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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1369229
審判番号 不服2020-4503  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-03 
確定日 2020-12-17 
事件の表示 特願2019-536610「耐食性診断部品の製造方法、及び診断方法」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2019年(平成31年)2月6日を国際出願日とする出願であって、令和元年7月4日に手続補正書が提出され、同年9月12日付けで拒絶理由が通知され、同年11月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月26日付けで拒絶査定(原査定)がされたところ、令和2年4月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされ、同年7月15日に上申書が提出されたものである。


第2 令和2年4月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年4月3日にされた手続補正(以下「本件補正」ということがある。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示す。)

「 【請求項1】
径方向断面が円弧形状であり軸長方向に延出し、R部分を有する前記径方向の外周に対して亜鉛溶射および熱処理が行われたアルミニウム材の扁平管を伝熱管として有する熱交換器の耐食性を診断する耐食性診断部品の製造方法において、
他の前記扁平管を更に前記耐食性診断部品として準備する準備工程と、
前記耐食性診断部品の前記径方向断面の軸短方向に対向する前記亜鉛溶射および前記熱処理が行われた表面のうちの一方を、前記軸長方向に対して部分的に切削して平面部とし、前記一方のうちの前記軸長方向で切削されていない残りを亜鉛溶射部とし、前記平面部において前記アルミニウム材を露出させる第1切削工程と、
前記平面部において前記アルミニウム材が露出している部分と連なるよう、かつ前記R部分に対応する前記径方向断面の両端面部が前記軸短方向に対して実質的に平行な直線状となるよう、前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部を切削し、前記両側面部において前記アルミニウム材を露出させる第2切削工程と、
を備えた耐食性診断部品の製造方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和元年11月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
径方向断面が円弧形状であり軸長方向に延出し、R部分を有する前記径方向の外周に対して亜鉛溶射および熱処理が行われたアルミニウム材の扁平管を伝熱管として有する熱交換器の耐食性を診断する耐食性診断部品の製造方法において、
他の前記扁平管を更に前記耐食性診断部品として準備する準備工程と、
前記耐食性診断部品の前記径方向断面の軸短方向に対向する前記亜鉛溶射および前記熱処理が行われた表面のうちの一方を、前記軸長方向に対して部分的に切削して平面部とし、前記一方のうちの前記軸長方向で切削されていない残りを亜鉛溶射部とし、前記平面部において前記アルミニウム材を露出させる第1切削工程と、
前記平面部において前記アルミニウム材が露出している部分と連なるように、前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部を切削し、前記両側面部において前記アルミニウム材を露出させる第2切削工程と、
を備えた耐食性診断部品の製造方法。」

2 補正の適否

本件補正のうち、請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2切削工程」の内容について、上記1(1)の下線部のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である国際公開第2017/199569号(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。)。

(引1-ア)「技術分野
[0001] 本発明は、実環境中でのアルミニウム熱交換器における耐食性寿命予測を可能とする耐食性診断器とそれを搭載したアルミニウム熱交換器、空気調和機、及びその製造方法並びに診断方法に関する。」

