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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1369773 |
審判番号 | 不服2020-1854 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-10 |
確定日 | 2021-01-04 |
事件の表示 | 特願2017-137090号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月 7日出願公開、特開2019- 17543号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年7月13日の出願であって、令和1年8月1日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月19日付け(謄本送達日:同年同月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、令和2年2月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年2月10日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、令和1年9月30日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、 「遊技領域が形成された遊技盤と、 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段と、 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段と、 前記当否判定が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、 演出内容が表示される演出表示装置と、 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段と、 前記演出決定手段により決定された前記演出内容を前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、 前記演出決定手段は、図柄変動演出の過程が定められた複数の変動演出パターンからいずれかを前記演出内容として選択し、 前記複数の変動演出パターンには、先に表示される第1の演出期間と後に表示される第2の演出期間とを含み得る演出である特殊演出の過程が定められた複数種類の特殊変動演出パターンが含まれ、 前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展しない特殊変動演出パターンより大当り期待度が高いことを示唆する演出パターンであり、 前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間において前記第2の演出期間へ発展する旨を報知するタイミングが、前記第1の演出期間のうち遅いタイミングとなるほど大当り期待度が高く、 前記第1の演出期間において、前記第2の演出期間へ発展する旨を報知する前に前記発展の可能性を示唆する予告演出を表示する場合があり、前記予告演出の表示態様により、 前記第2の演出期間へ発展する可能性が異なることを特徴とする弾球遊技機。」とあったものを、 「遊技領域が形成された遊技盤と、 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段と、 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段と、 前記当否判定が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、 演出内容が表示される演出表示装置と、 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段と、 前記演出決定手段により決定された前記演出内容を前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、 前記演出決定手段は、図柄変動演出の過程が定められた複数の変動演出パターンからいずれかを前記演出内容として選択し、 前記複数の変動演出パターンには、先に表示される第1の演出期間と後に表示される第2の演出期間とを含み得る演出である特殊演出の過程が定められた複数種類の特殊変動演出パターンが含まれ、 前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展しない特殊変動演出パターンより大当り期待度が高いことを示唆する演出パターンであり、 前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間において前記第2の演出期間へ発展する旨を報知するタイミングが、前記第1の演出期間のうち遅いタイミングとなるほど大当り期待度が高く、 前記第1の演出期間において、前記第2の演出期間へ発展する旨を報知する前に前記発展の可能性を示唆する予告演出を表示する場合があり、前記予告演出の表示態様により、前記第2の演出期間へ発展する可能性が異なり、 前記第1の演出期間は、リーチ成立状態において表示される演出の期間であり、 前記予告演出は、前記第1の演出期間における所定のタイミングにて表示される演出であって、前記第2の演出期間への発展期待度が相違する複数段階の表示態様を有することを特徴とする弾球遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。 2 補正の適否について (1) 補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1の演出期間」に関して、「リーチ成立状態において表示される演出の期間であり」と限定し、また、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「予告演出」に関して、「前記第1の演出期間における所定のタイミングにて表示される演出であって、前記第2の演出期間への発展期待度が相違する複数段階の表示態様を有する」と限定するものである。 (2)新規事項 本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0247】、【0254】ないし【0258】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AないしRについては、分説するため合議体が付した。)。 「A 遊技領域が形成された遊技盤と、 B 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、 C 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、 D 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、 E 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段と、 F 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段と、 G 前記当否判定が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、 H 演出内容が表示される演出表示装置と、 I 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段と、 J 前記演出決定手段により決定された前記演出内容を前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、 K 前記演出決定手段は、図柄変動演出の過程が定められた複数の変動演出パターンからいずれかを前記演出内容として選択し、 L 前記複数の変動演出パターンには、先に表示される第1の演出期間と後に表示される第2の演出期間とを含み得る演出である特殊演出の過程が定められた複数種類の特殊変動演出パターンが含まれ、 M 前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展しない特殊変動演出パターンより大当り期待度が高いことを示唆する演出パターンであり、 N 前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間において前記第2の演出期間へ発展する旨を報知するタイミングが、前記第1の演出期間のうち遅いタイミングとなるほど大当り期待度が高く、 O 前記第1の演出期間において、前記第2の演出期間へ発展する旨を報知する前に前記発展の可能性を示唆する予告演出を表示する場合があり、前記予告演出の表示態様により、前記第2の演出期間へ発展する可能性が異なり、 P 前記第1の演出期間は、リーチ成立状態において表示される演出の期間であり、 Q 前記予告演出は、前記第1の演出期間における所定のタイミングにて表示される演出であって、前記第2の演出期間への発展期待度が相違する複数段階の表示態様を有する R ことを特徴とする弾球遊技機。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-220164号公報(平成25年10月28日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する複数の可変表示部を有する可変表示手段を備え、前記複数の可変表示部上に形成される有効ラインに特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。 【背景技術】 【0002】 遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、入賞領域に遊技媒体が入賞する(始動条件が成立する)と識別情報を変動可能に表示(可変表示)する可変表示手段が設けられ、可変表示手段において識別情報の可変表示の表示結果が特定表示結果(大当り図柄)となった場合に「大当り」となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御可能となるように構成されたものがある。 