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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1369709
審判番号 不服2020-3164  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-06 
確定日 2021-01-20 
事件の表示 特願2019-45926「液体含浸布状体収納袋」拒絶査定不服審判事件〔令和2年9月17日出願公開、特開2020-147318、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
この出願(以下「本願」という。)は、平成31年3月13日の出願であって、その主な手続は以下のとおりである。

令和元年8月15日付け
拒絶理由通知
同年10月2日
意見書及び手続補正書の提出
同年12月9日付け
拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和2年3月6日
拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提出
同年9月1日付け
拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由」という。)
同年10月28日
意見書の提出


第2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、令和2年3月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された以下の事項により特定されるものである。
なお、請求項1?2に係る発明を、以下「本願発明1」等という。

「【請求項1】
平面視矩形状の袋本体(1)の上壁部(11)は、前後中央位置において、左側縁部(1c)から右側縁部(1d)に渡って、開口部(10)が形成され、該開口部(10)から液体含浸布状体(M)を取り出して使用する液体含浸布状体収納袋に於て、
上記開口部(10)は、上記上壁部(11)を袋外方側(Ke)へ鉛直面状起立姿勢として突設した一対の帯状突片部(61)(71)にて、形成され、
上記上壁部(11)は、袋本体(1)の前端縁部(1a)から開口基準線(S)近傍までの第1平面状部(60)と、袋本体(1)の後端縁部(1b)から開口基準線(S)近傍までの第2平面状部(70)とを、有し、
さらに、一対の上記帯状突片部(61)(71)の対向面には、ファスナ部(5)が配設され、
上記ファスナ部(5)は、相互に係合分離自在な一対のチャックテープ(51)(52)から成り、
一方の上記帯状突片部(61)に対して、一方の上記チャックテープ(51)の基板部(53)は、袋外方縁部(53e)及び袋内方縁部(53f)が固着され、
他方の上記帯状突片部(71)に対して、他方の上記チャックテープ(52)の基板部(54)は、袋外方縁部(54e)のみが固着され、
上記袋本体(1)が、外部からの押圧力を受けると、内圧(P)が発生し、上記チャックテープ(51)(52)を前後外方へ引っ張る張力(T)が発生して、上記ファスナ部(5)が水平状の傾倒姿勢となって該ファスナ部(5)が閉鎖状態を保つように構成されていることを特徴とする液体含浸布状体収納袋。
【請求項2】
上記ファスナ部(5)よりも袋外方側(Ke)に一対の上記帯状突片部(61)(71)を密封する未開封確認用シール部(81)を設けた請求項1記載の液体含浸布状体収納袋。」


第3.原査定の理由及び当審拒絶理由の概要
1.原査定の理由の概要は次のとおりである。
本願発明1及び2は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特表昭60-500494号公報
2.特開2000-219251号公報

2.当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願発明1及び2は、以下の引用文献1に記載された発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特表昭60-500494号公報
2.特開2000-219251号公報
3.国際公開第2015/005214号

なお、当審拒絶理由の引用文献1及び2は、原査定の引用文献1及び2と同一の文献である。

第4.当審の判断
1.引用文献の記載事項
本願出願前に頒布された刊行物である引用文献1(特表昭60-500494号公報)には、以下の記載がある。
なお、下線部は、当審が付した。
(1)「好適実施例の説明
第1図には、中に収容されている折り畳みタオルの積み重ね(図示せず)を小出しするための密封容器3の外包み9が示されている。好ましくは、外包み9は、2つの実質的に平行な、長方形又は正方形の上面及び底面と、2つの実質的に平行な、長方形又は正方形の側壁とを有するように詰められている。外包みの上面は、好ましくは、中心が外包みの上面の1つの軸線上に位置する開口(密封されてフランジ18になるものとして示す)を有している。図示のように、外包みの上面及び底面は、これらの狭い平行な縁部において互に密封されて外包みの圧着端壁15を形成する。・・・
第2図は、第1図の2-2線における密封容器3の断面図であつて、・・・第2図は、外包み9用の好適な閉鎖手段を示し、これにより図示のように、夫々雄部材及び雌部材である2つの組み合う閉鎖部材7、8を、係合させて、外包み上面の開口を密封する。・・・第3図に示すように、この方法で、即ち圧着により相互に係合して閉鎖されたとき、外包みの隣接面は引き寄せられてフランジ18になり、フランジ18は、第2図に示すように、外包みの上面に垂直に向けられるが、第3図に示すように、外包みの上面に実質的に平行であるように折り畳むこともでき、かくして外包みの内容物をさらに密封する。
・・・
本発明の好適な実施例によれば、タオルの積み重ねに、保湿剤又はクレンジング剤の水中油滴乳剤をしみ込ませる。」(3ページ左上欄21行?右下欄23行)

