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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1369410
審判番号 不服2019-16078  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-29 
確定日 2020-12-10 
事件の表示 特願2015-145484「光検出器、光検出装置、固体撮像装置およびカメラシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 2日出願公開、特開2017- 28114〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月23日の出願であって、その後の主な手続経緯は、以下のとおりである。

平成30年 1月25日 :出願審査請求書の提出
平成31年 1月16日付け:拒絶理由通知(同年1月22日発送)
同年 3月12日 :手続補正書・意見書の提出
令和元年 8月30日付け;拒絶査定(同年9月10日送達)
同年11月29日 :審判請求書・手続補正書の提出
令和2年 7月15日付け:拒絶理由通知(同年7月22日発送)
同年 9月16日 :意見書・手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和2年9月16日付けの手続補正により補正された請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
紫外光用の画素部と、アナログフロントエンド部と、信号処理部と、を備える撮像装置であって、
前記紫外光用の画素部は、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方にアレイ状に配置され、各々が異なる単位画素を構成する複数の第1電極と、
前記複数の第1電極の上に形成された光電変換膜と、
前記光電変換膜の上に形成された透明電極と、
前記透明電極の上に形成され、前記複数の第1電極のそれぞれに対応する複数の紫外光透過フィルタと、
前記複数の第1電極のそれぞれに対応して前記半導体基板内に形成され、対応する前記第1電極と電気的に接続され、前記光電変換膜で光電変換により生成された電荷を蓄積する電荷蓄積領域とを備え、
前記複数の紫外光透過フィルタの少なくとも一部は、紫外光領域において最大透過率を有し、
前記光電変換膜は、前記紫外光領域において最大吸収係数を有し、
前記信号処理部は、前記紫外光用の画素部からの信号出力と所定の参照レベルとを比較し、該参照レベルよりも大きいか否かを判定する比較器を有する撮像装置であって、
可視光用の画素部をさらに備え、
前記紫外光用の画素部からの信号出力が、前記所定の参照レベルよりも大きいときにのみ、前記可視光用の画素部からの信号を、信号処理部から出力する
撮像装置。」(なお、下線は、請求人が手続補正書において付したものである。)

第3 引用文献
1 令和2年7月15日付け拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由」という。)に引用した特表2002-502120号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(1)「【請求項19】 複数波長の光を感知することができる感知素子であって、
a.第1の電極と、
b.前記第1の電極上に配置された光活性有機材料の層と、
c.前記光活性有機材料の層上に配置された透明な第2の電極であって、前記第1の電極、第1の光活性有機材料の層および前記第2の電極が、数種の波長を有する光ビームが前記第2の電極に入射した時に電気信号を発生させることができるセンサを構成する、前記第2の電極と
1回で前記数種の波長の一部のみが前記第2の電極に入射するように、前記光ビームにおける前記数種の波長間で弁別を行う手段と
を有することを特徴とする感知素子。
【請求項20】 前記弁別手段がフィルタであることを特徴とする請求項19に記載の感知素子。
……
【請求項38】 前記支持基板が、感知素子と混成化されたスイッチ回路を備えることを特徴とする請求項3から29のいずれかに記載の感知素子。」

(2)「【0003】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、電子カメラおよび他の関連する用途で有用な固体撮像素子に関する。本発明は、組み立ててモノクロまたはフルカラーの画像感知装置用アレイとされる高感度画像感知素子類を提供するものである。その画像エレメントは、仕事関数が異なるかまたは同様である2個の導電性電極間に挟持された有機半導体の薄層(単層または複数層)からなる。画像信号は、2個の電極に接続された回路によって調べることができる。材料の選択、装置厚さの調節および/または光学的フィルタ処理によって、画像センサのスペクトル応答を変更および調節して、所望のスペクトルプロファイルを得ることができる。赤色、緑色および青色の検出あるいは他の所望のスペクトル範囲での複数色の検出を行うためのいくつかの手法が開示されている。これらの感知素子は、他の電子装置または光学装置と統合または混成させることができる。」

