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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1369803
審判番号 不服2019-4116  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-29 
確定日 2021-01-06 
事件の表示 特願2016-546749「一体型装置のための同時の表示更新及び容量性感知」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月 9日国際公開、WO2015/050888、平成28年10月13日国内公表、特表2016-532234〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年10月2日、米国、2013年10月2日、米国、2014年5月20日、米国、2014年7月3日、米国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成28年 5月 9日: 手続補正書
平成30年 5月17日付け:拒絶理由通知
平成30年 8月17日: 意見書、手続補正書
平成30年11月22日付け:拒絶査定
平成31年 3月29日: 審判請求

2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成30年8月17日提出の手続補正書により特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項10に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項10】
複数のセンサ電極及び複数のディスプレイ電極に結合された処理システムを動作させる方法であって、
表示を更新するために複数のディスプレイ電極のうちの少なくとも1つへ表示信号を駆動するステップと、
前記表示のピクセルを更新するための前記表示信号の駆動している間と少なくとも部分的に重畳する第1の期間の間、前記複数のセンサ電極のうちの少なくとも1つのセンサ電極へ第1の周波数を有する第1の容量性感知信号を駆動するステップと、
前記表示のピクセルを更新するための前記表示信号を駆動している間と少なくとも部分的に重畳する第2の期間の間、前記少なくとも1つのセンサ電極へ第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を駆動するステップと、
前記第2の周波数との同期を維持するように前記表示信号のタイミングを調整するステップと、を備える方法。」

3.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1-13に係る発明は、その優先権主張日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1-2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: 特開2011-181077号公報
引用文献2: 特表2013-521548号公報

4.引用文献の記載及び引用発明について
(1) 引用文献1の記載
引用文献1(特開2011-181077号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0030】-【0036】
「【0030】
下で詳しく説明しているものの様なマルチタッチ感知配列を使用すると、マルチタッチ・センサ101の各ノード102で生成された信号を使用して、特定の時点の各タッチのイメージを作成することができる。例えば、タッチ感応面101に接触しているか近接しているそれぞれの物体(例えば、指、スタイレット、その他)は、図2に示すように、接点パッチ・エリア201を作り出す。各接点パッチ・エリア201は、数個のノード102を範囲に含んでいる。範囲に含まれた各ノード202は物体を検知するが、一方、残りの各ノード102は検知しない。その結果、タッチ面平面のピクセル化イメージ(これを、タッチ・イメージ、マルチタッチ・イメージ、又は近接イメージと呼ぶことにする)が形成される。各接点パッチ・エリア201の信号はまとめてグループ分けされる。各接点パッチ・エリア201は、各点におけるタッチの量に基づき、より高い点とより低い点を含んでいる。イメージ内の接点パッチ・エリア201の形状、並びに高い点と低い点を使用して、互いに密に接している接点パッチ・エリア201が差別化される。更に、現在のイメージを以前のイメージと比較し、物体が時間経過に伴い、どの様に移動したかと、その結果ホスト機器では、どの様な対応動作が行われたかが判定される。
【0031】
それら感知配列と組合せて、抵抗性、容量性、光学性、その他を含む、多種多様な感知技法が使用できる。容量ベースの感知配列では、物体がタッチ感応面101に近づくと、この物体と当該物体に近接している各感知点102の間に僅かな容量が形成される。この僅かな容量によって生じた感知点102のそれぞれの容量の変化を検知し、それら感知点の位置を観察することによって、感知回路103は、複数のタッチを検知し監視することができる。各容量感知ノードは、自己容量に基づくものでも又は相互容量に基づくものでもよい。
【0032】
自己容量システムでは、感知点の「自己」容量が、何らかの基準、例えば、接地、と比較して測定される。感知点102は、空間的に分離されている電極であってもよい。それら電極は、駆動回路104と感知回路103に、導電トレース105a(駆動ライン)と105b(感知ライン)によって結合されている。幾つかの自己容量式実施形態では、各電極に対する1つの導電トレースを、駆動ラインと感知ラインの両方として使用することができる。
【0033】
相互容量システムでは、第1電極と第2電極の間の「相互」容量が測定される。相互容量感知配列では、感知点は、空間的に分離された各ラインを形成している、パターン形成された導電体の交差部により形成される。例えば、駆動ラインと感知ラインが各感知点102で互いに交わる、即ち「交差する」ように、駆動ライン105aは第1層上に、感知ライン105bは第2層105b上に、形成される。異なる層は、異なる基板であってもよいし、同じ基板の異なる面であってもよいし、何らかの誘電分離を施した基板の同じ面であってもよい。駆動ラインと感知ラインの間の分離により、各「交差部」に容量性結合が生じる。
【0034】
駆動ラインと感知ラインの配列は様々である。例えば、(図示の)デカルト座標システムでは、駆動ラインは横方向の行として形成され、一方、感知ラインは縦方向の列として形成され(又は、その逆であり)、而して、明確に区別できるxとy座標を有していると考えることができる複数のノードを形成する。或いは、極座標システムでは、感知ラインは複数の同心円であって、駆動ラインは半径方向に伸びているラインであり(又は、その逆であり)、而して、明確に区別できる半径及び角座標を有していると考えることができる複数のノードを形成する。何れの場合も、駆動ライン105aは駆動回路104に接続され、感知ライン105bは感知回路103に接続される。
【0035】
作動時、駆動信号(例えば、周期的電圧)が、各駆動ライン105aに印加される。駆動されると、駆動ライン105aに印加された電荷は、各ノード102を介して、交差している各感知ライン105bに容量的に結合される。これは、検知可能測定可能な電流及び/又は電圧を、感知ライン105bに発生させる。駆動信号と感知ライン105bに現れる信号の間の関係は、駆動ラインと感知ラインを結合する容量の関数となり、これは、上で指摘したように、ノード102に近接している物体によって影響を受ける。容量感知回路(又は各回路)103は、下で更に詳しく説明するように、感知ライン105bを感知し、各ノードにおける容量を確定する。
【0036】
上で論じたように、駆動ライン105aは、一度に1つずつ駆動され、その間、他の駆動ラインは接地されている。この処理は、全ての駆動ラインが駆動されるまで、それぞれの駆動ライン105aについて繰り返され、(容量に基づく)タッチ・イメージが、感知結果から構築される。全てのライン105aが駆動されてしまうと、上記シーケンスが繰り返されて、一連のタッチ・イメージが構築される。但し、本発明の幾つかの実施形態では、2007年1月3日出願の米国特許出願第11/619,466号「同時発生感知配列」に記載されているように、複数の駆動ラインが実質的に同時又はほぼ同時に駆動される。」

イ 段落【0056】-【0058】
「【0056】
2.一体化オプション
一体型タッチ感知を備えたLCDの幾つかの実施形態は、上ガラスと下ガラスを含んでいる。2つのガラス層の間の液晶の層を通過する光の量に影響を及ぼすため、ディスプレイ制御回路を、それらガラス層の一方及び/又は両方に形成することができる。上ガラスと下ガラスの外部縁の間の空間は、ここでは液晶モジュール(LCM)と呼ばれている。
【0057】
代表的なLCD積層構成1200は、通常、図12に示す様に、追加の層を含んでいる。図12では、ハードコートされたPMMA層1201が、LCDポラライザー1202と上ガラス1203を保護しており、第2ポラライザー1205は、下ガラス1204とバックライト1206の間に含まれている。
【0058】
タッチ感知技術をLCDへの一体化するのは、各種技法を使用して実現することができる。例えば、異なるタッチ感知要素及び/又は層を、LCDディスプレイに組み込むことができ、実施形態が違えば、ディスプレイ及び/又は製造のコスト、ディスプレイの大きさ、ディスプレイの複雑性、ディスプレイの耐久性、ディスプレイの機能性、イメージ表示品質の様な要素が変動することになる。幾つかの実施形態では、タッチ感知能力は、タッチ感知要素をLCMの外部のLCDディスプレイ上に一体化することにより、LCDの中に含ませることができる。他の実施形態では、タッチ感知要素は、LCM内部(例えば、2つのガラス層の間)のみならずLCMの外部にも追加されている。更に他の実施形態では、タッチ感知要素のセットが、LCM内部(例えば、2つのガラス層の間)だけに追加されている。以下の節では、上記実施形態のそれぞれに合わせた複数のコンセプトを説明する。」

