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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1369613
審判番号 不服2019-13330  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-04 
確定日 2020-12-02 
事件の表示 特願2016-562056「複数のサブフレームセットのCSIフィードバック」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日国際公開、WO2015/103965、平成29年 4月 6日国内公表、特表2017-510218〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2015年(平成27年)1月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年1月7日 中国、 2014年2月11日 中国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年12月 8日 :手続補正書の提出
平成30年 8月22日付け :拒絶理由通知書
令和 1年 5月27日付け :拒絶査定
令和 1年10月 4日 :拒絶査定不服審判の請求,手続補正書の提出
令和 1年12月24日 :上申書の提出

第2 令和 1年10月 4日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和 1年10月 4日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本願発明と補正後の発明(補正の概要)

本件補正は、平成29年12月 8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された

「 ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための方法であって、
基地局(BS)と通信するための第1のアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)サブフレーム構成のシグナリングを受信することと、
少なくとも2つのサブフレームセットを示す少なくとも1つのチャネル状態情報(CSI)報告構成のシグナリングを受信することと、ここで、各サブフレームセットが干渉測定リソース(IMR)構成に関連する、
アップリンクサブフレーム中の前記少なくとも2つのサブフレームセットについてのCSI報告の衝突を検出することと、
前記アップリンクサブフレーム中でのCSI報告のために前記少なくとも2つのサブフレームセットからの1つのサブフレームセットに優先度を付けることと、
前記優先度付けに基づいて前記アップリンクサブフレーム中でCSIを報告することと
を備える、方法。」(以下,「本願発明」という。)

を,

「 ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための方法であって、
基地局(BS)と通信するための第1のアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)サブフレーム構成のシグナリングを受信することと、
少なくとも2つのサブフレームセットを示す少なくとも1つのチャネル状態情報(CSI)報告構成のシグナリングを受信することと、ここで、各サブフレームセットが干渉測定リソース(IMR)構成に関連し、ここにおいて、少なくとも2つのIMRに対応する干渉測定リソースは、前記少なくとも2つのIMRが、周期的に発生するサブフレームに限定されるという制約を受けない、
アップリンクサブフレーム中の前記少なくとも2つのサブフレームセットについてのCSI報告の衝突を検出することと、
前記アップリンクサブフレーム中でのCSI報告のために前記少なくとも2つのサブフレームセットからの1つのサブフレームセットに優先度を付けることと、
前記優先度付けに基づいて前記アップリンクサブフレーム中でCSIを報告することと
を備える、方法。」(以下,「補正後の発明」という。)

に変更することを含むものである。([当審注]:下線部は補正箇所を示す。)

2 補正の適否

(1)新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件
請求項1についての上記補正は,本願発明の「ここで、各サブフレームセットが干渉測定リソース(IMR)構成に関連する」との事項について,「ここにおいて、少なくとも2つのIMRに対応する干渉測定リソースは、前記少なくとも2つのIMRが、周期的に発生するサブフレームに限定されるという制約を受けない、」との限定を付して特許請求の範囲を減縮するものである。したがって,上記補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであり,同第3項,同第4項の規定に違反するところはない。

(2)独立特許要件

上記補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて,以下検討する。

ア 補正後の発明

補正後の発明は,上記「1 本願発明と補正後の発明(補正の概要)」の項の「補正後の発明」のとおりのものと認める。

イ 引用発明等

原査定の拒絶の理由に引用された、Texas Instruments,”Views on CSI measurement for LTE TDD eIMTA”([当審仮訳]:LTE TDD eIMTAのCSI測定に関する見解),3GPP TSG-RAN WG1#75 R1-135245,2013年11月 2日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_75/Docs/R1-135245.zip>(以下,「引用例」という。)には,以下の事項が記載されている。