(3)「【0017】
本発明の画像センサエレメントはまた、各感知画素と混成したスイッチ回路を有する基板を支持することもできる。そのスイッチ回路は、金属酸化物半導体型の薄層トランジスタを備えることができる。前記半導体の例としては、結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アントラセンおよびその誘導体、ペンタセンおよびその誘導体、オリゴマーチオフェンならびにP3AT類などがある。前記支持基板には、行列選択または信号読出し用の大型集積回路も含まれる。
【0018】
本発明はさらに、少なくとも1つまたは全ての感知素子が上記のように構成されている画素化光検出器を提供するものでもある。前記光検出器は、アレイ中の光センサの少なくとも一部によって共有される共通電極を有することができる。前記光センサは、可視スペクトルにおける少なくとも2つの異なる波長に応答することができ、図3、図3′または図4に示した積層構造に従って互いの上に積層された少なくとも2種類の異なるセンサを有することで、高い画素密度を有することができる。これらの光検出器アレイおよびマトリクスは、センサパネルの正面に配置された感知画素間のスペースにブラックマトリクスのコーティングを有することができる。光検出器アレイには、各画素(またはその一部)が異なるスペクトル領域で入射光に応答する波長選択手段を有することができる。
【0019】
……
【0023】
これらの素子には、図1に示したような光学基板または支持体14を設けることもできる。それは、画像エレメントの光センサおよび/またはマトリクスアレイに対して堅牢性を与えるための固体、剛性または可撓性の層である。光が基板側から入射する場合には、基板は動作波長で透明または半透明でなければならない。石英ガラス、ポリマーシートまたは可撓性プラスチックフィルムが、一般的に使用される基板である。光学エネルギーギャップ未満の光量子エネルギーにおいて透明である広帯域半導体ウェハ(SiC、SiNなど)も、一部の用途で使用することができる。その場合、薄いドープ領域も、コンタクト電極11として機能し得る。
【0024】
図1Bに示した「逆」配置を有する素子も有用である。この構造では、光は自由表面に接触している電極13を通って入射する。したがって、光学的に不透明な材料を基板として用いることができる。例えば、基板14として無機半導体ウェハ(シリコンなど)を用い、前記半導体を「導電性」レベルまでドープすることで(下記で定義)、ウェハは基板14としておよびコンタクト電極11としても機能することができる。前記逆構造は、無機半導体基板上に直接構築された駆動/読出し回路と光センサとが組み合わされる(集積回路技術を使用する)という利点を提供するものである。
【0025】
入射光18は、一般に、可視の波長(400?700nm)、紫外の波長(200?400nm)、真空紫外の波長(<200nm)および近赤外の波長(700?2500nm)を含むものと定義される。」

(4)「【0089】
(実施例6)
単層構造および2層構造で、有機分子から画像エレメントを作製した。六量体フェニル(sexiphenyl)(6P)素子と6P(800Å)/C_(60)(800Å)ヘテロ接合素子(ITO電極とAl電極の間に挟持)のスペクトル応答性を図12Aに示してある。それらは、-10Vの逆バイアス下で測定した。真空チャンバにおいて有機薄膜を熱蒸着した。6P素子の光応答性は、純粋にUVにおいてのものである。短波長カットオフは、主として、ITO電極の透過によって生じるものである。ITO電極に代えてPANI-CSAまたはPPyなどの半透明ポリマー電極を用いることで、光感度は230nmまで広がった。6P/C_(60)ヘテロ接合素子では、感光性が大きくなり、感度のスペクトル領域は、C_(60)による吸収によって、可視スペクトル領域に広がった。C_(60)層および6P層の厚さを変えることで、可視領域での感光性を調節した。図12Bに示したように、6P(800Å)/C_(60)(3000Å)の正面にUV透過性帯域フィルタを設けることで、UVのみ(可視での感受性なし)の検出を行った。」

(5)実施例6のスペクトル応答性を示す図12Bは、以下のものである。


2 引用文献に記載された発明
(1)上記1(1)の記載からして、引用文献には、
「複数波長の光を感知することができる感知素子であって、
第1の電極と、
前記第1の電極上に配置された光活性有機材料の層と、
前記光活性有機材料の層上に配置された透明な第2の電極であって、前記第1の電極、第1の光活性有機材料の層および前記第2の電極が、数種の波長を有する光ビームが前記第2の電極に入射した時に電気信号を発生させることができるセンサを構成する、前記第2の電極と
1回で前記数種の波長の一部のみが前記第2の電極に入射するように、前記光ビームにおける前記数種の波長間で弁別を行うフィルタとを有する、感知素子。」(請求項19-20)が記載されているものと認められる。