ウ 段落【0067】-【0069】
「【0067】
2.2.部分的に一体化されたタッチ感知
タッチ感知要素をLCM内部に一体化することは、様々な利点をもたらす。例えば、タッチ感知要素をLCM内部に追加すれば、ディスプレイ機能にしか使用することができなかったITO層又は他の構造を「再使用」して、タッチ感知の機能性をも提供することができるようになる。タッチ感知特性を既存のディスプレイ層に組み込むことで、合計層数を減らすことができ、これにより、ディスプレイの厚さが薄くなり、製造行程を簡素化することができる。
【0068】
以下の実施形態では、タッチ感知要素をLCM内部と外部に含ませることができる。タッチ感知要素をLCM内に一体化することは、結果的に、2つの機能の間にノイズと干渉を生じさせるので、以下の設計には、両者の間の電気的干渉によって引き起こされるディスプレイ及び/又はタッチ感知出力に対するあらゆる悪影響を低減又は排除しながら、各要素を共有できるようにする、技法も含まれている。
【0069】
2.2.1.コンセプトA
コンセプトAは、マルチタッチ可能(“MT”)ITO感知層(ITO1)2001が、上ガラス2002のユーザー側、上ガラスとポラライザー2003の間に配置されている、図20に示す基本的積層構成2000を使用することができる。一番上から始めて、タッチ感知層は、ITO1 2001(N個の感知(又は駆動)ラインにパターン形成することができるITO層)と、ITO2 2004(M個の駆動(又は感知)ラインにパターン形成することができるITO層)を含んでいる。ITO2 2004は、LCDのV_(COM)電極の役目も果たす。」

エ 段落【0074】-【0082】
「【0074】
2.2.1.3.コンセプトA:フレックス回路とタッチ/LCDドライバIC
従来のディスプレイ(例えば、図9)は、LCDドライバ集積回路(IC)901を有していて、ディスプレイのローレベル・オペレーションを制御することができるようになっている。システムのホスト・プロセッサは、コマンドとディスプレイデータをLCDドライバ901に送ることによって、ディスプレイに対してハイレベル制御を実行する。マルチタッチ・システムは、更に、1つ又は複数のドライバICを有している。援用している参考文献に記載されている1つの一例的なマルチタッチ可能システムは、3つのIC、即ち、マルチタッチ・コントローラと、外部レベルシフター/デコーダと、ARMプロセッサの様なコントローラと、を含んでいる。ARMプロセッサは、マルチタッチ・コントローラに対してローレベル制御を実行し、このマルチタッチ・コントローラが、次に、レベルシフター/デコーダを制御する。システムのホスト・プロセッサは、ARMプロセッサに対してハイレベル制御を実行し、同プロセッサからタッチデータを受け取る。幾つかの実施形態では、それら各ドライバは、単一のICに集積されている。
【0075】
図25は、タッチ/LCD駆動集積回路2501の一例的なハイレベル・ブロック図を示している。ICには、2つの主要機能、即ち、1)LCD制御と更新、及び2)タッチ走査とデータ処理、がある。これら2つの機能は、LCD制御に使用されるLCDドライバ部分2502と、タッチ走査と処理に使用されるARMプロセッサ2503及びマルチタッチ・コントローラ2504と、によって一体化することができる。各タッチ回路は、一方が他方に干渉することを防ぐために、LCD走査と同期化される。ホストと、LCDドライバ又はARMプロセッサの何れかとの間の通信は、ホスト・データ及び制御バス2505を介することになる。より一体性を高めたタッチ/LCDドライバを下で論じる。
【0076】
図26に示すように、様々なタッチ及びディスプレイ層の信号をまとめて運ぶFPC2601は、3つのコネクタタブ、即ち、T-タブ2602、B-タブ2603、及びホスト・タブ2604を有している。T-タブは、上ガラス側の感知ラインパッドに接続されている。T-タブ・トレース2605は、B-タブ2603上の対応するパッドに接続されており、B-タブは下ガラスにも取り付けられている。B-タブ2603は、更に、ホストをタッチ/LCDドライバICに接続できるようにする、ホスト・タブ2604からの通り抜け経路2606を提供している。FPC2601は、タッチ及びLCDオペレーションを支援している各種構成要素2607の基板にもなっていて、2つのパッド2608を介してバックライトFPCにも接続されている。
【0077】
FPC2601は、上ガラスと下ガラスの両方に接合されているタブでもよい。或いは、他の接合方法を採用してもよい。
【0078】
2.2.1.4.コンセプトA:下ガラス側に一体化させたタッチ駆動
レベルシフター/デコーダ・チップは、別体の電圧ブースタ(例えば、3V乃至18Vブースタ)と共に、タッチ感知のための高電圧駆動回路を提供する。1つの実施形態では、タッチ/LCDドライバICは、レベルシフター/デコーダ・チップを制御することができる。或いは、電圧ブースタ及び/又はレベルシフター/デコーダは、タッチ/LCDドライバICに一体化してもよい。例えば、その様な一体化は、高圧(18V)LTPS加工を利用して実現することができる。これにより、レベルシフター/デコーダ・チップと電圧ブースタを下ガラスの周辺に一体化することができるようになる。レベルシフター/デコーダは、更に、下で論じるVCOM変調とタッチ駆動のための電圧も提供する。
【0079】
2.2.1.5.コンセプトA:タッチ駆動をLCD V_(COM)と共有
上で論じたように、コンセプトAは、標準的なLCD積層構成に1層のITO層を追加し、それをタッチ感知ラインとして機能させている。タッチ駆動層は、ITO2とも表わされるLCD V_(COM)面と共有される。ディスプレイ・オペレーションでは、標準的なビデオ・リフレッシュ・レート(例えば、60fps)が使用される。タッチ感知では、少なくとも毎秒120回というレートが使用される。しかしながら、タッチ走査レートは、ディスプレイ・リフレッシュ・レートに一致する毎秒60走査の様な低速に落としてもよい。幾つかの実施形態では、ディスプレイ・リフレッシュ又はタッチ走査の何れかを中断させないことが望ましい場合がある。従って、ディスプレイ・リフレッシュ又はタッチ走査(同じレート又は異なるレートで行われている)を低速化又は中断させること無く、ITO2層を共有化できるようにする案をこれより説明する。
【0080】
同時に起こるディスプレイ更新とタッチ走査を図27に示している。この実施例には、5つのマルチタッチ駆動セグメント2700、2701、2702、2703、2704が示されている。各タッチ駆動セグメントは、M個のディスプレイ行に重なっている。ディスプレイは、毎秒60フレームで走査され、一方、マルチタッチ・センサ・アレイは毎秒120回走査される。図は、1ディスプレイ・フレームの時間展開が16.67msec持続することを示している。現在更新中のディスプレイのエリアは、アクティブなタッチ駆動セグメントと重ならないのが望ましい。
【0081】
パッチ2705は、各ディスプレイ行が更新中であることを表している。パッチ2706は、アクティブなタッチ駆動セグメントを表している。図27の左上隅の、ディスプレイ・フレームの開始地点で、1番目のM/2個のディスプレイ・ラインがリフレッシュされる。同時に、タッチ駆動セグメント1 2701は、タッチ感知を目的として駆動される。フレーム内を右に移動して、時間t=1.67msの時点で、次の絵は、次のM/2個のディスプレイ行がリフレッシュ中であり、同時に、タッチ駆動セグメント2 2702が駆動されることを示している。このパターンの約8.3msec後(2番目の行の開始点)には、各タッチ駆動セグメントは既に一度駆動されており、ディスプレイの半分がこれからリフレッシュされることになる。次の8.3msecでは、タッチ・アレイ全体が、再度走査されることになり、而して、走査レートは120fpsとなり、その間、ディスプレイの他方の半分が更新される。
【0082】
ディスプレイ走査は、通常、ライン順に進むので、各タッチ駆動セグメントは、ディスプレイとタッチ活動が重なるのを回避するために、順番通りに駆動されない。図27に示している実施例では、タッチ駆動の順番は、1番目の8.3msec中は1、2、3、4、0であり、2番目の8.3msec期間中は1、2、4、3、0であった。実際の順番設定は、タッチ駆動セグメントの個数とディスプレイ行の個数によって決まる。従って、一般には、タッチ駆動利用の順番をプログラムする能力があることが望ましい。但し、或る特別の場合には、固定された逐時的順番設定で十分である。」

