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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03B 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G03B |
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管理番号 | 1369413 |
審判番号 | 不服2020-477 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-01-14 |
確定日 | 2020-12-10 |
事件の表示 | 特願2015-101307「写真シール作成装置および進行管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-218186〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年5月18日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 平成31年 3月25日付け:拒絶理由通知書 令和 元年 5月27日 :意見書、手続補正書の提出 令和 元年10月18日付け:拒絶査定 令和 2年 1月14日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和2年1月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年1月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。 「【請求項1】 撮影空間において利用者が撮影作業を行うことで、前記利用者を被写体とした撮影画像を生成する撮影処理部と、 編集空間において前記撮影画像に対して前記利用者が編集作業を行うことで、前記撮影画像に編集を施す編集処理部と、 前記撮影作業および前記編集作業を含むゲームの代金の受け付けを制御する代金受付制御部と、 前記ゲームの進行を制御する進行制御部と を備え、 前記進行制御部は、現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき、閉店用画面を表示させ、 前記代金受付制御部は、前記閉店用画面が表示された状態でも前記代金を一回のみ受け付け可能とし、 前記進行制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられたことをトリガに、前記代金を支払った1組の前記利用者についてのみ前記ゲームのプレイを許可し、 前記代金受付制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられた時以降の前記代金の受け付けを抑止する 写真シール作成装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和元年5月27日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 撮影空間において利用者が撮影作業を行うことで、前記利用者を被写体とした撮影画像を生成する撮影処理部と、 編集空間において前記撮影画像に対して前記利用者が編集作業を行うことで、前記撮影画像に編集を施す編集処理部と、 前記撮影作業および前記編集作業を含むゲームの代金の受け付けを制御する代金受付制御部と、 前記ゲームの進行を制御する進行制御部と を備え、 前記代金受付制御部は、あらかじめ設定された設定時刻以降に前記代金を一回のみ受け付け可能とし、 前記進行制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられたことをトリガに、前記代金を支払った1組の前記利用者についてのみ前記ゲームのプレイを許可し、 前記代金受付制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられた時以降の前記代金の受け付けを抑止する 写真シール作成装置。」 2 補正の適否 本件補正のうち請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「進行制御部」について、「現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき、閉店用画面を表示させ」と限定し、「代金受付制御部」について、「前記閉店用画面が表示された状態でも」前記代金を一回のみ受け付け可能としと限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2007-93703号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。 (ア)「【請求項1】 ユーザを撮影する撮影ブースと、前記撮影ブースとは異なる箇所に少なくとも一つ設けられて前記撮影ブースにおいて撮影した画像に対して編集処理を行う編集ブースと、前記撮影ブース、前記編集ブースの少なくとも一方の利用を制限する利用制限手段とを備えることを特徴とする写真撮影装置。 【請求項2】 利用制限手段は、撮影ブースの利用開始を禁止する禁止手段を含むことを特徴とする請求項1記載の写真撮影装置。 【請求項3】 利用制限手段は、編集ブースの利用時間を制御する制御手段を含むことを特徴とする請求項1または2記載の写真撮影装置。 【請求項4】 利用制限手段は、ユーザに対して撮影ブースの利用可能時間が終了したことを表示する表示手段を含むことを特徴とする請求項1?3の何れかに記載の写真撮影装置。 【請求項5】 現在の時刻を計時する計時手段と、稼働時間を設定する設定手段と、計時した現在時刻が前記稼働時間を越えたかを判定する判定手段とを備え、前記判定手段により前記計時した現在時刻が前記稼働時間を越えたと判定したときに、利用制限手段は利用制限を開始することを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の写真撮影装置。 【請求項6】 利用制限手段に対して利用制限の開始を指示する指示手段を備えることを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の写真撮影装置。」 (イ)「【0037】 図3に示すように、写真自動販売装置1は、カメラ2による撮影およびカメラ2によって撮影した画像の転送など、撮影に関するデータ処理である撮影側の処理を実行する撮影用コンピュータ装置20aと、編集処理時にユーザからタブレットディスプレイ17に入力された情報の内容をこのタブレットディスプレイ17に表示するとともに、入力された情報に基づいて編集入力する画像の作成、描画などの編集に関する処理やプリンタ13の印刷に関する処理を実行する画像編集用コンピュータ装置20bと、動作中のコンピュータ装置20a、20bからの指示を受け付けて、接続されている各種装置を制御する制御基板21とを備える。この撮影用コンピュータ装置20aと画像編集用コンピュータ装置20bとは互いに接続され、画像データなどの授受をピアツーピアで行う。」 (ウ)「【0042】 撮影用コンピュータ装置20aは、撮影ブース6での撮影側の処理を実行する。具体的には、内部のHDD23aに記憶された撮影側の処理のプログラムを実行して、写真撮影装置1の稼働時間を管理するとともに、ユーザからタッチパネルディスプレイ9を介して受け付けた入力操作に基づく指示信号に従って制御基板21に対して制御信号を送信する。また、撮影用コンピュータ装置20aは、カメラ2、タッチパネルディスプレイ9、制御基板21と電気的に接続され、それらを制御する。また、撮影側筐体3に設けられている稼働終了指示ボタン32からの指示信号を受け、上記の禁止手段としてのコイン制御部30によるコインブロック、制御手段としての機能による利用時間の制御、表示手段としてのタッチパネルディスプレイ9への案内表示を任意のタイミングで行う。」 (エ)「【0057】 次にCPU22aは、写真撮影装置1の利用を促すタイトルデモ画面を撮影ブース6におけるタッチパネルディスプレイ9に表示し(S13)、その間にコイン制御部30において対価であるコインの投入を監視する(S14)。」 (オ)「【0063】 図4に戻って、S13においてタイトルデモ画面を表示し、S14において、所定の枚数のコインが、ユーザにより投入されたと判断する(S14でYES)と、これ以上のコインが過剰に投入されないように、コイン投入口をロック(S17)、または、コイン投入口に投入されたコインをコイン返却口から排出するようにして、コインの投入を受け付けないようにする。 【0064】 そして、CPU22aは撮影を開始し(S18)、所定回数の撮影が行われるまで撮影を続け(S19)、所定回数の撮影を終えると(S19でYES)、撮影した画像を画像編集用コンピュータ装置20bに転送する(S20)。このとき、このユーザは撮影プレイが終了したことになるので、撮影ブース6を出て、次の編集プレイを行うべく、所定の編集ブース19に移動する。したがって、撮影ブース6はユーザがいない状態となる。なお、ここでは撮影回数を制限しているが、撮影時間を制限するようにしてもよい。また、所定回数撮影した後にまだ制限時間が残っている場合や、編集ブース19で先のユーザがまだ編集プレイをしている場合には、それらが終了するまで撮影プレイを続行できるようにしてもよいし、撮影ブース6内において待機させるように案内してもよい。 【0065】 S20において撮影した画像を画像編集用コンピュータ装置20bに転送しつつ、稼働時間の設定がなされているかを判断する(S21)。設定がなされていない場合には、処理をS12に戻してコインロックを解除し、S13でタイトルデモ画面を表示して、新たなユーザの利用を待つ。 【0066】 S21において、稼働時間の設定が行われていると判断した場合(S21でYES)には、CPU22aが備える判定手段および現在時刻計時手段としての機能により、現在時刻が設定された稼働時間を越えているかを判断する(S22)。