(引1-イ)「[0023]<アルミニウム熱交換器用伝熱管に用いる亜鉛犠牲層付アルミニウム材>
上述のように、アルミニウム熱交換器用伝熱管に用いる亜鉛犠牲層付アルミニウム材は、まず、アルミニウムを含む材料を用いた芯材層として板状部材を準備し、次いで、この芯材層に、耐食性が芯材層より低い犠牲層を形成することにより製造される。具体的には、芯材にアルミニウム合金(例えばアルミニウム-マンガン合金)を用い、その表層にアルミニウム-亜鉛合金を配置して構成される。
[0024] 亜鉛犠牲層付アルミニウム材として、アルミニウムクラッド材もしくは亜鉛溶射アルミニウム材が使用される。アルミニウムクラッド材は、芯材のアルミニウム-マンガン合金材と表層のアルミニウム-亜鉛合金材とを併せて圧延と熱処理を施すことによりクラッド化させて製造される。亜鉛溶射アルミニウム材は、金属亜鉛をアルミニウム芯材に溶射し熱処理によりその亜鉛成分を芯材に拡散させて製造される。
[0025] 熱交換器の伝熱管として円管を用いる場合は、アルミニウムクラッド材と亜鉛溶射アルミニウム材、共に適用が可能である。
[0026] 一方、断面形状が扁平で外郭に平坦部を有し、内部に複数の冷媒流路をもつ扁平形状伝熱管(以降、扁平管とする)とフィン材を組み合わせたフィンチューブ型熱交換器が用いられることがある。熱交換器の伝熱管に扁平管を用いることにより、円管を用いた熱交換器と比較して、冷媒に接触する管内面積を大きくとることができ、更に通風抵抗を小さくできるという利点がある。この扁平管を伝熱管に用いる場合は、その形状の複雑さからアルミニウムクラッド材を適用することが困難なため、亜鉛溶射アルミニウム材を適用している。
[0027] 亜鉛溶射アルミニウム材の製法において、円筒状、あるいは扁平形状の伝熱管に対して亜鉛溶射ノズルが両側二方向に設置される場合、溶融した亜鉛が伝熱管の表裏から溶射されるため、その横側に亜鉛未溶射部分が形成されてしまうが、この未溶射部分に対して溶射部分が防食機能を発揮するため、二方向ノズルでの溶射方式が採用されているのが現状である。そして、溶射する亜鉛目付量と熱処理による拡散度合い(濃度分布)により芯材層に対する亜鉛犠牲層の防食機能が決まることから、製品寿命に応じた亜鉛犠牲層設計が施される。
[0028] 本出願の耐食性診断器300が備える耐食性診断部品は特に、亜鉛犠牲層付アルミニウム材における剥き出しになったアルミニウム芯材に対する亜鉛犠牲層の防食機能の有無を診断する際に有効であることから、本実施の形態1では、上記製法からアルミニウム芯材の剥き出し部分が形成される亜鉛溶射アルミニウム材について採り上げる。
[0029]<耐食性診断部品概要>
図1は、本発明の実施の形態1に係る耐食性診断器300が備える耐食性診断部品1の外観と断面を示す概略図である。図1中、(a)は耐食性診断部品1の外観を示し、(b)は耐食性診断部品1の断面を示している。本実施の形態1に係る耐食性診断部品1に用いる素材として、熱交換器の伝熱管に用いる亜鉛溶射アルミニウム材を使用する。この亜鉛溶射アルミニウム材は、アルミニウム材の表面に対して一様に溶射された金属亜鉛を熱処理させることにより、アルミニウム材の芯材方向に拡散する。この拡散によりアルミニウム-亜鉛合金がアルミニウム材の表面に形成される。表層から金属亜鉛が拡散しているため、最表層の亜鉛濃度が最も高く、芯材方向に進むほどその濃度が減少する濃度勾配を持った所定厚のアルミニウム-亜鉛合金層となる。
[0030] このような亜鉛溶射アルミニウム材に対して、表面の一部を図1(b)に示すように深さ方向に切削し、アルミニウム-亜鉛合金からなる部分である亜鉛犠牲層2と、亜鉛を含まないアルミニウム合金(例えばアルミニウム-マンガン合金)からなる部分である芯材層3とに分ける。切削する深さについては亜鉛が拡散している領域を全て除去できる長さとすることによって、上記の亜鉛犠牲層2と芯材層3の区別を明確にする。また、亜鉛犠牲層2の領域と芯材層3の領域の境界線、及びその境界線における芯材層面の高さを0とする基準線を設けておく。これらの境界線及び基準線の機能/働きについては後述する。」