【0003】 このような遊技機として、可変表示部上の複数の有効ラインを用いてマルチラインリーチ演出を実行し、その結果複数の有効ラインの何れかが大当たり図柄になった場合に「大当たり」となる遊技機が知られている(例えば特許文献1参照)。 【0004】 また、可変表示部の有効ラインにおいてリーチ演出を実行し、リーチ演出の後に演出を発展させる遊技機も知られている(例えば特許文献2参照)。このような遊技機では、有効ライン上の識別情報をリーチハズレ状態とした後に演出を発展させる。 ・・・略・・・ 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上記特許文献1と特許文献2とを組み合わせて、マルチラインリーチ演出から演出を発展させることによって遊技の興趣を高めることが考えられる。しかしながら、単純に特許文献1と特許文献2とを組み合わせると、全ての有効ラインについてリーチハズレ状態とした後に演出を発展させることとなる。この場合、演出が冗長となり、かえって遊技の興趣が低下するという問題があった。 【0007】 この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、複数の有効ラインを用いたリーチ演出から演出を発展させる、遊技の興趣が高い遊技機を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 (1)上記目的を達成するため、本願に係る遊技機は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する複数の可変表示部を有する可変表示手段(例えば飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rなど)を備え、前記複数の可変表示部上に形成される有効ライン(例えば有効ラインLN1?LN3の何れか)に特定表示結果(例えば大当り組合せとなる確定飾り図柄など)が導出されたときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態など)に制御する遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって、前記特定遊技状態に制御するか否かを、前記識別情報の表示結果が導出される以前に決定する事前決定手段(例えばステップS239の処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103など)と、前記事前決定手段の決定結果に基づいて、前記識別情報の表示態様をリーチ態様とするか否かを決定するリーチ決定手段(例えばステップS262、S264、S265の処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103など)と、前記事前決定手段による決定結果と前記リーチ決定手段による決定結果とに基づいて、前記可変表示手段による前記識別情報の可変表示を制御する可変表示制御手段(例えば演出制御用CPU120など)と、を備え、前記可変表示制御手段は、所定のスーパーリーチ演出(例えばスーパーリーチ演出など)及び複数の前記有効ラインにおいて前記リーチ態様となるマルチラインリーチ演出(例えば2Lリーチ演出又は3Lリーチ演出など)を、当該スーパーリーチ演出が実行された場合には前記マルチラインリーチ演出が実行された場合よりも、前記事前決定手段が特定遊技状態に制御する割合が高くなるように実行するリーチ演出実行手段(例えばCPU103がステップS262にて図11(A)及び(C)に示すような決定割合で変動パターンを決定する一方、ステップS265にて図11(A)及び(B)に示すような決定割合で変動パターンを決定した後、ステップS112、S113の処理を実行するとともに、演出制御用CPU120がステップS171、S172の処理を実行する部分など)を含み、前記リーチ演出実行手段は、前記マルチラインリーチ演出において、前記有効ラインに前記特定表示結果が導出されるか否かを報知する報知演出(例えば第1L煽り演出、第2L煽り演出及び第3L煽り演出など)を前記複数の有効ライン毎に実行するとともに、前記マルチラインリーチ演出が開始されたときから報知演出が全て終了するまでの期間(例えば可変表示開始のタイミングT0から終了のタイミングT201又はT301までの期間など)において予め定められた複数の発展タイミング(例えば発展タイミングp1a、発展タイミングp1b、発展タイミングp2a、発展タイミングp2b、発展タイミングp3a、発展タイミングp3bなど)のうち、何れかの発展タイミングにおいて、前記マルチラインリーチ演出を前記スーパーリーチ演出に発展可能である(例えば変動パターンPA2-4?PA2-9、PA2-11?PA2-14、PA3-4?PA3-9、PA3-11?PA3-14に対応して、ステップS509の処理に基づきステップS527の処理を実行する演出制御用CPU120など)、ことを特徴とする。 このような構成によれば、マルチラインリーチ演出の演出過程において、多様な発展タイミングでスーパーリーチ演出に発展させることが可能となる。この結果、遊技者に冗長さを感じさせない多様な演出が可能となり、遊技の興趣が高くなる。 【0009】 (2)上記(1)の遊技機において、前記リーチ演出実行手段は、前記複数の報知演出(例えば接近、煽り、ハズレ演出を含む第1L煽り演出?第3L煽り演出など)が所定の共通態様(例えば接近時の発展タイミングp1a、発展タイミングp2a、発展タイミングp3a、煽り終了時の発展タイミングp1b、発展タイミングp2b、発展タイミングp3b、等における態様)となるタイミング(例えば接近時の発展タイミングp1a、発展タイミングp2a、発展タイミングp3a、煽り終了時の発展タイミングp1b、発展タイミングp2b、発展タイミングp3b、などのタイミング)を、前記発展タイミングとし、複数の該発展タイミングのうち、何れかの発展タイミングにおいて、前記マルチラインリーチ演出を前記スーパーリーチ演出に発展可能である、としてもよい(例えば変動パターンPA2-2?変動パターンPA2-5、変動パターンPA3-2?変動パターンPA3-7、変動パターンPB2-2?変動パターンPB2-5、変動パターンPB3-2?変動パターンPB3-7に対応して、ステップS509の処理に基づきステップS527の処理を実行する演出制御用CPU120など)。 このような構成によれば、各有効ラインにおける報知演出において、可変表示部の表示状態が所定の共通態様となるタイミングで演出が発展する。そのため、各報知演出において期待感が盛り上がる時期が明確となり、遊技の興趣が高くなる。 【0010】 (3)上記(1)又は(2)の遊技機において、前記リーチ演出実行手段は、前記マルチラインリーチ演出を複数種類のいずれかの態様(例えば2Lリーチ演出、3Lリーチ演出の演出態様)で実行したかに応じて異なる割合(図11(D)の割合)で、前記スーパーリーチ演出に発展する、としてもよい。 このような構成によれば、複数種類の演出態様のいずれで前記マルチラインリーチ演出を実行したかによって、スーパーリーチ演出に発展する割合が異なる。そのため、遊技者がマルチラインリーチ演出の演出態様へより注目することとなり、遊技の興趣が高くなる。」 イ 「【発明を実施するための形態】 【0015】 以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。 【0016】 遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の右側方)には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(可変表示)される。例えば、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、「0」?「9」を示す数字や「-」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。 【0017】 なお、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」?「9」を示す数字や「-」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。以下では、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。 【0018】 遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。 ・・・略・・・ 【0020】 この実施の形態では、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄の可変表示結果などが導出表示(停止表示)される有効ラインの数(有効ライン数)を、「1」に設定した1ラインモード(1Lモードあるいはシングルラインモードとも言う)と、「2」に設定した2ラインモード(2Lモードあるいはダブルラインモードとも言う)と、「3」に設定した3ラインモード(3Lモードあるいはトリプルラインモードとも言う)と、の間で変更が可能である。 【0021】 例えば1Lモードであるときには、図2(A)に示すように、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける中段のみからなる水平方向の有効ラインLN1にて、飾り図柄が停止表示される。一方、3Lモードであるときには、図2(B)に示すように、3つの有効ラインLN1?LN3のうち少なくとも1つの有効ラインにて、飾り図柄が停止表示される。2Lモードと3Lモードなど、有効ライン数が2以上である状態をマルチラインモードと言う。」 ウ 「【0023】 第1特図保留記憶数は、例えば第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)する第1始動入賞の発生により、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームの始動条件(第1始動条件)が成立したときに、当該第1始動条件の成立に基づく第1特図を用いた特図ゲームを開始するための第1開始条件が成立しなければ1加算(インクリメント)される。