越えていないと判断した場合には、処理をS12に戻してコインロックを解除し、S13でタイトルデモ画面を表示して、新たなユーザの利用を待つ。 【0067】 S22において、現在時刻が設定された稼働時間を越えていると判断した場合(S22でYES)には、CPU22aはタッチパネルディスプレイ9に対し、これ以降に撮影ブース6、写真撮影装置1を利用しようとする新たなユーザに対して、「今日はもう終わったよ。また明日あそんでね!」など、撮影ブース6、写真撮影装置1の利用が、今日はもうできない、すなわち利用可能時間が終了した旨を表示する(S23)。このとき、S17においてなされたコインロックの状態が解除されていない、すなわちCPU22aが禁止手段としての機能を発揮している状態であるので、これらにより、設定された稼働時間を経過した後に、別のユーザが新たに写真撮影装置1を利用し始めることを確実に防止することができる。なお、コインブロックがされていなくても、利用可能時間が終了したことをタッチパネルディスプレイ9に表示することで、ユーザが写真撮影装置1を開始することを防止することができる。このようにして、ユーザからの受付を終了する。 【0068】 なお、このようにユーザからの利用受付を終了した場合、次の利用を順番待ちしていたユーザは不満を感じることがある。そこで、このような場合に備えて、コインブロック等による受付終了状態を、管理者にしか分からない特定の操作(例えば、タッチパネルディスプレイ9の四隅を順にタッチする操作を2回続けるといった操作)によって解除できるようにしておく。したがって、S23の処理後には、上記の特定操作が行われたかを監視する(S24)。S24において特定操作がされたと判断した場合(S24でYES)には、処理をS12に戻し、順番待ちをしていたユーザの利用を受け付けるようにし、このユーザの不満を解消できるようにする。この特定操作による解除により受け付ける利用回数は、一回のみでもよいし、適宜の回数でもよい。」 (カ)図4は、以下のとおりである。 イ 上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「カメラ2による撮影およびカメラ2によって撮影した画像の転送など、撮影に関するデータ処理である撮影側の処理を実行する撮影用コンピュータ装置20aと、 編集処理時にユーザからタブレットディスプレイ17に入力された情報の内容をこのタブレットディスプレイ17に表示するとともに、入力された情報に基づいて編集入力する画像の作成、描画などの編集に関する処理やプリンタ13の印刷に関する処理を実行する画像編集用コンピュータ装置20bと、 コインブロックを行うコイン制御部30と、 計時した現在時刻が前記稼働時間を越えたかを判定する判定手段とを備え、 制御手段としての機能による利用時間の制御を行い、 前記判定手段により前記計時した現在時刻が前記稼働時間を越えたと判定したときに、CPU22aはタッチパネルディスプレイ9に対し、これ以降に撮影ブース6、写真撮影装置1を利用しようとする新たなユーザに対して、撮影ブース6、写真撮影装置1の利用が、今日はもうできない、すなわち利用可能時間が終了した旨を表示し、 このようにユーザからの利用受付を終了した場合、次の利用を順番待ちしていたユーザは不満を感じることがあり、そこで、このような場合に備えて、コインブロック等による受付終了状態を、管理者にしか分からない特定の操作(例えば、タッチパネルディスプレイ9の四隅を順にタッチする操作を2回続けるといった操作)によって解除できるようにしておき、 特定操作がされたと判断した場合(S24でYES)には、処理をコインロック解除(S12)に戻し、順番待ちをしていたユーザの利用を受け付けるようにし、 CPU22aは、コイン制御部30において対価であるコインの投入を監視し(S14)、ユーザにより投入されたと判断する(S14でYES)と、これ以上のコインが過剰に投入されないように、コイン投入口をロック(S17)、または、コイン投入口に投入されたコインをコイン返却口から排出するようにして、コインの投入を受け付けないようにし、そして、CPU22aは撮影を開始し(S18)、 この特定操作による解除により受け付ける利用回数は、一回のみでもよい 写真撮影装置。」 (3)引用発明との対比・判断 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「『撮影用コンピュータ装置20a』の『カメラ2による撮影およびカメラ2によって撮影した画像の転送など、撮影に関するデータ処理である撮影側の処理を実行する』部分」は、本件補正発明の「撮影空間において利用者が撮影作業を行うことで、前記利用者を被写体とした撮影画像を生成する撮影処理部」に、 引用発明の「編集処理時にユーザからタブレットディスプレイ17に入力された情報の内容をこのタブレットディスプレイ17に表示するとともに、入力された情報に基づいて編集入力する画像の作成、描画などの編集に関する処理やプリンタ13の印刷に関する処理を実行する画像編集用コンピュータ装置20b」は、本件補正発明の「編集空間において前記撮影画像に対して前記利用者が編集作業を行うことで、前記撮影画像に編集を施す編集処理部」に、 引用発明の「コインブロックを行うコイン制御部30」は、本件補正発明の「前記撮影作業および前記編集作業を含むゲームの代金の受け付けを制御する代金受付制御部」に、 引用発明の「写真撮影装置」は、本件補正発明の「写真シール作成装置」に、 それぞれ相当する。 