また、「請求項38」の記載からして、上記「感知素子」は、感知素子と混成化されたスイッチ回路を有する支持基板を備えたものであってもよいことが理解できる。

(2)上記1(2)の記載からして、
上記(1)の「感知素子」を支持基板上にアレイ状(複数個)に配置することで、固体撮像装置になることが理解できる。

(3)上記1(3)の記載から、以下のことが理解できる。
ア 「スイッチ回路」は、金属酸化物半導体型の薄層トランジスタを備えるものであってもよいこと。
イ 「支持基板」は、無機半導体ウェハ(シリコンなど)であってもよいこと。
ウ 「支持基板」には、行列選択または信号読出し用の大型集積回路を設けてもよいこと。

(4)上記1(4)の記載を踏まえて、図12Bを見ると、以下のことが理解できる。
ITO電極と、6P(800Å)/C_(60)(800Å)ヘテロ接合層と、Al電極と、UV透過性帯域フィルタと、を備えることにより、UVのみ(可視での感受性なし)検出できること。

(5)上記(1)ないし(4)からして、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「固体撮像装置であって、
無機半導体ウェハ(シリコンなど)と、
前記無機半導体ウェハ(シリコンなど)上にアレイ状に配置された複数の感知素子と、
前記各感知素子と混成された金属酸化物半導体型の薄層トランジスタを備えるスイッチ回路と、
UV透過性帯域フィルタと、を備え、
前記各感知素子は、
ITO電極と、
6P(800Å)/C_(60)(800Å)ヘテロ接合層と、
Al電極と、を有し、
UV透過性帯域フィルタを備えることにより、UVのみ(可視での感受性なし)検出できる、固体撮像装置。」

第4 当審の判断
1 対比
(1)ア 引用発明の「固体撮像装置」が、デジタル信号処理部を有することは明らかであるから、アナログ信号を調整する回路(アナログフロントエンド部)を備えているものと認められる。
また、引用発明は「UV透過性帯域フィルタを備えることにより、UVのみ(可視での感受性なし)検出できる」ので、「紫外光用の画素部」を有していると言える。
よって、本願発明と引用発明とは、「紫外光用の画素部と、アナログフロントエンド部と、信号処理部と、を備える撮像装置」である点で一致する。

イ 引用発明の「無機半導体ウェハ(シリコンなど)」は、本願発明の「半導体基板」に相当する。
以下、同様に、
「Al電極」は、「第1電極」に、
「6P(800Å)/C_(60)(800Å)ヘテロ接合層」は、「光電変換膜」に、
「ITO電極」は、「透明電極」に、
「UV透過性帯域フィルタ」は、「紫外光透過フィルタ」に、それぞれ、相当する。

ウ 引用発明の「複数の感知素子」は、「無機半導体ウェハ(シリコンなど)」上にアレイ状に配置されたものであって、各感知素子は、それぞれの素子に対応する「Al電極」を有することは、当業者に明らかである。

エ また、引用発明の「UV透過性帯域フィルタ」は、「ITO電極」上に位置し、各感知素子の、それぞれの「Al電極」に対応していることは、明らかであるから、当該構成は、本願発明の「前記透明電極の上に形成され、前記複数の第1電極のそれぞれに対応する紫外光透過フィルタ」に相当する。

オ 上記アないしエから、本願発明と引用発明とは、
「紫外光用の画素部は、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方にアレイ状に配置され、各々が異なる単位画素を構成する複数の第1電極と、
前記複数の第1電極の上に形成された光電変換膜と、
前記光電変換膜の上に形成された透明電極と、
前記透明電極の上に形成され、前記複数の第1電極のそれぞれに対応する紫外光透過フィルタと、を備える」点で一致する。

(2)引用発明は、「各感知素子と混成された金属酸化物半導体型の薄層トランジスタを備えるスイッチ回路」を備え、信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域を備えていることは明らかである。
よって、本願発明と引用発明とは、
「複数の第1電極のそれぞれに対応して半導体基板内に形成され、対応する前記第1電極と電気的に接続され、光電変換膜で光電変換により生成された電荷を蓄積する電荷蓄積領域とを備える」点で一致する。

