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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C11D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C11D
管理番号 1369364
審判番号 不服2020-4207  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-30 
確定日 2021-01-05 
事件の表示 特願2018-132378「洗浄機能とすすぎ機能の両方を行う洗剤組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月29日出願公開、特開2018-188653、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)3月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年3月7日、米国(2件))を国際出願日とする特許出願(特願2016-573666号)の一部を、平成30年7月12日に新たな特許出願としたものであって、平成30年7月25日に手続補正書及び上申書が提出され、令和元年7月24日付けで特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知がされ、同年10月29日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月2日付けで、同年10月29日付け手続補正について補正の却下の決定がされ、同日付で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年3月30日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同時に手続補正がされ、同年8月21日に上申書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
1 原査定の概要
原査定の概要は、本願の平成30年7月25日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1?20に係る発明は、以下2の引用文献1?4に記載された発明及び周知技術等に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(以下、「理由1」という。)、
また、下記3の点で本願の上記請求項1?20に係る発明は明確ではないから、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない(以下、「理由2」という。)、というものである。

2 引用文献等
引用文献1:特開2007-131659号公報
引用文献2:特開2007-119753号公報
引用文献3:特開2013-237792号公報
引用文献4:特表2001-505614号公報

3 特許法第36条第6項第2号について
請求項1-2、8-9、16、19の各成分の「重量%」範囲の記載について、組成物全量に対する含有量と推認されるものの、何に対する含有量なのかが一切記載されていないから、不明瞭である。
請求項3、7、10、17の「比率」なる記載について、単位が一切記載されておらず、質量比、体積比、モル比とも解釈されるから、不明瞭である。

第3 本願の請求項に係る発明(本願発明)
本願請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明8」という。)は、令和2年3月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1?8には、次のように記載されている。
「【請求項1】
アルカリ性洗浄すすぎ組成物であって、前記組成物は、
前記組成物の全重量に基づいて45重量%?75重量%のアルカリ源であって、アルカリ金属炭酸塩を含む、アルカリ源と;
前記組成物の全重量に基づいて、2重量%?20重量%の少なくとも2種の非イオン性界面活性剤であって、15?25モルのエチレンオキサイドを有するC_(10)?C_(12)アルコールエトキシレートを1重量%?10重量%、及び(PO)y(EO)x(PO)yで表され、xは5?50の範囲であり、yは1?50の範囲であるEO/POコポリマーを1重量%?10重量%含む、非イオン性界面活性剤と;
前記組成物の全重量に基づいて1重量%?30重量%のビルダーであって、リン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩及びメタケイ酸塩、ホスホン酸塩、並びにアミノカルボン酸からなる群から選択される、ビルダーと;
前記組成物の全重量に基づいて1重量%?10重量%のポリマーであって、前記ポリマーは、ポリアクリル酸ポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマーを含み、前記ポリアクリル酸ポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマーは、アクリル酸/マレイン酸コポリマーである、ポリマーと
を含み、
前記組成物が、洗浄機能とすすぎ機能との両方を果たす、アルカリ性洗浄すすぎ組成物。
【請求項2】
前記アルコールエトキシレートと前記EO/POコポリマーとが3:1?1:3の重量比率である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、別々の洗剤組成物及びすすぎ助剤組成物と実質的に同様の洗浄及びすすぎ性能を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
酵素をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
食器類に請求項1?4のいずれか一項に記載の組成物を接触させることを含む、食器類の洗浄及びすすぎ方法。
【請求項6】
前記アルコールエトキシレートと前記EO/POコポリマーとが1:1の重量比率である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、プロテアーゼ、リパーゼ、及び/又はアミラーゼ酵素をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物は、鋳造、押出し、又は圧縮固体である、請求項1に記載の組成物。」

