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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1369754
審判番号 不服2019-10865  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-16 
確定日 2021-01-04 
事件の表示 特願2017-135247「振動式センサ用に駆動信号を生成する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 9日出願公開,特開2017-201325〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2014年(平成26年)4月18日(パリ条約による優先権主張 2013年4月23日 米国)を国際出願日とする特願2016-510709号(以下「原出願」という。)の一部を新たな出願として,平成29年7月11日に特許出願したものであって,平成30年5月29日付けで拒絶理由が通知され,同年11月1日付けで意見書および手続補正書が提出され,平成31年4月18日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ,令和元年8月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本願発明
本件補正は,補正前の請求項4および請求項12において,その特定事項である「共役」を「複素共役」に補正するものであって,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そうすると,本願の請求項1?16に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という)は,次のとおりであると認める。

【請求項1】
振動式センサ(5)の駆動信号を生成する方法(600)であって,
振動信号を付与するように構成された振動要素(104,510)を振動させる工程と,
受信回路(134)を用いて前記振動要素(104,510)から振動信号を受信する工程と,
前記受信回路(134)及び前記振動要素(104,510)に連結された駆動回路(138)を用いて,或る周波数にて前記振動要素(104,510)を振動させる駆動信号を生成する工程と,
生成された駆動信号の位相を振動信号の位相と比較して,測定された位相差φmを決定する工程と,
測定された位相差φmと目標位相差φtと比較する工程と,
測定された位相差φmが目標位相差φt以上か未満かに基づいて,コマンド周波数を決定する工程とを備え,
前記駆動信号は駆動回路(138)内の開ループ駆動部(147)によってコマンド周波数ωにて生成される,方法(600)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,以下の拒絶理由を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1?3,5?11,13?16に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特表2004-511771号公報

第4 引用文献およびその記載事項
1 原出願の優先権主張日前に頒布され,原審の拒絶査定において引用された刊行物である特表2004-511771号公報(以下「引用文献1」という。)には,「容器内の媒体の粘度を測定及び/又は監視する装置」について,図1?7とともに,次の事項が記載されている(下線は当審にて付与する。以下同様。)。

(1-ア)
「【0001】
本発明は,振動可能なユニット,駆動/受信ユニット及び制御/評価ユニットを有し,前記振動可能なユニットが容器内部の規定された測定位置内に配置されており,もしくは振動ユニットが,規定された浸漬(しんし)深さまで媒体内に浸漬するように設置されており,かつ駆動/受信ユニットが振動可能なユニットを励振するかもしくは駆動/受信ユニットが振動可能なユニットの振動を受信する,容器内の媒体の粘度を測定及び/又は監視する装置に関する。」

(1-イ)
「【0018】
本発明による装置の最後に挙げた選択的な有利な1実施態様によれば,制御/評価ユニットに信号発生器が配属されており,該信号発生器は,駆動ユニットを,振動可能なユニットが漸進的に異なる振動周波数で振動する(この場合,振動周波数は選択された周波数帯域の範囲内にある)(→周波数掃引)ように制御する。」

(1-ウ)
「【0022】
図1は,種々の減衰係数ξを有する媒体内の振動可能なユニット2の3つの周波数/位相曲線をを示す。3つの曲線の折り返し点は,実質的に膜の剛性及び振動部材の質量によって決定される共振周波数frである。図1から明らかなように,振動可能なユニット2の駆動信号と応答信号の間の位相φは90°の共振の場合にある。低い減衰(減衰係数ξ1)の場合には,既に僅かな位相変化dfが180°の急激な位相変化を生じる(位相変化は急激に行われる)。より大きな減衰係数ξ2,ξ3の場合には,0°から180°への位相変化は程度の差こそあれなめらかに行われる。一定の周波数及び位相範囲においては,周波数/位相曲線は直線的経過を示し,この場合勾配は媒体による減衰に依存する。」