(ア)「1. Introduction
The following agreements have been reached on CSI measurement for TDD eIMTA
- In DL, up to two subframe sets can be UE-specifically signaled (per serving cell) to allow separate CSI measurement/report for either two types of subframes, and/or two types of interference seen by a subframe
(中略)
3. Discussion on TDD eIMTA
3.1 Subframe set
For a UE configured in TDD eIMTA, a downlink subframe can be either a static DL subframe or a flexible DL subframe (e.g. signaled by dynamic L1 reconfiguration). As these two types of downlink subframes experience different interference condition, separate CSI measurement and feedback for different types of subframes seems beneficial. There are two possible solutions to this problem:
・ Alt-1: Redefine the CSI-process so that one CSI-process corresponds to one CSI-RS resource and two CSI-IM resources, where each CSI-IM resource is used to measure interference in each corresponding subframe set. In this case, Rel.10 feICIC mechanism can be reused.
・ Alt-2: Configure two CSI-processes for TDD eIMTA UEs targeting two subframe sets, where the periodicity and offset of CSI-RS/CSI-IM for each CSI-process is configured separately targeting the corresponding subframe set. In this case, Rel.11 TM10 mechanism can be reused for eIMTA.
(中略)
In Rel.11 the minimum CSI periodicity depends on the SIB1 UL/DL configuration. Configuring the CSI periodicity to at least 10ms provides support for CSI measurement in both static and flexible DL subframes. The latency impact is negligible since eIMTA is designed for low speeds.
(中略)
3.3 Periodic feedback
For periodic feedback, one PUCCH shall consist of one CSI for one subframe subset. We don’t see the need to increase the payload of existing PUCCH formats or define new PUCCH formats with higher payload.
・If one CS-process corresponds to two CSI-IM resources, the same mechanism for Rel.10 feICIC can be used where the PUCCH periodicity and offsets for two subframe subsets can be configured independently by higher-layer RRC signaling. Collision handling could reuse the existing Rel.10 feICIC mechanism, i.e. the eNB should configure the PUCCH periodicity/offset to avoid PUCCH collision between two subframe sets, and UE behavior is undefined in case of collision.
・If two CSI-processes are configured for two subframe sets, the Rel.11 TM10 mechanism can be reused where the PUCCH periodicity/offset for each CSI-process set is configured by higher layer. CSI collision handling may reuse TM10 mechanism e.g. dependent on CSI-process index. 」(1葉1?4行、2葉6?17行、2葉27?29行、3葉18?28行)

([当審仮訳]:
1.序章
TDD eIMTAのCSI測定について,次の合意に達している。
- DLでは、最大2つのサブフレームセットがUE固有に(サービングセルごとに)シグナリングされ、2種類のサブフレーム、及び/又は1つのサブフレームから見た2種類の干渉のいずれかについて、個別のCSI測定/報告を許可できる。
(中略)
3. TDD eIMTAに関する議論
3.1 サブフレームセット
TDD eIMTAで構成されたUEの場合、ダウンリンクサブフレームは、静的DLサブフレーム又はフレキシブルDLサブフレーム(たとえば、動的L1再構成によってシグナリングされる)のいずれかである。これら2つのタイプのダウンリンクサブフレームは異なる干渉状態を経験するので、異なるタイプのサブフレームの個別のCSI測定とフィードバックは有益であると思われる。この問題の解決策は2つある。
Alt-1:1つのCSIプロセスが1つのCSI-RSリソースと2つのCSI-IMリソースに対応するようにCSIプロセスを再定義する。各CSI-IMリソースは、対応する各サブフレームセットの干渉を測定するために使用される。 この場合、Rel.10 feICICメカニズムを再利用できる。
Alt-2:2つのサブフレームセットをターゲットとするTDD eIMTA UEの2つのCSIプロセスを構成する。各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセットは、対応するサブフレームセットをターゲットとして個別に構成される。この場合、Rel.11 TM10メカニズムはeIMTAに再利用できる。
(中略)
Rel.11では、CSIの最小周期はSIB1 UL/DL構成に依存する。CSI周期を少なくとも 10msに構成すると、スタティック及びフレキシブルDLサブフレームの両方でCSI測定をサポートする。eIMTAは低速用に設計されているため、レイテンシの影響は無視できる。
(中略)
3.3. 定期的なフィードバック
定期的なフィードバックの場合、1つのPUCCHは1つのサブフレームサブセットの1つのCSIで構成される。我々は既存のPUCCHフォーマットのペイロードを増やしたり、より高いペイロードの新しいPUCCHフォーマットを定義したりする必要はないと考えている。
・1つのCSプロセスが2つのCSI-IMリソースに対応する場合、Rel.10 feICICと同じメカニズムを使用して、PUCCH周期と2つのサブフレームサブセットのオフセットを上位層のRRCシグナリングで個別に構成できます。衝突処理では既存のRel.10 feICICメカニズムを再利用できます。つまり、eNBは2つのサブフレームセット間のPUCCH衝突を回避するためにPUCCH周期/オフセットを設定する必要があり、衝突の場合のUEの動作は未定義である。
・2つのCSIプロセスが2つのサブフレームセットに対して構成される場合、各CSIプロセスセットのPUCCH周期/オフセットが上位レイヤによって構成されるところで、Rel.11 TM10メカニズムを再利用することができる。CSIの衝突処理は、例えばCSIプロセスインデックスに依存して、TM10メカニズムを再利用してもよい。)