第4 引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明(引用発明)
1 引用文献の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「食器洗浄機用粉体洗浄剤組成物」(発明の名称)について、次の記載がある。
(1)「【0001】
本発明は食器洗浄機で使用するための粉体洗浄剤組成物に関するものである。特に業務用の食器洗浄機で使用するための粉体洗浄剤組成物に関するものである。本発明の食器洗浄機用粉体洗浄剤組成物は、洗浄性、貯蔵安定性に優れ、かつリンス剤を用いなくても、陶磁器、ガラス、プラスチックなどの食器の洗浄において、汚れの除去と同時に食器やグラスの乾燥を速め、ウォータースポットの低減を可能にする。」
(2)「【0013】
本発明は、(A)分子中に、アミノ基及び4級アンモニウム基から選ばれる基を1種以上含むモノマー単位(a)を有する水溶性高分子化合物〔以下、(A)成分という〕と、(B)炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる1種以上の炭酸塩〔以下、(B)成分という〕とを含み、かつ、炭酸ナトリウム/炭酸カリウムの重量比が、0/100?90/10である食器洗浄機用粉体洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、陶磁器、ガラス、プラスチックなどの食器の洗浄に用いたときに、濯ぎ水等にリンス剤を用いることなく、洗浄性、貯蔵安定性に優れ、汚れの除去と同時に食器の乾燥を速め、ウォータースポットの低減を可能にする食器洗浄機用粉体洗浄剤組成物が提供される。」
(3)「【0036】
本発明の食器洗浄機用粉体洗浄剤組成物には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を含有することができる。特にノニオン性界面活性剤が好ましく、具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0037】
洗浄性の観点から、下記一般式(3)で表されるノニオン性界面活性剤〔以下、(C)成分という〕が好適に用いられる。
R^(14)-(AO)_(n)-R^(15) (3)
[式中、R^(14)、R^(15)は、それぞれ独立して、水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1?24のアルキル基である。nは平均付加モル数であり、1?500の数である。AOは同一又は異なってエチレン基、プロピレン基、又はブチレン基である。]
【0038】
(C)成分の一般式(3)中、R^(14)、R^(15)はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数6?18のアルキル基、より好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8?14のアルキル基である。また、一般式(3)中、nは平均付加モル数であり、好ましくは1?400、より好ましくは1?350、更に好ましくは1?200、特に好ましくは1?100の数である。また、一般式(3)中、AOは同一又は異なって、好ましくはエチレン基、プロピレン基である。
【0039】
更に、洗浄性及び無泡性や低泡性の観点から、下記一般式(4)で表されるノニオン性界面活性剤、及び一般式(5)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤〔以下、(D)成分という〕が好ましい。
HO(CH_(2)CH_(2)O)_(a)(CH(CH_(3))CH_(2)O)_(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(c)H (4)
HO(CH(CH_(3))CH_(2)O)_(d)(CH_(2)CH_(2)O)_(e)(CH(CH_(3))CH_(2)O)_(f)H (5)
〔式中、a、b、c、d、e及びfは平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1?350の数である。〕
【0040】
一般式(4)、(5)において、a、b、c、d、e及びfは、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)ないしプロピレンオキシド(以下、POと表記する)の平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1?350の数である。
【0041】
(D)成分は、何れも、EOとPOの合計中、EOを10モル%以上含むことが好ましく、これを満たすようにa、b、c、d、e及びfを選定することが好ましい。」
(4)「【実施例】
【0062】
表1に示した配合組成の食器洗浄機用粉体洗浄剤組成物を調製し、以下の方法で洗浄性、仕上がり性(乾燥速度とウォータースポット)及び貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。」
(5)「【0074】
【表1】

【0075】
(注)表中の成分は以下のものである。
・高分子化合物A:塩化ジアリルジメチルアンモニウムとマレイン酸とSO_(2)(モル比70/25/5)の共重合体(有効分25重量%の水溶液として使用、表中は該水溶液の量を示した。)
・高分子化合物B:塩化ジアリルジメチルアンモニウムとSO_(2)(モル比50/50)の共重合体(有効分50重量%の水溶液として使用、表中は該水溶液の量を示した。)
・高分子化合物C:塩化ジアリルジメチルアンモニウムとアクリル酸(モル比64/36)の共重合体、Merquat280(Calgon社製、有効分40重量%の水溶液として使用、表中は該水溶液の量を示した。)
・ノニオン性界面活性剤A:PO・EO・POブロックポリマー、Pluronic RPE2520(BASF社製)
・ノニオン性界面活性剤B:脂肪族アルコールアルコキシレート、Plurafac LF403(BASF社製)
・ノニオン性界面活性剤C:分岐鎖脂肪族アルコールアルコキシレート、ソフタノール70H(日本触媒社製) ・アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ナトリウム塩:Sokalan CP5 Granules(BASF社製)
・加工デンプン:ラクトウェイ2(松谷化学社製)」