これにより、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。 【0024】 第2特図保留記憶数は、例えば第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)する第2始動入賞の発生により、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームの始動条件(第2始動条件)が成立したときに、当該第2始動条件の成立に基づく第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立しなければ1加算(インクリメント)される。これにより、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。 ・・・略・・・ 【0028】 画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図3に示す普通電動役物用のソレノイド81によって垂直位置となる閉鎖状態と傾動位置となる開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、第2始動入賞口を形成する。」 エ 「【0061】 第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果(特図表示結果)を予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。そして、可変表示結果の決定に基づく所定割合で、変動パターンの決定などが行われ、可変表示結果や変動パターンを指定する演出制御コマンドが、図3に示す主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から演出制御基板12に向けて伝送される。 【0062】 こうした可変表示結果や変動パターンの決定に基づいて特図ゲームが開始された後、例えば変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間が経過したときには、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される。第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特別図柄の可変表示に対応して、画像表示装置5の表示領域に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、特別図柄とは異なる飾り図柄(演出図柄)の可変表示が行われる。第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、画像表示装置5において飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。 【0063】 特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」(特定表示結果)となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。すなわち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄とは異なる小当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「小当り」(特殊表示結果)となり、特定遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄と小当り図柄のいずれも導出表示されず、ハズレ図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」となる。」 オ 「【0079】 リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(演出態様)が異なる複数種類のリーチ演出が、予め用意されていればよい。そして、それぞれのリーチ演出における演出態様に応じて、「大当り」となる可能性(「信頼度」あるいは「大当り信頼度」ともいう)が異なる。すなわち、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、可変表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。この実施の形態では、一例として、ノーマルリーチ演出、マルチラインリーチ演出、スーパーリーチ演出が予め設定されている。そして、マルチラインリーチ演出が実行された場合には、ノーマルリーチ演出のみが実行された場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度)が高くなる。さらに、スーパーリーチ演出が実行された場合には、ノーマルリーチ演出及びマルチラインリーチ演出のみが実行された場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度、大当り信頼度とも言う)がさらに高くなる。ノーマルリーチ演出よりもマルチラインリーチ演出及びスーパーリーチ演出の方が大当たり信頼度が高い。また、マルチラインリーチ演出よりもスーパーリーチ演出の方が大当たり信頼度が高い。 【0080】 ノーマルリーチ演出とは、1Lモードにて飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの有効ラインLN1上に飾り図柄がリーチ状態となった後に、所定の演出態様(ノーマルリーチ演出態様)を画像表示装置5の表示領域にて表示した後に可変表示結果が導出され、「大当たり」、「ハズレ」等の導出結果に対応した表示態様となる演出を言う。なお、1Lモードで実行されるノーマルリーチ演出を1Lリーチ演出とも言う。 【0081】 スーパーリーチ演出とは、1Lモード又はマルチラインモードにて飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの有効ライン上に飾り図柄がリーチ状態となった後に、ノーマルリーチ演出態様とは異なる所定の演出態様(スーパーリーチ演出態様)を画像表示装置5の表示領域にて表示した後に可変表示結果が導出され、「大当たり」、「ハズレ」等の導出結果に対応した表示態様となる演出を言う。 【0082】 マルチラインリーチ演出とは、1Lモードから有効ライン数が複数となったことを認識可能に表示してマルチラインモードへ移行した後、当該複数の有効ラインについて所定のリーチ演出が実行された後、を画像表示装置5の表示領域にて表示した後に可変表示結果が導出され、「大当たり」、「ハズレ」等の導出結果に対応した表示態様となる演出を言う。なお、2Lモードで実行されるマルチラインリーチ演出を2Lリーチ演出と言い、3Lモードで実行されるマルチラインリーチ演出を3Lリーチ演出と言う。 【0083】 1Lモードで有効ラインLN1がリーチ状態となったタイミングで、有効ライン数の変更(マルチラインモードへの移行)が行われる。あるいは、例えば開始条件の成立に基づき飾り図柄の可変表示が開始される可変表示開始時や、リーチ演出中の所定の時期(例えばリーチ演出にて停止表示されていない飾り図柄表示エリアが停止表示される直前のタイミング)といった、飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出されるまでの所定タイミングで有効ライン数が変更されても良い。 【0084】 マルチラインリーチモードであるときには、有効ライン(2Lモードの場合は有効ラインLN1及び有効ラインLN2、3Lモードの場合は有効ラインLN1?有効ラインLN3)のそれぞれで、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となる。 【0085】 具体的には、2Lモードでは、マルチラインモードとして有効ラインLN1と有効ラインLN2との両方でリーチ状態となる(ダブルリーチ)。3Lモードでは、マルチリーチとして3つの有効ライン(有効ラインLN1?有効ラインLN3)の全てでリーチ状態となる(トリプルリーチ)。 【0086】 この実施の形態では、マルチラインリーチ演出が実行される場合に、まずは1Lモードで飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となる。そして、有効ラインの数が「1」から「2」又は「3」に増加するか、あるいは有効ラインの数が「1」から「2」へ増加し、さらに「3」へ増加してマルチラインリーチ演出が開始される。1Lモードからマルチラインモードへ移行してマルチラインリーチ演出が実行されることを「マルチラインリーチ演出へ移行する」と言う。1Lモードから2Lモードに移行することを「有効ラインが2分裂する」、1Lモードから3Lモードに移行することを「有効ラインが3分裂する」、とも言う。 【0087】 マルチラインリーチ演出では、複数の有効ラインについて、順番に大当たり図柄が導出されるか否かを煽るライン煽り演出が実行される。例えば、2Lモードの場合、まず有効ラインLN1についてライン煽り演出が実行され、有効ラインLN1にてハズレ図柄が停止表示されることで有効ラインLN1のライン煽り演出が終了した後に、同様に有効ラインLN2にライン煽り演出が実行される。そして、有効ラインLN2に確定飾り図柄が導出されると、2Lリーチ演出は終了する。3Lモードでも同様に、有効ラインLN1?有効ラインLN3について順番にライン煽り演出が実行され、確定飾り図柄が導出される。2Lモードや3Lモードといったマルチラインモードに移行した後に最初に実行されるライン煽り演出(例えば有効ラインLN1に対して実行されるライン煽り演出)を第1ライン煽り演出(第1L煽り演出)、2番目に実行されるライン煽り演出(例えば有効ラインLN2に対して実行されるライン煽り演出)を第2ライン煽り演出(第2L煽り演出)、3番目に実行されるライン煽り演出(例えば有効ラインLN3に対して実行されるライン煽り演出)を第3ライン煽り演出(第3L煽り演出)と言う。 【0088】 本実施の形態では、マルチラインリーチ演出が開始されてから、あるいはマルチライン演出の途中の所定のタイミング(発展タイミング)にて、スーパーリーチ演出へ演出態様が変化する(演出が発展するとも言う)ことがある。