(1-エ)
「【0030】
本発明による装置1の選択的(「代わりの」の誤記)実施例によれば,周波数fは所定の周波数帯域内で変化される。従って,振動可能なユニット2は異なった周波数で駆動される(→周波数掃引)。異なった周波数には,異なった位相値が配属されている。一定の周波数帯域の連続的経過は図6にグラフで示されている。図7には,この本発明による装置1のブロック図が示されている。
【0031】
この本発明による装置の第2実施例においては,周波数掃引中に,予め固定された位相値φ1,φ2に属する2つの周波数f1,f2が局在化される。具体的には,この目的のための一定の周波数範囲f1,f2(「Δf1,Δf2」の誤記)が連続的ステップにおいて掃引される。予め固定された位相値φ1,φ2が測定されるや否や,位相値φ1,φ2に属する周波数f1,f2が算出される。引き続き,周波数差df=f2-f1に基づき,媒体の粘度ηが決定される。
【0032】
振動可能なユニット2は,信号発生器19によって所定の周波数及び有利には所定の振幅の駆動信号Txで励振される。駆動信号Txは,信号マッチングユニット18に供給され,該ユニットは信号を,受信ユニット21で読み取ることができるように処理する。従って,受信ユニット21は振動可能なユニット2の応答信号Rxを受信し,位相メータ22は駆動信号と応答信号の間の相応する位相シフトを決定する。制御ユニット20は,周波数変化dfを算出するための全プロセスに対して応答可能である。これは位相比較を実施し,信号発生器19の周波数を制御しかつ最後に相応する周波数差dfを計算する。引き続き,算出された周波数変化dfにより,コンバータ23内で媒体の粘度ηが決定される。このために,記憶されたテーブル値,特性曲線又は式が使用される。」

(1-オ)Fig.1,6,7には,以下の図が記載されている。




第5 当審の判断
1 引用発明
(1)上記記載事項(1-ア)の「本発明は,・・・・・容器内の媒体の粘度を測定及び/又は監視する装置に関する。」,同(1-イ)の「振動可能なユニットが漸進的に異なる振動周波数で振動する・・・・・(→周波数掃引)・・・・・」および同(1-エ)の「本発明による装置1の選択的実施例によれば,周波数fは所定の周波数帯域内で変化される。従って,振動可能なユニット2は異なった周波数で駆動される(→周波数掃引)。」からみて,引用文献1には「容器内の媒体の粘度を測定する装置1において,振動可能なユニット2を漸進的に異なる周波数fで駆動するための周波数掃引方法」が記載されているといえる。

(2)上記記載事項(1-イ)の「制御/評価ユニットに信号発生器が配属されており,該信号発生器は,駆動ユニットを,振動可能なユニットが漸進的に異なる振動周波数で振動する(この場合,振動周波数は選択された周波数帯域の範囲内にある)(→周波数掃引)ように制御する。」および同(1-エ)の「【0030】本発明による装置1の選択的実施例によれば,周波数fは所定の周波数帯域内で変化される。・・・・・【0032】振動可能なユニット2は,信号発生器19によって所定の周波数及び有利には所定の振幅の駆動信号Txで励振される。」からみて,引用文献1には「振動可能なユニット2は,制御ユニットに配属された信号発生器19によって所定の周波数fの駆動信号Txで励振される」ことが記載されているといえる。

(3)上記記載事項(1-エ)の「駆動信号Txは,信号マッチングユニット18に供給され,該ユニットは信号を,受信ユニット21で読み取ることができるように処理する。従って,受信ユニット21は振動可能なユニット2の応答信号Rxを受信し,位相メータ22は駆動信号と応答信号の間の相応する位相シフトを決定する」からみて,引用文献1には「駆動信号Txおよび振動可能なユニット2の応答信号Rxは,信号マッチングユニット18に供給され,該信号マッチングユニット18は前記駆動信号Txおよび前記応答信号Rxを受信ユニット21で読み取ることができるように処理し,位相メータ22は前記駆動信号と前記応答信号の間の相応する位相シフトを決定する」ことが記載されているといえる。

