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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1369957
審判番号 不服2020-8017  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-10 
確定日 2021-01-26 
事件の表示 特願2018-500374号「表面グレーティングカプラ及びエッジカプラを有する光スイッチ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年1月12日国際公開、WO2017/005168号、平成30年7月26日国内公表、特表2018-520385号、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)7月5日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2015年(平成27年)7月7日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 2月 6日 :翻訳文、手続補正書提出
平成30年11月15日付け:拒絶理由通知書
平成31年 2月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和元年 6月19日付け:拒絶理由通知書
令和元年 9月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 2月 5日付け:拒絶査定(謄本送達日 同年同月12日 以下「原査定」という。)
令和2年 6月10日 :審判請求書の提出

第2 本願発明
本願請求項1ないし18に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明18」とそれぞれいう。)は、令和元年9月3日付け手続補正書により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、独立項である本願発明1、7及び14は次のとおりのものである。
「【請求項1】
フォトニック集積回路(PIC)であって、
光スイッチと、
前記光スイッチに結合された複数の入力エッジカプラと、
前記光スイッチに結合された複数の入力表面グレーティングカプラ(SGC)と、
前記光スイッチに結合された複数の出力エッジカプラと、
前記光スイッチに結合された複数の出力SGCと、
を有し、
前記光スイッチは複数の入力セルと複数の出力セルとを有し、各入力セルが第1の入力及び第2の入力と第1の出力及び第2の出力とを有し、各出力セルが第1の入力及び第2の入力と第1の出力及び第2の出力とを有し、
各入力セルの前記第1の入力は前記複数の入力エッジカプラのうちの対応する1つに結合され、各入力セルの前記第2の入力は前記複数の入力SGCのうちの対応する1つに結合され、各出力セルの前記第1の出力は前記複数の出力エッジカプラのうちの対応する1つに結合され、各出力セルの前記第2の出力は前記複数の出力SGCのうちの対応する1つに結合されている、
PIC。」
「【請求項7】
複数の入力エッジカプラと、
複数の入力表面グレーティングカプラ(SGC)と、
前記入力エッジカプラ及び前記入力SGCに結合され、前記入力エッジカプラ及び前記入力SGCから入力光信号の第1成分を受け取るように構成された第1の光スイッチと、前記入力エッジカプラ及び前記入力SGCに結合され、前記入力エッジカプラ及び前記入力SGCから前記入力光信号の第2成分を受け取るように構成された第2の光スイッチと、
を有し、
前記第1の光スイッチは、第1の入力セルを含む複数の入力セルを有し、前記第2の光スイッチは、第2の入力セルを含む複数の入力セルを有し、前記第1及び第2の光スイッチの各々の前記複数の入力セルの各々が、第1の入力及び第2の入力と、第1の出力及び第2の出力とを有し、
前記第1及び第2の入力セルの前記第1の入力の双方が、前記複数の入力エッジカプラのうちの同じ1つに結合され、前記第1及び第2の入力セルの前記第2の入力の双方が、前記複数の入力SGCのうちの同じ1つに結合されている、
装置。」
「【請求項14】
フォトニック集積回路(PIC)を製造する方法であって、
シリコン基板をパターニング及びエッチングして、
複数の入力セルを含む第1の光スイッチであり、各入力セルが第1の入力及び第2の入力と第1の出力及び第2の出力とを有する、第1の光スイッチと、
複数の第1の表面グレーティングカプラ(SGC)であり、各第1のSGCが前記複数の入力セルのうちの対応する1つの前記第1の入力に結合される、複数の第1のSGCと、
複数の第1のエッジカプラであり、各第1のエッジカプラが前記複数の入力セルのうちの対応する1つの前記第2の入力に結合される、複数の第1のエッジカプラと
を作り出す、
ことを有する方法。」