発展タイミングは、各ライン煽り演出において飾り図柄等が共通表示態様となるタイミング(例えばライン煽り演出の開始時、終了時等)に設定される。」 カ 「【0097】 次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。 ・・・略・・・ 【0098】 主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM101がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。 ・・・略・・・ 【0101】 一例として、主基板11の側で用いられる遊技用乱数には、特図表示結果決定用の乱数値MR1と、変動パターン決定用の乱数値MR2とが含まれていればよい。特図表示結果決定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定や、可変表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である。変動パターン決定用の乱数値MR2は、特別図柄や飾り図柄の可変表示における変動パターンを、予め用意された複数パターンのいずれかに決定するために用いられる乱数値である。 ・・・略・・・ 【0104】 図4は、特別図柄プロセス処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS101)。始動入賞判定処理では、第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bがオンであるか否かが判定される。このとき、第1始動口スイッチ22Aがオンであれば、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことに基づいて、第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第1特図保留記憶数を更新するための第1始動入賞処理が行われる。一方、第2始動口スイッチ22Bがオンであれば、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)したことに基づいて、第2特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第2特図保留記憶数を更新するための第2始動入賞処理が行われる。 【0105】 一例として、第1始動入賞処理では、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)となっているか否かを判定する。このとき第1特図保留記憶数が上限値に達していれば、第1始動入賞処理を終了する。一方、第1特図保留記憶数が上限値未満であれば、RAM102の所定領域(例えば遊技制御カウンタ設定部)に設けられた第1保留記憶数カウンタの格納値である第1保留記憶数カウント値を1加算する。こうして、第1保留記憶数カウント値は、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第1特図を用いた特図ゲームに対応した第1始動条件が成立したときに、1増加(インクリメント)するように更新される。その後、始動入賞の発生に対応した所定の遊技用乱数を抽出して、RAM102の所定領域(例えば第1特図保留記憶部)に保留データとして記憶させる。 ・・・略・・・ 【0107】 図4に示すステップS101にて始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、RAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部)に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、ステップS110?S120の処理のいずれかを選択して実行する。 【0108】 ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部といった、RAM102の所定領域に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。このとき、可変表示結果が「大当り」に決定された場合には、大当り種別を「非確変」、「確変」、「突確」といった複数種別のいずれかに決定する。大当り種別の決定結果を示すデータがRAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部)に設けられた大当り種別バッファに格納されることにより、大当り種別が記憶される。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果に対応して、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄や小当り図柄、ハズレ図柄のいずれか)が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。 【0109】 ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かの事前決定結果などに基づいて、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。特別図柄や飾り図柄の可変表示時間は、変動パターンに対応して予め設定されている。したがって、変動パターン設定処理にて変動パターンを決定することにより、特別図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定特別図柄を導出するまでの可変表示時間が決定される。また、変動パターン設定処理は、可変表示結果が「ハズレ」となる場合に、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かを決定する処理を含んでもよい。あるいは、変動パターン設定処理にて可変表示結果が「ハズレ」となる場合の変動パターンを所定割合で決定することにより、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かが決定されてもよい。さらに、変動パターン設定処理は、特別図柄表示装置4において特別図柄の変動を開始させるための設定を行う処理を含んでもよい。変動パターン設定処理が実行されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。」 キ 「【0111】 ステップS113の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この特別図柄停止処理には、特別図柄表示装置4にて特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示させるための設定を行う処理が含まれている。そして、RAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部)に設けられた大当りフラグや小当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われる。大当りフラグがオンである場合には、特図表示結果が「大当り」であることに基づく大当り遊技状態の開始を指定する当り開始指定コマンドの送信設定を行うとともに、特図プロセスフラグの値を“4”に更新する。小当りフラグがオンである場合には、特図表示結果が「小当り」であることに基づく小当り遊技状態の開始を指定する当り開始指定コマンドの送信設定を行うとともに、特図プロセスフラグの値を“8”に更新する。大当りフラグや小当りフラグがオフである場合には、特図プロセスフラグの値を“0”に更新する。 【0112】 ステップS114の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大当り開放前処理には、可変表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンド遊技の実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。この処理では、例えば大当り種別が「非確変」、「確変」、「突確」のいずれであるかに対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を設定するようにしてもよい。一例として、大当り種別が「非確変」または「確変」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29秒」に設定することにより、通常開放ラウンドが実行されるようにすればよい。一方、大当り種別が「突確」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「0.1秒」に設定することにより、短期開放ラウンドが実行されるようにすればよい。大当り開放前処理が実行されたときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。」 ク 「【0139】 図7は、変動パターン設定処理として、図4のステップS111にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す変動パターン設定処理において、CPU103は、まず、大当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS261)。そして、大当りフラグがオンである場合には(ステップS261;Yes)、特図表示結果が「大当り」となる大当り時に対応した変動パターンを決定する(ステップS262)。 【0140】 ステップS261にて大当りフラグがオフである場合には、小当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS263)。そして、小当りフラグがオンである場合には(ステップS263;Yes)、特図表示結果が「小当り」となる小当り時に対応した変動パターンを決定する(ステップS264)。一方、小当りフラグがオフである場合には(ステップS263;No)、特図表示結果が「ハズレ」となるハズレ時に対応した変動パターンを決定する(ステップS265)。」 ケ 「【0141】 図8は、この実施の形態における変動パターンを示している。