(4)上記記載事項(1-ウ)の「振動可能なユニット2の駆動信号と応答信号の間の位相φは90°の共振の場合にある。」および同(1-エ)の「【0031】この本発明による装置の第2実施例においては,周波数掃引中に,予め固定された位相値φ1,φ2に属する2つの周波数f1,f2が局在化される。」からみて,引用文献1には「2つの予め固定された位相値φ1,φ2が,駆動信号と応答信号の間の位相φに設定され,前記予め固定された位相値φ1,φ2に属する2つの周波数f1,f2が局在化される」ことが記載されているといえる。

(5)上記記載事項(1-エ)の「【0031】・・・・・この目的のための一定の周波数範囲が連続的ステップにおいて掃引される。予め固定された位相値φ1,φ2が測定されるや否や,位相値φ1,φ2に属する周波数f1,f2が算出される。」および「【0032】・・・・・制御ユニット20は,周波数変化dfを算出するための全プロセスに対して応答可能である。これは位相比較を実施し,信号発生器19の周波数を制御しかつ最後に相応する周波数差dfを計算する。」からみて,引用文献1には「制御ユニット20は,信号発生器19の周波数を制御して,駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引するとともに,位相比較を実施して,予め固定された位相値φ1,φ2が測定されるや否や,前記予め固定された位相値φ1,φ2に属する周波数f1,f2を算出する」ことが記載されているといえる。

(6)上記(1)?(5)を踏まえれば,引用文献1には,以下の発明が記載されていると認められる。
「容器内の媒体の粘度を測定する装置1において,振動可能なユニット2を漸進的に異なる周波数fで駆動するための周波数掃引方法であって,
前記振動可能なユニット2は,制御ユニット20に配属された信号発生器19によって所定の周波数fの駆動信号Txで励振され,
前記駆動信号Txおよび前記振動可能なユニット2の応答信号Rxは,信号マッチングユニット18に供給され,該信号マッチングユニット18は前記駆動信号Txおよび前記応答信号Rxを受信ユニット21で読み取ることができるように処理し,位相メータ22は前記駆動信号Txと前記応答信号Rxの間の相応する位相シフトを決定し,
2つの予め固定された位相値φ1,φ2が,前記駆動信号Txと応答信号Rxの間の位相φに設定され,前記予め固定された位相値φ1,φ2に属する2つの周波数f1,f2が局在化され,
前記制御ユニット20は,前記信号発生器19の周波数を制御して,前記駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引するとともに,位相比較を実施して,前記予め固定された位相値φ1,φ2が測定されるや否や,前記予め固定された位相値φ1,φ2に属する周波数f1,f2を算出する,周波数掃引方法。」(以下「引用発明」という)

2 対比
本願発明1と引用発明とを比較すると,
(1)引用発明の「振動可能なユニット2」,「周波数f」,「駆動信号Tx」および「応答信号Rx」が,その機能からみて,それぞれ,本願発明1の「振動要素(104,510)」,「コマンド周波数ω」,「駆動信号」および「振動信号」に相当することは明らかである。

(2)引用発明では,「振動可能なユニット2を異なった周波数fで駆動する」ことにより「粘度を測定」しているのであるから,引用発明の「装置1」は,「振動式センサ」の一種であるといえる。
そうすると,引用発明の「容器内の媒体の粘度を測定する装置1において,振動可能なユニット2を漸進的に異なる周波数fで駆動するための周波数掃引方法」は,本願発明1の「振動式センサ(5)の駆動信号を生成する方法(600)」に相当するといえる。