上記(ア)の記載及び当業者の技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

a 上記「3.1サブフレームセット」には、「TDD eIMTAで構成されたUEの場合、ダウンリンクサブフレームは、静的DLサブフレーム又はフレキシブルDLサブフレーム(たとえば、動的L1再構成によってシグナリングされる)のいずれかである。」との記載がある。 そうすると、引用例には「TDD eIMTAで構成されたUEは、フレキシブルDLサブフレームが動的L1再構成によってシグナリングされる」といえる。

b 上記「1.序章」には、「DLでは、最大2つのサブフレームセットがUE固有に(サービングセルごとに)シグナリングされ」との記載があり、上記「3.1 サブフレームセット」には、「2つのサブフレームセットをターゲットとするTDD eIMTA UEの2つのCSIプロセスを構成する。各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセットは、対応するサブフレームセットをターゲットとして個別に構成される。」との記載があり、上記「3.3 定期的なフィードバック」には、「2つのCSIプロセスが2つのサブフレームセットに対して構成される場合、各CSIプロセスセットのPUCCH周期/オフセットが上位レイヤによって構成されるところで、Rel.11 TM10メカニズムを再利用することができる。」との記載がある。
そうすると、引用例には「最大2つのサブフレームセットがUE固有にシグナリングされ、2つのサブフレームセットをターゲットとするTDD eIMTA UEの2つのCSIプロセスが構成され、各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセットは、対応するサブフレームセットをターゲットとして上位レイヤによって個別に構成される」ことが記載されていると認められる。

c 上記「1.序章」の「・・・個別のCSI測定/報告を許可できる。」、上記「3.3 定期的なフィードバック」の「定期的なフィードバックの場合、1つのPUCCHは1つのサブフレームサブセットの1つのCSIで構成される。我々は既存のPUCCHフォーマットのペイロードを増やしたり、より高いペイロードの新しいPUCCHフォーマットを定義したりする必要はないと考えている。」との記載によれば、定期的なCSI測定/報告が行われることは自明である。
また、上記「3.3 定期的なフィードバック」の「CSIの衝突処理は、例えばCSIプロセスインデックスに依存して、TM10メカニズムを再利用してもよい。」との記載によれば、CSIの衝突処理を行っていることは明らかである。
そうすると、引用例には「CSIの衝突処理を行い、定期的なCSI測定/報告を行う、」ことが記載されていると認められる。

d 引用例はタイトルにもあるように「LTE TDD eIMTAのCSI測定に関する見解」が記載されたものであり、上記「a」?「c」にて認定した事項は「LTE TDD eIMTAのCSI測定に関する方法」が記載されているといえる。

以上を総合すると,引用例には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 LTE TDD eIMTAのCSI測定に関する方法であって、
TDD eIMTAで構成されたUEは、フレキシブルDLサブフレームが動的L1再構成によってシグナリングされ、
最大2つのサブフレームセットがUE固有にシグナリングされ、2つのサブフレームセットをターゲットとするTDD eIMTA UEの2つのCSIプロセスが構成され、各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセットは、対応するサブフレームセットをターゲットとして上位レイヤによって個別に構成され、
CSIの衝突処理を行い、定期的なCSI測定/報告を行う、
方法。」

[周知技術1]

原査定において周知技術を示す文献として例示された、”3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA);Physical layer procedures (Release 12)”,3GPP TS 36.213 V12.0.0,2013年12月15日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.213/36.213-c00.zip>(以下,「周知例1」という。)には,以下の事項が記載されている。

(イ)「7.2.2 Periodic CSI Reporting using PUCCH
(中略)
In case of collision of a CSI report with PUCCH reporting type 3, 5, or 6 of one serving cell with a CSI report with PUCCH reporting type 1, 1a, 2, 2a, 2b, 2c, or 4 of the same serving cell the latter CSI report with PUCCH reporting type (1, 1a, 2, 2a, 2b, 2c, or 4) has lower priority and is dropped.
(中略)
If the UE is configured with more than one serving cell, the UE transmits a CSI report of only one serving cell in any given subframe. For a given subframe, in case of collision of a CSI report with PUCCH reporting type 3, 5, 6, or 2a of one serving cell with a CSI report with PUCCH reporting type 1, 1a, 2, 2b, 2c, or 4 of another serving cell, the latter CSI with PUCCH reporting type (1, 1a, 2, 2b, 2c, or 4) has lower priority and is dropped. For a given subframe, in case of collision of CSI report with PUCCH reporting type 2, 2b, 2c, or 4 of one serving cell with CSI report with PUCCH reporting type 1 or 1a of another serving cell, the latter CSI report with PUCCH reporting type 1, or 1a has lower priority and is dropped.
For a given subframe and serving cells with UE configured in transmission mode 1-9, in case of collision between CSI reports of these different serving cells with PUCCH reporting type of the same priority, the CSI reports for all these serving cells except the serving cell with lowest ServCellIndex are dropped.
(中略)
For a given subframe, in case of collision between CSI report of a given serving cell with UE configured in transmission mode 1-9, and CSI report corresponding to CSI process with csi-ProcessId-r11 = 1 of a different serving cell with the UE configured in transmission mode 10, and the CSI reports of the serving cells with PUCCH reporting type of the same priority, the CSI report of the serving cell with highest ServCellIndex is dropped.」(65ページ、67ページ?68ページ)

