒絶の理由(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年8月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、AないしFについては、分説するため合議体が付した。)。

「A 所定の表示を表示可能な表示手段および動作可能な特定の可動体を含む演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出実行手段を備え、
B 前記演出実行手段は、
前記特定の可動体が、特定の位置まで移動するときと、前記特定の位置まで移動しないときと、がある可動体演出を実行することがあり、
C 前記可動体演出において、前記特定の可動体の前記特定の位置への移動を煽る煽り演出を実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させるときと、前記煽り演出を実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させないときと、があり、
D 前記煽り演出には、前記特定の可動体が特殊の動作態様で動作する第1の煽り演出と、前記特定の可動体が前記特殊の動作態様で動作しないで前記特定の可動体を模した表示が前記表示手段に表示される第2の煽り演出と、があり、
E 前記第1の煽り演出が実行されたときと前記第2の煽り演出が実行されたときとで、前記特定の可動体が前記特定の位置まで移動する確率が互いに異なる、
F ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次のとおりである。
(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項1
・引用文献等
引用例1.特開2015-91515号公報

第4 引用例1の記載及び引用発明
1 引用例1
当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-91515号公報(平成27年5月14日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(1)
「【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

(2)
「【0040】
また、画像表示装置5と遊技盤2との間には、後述するシャッタモータ36H、36Lにより駆動されて上下方向に移動することにより、画像表示装置5の前方を開閉可能とされたシャッタ38H,38Lとが設けられている。」

(3)
「【0047】
第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームでは、特別図柄の可変表示を開始させた後、特図変動時間となる所定時間が経過すると、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示されれば、所定表示結果としての「小当り」となり、大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。」

(4)
「【0118】
変動パターン種別決定用の乱数値MR3は、特別図柄や飾り図柄の可変表示における変動パターン種別を、予め用意された複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値であり、例えば「1」?「251」の範囲の値をとる。変動パターン決定用の乱数値MR4は、特別図柄や飾り図柄の可変表示における変動パターンを、予め用意された複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値であり、例えば「1」?「997」の範囲の値をとる。普図表示結果決定用の乱数値MR5は、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける可変表示結果を「普図当り」とするか「普図ハズレ」とするかなどの決定を行うために用いられる乱数値であり、例えば「3」?「13」の範囲の値をとる。すなわち、普図表示結果決定用の乱数値MR5は、普図ゲームにおける可変表示結果に基づき普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)しがたい状態(通常開放状態)から遊技球が通過(進入)しやすい状態(拡大開放状態)へと変化させる
か否かなどの決定を行うために用いられる。
【0119】
図7は、この実施の形態における変動パターンを示している。この実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、可変表示結果が「大当り」となる場合のうち、大当り種別が「非確変」又は「確変」である場合と「突確」である場合、さらには、可変表示結果が「小当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。なお、可変表示結果が「ハズレ」で飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合に対応した変動パターンは、非リーチ変動パターン(「非リーチハズレ変動パターン」ともいう)と称され、可変表示結果が「ハズレ」で飾り図柄の可変表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンは、リーチ変動パターン(「リーチハズレ変動パターン」ともいう)と称される。また、非リーチ変動パターンとリーチ変動パターンは、可変表示結果が「ハズレ」となる場合に対応したハズレ変動パターンに含まれる。可変表示結果が「大当り」や「小当り」である場合に対応した変動パターンは、当り変動パターンと称される。
【0120】
図7に示すように、この実施の形態では、非リーチ変動パターンとして、変動パターンPA1-1?変動パターンPA1-5と、変動パターンPB1-1及び変動パターンPB1-2とが、予め用意されている。また、リーチ変動パターンとして、変動パターンPA2-1、変動パターンPA2-2、変動パターンPB2-1、変動パターンPB2-2、変動パターンPA3-1、変動パターンPA3-2、変動パターンPB3-1、変動パターンPB3-2が、予め用意されている。可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「非確変」又は「確変」となる場合に対応した当り変動パターンとしては、変動パターンPA4-1、変動パターンPA4-2、変動パターンPB4-1、変動パターンPB4-2、変動パターンPA5-1、変動パターンPA5-2、変動パターンPB5-1、変動パターンPB5-2が、予め用意されている。可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となる場合や、可変表示結果が「小当り」となる場合に対応した当り変動パターンとしては、変動パターンPC1-1?変動パターンPC1-3が、予め用意されている。さらに、可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となる場合にのみ対応した当り変動パターンとして、変動パターンPC1-4及び変動パターンPC1-5が、予め用意されている。
【0121】
図8は、この実施の形態における変動パターン種別を示している。図7に示す各変動パターンは、図8に示す複数の変動パターン種別のうち、少なくとも1つの変動パターン種別に含まれている。すなわち、各変動パターン種別は、例えば飾り図柄の可変表示中に実行される演出動作などに基づいて分類(グループ化)された1つ又は複数の変動パターンを含むように構成されていればよい。一例として、複数の変動パターンをリーチ演出の種類(演出態様)で分類(グループ化)して、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態とならない変動パターンが含まれる変動パターン種別と、ノーマルリーチを伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別と、スーパーリーチ(スーパーリーチα又はスーパーリーチβ)を伴う変動パターンが含まれる変動パターン種別とに分ければよい。他の一例として、複数の変動パターンを「擬似連」の可変表示演出の有無や擬似連変動(再変動)の実行回数で分類(グループ化)して、「擬似連」の可変表示演出を実行しない変動パターンが含まれる変動パターン種別と、「擬似連」の可変表示演出にて擬似連変動(再変動)の実行回数を1回とする変動パターンが含まれる変動パターン種別と、「擬似連」の可変表示演出にて擬似連変動(再変動)の実行回数を2回以上とする変動パターンが含まれる変動パターン種別とに分ければよい。さらに他の一例として、複数の変動パターンを「擬似連」や「滑り」などの可変表示演出の有無、あるいは、飾り図柄の可変表示時間などに応じて、分類(グループ化)してもよい。複数の変動パターン種別のうちには、共通の変動パターンを含んで構成されたものがあってもよい。」