(引1-ウ)「[0052]<耐食性診断部品による製品寿命評価(実施例)>
本実施の形態1に係る耐食性診断部品1を被診断材料に搭載し、その機能について検証した。耐食性診断部品1として、熱交換器に使用される亜鉛溶射アルミニウム扁平管を使用する。この扁平管は扁平部に亜鉛が溶射されるため、その両側となるR部分が未溶射部であり、亜鉛犠牲層に隣り合わせた芯材層に相当する。本実施例では、その材料肉厚が500μm、扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm、溶射部分の最表面亜鉛濃度が10wt%、アルミニウム亜鉛合金層深さが50μmの亜鉛溶射アルミニウム扁平管を使用した。この亜鉛溶射アルミニウム扁平管を長さ方向50mmで切断し、そのうち25mmに対して表層から120μm深さ方向にフライス加工によって切削した。扁平部に溶射された金属亜鉛は熱処理により深さ方向だけでなくR部分にも一部拡散する。切削加工では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができるが隣り合わせたR部分に拡散した亜鉛犠牲層は削除できない。このR部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため、R部分そのものも削除して耐食性診断部品1とした。未溶射部分であるR部分の幅がその直径に相当するため、その距離が6.28mmである未溶射部に対して、両側の亜鉛犠牲層2がその腐食を抑制する。すなわち本実施例での耐食性診断部品1の防食設計範囲6を3.14mmとすればよい。本方法により作製した耐食性診断部品1を用いれば被診断材料である熱交換器の伝熱管と同じ材料を使用しているため、熱交換器を搭載した室外機の製品寿命を正確に診断することが可能である。」

(引1-エ)[図1]




イ 引用文献1に記載された発明

(ア)上記(引1-イ)の「[0024]・・・亜鉛溶射アルミニウム材は、金属亜鉛をアルミニウム芯材に溶射し熱処理によりその亜鉛成分を芯材に拡散させて製造される」の「芯材に拡散させ」における「芯材」は、前後の文脈から「アルミニウム芯材」であると認められる。

(イ)上記(引1-イ)の「[0027] 亜鉛溶射アルミニウム材の製法において、円筒状、あるいは扁平形状の伝熱管に対して亜鉛溶射ノズルが両側二方向に設置される場合、溶融した亜鉛が伝熱管の表裏から溶射される」における「伝熱管」は、上記(引1-イ)の「[0024]・・・亜鉛溶射アルミニウム材は、金属亜鉛をアルミニウム芯材に溶射し熱処理によりその亜鉛成分を芯材に拡散させて製造される」との記載に照らせば、「アルミニウム芯材」であるといえる。

(ウ)上記(引1-ウ)の「[0052]・・・耐食性診断部品1として、熱交換器に使用される亜鉛溶射アルミニウム扁平管を使用する。」における「熱交換器」は、同段落の「本方法により作製した耐食性診断部品1を用いれば被診断材料である熱交換器の伝熱管と同じ材料を使用しているため」との記載から、診断対象の熱交換器を意味するものと認められる。

(エ)上記(引1-ウ)の「そのうち25mmに対して表層から120μm深さ方向にフライス加工によって切削した。扁平部に溶射された金属亜鉛は熱処理により深さ方向だけでなくR部分にも一部拡散する。切削加工では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができる」における「切削加工」は、文脈から「フライス加工による切削」を意味するものと認められる。

(オ)上記(ア)ないし(エ)を踏まえると、上記(引1-ア)ないし(引1-エ)の記載から、引用文献1には、

「 実環境中でのアルミニウム熱交換器における耐食性寿命予測を可能とする耐食性診断器の製造方法であって、
アルミニウム熱交換器は、断面形状が扁平で外郭に平坦部を有し、内部に複数の冷媒流路をもつ扁平形状伝熱管とフィン材を組み合わせたフィンチューブ型熱交換器であり、
扁平形状伝熱管は、亜鉛溶射アルミニウム材を適用したものであって、扁平形状の伝熱管であるアルミニウム芯材に対して亜鉛溶射ノズルが両側二方向に設置され、溶融した亜鉛が伝熱管の表裏から溶射され、熱処理によりその亜鉛成分をアルミニウム芯材に拡散させて製造されたものであり、
耐食性診断器300が備える耐食性診断部品1として、材料肉厚が500μm、扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm、溶射部分の最表面亜鉛濃度が10wt%、アルミニウム亜鉛合金層深さが50μmである、アルミニウム熱交換器に使用される亜鉛溶射アルミニウム扁平管を使用し、
亜鉛溶射アルミニウム扁平管を長さ方向50mmで切断し、そのうち25mmに対して表層から120μm深さ方向にフライス加工によって切削し、
フライス加工による切削では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができるが隣り合わせたR部分に拡散した亜鉛犠牲層は削除できないから、このR部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため、R部分そのものも削除して耐食性診断部品1とする、
製造方法。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