オ 段落【0090】-【0091】
「【0090】
2.2.1.8.コンセプトA:電気モデルとV_(COM)-誘導ノイズ
ITO2は、タッチ駆動とLCD V_(COM)の両方で同時に使用されることから、V_(COM)の変調はタッチ信号にノイズを加えることになる。
【0091】
例えば、或るタッチ駆動セグメントが、別のタッチ駆動セグメントがタッチ感知に使用されているのと同じ時期に、V_(COM)で変調されると、ノイズ成分がタッチ信号に加わることがある。加わるノイズの量は、V_(STM)に関するV_(COM)変調の位相、振幅、及び周波数によって異なる。V_(COM)の振幅と周波数は、LCDで使用される反転方法によって異なる。」

(2) 引用発明
よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「マルチタッチ感知配列を使用すると、マルチタッチ・センサ101の各ノード102で生成された信号を使用して、特定の時点の各タッチのイメージである、タッチ面平面のピクセル化イメージ(これを、タッチ・イメージ、マルチタッチ・イメージ、又は近接イメージと呼ぶことにする)が形成され、
駆動ラインと感知ラインの配列は、駆動ラインは横方向の行として形成され、一方、感知ラインは縦方向の列として形成され、
作動時、駆動信号(例えば、周期的電圧)が、各駆動ライン105aに印加され、これは、検知可能測定可能な電流及び/又は電圧を、感知ライン105bに発生させ、駆動ライン105aは、一度に1つずつ駆動され、その間、他の駆動ラインは接地され、この処理は、全ての駆動ラインが駆動されるまで、それぞれの駆動ライン105aについて繰り返され、(容量に基づく)タッチ・イメージが、感知結果から構築され、全てのライン105aが駆動されてしまうと、上記シーケンスが繰り返されて、一連のタッチ・イメージが構築され、
部分的に一体化されたタッチ感知では、
タッチ感知要素を液晶モジュール(LCM)内部と外部に含ませ、タッチ感知要素をLCM内に一体化することは、結果的に、2つの機能の間にノイズと干渉を生じさせるので、両者の間の電気的干渉によって引き起こされるディスプレイ及び/又はタッチ感知出力に対するあらゆる悪影響を低減又は排除しながら、各要素を共有できるようする、技法である、
部分的に一体化されたタッチ感知のコンセプトAでは、
基本的積層構成2000を使用することができ、一番上から始めて、タッチ感知層は、ITO1 2001(N個の感知ラインにパターン形成することができるITO層)と、ITO2 2004(M個の駆動ラインにパターン形成することができるITO層)を含んでおり、ITO2 2004は、LCDのV_(COM)電極の役目も果たし、
タッチ/LCD駆動集積回路2501には、2つの主要機能、即ち、1)LCD制御と更新、及び2)タッチ走査とデータ処理、があり、
これら2つの機能は、LCD制御に使用されるLCDドライバ部分2502と、タッチ走査と処理に使用されるARMプロセッサ2503及びマルチタッチ・コントローラ2504と、によって一体化し、
各タッチ回路は、一方が他方に干渉することを防ぐために、LCD走査と同期化され、
コンセプトAは、標準的なLCD積層構成に1層のITO層を追加し、それをタッチ感知ラインとして機能させており、タッチ駆動層は、ITO2とも表わされるLCD V_(COM)面と共有され、
ディスプレイ・オペレーションでは、標準的なビデオ・リフレッシュ・レート(例えば、60fps)が使用され、タッチ感知では、少なくとも毎秒120回というレートが使用され、しかしながら、タッチ走査レートは、ディスプレイ・リフレッシュ・レートに一致する毎秒60走査の様な低速に落としてもよく、
ディスプレイ・リフレッシュ又はタッチ走査(同じレート又は異なるレートで行われている)を低速化又は中断させること無く、ITO2層を共有化できるようにするために、
同時に起こるディスプレイ更新とタッチ走査の実施例には、5つのマルチタッチ駆動セグメント2700、2701、2702、2703、2704があり、各タッチ駆動セグメントは、M個のディスプレイ行に重なっており、ディスプレイは、毎秒60フレームで走査され、一方、マルチタッチ・センサ・アレイは毎秒120回走査され、
1ディスプレイ・フレームの時間展開が16.67msec持続し、
ディスプレイ・フレームの開始地点で、1番目のM/2個のディスプレイ・ラインがリフレッシュされ、同時に、タッチ駆動セグメント1 2701は、タッチ感知を目的として駆動され、
時間t=1.67msの時点では、次のM/2個のディスプレイ行がリフレッシュ中であり、同時に、タッチ駆動セグメント2 2702が駆動され、
約8.3msec後(2番目の行の開始点)には、各タッチ駆動セグメントは既に一度駆動されており、ディスプレイの半分がこれからリフレッシュされることになり、
次の8.3msecでは、タッチ・アレイ全体が、再度走査されることになり、而して、走査レートは120fpsとなり、その間、ディスプレイの他方の半分が更新され、
ディスプレイ走査は、通常、ライン順に進むので、各タッチ駆動セグメントは、ディスプレイとタッチ活動が重なるのを回避するために、順番通りに駆動されず、タッチ駆動の順番は、1番目の8.3msec中は1、2、3、4、0であり、2番目の8.3msec期間中は1、2、4、3、0であり、
ITO2は、タッチ駆動とLCD V_(COM)の両方で同時に使用されることから、V_(COM)の変調はタッチ信号にノイズを加えることになる、
部分的に一体化されたタッチ感知のコンセプトAの方法。」

(3) 引用文献2の記載
引用文献2(特表2013-521548号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 【請求項21】
「【請求項21】
一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスにおいて干渉を防止する方法であって、
前記一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスの複合電極によって第1の周波数を有する第1のトランスミッタ信号を送信するステップであり、前記複合電極が、静電容量式感知と表示更新の両方のために構成される、ステップと、
前記ディスプレイデバイスの少なくとも1つの非表示更新期間の継続時間を変えるサブステップにより、前記複合電極によって前記第1のトランスミッタ信号を送信することから、前記複合電極によって第2のトランスミッタ信号を送信することへ切り替えるステップであり、前記第2のトランスミッタ信号が、第2の周波数を有し、切り替える前記ステップが、干渉の量に少なくとも部分的に基づいて発生する、ステップとを含む、方法。」

イ 段落【0008】
「【0008】
[0008]一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスにおいて干渉を防止する方法において、第1の周波数を有する第1のトランスミッタ信号が、一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスの複合電極(combination electrode)によって送信される。複合電極は、静電容量式感知と表示更新の両方のために構成される。複合電極によって第1のトランスミッタ信号を送信することから、複合電極によって第2のトランスミッタ信号を送信することへの切り替えが行われる。切り替えは、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの非表示更新期間の継続時間を変更することによって行われる。第2のトランスミッタ信号は、第2の周波数を有し、切り替えは、干渉の量に少なくとも部分的に基づいて行われる。」

ウ 段落【0013】
「【0013】
[0028]検討は、本明細書に記載のさまざまな実施形態が実装され得る例示的な入力デバイスの説明から始まる。この後、検討は、3つの節に分割される。第1節は、干渉を防止するための復調の変更について検討し、結果として生じた信号を異なるやり方で復調するためのいくつかの技術を説明する。第1の例示的な処理システム及びその処理システムのコンポーネントが、第1節で説明される。第1の処理システム及びその処理システムのコンポーネントの動作が、静電容量式センサーデバイスのための干渉を防止する例示的な方法の説明と併せてさらに説明される。第2節は、干渉を防止するための搬送波(carrier)周波数の切り替えについて検討し、第1の周波数を有する第1のトランスミッタ信号から第2の周波数を有する第2のトランスミッタ信号への切り替えについて説明する。第2の例示的な処理システム及びその処理システムのコンポーネントが、第2節で説明される。第2の処理システム及びその処理システムのコンポーネントの動作が、一体化された静電容量式センサー及びディスプレイデバイスにおいて干渉を防止する例示的な方法の説明と併せてさらに説明される。第3節は、干渉を防止するための非表示更新時間中の感知について検討し、いくつかの非表示更新期間及 び感知技術を説明する。第3の例示的な処理システム及びその処理システムのコンポーネントが、第3節でやはり説明される。第3の処理システム及びその処理システムのコンポーネントの動作が、一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスを用いた感知の例示的な方法の説明と併せてさらに説明される。」