2 引用文献1に記載された発明(引用発明)
引用文献1の【0074】(上記1(5))の表1に記載された実施例4の食器洗浄機用洗浄組成物は、表1と、表1に記載された配合組成について記載された【0075】(上記1(5))からみて、次のものと認められる。
「高分子化合物A(塩化ジアリルジメチルアンモニウムとマレイン酸とSO_(2)(モル比70/25/5)の共重合体(有効分25重量%の水溶液) 6重量%、
炭酸カリウム 20重量%、
クエン酸ナトリウム 20重量%、
珪酸カリウム 45重量%、
加工デンプン 5重量%、
アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ナトリウム塩 3重量%、
ノニオン性界面活性剤A(PO・EO・POブロックポリマー、Pluronic RPE2520(BASF社製)) 0.5重量%、及び、
ノニオン性界面活性剤B(脂肪族アルコールアルコキシレート、Plurafac LF403(BASF社製)) 0.5重量%、
からなる食器洗浄機用洗浄組成物」(以下、「引用発明」という。)

第5 理由1(特許法第29条第2項)についての当審の判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「炭酸カリウム」は、アルカリ金属炭酸塩であって、本願明細書の【0032】にアルカリ源として例示されていることから、本願発明1の「アルカリ金属炭酸塩を含む、アルカリ源」に相当する。
(2)本願発明1の「(PO)y(EO)x(PO)yで表され、xは5?50の範囲であり、yは1?50の範囲であるEO/POコポリマーを1重量%?10重量%含む、非イオン性界面活性剤」と、引用発明の「ノニオン性界面活性剤A(PO・EO・POブロックポリマー、Pluronic RPE2520(BASF社製))」とは、「ノニオン性」と「非イオン性」とは同義であるから、両者は「(PO)y(EO)x(PO)yで表されるEO/POコポリマーを含む非イオン性界面活性剤」である点で共通する。
(3)引用発明の「珪酸カリウム」は、アルカリ金属ケイ酸塩の一種であり、本願発明の「リン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩及びメタケイ酸塩、ホスホン酸塩、並びにアミノカルボン酸からなる群から選択される、ビルダー」に相当する。
(4)引用発明の「アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ナトリウム塩」は、アクリル酸/マレイン酸のコポリマーであるポリマーであるから、本願発明1の「ポリマーは、ポリアクリル酸ポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマーを含み、前記ポリアクリル酸ポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマーは、アクリル酸/マレイン酸コポリマーである、ポリマー」に相当し、しかも、その含有量は本願発明1の範囲内のものである。
(5)引用発明の「食器洗浄機用洗浄組成物」は、アルカリ金属炭酸塩である炭酸カリウムを含むから、アルカリ性食器洗浄機用洗浄組成物といえるものである。また、引用文献1の【0014】(上記1(2))に、「濯ぎ水等にリンス剤を用いることなく、洗浄性、貯蔵安定性に優れ、汚れの除去と同時に食器の乾燥を速め、ウォータースポットの低減を可能にする食器洗浄機用粉体洗浄剤組成物」と記載されていることから、濯ぎ水等にリンス剤を用いずにすすぎ効果を得られるものであり、洗浄機能とすすぎ機能との両方を果たす、洗浄すすぎ組成物といえるものである。
そうすると、引用発明の「食器洗浄機用洗浄組成物」は、本願発明1の「洗浄機能とすすぎ機能との両方を果たす、アルカリ性洗浄すすぎ組成物」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは、
「アルカリ性洗浄すすぎ組成物であって、前記組成物は、
アルカリ金属炭酸塩を含む、アルカリ源と;
(PO)y(EO)x(PO)yで表されるEO/POコポリマーを含む非イオン性界面活性剤と;
リン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩及びメタケイ酸塩、ホスホン酸塩、並びにアミノカルボン酸からなる群から選択される、ビルダーと;
前記組成物の全重量に基づいて1重量%?10重量%のポリマーであって、前記ポリマーは、ポリアクリル酸ポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマーを含み、前記ポリアクリル酸ポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマーは、アクリル酸/マレイン酸コポリマーである、ポリマーと
を含み、
前記組成物が、洗浄機能とすすぎ機能との両方を果たす、アルカリ性洗浄すすぎ組成物」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
(相違点1)
組成物の全重量に基づいたアルカリ源の含有量について、本願発明1では、「45重量%?75重量%」であるのに対し、引用発明の「炭酸カリウム」の含有量は「20重量%」である点。
(相違点2)
「(PO)y(EO)x(PO)yで表されるEO/POコポリマーを含む非イオン性界面活性剤」について、本願発明1は、「(PO)y(EO)x(PO)yで表され、xは5?50の範囲であり、yは1?50の範囲であるEO/POコポリマー」であり、その含有量は「1重量%?10重量%」であることが特定されているのに対し、引用発明の「ノニオン性界面活性剤A(PO・EO・POブロックポリマー、Pluronic RPE2520(BASF社製))」は、その具体的組成が「(PO)y(EO)x(PO)yで表され、xは5?50の範囲であり、yは1?50の範囲である」かどうか不明であり、しかも、その含有量は「0.5重量%」である点。
(相違点3)
非イオン性界面活性剤について、本願発明1は、「15?25モルのエチレンオキサイドを有するC_(10)?C_(12)アルコールエトキシレートを1重量%?10重量%」含むものであるのに対し、引用発明は、「ノニオン性界面活性剤B(脂肪族アルコールアルコキシレート、Plurafac LF403(BASF社製))」を「0.5重量%」含み、「15?25モルのエチレンオキサイドを有するC_(10)?C_(12)アルコールエトキシレート」を含まない点。
(相違点4)
組成物の全重量に基づいたビルダーの含有量について、本願発明1では、「1重量%?30重量%」であるのに対し、引用発明の「珪酸カリウム」の含有量は「45重量%」である点。