(2)「



(3)「



(4)「



(5)「



(6)上記(2)及び(3)に図示された外包み9の開口は、圧着端壁15が形成された一方の縁部から他方の縁部に亘って形成されていることが確認できる。また、外包み9の上面は、開口を挟んで両側に平面部を備えており、開口は、上面の略中央の軸線上に位置していることが確認できる。

上記(1)?(6)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「長方形又は正方形の上面及び底面を有する外包み9は、中心が外包みの上面の略中央の軸線上に位置する開口を有し、開口は、上面の略中央であって、圧着端壁15が形成された一方の縁部から他方の縁部に亘って形成されており、開口から保湿剤又はクレンジング剤の水中油滴乳剤をしみこませた折り畳みタオルを小出しして使用する密封容器3において、
開口は、外包み9の上面のフランジ18にて、垂直に向けられて形成され、
外包み9の上面は、開口を挟んで両側に平面部を備えており、
フランジ18には閉鎖手段として、互いに係合して開口を密封する閉鎖部材7、8が設けられている、密封容器3。」

2.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1を対比すると、引用発明1の「外包み9」は、本願発明1の「袋本体(1)」に相当し、以下同様に、「上面」は「上壁部(11)」に、「開口」は「開口部(10)」に、「フランジ18」は「一対の帯状突片部(61)(71)」に、「閉鎖手段」は「ファスナ部(5)」に、「閉鎖部材7、8」は「チャックテープ(51)(52)」に、それぞれ相当する。

引用発明1の「開口から保湿剤又はクレンジング剤の水中油滴乳剤をしみこませた折り畳みタオルを小出しして使用する密封容器3」は、本願発明1の「該開口部(10)から液体含浸布状体(M)を取り出して使用する液体含浸布状体収納袋」に相当する。

引用発明1の「外包み9」が「長方形又は正方形の上面及び底面を有する」ことは、本願発明1の「平面視矩形状の袋本体(1)」に相当する。

引用発明1の「開口」が、「中心が外包みの上面の略中央の軸線上に位置する」ものであって、「圧着端壁15が形成された一方の縁部から他方の縁部に亘って形成されて」いることは、本願発明1の「前後中央位置において、左側縁部(1c)から右側縁部(1d)に渡って、開口部(10)が形成され」ていることに相当する。

引用発明1の「閉鎖部材7、8」が「互いに係合して開口を密封する」ものであることは、本願発明1の「相互に係合分離自在な一対のチャックテープ(51)(52)」に相当する。

引用発明1の「開口」が「外包み9の上面のフランジ18にて、垂直に向けられて形成され」ていることは、本願発明1の「上記開口部(10)は、上記上壁部(11)を袋外方側(Ke)へ鉛直面状起立姿勢として突設した」ことに相当する。

本願発明1の「開口基準線(S)」については、段落【0012】、【図1】?【図3】の記載も参酌すると、「一対の帯状突片部61、71の鉛直面状起立姿勢において、開口部10の前後方向中心線」を意味するものである。
そうすると、引用文献1のFig.1及びFig.4によれば、引用発明1の開口は、本願発明1と同様に、フランジ18が垂直に向けられた状態において、開口の前後方向中心線、すなわち開口基準線(S)といえる線を有していることが理解できる。
そして、引用発明1の外包み9の上面に開口を挟んで両側に配置されている平面部は、外包み9の前端縁部から開口基準線近傍までの平面と、外包み9の後端縁部から開口基準線近傍までの平面であることが理解できる。
したがって、引用発明1の「外包み9の上面は、開口を挟んで両側に平面部を備えて」いることは、本願発明1の「上記上壁部(11)は、袋本体(1)の前端縁部(1a)から開口基準線(S)近傍までの第1平面状部(60)と、袋本体(1)の後端縁部(1b)から開口基準線(S)近傍までの第2平面状部(70)とを、有し」ていることに相当する。

よって、本願発明1と引用発明1は、以下の点で一致する。
<一致点>
「平面視矩形状の袋本体の上壁部は、前後中央位置において、左側縁部から右側縁部に渡って、開口部が形成され、該開口部から液体含浸布状体を取り出して使用する液体含浸布状体収納袋に於て、
上記開口部は、上記上壁部を袋外方側へ鉛直面状起立姿勢として突設した一対の帯状突片部にて、形成され、
上記上壁部は、袋本体の前端縁部から開口基準線近傍までの第1平面状部と、袋本体の後端縁部から開口基準線近傍までの第2平面状部とを、有し、
さらに、一対の上記帯状突片部の対向面には、ファスナ部が配設され、
上記ファスナ部は、相互に係合分離自在な一対のチャックテープから成る、液体含浸布状体収納袋。」