エ 段落【0036】-【0038】
「【0036】
[0051]一部のディスプレイデバイスの実施形態において、トランスミッタ電極160は、静電容量式センサーデバイスとディスプレイデバイスの間で共有される。一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスの一実施形態において、トランスミッタ電極160は、静電容量式センサーデバイスのためのトランスミッタとして、及びさらにディスプレイデバイスのディスプレイの表示更新のための共通電極(ドライバ(driver))として動作する。一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスのそのような実施形態において、各トランスミッタ電極160(例えば、160-1)は、「複合電極」と呼ばれる可能性がある。さまざまな実施形態において、各共通電極は、セグメント分けされたVcom電極の1つのセグメント又は複数のセグメントである。一部の実施形態において、セグメント分けされたVcom電極のセグメントは、ディスプレイの空間的に関連する表示ピクセル行又は表示行と呼ばれることがある。一実施形態において、表示領域の一部が、静電容量式に測定され得る。別の実施形態において、これは、ディスプレイの非表示更新時間中に行われる。さらに別の実施形態において、表示領域全体が、十分な長さの単一の切れ目のない非表示更新時間中に測定又はスキャンされ得る。さまざまな実施形態において、ディスプレイ全体が、単一の表示フレーム中に測定され得る。その他の実施形態において、静電容量式センサーは、表示領域の一部のみを更新することに関連するより速いレポートレートを有する可能性がある。
【0037】
[0052]複合電極160が利用される多くの実施形態において、1つ又は複数のその他のコンポーネントが、静電容量式感知機能とディスプレイ機能の間にやはり一体化され、共有される可能性がある。例えば、処理システム110も、静電容量式感知機能及びディスプレイ機能一部の又はすべての特徴を調整及び/又は制御するために、一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイス内で共有され得る。図示されていないが、一実施形態において、その他の表示ピクセル行の電極が、トランスミッタ電極160とレシーバ電極170の間に、又はそれらの上に層を設けられ得る。図6のディスプレイデバイス600は、表示ピクセル行の一例を示す。さまざまな実施形態において、表示は、更新されるべきピクセルの行を選択し、ピクセル(又はサブピクセル)のアレーを包含するその行に関連する共通電極に対する個別に制御されるソースドライバによって選択されたピクセルに対する電圧を駆動すること(又は電流を制御すること)によって更新される。一実施形態において、複数の表示ピクセル行に関連する共通電極が、単一の複合電極へと組み合わされることができ、その複合電極に対する実質的に同じ電圧が、表示更新と静電容量式感知の両方のために処理システム110によって各表示ピクセル行に印可される。
【0038】
[0053]ここで図1Cに目を向けると、図1Cは、重なり合わない複合電極160-4?160-7の異なる位相のグループ(又は組)を示す。図1Cに見られるように、複合電極160-4?160-7のグループは、セグメント分けされたVcom電極の異なるセグメント(又は表示ピクセル行)を備える。」

オ 段落【0041】-【0044】
「【0041】
[0056]ここで図1Eに目を向けると、図1Eは、複合電極161(当審注:「160」の誤記と認める。)、レシーバ電極170、処理システム110-1、処理システム110-2、及び同期メカニズム191を備える入力デバイス195を示す。処理システム110-1は、レシーバ電極160(当審注:「170」の誤記と認める。)と結合され、レシーバ電極161(当審注:「170」の誤記と認める。)を用いて結果として生じた信号を受信するように構成される。その他の実施形態において、処理システム110-1は、複合電極161(当審注:「160」の誤記と認める。)の一部又はすべてと結合される。1つのさらなる実施形態において、入力デバイス195は、トランスミッタ電極を備え、処理システム110-1は、それらのトランスミッタ電極と結合される。処理システム110-2は、複合電極161(当審注:「160」の誤記と認める。)と結合される。一実施形態において、処理システム110-2は、画像の表示を制御するための表示制御回路を備える。表示制御回路は、ピクセルソースドライバ(図示せず)を通じて表示ピクセル電極に1つ又は複数のピクセル電圧を印可するように構成される。表示制御回路は、共通電極に1つ又は複数の共通駆動電圧を印可するようにやはり構成され得る。一実施形態において、共通駆動電圧は、画像表示制御の駆動サイクルと同期して反転するか、又は反転しない可能性がある(例えば、ライン反転)。一実施形態において、複合電極は、複合ソースドライバ及び静電容量式センサーのトランスミッタである可能性もある。一部の実施形態において、レシーバ電極は、ソースドライバ電極と機能を共有する可能性もある。一実施形態において、処理システム110は、処理システム110-1及び処理システム110-2を備える。別の実施形態において、処理システム110-1及び処理システム110-2は、単一の処理システムの集積回路及びモジュールとして実装され得る。
【0042】
[0057]処理システム110-1は、静電容量式感知を制御するように構成されることができ、処理システム110-2は、表示更新を制御するように構成されることができる。処理システム110-1は、同期メカニズム191を介して処理システム110-2と結合され得る。処理システム110-1及び処理システム110-2は、同期メカニズム191を介して互いに通信することができる。一実施形態において、処理システム110-2は、同期信号に応答して感知領域をスキャンするために変調される複合電極の組を変更することができる。一実施形態において、処理システム110-1は、レシーバのサンプリングと同期された信号を、同期メカニズム191を介して処理システム110-2に与えることができる。別の実施形態において、処理システム110-2は、トランスミッタ信号(ディスプレイ基準電圧)を、複合電極を駆動するのに共用できる別のトランスミッタ信号に切り替えることができる。一実施形態において、ディスプレイ基準電圧は、同期メカニズムを介して処理システム110-1に与えられることができ、処理システム110-1は、その基準電圧を、複合電極で駆動されるべきトランスミッタ信号として使用することができる。その他の実施形態において、同期メカニズム191は、処理システム110-1と処理システム110-2の間で基準信号を共有することができる。同期信号は、複合電極のために表示と共用できるタイミングを生成するために処理システム110-1と処理システム110-2の間で共有され得る。一実施形態において、ピクセル行タイミング及び垂直フレームタイミングを示すことができる同期信号が、共有され、同期のために使用され得る。その他の実施形態において、同期信号は、異なるトランスミッタ電極を直接駆動するか、若しくは異なるレシーバ電極で受信するため、又は入力要素(例えば、ボタン、スクロールストリップなど)を初期化するためなど、処理システム110-1又は110-2のいずれかの中でその他の目的のために使用されることもできる。処理システム110が処理システム110-1及び処理システム110-2を備える一部の実施形態において、同期メカニズムが、処理システム110によって備えられ、複合電極のために表示と共用できるタイミングを生成ことができる。さまざまな実施形態において、ディスプレイのVcomが、ディスプレイ基準共通電圧である。そのような実施形態において、基準電圧は、複合電極のために表示と共用できる同期電圧をもたらすために処理システム110-1と処理システム110-2の間で共有され得る。一実施形態において、表示と共用できる同期電圧は、表示動作を著しく妨げることがない、静電容量式感知のために与えられるトランスミッタ信号を含む。一実施形態において、表示された画像は、著しい目に見える表示の欠陥を含まない。別の実施形態において、表示と共用できる同期電圧は、ピクセル更新時間中に静電容量式感知を妨げないピクセル更新電圧を含む。ある実施形態において、これは、静電容量式センサーシステムの著しいレポート位置の誤りを引き起こさないことを含む。
【0043】
[0058]さまざまな実施形態において、表示更新と静電容量式感知の間の干渉を防止するために、処理システム110は、表示更新時間中、電圧の遷移(例えば、エッジ)の発生及び駆動を中止することができる。別の実施形態において、処理システム110は、「雑音の多い」表示更新時間中、処理システム110のレシーバ回路のゲートをオフにするか、又は復調を中止することができる。その他の実施形態において、表示更新と静電容量式感知の間の干渉を防止するために、処理システム110-1及び/又は処理システム110-2は、表示更新時間中、電圧の遷移(例えば、エッジ)の発生及び駆動を中止することができる。表示更新時間は、同期メカニズム191を介して処理システム110-2から処理システム110-1に伝達され得る。さらに別の実施形態において、処理システム110-2は、「雑音の多い」表示更新時間中、処理システム110-1のレシーバ回路のゲートをオフにするか、又は復調を中止するように同期メカニズム191を介して処理システム110-1に信号を送ることができる。
【0044】
[0059]別個のディスプレイ駆動電子機器(例えば、処理システム110-2)と静電容量式感知電子機器(例えば、処理システム110-1)の間の同期は、同期メカニズム191(例えば、電子パルスを運ぶ電極)を用いたシステム間の通信によって実現され得る。一部の実施形態において、トリガーシステムが、処理システム110-1及び処理システム110-2が別個のクロックドメインを有する場合に同期を可能にすることができる。トリガーシステムは、オシロスコープで利用可能である標準的なモード(例えば、遅延時間、アクティブ時間、トリガーホールドオフ時間など)と似た標準的なモードを有する可能性があるか、又はより普通の再生技術を使用する可能性がある。その他の実施形態において、ベクトルテーブル、LUT(ルックアップテーブル)などが、トリガーイベント及びタイミングを生成する際に使用され得る。その他の実施形態において、タイミング回復信号(例えば、遅延ロックループ、位相ロックループなど)が、同期のために使用され得る。さらにその他の実施形態において、処理システム110-1は、複合電極上の遷移をもたらす(例えば、変調する)こと、ゲーティング(gating)、又はどの電極が変調されるかを選択すること(例えば、複合電極の組を選択すること)のために同期信号を伝達することもできる。同期信号は、イベントを引き起こすことができるか、又は空間を節約するためにより複雑な信号(例えば、TFTガラスのためのシフトレジスタのクロッキング)を駆動することができる。一部の実施形態において、接地基準電圧が、処理システム110-1と110-2の間で伝達される。その他の実施形態において、接地に対するその他の電圧(例えば、Vcom、Vcom+、Vcom-などの共通ディスプレイ電圧)も、伝達され得る。そのような伝達される基準は、どちらかの処理システムが、複合電極を駆動し、表示性能に対する静電容量式感知のあらゆる悪影響、又は静電容量式感知の性能に対する表示更新のあらゆる悪影響を減らすことを可能にすることができる。」

