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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02F
管理番号 1369327
審判番号 不服2020-5000  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-13 
確定日 2021-01-05 
事件の表示 特願2018-543721「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月24日国際公開、WO2017/140013、平成31年 3月28日国内公表、特表2019-508740、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)3月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年(平成28年)2月19日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 元年 7月11日付け :拒絶理由通知書
令和 元年10月 8日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 元年12月16日付け :拒絶査定
令和 2年 4月13日 :審判請求書及び誤訳訂正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年12月16日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。

本願請求項1ないし3、5ないし8、15に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて、また、本願請求項9ないし11、13、14、16ないし18に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、本願請求項4、12に係る発明についても、引用文献1に記載された発明に基づいて進歩性を欠如する旨付言されている。

引用文献等一覧
1.特表2014-526777号公報
2.特開2008-165232号公報(周知技術を示す文献)
3.中国特許出願公開第101256299号明細書(周知技術を示す文献)
4.中国特許出願公開第104965334号明細書

第3 本願発明
本願請求項1ないし16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は、令和2年4月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
液晶表示パネルを含む液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、
データ線、走査線、及び、データ線と走査線により限定される画素ユニットを含む第1の基板と、
第1の基板に対向して設置される、共通電極を含む第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置している液晶層と、
前記液晶表示パネルが装着されるためのフレームであって、漏光を防止するように、その色が前記液晶層に近い側から前記液晶層から離れた側まで白色から黒色に一定のグレースケール値に従って増加しており、3D印刷技術プロセスによって取得されたものであり且つその厚さが0.4mm以下である前記フレームとを含み、
前記フレームは、3以上のサブフレーム層を含み、
隣り合う2つの前記サブフレーム層のグレースケール値の差は、いずれも同じである前記液晶表示装置。
【請求項2】
前記サブフレーム層のそれぞれの厚さは、いずれも同じである請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
隣り合う2つの前記サブフレーム層の厚さの差は、いずれも同じである請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶層に最も近いサブフレーム層と、前記液晶層に最も遠いサブフレーム層とも、残りの他のサブフレーム層よりも厚さが大きい請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記フレームの材料がプラスチックである請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の基板は、アレイ基板であり、前記第2の基板は、カラーフィルム基板である請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記フレームの下に位置しているバックライトモジュールを更に含む請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
液晶表示パネルを含む液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、
データ線、走査線、及び、データ線と走査線により限定される画素ユニットを含む第1の基板と、
第1の基板に対向して設置される、共通電極を含む第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置している液晶層と、
前記液晶表示パネルが装着されるためのフレームであって、漏光を防止するように、その色が前記液晶層に近い側から前記液晶層から離れた側まで白色から黒色に一定のグレースケール値に従って増加している前記フレームとを含み、
前記フレームは、3以上のサブフレーム層を含み、
隣り合う2つの前記サブフレーム層のグレースケール値の差は、いずれも同じである前記液晶表示装置。
【請求項9】
前記サブフレーム層のそれぞれの厚さは、いずれも同じである請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
隣り合う2つの前記サブフレーム層の厚さの差は、いずれも同じである請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記液晶層に最も近いサブフレーム層と、前記液晶層に最も遠いサブフレーム層とも、残りの他のサブフレーム層よりも厚さが大きい請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記フレームの厚さが0.4mm以下である請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記フレームは、3D印刷技術プロセスによって取得されたものである請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記フレームは、その材料がプラスチックである請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記第1の基板は、アレイ基板であり、前記第2の基板は、カラーフィルム基板である請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記フレームの下に位置しているバックライトモジュールを更に含む請求項8に記載の液晶表示装置。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同様。)

(1)「【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的に電子装置に関し、より具体的には本発明は電子装置用ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話、コンピュータ及びメディアプレーヤのような電子装置は、多くの場合、ディスプレイを備える。電子装置には、例えばバックライト付き液晶ディスプレイのようなバックライト付きディスプレイが多くの場合、含まれる。」

(2)「【0025】
導光プレート22は、シャーシ28などのディスプレイバックライトシャーシ内に取り付けることができる。シャーシ28は、矩形導光プレート22が収容される矩形中央開口部がある矩形環形状を有してもよく、又は他の好適な形状を有してもよい。シャーシ28の周縁は、図2に(例として)示すような矩形状を有してもよい。」