第3 引用文献及び引用発明
1 引用文献1及び引用発明
(1)原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願の優先日前に頒布された引用文献である、米国特許出願公開第2014/0043050号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(日本語訳は、引用文献1のファミリー文献である特表2015-533259号公報に基づいて当審が付した。下線は当審にて付した。以下同じ。)。
ア 「[0002] Embodiments of the present invention relate to photonic devices. More particularly, embodiments of the present invention relate to an apparatus and method for testing, including self-testing, of photonic devices. As an example, optical self-diagnostics can be performed for photonic devices.」
(日本語訳:[0002]本発明の実施形態は、フォトニックデバイスに関する。より詳細には、自己試験を含むフォトニックデバイスの試験のための装置及び方法に関する。一例としては、フォトニックデバイスの光学自己診断が実行可能である。)

イ 「[0011] FIG. 1 is a simplified schematic diagram illustrating a system for performing self-test of a photonic circuit. The photonic design illustrated can be tested in a variety of configurations as described herein. As illustrated in FIG. 1, embodiments of the present invention provide for optical self-test of devices including, but not limited to, photonic modules, photonic transceivers with transmit and receive ports, reconfigurable optical add drop multiplexers (ROADM), optical switches, amplifiers, filters, and the like. As illustrated in FIG. 1, a portion of a processed substrate is illustrated in the form of a Optical ASIC 100 in undiced, die form. 」
(日本語訳:[0011] 図1は、フォトニック回路の自己試験を実行するシステムを示した簡易模式図である。図示のフォトニック設計は、本明細書に記載の通り、様々な構成で試験可能である。図1に示すように、本発明の実施形態は、デバイスの光学的な自己試験を可能にする。このようなデバイスとしては、フォトニックモジュール、送受信ポートを備えたフォトニック送受信機、再構成可能光分岐挿入多重化装置(ROADM)、光スイッチ、増幅器、フィルタ等が挙げられるが、これらに限定されない。図1に示すように、処理基板の一部は、未ダイシングのダイ状の光ASIC100の形態で示される。)

ウ 「[0012] Embodiments of the present invention provide wafer level testing that is enabled by Built In Self-Test Auto Calibration functionality. Various performance characteristics can be calibrated according to embodiments of the present invention, for example, the wavelength of the light in the transmit path. As described herein, light can be directed off the chip using the (out of plane, e.g., surface normal) coupler to provide the light to a wavelength test tool. In some embodiments, diagnostic elements are integrated on-chip, enabling both measurement and adjustment of the parameters on-chip. As an example, the power can be monitored using a detector and the feedback loop including the Built-in Self-Test Circuits and Link Validation module can be used to adjust the power of the Tx photonics. Thus, the fabrication and operation of on-chip as well as the operation of off-chip measurement devices are included within the scope of the present invention.」
(日本語訳:[0012]本発明の実施形態は、組み込み自己試験及び自動校正機能によって可能となるウェハレベル試験を提供する。本発明の実施形態によれば、例えば送信経路中の光の波長等、様々な性能特性を校正可能である。本明細書に記載の通り、(面外、例えば面法線)結合器を用いて光をチップから逸らすことによって、波長試験ツールに光を供給することができる。いくつかの実施形態においては、診断素子がチップ上に集積されており、チップ上でパラメータの測定及び調整の両者を行うことができる。一例としては、検出器を用いてパワーをモニタリング可能であるとともに、組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュールを備えたフィードバックループを用いて、Tx(送信)フォトニクスのパワーを調整可能である。したがって、オンチップ測定装置の製造及び稼働並びにオフチップ測定装置の稼働も本発明の範囲に含まれる。