そうすると、引用発明は「撮影空間において利用者が撮影作業を行うことで、前記利用者を被写体とした撮影画像を生成する撮影処理部と、編集空間において前記撮影画像に対して前記利用者が編集作業を行うことで、前記撮影画像に編集を施す編集処理部と、前記撮影作業および前記編集作業を含むゲームの代金の受け付けを制御する代金受付制御部」、「写真シール作成装置」の構成を備えているといえる。 イ 引用発明の「前記計時した現在時刻が前記稼働時間を越えたと判定したときに」は、本件補正発明の「現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき」に、 引用発明の「『タッチパネルディスプレイ9に対し、』『今日はもうできない、すなわち利用可能時間が終了した旨を表示し』」は、本件補正発明の「閉店用画面を表示させ」、「前記閉店用画面が表示された状態」に、 引用発明の「『コイン制御部30において対価であるコインの投入を監視し(S14)、ユーザにより投入されたと判断する(S14でYES)と、』『CPU22aは撮影を開始し(S18)』」は、本件補正発明の「『前記代金が受け付けられたことをトリガに、前記代金を支払った』『前記利用者についてのみ前記ゲームのプレイを許可し』」に、 引用発明の「『ユーザからの利用受付を終了した場合』の『特定操作による解除により受け付ける利用回数は、一回のみで』、『特定操作がされたと判断した場合(S24でYES)には、処理をコインロック解除(S12)に戻し、』『利用を受け付けるようにし』た『順番待ちをしていたユーザ』」は、本件補正発明の「『前記設定時刻以降に』『前記代金を支払った1組の前記利用者』」に、 それぞれ相当する。 また、引用発明の「制御手段としての機能による利用時間の制御を行い」、「計時した現在時刻が前記稼働時間を越えたかを判定する」との特定は、ともにゲームの進行の制御と解されることから、本件補正発明の「ゲームの進行を制御する」に相当する。 そうすると、引用発明は「前記ゲームの進行を制御する進行制御部とを備え、前記進行制御部は、現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき、閉店用画面を表示させ、」「前記進行制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられたことをトリガに、前記代金を支払った1組の前記利用者についてのみ前記ゲームのプレイを許可し」の構成を備えているといえる。 ウ 引用発明は「『ユーザからの利用受付を終了した場合』の『特定操作による解除により受け付ける利用回数は、一回のみで』、『特定操作がされたと判断した場合(S24でYES)には、処理をコインロック解除(S12)に戻し、順番待ちをしていたユーザの利用を受け付けるようにし、CPU22aは、コイン制御部30において対価であるコインの投入を監視し(S14)、ユーザにより投入されたと判断する(S14でYES)と、これ以上のコインが過剰に投入されないように、コイン投入口をロック(S17)、または、コイン投入口に投入されたコインをコイン返却口から排出するようにして、コインの投入を受け付けないようにし』」と特定されているので、コイン制御部30は、ユーザからの利用受付を終了した場合の特定操作による解除により、受け付ける一回の利用回数のコインが投入された以降のコインを受け付けないようにしていることは明らかである。 そうすると、引用発明は「前記代金受付制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられた時以降の前記代金の受け付けを抑止する」の構成を備えているといえる。 エ してみると、本件補正発明と引用発明とは、 「撮影空間において利用者が撮影作業を行うことで、前記利用者を被写体とした撮影画像を生成する撮影処理部と、 編集空間において前記撮影画像に対して前記利用者が編集作業を行うことで、前記撮影画像に編集を施す編集処理部と、 前記撮影作業および前記編集作業を含むゲームの代金の受け付けを制御する代金受付制御部と、 前記ゲームの進行を制御する進行制御部と を備え、 前記進行制御部は、現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき、閉店用画面を表示させ、 前記進行制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられたことをトリガに、前記代金を支払った1組の前記利用者についてのみ前記ゲームのプレイを許可し、 前記代金受付制御部は、前記設定時刻以降に前記代金が受け付けられた時以降の前記代金の受け付けを抑止する 写真シール作成装置。」 である点で一致するものである。 