(5)
「【0184】
図3に示すように、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、演出制御用CPU120がROM121から固定データを読み出す固定データ読出動作や、演出制御用CPU120がRAM122に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、演出制御用CPU120がRAM122に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。」

(6)
「【0187】
この実施の形態では、シャッタ38H,38Lのそれぞれに、シャッタモータ36H,36Lと、シャッタセンサ37H,37Lが設けられていることで、画像表示装置5の上方側に設けられているシャッタ38Hと、画像表示装置5の下方側に設けられているシャッタ38Lとを、個々に独立して動作させることができるようになっている。」

(7)
「【0195】
図3に示す演出制御基板12に搭載されたROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、制御を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、制御パターンテーブルを構成するテーブルデータが記憶されている。
【0196】
図16は、ROM121に記憶される予告種別決定テーブルの構成例を示している。この実施の形態では、予告種別決定テーブルとして、図16(A)に示す表示系予告種別決定テーブル140Aと、図16(B)に示す操作系予告種別決定テーブル140Bとが、予め用意されている。表示系予告種別決定テーブル140Aは、画像表示装置5の表示領域に所定の演出画像を表示することによる表示系予告種別の予告演出を実行するか否か、また、実行する場合における表示系予告種別を複数種類のいずれとするかを、表示系予告種別決定用の乱数値SR1-1に基づいて、決定するために参照されるテーブルである。操作系予告種別決定テーブル140Bは、スティックコントローラ30やプッシュボタン31Bに対する所定の指示操作に応じた操作系予告種別の予告演出を実行するか否か、また、実行する場合における操作系予告種別を複数種類のいずれとするかを、操作系予告種別決定用の乱数値SR1-2に基づいて、決定するために参照されるテーブルである。
【0197】
表示系予告種別決定テーブル140Aでは、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに応じて、表示系予告なし、あるいは、キャラクタ表示CAY1、ステップアップ表示CAY2の表示系予告種別のいずれかに、表示系予告種別決定用の乱数値SR1-1と比較される数値(決定値)が割り当てられている。ここで、キャラクタ表示CAY1の表示系予告種別は、「キャラクタ表示」の予告演出に含まれる演出動作として、画像表示装置5の表示領域にてキャラクタ画像の表示を行う演出表示が実行される予告種別である。ステップアップ表示CAY2の表示系予告種別は、「ステップアップ表示」の予告演出に含まれる演出動作として、画像表示装置5の表示領域にて複数種類の演出画像を所定の順番に従って表示可能とする演出表示が実行される予告種別である。」

(8)
「【0201】
図17及び図18は、ROM121に記憶される表示系予告パターン決定テーブルの構成例を示している。この実施の形態では、表示系予告パターン決定テーブルとして、図17に示す表示系予告パターン決定テーブル141Aと、図18に示す表示系予告パターン決定テーブル141Bとが、予め用意されている。表示系予告パターン決定テーブル141Aは、キャラクタ表示CAY1の表示系予告種別に決定された場合に、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1に基づいて、表示系予告パターンを複数種類のいずれかに決定するために参照されるテーブルである。表示系予告パターン決定テーブル141Bは、ステップアップ表示CAY2の表示系予告種別に決定された場合に、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1に基づいて、表示系予告パターンを複数種類のいずれかに決定するために参照されるテーブルである。
・・・
【0204】
表示系予告パターン決定テーブル141Bでは、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに応じて、表示系予告パターンYAP2-1?表示系予告パターンYAP2-9のいずれかに、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1と比較される数値(決定値)が割り当てられている。そして、表示系予告パターン決定テーブル141Bでは、「擬似連」の可変表示演出を実行しない変動パターンである場合に、表示系予告パターンYAP2-1?表示系予告パターンYAP2-4のいずれかに決定値が割り当てられている。その一方で、「擬似連」の可変表示演出を実行する変動パターンである場合には、表示系予告パターンYAP2-1?表示系予告パターンYAP2-4のいずれに対しても決定値が割り当てられていない。したがって、表示系予告パターンYAP2-1?表示系予告パターンYAP2-4は、「擬似連」の可変表示演出を実行しない場合に所定の演出態様で予告演出を実行するものとなっている。表示系予告パターンYAP2-5?表示系予告パターンYAP2-9は、「擬似連」の可変表示演出における擬似連変動の実行回数(合計回数)に対応して、所定の演出態様で予告演出を実行するものとなっている。」