この実施の形態では、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様にはならない「非リーチ」である場合とリーチ態様になる「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」や「小当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。 【0142】 図8の変動パターン表には、各発展タイミングにおいてマルチラインリーチ演出がスーパーリーチ演出に発展する場合としない場合に対応する変動パターンが記憶されている。各変動パターンは、大当たり時又はハズレ時のそれぞれにおける、各演出パターンに対応する。 【0143】 図8に示された変動パターンのうち、変動パターンPA0-1?変動パターンPA0-4、変動パターンPA1-1、変動パターンPA1-2、変動パターンPA2-1?変動パターンPA2-5、変動パターンPA3-1?変動パターンPA3-7は、ハズレ時に実行される変動パターンを示している。一方、変動パターンPB1-1、変動パターンPB1-2、変動パターンPB2-1?変動パターンPB2-5、変動パターンPB3-1?変動パターンPB3-7は、大当たり時に実行される変動パターンを示している。 このうち、変動パターンPA0-1?変動パターンPA0-4、変動パターンPB0-1?変動パターンPB0-4は、リーチ演出が実行されずに特図表示結果導出される変動パターンに対応する。一方、変動パターンPA1-1、変動パターンPA1-2、変動パターンPB1-1及び変動パターンPB1-2とは、1Lリーチ演出又はスーパーリーチ演出が実行され、2Lリーチ演出や3Lリーチ演出といったマルチラインリーチ演出は実行されずに、特図表示結果が導出される変動パターンに対応する。」 コ 「 」 サ 「【0144】 変動パターンPA2-1?変動パターンPA2-5、変動パターンPB2-1?変動パターンPB2-5は、2Lリーチ演出が実行され、その後に特図表示結果が導出される変動パターンに対応する。図9は、2Lリーチ演出が実行される場合における各種演出の実行タイミングを示している。図9は、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始(時刻T0)されてから、可変表示結果が導出されるまでに実行される各種演出を示している。 【0145】 図9に示された2Lリーチ演出のうち、2Lリーチ演出(i)は、変動パターンPA2-1(ハズレ時)及び変動パターンPB2-1(大当たり時)に対応する。2Lリーチ演出(i)では、まず1Lモードで全飾り図柄が変動する2Lリーチ演出(全図柄変動)に続いて有効ラインLN1がリーチ状態となる。そして、有効ライン数が2に増加する。そして、第1L煽り演出、第2L煽り演出が実行される。そして、第2L煽り演出が終了すると(時刻T201)、可変表示結果が導出される。即ち、2Lリーチ演出(i)では、スーパーリーチ演出に発展せずに、可変表示結果が導出される。 【0146】 第1L煽り演出及び第2L煽り演出は、それぞれが下記演出進行(1)?(4)を含む共通の演出進行で実行される。 (1)実行中の有効ライン(注目有効ライン)上の停止表示されている飾り図柄(例えば飾り図柄表示エリア5L及び飾り図柄表示エリア5R上の飾り絵柄)が強調(例えば他の停止表示されている飾り図柄よりも大きく表示される等)されて、注目ライン有効ラインにてライン煽り演出が開始されることを明示する。 (2)未だ停止表示されていない飾り図柄表示エリア(例えば飾り図柄表示エリア5C)上にて、有効ライン上に停止するかのように強調(例えば図柄の色が異なる、図柄の大きさが大きい、移動の速度が遅い等)された飾り絵柄(強調移動飾り図柄)が現れる(図9の「接近」)。 (3)強調移動飾り図柄が注目有効ライン上で停止するかのような煽り演出(停止煽り演出)が実行される(図9の「煽」)。 (4)停止煽り演出終了後に、強調移動飾り図柄が有効ラインを通過する(図9の「ハズレ」)。 【0147】 第1L煽り演出及び第2L煽り演出には、それぞれ二箇所の発展タイミング(第1L煽り演出に対して発展タイミングp1a及び発展タイミングp2a、第2L煽り演出に対して発展タイミングp2a及び発展タイミングp2b)が設置されている。発展タイミングp1a及び発展タイミングp2bは第2Lリーチ演出の(2)と(3)の境目のタイミングに、発展タイミングp1a及び発展タイミングp1bは第1L煽り演出の(3)と(4)の境目のタイミングに、それぞれ設定されている。対応する発展タイミング(例えば発展タイミングp1aと発展タイミングp2aと)において、可変表示の態様は共通の表示態様を示す。ここでは、例えば停止表示されていない強調移動飾り図柄が、有効ラインに所定の距離まで近づいた(あるいは遠ざかった)ことを共通の表示態様としてもよい。あるいは、各ライン煽り演出中の所定のタイミングで、停止表示された飾り図柄を振動させる等、任意の表示態様を共通の表示態様としてもよい。 【0148】 2Lリーチ演出(ii)は、変動パターンPA2-2(ハズレ時)及び変動パターンPB2-2(大当たり時)に対応し、発展タイミングp2bでスーパーリーチ演出に発展する。2Lリーチ演出(iii)は、変動パターンPA2-3(ハズレ時)及び変動パターンPB2-3(大当たり時)に対応し、発展タイミングp2aでスーパーリーチ演出に発展する。2Lリーチ演出(iv)は、変動パターンPA2-4(ハズレ時)及び変動パターンPB2-4(大当たり時)に対応し、発展タイミングp1bでスーパーリーチ演出に発展する。2Lリーチ演出(v)は、変動パターンPA2-5(ハズレ時)及び変動パターンPB2-5(大当たり時)に対応し、発展タイミングp1aでスーパーリーチ演出に発展する。 【0149】 変動パターンPA3-1?変動パターンPA3-7、変動パターンPB3-1?変動パターンPB3-7は、3Lリーチ演出が実行され、その後に特図表示結果が導出される変動パターンに対応する。図10は、3Lリーチ演出が実行される場合における各種演出の実行タイミングを示している。図10は、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始(時刻T0)されてから、3Lリーチ演出が実行された後、可変表示結果が導出されるまでに実行される各種演出を示している。 【0150】 図10に示された3Lリーチ演出のうち、3Lリーチ演出(a)は、変動パターンPA3-1(ハズレ時)及び変動パターンPB3-1(大当たり時)に対応する。3Lリーチ演出(a)では、まずシングルラインモードにおける全図柄変動が実行される。そして、有効ラインLN1がリーチ状態となると、有効ライン数が3に増加することを示す演出(3分裂)、第1L煽り演出、第2L煽り演出、第3L煽り演出が実行される。第1L煽り演出?第3L演出は、図9のライン煽り演出(第1L煽り演出及び第2L演出)と同様に実行される。そして、第3L煽り演出が終了すると(時刻T301)、可変表示結果が導出される。即ち、図10の3Lリーチ演出(a)は、スーパーリーチ演出に発展せずに、可変表示結果が導出される演出パターンである。図10の各ライン煽り演出は、図9の各ライン煽り演出と同様の内容及び演出期間を持つ。 【0151】 図10の各ライン煽り演出には、それぞれ二箇所の発展タイミング(第1L煽り演出に対して発展タイミングp1a及び発展タイミングp2a、第2L煽り演出に対して発展タイミングp2a及び発展タイミングp2b、第3L煽り演出に対して発展タイミングp3a及び発展タイミングp3b)が設置されている。また、図9の場合と同様に、対応する発展タイミング(例えば発展タイミングp1a、発展タイミングp2a及び発展タイミングp3a)において、可変表示の態様は共通の表示態様を示す。 【0152】 図10の3Lリーチ演出(b)は、変動パターンPA3-2(ハズレ時)及び変動パターンPB3-2(大当たり時)に対応し、発展タイミングp3bでスーパーリーチ演出に発展する。3Lリーチ演出(c)は、変動パターンPA3-3(ハズレ時)及び変動パターンPB3-3(大当たり時)に対応し、発展タイミングp3aでスーパーリーチ演出に発展する。3Lリーチ演出(d)は、変動パターンPA3-4(ハズレ時)及び変動パターンPB3-4(大当たり時)に対応し、発展タイミングp2bでスーパーリーチ演出に発展する。3Lリーチ演出(e)は、変動パターンPA3-5(ハズレ時)及び変動パターンPB3-5(大当たり時)に対応し、発展タイミングp2aでスーパーリーチ演出に発展する。3Lリーチ演出(f)は、変動パターンPA3-6(ハズレ時)及び変動パターンPB3-6(大当たり時)に対応し、発展タイミングp1bでスーパーリーチ演出に発展する。3Lリーチ演出(g)は、変動パターンPA3-7(ハズレ時)及び変動パターンPB3-7(大当たり時)に対応し、発展タイミングp1aでスーパーリーチ演出に発展する。 【0153】 図9と図10で、対応する発展タイミング(例えば図9の発展タイミングp1aと図10の発展タイミングp1a)で発展するマルチラインリーチ演出(例えば図9の2Lリーチ演出(ii)と図10の3Lリーチ演出(d)には、多少の変動時間の差(例えばT202とT304との間で100ms)が存在する。これは、変動時間に差をつけることで、3Lモードか、2Lモードか、を変動パターン(特図変動時間に対応)によって決定するためである。このためには、例えば図10の3分裂と図9の2分裂とで、上記変動時間の差に該当するだけ演出期間に差があるように設定すればよい。」 シ 「 」 ス 「【0159】 ハズレ時に図11(A)及び図11(B)に示すような、大当り時に図11(A)及び図11(C)に示すような決定例で変動パターンが決定されることにより、2Lリーチ演出及び3Lリーチ演出は、各発展タイミングにおいて、図11(D)に示した確率(発展率)でスーパーリーチ演出に発展する。 【0160】 図11(A)、図11(B)及び図11(C)に示す決定例では、発展タイミングのそれぞれで、リーチ演出が発展する発展確率が異なるように変動パターンの決定確率が設定されている。さらに、本実施の形態では、決定確率は、各発展タイミングにおいて終了しているライン煽り演出の数(例えば発展タイミングp3a及び発展タイミングp3bにおいては「2」、発展タイミングp2a及び発展タイミングp2bにおいては「1」、発展タイミングp1a及び発展タイミングp1bにおいては「0」)が多いほど、発展確率が小さくなるように設定されている。 