エ 「[0013] Utilizing embodiments of the present invention, it is possible to perform electrical testing of transceiver functionality at the wafer level, including both Tx and Rx functionality without the use of external fiber optic cables. Additionally, during the operational lifetime of the transceiver, the integrity of the transceiver can be tested using on-chip components to provide module health monitoring.」
(日本語訳:[0013]本発明の実施形態を利用することによって、外部の光ファイバケーブルを用いることなく、Tx及びRxの両機能を含めて、送受信機の機能の電気的試験をウェハレベルで実行可能である。また、送受信機の稼働寿命期間においては、オンチップ構成要素を用いて送受信機の完全性を試験することにより、モジュールのヘルスモニタリングを行うことができる。)

オ 「[0015] Embodiments of the present invention use variable couplers (e.g., optical switches) to enable optical loopback. As shown in FIG. 1, light emitted by the transmit (i.e., Tx) photonics module 110 initially propagates in transmit waveguide 111 and, during self-test, is redirected by the variable coupler 115 from the transmit waveguide 111 into the on-chip optical loopback waveguide 113, also referred to as a diagnostics waveguide. As described herein, light from the transmit waveguide 111 can be coupled into the on-chip optical loopback waveguide 113 using variable coupler 115 and directed into the receive (i.e., Rx) photonics 130 by using variable coupler 117. The on-chip optical loopback waveguide 113 is an element of a diagnostic loop linking the Tx photonics and Rx photonics to enable wafer level testing.」
(日本語訳:[0015]本発明の実施形態は、可変結合器(例えば、光スイッチ)を用いて、光学ループバックを可能とする。図1に示すように、送信(すなわち、Tx)フォトニクスモジュール110が発した光は、初めに送信導波路111を伝搬し、自己試験中、可変結合器115によって送信導波路111からオンチップ光学ループバック導波路113へと方向が変更される。本明細書に記載の通り、送信導波路111からの光は、可変結合器115を用いてオンチップ光学ループバック導波路113に結合させ、可変結合器117を用いて受信(すなわち、Rx)フォトニクス130へと向かわせることができる。オンチップ光学ループバック導波路113は、TxフォトニクスとRxフォトニクスとをリンクさせてウェハレベル試験を可能とする診断ループの一要素である。)

カ 「[0016] During operation of the device (after dicing and packaging), light passes through the terminal portion 112 of transmit waveguide and is emitted at the Tx port 140, where it is typically coupled into a fiber. Likewise, during operation, light is received at the Rx port 142, typically from a fiber and coupled into the terminal portion 132 of the receive waveguide 131. After dicing and packaging, loopback testing can be performed by coupling a fiber to both the Tx and Rx ports. However, in the undiced state with conventional transceivers, because there is no optical access to the Tx and Rx ports, such loopback testing using an external fiber is not possible. Accordingly, embodiments of the present invention provide a mechanism to feed the signal from the transmit waveguide 111 into the receive waveguide 131, enabling loopback testing. The integration of the self-test functionality with the transceiver enables wafer scale testing (e.g., loopback testing) prior to dicing as well as testing during operation (i.e., after dicing and packaging).」
(日本語訳:[0016]デバイスの動作中(ダイシング及びパッケージング後)、光は、送信導波路の終端部112を通過して、Txポート140から発せられ、通常はそこでファイバに結合される。同様に、動作中、光は、通常はファイバからRxポート142で受信され、受信導波路131の終端部132に結合される。ダイシング及びパッケージング後は、ファイバをTxポート及びRxポートの両者に結合させることによって、ループバック試験を実行可能である。ただし、従来の送受信機で未ダイシングの状態では、Txポート及びRxポートへの光アクセスが存在しないため、外部のファイバを用いてこのようなループバック試験を行うことができない。このため、本発明の実施形態は、送信導波路111から受信導波路131に信号を供給する機構を設けることによって、ループバック試験を可能とする。自己試験機能を送受信機と一体化することによって、ダイシングに先立つウェハスケール試験(例えば、ループバック試験)及び稼働中(すなわち、ダイシング及びパッケージング後)の試験が可能となる。)