(3)引用文献の図12B(下記の図を参照)から、引用発明の「UV透過性帯域フィルタ」は、紫外光領域において最大透過率を有し、引用発明の「6P(800Å)/C_(60)(800Å)ヘテロ接合層」は、紫外光領域において最大吸収係数を有するものと認められる。
よって、本願発明と引用発明とは、「複数の紫外光透過フィルタの少なくとも一部は、紫外光領域において最大透過率を有し、光電変換膜は、前記紫外光領域において最大吸収係数を有する」点で一致する。



(4)上記(1)ないし(3)から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
〈一致点〉
「紫外光用の画素部と、アナログフロントエンド部と、信号処理部と、を備える撮像装置であって、
前記紫外光用の画素部は、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方にアレイ状に配置され、各々が異なる単位画素を構成する複数の第1電極と、
前記複数の第1電極の上に形成された光電変換膜と、
前記光電変換膜の上に形成された透明電極と、
前記透明電極の上に形成され、前記複数の第1電極のそれぞれに対応する紫外光透過フィルタと、
前記複数の第1電極のそれぞれに対応して前記半導体基板内に形成され、対応する前記第1電極と電気的に接続され、前記光電変換膜で光電変換により生成された電荷を蓄積する電荷蓄積領域とを備え、
前記複数の紫外光透過フィルタの少なくとも一部は、紫外光領域において最大透過率を有し、
前記光電変換膜は、前記紫外光領域において最大吸収係数を有する、撮像装置。」

(5)一方、両者は、以下の点で相違する。
〈相違点1〉
紫外光透過フィルタに関して、
本願発明は、「複数の第1電極のそれぞれに対応する複数の紫外光透過フィルタ」であるのに対して、
引用発明は、複数であるか否か不明である点。

〈相違点2〉
信号処理部に関して、
本願発明は、「紫外光用の画素部からの信号出力と所定の参照レベルとを比較し、該参照レベルよりも大きいか否かを判定する比較器を有する」のに対して、
引用発明は、そのような比較器を備えているか否か不明である点。

〈相違点3〉
本願発明は、「可視光用の画素部をさらに備え、紫外光用の画素部からの信号出力が、所定の参照レベルよりも大きいときにのみ、可視光用の画素部からの信号を、信号処理部から出力する」のに対して、
引用発明は、可視光用の画素部を備えていない点。

2 判断
(1)上記〈相違点1〉について検討する。
引用発明において、「UV透過性帯域フィルタ」を、「Al電極」に対応する複数のUV透過性帯域フィルタとすることは、適宜なし得ることである。

(2)上記〈相違点2〉について検討する。
感知素子からのアナログ信号を規定値(参照レベル)と比較し、規定値よりも大きいか否かを判定することは下記に示すように通常行われていることであり、当業者が必要に応じてなし得ることである。

必要ならば、例えば、特開2006-267097号公報(【0017】)を参照。
ちなみに、【0017】には、以下のように記載されている。
「…画像処理ソフト17による処理は、図4に示すとおりであり、まず、撮像部から送られてきたアナログ画像から紫外光差分画像(Ic)を取得し、これを二値デジタル化した紫外光二値画像(Id)を取得する。この際、二値化処理においては、紫外光差分画像(Id)を予め定めた閾値との比較を行い、閾値以上の値を火炎と判断して二値化処理を行う。閾値の決定は、事前に値を設定しておく方法、画像全体の平均輝度を求めてその値を閾値とする方法、或いは、現場でユーザーが値を入力する方法が考えられる。」