ここで、相違点について検討する。
事案に鑑み、まず、相違点1?3について検討する。
相違点2、3に関し、引用文献1には、非イオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性剤)について、【0036】?【0041】(上記1(3))には、引用発明において、特定のノニオン性界面活性剤((C)成分)と特定のノニオン性界面活性剤((D)成分)とが用いることができることが記載されている。
しかしながら、引用文献1には、相違点2に係る、非イオン性界面活性剤として、「(PO)y(EO)x(PO)yで表されるEO/POコポリマー」と、相違点3に係る、「15?25モルのエチレンオキサイドを有するC_(10)?C_(12)アルコールエトキシレート」とを用いることについては記載も示唆もされていない。
そして、「(PO)y(EO)x(PO)yで表されるEO/POコポリマー」及び「15?25モルのエチレンオキサイドを有するC_(10)?C_(12)アルコールエトキシレート」が、いずれも、非イオン性界面活性剤としては周知で、そのような非イオン性界面活性剤を引用発明の非イオン性界面活性剤として組み合わせて用いることが可能だとしても、それらの含有量をどの程度とすればいいのかについては、不明としかいうほかない。
また、引用文献2?4にも、上記相違点2、3に係る本願発明1の発明特定事項について、記載も示唆もない。

一方、本願発明1は、上記相違点1に係る、アルカリ源の含有量が45重量%?75重量%という、引用発明よりもアルカリ源を多く含有するという発明特定事項を備え、アルカリ源を多く含有することから、比較的、ガラス面に膜を形成しやすいものである洗浄組成物において、上記相違点2及び3に係る発明特定事項を有することで、洗浄とすすぎ効果の両方を提供しつつ、ガラス面の膜の形成が少ないものとなるものであって、そのような作用効果は、本願明細書の実施例において確認されていると認められる。

そうすると、引用発明において、相違点1?3に係る、本願発明1の発明特定事項を同時に備えるものとすることは、当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、上記相違点4について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2?4の記載に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?8について
本願発明2?8は、本願発明1を直接又は間接的に引用してさらに限定するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?4の記載に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 理由2(特許法第36条第6項第2号)についての当審の判断
請求項の記載において、補正により、各成分の「重量%」範囲の記載について、組成物全量に対する含有量であることが特定され、「比率」なる記載について、単位が特定されたことにより、理由2は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-12-09 
出願番号 特願2018-132378(P2018-132378)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C11D)
P 1 8・ 537- WY (C11D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 林 建二  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 門前 浩一
川端 修
発明の名称 洗浄機能とすすぎ機能の両方を行う洗剤組成物  
代理人 青木 篤  
代理人 胡田 尚則  
代理人 三橋 真二  
代理人 高橋 正俊  
代理人 南山 知広  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 鶴田 準一  

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