(9)
「【0247】
具体的にROM121には、図22(A)に示す図柄変動制御パターンテーブル146とともに、図22(B)に示すリーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルが記憶されており、これらリーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルと乱数値SR2-1とが比較されることにより、シャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターン(末尾がP)とするか、シャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタ画像を画像表示装置5に表示させる図柄変動制御パターン(末尾がN)とするかが決定される。
【0248】
図22(B)に示す設定例では、ハズレとなる変動パターンであるSPB2-1、SPB2-2、SPA3-1、SPA3-2においては、末尾がNであるシャッタ画像を表示する図柄変動制御パターンに対して判定値数が多く割り当てられる一方、末尾がPであるシャッタ38H,38Lが動作する図柄変動制御パターンに対して判定値数が少なく割り当てられ、当りとなる変動パターンであるSPB4-1、SPB4-2、SPA5-1、SPA5-2においては、末尾がNであるシャッタ画像を表示する図柄変動制御パターンに対して判定値数が少なく割り当てられる一方、末尾がPであるシャッタ38H,38Lが動作する図柄変動制御パターンに対して判定値数が多く割り当てられていることで、ハズレとなる場合にはリーチ成立時に画像表示装置5にシャッタ画像が表示される場合が多く決定され、大当りとなる場合にはリーチ成立時にシャッタ38H,38Lが動作する場合が多く決定されることで、シャッタ38H,38Lが動作した場合には大当りとなる可能性が高く、シャッタ38H,38Lが動作しない場合(画像シャッタが表示される場合)には大当りとなる可能性が低いこととなる。」

(10)
「【0251】
尚、これら図23に示す表示系予告種別に対応した予告演出制御パターンには、シャッタ38H,38Lの動作制御を有するものと、シャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタの画像を画像表示装置5に表示する表示制御を有するものとを含んでいる。具体的には、予告演出の種別としてステップアップ予告が決定された場合において設定される予告演出制御パターンSTA2-2?STA2-4には、ステップアップ時においてシャッタ38H,38Lを動作(一時的に閉状態とする動作)させる動作制御が含まれており、第2ステップ以上に発展するステップアップ予告では、ステップアップ時(予告演出の発展時)においてシャッタ38H,38Lを一時的に閉状態とする動作が実施される。」

(11)
「【0262】
図25(B)は、演出制御パターンの内容に従って実行される各種の演出動作を示している。演出制御用CPU120は、演出制御パターンに含まれる各種の制御データに従って、演出動作の制御内容を決定する。例えば、演出制御プロセスタイマ値が演出制御プロセスタイマ判定値のいずれかと合致したときには、その演出制御プロセスタイマ判定値と対応付けられた表示制御データにより指定される態様で飾り図柄を表示させるとともに、キャラクタ画像や背景画像といった演出画像を画像表示装置5の表示領域に表示させる制御を行う。また、音声制御データにより指定される態様でスピーカ8L、8Rから音声を出力させる制御を行うとともに、ランプ制御データにより指定される態様で遊技効果ランプ9等の発光体を点滅させる制御を行い、操作検出制御データにより指定される操作有効期間にてスティックコントローラ30の操作桿30Aやトリガボタン31Aあるいはプッシュボタン31Bに対する操作を受け付けて演出内容を決定する制御を行い、シャッタ制御データにより指定される態様でシャッタモータ36H、36Lを駆動してシャッタ38H,38Lを動作させる制御を行うとともに、保留表示中止フラグ制御データの指定により、保留表示中止フラグのセット或いはリセットを行う。なお、演出制御プロセスタイマ判定値と対応していても制御対象にならない演出用部品に対応するデータには、ダミーデータ(制御を指定しないデータ)が設定されてもよい。」

(12)
「【0549】
図62は、本実施の形態の表示系予告における3回の疑似連後にスーパーリーチとなる場合の演出形態を示している。まず、飾り図柄の可変表示前においては、図62(A)に示すように、第1保留記憶数表示エリア5Dにおいて、次に可変表示の対象とされる第1
保留記憶数表示エリア5Dの向かって最も左端に表示されている保留記憶表示が、スーパーリーチや大当りとなる可能性があることを示す星の表示態様とされている。
・・・
【0553】
そして、仮停止後に1回目の可変表示が再度開始されるときには、図62(E)に示すように、下側のシャッタ38Lが画像表示装置5の下側半分の表示領域を覆うように上方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作する。尚、これらシャッタ38Lが動作する場合は、図23に示すように、高信頼度の予告演出パターンが決定された場合であり、低信頼度の予告演出パターンが決定された場合には、画像表示装置5には、下側半分の表示領域を覆うように上方へ動作(移動)するシャッタの画像が表示される。
・・・
【0557】
この2回目の再変動が開始される際には、図62(G)に示すように、上側シャッタ38Hが、画像表示装置5の上側半分の表示領域を一時的に覆うように下方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作する。尚、この上側シャッタ38Hの動作の際には、既に1回目の下側シャッタ38Lの動作に伴って、動作する上側シャッタ38Hによって隠される第2保留記憶数表示エリア5Uの保留記憶表示が第1保留記憶数表示エリア5Dと
ともに既に非表示とされているので、改めて保留記憶表示を非表示とする制御を実施していない。このように、保留記憶表示の非表示を飾り図柄の変動表示中において継続させるようにすることは、保留記憶表示を非表示とすることにより、第1保留記憶数表示エリア5D並びに第2保留記憶数表示エリア5Uの表示領域にも予告演出やリーチ演出の画像等を表示でき、演出効果を高められることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、1回目の再変動時における下側シャッタ38Lの動作が完了した段階で、再度、第1保留記憶数表示エリア5D並びに第2保留記憶数表示エリア5Uの保留記憶表示を表示状態としておき、2回目の再変動時における上側シャッタ38Hの動作に際して、再度、第1保留記憶数表示エリア5D並びに第2保留記憶数表示エリア5Uの保留記憶表示を非表示とするようにしても良い。つまり、シャッタ38H,38Lが動作している期間のみにおいて、1保留記憶数表示エリア5D並びに第2保留記憶数表示エリア5Uの保留記憶表示を非表示とするようにしても良い。
・・・
【0559】
この3回目の再変動が開始される際には、図62(I)に示すように、上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作(移動)する。尚、この両シャッタ38H,38Lの動作の際には、既に1回目の下側シャッタ38Lの動作に伴って、両シャッタ38H,38Lによって隠される第1保留記憶数表示エリア5Dと第2保留記憶数表示エリア5Uの保留記憶表示がともに既に非表示とされているので、改めて保留記憶表示を非表示とする制御を実施していない。つまり、これら疑似連等の再変動や、ステップアップ予告のステップアップ等に伴って間歇的にシャッタ38H,38Lを繰返し動作させる場合における制御負荷を低減できる。
・・・
【0562】
スーパーリーチの演出においては、遊技者による操作が所定条件を満たすこと等に応じて、図62(M)に示すように、3回目の再変動の開始時と同様に、上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作(移動)して、表示領域が一旦隠された後、両シャッタ38H,38Lが初期位置となる格納位置に戻って表示領域が開放された際に、「戦闘!」のメッセージが表示された後、図62(N)に示すように、例えば、スティックコントローラ30を使用して、画像表示装置5に表示される敵戦闘機を打ち落とす等の戦闘演出が実施される。」