【0161】 さらに、図11(A)、図11(B)及び図11(C)に示す決定例では、同じマルチラインリーチ演出でも、演出態様の違い(2Lリーチ演出か、あるいは3Lリーチ演出か)によって、何れかの発展タイミングでスーパーリーチ演出に発展するか、あるいは発展せず終了するか、の確率が異なるように決定確率が設定されている。具体的には、図11(B)における発展タイミング「なし」の割合に対する、図11(C)における発展タイミング「なし」の比率が、3Lリーチ演出が2Lリーチ演出よりも大きくなるように設定されている結果、3Lリーチ演出がスーパーリーチ演出に発展せず終了する確率を、2Lリーチ演出よりも低く設定することができる。 【0162】 ハズレ時に図11(A)及び図11(B)に示すような、大当り時に図11(A)及び図11(C)に示すような決定例で変動パターンが決定されることにより、普通マルチラインリーチ演出及び、所定の有効ライン数のマルチラインリーチからある発展タイミングにおいて発展したスーパーリーチ演出は、図11(E)に示すような大当り信頼度Pcを持つ。 【0163】 なお、本実施の形態では、非確変時と確変時とで、確変時には大当たり確率が上昇することに対応して、図11(A)に示すように各マルチライン演出種別(2L種別及び3L種別)が選択される割合を異ならせることで、確変時と非確変時とにおける「到達時の発展確率」と「大当り信頼度」を実質的に同一としている。なお、これに限らず、確変時と非確変時とで各発展タイミングにおける発展確率・各演出パターンの大当り信頼度が変わるとしても良い。 ・・・略・・・ 【0166】 さらに、図11(A)、図11(B)及び図11(C)に示す決定例では、同じマルチラインリーチ演出でも、演出態様の違い(2Lリーチ演出か、あるいは3Lリーチ演出か)によって、大当り信頼度が異なるように設定されている。図11(E)の例では、同じ発展タイミングにて発展した場合には、3Lリーチ演出から発展した場合のほうが、2Lリーチ演出から発展した場合よりも大当り信頼度が高い。 【0167】 図11(A)、図11(B)及び図11(C)に示す決定例では、各有効ライン数のマルチラインリーチ演出からスーパーリーチ演出に発展した発展タイミングにおいて終了しているライン煽り演出の数(終了ライン数。例えば発展タイミングp3a及び発展タイミングp3bにおいては「2」、発展タイミングp2a及び発展タイミングp2bにおいては「1」、発展タイミングp1a及び発展タイミングp1bにおいては「0」)によって、異なる大当り信頼度が得られるように設定されている。具体的には、同じ3Lリーチ演出からスーパーリーチ演出に発展する場合でも、終了ライン数が「0」であるときと、終了ライン数が「1」であるときと、終了ライン数が「2」であるときと、では大当り信頼度がそれぞれ異なるように各種変動パターンの選択割合が設定されている。そのため、終了ライン数に応じた異なる大当り信頼度(図11(A)?(C)の例では、終了ライン数が多いほど信頼度が高い)を定めることが出来る。図11(E)の例では、同じ有効ライン数のマルチラインリーチ演出から発展した場合には、終了ライン数が多いほど大当り信頼度が高い。」 セ 「 」 ソ 「【0178】 図12は、演出制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す演出制御プロセス処理において、演出制御用CPU120は、RAM122の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)に設けられた演出プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS170?S177の処理のいずれかを選択して実行する。 【0179】 ステップS170の可変表示開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。この可変表示開始待ち処理は、主基板11からの第1変動開始コマンドあるいは第2変動開始コマンドなどを受信したか否かに基づき、画像表示装置5における飾り図柄の可変表示を開始するか否かを判定する処理などを含んでいる。 【0180】 ステップS171の可変表示開始設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。この可変表示開始設定処理は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおいて特別図柄の可変表示が開始されることに対応して、画像表示装置5における飾り図柄の可変表示や、その他の各種演出動作を行うために、特別図柄の変動パターンや表示結果の種類などに応じた確定飾り図柄や各種の演出制御パターンを決定する処理などを含んでいる。 【0181】 ステップS172の可変表示中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。この可変表示中演出処理において、演出制御用CPU120は、RAM122の所定領域(例えば演出制御タイマ設定部)に設けられた演出制御プロセスタイマにおけるタイマ値に対応して、演出制御パターンから各種の制御データを読み出し、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行う。こうした演出制御を行った後、例えば特図変動時演出制御パターンから飾り図柄の可変表示終了を示す終了コードが読み出されたこと、あるいは、主基板11から伝送される図柄確定コマンドを受信したことなどに対応して、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる。確定飾り図柄を完全停止表示したときには、演出プロセスフラグの値が“3”に更新される。」 タ 「【0206】 図17は、3ラインリーチモードから、第1ライン煽り演出中にスーパーリーチ演出に発展する演出(図10の3Lリーチ演出(f)及び3Lリーチ演出(g))の例を示す。例えば3Lリーチ演出(g)では、3ラインリーチ演出上の発展タイミングp1a(図17(A))の共通表示態様が表示された後、リーチ演出の発展を示す演出画面が画像表示装置5の表示領域に表示される(図17(B))。そして、スーパーリーチ演出が実行される(図17(C))。また、3Lリーチ演出(f)では、3ラインリーチ演出上の発展タイミングp1b(図17(D))の共通表示態様が表示された後、リーチ演出の発展を示す演出画面が画像表示装置5の表示領域に表示される(図17(E))。そして、スーパーリーチ演出が実行される(図17(F))。」 チ 「 」 ツ 上記アないしチから、引用例には、実施形態として、次の発明が記載されている。なお、aないしrについては本願発明のAないしRに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。 「a ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている遊技盤2(【0015】)と、 b 遊技盤2における遊技領域の中央付近に設けられた画像表示装置5の下方に設けられ、遊技球が通過(進入)する始動入賞の発生により特図ゲームの始動条件を成立させるための、第1始動入賞口を形成する普通入賞球装置6Aと、第2始動入賞口を形成する普通可変入賞球装置6B(【0018】、【0023】、【0024】、【0028】)と、 c、e 第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bがオンであるか否かが判定される始動入賞判定処理を実行した後、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行し(【0104】、【0107】、【0108】)、 f 可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」や「小当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意され(【0139】ないし【0141】)、可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かの事前決定結果などに基づいて、変動パターン決定用の乱数値MR2を用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定し(【0101】、【0109】)、 g 可変表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンド遊技の実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う(【0112】)、 CPU103(【0107】)と、 d 特別図柄の可変表示結果(特図表示結果)を予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かを導出表示する第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4B(【0016】、【0061】、【0063】)と、 h 遊技盤2における遊技領域の中央付近に設けられている画像表示装置5(【0018】)と、 i、j、k 画像表示装置5における飾り図柄の可変表示や、その他の各種演出動作を行うために、特別図柄の変動パターンや表示結果の種類などに応じた確定飾り図柄や各種の演出制御パターンを決定する処理を実行する(【0180】)、演出制御用CPU120(【0178】)と、 を備え、 l、p 画像表示装置5の「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄の可変表示結果などが導出表示(停止表示)される有効ラインの数(有効ライン数)を、「1」に設定した1ラインモード(1Lモード)(【0020】)、又は、「2」に設定した2ラインモード(2Lモード)と「3」に設定した3ラインモード(3Lモード)(【0020】)であるマルチラインモード(【0021】)にて飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの有効ライン上に飾り図柄がリーチ状態となった後に、ノーマルリーチ演出態様とは異なる所定の演出態様(スーパーリーチ演出態様)を画像表示装置5の表示領域にて表示するスーパーリーチ演出に(【0081】)発展する場合としない場合に対応する変動パターンを有し(【0142】)、 