([当審仮訳]:
7.2.2 PUCCHを用いた定期的なCSI報告
(中略)
1つのサービングセルのPUCCH報告タイプ3、5、又は6のCSI報告と、同じサービングセルのPUCCH報告タイプ1、1a、2、2a、2b、2c、または4のCSI報告が衝突した場合、後者のPUCCH報告タイプ(1、1a、2、2a、2b、2c、または4)のCSI報告の方が優先度が低く、ドロップされる。
(中略)
UEに複数のサービングセルが構成されている場合、UEは、任意のサブフレームで1つのサービングセルのみのCSI報告を送信する。所与のサブフレームについて、1つのサービングセルのPUCCH報告タイプ3、5、6、または2aを持つCSI報告と、別のサービングセルのPUCCH報告タイプ1、1a、2、2b、2c、または4を持つCSI報告が衝突した場合には、PUCCH報告タイプ(1、1a、2、2b、2c、または4)を持つ後者のCSIは優先度が低く、ドロップされる。所与のサブフレームについて、PUCCH報告タイプ2、2b、2c、または4のCSI報告が別のサービングセルのPUCCH報告タイプ1または1aのCSI報告と衝突した場合、後者のCSI報告はPUCCH報告 タイプ1または1aは優先順位が低く、ドロップされる。
所与のサブフレームと送信モード1?9のUEが設定されているサービングセルについて、同じ優先度のPUCCH報告タイプを持つこれらの異なるサービングセルのCSI報告が衝突した場合、最も低いServCellIndexを持つサービングセルを除くすべてのサービングセルのCSI報告がドロップされる。
(中略)
所与のサブフレームについて、送信モード1-9で構成されたUEを備える所定のサービングセルのCSI報告と、送信モード10で構成されたUEを備える異なるサービングセルのcsi-ProcessId-r11=1のCSIプロセスに対応するCSI報告が衝突した場合、同じ優先度のPUCCH報告タイプを持つサービングセルのCSI報告では、ServCellIndexが最も高いサービングセルのCSI報告がドロップされる。)

同じく原査定において周知技術を示す文献として例示された、国際公開第2013/070870号(以下,「周知例2」という。)には,以下の事項が記載されている。

(ウ)「[0082] In some aspects, CSI reports for two or more downlink CCs collide for an uplink subframe due to carrier aggregation, only one CC is reported by the UE 120 while reports for all of the other CCs are dropped. In such aspects, periodic CSI including information such as CQI, PMI, and/or RI, may be limited to only one downlink CC in one uplink subframe. If a collision of CSI reports does occur due to carrier aggregation, the downlink CC for which the CSI report will be transmitted is determined according to a priority scheme. The priority scheme for CSI report collisions due to carrier aggregation prioritizes between CCs based on reporting modes or types of the CSI reports.」

([当審仮訳]:
いくつかの態様では、キャリア集約により、2つ以上のダウンリンクCCのCSI報告がアップリンクサブフレームに衝突し、他のすべてのCCの報告がドロップされている間、1つのCCのみがUE120によって報告される。そのような態様では、CQI、PMI、および/またはRIなどの情報を含む定期的なCSIは、1つのアップリンクサブフレーム内の1つのダウンリンクCCのみに制限され得る。CSI報告の衝突がキャリアアグリゲーションのために発生した場合、CSI報告が送信されるための下りCCは、優先スキームに従って決定される。キャリアアグリゲーションによるCSI報告の衝突の優先度スキームは、報告モードまたはCSI報告のタイプに基づいてCC間で優先順位を付ける。)

同じく原査定において周知技術を示す文献として例示された、国際公開第2014/002943号(以下,「周知例3」という。)には,以下の事項が記載されている。

(エ)「[0038]つまり、各CCに対応するチャネル状態情報を、所定CCのPUCCHを介してフィ一ドバックする際、複数のチャネル状態情報が衝突するおそれがある。このため、CA適用時においては、図4に示すPUCCH報告タイプ(PUCCHReportType)と、セルインデックス(cellindex)に対してそれぞれ優先度を設定し、当該優先度に基づいてフィードバックするCSIを選択することが検討されている。
[0039]例えば、チャネル報告タイプの優先度の設定としては、RIの優先度をPMIやCQIより高く設定し、ワイドバンドCQIの優先度をサブバンドCSIより高く設定する。そして、複数種類のチャネル状態情報の中で優先度が低いチャネル状態情報のフィ一ドバックを行わない(優先度が低いチャネル状態情報をドロップ(drop)する)。」