カ 段落【0046】-【0049】
「第1節
干渉を防止するための復調の変更
【0046】

・・・(中略)・・・

【0048】
[0063]同じ又はさまざまな重みのより多くの復調は、オーバーサンプリング、高調波キャンセル(harmonic canceling)、相関二重サンプリング、又はDC感知単一極性一定重みづけ(DC sensitive single polarity constant weighting)を含み得る。2つの出力電圧サンプルが、復調周波数(又はその他の可変のタイミング)でそれらのサンプルを組み合わせて静電容量の測定値を得ることによって復調器211でフィルタリングされ得る。その他の感知方法も、説明された実施形態の本質を変えることなく使用され得る。例えば、その他の波形(例えば、台形)、静電容量式電流伝達測定(例えば、電流増倍(current multiplication))、又は復調方法(例えば、ヘテロダイン検出)が、本明細書に記載のものに加えて使用され得る。また、その他の復調及びリセットスキームもあり得る。一実施形態において、リセットのステップは、存在しない可能性がある(例えば、そのリセットのステップは、長さが0であるか、又は連続的である可能性がある)。以下で説明されるように、干渉の防止を容易にするために、復調のタイミング(例えば、TDEMOD及び復調周波数)がトランスミッタ信号のタイミング(例えば、TSIGNAL及びトランスミッタ周波数)と異なることを可能にすることが有利である可能性がある。干渉の防止を容易にするために、トランスミッタ周波数がディスプレイデバイスの行更新レート(又はディスプレイデバイスの単一の色に関する部分的な行更新)と異なることを可能にすることも有利である。一実施形態において、トランスミッタ周波数は、遷移及び/又は復調されたサンプルの間の周期の逆数である。
【0049】
[0064]図3Aは、送信されたトランスミッタ信号の周波数と同じである復調周波数を用いた静電容量式センサーの波形310Aを示す。それぞれの遷移は、単一の表示ピクセル行の更新をもたらす。さまざまな実施形態において、それぞれの遷移中に、複数のセグメント分けされたVcom電極のセグメント(例えば、複合電極の組)を用いて送信することが可能である。したがって、トランスミッタ電極のブロック(グループ又は組)は、複数の表示ピクセル行に対応する1つ又は複数のVcom電極のセグメントからなる可能性がある。これらの表示ピクセル行は、隣接している必要はない。複合電極が利用される一実施形態において、静電容量式感知のためのトランスミッタ信号の周波数及びディスプレイデバイスの更新は同じであり、したがって、干渉感受性スペクトル(つまり、干渉感受性対周波数)は決まっている可能性がある。一実施形態において、表示行ごとの1つ又は複数の遷移が起こり得る。遷移は、行の更新と更新の間、又は表示行のピクセル若しくはサブピクセルの更新と更新の間に起こり得る。一実施形態において、遷移は、ソースドライバが行の複数のピクセル又はサブピクセルに多重化される時間の間に起こる。別の実施形態において、遷移は、ディスプレイソースドライバが実質的に分離されるときに、表示行の選択が更新された後、非表示更新時間中に起こり得る。」

キ 段落【0058】-【0059】
「【0058】
[0073]一実施形態において、干渉の防止は、センサーの復調周波数を変えることによって、及び受信された信号をトランスミッタ信号の各半サイクルの間に(1つの遷移しか持たないトランスミッタ信号に関してさえも)2回以上サンプリングすることによって実現される可能性があり、これらのことは、はるかに多くの種類の復調及び周波数が使用されることを可能にする。一対の信号サンプルが250kHzの復調周波数(それぞれの復調の極性について2μsの間隔)を有する可能性があるが、電圧の遷移は50kHz(25kHzのトランスミッタ信号周波数の各エッジ)でしか発生し得ないある例について考える。これは、4つの復調サンプルに対して1つの正の信号サンプル及び1つの負の信号サンプルをもたらし(2つの信号サンプル及び2つの暗黙的サンプルが存在することになる)、各信号サンプルの対は、40μsの完全なトランスミッタ変調サイクルにおいて20μs離間される。一部の実施形態において、その他のサンプルの重みづけに関係なく、遷移信号(transitions signal)を含むサンプルの和が、同様にフィルタリングされ、静電容量信号(capacitive signal)に対する応答は、同じままである。
【0059】
[0074]一部の実施形態において、図3Dに示されるように、正の復調される信号サンプルと負の復調される信号サンプルの間で取得されるゼロ信号(中間サンプル)が存在し得る。図3Dによって示される実施形態においては、正の復調される信号サンプルと負の復調される信号サンプルの間に7つの中間サンプルが存在する。中間サンプルは、処理中に使用されるか又は使用されない可能性がある、復調器周波数の部分的サイクルである可能性がある。これらの中間信号を盛り込むことは、入力デバイスの干渉感受性を変えるが、信号応答は必ずしも変えない。例えば、一実施形態において、中間サンプルを盛り込むことは、短い積分時間のためにDCで0になる(積分時間によって設定される包絡線を有する)250kHzの結果として生じた信号から外れた50kHzの感受性側波帯(susceptibility sideband)をもたらす。同じ結果として生じた信号を用いた単一対復調スキーム(single pair demodulation scheme)及び二重復調スキーム(double demodulation scheme)(又はより高次のsinc、成形、若しくはFIR復調ループ)に関する干渉感受性スペクトルは、十分に直交しており(例えば、あまりピークが重ならず)、(1+2N)x25kHzにピークを持つ第1のスペクトル及びNx50kHzにピークを持つ第2のスペクトルを含む。したがって、これらの2つの復調スキームの間の選択をする能力は、送信されるトランスミッタ信号の周波数が実質的に固定されているときでさえも、復調周波数切り替えによって効果的な干渉の防止を可能にする。さまざまな実施形態において、復調周波数がトランスミッタ信号の周波数と異なるとき、復調された結果は、十分に定常的な電圧になく、その結果は、選択的にフィルタリング又は復調され、再びフィルタリングされる可能性がある。さらに、さまざまな実施形態において、復調周波数は、トランスミッタ信号の周波数に関連して変わる。その他の実施形態において、フィルタは、復調周波数とトランスミッタ信号の周波数の間の周波数の差に関してフィルタリングするように変更され得る。」