ウ 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-95524号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。

(引2-ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム製の管を用いた熱交換器を備えている空気調和機に関し、特にアルミニウム製の扁平管を用いた熱交換器を有するルームエアコンやパッケージエアコンなどの空気調和機に好適なものである。
なお、この明細書及び特許請求の範囲において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いる。
【背景技術】
【0002】
現在、空気調和機に用いられている熱交換器としては、クロスフィンチューブ型熱交換器が多用されている。このクロスフィンチューブ型熱交換器は、短冊状のアルミニウム製フィンの所定位置に絞り付の穴部を設け、その中に銅製で円形の伝熱管(パイプ状伝熱管)を差込んだ後、この伝熱管を機械的に拡管することで製作されている。
【0003】
一方、低コスト、価格安定性、小型、軽量化などのため、前記伝熱管を、これまでの銅製の伝熱管に代えて、アルミニウム製の扁平管を用い、この扁平管とフィンとヘッダをロウ付けして製作するパラレルフロー型熱交換器が開発されている。特に、自動車用エアコンでは、燃費向上や居住空間の拡大のため、小型、軽量化できるアルミニウム製の熱交換器が採用されてきている。
【0004】
アルミニウムは、一般には表面に酸化被膜のアルマイト層が自然に形成されることで、鉄などと比べて耐食性は高い。しかし、塩素など酸化被膜に影響を及ぼす物質が存在すると耐食性が劣る性質があり、この場合、熱交換器を構成する前記扁平管の肉厚方向に深く浸食する孔食が発生する可能性がある。前記扁平管に孔食が発生すると、該扁平管に貫通穴を空けて、内部の高圧の冷媒を漏洩させてしまう恐れがある。
【0005】
空気調和機は、海岸近くの大気中に塩分の多い地域や、高温高湿の地帯などで使用されることも多い。この場合、特に、空気調和機を構成する室外ユニット用の熱交換器は、大気中に塩分の多い場所や高温高湿の場所などの腐食の上では厳しい屋外条件の場所に設置されることになる。
【0006】
また、現在の空気調和機には、フロン系冷媒が用いられている。例えば、フロンR410Aは、ルームエアコンに多く用いられているが、地球温暖化係数(GWP)が約2000と比較的高い。そのため、熱交換器の不具合による冷媒漏れは、エアコン動作の不具合のみでなく、環境問題にも影響を及ぼす。
【0007】
このため、空気調和機の熱交換器がアルミニウムで製作される場合、冷媒漏れを防止するため、設定する空気調和機の耐用年数の間、高い腐食防止性(耐食性)、特に孔食を防止することが求められる。
【0008】
アルミニウム製熱交換器の塩害に対する耐食性向上策として、扁平管に対しては、その表面への亜鉛溶射、円管に対しては、多層アルミクラッド管等、アルミニウム芯材の表面に犠牲陽極層を付加する技術がある。
【0009】
これは、アルミニウム芯材の表面に、該芯材よりも電位の卑な材料の層を設けることで犠牲陽極層とし、孔食の進行を犠牲陽極層のみとして、アルミニウム芯材が腐食されないようにするものである。」

(引2-イ)「【0026】
図2は図1に示す熱交換器1に使用されている扁平管20の断面形状を説明する図で、図2の(A)に示す扁平管20aは、図1のuで示す上方或いは比較的上方の領域に配置された扁平管であり、図2の(B)に示す扁平管20bは、図1のdで示す重力方向(上下方向)の下方の領域に配置されている扁平管を示している。
【0027】
各扁平管20(20a,20b)は、図2(A)(B)の断面図に示すように、それぞれ複数の仕切られた空間があり、これらの空間が各扁平管20の長手方向に連通していて、冷媒流路21a,21bとなっている。
【0028】
また、各扁平管20a,20bの表面には、犠牲陽極層22a,22bが設けられている。この犠牲陽極層22a,22bは、冷媒流路(空間)21a,21b部分を形成しているアルミニウム芯材23a,23bよりも電位が卑な金属で形成して、犠牲防食の効果が得られるようにしている。即ち、前記アルミニウム製の扁平管20は、通常押し出し成形で製造されるが、この押し出し成形後のアルミニウム製扁平管の表面に、亜鉛溶射し、前述したロウ付け時の熱で拡散させて亜鉛溶射の拡散層を形成する。」