上記(イ)?(エ)の記載によれば、CSI報告が衝突した場合、CSI報告の一部がドロップされることが記載されているから、ドロップされなかったCSIは報告されるCSIとして選択されたCSIといえる。そうすると、「CSI報告の衝突を検出した場合に、各種優先度に基づいて選択されたCSIをアップリンクサブフレーム中で報告する。」ことは周知技術(以下、「周知技術1」という。)であると認める。

[周知技術2]

本願の最先の優先日前に利用可能となった、Nokia Siemens Networks, Nolia,”On CSI measurements for eIMTA”([当審仮訳]:eIMTAのCSI測定について),3GPP TSG-RAN WG1#73 R1-132296,2013年5月11日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_73/Docs/R1-132296.zip>(以下,「周知例4」という。)には,以下の事項が記載されている。

(エ)「2 Discussion
(中略)
Another point to consider involves the reference signals to be used for CSI measurement (both channel and interference). While it may be sufficient to estimate the channel always based on non-zero power CSI-RS in a fixed DL subframe, the UE would additionally need to be able to obtain an interference estimate for the flexible DL subframes. As discussed in [2], this may motivate some further changes to CSI-IM definition, as currently CSI-IMs can only be configured with a minimum periodicity of 5 ms.
(後略)」(1葉)

([当審仮訳]:
2 討論
(中略)
考慮すべきもう1つのポイントは、CSI測定(チャネルと干渉の両方)に使用される基準信号である。固定DLサブフレームの非ゼロ電力CSI-RSに常に基づいてチャネルを推定するだけで十分な場合があるが、UEはさらに、フレキシブルDLサブフレームの干渉推定を取得できる必要がある。[2]で討論したように、現在CSI-IMは5 msの最小周期でのみ設定できるため、これによりCSI-IM定義にいくつかの変更が加えられる可能性がある。)

本願の最先の優先日前に利用可能となった、Ericsson,ST-Ericsson,”On CSI measurements for Dynamic TDD”([当審仮訳]:動的TDDのCSI測定について),3GPP TSG-RAN WG1#73 R1-132027,2013年5月11日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_73/Docs/R1-132027.zip>(以下,「周知例5」という。)には,以下の事項が記載されている。

(オ)「2.2 Restrictions of CSI-IM configuration
(中略)
For the interference part, it is natural to configure two CSI-IM resources in the two types of subframes so that different interference levels can be measured. However, according to the conclusion from CoMP discussion, there is one restriction of CSI-IM resource configuration that a UE is not expected to receive CSI-IM resource configuration(s) that are not all completely overlapping with one zero-power CSI-RS resource configuration which can be configured for the UE. In another word, all CSI-IM resources for the UE must be configured in a way such that they fall on a k*5 ms time grid, where k is an integer and the smallest value of k is 1. As a result, it is not possible to configure two CSI-IM resources to capture the different interference levels since the interval between the two types of subframes is not an integer mutliple of 5ms. Therefore it is natual to remove such CSI-IM configuration restrictions so that the interference differences in dynamic TDD can be capatured. It should be further noted that this kind of restriction is artificial even in CoMP since the eNB could always configured CSI-IM resources in such a way [3].
(後略)」(1葉?2葉)

([当審仮訳]:
2.2 CSI-IM構成の制限
(中略)
干渉部分については、異なる干渉レベルを測定できるように、2つのタイプのサブフレームに2つのCSI-IMリソースを構成するのが自然である。ただし、CoMPの議論の結論によれば、UEに設定可能なゼロパワーのCSI-RSリソース構成と完全に重複しないCSI-IMリソース構成をUEが受信することは期待できないという制限がある。別の言い方をすれば、UEのためのすべてのCSI-IMリソースは、k*5ms、ここで、kは整数であり、kの最小値が1である、の時間グリッド上に収まるように構成されなければならない。その結果、2種類のサブフレーム間の間隔が5msの整数倍ではないので、異なる干渉レベルを捕捉するために2つのCSI-IMリソースを構成することは不可能である。したがって、動的TDDにおける干渉の違いを捕捉できるように、このようなCSI-IM構成の制限を取り除くのが自然である。eNBは常にこのような方法でCSI-IMリソースを構成することができるので、CoMPにおいてもこのような制限は人為的なものであることに注意すべきである[3]。)