(3)引用発明においては「該信号マッチングユニット18は前記駆動信号Txおよび前記応答信号Rxを受信ユニット21で読み取ることができるように処理し」であるから,該「受信ユニット21」が「駆動信号Txおよび応答信号Rx」を受信することが明らかであり,「応答信号Rx」(振動信号)を受信する点において,引用発明の「受信ユニット21」は,本願発明1の「受信回路(134)」に相当するといえる。
そうすると,引用発明の「前記振動可能なユニット2は,制御ユニット20に配属された信号発生器19によって所定の周波数fの駆動信号Txで励振され,前記駆動信号Txおよび前記振動可能なユニット2の応答信号Rxは,信号マッチングユニット18に供給され,該信号マッチングユニット18は前記駆動信号Txおよび前記応答信号Rxを受信ユニット21で読み取ることができるように処理」することは,本願発明1の「振動信号を付与するように構成された振動要素(104,510)を振動させる工程と,受信回路(134)を用いて前記振動要素(104,510)から振動信号を受信する工程」に相当するといえる。

(4)引用発明においては「制御ユニット20に配属された信号発生器19によって所定の周波数fの駆動信号Txで励振され」であり,図7も参照すると,「信号発生器19」および「制御ユニット20」が「振動可能なユニット2」に電気的に連結されているといえるから,引用発明の「信号発生器19」と「制御ユニット20」とが組み合わされて,本願発明1の「駆動回路(138)」に相当するといえる。
そうすると,引用発明の「前記振動可能なユニット2は,制御ユニット20に配属された信号発生器19によって所定の周波数fの駆動信号Txで励振され」および「前記制御ユニット20は,前記信号発生器19の周波数を制御して,前記駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引する」は,上記(3)の相当関係を踏まえると、本願発明1の「前記受信回路(134)及び前記振動要素(104,510)に連結された駆動回路(138)を用いて,或る周波数にて前記振動要素(104,510)を振動させる駆動信号を生成する工程」に相当するといえる。

(5)引用発明では,「振動可能なユニット2」は,「駆動信号Txで励振され」ると,「駆動信号Tx」より位相が遅れた「応答信号Rx」を生じ,該「駆動信号Tx」と該「応答信号Rx」との間に位相差が生じることは,図1および技術常識から明らかである。
そして,引用発明の「位相比較を実施して,前記予め固定された位相値φ1,φ2が測定されるや否や,前記予め固定された位相値φ1,φ2に属する周波数f1,f2を算出する」における「位相比較」は,図6からみて,本願発明1の「位相差φm」に相当する「駆動信号Txと前記応答信号Rxの間の位相φ」を,「位相値φ1,φ2」と比較する,すなわち,両値の差分を求めることを意味しているといえる。そして,該差分がゼロあるいは所定値未満なる際の「周波数f1,f2」を算出していることになるから,引用発明の「予め固定された位相値φ1,φ2」は,本願発明1の「目標位相差φt」に相当するといえる。
そうすると,引用発明の「位相比較を実施して」は,本願発明1の「生成された駆動信号の位相を振動信号の位相と比較して,測定された位相差φmを決定する工程と,測定された位相差φmと目標位相差φtと比較する工程」に相当するといえる。

(6)引用発明においては,「前記振動可能なユニット2は,制御ユニット20に配属された信号発生器19によって所定の周波数fの駆動信号Txで励振され」および「前記信号発生器19の周波数を制御して,前記駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引する」のであるから,該「信号発生器19」は,「駆動信号Txの周波数f」を「連続的ステップ」状に漸進的に(徐々に)増加または減少するように生成して「振動可能なユニット2」を制御しているといえる。
そうすると,引用発明の「前記駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引する」は,本願発明1の「コマンド周波数を決定する工程」に相当するといえる。