m スーパーリーチ演出が実行された場合には、ノーマルリーチ演出及びマルチラインリーチ演出のみが実行された場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度、大当り信頼度とも言う)がさらに高くなり(【0079】)、 n 2Lリーチ演出では、まず1Lモードで全飾り図柄が変動する2Lリーチ演出(全図柄変動)に続いて有効ラインLN1がリーチ状態となり、有効ライン数が2に増加し、第1L煽り演出、第2L煽り演出が実行され(【0145】)、 3Lリーチ演出では、まず1Lモードにおける全図柄変動が実行され、有効ラインLN1がリーチ状態となると、有効ライン数が3に増加することを示す演出(3分裂)、第1L煽り演出、第2L煽り演出、第3L煽り演出が実行され(【0150】)、 各ライン煽り演出には、それぞれ二箇所の発展タイミング(第1L煽り演出に対して発展タイミングp1a及び発展タイミングp2a、第2L煽り演出に対して発展タイミングp2a及び発展タイミングp2b、第3L煽り演出に対して発展タイミングp3a及び発展タイミングp3b)が設置され(【0151】)、 普通マルチラインリーチ演出及び、所定の有効ライン数のマルチラインリーチからある発展タイミングにおいて発展したスーパーリーチ演出は、下記表に示すような大当り信頼度Pcを持ち(【0162】、図11(E))、 o、q マルチラインリーチ演出を2Lリーチ演出、3Lリーチ演出で実行したかに応じて異なる割合で、スーパーリーチ演出に発展する(【0010】)、 r パチンコ遊技機1(【0015】)。 表: 」(以下「引用発明」という。) (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する(見出し(a)ないし(r)は、本願補正発明の特定事項AないしRに対応する。)。 (a)引用発明の「a ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている遊技盤2」は、本願補正発明の「A 遊技領域が形成された遊技盤」に相当する。 (b)引用発明の「b 遊技盤2における遊技領域の中央付近に設けられた画像表示装置5の下方に設けられ、遊技球が通過(進入)する始動入賞の発生により特図ゲームの始動条件を成立させるための、第1始動入賞口を形成する普通入賞球装置6Aと、第2始動入賞口を形成する普通可変入賞球装置6B」は、本願補正発明の「B 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口」に相当する。 (c)(e)引用発明の「第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bがオンである」、「大当り遊技状態」、「特別図柄や飾り図柄の可変表示結果」は、それぞれ、本願補正発明の「前記始動入賞口への入球を契機として」、「通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技」、「図柄表示装置へ停止表示させる図柄」に相当する。 引用発明において、「CPU103」は、第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bがオンである(始動入賞口への入球を契機)ことが判定される始動入賞判定処理を実行した後、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果(図柄表示装置へ停止表示させる図柄)を「大当り」とするか否かを決定するものであり、「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態(通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技)においてラウンド遊技の実行を開始して大入賞口を開放状態とするのである。「大当り」とするか否かである当否判定を抽選値に基づいて実行し該当否判定の結果である「大当り」等を特別図柄や飾り図柄の可変表示結果とすることは、技術常識である。 そうすると、引用発明の「CPU103」は、本願補正発明の「C 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段」及び「E 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段」を備える。 (d)引用発明の「d 特別図柄の可変表示結果(特図表示結果)を予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かを導出表示する第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4B」は、導出表示する前に図柄が変動表示されていることは技術常識であるから、本願補正発明の「D 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置」に相当する。 (f)引用発明において、「CPU103」は、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」や「小当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意され、特図表示結果が例えば「ハズレ」となるハズレ時に対応した変動パターンを決定するものであり、各変動パターンが変動時間等の図柄の変動表示過程を定めていることが技術常識であり、また、乱数値MR2を用いて変動パターンを決定しているのであるから、変動パターンを抽選で選択することも自明である。 そうすると、引用発明の「CPU103」は、本願補正発明の「F 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段」を備える。 (g)引用発明において、「CPU103」は、可変表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態(特別遊技)においてラウンド遊技の実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行うから、引用発明の「CPU103」は、本願補正発明の「G 前記当否判定が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段」を備える。 (h)引用発明の「h 遊技盤2における遊技領域の中央付近に設けられている画像表示装置5」は、飾り図柄の可変表示等の演出内容を表示するから、本願補正発明の「H 演出内容が表示される演出表示装置」に相当する。 (i)(j)(k)引用発明において、「演出制御用CPU120」は、画像表示装置5における飾り図柄の可変表示や、その他の各種演出動作を行うために、特別図柄の変動パターンや表示結果の種類などに応じた確定飾り図柄や各種の演出制御パターンを決定する処理を実行するから、引用発明の「演出制御用CPU120」は、本願補正発明の「I 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段」、「J 前記演出決定手段により決定された前記演出内容を前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段」及び「K 前記演出決定手段は、図柄変動演出の過程が定められた複数の変動演出パターンからいずれかを前記演出内容として選択し」との特定事項を備える。 (l)(p)引用発明の「リーチ状態」を含む期間、「スーパーリーチ演出」を実行する期間、「リーチ状態となった後に、スーパーリーチ演出に発展する場合」は、それぞれ、本願補正発明の「第1の演出期間」、「第2の演出期間」、「特殊演出」に相当する。 そして、引用発明のl、pは、1Lモード、2Lモード又は3Lモードであるマルチラインモードにてリーチ状態(第1の演出期間)となった後に、スーパーリーチ演出(第2の演出期間)に発展する場合(特殊演出)と発展しない場合に対応する変動パターンがある。該変動パターンはスーパーリーチに発展する前の1Lモード、2Lモード又は3Lモードにそれぞれ対応する複数種類が存在する。 そうすると、引用発明l、pは、本願補正発明の「L 前記複数の変動演出パターンには、先に表示される第1の演出期間と後に表示される第2の演出期間とを含み得る演出である特殊演出の過程が定められた複数種類の特殊変動演出パターンが含まれ」に相当する構成を備える。 また、引用発明l、pは、本願補正発明の「P 前記第1の演出期間は、リーチ成立状態において表示される演出の期間であり」に相当する構成を備える。 (m)引用発明のmにおいて、スーパーリーチ演出(第2の演出期間)が実行された場合には、ノーマルリーチ演出及びマルチラインリーチ演出(第1の演出期間)のみが実行された場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度)がさらに高くなるから、引用発明のmは、本願補正発明の「M 前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展しない特殊変動演出パターンより大当り期待度が高いことを示唆する演出パターンであり」に相当する。 (n)引用発明の「スーパーリーチ演出」に「発展」する演出、「大当り信頼度」は、それぞれ本願補正発明の「特殊変動演出パターン」、「大当り期待度」に相当する。 また、引用発明の表の記載から、スーパーリーチ演出(第2の演出期間)に発展するタイミングが遅いほど大当り信頼度(大当り期待度)が高くなっていることが把握できる。 そうすると、引用発明のnにおいて、普通マルチラインリーチ演出及び所定の有効ライン数のマルチラインリーチ(第1の演出期間)からスーパーリーチ演出(第2の演出期間)に発展するタイミングが遅いほど大当り信頼度(大当り期待度)が高くなっている。 してみると、引用発明のnは、本願補正発明の「N 前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間において前記第2の演出期間へ発展する旨を報知するタイミングが、前記第1の演出期間のうち遅いタイミングとなるほど大当り期待度が高く」に相当する。 (o)引用発明の「『2Lリーチ演出』又は『3Lリーチ演出』である『マルチラインリーチ演出』」は、本願補正発明の「予告演出」に相当する。 引用発明o、qは、マルチラインリーチ演出(予告演出;第1の演出期間)を2Lリーチ演出、3Lリーチ演出で実行したかに応じて異なる割合で、スーパーリーチ演出に発展するものであり、2Lリーチ演出と3Lリーチ演出とは表示態様が異なるから、マルチラインリーチ演出(予告演出)の表示態様により、スーパーリーチ演出(第2の演出期間)へ発展する可能性が異なるといえる。 そうすると、引用発明のo、qは、本願補正発明の「O 前記第1の演出期間において、前記第2の演出期間へ発展する旨を報知する前に前記発展の可能性を示唆する予告演出を表示する場合があり、前記予告演出の表示態様により、前記第2の演出期間へ発展する可能性が異なり」に相当する構成を備える。 (q)引用発明のo、qにおいて、マルチラインリーチ演出(予告演出)は、変動開始後の所定のタイミングで実行され、前述のとおり、スーパーリーチ演出(第2の演出期間)へ発展する可能性が異なる2Lリーチ演出と3Lリーチ演出からなり、2Lリーチ演出と3Lリーチ演出が複数段階の表示態様であるといえる。 そうすると、引用発明のo、qは、本願補正発明の「Q 前記予告演出は、前記第1の演出期間における所定のタイミングにて表示される演出であって、前記第2の演出期間への発展期待度が相違する複数段階の表示態様を有する」に相当する構成を備える。 (r)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「弾球遊技機」に相当する。 以上のとおりであるから、本願補正発明と引用発明とは、 「A 遊技領域が形成された遊技盤と、 B 前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、 C 前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための抽選値に基づいて当否判定を実行する当否判定手段と、 D 前記当否判定の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、 E 前記当否判定の結果に応じて前記図柄表示装置へ停止表示させる図柄を決定する図柄決定手段と、 F 図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動パターンから前記当否判定の結果に応じていずれかを抽選で選択する変動パターン決定手段と、 G 前記当否判定が前記特別遊技へ移行すべき旨の結果となった場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、 H 演出内容が表示される演出表示装置と、 I 前記演出表示装置に表示させる演出内容を決定する演出決定手段と、 J 前記演出決定手段により決定された前記演出内容を前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、 K 前記演出決定手段は、図柄変動演出の過程が定められた複数の変動演出パターンからいずれかを前記演出内容として選択し、 L 前記複数の変動演出パターンには、先に表示される第1の演出期間と後に表示される第2の演出期間とを含み得る演出である特殊演出の過程が定められた複数種類の特殊変動演出パターンが含まれ、 M 前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間から前記第2の演出期間へと発展しない特殊変動演出パターンより大当り期待度が高いことを示唆する演出パターンであり、 N 前記第2の演出期間へと発展する特殊変動演出パターンは、前記第1の演出期間において前記第2の演出期間へ発展する旨を報知するタイミングが、前記第1の演出期間のうち遅いタイミングとなるほど大当り期待度が高く、 O 前記第1の演出期間において、前記第2の演出期間へ発展する旨を報知する前に前記発展の可能性を示唆する予告演出を表示する場合があり、前記予告演出の表示態様により、前記第2の演出期間へ発展する可能性が異なり、 P 前記第1の演出期間は、リーチ成立状態において表示される演出の期間であり、 Q 前記予告演出は、前記第1の演出期間における所定のタイミングにて表示される演出であって、前記第2の演出期間への発展期待度が相違する複数段階の表示態様を有する R 弾球遊技機。」である点で一致し、相違するところはない。 したがって、本願補正発明は、引用発明と同一であり、引用例に記載された発明である。 (4)請求人の主張について 請求人は、審判請求書の「4.本願発明が特許されるべき理由」の「(3)本願発明と引用発明の対比」において、以下のとおり主張している。 「本願発明と引用発明との間には種々の相違点が存在するも、特に以下の点において顕著な相違が存在します。 本願発明においては、「前記第1の演出期間は、リーチ成立状態において表示される演出の期間であり、前記予告演出は、前記第1の演出期間における所定のタイミングにて表示される演出であって、前記第2の演出期間への発展期待度が相違する複数段階の表示態様を有する」ことを主な特徴の一つとしますが、そのような発明特定事項は引用文献1には開示されていません。 ここで、拒絶理由通知においては、本願発明の「第1の演出期間」に対し、「引用例1の段落[0159]には、『2Lリーチ演出及び3Lリーチ演出は、各発展タイミングにおいて、図11(D)に示した確率(発展率)でスーパーリーチ演出に発展する。』と記載されており、図11(D)から、2Lリーチ演出と3Lリーチ演出のいずれかが実行されるかに応じて、スーパーリーチ演出に発展する可能性が異なることは明らかである。」とのご指摘をされています。しかしながら、本願請求項1に記載の「第1の演出期間」は「リーチ成立状態において表示される演出の期間」であるのに対し(段落0254,図8等)、引用文献1の「2Lリーチ演出」や「3Lリーチ演出」は、「まず1Lモードで全飾り図柄が変動する2Lリーチ演出(全図柄変動)に続いて有効ラインLN1がリーチ状態となる」(段落0145)と記載される通り、リーチ成立前の「全図柄変動」の表示から始まる演出(図9,10等)である点で、本願発明の「第1の演出期間」とは相違します。 このように、本願の発明特定事項が開示されていない引用文献1の構成を組み合わせても本願の発明特定事項を実現することはできず、また、本願の発明特定事項を実現しようとする動機付けとなる示唆が引用文献1にあったとも言えません。したがって、いわゆる当業者が本願の発明特定事項を引用発明に基づいて容易に発明することができたということはできません。」 以下、請求人の主張について検討する。 まず、引用例(引用例1)の【0145】(上記(2)サ)を再掲すると、「図9に示された2Lリーチ演出のうち、2Lリーチ演出(i)は、変動パターンPA2-1(ハズレ時)及び変動パターンPB2-1(大当たり時)に対応する。2Lリーチ演出(i)では、まず1Lモードで全飾り図柄が変動する2Lリーチ演出(全図柄変動)に続いて有効ラインLN1がリーチ状態となる。そして、有効ライン数が2に増加する。そして、第1L煽り演出、第2L煽り演出が実行される。そして、第2L煽り演出が終了すると(時刻T201)、可変表示結果が導出される。即ち、2Lリーチ演出(i)では、スーパーリーチ演出に発展せずに、可変表示結果が導出される。」である。 そして、引用例の【0086】(上記(2)オ)、図8(上記(2)コ)、図10(上記(2)シ)やその他の記載を併せて考慮すれば、「2Lリーチ演出」や「3Lリーチ演出」は、1Lモードの1Lリーチ演出に続いて実行されるものであるから、【0145】の「2Lリーチ演出(全図柄演出)」が「1Lリーチ演出(全図柄演出)」の誤記であることは明らかである。 また、上記(3)の(l)(p)で示したとおり、引用発明は、1Lモード、2Lモード又は3Lモードであるマルチラインモードにてリーチ状態(第1の演出期間)となった後に、スーパーリーチ演出(第2の演出期間)に発展するのであるから、本願補正発明の「前記第1の演出期間は、リーチ成立状態において表示される演出の期間であり」との特定事項を備えるものである。 したがって、上記主張は採用できない。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例に記載された発明である。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和1年9月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたものであるところ、上記第2〔理由〕1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、以下のとおりのものである。 (1)(新規性)この出願の令和1年9月30日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)(進歩性)この出願の令和1年9月30日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.特開2013-220164号公報 3 引用例 引用例(引用文献1)は、上記第2〔理由〕3(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を限定したものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用例に記載された発明といえるのであるから、本願発明も同様の理由により、引用例に記載された発明であるといえる。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-10-21 |
結審通知日 | 2020-10-27 |
審決日 | 2020-11-10 |
出願番号 | 特願2017-137090(P2017-137090) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀 圭史、岩永 寛道 |
特許庁審判長 |
▲吉▼川 康史 |
特許庁審判官 |
鉄 豊郎 澤田 真治 |
発明の名称 | 弾球遊技機 |
代理人 | 三木 友由 |
代理人 | 村田 雄祐 |
代理人 | 森下 賢樹 |