(引2-ウ)【図2】




(3)本件補正発明と引用発明との対比

ア 扁平管について

(ア)引用発明は、「耐食性診断器300が備える耐食性診断部品1として、材料肉厚が500μm、扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm、溶射部分の最表面亜鉛濃度が10wt%、アルミニウム亜鉛合金層深さが50μmである、アルミニウム熱交換器に使用される亜鉛溶射アルミニウム扁平管を使用」するものであるから、「フィンチューブ型熱交換器」の「扁平形状伝熱管」は、「材料肉厚が500μm、扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm、溶射部分の最表面亜鉛濃度が10wt%、アルミニウム亜鉛合金層深さが50μmである」「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」である。
そして、円弧形状を「R」で表現するという本願出願時の技術常識に照らせば、引用発明の「R部分」は、表面が円弧形状である部分を意味するものと認められる。
また、扁平管の扁平部の両側に曲面部を設けるという本願出願時の技術常識((引2-ウ)の【図2】参照)に照らせば、引用発明の「R部分」は、「扁平部」の両側に存在するものと認められる。
しかしながら、引用発明の「R部分」は、「扁平部」の側部の全体が円弧形状であるのか、部分的に円弧形状であるのかは、明らかではない。
そうすると、引用発明の「扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm」「である」と、本件補正発明の「径方向断面が円弧形状であり軸長方向に延出し、R部分を有する」とは、「径方向断面が円弧形状部を含み軸長方向に延出し、曲線部分を有する」で共通する。

(イ)引用発明の伝熱管の「表裏」は、本件補正発明の「前記径方向の外周」に含まれる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「扁平形状の伝熱管であるアルミニウム芯材に対して亜鉛溶射ノズルが両側二方向に設置され、溶融した亜鉛が伝熱管の表裏から溶射され、熱処理によりその亜鉛成分をアルミニウム芯材に拡散させて製造された」「扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm」「である」「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」と、本件補正発明の「径方向断面が円弧形状であり軸長方向に延出し、R部分を有する前記径方向の外周に対して亜鉛溶射および熱処理が行われたアルミニウム材の扁平管」とは、「径方向断面が円弧形状部を含み軸長方向に延出し、曲線部分を有する前記径方向の外周に対して亜鉛溶射および熱処理が行われたアルミニウム材の扁平管」で共通する。

イ 熱交換器について

引用発明の「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」である「扁平形状伝熱管とフィン材を組み合わせたフィンチューブ型熱交換器であ」る「アルミニウム熱交換器」は、本件補正発明の「扁平管を伝熱管として有する熱交換器」に相当する。

ウ 耐食性診断部品について

引用発明の「実環境中でのアルミニウム熱交換器における耐食性寿命予測を可能とする耐食性診断器」「が備える耐食性診断部品1」は、本件補正発明の「熱交換器の耐食性を診断する耐食性診断部品」に相当する。

エ 製造方法について

引用発明の「亜鉛溶射アルミニウム扁平管を長さ方向50mmで切断し、そのうち25mmに対して表層から120μm深さ方向にフライス加工によって切削し」、「R部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため、R部分そのものも削除して耐食性診断部品1とする」ことは、「耐食性診断器300が備える耐食性診断部品1」の製造に関することであるから、引用発明の「耐食性診断器の製造方法」は、本件補正発明の「耐食性診断部品の製造方法」に相当する。

オ 準備工程について

引用発明の「耐食性診断部品1として」「アルミニウム熱交換器に使用される亜鉛溶射アルミニウム扁平管を使用」するものであるところ、当該「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」が「アルミニウム熱交換器」で使用中のものではないことは明らかであるから、引用発明は、当該「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」を用意する必要がある。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の「他の前記扁平管を更に前記耐食性診断部品として準備する準備工程」に相当する工程を備えているといえる。