(7)本願発明1の「開ループ駆動部(147)」における「開ループ」とは,本件出願明細書の段落【0006】および【0030】の記載からみて,「閉ループアプローチに関連した周波数測定が不要である」ことを意味していると解される。
一方,本願発明1の「駆動回路(138)」に相当する,引用発明の「信号発生器19」と「制御ユニット20」を組み合わしたものも,「周波数測定」をすることなく,「前記駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引する」ことにより「振動可能なユニット2」を駆動しているのであるから,本願発明1の「開ループ駆動部」と同様のものを備えているといえる。
そうすると,引用発明の「前記制御ユニット20は,前記信号発生器19の周波数を制御して,前記駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引する」は,本願発明1の「前記駆動信号は駆動回路(138)内の開ループ駆動部(147)によってコマンド周波数ωにて生成される」に相当するといえる。

(8)してみると,本願発明1と引用発明とは,
(一致点)
「振動式センサの駆動信号を生成する方法であって,
振動信号を付与するように構成された振動要素を振動させる工程と,
受信回路を用いて前記振動要素から振動信号を受信する工程と,
前記受信回路及び前記振動要素に連結された駆動回路を用いて,或る周波数にて前記振動要素を振動させる駆動信号を生成する工程と,
生成された駆動信号の位相を振動信号の位相と比較して,測定された位相差φmを決定する工程と,
測定された位相差φmと目標位相差φtと比較する工程と,
コマンド周波数を決定する工程とを備え,
前記駆動信号は駆動回路内の開ループ駆動部によってコマンド周波数ωにて生成される,方法。」
の点で一致し,以下の点にて相違する。

(相違点)
「コマンド周波数を決定する工程」において,本願発明1では,「測定された位相差φmが目標位相差φt以上か未満かに基づいて」コマンド周波数を決定するのに対して,引用発明では,測定された位相値と「予め固定された位相値φ1,φ2」の位相比較に基づいて,駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引している点。

3 相違点の検討
相違点を言い換えると,本願発明1は,測定された位相差が目標位相差に対して大きい又は小さい場合があり,大きい側又は小さい側から目標位相差に近づくように駆動周波数を決定しているのに対し,引用発明は,大きい側から又は小さい側のうちの「一方の側」から目標位相差に近づくように駆動周波数を連続的ステップで変化させる点となる。
目標位相差に近づくための駆動周波数を求める手法として,測定された位相差が目標位相差に対して大きい又は小さい場合があり,大きい側又は小さい側から目標位相差に近づくように駆動周波数を決定させる手法は,特開2002-291264号公報(段落【0074】ー【0075】),国際公開第2005/088823号公報(段落【0012】)などに記載されているように,種々の技術分野において周知・慣用の技術事項であるといえる。

一般的な課題である「制御の制度を向上させる」ために,引用発明の目標位相差に近づくための駆動周波数の制御において,目標位相差に対し,大きい側から又は小さい側のうちの一方の側から近づけるように駆動周波数の制御するのに代えて,周知・慣用の技術事項である,どちらの側からも近づけるように駆動周波数の制御をすることは,当業者が容易に想到し得ることである。
すなわち,引用発明の「予め固定された位相値φ1,φ2」の位相比較に基づいて,駆動信号Txの周波数fを一定の周波数範囲内で連続的ステップで掃引するのに替えて,「測定された位相差φmが目標位相差φt以上か未満かに基づいて」コマンド周波数を決定することは,当業者が容易に想到し得ることである。

4 効果について
引用発明も「位相差を得るために」「周波数測定が不要である」(本件出願明細書【0006】)という効果を実現しているのであるから,本件出願明細書全体の記載を考慮しても,上記相違点により生じる効果は,当業者が予測し得る範囲のものであり,格別顕著な効果とはいえない。

5 まとめ
よって,本願発明1は,引用発明および周知・慣用の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから,本願発明1は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その他の請求項について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-07-27 
結審通知日 2020-07-28 
審決日 2020-08-17 
出願番号 特願2017-135247(P2017-135247)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡▲辺▼ 純也多田 達也  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 森 竜介
▲高▼見 重雄
発明の名称 振動式センサ用に駆動信号を生成する方法  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
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