本願の最先の優先日前に利用可能となった、Intel Corporation,”Discussion on CSI Enhancements for eIMTA Support”([当審仮訳]:eIMTA支援のためのCSI強化についての議論),3GPP TSG-RAN WG1#73 R1-135099,2013年11月2日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_75/Docs/R1-135099.zip>(以下,「周知例6」という。)には,以下の事項が記載されている。

(カ)「2 Signaling of Subframe Measurement Sets
At the RAN1#74bis meeting, it was agreed that up to two subframe sets can be UE-specifically signaled (per serving cell) to allow separate CSI measurement/report. The mechanism of resource-restricted CSI measurements is already supported in LTE specification.
(中略)
3 CSI Measurements
For CSI information reporting, the both channel and interference measurements are needed [2]. In DL, the channel measurements can be done on static DL subframes, while the interference measurements may need to be conducted on both DL static and flexible subframes.
(中略)
From practical consideration, support of interference measurements for eIMTA using single CSI process is always preferable. However with single CSI process, only one CSI-IM configuration can be supported by the UE. In this case it might be not possible to have CSI-IM resource transmissions residing on different types of downlink subframes (flexible and static). This is due to CSI-IM periodicity of multiple of 5ms. One solution proposed in [3] is to introduce a new CSI-IM subframe configuration with periodicity of 1ms and using subframe sets for independent interference measurements. In that case, the UE with single CSI process is able to report two CSI corresponding to the two CSI subframe sets. However this approach may have larger overhead due to muting of PDSCH transmission from the serving cell on every downlink subframe.
Another alternative is to extend CSI-IM configuration to have one more parameter subframeConfig2. Similar to the proposal in [3] the independent interference measurements for flexible and regular subframes can be achieved by using subframe sets. However the relative overhead due to muted PDSCH from the serving cell will be smaller. Figure 1 illustrates the proposed extension to CSI-IM configuration.



」(1/5ページ?2/5ページ)

([当審仮訳]:
2 サブフレーム測定セットのシグナリング
RAN1#74bisミーティングでは、最大2つのサブフレームセットをUE固有に(サービングセルごとに)シグナリングして、個別のCSI測定/報告を許可できることが合意された。リソースが制限されたCSI測定のメカニズムは、LTE仕様ですでにサポートされている。
(中略)
3 CSI測定
CSI情報の報告には、チャネル測定と干渉測定の両方が必要である[2]。DLでは、静的DLサブフレームでチャネル測定を行うことができるが、干渉測定はDL静的サブフレームとフレキシブルサブフレームの両方で行う必要がある場合がある。
(中略)
実際的な考慮から、単一のCSIプロセスを使用したeIMTAの干渉測定のサポートが常に望ましい。ただし、単一のCSIプロセスでは、UEがサポートできるのは1つのCSI-IM構成のみである。この場合、異なるタイプのダウンリンクサブフレーム(フレキシブルと静的)にCSI-IMリソース送信を配置することができない場合がある。これは5msの倍数のCSI-IM周期によるものである。[3]で提案されている1つの解決策は、1msの周期で新しいCSI-IMサブフレーム構成を導入し、独立した干渉測定にサブフレームセットを使用することである。その場合、単一のCSIプロセスを持つUEは、2つのCSIサブフレームセットに対応する2つのCSIを報告できる。ただし、このアプローチでは、すべてのダウンリンクサブフレームでサービングセルからのPDSCH送信がミュートされるため、オーバーヘッドが大きくなる可能性がある。
もう1つの方法は、CSI-IM構成を拡張して、1つ以上のパラメーターsubframeConfig2を持つことである。[3]の提案と同様に、サブフレームセットを使用することにより、フレキシブルで通常のサブフレームの独立した干渉測定を実現できる。ただし、サービングセルからのPDSCHのミュートによる相対的なオーバーヘッドは小さくなる。図1は、CSI-IM構成に提案された拡張を示している。
(図1省略) )

上記(エ)及び(カ)並びに図1の記載並びに当業者の技術常識を考慮すると,「従来はCSI-IMによる干渉測定は、5msの周期という制限を有し、2つのCSI-IMリソースを構成することは不可能であったが、当該制限を取り除くために、最大2つのサブフレームセットで干渉測定を行うために、新しいCSI-IMサブフレームの導入や、CSI-IM構成を拡張する。」ことは,周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。

ウ 対比・判断

補正後の発明と引用発明とを対比すると,以下のことがいえる。

(ア)CSI測定はUEが無線通信を行うために実施するものであることが技術常識であるから、引用発明の「LTE TDD eIMTAのCSI測定」は、ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための処理動作を含むことは自明である。
したがって、引用発明の「LTE TDD eIMTAのCSI測定に関する方法」は、補正後の発明と同様に「ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための方法」といえる。