キ 「[0020] The optical path including the transmit waveguide 111, the on-chip optical loopback waveguide 113, and the receive waveguide 131 as illustrated in FIG. 1 enables a self-test mode in which loopback testing can be performed. The variable couplers 115 and 117 can be electrically actuated, thermally actuated, or the like.」
(日本語訳:[0020]図1に示す送信導波路111、オンチップ光学ループバック導波路113、及び受信導波路131を含む光路は、ループバック試験を実行可能な自己試験モードを可能とする。また、可変結合器115、117は、電気的な作動、熱的な作動等が可能である。)

ク 「[0021] The variable coupler 115 integrated into the transmit path enables a portion or all of the light in the transmit path to be switched into the diagnostic loop, i.e., the loop including loopback waveguide 113. Thus, light can be partially coupled to the Tx port 140 and partially coupled into the loopback waveguide 112.」
(日本語訳:[0021]送信経路に一体化された可変結合器115によって、送信経路中の光の一部又は全部を診断ループすなわちループバック導波路113を含むループに切り替え可能である。このように、光の一部をTxポート140に結合させるとともに、一部をループバック導波路112に結合させることができる。)

ケ 「[0022] One or more taps can be provided in the diagnostic loop as illustrated in FIG. 1 to enable integration of detectors (e.g., a power monitor) to measure the power in the diagnostic loop, which can be calibrated to determine the power in the transmit waveguide and the power that exits at the Tx port. Referring to FIG. 1, tap 114 directs light into a waveguide with a branching coupler to reach either a transmit signal monitor 122 or an out-of-plane coupler 120. 」
(日本語訳:図1に示す診断ループには、1つ又は複数のタップを設けることにより、検出器の統合体(例えば、パワーモニタ)によって診断ループ中のパワーを測定することができる。また、このパワーを校正することによって、送信導波路中のパワー及びTxポートでの出力パワーを決定することができる。図1を参照して、タップ114は、分岐結合器を備えた導波路へと光を向かわせ、送信信号モニタ122又は面外結合器120のいずれかに到達させる。)

コ 「[0023] In an embodiment, the out-of-plane coupler 120 is a surface normal coupler, for example, a grating coupler, operable to direct the light in a direction substantially normal to the surface of the optical ASIC die, but this is not required by the present invention since directions other than normal can be utilized. 」
(日本語訳:[0023]一実施形態において、面外結合器120は、光ASICダイの表面と実質的に垂直な方向へと光を向かわせるように動作可能な面法線結合器、例えば格子結合器である。)

サ 「[0025] As illustrated in FIG. 1, an additional out-of-plane coupler 126 (e.g., a grating coupler operating at normal or other angle of incidence) can be used to receive optical injection into the on-chip optical loopback waveguide 113 from off-chip. In the illustrated embodiment, the light received at the chip, which can then be used, for example, to calibrate or test the Rx photonics, is coupled into the diagnostic loop using a tap and then directed into the receive waveguide 131 using variable coupler 117. In addition to receiving light through the optical coupler and transmitting it to the diagnostic waveguide, the received light could be coupled into the receive waveguide, either before or after the variable coupler, using additional out-of-plane couplers (not shown), for example coupled at a location along receive waveguide 131 between the variable coupler 117 and the Rx photonics 130 or at a location along the terminal portion 132 of the receive waveguide. One of ordinary skill in the art would recognize many variations, modifications, and alternatives. In some testing protocols, an external fiber loop is used to receive light from out-of-plane coupler 120 and direct light into out-of-plane coupler 126, effectively mimicking the loopback testing typically performed by coupling a fiber loop to the Tx port 140 and the Rx port 142 of a diced device. In either external testing or loopback implementations, the testing protocols can include reference test signals, test patterns, or the like.」
(日本語訳:[0025]:図1に示すように、付加的な面外結合器126(例えば、垂直又はその他の入射角で動作する格子結合器)を用いることによって、オフチップからオンチップ光学ループバック導波路113への光注入を受信可能である。図示の実施形態において、例えばRxフォトニクスの校正又は試験に後で利用可能なチップ受信光は、タップにより診断ループに結合された後、可変結合器117によって受信導波路131へと向かう。光結合器を介した光の受信及び診断導波路への送信に加えて、受信光は、例えば可変結合器117とRxフォトニクス130間の受信導波路131に沿った位置又は受信導波路の終端部132に沿った位置に結合された付加的な面外結合器(図示せず)により、可変結合器の前段又は後段のいずれかにおいて、受信導波路に結合させることができる。当業者であれば、多くの変形、改良、及び代替が認識されよう。いくつかの試験プロトコルにおいては、外部のファイバループを用いて、面外結合器120からの光を受信し、面外結合器126へと向かわせることにより、通常はファイバループをダイシングしたデバイスのTxポート140及びRxポート142に結合させることによって行われるループバック試験を効果的に模倣する。外部試験又はループバック実施態様のいずれかにおいて、試験プロトコルは、基準試験信号、試験パターン等を含むことができる。)