ク 段落【0063】
「【0063】
[0078]トランスミッタ回路405は、感知領域に配置される1つ又は複数のトランスミッタ電極(又は複合電極)を用いてトランスミッタ信号を送信するように動作する。所与の時間間隔において、トランスミッタ回路405は、複数のトランスミッタ電極のうちの1つ又は複数を用いてトランスミッタ信号(波形)を送信することができる。トランスミッタ回路405は、複数のトランスミッタ電極のうちの1つ又は複数のトランスミッタ電極を、そのようなトランスミッタ電極を用いて送信していないとき、接地に、又は基準電圧(例えば、Vcom若しくは何らかのその他の基準電圧)などの一定の電圧に結合するためにやはり利用され得る。トランスミッタ回路は、感知領域をスキャンするために、異なる時間に異なるトランスミッタ(複合)電極をスキャンすることができる。トランスミッタ信号は、方形波、台形波、又は何らかのその他の波形である可能性がある。さまざまな実施形態において、図9の波形910、920、及び930が、トランスミッタ回路405によって駆動され、トランスミッタ電極/複合電極を用いて送信され得る波形のいくつかの例を示す。波形910、920、及び930は、複数の遷移(例えば、2つ以上)が、送信されたトランスミッタ信号の波形において行われ、それらの遷移が非表示更新期間(例えば、水平帰線消去期間又は垂直帰線消去期間)中に発生するように時間を決められる可能性があることを示すことが留意されるべきであり、以下でさらに説明される。非表示更新時間中、遷移は、表示更新にいかなる影響も与えないが、タッチ感知のためのサンプリングを行うための追加の遷移を行う。別の実施形態において、遷移は、表示更新期間と同期している(例えば、行のピクセルの更新又は表示フレームの更新と実質的に同時である)可能性がある。」

ケ 段落【0079】-【0083】
「第2節
干渉を防止するための搬送波(トランスミッタ信号)周波数の切り替え
【0079】
[0094]図6は、複数の表示行610及びそれらの表示行610のそれぞれの更新時間を有するディスプレイを備えるディスプレイデバイス及びタイミング600を示す。一実施形態において、物理的な行の電極が、ディスプレイの上から下まで関連するピクセルを順に更新するために使用される。ピクセル(又はピクセルカラーチャネル)の更新が、左から右に示される。一実施形態において、複数の表示行610に関連する共通電極が、静電容量式センサーデバイスの感知領域に少なくとも部分的に重なる。一実施形態によれば、さらに示されているのは、表示ピクセル行の各ピクセル更新時間640の終わりの非表示更新時間650である。非表示更新時間650は、ディスプレイデバイスの表示ピクセル行の更新に関連する。一実施形態にしたがって、表示ピクセル行610の下に、非表示更新時間620がやはり示されている。示されるように、ライン更新時間630は、少なくともピクセル更新時間640と非表示更新時間650の合計である。非表示更新時間650は、水平帰線消去期間又は非更新時間と呼ばれることもあり、非表示更新時間620は、垂直帰線消去期間(ライン又は行)と呼ばれることもある。一実施形態において、異なる行に関連する非表示更新時間は、異なる可能性がある。例えば、一実施形態において、異なる行に関連する非表示更新時間は、ディスプレイデバイスを外部ソースと同期するために異なる可能性がある。例えば、前のフレームの最後の行とフレームの最初の行の間の非表示更新時間は、単一のフレームの第1の行と第2の行の間の非表示更新時間よりも長い可能性がある。
【0080】
[0095]ディスプレイデバイス600のトランスミッタ信号周波数(搬送波信号周波数)は、表示フレームリフレッシュレート(フレームレート)、表示ピクセル行610の数、ピクセル更新時間640、非表示更新時間650、及び非表示更新時間620の関係に基づく可能性がある。さらに、たとえ図6が、各表示ピクセル行のピクセル行更新時間640の後に発生する非表示更新時間を示すとしても、その他の実施形態においては、非表示更新時間はその他の時間に発生する可能性があり、及び/又は複数の非表示更新時間が各表示ピクセル行で発生する可能性がある。さまざまな実施形態において、複数のピクセルが、ピクセル行更新時間中に更新され得る。例えば、非表示更新時間は、表示ピクセル行の各ピクセルチャネルを更新した後(例えば、それぞれの赤、青、及び/又は緑カラーチャネルを更新した後)発生し得る。さまざまな実施形態において、非表示更新時間は、表示ピクセル行ごとに(例えば、1番目と2番目で又は最後と最初で)変わり得る。一実施形態において、行の選択は、ディスプレイドライバ一体型コントローラ(Display Driver Integrated Controller)(DDIC)によって(行として)選択された薄膜トランジスタ(TFT)ガラス上のトランジスタを使用することを含み得る。DDICは、TFTガラスに配置され、チップオングラス(COG)接続によって表示ピクセル行に電気的に結合され得る。一実施形態において、(異方性導電膜(ACF)によって接続された)別個の配線が、ホスト処理システムに、及び処理システムのその他の要素に信号を搬送することができる。
【0081】
[0096]ライン更新時間630を変えることによって、非表示更新時間650を調整することによって、及び/又は垂直帰線消去ラインの数を調整することによって、同期されたトランスミッタ信号周波数が、表示フレームリフレッシュレートを変えることなく干渉を防止するために切り替えられるか、又は変調されることができる。そのような実施形態において、1つの復調周波数又は複数の復調周波数が、干渉の防止を行いながら、トランスミッタ信号周波数と同様に切り替えられることができ、さまざまな同期方法が、同様であることを維持するために使用されることができる。水平行タイミング及び垂直フレームタイミングを示すことができる同期信号が、共有され、同期のために使用され得る。さらに、表示ピクセル行ごとの複数の水平帰線消去期間が使用されるとき、それぞれの時間を個別に変えることができる。ディスプレイデバイスにおいては、表示品質を保つために(例えば、ちらつき、色ずれ、又はその他の視覚的に認識され得る問題を防止するために)ピクセル更新時間640及び表示フレームリフレッシュレートを維持することが望ましい場合が多い。ディスプレイデバイスのための処理システムと静電容量式センサーデバイスのための処理システムの間の、又はそれらの処理システム内の同期シグナリングが、水平リフレッシュレートの同期を維持し、垂直帰線消去期間の長さを制御し、トランスミッタ信号周波数の変更要求を管理し、又はトランスミッタ信号周波数が変わり得ることを示すために使用されることができる。一実施形態において、そのような同期は、共通の処理システムを利用して、一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスにおいて静電容量式タッチ感知及び表示更新を実行することによって容易にされる。別の実施形態において、同期された信号が、静電容量式感知デバイスとディスプレイデバイスの間で共有される。一実施形態において、この信号は、ディスプレイの表示ライン又はピクセルタイミングに基づいて生成され得る。一実施形態において、この信号は、ディスプレイのフレームタイミングに基づいて生成され得る。
【0082】
[0097]ディスプレイデバイス600が、表示ピクセル行ごとに15μsのピクセル更新時間640及び表示ピクセル行ごとに約5μsの水平帰線消去期間を伴う800表示ピクセル行610を有する例について考える。そのような実施形態において、ライン更新時間は、20μsであり、(例えば、ラインごとに1/2サイクルを用いるライン反転法に関して)約25KHzのVcom搬送波周波数に対応する。この例において、合計810行に対して10垂直帰線消去ラインが存在する。したがって、フレームリフレッシュレートは1/(810*20μs)であり、これは約60Hzである。一実施形態において、表示をビデオソース又は画像ソースに同期するために、追加的なラインが追加されることができるか、又はラインが取り除かれることができる。
【0083】
[0098]静電容量式センサーの干渉感受性を変えるために、第1の周波数を有するトランスミッタ信号が、第2の周波数を有する第2のトランスミッタ信号に切り替えられることができ、第1の周波数と第2の周波数は異なる。第1の周波数を有するトランスミッタ信号から第2の周波数を有する第2のトランスミッタ信号に切り替えるために、ライン更新時間630と、非表示更新時間650と、非表示更新時間620の数とが、一定又は実質的に一定のフレームリフレッシュレート、及び各表示ピクセル行の一定のピクセル更新時間640を維持するために調整され得る。この例にしたがうと、10パーセント高い27.5kHzのトランスミッタ信号周波数に対して、ピクセル更新時間640を15μsで一定に保ち、約60Hzの一定のフレームリフレッシュレートを維持するためには、ライン更新時間630は約18μsであり、より短い非表示更新時間650は約3μsである。したがって、ライン更新時間630を変更するために、非表示更新時間650と、非表示更新時間620の長さ(例えば、等価な行の数)とが、変わる。この例に基づけば、800表示行及び10垂直帰線消去ライン並びに20μsのライン更新時間を有するディスプレイデバイスに関して、表示のフレームリフレッシュの間に更新されるべき810総ピクセル行(表示行+垂直帰線消去ライン)が存在する。18μsのライン更新時間のためには、3μsの水平帰線消去期間を伴う900総ピクセル行が必要とされ、表示ピクセル行610の数が、ディスプレイの解像度に基づいて一定である(この例においては800ピクセルライン)ので、垂直帰線消去期間の長さ(例えば、同等のラインの数)が、10ラインから100ラインに増やされる。したがって、トランスミッタ信号の周波数を切り替え、干渉の防止のために復調周波数を同様に切り替え、この例においては、フレームリフレッシュレートを変えることなく約10%のライン周波数切り替えを行うことが可能である。その他の実施形態において、ライン更新時間630、及び非表示更新時間650、及び非表示更新時間620の数が、別々に変えられることもでき、システムの干渉感受性をやはり変えることができる。別の実施形態において、複数の非表示更新時間が、各非表示更新時間中に複数の遷移を伴って単一の表示フレームにおいて発生する可能性がある。一実施形態において、静電容量画像が、2つの別個の垂直帰線消去期間に対して測定される可能性がある。第1の垂直帰線消去期間は、表示フレームピクセル行の第1の部分に関連する可能性があり、第2の垂直帰線消去期間は、表示フレームピクセル行の第2の部分に関連する可能性がある。第1の部分及び第2の部分は、インターレースされるか、又は連続的である可能性がある。そのような実施形態において、静電容量測定フレームレートは、表示フレームレートとは異なるレートである可能性がある。」