(イ)eIMTAは、トラフィックニーズに基づいてSIB1で構成された基地局と通信するためのUL/DLサブフレーム構成をシグナリングにより動的に変更可能とするものであることが技術常識であることに鑑みれば、引用発明の「TDD eIMTAで構成されたUEは、フレキシブルDLサブフレームが動的L1再構成によってシグナリングされ、」は、その前提としてSIB1によるUL/DLサブフレーム構成を受信することを当然に含むものであり、補正後の発明の「基地局(BS)と通信するための第1のアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)サブフレーム構成のシグナリングを受信すること」に含まれる。

(ウ)引用発明の「最大2つのサブフレームセットがUE固有にシグナリングされ、2つのサブフレームセットをターゲットとするTDD eIMTA UEの2つのCSIプロセスが構成され」は、明らかに補正後の発明の「少なくとも2つのサブフレームセットを示す少なくとも1つのチャネル状態情報(CSI)報告構成のシグナリングを受信すること」に相当する。
そして、引用発明は「各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセットは、対応するサブフレームセットをターゲットとして上位レイヤによって個別に構成される」ものであるから、各サブフレームセットが干渉測定リソース(IMR)構成に関連していることは明らかである。
そうすると、補正後の発明の「少なくとも2つのサブフレームセットを示す少なくとも1つのチャネル状態情報(CSI)報告構成のシグナリングを受信することと、ここで、各サブフレームセットが干渉測定リソース(IMR)構成に関連し、ここにおいて、少なくとも2つのIMRに対応する干渉測定リソースは、前記少なくとも2つのIMRが、周期的に発生するサブフレームに限定されるという制約を受けない、」ことと、引用発明の「2つのサブフレームセットがUE固有にシグナリングされ、2つのサブフレームセットをターゲットとするTDD eIMTA UEの2つのCSIプロセスが構成され、各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセットは、対応するサブフレームセットをターゲットとして個別に構成される」こととは、「少なくとも2つのサブフレームセットを示す少なくとも1つのチャネル状態情報(CSI)報告構成のシグナリングを受信することと、ここで、各サブフレームセットが干渉測定リソース(IMR)構成に関連し、」の点で共通する。

(エ)補正後の発明の「アップリンクサブフレーム中の前記少なくとも2つのサブフレームセットについてのCSI報告の衝突を検出することと、前記アップリンクサブフレーム中でのCSI報告のために前記少なくとも2つのサブフレームセットからの1つのサブフレームセットに優先度を付けることと、前記優先度付けに基づいて前記アップリンクサブフレーム中でCSIを報告すること」は、CSI報告の衝突を検出し、CSI衝突の検出に基づく処理を行って、アップリンクサブフレーム中でCSIを報告するものである。
一方、引用発明は、「CSIの衝突処理を行い、定期的なCSI測定/報告を行う、」ものであり、「CSIの衝突処理」にはアップリンクサブフレーム中の2つのサブフレームセットについてのCSI報告の衝突も含まれるところ、衝突処理の前提として衝突を検出していることは当然であり、CSI衝突の検出に基づく処理を行うことと、定期的なCSI測定/報告を行うことを備えるといえる。
そうすると、補正後の発明の「アップリンクサブフレーム中の前記少なくとも2つのサブフレームセットについてのCSI報告の衝突を検出することと、前記アップリンクサブフレーム中でのCSI報告のために前記少なくとも2つのサブフレームセットからの1つのサブフレームセットに優先度を付けることと、前記優先度付けに基づいて前記アップリンクサブフレーム中でCSIを報告すること」と、引用発明の「CSIの衝突処理を行い、定期的なCSI測定/報告を行う、」とは、「アップリンクサブフレーム中の前記少なくとも2つのサブフレームセットについてのCSI報告の衝突を検出することと、CSI衝突の検出に基づく処理を行うことと、前記アップリンクサブフレーム中でCSIを報告すること」の点で共通する。

以上を総合すると,補正後の発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。

(一致点)
「 ユーザ機器(UE)によるワイヤレス通信のための方法であって、
基地局(BS)と通信するための第1のアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)サブフレーム構成のシグナリングを受信することと、
少なくとも2つのサブフレームセットを示す少なくとも1つのチャネル状態情報(CSI)報告構成のシグナリングを受信することと、ここで、各サブフレームセットが干渉測定リソース(IMR)構成に関連し、
アップリンクサブフレーム中の前記少なくとも2つのサブフレームセットについてのCSI報告の衝突を検出することと、
CSI衝突の検出に基づく処理を行うことと、
前記アップリンクサブフレーム中でCSIを報告することと
を備える、方法。」