(3)「【0028】
本明細書において、一実施例として記載されることがある1つの例示的な構成物では、シャーシ28用の材料を光反射能力及び光遮断能力に関して選択できる。詳細には、材料30などのシャーシ28内の一部の材料は、光を遮断するように構成できる。光遮断材料30、光遮断層30、又は光遮断構造30と呼ばれることもある材料30は、黒色プラスチック、濃い灰色のプラスチック、暗色のプラスチック(例えば、濃青色、濃褐色、暗赤色、又は他の好適な色のプラスチック)、金属、又はバックライトシャーシ28からの光の伝導が阻止されるように最適化されている他の材料などの不透明な材料から形成できる。光の伝導が、光の吸収によって阻止される場合もあれば(例えば、プラスチックの暗色層がプラスチックの暗色層の内に透過した光を吸収したときに、光の伝導が阻止される可能性がある)、及び/又は光の反射によって阻止される場合もある(例えば、反射性金属から形成された光遮断層が光を反射させて光が遮断されたときに、光の伝導が阻止される可能性がある)。
【0029】
材料32などのシャーシ28の他の材料は、光を反射するように構成できる。光反射材料32、光反射層32、又は光反射構造32とも呼ばれることもある材料32は、光を反射するように最適化されている材料の層(例えば、白色であるプラスチック、薄黄色、薄灰色、薄銀色などの薄色であるプラスチック等)から形成してもよく、金属層から形成してもよく、薄膜スタック(例えば、誘電層又は他の層の集合)から形成してもよく、又は他の反射構造から形成してもよい。
【0030】
1つの好適な構成物において、光反射層32は白色で、光遮断層30は黒色であるが、所望により、光反射及び光遮断構造の他の組み合わせをシャーシ28に使用してもよい。概して光反射構造32の特性を主因とするシャーシ構造28の反射率は、約70%以上、80%以上、又は90%以上であり得る。概して光遮断構造30の光遮断特性を主因とするシャーシ構造28の伝導は、(例として)10%未満、1%未満、又は0.1%未満であり得る。個別に見ると、(所定の厚さに関して)光遮断材料30の透過率は光反射材料32の透過率より小さく、光遮断材料30の不透明度は光反射材料32よりも大きい。結果として、シャーシ28に光遮断材料30を使用すれば、光の漏出を軽減する助けになり得る。光反射材料32の反射率は、光遮断材料30の反射率を上回るであろう。」
(当審注:【0029】の「光反射層28」の記載は、「光反射層32」の誤記と認められるので、誤記を正した上で、認定した。)

(4)「【0034】
線36に沿って切り取って方向38に見た図2のバックライト構造20の断面側面図を、図3に示す。図3に示すように、光26は方向Yに放射され、導光プレート22の端縁(図3の方向で例えば、プレート22の左側の端縁)の内に入射され得る。光26の一部は、装置10の内部に向かって下方向に抽出でき、光線48で示したように、上向き(Z)方向へリフレクタ46に反射して戻され得る。リフレクタ46は、白色プラスチック、白色の紙、金属ホイル、又は他の好適な反射性面の層から形成されてもよい。光線50で示したように、導光プレート22から上方向に抽出されている光などの光26の一部、及びリフレクタ46から反射された光は、ディスプレイ構造56及び任意選択的なディスプレイカバー層44を垂直に通過する。ディスプレイ構造56は、ディフューザフィルム及び他の光学フィルム、偏光子、薄膜トランジスタガラス層、カラーフィルタガラス層、液晶層及び他のディスプレイ層などのディスプレイモジュール構造を備えてもよい。ディスプレイカバー層44は、(例として)ガラス又は透明プラスチックから形成されてもよい。導光プレート22に表面特徴部を組み込むことによって、光抽出効率が増強され得る(例えば、導光プレート上の特定の場所での抽出が増強され得る)。」

(5)「【0036】
図4は、図2の線40に沿って切り取って方向42に見た図2のバックライト構造20の断面図である。図4に示すように、光反射性層32は、導光プレート22の反対側の外側周辺端縁に対向するシャーシ28の内面上に形成されてもよい。光遮断層30をシャーシ28の周辺の外部表面上に形成して、シャーシ28からの光の漏出を阻止する助けになり得る。」