シ FIG.1は次のとおりである。
【FIG.1】

(日本語訳:【図1】

)
ス 上記アないしサの記載を踏まえて、上記シのFIG.1をみると
光ASIC100([0011])は、
「ファイバに結合され」る「Rxポート142」([0016])が「受信導波路の終端部132」を介して「可変結合器117」に接続されるとともに、「格子結合器」である「付加的な面外結合器126」([0025])が「オンチップ光学ループバック導波路113」を介して前記「可変結合器117」に接続され、
前記「可変結合器117」が「受信導波路131」を介して「受信(Rx)フォトニクス130」に接続され、
前記「受信(Rx)フォトニクス130」が「組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュール」([0012])を介して「送信(Tx)フォトニクスモジュール110」に接続され、
前記「送信(Tx)フォトニクスモジュール110」が「送信導波路111」を介して「可変結合器115」に接続され、
前記「可変結合器115」が「送信導波路の終端部112」を介して「Txポート140」に接続されるとともに、「オンチップ光学ループバック導波路113」と「タップ114」を介して「格子結合器である」「面外結合器120」([0023])に接続されるものであることがみてとれる。
また、光ASIC100において、光は、通常はファイバからRxポート142で受信され、受信導波路131の終端部132に結合され、その後、送信導波路の終端部112を通過して、Txポート140から発せられる([0016])ものであるから、光ASIC100は光送受信機であるといえる。

(2)上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ファイバに結合されるRxポート142が受信導波路の終端部132を介して可変結合器117に接続されるとともに、格子結合器である付加的な面外結合器126がオンチップ光学ループバック導波路113を介して前記可変結合器117に接続され(上記「(1)」「ス」)、
前記可変結合器117が受信導波路131を介して受信(Rx)フォトニクス130に接続され(上記「(1)」「ス」)、
前記受信(Rx)フォトニクス130が組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュールを介して送信(Tx)フォトニクスモジュール110に接続され(上記「(1)」「ス」)、
前記送信(Tx)フォトニクスモジュール110が送信導波路111を介して可変結合器115に接続され、
前記可変結合器115が送信導波路の終端部112を介してTxポート140に接続されるとともに、オンチップ光学ループバック導波路113とタップ114を介して格子結合器である面外結合器120に接続され(上記「(1)」「ス」)、
光は、ファイバから前記Rxポート142で受信され、前記受信導波路131の終端部132に結合され、また、光は、前記送信導波路の終端部112を通過して、前記Txポート140から発せられ、そこでファイバに結合され([0016])、
前記送信導波路111、前記オンチップ光学ループバック導波路113及び前記受信導波路131を含む光路は、ループバック試験を実行可能な自己試験モードを可能とし([0020])、
前記送信(Tx)フォトニクスモジュール110が発した光は、初めに前記送信導波路111を伝搬し、自己試験中、前記可変結合器115によって前記送信導波路111から前記オンチップ光学ループバック導波路113へと方向が変更され、前記送信導波路111からの光は、前記可変結合器115を用いて前記オンチップ光学ループバック導波路113に結合させ、前記可変結合器117を用いて受信(Rx)フォトニクス130へと向かわせることができる([0015])、
光送受信機(上記「(1)」「ス」)。」