(13)
「【0566】
一方、予告演出の予告パターンとして低信頼度の予告パターンが決定された場合には、図57(B)に示すように、疑似連における飾り図柄の1回目の再変動時において上側シャッタの移動画像が表示され、2回目の再変動時において下側シャッタの移動画像が表示され、3回目の再変動時において上側シャッタと下側シャッタの移動画像が表示され、実物のシャッタ38H,38Lは動作されない。よって、1回目の再変動時以降においても、2回目の再変動時以降においても、3回目の再変動時以降においても第1保留記憶数表示エリア5D並びに第2保留記憶数表示エリア5Uの保留記憶表示が継続される。つまり、これら低信頼度の予告パターンが決定された場合には、リーチ成立時やリーチ成立後においても第1保留記憶数表示エリア5D並びに第2保留記憶数表示エリア5Uの保留記憶表示が継続されている場合が存在することになる。」


(14)
「【図7】



(15)
「【図18】



(16)
「【図22】



(17)
「【図23】



(18)
「【図57】



(19) 認定事項
(ア)引用例1の【0119】?【0121】の記載も合わせてみると、図7には、変動パターンとして、疑似連変動(3回)→スーパーリーチα(ハズレ)のPA3-1、疑似連変動(3回)→スーパーリーチβ(ハズレ)のPA3-2、疑似連変動(3回)→スーパーリーチα(当り)のPA5-1、疑似連変動(3回)→スーパーリーチβ(当り)のPA5-2があることが図示されると認められる(認定事項1)。

(イ)引用例1の【0195】には、
「ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、制御を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、制御パターンテーブルを構成するテーブルデータが記憶されている。」と記載され、
【0196】には、「予告種別決定テーブルとして、図16(A)に示す表示系予告種別決定テーブル140A・・・が、予め用意されている。」と記載され、
【0197】には、「表示系予告種別決定テーブル140Aでは、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに応じて、表示系予告なし、あるいは、キャラクタ表示CAY1、ステップアップ表示CAY2の表示系予告種別のいずれかに、表示系予告種別決定用の乱数値SR1-1と比較される数値(決定値)が割り当てられている。」と記載され、
【0201】には、「表示系予告パターン決定テーブル141Bは、ステップアップ表示CAY2の表示系予告種別に決定された場合に、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1に基づいて、表示系予告パターンを複数種類のいずれかに決定するために参照されるテーブルである。」と記載され、
【0204】には、「表示系予告パターン決定テーブル141Bでは、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに応じて、表示系予告パターンYAP2-1?表示系予告パターンYAP2-9のいずれかに、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1と比較される数値(決定値)が割り当てられている。」と記載され、
図18には、表示系予告パターン決定テーブル141Bにおいて、変動パターンがPA3-1またはPA3-2のときに、SR2-1の決定値が1?545であるときには、YAP2-8が選択され、同決定値が546?643であるときには、表示系予告パターンYAP2-9が選択されること及び変動パターンがPA5-1またはPA5-2のときに、SR2-1の決定値が1?95であるときには、YAP2-8が選択され、同決定値が96?643であるときには、表示系予告パターンYAP2-9が選択されることが図示され、
図23には、表示系予告パターンYAP2-8は、疑似連変動3回低信頼度のパターンであり、YAP2-9は、疑似連変動3回高信頼度のパターンであることが図示されることから、
引用例1には、演出制御用CPU120によって表示系予告種別決定テーブル140Aからステップアップ表示CAY2が決定されると、表示系予告パターン決定テーブル141Bにおいて、変動パターンがPA3-1またはPA3-2のときに、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1の決定値が1?545であるときには、疑似連3回低信頼度の表示系予告パターンであるYAP2-8が選択され、同決定値が546?643であるときには、疑似連3回高信頼度の表示系予告パターンである表示系予告パターンYAP2-9が選択され、変動パターンがPA5-1またはPA5-2のときに、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1の決定値が1?95であるときには、疑似連3回低信頼度の表示系予告パターンであるYAP2-8が選択され、同決定値が96?643であるときには、疑似連3回高信頼度の表示系予告パターンである表示系予告パターンYAP2-9が選択されることが記載されていると認められる(認定事項2)。