(6)「【0043】
図12に示すように、シャーシ28の側壁は厚さDを有し得る。シャーシ28のサイズを最小限に抑えるには、寸法Dができる限り小さくなるようにシャーシ28を成形する射出成形機を使用するのが望ましいことがある。他の構成において、シャーシ28は、最小寸法よりも大きく成形され得る。例えば、寸法Dは(例として)0.05?0.4mm、0.1?0.3mm、0.2mm以上、又は0.5mm未満であり得る。所望により、他のサイズを使用できる(例えば、シャーシ28を比較的大きいサイズに成形して、強度、等を向上し得る)。」

(7)「【0051】
シャーシ28の側壁を形成する光反射構造32及び光遮断構造30は、サイズ及び形状が同等である必要はない。図20?図26は、シャーシ28用の例示的な側壁構成を示す。図20の実施例において、光遮断材料30は、光反射構造32の一部に張り出したL字状の断面形状を有する。図21の実施例において、光遮断材料30は、光反射材料32をアンダーカットして張り出したC字状の断面形状を有する。図22は、光遮断材料30及び光反射材料32の高さ(Z次元における垂直厚さ)がそれぞれ異なる構成の実施例である。図23の構成において、光遮断材料30は、光反射材料32をアンダーカットしたL形状を有する。図24は、光反射材料32が複数のステップを有しシャーシ28用の完全に垂直な内側壁面を形成しない構成における、シャーシ28の断面図である。図25に示すように、光反射材料32は、光遮断材料30を一部又はすべてアンダーカットするように構成できる。図26に示すように、シャーシ28は、2個よりも多くの別個のプラスチックショット(又は他の材料層)から形成されてもよい。詳細には、シャーシ28は、光反射性層32、光遮断層30、及び層31などの1つ以上の中間層を含んでもよい。層31は、光反射材料、光遮断材料、射出成形プラスチック、粘着を補強する材料、強度を提供する材料(例えば、金属)、又は他の好適な材料から形成されてもよい。」

(8)図1は次のものである。

(9)図2は次のものである。

(10)図3は次のものである。

(11)図4は次のものである。

(12)図5は次のものである。

(13)図12は次のものである。

(14)図26は次のものである。


(15)図1?図3によれば、装置10は、ディスプレイ構造56と、シャーシ28を含む。

上記(1)から(15)の記載事項より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(括弧書きは、参考までに、記載の根拠を示したものである。)

「電子装置であって、(【0002】)
装置10は、ディスプレイ構造56と、シャーシ28を含み、(上記(15))
ディスプレイ構造56は、薄膜トランジスタガラス層、カラーフィルタガラス層、液
晶層を備えてもよく、(【0034】)
シャーシ28は、矩形導光プレート22が収容され、(【0025】)
シャーシ28用の材料を光反射能力及び光遮断能力に関して選択でき、(【0028】)
シャーシ28内の一部の材料30は、光を遮断するように構成でき、光遮断層30と呼ばれ、(【0028】)
シャーシ28の他の材料28は、光を反射するように構成でき、光反射層28と呼ばれ、(【0029】)
1つの好適な構成物において、光反射層32は白色で、光遮断層30は黒色であり、(【0030】)
光反射性層32は、導光プレート22の反対側の外側周辺端縁に対向するシャーシ28の内面上に形成されてもよく、光遮断層30をシャーシ28の周辺の外部表面上に形成して、シャーシ28からの光の漏出を阻止する助けになり得るものであり、(【0036】)
シャーシ28の側壁は厚さDを有し、寸法Dは0.05?0.4mmであり得るものであり、(【0043】)
シャーシ28は、光反射性層32、光遮断層30、及び層31などの1つ以上の中間層を含んでもよい、(【0051】)
電子装置。」

2 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)第3頁[背景技術]第3?4段落


(仮訳:図1を参照すると、従来技術の表示装置を開示する立体構造略図であり、この表示装置10は一つの表示パネル13、一つのバックライトモジュール15および一つのゴム枠17を含む。このゴム枠17は4つの側壁171を備え、上下の2個の収容スペース(図示しない)を定義する突伸壁173がこの4つの側壁171から内側水平拡張される。この表示パネル13およびこのバックライトモジュール15はこの収容空間内にそれぞれ設置される。そのうち、このゴム枠17は黒色材料を用いて射出成形することによって得る。
再び参照する図2は、図1が示すバックライトモジュール15の組み合わせ後の部分断面概略図である。このバックライトモジュール15は一つの導光板151、一つの光源153および一つの反射枠155を含み、この光源153はこの導光板151の側面に対して設置し、この反射枠155は“凹”形反射薄膜であり、この導光板151およびこの光源153の周辺に外嵌される。)