そして、本願発明1と引用発明1は、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明1は、「一方の上記帯状突片部(61)に対して、一方の上記チャックテープ(51)の基板部(53)は、袋外方縁部(53e)及び袋内方縁部(53f)が固着され、他方の上記帯状突片部(71)に対して、他方の上記チャックテープ(52)の基板部(54)は、袋外方縁部(54e)のみが固着され、上記袋本体(1)が、外部からの押圧力を受けると、内圧(P)が発生し、上記チャックテープ(51)(52)を前後外方へ引っ張る張力(T)が発生して、上記ファスナ部(5)が水平状の傾倒姿勢となって該ファスナ部(5)が閉鎖状態を保つように構成されている」のに対して、引用発明1は、閉鎖部材7、8の固着がそのように特定されていない点。

(2)相違点1についての検討
袋の開口部に設けられる密閉用のチャックテープにおいて、一方のチャックテープの基板は袋外方縁部及び袋内方縁部の両方を含む全体を固着し、他方のチャックテープの基板は袋外方縁部の一部分のみを固着することで、袋が外部からの押圧力を受けた際に発生する内圧に対して、ファスナ部が閉鎖状態を保つように構成することは、例えば引用文献2(特に段落【0005】、【0008】、【図1】を参照。)、引用文献3(特に段落[0018]、[図1]を参照。)にあるように従来周知の技術である。
しかしながら、引用文献2の構造は、「袋内に内圧がかかると、この内圧は下部がフリーとなっているジッパーテープの裏側(袋本体の内面とジッパーテープとの間)に入り、フリーとなっているジッパーテープの下側を反対方向にめくり上げて、噛合部を被うように作用する」(段落【0008】)ものであって、ジッパーテープが水平状の傾倒姿勢となって閉鎖状態を保つものではないし、引用文献3の構造は、平面視矩形状の袋本体の上壁部に開口部が形成されたものではなく、【図1】から開口部が水平状の傾倒姿勢となっている様子が看取されるものの、鉛直面状起立姿勢の開口部が内圧によって傾倒姿勢となったものであるか否かは明らかでない。
すなわち、引用文献2及び3の構造は、平面視矩形状の袋本体の上壁部に開口部が形成されたものにおいて、鉛直面状起立姿勢の開口部が内圧によって傾倒姿勢となることを示すものではない。
仮に、引用文献3の構造が内圧によって傾倒姿勢となったものであるとしても、引用文献2にあるように、内圧が作用しても傾倒姿勢とならないものがあるから、一方のチャックテープの基板は袋外方縁部及び袋内方縁部の両方を含む全体を固着し、他方のチャックテープの基板は袋外方縁部の一部分のみを固着する構造によって、直ちに、鉛直面状起立姿勢の開口部が内圧によって傾倒姿勢となることが明らかであるとまでいうことはできない。
また、平面視矩形状の袋本体の上壁部に開口部が形成されたものにおいて、鉛直面状起立姿勢の開口部が内圧によって傾倒姿勢となることを示す証拠は、他にない。

そして、本願発明1は、「積層状に収納された複数枚の液体が含浸した布状体Mを、容易かつスムーズに1枚ずつ取出すことができる。袋本体1を、テーブルや机等の平坦載置面に、置いた状態で容易に取出すことができる。」(段落【0035】)、「外部からの押圧力により発生した内圧Pと張力Tを利用して、ファスナ部5を水平状の傾倒姿勢とし、その水平状傾倒姿勢で、ファスナ部5が、張力Tを受けるようにし、さらに、その張力Tを巧みに利用してファスナ部5の係合力を増加させて開口を防止できる。」(段落【0036】)という格別の効果を奏するものである。

よって、引用発明1において、<相違点1>に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものであるということができない。

3.本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本願発明1と同様の理由により、本願発明2は、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、又は引用発明1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。

4.小括
以上のとおりであるから、本願発明1及び2は、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、又は引用発明1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、原査定の理由及び当審拒絶理由を維持することはできない。


第5.むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-01-05 
出願番号 特願2019-45926(P2019-45926)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 種子島 貴裕村山 美保  
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 藤井 眞吾
横溝 顕範
発明の名称 液体含浸布状体収納袋  
代理人 中谷 武嗣  
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