(ウ)引用例1の【0247】には、「具体的にROM121には、図22(A)に示す図柄変動制御パターンテーブル146とともに、図22(B)に示すリーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルが記憶されており、これらリーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルと乱数値SR2-1とが比較されることにより、シャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターン(末尾がP)とするか、シャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタ画像を画像表示装置5に表示させる図柄変動制御パターン(末尾がN)とするかが決定される。」と記載され、
図22(A)には、図柄変動制御パターンテーブル146において、変動パターンがPA3-1のときに、SPA3-1NまたはSPA3-1Pが選択され、同PA3-2、PA5-1、PA5-2のときに、それぞれSPA3-2NまたはSPA3-2P、SPA5-1NまたはSPA5-1P、SPA5-2NまたはSPA5-2Pが選択されることが図示され、
上記図22(A)の図示内容を考慮すると、図22(B)には、リーチ時シャッタ動作振分けテーブル147において、変動パターンがPA3-1またはPA3-2のときに、SR2-1の決定値が1?550であるときには、SPA3-1Nが選択され、同決定値が551?643であるときには、SPA3-1Pが選択され、変動パターンがPA5-1またはPA5-2のときに、SR2-1の決定値が1?20であるときには、SPA5-1Nが選択され、同決定値が21?643であるときには、SPA5-1Pが選択されることが図示されることから、
引用例1には、変動パターンがPA3-1またはPA3-2のときには、リーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルにおいて乱数値SR2-1の決定値が1?550のときには、リーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタ画像を画像表示装置5に表示させる図柄変動制御パターンであるSPA3-1NまたはSPA3-2Nが選択され、同決定値が551?643のときには、シャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンであるSPA3-1PまたはSPA3-2Pが選択され、変動パターンがPA5-1またはPA5-2のときには、リーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルにおいて乱数値SR2-1の決定値が1?20のときには、リーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタ画像を画像表示装置5に表示させる図柄変動制御パターンであるSPA5-1NまたはSPA5-2Nが選択され、同決定値が20?643のときには、シャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンであるSPA5-1PまたはSPA5-2Pが選択されることが記載されていると認められる(認定事項3)。