カ 第1切削工程について

(ア)引用発明の「耐食性診断部品1として」「使用」する「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」の「フライス加工によって切削」する「表層」のある面は、本件補正発明の「前記耐食性診断部品の前記径方向断面の軸短方向に対向する前記亜鉛溶射および前記熱処理が行われた表面のうちの一方」に相当する。

(イ)引用発明において、「フライス加工によって切削し」た部分は、平坦な面になると認められる。
そして、引用発明は、「アルミニウム亜鉛合金層深さが50μmである」「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」に対して「表層から120μm深さ方向にフライス加工によって切削し」、「扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができる」ことから、引用発明において、「フライス加工によって切削し」た「扁平部」は、「アルミニウム芯材」が露出しているといえる。
また、引用発明は、「フライス加工による切削では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができるが隣り合わせたR部分に拡散した亜鉛犠牲層は削除できない」ものであるところ、引用発明の「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」は、「扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm」、「アルミニウム亜鉛合金層深さが50μmである」から、「表層から120μm深さ方向にフライス加工によって切削し」た場合、「扁平部」の両側に存在する(上記ア(ア)参照)「R部分」には、「フライス加工によって切削」されない部分が存在し、その部分に「溶融した亜鉛が」「溶射され、熱処理によりその亜鉛成分をアルミニウム芯材に拡散させ」た「亜鉛犠牲層」が存在しているものと認められる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「耐食性診断部品1として」「使用」する「長さ方向50mmで切断し」た「亜鉛溶射アルミニウム扁平管」「のうち25mmに対して表層から120μm深さ方向にフライス加工によって切削」することは、本件補正発明の「前記耐食性診断部品の前記径方向断面の軸短方向に対向する前記亜鉛溶射および前記熱処理が行われた表面のうちの一方を、前記軸長方向に対して部分的に切削して平面部とし、前記一方のうちの前記軸長方向で切削されていない残りを亜鉛溶射部とし、前記平面部において前記アルミニウム材を露出させる第1切削工程」に相当する。

キ 第2切削工程について

(ア)引用発明は、「フライス加工による切削では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができるが隣り合わせたR部分に拡散した亜鉛犠牲層は削除できないから、このR部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため、R部分そのものも削除」することから、「扁平部」の両側に存在する(上記ア(ア)参照)R部分全体を削除するものと認められ、「R部分そのもの」を「削除」した部分は、「アルミニウム芯材」が露出しており、「フライス加工によって切削し」て露出した「アルミニウム芯材」の部分との間に、「亜鉛犠牲層」が存在しないようにするものといえる。

(イ)引用発明の「R部分」は、「扁平部」の両側に存在する(上記ア(ア)参照)から、引用発明の「R部分そのものも削除」と、本件補正発明の「前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部を切削」とは、「前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部を除去」で共通する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「フライス加工による切削では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができるが隣り合わせたR部分に拡散した亜鉛犠牲層は削除できないから、このR部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため、R部分そのものも削除」することと、本件補正発明の「前記平面部において前記アルミニウム材が露出している部分と連なるよう、かつ前記R部分に対応する前記径方向断面の両端面部が前記軸短方向に対して実質的に平行な直線状となるよう、前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部を切削し、前記両側面部において前記アルミニウム材を露出させる第2切削工程」とは、「前記平面部において前記アルミニウム材が露出している部分と連なるよう、前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部を除去し、前記両側面部において前記アルミニウム材を露出させる第2切削工程」で共通する。

(4)そうすると、本件補正発明と引用発明とは、

「 径方向断面が円弧形状部を含み軸長方向に延出し、曲線部分を有する前記径方向の外周に対して亜鉛溶射および熱処理が行われたアルミニウム材の扁平管を伝熱管として有する熱交換器の耐食性を診断する耐食性診断部品の製造方法において、
他の前記扁平管を更に前記耐食性診断部品として準備する準備工程と、
前記耐食性診断部品の前記径方向断面の軸短方向に対向する前記亜鉛溶射および前記熱処理が行われた表面のうちの一方を、前記軸長方向に対して部分的に切削して平面部とし、前記一方のうちの前記軸長方向で切削されていない残りを亜鉛溶射部とし、前記平面部において前記アルミニウム材を露出させる第1切削工程と、
前記平面部において前記アルミニウム材が露出している部分と連なるよう、前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部を除去し、前記両側面部において前記アルミニウム材を露出させる第2切削工程と、
を備えた耐食性診断部品の製造方法。」