(相違点1)
「干渉測定リソース(IMR)構成」に関し、補正後の発明は「ここにおいて、少なくとも2つのIMRが、周期的に発生するサブフレームに限定されるという制約を受けない」との発明特定事項を有するのに対し、引用発明は「各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセットは、対応するサブフレームセットをターゲットとして上位レイヤによって個別に構成され」にとどまり、当該事項が明示されていない点。

(相違点2)
「CSI衝突の検出に基づく処理を行う」ことに関し、補正後の発明は「少なくとも2つのサブフレームセットから1つのサブフレームセットに優先度を付け」、「優先度付けに基づいてアップリンクサブフレーム中でCSIを報告する」のに対し、引用発明は、「CSIの衝突処理を行い、定期的なCSI測定/報告を行う、」にとどまり、当該事項が明示されていない点。

以下,上記各相違点について検討する。

(相違点1について)
周知技術2のとおり、「従来はCSI-IMによる干渉測定は、5msの周期という制限を有し、2つのCSI-IMリソースを構成することは不可能であったが、当該制限を取り除き、最大2つのサブフレームセットで干渉測定を行うために、新しいCSI-IMサブフレームの導入や、CSI-IM構成を拡張する。」ことは周知技術である。
してみると、引用発明の「2つのサブフレームセットをターゲットとするTDD eIMTA UEの2つのCSIプロセス」は最大2つのサブフレームセットで干渉測定を行うものであるから、そのための「各CSIプロセスのCSI-RS/CSI-IMの周期とオフセット」は、従来の5msの周期という制限が取り除かれたものであると解するのが相当である。
また、仮にそうではないとしても、「少なくとも2つのIMRに対応する干渉測定リソースは、少なくとも2つのIMRが、周期的に発生するサブフレームに限定されるという制約を受けない」ものとすることは、当該周知技術に基づいて当業者が容易になし得る事項である。

(相違点2について)
補正後の発明の「前記アップリンクサブフレーム中でのCSI報告のために前記少なくとも2つのサブフレームセットからの1つのサブフレームセットに優先度を付けること」は、報告するCSIに優先度を付けることに他ならない。そして、周知技術1のとおり、「CSI報告の衝突を検出した場合に、各種優先度に基づいて選択されたCSIをアップリンクサブフレーム中で報告する。」ことは周知技術であるから、引用発明の「CSIの衝突処理を行い、定期的なCSI測定/報告を行う」を、「2つのサブフレームセットから1つのサブフレームセットに優先度を付け」、「優先度付けに基づいてアップリンクサブフレーム中でCSIを報告する」ようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

そして,補正後の発明の作用効果も,引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が予測できる範囲のものにすぎず,格別顕著なものとはいえない。

したがって,補正後の発明は,引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

3 結語

したがって,本件補正は,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和 1年10月 4日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成29年12月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明は,上記「第2 令和 1年10月 4日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「1 本願発明と補正後の発明(補正の概要)」の項の「本願発明」のとおりのものと認める。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶理由は,

1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

というものであり,請求項1に対して以下の1(引用例1)が引用され、周知技術を示す文献として以下の2-4(周知例1,2,3)が例示されている。

1.Texas Instruments,”Views on CSI measurement for LTE TDD eIMTA”([当審仮訳]:LTE TDD eIMTAのCSI測定に関する見解),3GPP TSG-RAN WG1#75 R1-135245,2013年11月 2日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_75/Docs/R1-135245.zip>
2.”3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA);Physical layer procedures (Release 12)”,3GPP TS 36.213 V12.0.0,2013年12月15日(アップロード),インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.213/36.213-c00.zip>
3.国際公開第2013/070870号
4.国際公開第2014/002943号

3 引用発明等

引用発明及び周知技術1,2は,上記「第2 令和 1年10月 4日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ 引用発明等」の項で認定したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は,補正後の発明から当該補正に係る限定事項を省いたものである。そうすると、本願発明と引用発明との相違点は、上記相違点2のみとなるところ、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正後の発明が、上記「第2 令和 1年10月 4日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件について」の「ウ 対比・判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術1、2に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-06-18 
結審通知日 2020-06-23 
審決日 2020-07-15 
出願番号 特願2016-562056(P2016-562056)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04W)
P 1 8・ 537- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
P 1 8・ 161- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮田 繁仁新井 寛  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 廣川 浩
本郷 彰
発明の名称 複数のサブフレームセットのCSIフィードバック  
代理人 岡田 貴志  
代理人 井関 守三  
代理人 蔵田 昌俊  

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