(20)上記(1)ないし(18)の記載事項、および、(19)の認定事項からみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、aないしfについては本願発明のAないしFに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 演出制御パターンに含まれる各種の制御データに従って、演出動作の制御内容を決定し、表示制御データにより指定される態様で飾り図柄を表示させたり、シャッタ画像を画像表示装置5の表示領域に表示させたりする制御を行い、シャッタ制御データにより指定される態様でシャッタ38H,38Lを動作させる制御を行う、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121を搭載する演出制御基板12と(【0184】、【0247】、【0262】)、画像表示装置5の上方側に設けられているシャッタ38Hと、画像表示装置5の下方側に設けられているシャッタ38Lからなり(【0187】)、画像表示装置5の前方を開閉可能とされたシャッタ38H,38Lと(【0040】)、を備え、
b?d 飾り図柄の可変表示における変動パターン(【0118】)が、疑似連変動(3回)→スーパーリーチα(ハズレ)のPA3-1または疑似連変動(3回)→スーパーリーチβ(ハズレ)のPA3-2である場合に(認定事項1)、演出制御用CPU120によって表示系予告種別決定テーブル140Aからステップアップ表示CAY2が決定されると(【0195】?【0197】)、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1の決定値が1?545であるときには、疑似連3回低信頼度の表示系予告パターンであるYAP2-8が選択され、同決定値が546?643であるときには、疑似連3回高信頼度の表示系予告パターンである表示系予告パターンYAP2-9が選択され(認定事項2)、
表示系予告種別に対応した予告演出制御パターンには、シャッタ38H,38Lの動作制御を有するものと、シャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタの画像を画像表示装置5に表示する表示制御を有するものとを含み(【0251】、図23)、
表示系予告における3回の疑似連後にスーパーリーチとなり、高信頼度の表示系予告演出パターンが決定された場合、仮停止後に1回目の可変表示が再度開始されるときに、下側のシャッタ38Lが画像表示装置5の下側半分の表示領域を覆うように上方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作し、2回目の再変動が開始される際には、上側シャッタ38Hが、画像表示装置5の上側半分の表示領域を一時的に覆うように下方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作し、3回目の再変動が開始される際には、上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作し、スーパーリーチの演出においては、3回目の再変動の開始時と同様に、上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作し(【0553】、【0557】、【0559】、【0562】)、
低信頼度の表示系予告パターンが決定された場合には、疑似連における飾り図柄の1回目の再変動時において上側シャッタの移動画像が表示され、2回目の再変動時において下側シャッタの移動画像が表示され、3回目の再変動時において上側シャッタと下側シャッタの移動画像が表示され、実物のシャッタ38H,38Lは動作されず(【0566】、図57)、
変動パターンがPA3-1またはPA3-2のときには、リーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルにおいて、乱数値SR2-1の決定値が1?550のときには、リーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタ画像を画像表示装置5に表示させる図柄変動制御パターンであるSPA3-1NまたはSPA3-2Nが選択され、同決定値が551?643のときには、シャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンであるSPA3-1PまたはSPA3-2Pが選択され(認定事項3)、
変動パターン(【0118】)が、疑似連変動(3回)→スーパーリーチα(当り)のPA5-1または疑似連変動(3回)→スーパーリーチβ(当り)のPA5-2である場合に(認定事項1)、演出制御用CPU120によって表示系予告種別決定テーブル140Aからステップアップ表示CAY2が決定されると(【0195】?【0197】)、表示系予告パターン決定用の乱数値SR2-1の決定値が1?95であるときには、疑似連3回低信頼度の表示系予告パターンであるYAP2-8が選択され、同決定値が96?643であるときには、疑似連3回高信頼度の表示系予告パターンである表示系予告パターンYAP2-9が選択され、(認定事項2)
変動パターンがPA5-1またはPA5-2のときには、リーチ時シャッタ動作振分け決定テーブルにおいて、乱数値SR2-1の決定値が1?20のときには、リーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタ画像を画像表示装置5に表示させる図柄変動制御パターンであるSPA5-1NまたはSPA5-2Nが選択され、同決定値が20?643のときには、シャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンであるSPA5-1PまたはSPA5-2Pが選択され(認定事項3)、
e 特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果(【0047】)がハズレとなる変動パターンであるSPA3-1、SPA3-2においては、末尾がNであるシャッタ画像を表示する図柄変動制御パターンに対して判定値数が多く割り当てられる一方、末尾がPであるシャッタ38H,38Lが動作する図柄変動制御パターンに対して判定値数が少なく割り当てられ、当りとなる図柄制御変動パターンであるSPA5-1、SPA5-2においては、末尾がNであるシャッタ画像を表示する図柄変動制御パターンに対して判定値数が少なく割り当てられる一方、末尾がPであるシャッタ38H,38Lが動作する図柄変動制御パターンに対して判定値数が多く割り当てられていることで、ハズレとなる場合にはリーチ成立時に画像表示装置5にシャッタ画像が表示される場合が多く決定され、大当りとなる場合にはリーチ成立時にシャッタ38H,38Lが動作する場合が多く決定されることで、シャッタ38H,38Lが動作した場合には大当りとなる可能性が高く、シャッタ38H,38Lが動作しない場合(画像シャッタが表示される場合)には大当りとなる可能性が低いこととなる(【0248】)、
f パチンコ遊技機1(【0018】)。」(以下「引用発明」という。)

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する(見出し(a)ないし(f)は、本願発明の特定事項AないしFに対応する。)。

(a)引用発明の構成aの「シャッタ画像を」「表示させる」「画像表示装置5」、「指定される態様で」「動作させる」「シャッタ38H,38L」のいずれかのシャッタ及びこれらの「制御動作を行う」「演出制御用CPU120」を有する「演出制御基板12」が、それぞれ本願発明の構成Aの「所定の表示を表示可能な表示手段」、「動作可能な特定の可動体」及び「演出実行手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する。

(b)引用発明の構成b?dにおいて、「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」することは、上記(a)の説示内容も踏まえると、本願発明の構成Bの「前記特定の可動体が、特定の位置まで移動するとき」に相当する。
そして、同構成b?dにおいて、上記「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」することは、「スーパーリーチの演出」においても、「3回目の再変動の開始時と同様に」行われていることから、「リーチの演出」時にも、「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」する演出が行われているといえる。
また、同構成b?dにおける、「シャッタ38H,38Lが動作しない場合」で「リーチ成立時に画像表示装置5にシャッタ画像が表示される場合」は、同構成Bの「前記特定の可動体が」「前記特定の位置まで移動しないとき」に相当する。
してみると、同構成b?dの「リーチの演出」時、「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」するか、「シャッタ38H,38Lが動作しない」で、「画像シャッタが表示される」かのどちらかが実行される演出が、同構成Bの「前記特定の可動体が、特定の位置まで移動するときと、前記特定の位置まで移動しないときと、がある可動体演出」に相当する。
したがって、引用発明の構成b?dは、本願発明の構成Bに相当する構成を備える。

(c、d)
(ア)引用発明の構成b?dにおいて、「疑似連変動(3回)→スーパーリーチα」または「疑似連変動(3回)→スーパーリーチβ」は、リーチの前に疑似連変動が行われることを示すと認められるから、引用発明において、疑似連演出は、リーチ成立時の演出の前に行われると認められる。