の発明である点で一致し、次の2点において相違する。

(相違点1)
扁平管の径方向断面の軸長方向に延出し円弧形状部を含む曲線部分について、本件補正発明においては、「径方向断面が円弧形状であり軸長方向に延出し、R部分」であることから、全体が「円弧形状」であるのに対し、引用発明においては、「R部分」を含むものの、全体が円弧形状であることは特定されていない点。

(相違点2)
第2切削工程における前記径方向断面の前記軸長方向に対向する両側面部の除去について、本件補正発明においては、「前記R部分に対応する前記径方向断面の両端面部が前記軸短方向に対して実質的に平行な直線状となるよう」「切削」するのに対し、引用発明においては、「R部分そのものも削除」とのみ特定され、R部分削除後の形状がどのような形状になうように削除するのかは特定されていない点。

(5)判断

ア 相違点1について

扁平伝熱管において扁平部の両側部全体を曲面形状にすることは、例えば、引用文献2の【図2】に示されているように、本願出願前において周知である(以下、扁平伝熱管の扁平部の両側部全体を曲面形状にすることを、「周知技術」という。)。
引用発明において、扁平形状伝熱管の厚みは特定されていないが、「扁平部幅が10mm、R部分幅が4mm」であることを考慮すると、扁平部の両側部全体を円弧形状とすることに阻害要因があるとは認められない。
そうすると、引用発明において、周知技術に基づいて上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2について

引用発明において、「R部分そのものも削除」する目的は、「R部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため」であるから、R部分を削除した後の形状がどのようになるように削除するかは、設計的事項であり、R部分に対応する径方向断面の両端面部が表裏方向(軸短方向)に対して実質的に平行な直線状となるように削除することを排除するものではない。
また、R部分を削除する方法について、亜鉛溶射アルミニウム扁平管の材質や、扁平部をフライス加工により切削していることを勘案すると、切削によりR部分を削除することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
そうすると、引用発明において、上記相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 本件補正発明の奏する作用効果

本願明細書の段落【0085】には、本件補正発明の奏する効果に関連して、「このように構成された耐食性診断部品1は、アルミニウム伝熱管を用いた熱交換器の製品寿命を診断する従来の部品と異なり、露出部3aから亜鉛が完全に除去されている。このため、本実施の形態1に係る耐食性診断部品1においては、露出部3aの表面の腐食状況に基づき、被診断材料の腐食状況を従来よりも正確に診断することができる。したがって、本実施の形態1に係る耐食性診断部品1を用いることにより、室外熱交換器100及び該室外熱交換器100を有する室外機の寿命及び予寿命を正確に診断することができる。」と記載されている。
しかしながら、引用発明により製造される耐食性診断部品1は、「フライス加工による切削では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができるが隣り合わせたR部分に拡散した亜鉛犠牲層は削除できないから、このR部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため、R部分そのものも削除し」たものであるから、「フライス加工によって切削し」て露出した部分から、亜鉛犠牲層は完全に除去されているものである。
したがって、上記の本願明細書の段落【0085】に記載された効果は、引用発明から把握されるものである。
また、本件補正発明によってもたらされる他の効果も、引用文献1の記載事項及び周知技術から当業者が予測し得る程度を超えるものではない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

オ 請求人の主張について

(ア)請求人は、審判請求書において、
「 また、本願明細書「0077」?「0085」および図10にも記載してあるように、『前記耐食性診断部品の前記径方向断面の軸短方向に対向する前記亜鉛溶射および前記熱処理が行われた表面のうちの一方を、前記軸長方向に対して部分的に削除して平面部とし』とする上下方向削除だけでは冷媒配管まで削除が進んでしまうような恐れも、『前記R部分に対応する前記径方向断面の両端面部が前記軸短方向に対して実質的に平行な直線状となる・・・第2切削行程』を有することにより回避しつつ両端面を十分に削除することが可能となります。
そのため、上記の構成A(当審注:「構成A」は下線部に相当する構成である。)はデザイン上の問題でもありません。」
と主張する。