2 引用文献2、3
原査定の拒絶の理由では、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特表2014-504745号公報(以下「引用文献2」という。)、及び、米国特許出願公開第2012/0207428号明細書(以下「引用文献3」という。)を引用している。

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ファイバに結合されるRxポート142」、「可変結合器117」、「格子結合器である付加的な面外結合器126」、「可変結合器115」、「Txポート140、「格子結合器である面外結合器120」及び「光送受信機」は、本願発明1の「入力エッジカプラ」、「入力セル」、「入力表面グレーティングカプラ(SGC)」、「出力セル」、「出力エッジカプラ」、「出力SGC」及び「フォトニック集積回路(PIC)」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明の「可変結合器117」、「受信(Rx)フォトニクス130」、「組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュール」、「送信(Tx)フォトニクスモジュール110」及び「可変結合器115」からなる光回路(以下「光回路A」という。)は、本願発明1の「光スイッチ」と、「光回路」の点で一致する。

ウ 上記ア及びイをふまえると、引用発明の
「ファイバに結合されるRxポート142が受信導波路の終端部132を介して可変結合器117に接続されるとともに、格子結合器である付加的な面外結合器126がオンチップ光学ループバック導波路113を介して前記可変結合器117に接続され、
前記可変結合器117が受信導波路131を介して受信(Rx)フォトニクス130に接続され、
前記受信(Rx)フォトニクス130が組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュールを介して送信(Tx)フォトニクスモジュール110に接続され、
前記送信(Tx)フォトニクスモジュール110が送信導波路111を介して可変結合器115に接続され、
前記可変結合器115が送信導波路の終端部112を介してTxポート140に接続されるとともに、オンチップ光学ループバック導波路113とタップ114を介して格子結合器である面外結合器120に接続され、
光は、ファイバから前記Rxポート142で受信され、前記受信導波路131の終端部132に結合され、また、光は、前記送信導波路の終端部112を通過して、前記Txポート140から発せられ、そこでファイバに結合され」
ることは、
本願発明1の
「光スイッチに結合された複数の入力エッジカプラと、
前記光スイッチに結合された複数の入力表面グレーティングカプラ(SGC)と、
前記光スイッチに結合された複数の出力エッジカプラと、
前記光スイッチに結合された複数の出力SGCと、
を有し、
前記光スイッチは複数の入力セルと複数の出力セルとを有し、各入力セルが第1の入力及び第2の入力と第1の出力及び第2の出力とを有し、各出力セルが第1の入力及び第2の入力と第1の出力及び第2の出力とを有し、
各入力セルの前記第1の入力は前記複数の入力エッジカプラのうちの対応する1つに結合され、各入力セルの前記第2の入力は前記複数の入力SGCのうちの対応する1つに結合され、各出力セルの前記第1の出力は前記複数の出力エッジカプラのうちの対応する1つに結合され、各出力セルの前記第2の出力は前記複数の出力SGCのうちの対応する1つに結合されている」
ことと、
「光回路に結合された入力エッジカプラと、
前記光回路に結合された入力表面グレーティングカプラ(SGC)と、
前記光回路に結合された出力エッジカプラと、
前記光回路に結合された出力SGCと、
を有し、
前記光回路は入力セルと出力セルとを有し、入力セルが第1の入力及び第2の入力と出力とを有し、出力セルが入力と第1の出力及び第2の出力とを有し、
各入力セルの前記第1の入力は前記入力エッジカプラに結合され、入力セルの前記第2の入力は前記入力SGCに結合され、出力セルの前記第1の出力は前記出力エッジカプラに結合され、出力セルの前記第2の出力は前記出力SGCに結合されている」
点で一致する。