一見、引用発明は「特定操作による解除」により「設定時刻以降」のゲームのプレイを許可する点で、本件補正発明と相違するようにも思われる。 しかしながら、本件補正発明の「閉店用画面が表示された状態でも前記代金を一回のみ受け付け可能とし」との特定は、特定操作による解除を含まないとの限定はなく、「閉店用画面が表示された状態でも」特定操作による解除により「前記代金を一回のみ受け付け可能とし」を含んでいる。 そうすると、この点は実質的な相違ではない。 オ したがって、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)審判請求人の主張について ア 本件審判請求人は、令和2年1月14日付けで提出された審判請求書において、 「しかしながら、引用文献1において、“現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき、閉店用画面を表示させ、閉店用画面が表示された状態でも代金を一回のみ受け付け可能とする”ことについては、開示も示唆もされていない。特に、引用文献1の構成においては、利用可能時間が終了した旨の案内画面が表示されている状態では、コインロック状態である。 これに対して、請求項1に記載の本願発明は、“現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき、閉店用画面を表示させ、閉店用画面が表示された状態でも代金を一回のみ受け付け可能とする”という技術的特徴を有している。 これにより、請求項1に記載の本願発明によれば、閉店用画面が表示された状態であっても硬貨を投入すればゲームをプレイできることから、利用者に裏技的にゲームを楽しめませることができるとともに、店舗の閉店間際であっても効率的なゲームの提供を実現することが可能となるという顕著な作用効果を奏することができる。」 旨主張している。 イ 上記主張について以下検討する。 まず、本件補正発明の「閉店用画面が表示された状態でも前記代金を一回のみ受け付け可能とし」との特定は、「閉店用画面が表示された状態でもコインロック状態にすることなく前記代金を一回のみ受け付け」るとの限定解釈は文言上できない。例えば「閉店用画面が表示された状態でも」特定操作による解除により「前記代金を一回のみ受け付け可能とし」、その後、閉店用画面が表示されていない状態で代金を一回のみ受け付けるものも含んでいる。 そうすると、上記(3)で検討したとおり、本件補正発明と引用発明とは実質的に相違しない。 してみれば、審判請求人の上記主張は、採用することができない。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和2年1月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年5月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、 理由1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、 理由2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(特許法第29条第1項第3号)、理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1,17 ・引用文献等 1 ●理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 2?16 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1.特開2007-093703号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の「進行制御部」について「現在時刻があらかじめ設定された設定時刻を経過したとき、閉店用画面を表示させ」及び「代金受付制御部」について「前記閉店用画面が表示された状態でも」との限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明に該当するから、本願発明も、引用発明に該当するものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-09-30 |
結審通知日 | 2020-10-06 |
審決日 | 2020-10-21 |
出願番号 | 特願2015-101307(P2015-101307) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G03B)
P 1 8・ 113- Z (G03B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金高 敏康 |
特許庁審判長 |
瀬川 勝久 |
特許庁審判官 |
吉野 三寛 野村 伸雄 |
発明の名称 | 写真シール作成装置および進行管理方法 |
代理人 | 三浦 勇介 |
代理人 | 稲本 義雄 |
代理人 | 西川 孝 |