(2)図1は次のものである。

(3)図2は次のものである。



(4)上記(1)?(3)によれば、引用文献3には、導光板を収容する部材と、表示パネルを装着する部材を一つの部材とすることが記載されている。

第5 対比・判断
1 本願発明8について
以下、事案に鑑み、本願発明8について検討する。

(1)対比
本願発明8と引用発明を対比する。

ア 本願発明8の「液晶表示パネルを含む液晶表示装置であって、」との特定事項について
引用発明の「装置10は、ディスプレイ構造56」「を含み」、上記「ディスプレイ構造56は、薄膜トランジスタガラス層、カラーフィルタガラス層、液晶層を備えてもよ」いものである。
よって、引用発明の「ディスプレイ構造56」及び「装置10」は、それぞれ、本願発明8の「液晶表示パネル」及び「液晶表示装置」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明8の上記特定事項を備える。

イ 本願発明8の「前記液晶表示パネルは、データ線、走査線、及び、データ線と走査線により限定される画素ユニットを含む第1の基板と、第1の基板に対向して設置される、共通電極を含む第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置している液晶層と、」(を含む)との特定事項について
引用発明の「ディスプレイ構造56は、薄膜トランジスタガラス層、カラーフィルタガラス層、液晶層を備えてもよ」いものであって、技術常識に照らせば、「カラーフィルタガラス層」は「薄膜トランジスタガラス層」に対向して配置され、「液晶層」は「薄膜トランジスタガラス層」と「カラーフィルタガラス層」の間に位置するものであるといえる。
よって、引用発明の「薄膜トランジスタガラス層」、「カラーフィルタガラス層」及び「液晶層」は、それぞれ、本願発明8の「第1の基板」、「第2の基板」及び「液晶層」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明8の上記特定事項のうち、「前記液晶表示パネルは、第1の基板と、第1の基板に対向して設置される、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置している液晶層と、」との特定事項を備える。

ウ 本願発明8の「前記液晶表示パネルが装着されるためのフレームであって、」との特定事項について
引用発明には「ディスプレイ構造56」を装着する部材について記載がなく、本願発明8でいう「フレーム」を有するか明らかでない。
したがって、引用発明は、本願発明8の上記特定事項を備えない。

エ 本願発明8の「漏光を防止するように、その色が前記液晶層に近い側から前記液晶層から離れた側まで白色から黒色に一定のグレースケール値に従って増加している前記フレームとを含み、前記フレームは、3以上のサブフレーム層を含み、隣り合う2つの前記サブフレーム層のグレースケール値の差は、いずれも同じである」との特定事項について
引用発明は、本願発明8でいう「フレーム」を備えないことから、本願発明8の上記特定事項を備えない。

オ 本願発明8の「前記液晶表示装置。」との特定事項について
引用発明は、本願発明8の上記特定事項を備える。

カ 以上ア?オにより、本願発明8と引用発明は、下記の点で一致している。[一致点]
「液晶表示パネルを含む液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、
第1の基板と、
第1の基板に対向して設置される、第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置している液晶層と、
を含む液晶表示装置。」
他方、本願発明8と引用発明は、下記の点で相違する。[相違点1]
本願発明8においては、「前記液晶表示パネルが装着されるためのフレーム」を備え、「漏光を防止するように、その色が前記液晶層に近い側から前記液晶層から離れた側まで白色から黒色に一定のグレースケール値に従って増加している前記フレームとを含み、前記フレームは、3以上のサブフレーム層を含み、隣り合う2つの前記サブフレーム層のグレースケール値の差は、いずれも同じである」のに対し、引用発明においては、本願発明8でいう「フレーム」を有しない点

[相違点2]
液晶表示パネルについて、本願発明8においては、「第1の基板」が「データ線、走査線、及び、データ線と走査線により限定される画素ユニットを含」み、「第2の基板」が「共通電極を含む」のに対し、引用発明においては、そのような構成を有するのか不明である点