(3)上記〈相違点3〉について検討する。
ア 本願発明において、上記〈相違点3〉に係る構成を採用する技術的意義について、本願明細書の記載を参酌して検討する。
本願明細書には、図面とともに、以下の記載がある。
(ア)「【0047】
レンズ502で集光された紫外光は、紫外光受光素子503で信号に変換され、アナログ・フロントエンド504へと入力される。アナログ・フロントエンド504では、入力された信号がまず、CDS回路510で固定パターン雑音を抑制され、次にPGA回路511で増幅され、最後にADC回路512でディジタル信号に変換された後、信号処理部505で処理され、表示部506で画像として作成される。信号処理部505には、ランダムノイズを低減させS/Nを上げるために、例えば、フレーム加算平均または画素加算平均を行う回路を設けてもよい。
【0048】
図6(a)は、可視光用の固体撮像装置により撮影された画像である。図6(a)に示すように、カラー画像では、ライターから出る炎が映し出されている。図6(b)は、本実施の形態に係る固体撮像装置により撮影された画像である。図6(b)に示すように、紫外光画像では、炎から出射される紫外光のみが検出され、映し出されている。
【0049】
……
【0052】
図8Aは、炎検知カメラの構成を示すブロック図である。この固体撮像装置801は、固体撮像装置501において、可視光検知用のアナログ・フロントエンド805と信号処理部806と可視光表示部807を追加して構成される。このような構成にすることによって、紫外光、可視光による像を同時に検出、表示する固体撮像装置を提供することが可能である。
【0053】
ここで、紫外光信号処理部505 内に比較器を設け、信号出力と所定の参照レベルと比較し、該参照レベルよりも大きいか否かを判定する。そして、紫外光量がある閾値を超えた場合にトリガーを与え、可視光透過フィルタが搭載されている画素からの信号を読み出すシステムとする。この構成により、例えば、炎からの紫外光を感知した場合のみ、撮像したカラー画像を出力するような、炎検出装置や炎撮像装置を単一で実現することができる。
【0054】
なお、このようなシステムは、図8Bのように、紫外光用・可視光用の撮像装置2台構成でも実現可能である。図8Bのカメラは、図8Aのカメラに比べて、コストやシステムサイズは大きくなるが、紫外光および可視光に対する感度を高くすることができる。」

(イ)図8A及び図8Bは、以下のものである。
図8A

図8B

(ウ)上記記載からして、
上記〈相違点3〉に係る構成を採用する技術的意義は、炎からの紫外光を感知した場合にのみ、カラー画像を出力することで、「炎の検出」と「炎の撮像」を同時に行うことにあるものと解される。

イ(ア)一方、引用発明の「固体撮像装置」は、肉眼では見えない紫外光を検知するものであるところ、火災時に肉眼で状況を確認するために可視光対応カメラを組合せた火災検知器は、当審拒絶理由で例示した特開2005-91343号公報(【0063】)以外にも、特開2010-86104号公報(【0047】、図7)及び特開平10-241077号公報(図1)等に記載されているように、本願出願時点(平成27年7月23日)で周知である(以下「周知技術」という。)。

(イ)してみると、引用発明に「可視光対応カメラ」を組合せ、炎からの紫外光を感知した場合に、「カラー画像」を出力することで、「炎の検出」と「炎の撮像」を同時に行うことは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得ることである。
また、肉眼で状況を確認する必要が生じるのは、火災を検知した時であるから、「カラー画像」を出力するタイミングを火災の発生後とすることに何ら困難性は認められない。

ウ よって、引用発明において、上記〈相違点3〉に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得ることである。

(4)効果
本願発明の奏する効果は、当業者が引用発明の奏する効果及び上記周知技術から予測し得る範囲内のものである。

3 まとめ
本願発明は、当業者が引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 令和2年9月16日提出の意見書における主張について
請求人は、「3.本願が特許されるべき理由」において、(周知技術として例示した)特開2005-91343号公報には、「炎からの紫外光を感知した場合のみ、撮像したカラー画像を出力する」ことの必要性についての記載、示唆はなく、当業者は「炎からの紫外光を感知した場合のみ、撮像したカラー画像を出力すること」を容易になし得るとまでは言えない旨主張する。

しかしながら、上記「2 判断(3)」で検討したように、当業者が容易になし得ることである。
よって、請求人の主張は、上記「3」の判断を左右するものではない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-10-07 
結審通知日 2020-10-13 
審決日 2020-10-26 
出願番号 特願2015-145484(P2015-145484)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 俊文  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 星野 浩一
吉野 三寛
発明の名称 光検出器、光検出装置、固体撮像装置およびカメラシステム  
代理人 新居 広守  
代理人 寺谷 英作  
代理人 道坂 伸一  
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