コ 段落【0085】-段落【0091】
「第2の例示的な処理システム
【0085】
[00100]図7は、さまざまな実施形態による、入力デバイス(例えば、入力デバイス100)で利用され得る第2の例示的な処理システム110Bを示す。処理システム110Bは、1つ若しくは複数のASIC、1つ若しくは複数のIC、1つ若しくは複数のコントローラ、又はこれらの何らかの組み合わせで実装され得る。一実施形態において、処理システム110Bは、入力デバイス100の感知領域120の複数のトランスミッタ電極(又は複合電極)及び複数のレシーバ電極と通信可能なように結合される。入力デバイス100の一実施形態において、処理システム110Bは、トランスミッタ回路405と、レシーバ回路415と、継続時間チェンジャー755とを含む。一部の実施形態は、表示更新回路765、及び/又は図4の処理システム110Aで示されたその他のコンポーネントのうちの1つ若しくは複数(例えば、計算回路445)をさらに含む。
【0086】
[00101]処理システム110B、及びその処理システム110Bが一部である入力デバイス100が、ディスプレイデバイス(例えば、ディスプレイデバイス600)などの電子システム150に配置される、及び/又は電子システム150と通信可能なように結合される。1つのそのような一体化された実施形態において、複合電極が、(例えば、ディスプレイデバイスのディスプレイと一体化されるタッチスクリーンデバイスのための)表示更新機能と静電容量式感知機能の両方をサポートするために利用される。したがって、トランスミッタ回路405によってこれらの複合電極で駆動されるトランスミッタ信号は、表示更新と静電容量式感知の両方の目的で働く。図1Bのセンサーパターン(複合電極160及びレシーバ電極170)をディスプレイデバイス600(図6)の表示ピクセルライン610で覆い、それらの表示ピクセルライン610と一体化することは、そのような実施形態の一例である。その他の実施形態において、レシーバ電極及びトランスミッタ電極は、ディスプレイ電極の上に(例えば、カラーフィルタガラス、ディスプレイレンズ、又はディスプレイの若しくはディスプレイ外の別の基板上に)配置され、トランスミッタ電極は、ディスプレイデバイスの一部ではない可能性があり、複合電極ではないが、トランスミッタ電極は、ディスプレイとやはり同期される可能性がある。

・・・(中略)・・・

【0091】
[00106]持続時間チェンジャー755は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの非表示更新時間の継続時間を変えるように動作することができる。これは、水平帰線消去期間、又は垂直帰線消去ラインの数(若しくは垂直帰線消去期間の継続時間)のうちの1つ又は複数の変化である可能性がある。一実施形態において、継続時間の変化は、干渉の量に基づいて継続時間チェンジャー755によって開始される。例えば、継続時間チェンジャー755は、周囲からの干渉を測定することを含む、復調種類セレクタ435に関連して説明された方法のうちの任意の方法で干渉の量を測定し、比較することができる。継続時間の変化は、複合電極によって第1のトランスミッタ信号を送信することから、複合電極によって第2のトランスミッタ信号を送信することへの切り替えを引き起こす。第2のトランスミッタ信号は、第1のトランスミッタ信号の第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する。継続時間の変化は、ディスプレイデバイスのリフレッシュレートを実質的に変更しない。「実質的に?ない」によって意味されるのは、リフレッシュレートが、ディスプレイデバイスを見る人に対する見え方、及び任意の画像/ビデオ同期に対する最小限の影響を目に見えて変えない、枠にリフレッシュレートの小さな割合を足した範囲、又は枠からリフレッシュレートの小さな割合を引いた範囲内に維持されることである。一実施形態において、継続時間チェンジャー755は、結果として生じた信号が復調される時間の長さを変えるか、又は結果として生じた信号(例えば、垂直帰線消去期間中に駆動された複合電極に対応する結果として生じた信号)の復調された組の間の時間の長さを変えるように動作し得る。さまざまな実施形態において、結果として生じた信号は、一定の数の復調サイクルを維持するために異なる継続時間の間及び/又は異なる周波数に関して復調され得る。」

サ 段落【0108】-【0109】
「【0108】
[00123]トランスミッタ回路405は、一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスの複合電極によって送信されるトランスミッタ信号を駆動するように動作する。トランスミッタ信号は、表示更新期間中と、さらにディスプレイデバイスの行更新に関連する非表示更新期間中との両方で、低インピーダンストランスミッタを用いて送信される。一実施形態において、例えば、トランスミッタ回路405は、図9のトランスミッタ信号920などのトランスミッタ信号を駆動し、トランスミッタ信号は、ディスプレイデバイスの行更新に関連する非表示更新期間中に(例えば、表示行の後の水平帰線消去期間中に、又はフレームで更新される最後の表示行の後の垂直帰線消去期間中に)少なくとも2回遷移する。一実施形態において、トランスミッタ回路405は、複数の複合電極(例えば、複数のピクセル行)で同時に送信するように構成される。
【0109】
[00124]レシーバ回路415は、結果として生じた信号を、非表示更新期間中に(例えば、遷移が行われているときの水平帰線消去期間中に)レシーバ電極を用いて受信するように動作する。結果として生じた信号は、上述のようにトランスミッタ信号に対応するが、送信されたトランスミッタ信号の一部又はすべての内容に加えて干渉(雑音)又はその他の入力を含む可能性がある。一実施形態において、送信されたトランスミッタ信号は、2つ以上の表示行更新に関連する可能性がある。一実施形態において、一連の20の行更新が、20個の複合電極の同じ組が同様の変調で駆動される間に発生する。」

5.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「ITO1 2001(N個の感知ラインにパターン形成することができるITO層)と、ITO2 2004(M個の駆動ラインにパターン形成することができるITO層)」は、本願発明の「複数のセンサ電極」に対応する。
ここで、引用発明の「ITO2」は、「LCDのV_(COM)電極の役目も果たし」ているから、本願発明の「複数のディスプレイ電極」にも対応する。
引用発明の「タッチ/LCD駆動集積回路2501」は、「LCD制御に使用されるLCDドライバ部分2502と、タッチ走査と処理に使用されるARMプロセッサ2503及びマルチタッチ・コントローラ2504と、によって一体化し」ているから、本願発明の「複数のセンサ電極及び複数のディスプレイ電極に結合された処理システム」に相当する。
よって、「タッチ/LCD駆動集積回路2501」を用いる、引用発明の「部分的に一体化されたタッチ感知のコンセプトAの方法。」は、本願発明の「複数のセンサ電極及び複数のディスプレイ電極に結合された処理システムを動作させる方法」に対応する。

(2) 引用発明において、「タッチ/LCD駆動集積回路2501」が「LCD制御に使用されるLCDドライバ部分2502」を備えており、「ディスプレイ・オペレーションでは、標準的なビデオ・リフレッシュ・レート(例えば、60fps)が使用され」、「ディスプレイ走査は、通常、ライン順に進む」ことは、本願発明が「表示を更新するために複数のディスプレイ電極のうちの少なくとも1つへ表示信号を駆動するステップ」を備えることに相当する。