(イ)同構成b?dの「1回目の可変表示が再度開始されるときに、下側のシャッタ38Lが画像表示装置5の下側半分の表示領域を覆うように上方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作し、2回目の再変動が開始される際には、上側シャッタ38Hが、画像表示装置5の上側半分の表示領域を一時的に覆うように下方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作し、3回目の再変動が開始される際には、上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」する「高信頼度の表示系予告パターン」の演出は、本願発明の構成Dの「前記特定の可動体が特殊の動作態様で動作させる第1の」「演出」に相当するとともに、同構成b?dにおける「上側シャッタの移動画像」及び「下側シャッタの移動画像」は、「動作」する「上側シャッタ38H」及び「下側シャッタ38L」を模した画像であると認められるから、同構成b?dの「疑似連における飾り図柄の1回目の再変動時において」「画像表示装置5に」「上側シャッタの移動画像が表示され、2回目の再変動時において下側シャッタの移動画像が表示され、3回目の再変動時において上側シャッタと下側シャッタの移動画像が表示され、実物のシャッタ38H,38Lは動作され」ない「低信頼度の表示系予告パターン」の演出は、同構成Dの「前記特定の可動体が特殊の動作態様で動作しないで前記特定の可動体を模した表示が前記表示手段に表示される第2の」「演出」に相当する。

(ウ)上記(b)の説示内容を踏まえると、同構成b?dの「リーチ成立時に」「シャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターン」である「SPA3-1P」、「SPA3-2P」、「SPA5-1P」及び「SPA5-1P」が、本願発明の構成Cの「前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させる」「可動体演出」に相当し、同構成b?dの「リーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させずにシャッタ画像を画像表示装置5に表示させる図柄変動制御パターン」である「SPA3-1N」、「SPA3-2N」、「SPA5-1N」及び「SPA5-2N」が、同構成Cの「前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させない」「可動体演出」に相当するとともに、上記(ア)より、リーチ成立時に実行される上記各種図柄変動制御パターンは、疑似連時に実行される上記表示系予告パターンを実行してから実行されると認められる。

(エ)引用発明の構成b?dにおいて、「低信頼度の」「表示系予告パターン」である「YAP2-8」(本願発明の「第2の」「演出」に相当。)または「高信頼度の」「表示系予告パターン」である「YAP2-9」(本願発明の「第1の」「演出」に相当。)と、「図柄変動制御パターン」の「SPA3-1N」、「SPA3-2N」、「SPA5-1N」、「SPA5-2N」、「SPA3-1P」、「SPA3-2P」、「SPA5-1P」及び「SPA5-1P」は、共に「乱数値SR2-1の決定値」に基づいて選択されるところ、飾り図柄の可変表示における変動パターンがハズレ時のPA3-1又はPA3-2、若しくは、当り時のPA5-1又はPA5-2であり、表示系予告種別決定テーブル140AでCAY2が選択されたときに、乱数値SR2-1の決定値よりそれぞれ選択される「表示系予告パターン」及び「図柄変動制御パターン」をまとめると、以下のようになる。

ハズレ時

当り時


(オ)上記(エ)における、「表示系予告パターン」演出の実行後、リーチ時にシャッタを動作させるパターン2、3、6は、本願発明の構成Cの「煽り演出を実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させるとき」と、「演出(以下、「可動体演出」と区別するため、当該演出を、以下、「演出A」という。)を実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させるとき」である点で共通し、「表示系予告パターン」演出の実行後、リーチ時にシャッタを動作させないパターン1、4、5が、本願発明の構成Cの「煽り演出を実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させないとき」と、「演出Aを実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させないとき」である点で共通するといえる。
したがって、引用発明の構成b?dは、本願発明の構成Cと、「前記可動体演出において、演出Aを実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させるときと、前記演出Aを実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させないときと、があ」る点で共通するとともに、本願発明の構成Dと、「前記演出Aには、前記特定の可動体が特殊の動作態様で動作する第1の演出Aと、前記特定の可動体が前記特殊の動作態様で動作しないで前記特定の可動体を模した表示が前記表示手段に表示される第2の演出Aと、があ」る点で共通する。

(e)上記(b)及び(c、d)で説示のとおり、引用発明の構成b?dにおいて、「高信頼度の表示系予告パターン」(本願発明の「第1の」「演出」に相当。)が実行されると、「大当りとなる可能性が高」く、かつリーチ成立時に「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」する(本願発明の「特定の可動体が前記特定の位置まで移動する」に相当。)場合が多く決定され」るのに対して、「低信頼度の表示系予告パターン」(本願発明の「第2の」「演出」に相当。)が実行されると、「大当りとなる可能性が低」く、かつ「シャッタ38H,38Lが動作しない」「リーチ成立時に画像表示装置5にシャッタ画像が表示される場合が多く決定され」るのであるから、引用発明の構成b?dにおいて、「高信頼度の予告パターン」が実行されると、「低信頼度の予告パターン」が実行されたときと比較して、「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」する確率が高いといえる。
したがって、引用発明の構成b?dは、本願発明の構成Eと、「前記第1の演出Aが実行されたときと前記第2の演出Aが実行されたときとで、前記特定の可動体が前記特定の位置まで移動する確率が互いに異なる」点で共通する。