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。

ア 引用発明において、「ディスプレイ構造56」は何らかの形で支持される必要があるところ、表示装置の技術分野において、矩形導光プレートを収容する部材と表示パネルを装着する部材を一体化したものは、引用文献3(上記第4の2(4))に記載されている。そのため、引用発明において「シャーシ28」を、「矩形導光プレート22」を収容しつつ、「ディスプレイ構造56」をも装着できるように構成することは当業者であるならば適宜なし得るものである。そして、このようにすると、上記「シャーシ28」は、「ディスプレイ構造56」を装着するものであるから、本願発明8の「フレーム」に相当することとなる。
よって、上記相違点1のうち、「前記液晶表示パネルが装着されるためのフレーム」を備えるとの事項を得ることは当業者であるなら容易に想到し得る。

イ しかしながら、上記相違点1のうち、「前記フレーム」は、「漏光を防止するように、その色が前記液晶層に近い側から前記液晶層から離れた側まで白色から黒色に一定のグレースケール値に従って増加して」おり、「3以上のサブフレーム層を含み、隣り合う2つの前記サブフレーム層のグレースケール値の差は、いずれも同じである」との構成(以下、「本件構成」という。)は、以下のとおり、当業者が容易に想到し得たものではない。

(ア)引用発明は、「シャーシ28は、光反射性層32、光遮断層30、及び層31などの1つ以上の中間層を含んでもよい」ところ、引用文献1の【0051】によれば、上記「層31」は「光反射材料、光遮断材料、射出成形プラスチック、粘着を補強する材料、強度を提供する材料(例えば、金属)、又は他の好適な材料から形成されてもよい」ものである。そして、この「層31」として、「光反射性層32」とのグレースケール値の差と、「光遮断層30」とのグレースケール値の差が同じとなるようなグレースケール値を有する色(以下、「中間色」という。)の材料を選択することができれば、本願発明8の「フレーム」と引用発明の「シャーシ28」との相違をさておくとすれば、引用発明において本件構成に至るとみる余地が生じることになる。

(イ)そこで、引用発明の「層31」の光学的な性質について検討すると、上記された材料のうち、「射出成形プラスチック、粘着を補強する材料、強度を提供する材料(例えば、金属)、又は他の好適な材料」については、引用文献1には、光学的性質について記載も示唆もなく、これらの材料を上記中間色とすることは当業者であっても容易に想到しうるものでない。
また、上記された材料のうち、残りの「光反射材料」及び「光遮断材料」についても、具体的にどのようなものであるか明記されていないし、上記材料は、その文言に照らせば、「光反射」及び「光遮断」という機能を有する材料であるから、これらの材料として中間色の材料があえて選択されるとも言い難い。
そうすると、引用発明において、「光反射材料、光遮断材料、射出成形プラスチック、粘着を補強する材料、強度を提供する材料(例えば、金属)、又は他の好適な材料から形成」される「層31」の光学的性質を中間色とすることは容易でないといえる。

(ウ)したがって、引用発明と引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、本件構成を想到することは容易でない。
一方、本願発明8は、本件構成を備えることにより、「内部における白色で光線を通常反射することに加えて」(【0032】)、「光の吸収効果がより向上されて、漏光がより良く防止される」(本願明細書の【0040】)との作用効果を奏するものである。

(エ)そして、引用文献2及び4に記載された技術的事項は上記の判断を左右するものでない。

以上ア及びイによれば、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明8は、当業者であっても、引用発明及び引用文献1ないし4に記載された事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明1ないし7、9ないし16について
本願発明1ないし7、9ないし16においても、本件構成を備えるものであるから、本願発明8と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献1ないし4に記載された事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
1 理由(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし16は、「前記フレームは、3以上のサブフレーム層を含み、隣り合う2つの前記サブフレーム層のグレースケール値の差は、いずれも同じである」という事項を有するものとなっており、上記第5の1(2)イで検討したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし4に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
そして、原査定が拒絶の理由とした本願発明1ないし3、5ないし11、13ないし16についても同様である。

2 したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-12-14 
出願番号 特願2018-543721(P2018-543721)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 竹村 真一郎後藤 昌夫  
特許庁審判長 山村 浩
特許庁審判官 佐藤 洋允
瀬川 勝久
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 TRY国際特許業務法人  
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