(3)ア 引用発明のタッチ検出は、「作動時、駆動信号(例えば、周期的電圧)が、各駆動ライン105aに印加され、これは、検知可能測定可能な電流及び/又は電圧を、感知ライン105bに発生させ、駆動ライン105aは、一度に1つずつ駆動され、その間、他の駆動ラインは接地され、この処理は、全ての駆動ラインが駆動されるまで、それぞれの駆動ライン105aについて繰り返され、(容量に基づく)タッチ・イメージが、感知結果から構築され、全てのライン105aが駆動されてしまうと、上記シーケンスが繰り返されて、一連のタッチ・イメージが構築され」るから、引用発明の駆動信号は、駆動ラインに印可される「周期的電圧」であって、本願発明の「第1の周波数を有する第1の容量性感知信号」に相当するといえる。

イ 引用発明の「同時に起こるディスプレイ更新とタッチ走査の実施例」において、「1ディスプレイ・フレームの時間展開が16.67msec持続し」ている間に、「ディスプレイ・フレームの開始地点で、1番目のM/2個のディスプレイ・ラインがリフレッシュされ、同時に、タッチ駆動セグメント1 2701は、タッチ感知を目的として駆動され」、「時間t=1.67msの時点では、次のM/2個のディスプレイ行がリフレッシュ中であり、同時に、タッチ駆動セグメント2 2702が駆動され」、「ITO2は、タッチ駆動とLCD V_(COM)の両方で同時に使用される」ことは、本願発明の「前記表示のピクセルを更新するための前記表示信号の駆動している間と少なくとも部分的に重畳する第1の期間の間」に、容量性感知信号を駆動することに相当する。

ウ よって、引用発明において、「タッチ/LCD駆動集積回路2501」が「タッチ走査と処理に使用されるARMプロセッサ2503及びマルチタッチ・コントローラ2504」を備え、「タッチ感知では、少なくとも毎秒120回というレートが使用され」ることは、本願発明の「前記表示のピクセルを更新するための前記表示信号の駆動している間と少なくとも部分的に重畳する第1の期間の間、前記複数のセンサ電極のうちの少なくとも1つのセンサ電極へ第1の周波数を有する第1の容量性感知信号を駆動するステップ」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。

[一致点]
「複数のセンサ電極及び複数のディスプレイ電極に結合された処理システムを動作させる方法であって、
表示を更新するために複数のディスプレイ電極のうちの少なくとも1つへ表示信号を駆動するステップと、
前記表示のピクセルを更新するための前記表示信号の駆動している間と少なくとも部分的に重畳する第1の期間の間、前記複数のセンサ電極のうちの少なくとも1つのセンサ電極へ第1の周波数を有する第1の容量性感知信号を駆動するステップと、
を備える方法。」

[相違点1]
本願発明では、「前記表示のピクセルを更新するための前記表示信号を駆動している間と少なくとも部分的に重畳する第2の期間の間、前記少なくとも1つのセンサ電極へ第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を駆動するステップ」を備えるのに対して、引用発明では、第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を駆動することが特定されていない点。

[相違点2]
本願発明では、「前記第2の周波数との同期を維持するように前記表示信号のタイミングを調整するステップ」を備えるのに対して、引用発明では、第2の周波数との同期を維持するように表示信号のタイミングを調整するステップが特定されていない点。

6.当審の判断
[相違点1]、[相違点2]について

引用文献2(上記4(3)ア-サを参照。)には、概略、以下の3つの事項が記載されている(上記4(3)ウを参照。)。
ア 「第1節 干渉を防止するための復調の変更」(段落【0046】-【0078】。上記4(3)カ-クを参照。)
イ 「第2節 干渉を防止するための搬送波(トランスミッタ信号)周波数の切り替え」(段落【0079】-【0101】。上記4(3)ケ-コを参照。)
ウ 「第3節 干渉を防止するためのディスプレイの非表示更新時間中の感知」(段落【0102】-【0126】。上記4(3)サを参照。)

引用文献2において、特に「第2節」とその関連記載を参照すると、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)が開示されていると認められる。

「一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスにおいて干渉を防止する方法であって(上記4(3)ア-イを参照。)、
静電容量式センサーデバイスのための「トランスミッタ電極」、及び、ディスプレイの表示更新のための「Vcom電極」として動作する「複合電極」を用いており(上記4(3)エを参照。)、
ライン更新時間630、非表示更新時間650、垂直帰線消去ラインの数を調整することによって、同期されたトランスミッタ信号周波数が、表示フレームレートを変えることなく干渉を防止するために切り替えられ、
ディスプレイデバイスにおいては、ピクセル更新時間640及び表示フレームレートを維持することが望ましいため、ディスプレイデバイスと静電容量式センサーデバイスのための処理システム内の同期シグナリングが、水平リフレッシュレートの同期を維持し、垂直帰線消去期間の長さを制御し、トランスミッタ信号周波数の変更要求を管理するために使用されることができ、
具体的には、ディスプレイデバイス600が、表示ピクセル行ごとに15μsのピクセル更新時間640及び表示ピクセル行ごとに約5μsの水平帰線消去期間を伴う800表示ピクセル行610を有し、
ライン更新時間は、20μsであって、約25KHzのVcom搬送波周波数に対応し、
合計810行のうち10垂直帰線消去ラインが存在し、
フレームレートは約60Hzである状態から、
静電容量式センサーの干渉感受性を変えるために、第1の周波数を有するトランスミッタ信号が、第2の周波数を有する第2のトランスミッタ信号に切り替えられて、
10パーセント高い27.5kHzのトランスミッタ信号周波数に対して、
ピクセル更新時間640を15μsで一定に保ち、
約60Hzの一定のフレームレートを維持するためには、
ライン更新時間630は約18μsであり、
非表示更新時間650は約3μsであり、
表示ピクセル行610の数が、一定である(800ピクセルライン)ので、垂直帰線消去期間のラインの数が、10ラインから100ラインに増やされ、
トランスミッタ信号の周波数を切り替え、干渉の防止のために復調周波数を同様に切り替え、
フレームリフレッシュレートを変えることなく約10%のライン周波数切り替えを行うことが可能である(上記4(3)ケを参照。)、
方法。」

上記引用発明2に記載された事項において、「フレームレート」(「約60Hz」)を維持したまま、「トランスミッタ信号周波数」を「第1の周波数(25KHz)」から「第2の周波数(27.5KHz)」に切り替える、「複合電極」を用いる、一体化された静電容量式センサーデバイス及びディスプレイデバイスにおいて、「トランスミッタ信号の周波数」及び「復調周波数」は、「タッチ検出」のための信号駆動と信号検出の周波数である一方、「ディスプレイデバイスと静電容量式センサーデバイスのための処理システム内の同期シグナリングが、水平リフレッシュレートの同期を維持し、垂直帰線消去期間の長さを制御し、トランスミッタ信号周波数の変更要求を管理するために使用される」、「水平リフレッシュレート」や、「垂直帰線消去期間」、さらに「ライン周波数」(「ライン更新時間」)等が、いずれも表示の周波数であることは明らかであるから、(タッチ検出用の)「トランスミッタ信号」の周波数を切り替える前後いずれにおいても、(タッチ検出用の)上記「トランスミッタ信号」等と、(表示用の)上記「水平リフレッシュレート」等との間で、同期を維持するものといえる。

そして、引用発明と引用文献2に記載された事項とは、いずれも、複合電極を備える、一体化されたディスプレイと静電容量式タッチセンサに係るものであって、タッチ検出と表示との干渉の対策に関する点で共通しているといえる。
また、一般に、「静電容量式タッチセンサ」が周囲からの干渉の影響を受けやすいデバイスであることが文献を挙げるまでもなく周知であることを考慮すると、一体化されたディスプレイと静電容量式タッチセンサを備える引用発明においても、静電容量式タッチセンサに対する周囲からの干渉に対応するというニーズがあることは明らかであるといえる。
そして、タッチ検出と表示の駆動信号とが時間的に重畳する引用発明において、周囲からの干渉信号に対処するために、タッチ検出と表示の同期を維持したまま「トランスミッタ信号の周波数」を切り替える、引用文献2に記載された事項を付加することによって、「前記表示のピクセルを更新するための前記表示信号を駆動している間と少なくとも部分的に重畳する第2の期間の間、前記少なくとも1つのセンサ電極へ第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を駆動するステップ」と、「前記第2の周波数との同期を維持するように前記表示信号のタイミングを調整するステップ」とを備える、上記[相違点1]、[相違点2]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

さらに、本願発明の効果も、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-07-14 
結審通知日 2020-07-28 
審決日 2020-08-19 
出願番号 特願2016-546749(P2016-546749)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野村 和史星野 昌幸  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
小田 浩
発明の名称 一体型装置のための同時の表示更新及び容量性感知  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  

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