(イ)しかしながら、本件補正発明においては伝熱管における「冷媒配管」の配置や寸法については何ら特定されていないし、本願明細書には、第2切削行程により、上下方向削除により冷媒配管まで削除が進んでしまうような恐れを回避することは明記されていない。
さらに、「前記R部分に対応する前記径方向断面の両端面部が前記軸短方向に対して実質的に平行な直線状となる」ことは、【図10】(c)から把握される事項であり、本願の願書に最初に添付された明細書には記載されていない事項である。
また、本願明細書には、「前記R部分に対応する前記径方向断面の両端面部が前記軸短方向に対して実質的に平行な直線状となるよう」切削することで、両端面を十分に削除することが可能となることも明記されていない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

(ウ)請求人は、令和2年7月15日提出の上申書において、
「審査官殿が挙げられた引用文献1の段落[0051]の『扁平部に溶射された金属亜鉛は熱処理により深さ方向だけでなくR部分にも一部拡散する。切削加工では扁平部の亜鉛犠牲層を削除することができるが隣り合わせたR部分に拡散した亜鉛犠牲層は削除できない。このR部分に拡散した亜鉛犠牲層を削除するため、R部分そのものも削除して耐食性診断部品1とした。』との記載の後には、『未溶射部分であるR部分の幅がその直径に相当するため、その距離が6.28mmである未溶射部に対して、・・・防食設計範囲6を3.14mmとすればよい。』と記載されています。当該記載は若干分かりにくいですが、段落[0051]の7行目には、『R部分幅が4mm』との記載があり、R部分の直径が4mmであると記載されています。従って、上記記載の『その距離が6.28mm』とは、R部分全体の弧の長さ(直径(4mm)×3.14×(180°/360°))を示しています。『その距離が6.28mmである未溶射部に対して、・・・防食設計範囲6を3.14mmとすればよい。』との記載から、R部分の弧に沿って上半分の亜鉛犠牲層を削除しているものと推測されます。引用文献1の段落[0051](当審注:請求人の主張内容から、請求人が指摘する引用文献1の段落[0051]は、段落[0052]のことであると認める。)に触れた当業者は、R部分の弧に沿って亜鉛犠牲層を削除することは知り得たとしても、本願の構成Aを想到することは到底できないものと存じます。」と主張する。

(エ)しかしながら、「耐食性診断部品1の防食設計範囲6を3.14mmとす」ることは、亜鉛犠牲層の設計に関することであって、R部分の削除する範囲に言及するものではない。
ましてや、段落[0051]の「R部分そのものも削除して」との記載とは異なる事項である、R部分の弧に沿って亜鉛犠牲層を削除することを示唆するものでもない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

なお、請求人が主張するように、引用文献1の段落[0052]の記載(上記(引1-ウ)参照)において、「その距離が6.28mm」が、R部分全体の弧の長さを意味し、その半分の3.14mmを防食設計範囲6として設定しているとすると、R部分はその表面が扁平部上下面を結ぶ円弧状の局面となり、本件補正発明と引用発明との間に上記相違点1は存在しないものとなる。

3 補正の却下の決定のむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 本願発明

令和2年4月3日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年11月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:国際公開第2017/199569号
引用文献2:特開2014-95524号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献について

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)アないしウに記載したとおりである。

4 対比・判断

(1)本願発明は、上記第2[理由]2(3)ないし(5)で検討した本件補正発明から、第2切削行程について、「かつ前記R部分に対応する前記径方向断面の両端面部が前記軸短方向に対して実質的に平行な直線状となるよう」という限定事項を削除したものである。

(2)そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)ないし(5)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-10-09 
結審通知日 2020-10-13 
審決日 2020-11-02 
出願番号 特願2019-536610(P2019-536610)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野田 華代  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 信田 昌男
渡戸 正義
発明の名称 耐食性診断部品の製造方法、及び診断方法  
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所  

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