(f)引用発明の構成fの「パチンコ遊技機1」は、本願発明の構成Fの「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する構成を備える。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「A 所定の表示を表示可能な表示手段および動作可能な特定の可動体を含む演出手段を用いて、所定の演出を実行可能な演出実行手段を備え、
B 前記演出実行手段は、
前記特定の可動体が、特定の位置まで移動するときと、前記特定の位置まで移動しないときと、がある可動体演出を実行することがあり、
C 前記可動体演出において、演出Aを実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させるときと、前記演出Aを実行してから前記特定の可動体を前記特定の位置まで移動させないときと、があり、
D 前記演出Aには、前記特定の可動体が特殊の動作態様で動作する第1の演出Aと、前記特定の可動体が前記特殊の動作態様で動作しないで前記特定の可動体を模した表示が前記表示手段に表示される第2の演出Aと、があり、
E 前記第1の演出Aが実行されたときと前記第2の演出Aが実行されたときとで、前記特定の可動体が前記特定の位置まで移動する確率が互いに異なる、
F 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点(特定事項C?E)
「演出A」が、本願発明は、「前記特定の可動体の前記特定の位置への移動を煽る煽り演出」であるのに対して、引用発明は、「1回目の可変表示が再度開始される」ときに、「下側のシャッタ38Lが画像表示装置5の下側半分の表示領域を覆うように上方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作」し、「2回目の再変動が開始される際」には、「上側シャッタ38Hが、画像表示装置5の上側半分の表示領域を一時的に覆うように下方へ移動した後、所定の格納位置に戻るように動作」し、「3回目の再変動が開始される際」には、「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」される「高信頼度の表示系予告パターン」と、「疑似連における飾り図柄の1回目の再変動時において上側シャッタの移動画像が表示され、2回目の再変動時において下側シャッタの移動画像が表示され、3回目の再変動時において上側シャッタと下側シャッタの移動画像が表示され、実物のシャッタ38H,38Lは動作され」ない「低信頼度の表示系予告パターン」のいずれかが実行される演出であるが、これらの演出が、リーチ時に「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」することを煽る「煽り演出」であるか否かが不明である点。

第6 判断
1 相違点について
(ア)本願発明の「前記特定の可動体の前記特定の位置への移動を煽る煽り演出」について、本願の発明の詳細な説明には、明細書の【0247】に、「図31(A)に示すように、待機状態の位置にある盤下可動体56kの上方の表示部50aに、盤下可動体56kを模した盤下可動体画像G10が点滅表示される。この盤下可動体画像G10の表示によって、盤下可動体56kが表示部50a上に出現する可能性があることが示唆される。つまり、盤下可動体画像G10の表示は、盤下可動体56kの出現を煽る演出として機能する。」と記載され、【0252】に、「図32(A)に示すように、盤下可動体56kが上下に揺れる揺れ動作が行われる。この盤下可動体56kの揺れ動作によって、盤下可動体56kが表示部50a上に出現する可能性があることが示唆される。つまり、盤下可動体56kの揺れ動作は、盤下可動体56kの出現を煽る演出として機能する。」と記載されるように、「煽り演出」とは、盤下可動体56kのような特定の可動体を模した画像を表示部に表示させたり、特定の可動体の揺れ動作を実行することで、特定の可動体が、表示部50a上に出現する可能性があることを示唆する演出を示すと解される。

(イ)一方、引用発明の「高信頼度の表示系予告パターン」又は「低信頼度の表示系予告パターン」は、これらが実行されると、乱数値SR2-1の決定値に基づいてあらかじめ定められた特定の確率で、リーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンである、SPA3-1P、SPA3-2P、SPA5-1PまたはSPA5-2Pを実行するものであり、「高信頼度の表示系予告パターン」又は「低信頼度の表示系予告パターン」の実行と、その後のリーチ時に「上側シャッタ38Hと下側シャッタ38Lとが共に動作して、画像表示装置5の全表示領域を一時的に覆うように動作」させる図柄変動制御パターンの間には、相関があるといえる。

(ウ)上記(イ)より、上記「高信頼度の表示系予告パターン」又は「低信頼度の表示系予告パターン」の実行と、その後のリーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンの間には相関があり、「高信頼度の表示系予告パターン」又は「低信頼度の表示系予告パターン」の演出に接した遊技者は、それぞれの表示系予告パターンに応じた発生確率で、後のリーチ成立時に、大当りとなる可能性が高いシャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンの発生を期待することができるといえることから、引用発明における「高信頼度の表示系予告パターン」又は「低信頼度の表示系予告パターン」は、その発生後にシャッタ38H,38Lが動作する可能性を示唆している演出、すなわち、シャッタ38H,38Lが動作することを煽る煽り演出であるといえる。

(エ)そうすると、上記相違点は実質的な相違点ではなく、本願発明は、引用発明である。

2 請求人の主張について
請求人は、令和2年8月4日提出の意見書において、引用発明は、「疑似連における飾り図柄の再変動時のシャッタ38H,38Lの動作およびシャッタ画像の移動は、単独の演出であり、リーチ成立時のシャッタ38H,38Lの動作を煽る演出ではありません。」と主張する。
しかし、上記「1 相違点について」(イ)、(ウ)で説示のとおり、「高信頼度の表示系予告パターン」又は「低信頼度の表示系予告パターン」(疑似連における飾り図柄の再変動時のシャッタ38H,38Lの動作およびシャッタ画像の移動の演出パターン)と、リーチ成立時にシャッタ38H,38Lを動作させる図柄変動制御パターンの間には相関があり、「高信頼度の表示系予告パターン」又は「低信頼度の表示系予告パターン」は、シャッタ38H,38Lが動作することを煽る煽り演出であるといえるから、上記主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-10-07 
結審通知日 2020-10-13 
審決日 2020-10-27 
出願番号 特願2018-162288(P2018-162288)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 113- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 眞壁 隆一  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
赤坂 祐樹
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人コスモス国際特許商標事務所  

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