エ 以上アないしウによれば、引用発明と本願発明1は、
「フォトニック集積回路(PIC)であって、
光回路と、
前記光回路に結合された入力エッジカプラと、
前記光回路に結合された入力表面グレーティングカプラ(SGC)と、
前記光回路に結合された出力エッジカプラと、
前記光回路に結合された出力SGCと、
を有し、
前記光回路は入力セルと出力セルとを有し、入力セルが第1の入力及び第2の入力と出力とを有し、出力セルが入力と第1の出力及び第2の出力とを有し、
各入力セルの前記第1の入力は前記入力エッジカプラに結合され、入力セルの前記第2の入力は前記入力SGCに結合され、出力セルの前記第1の出力は前記出力エッジカプラに結合され、出力セルの前記第2の出力は前記出力SGCに結合されている、
PIC。」
である点で一致し、下記各点で相違する。

(相違点1)
本願発明1は「光スイッチ」を備えるのに対し、引用発明は「光回路」を備えるものの、当該「光回路」が「光スイッチ」であるとまでは特定されない点。

(相違点2)
本願発明1は、「入力エッジカプラ」、「入力表面グレーティングカプラ(SGC)」、「出力エッジカプラ」、「出力SGC」、「入力セル」及び「出力セル」をそれぞれ複数有し、「各入力セルの前記第1の入力は前記複数の入力エッジカプラのうちの対応する1つに結合され、各入力セルの前記第2の入力は前記複数の入力SGCのうちの対応する1つに結合され、各出力セルの前記第1の出力は前記複数の出力エッジカプラのうちの対応する1つに結合され、各出力セルの前記第2の出力は前記複数の出力SGCのうちの対応する1つに結合されている」と特定されるのに対して、引用発明においては、引用発明の「ファイバに結合されるRxポート142」、「格子結合器である付加的な面外結合器126」、「Txポート140」、「格子結合器である面外結合器120」、「可変結合器117」及び「可変結合器115」は、いずれも1つであるため、「各入力セルの前記第1の入力は前記入力エッジカプラに結合され、入力セルの前記第2の入力は前記入力SGCに結合され、出力セルの前記第1の出力は前記出力エッジカプラに結合され、出力セルの前記第2の出力は前記出力SGCに結合されている。」と特定されるにとどまる点。

(相違点3)
本願発明1は、「入力セル」が「第1の出力及び第2の出力」とを有し、「出力セルが第1の入力及び第2の入力」とを有すると特定されるのに対して、引用発明の「可変結合器117」の出力は「受信導波路131」のみであり、また、「可変結合器115」の入力は「送信導波路111」のみである点。

(2)判断
事案に鑑みて、上記相違点1ないし3をまとめて検討する。
引用文献1には、「光スイッチ」という形式的な記載はあるが、引用発明は、「光送受信機」に関するものであり、引用文献1には「光スイッチ」の発明は実質的に開示されていない。
すなわち、引用文献1には、「検出器を用いてパワーをモニタリング可能であるとともに、組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュールを備えたフィードバックループを用いて、Tx(送信)フォトニクスのパワーを調整可能である」([0012])点、「外部の光ファイバケーブルを用いることなく、Tx及びRxの両機能を含めて、送受信機の機能の電気的試験をウェハレベルで実行可能である」([0013])点、「診断ループ中のパワーを測定することができる、このパワーを校正することによって、送信導波路中のパワー及びTxポートでの出力パワーを決定することができる」([0022])点、及び、「付加的な面外結合器126を用いることによって、オフチップからオンチップ光学ループバック導波路113への光注入を受信可能であり、Rxフォトニクスの校正又は試験に後で利用可能なチップ受信光は、(付加的な面外結合器126から)タップにより診断ループに結合された後、可変結合器117によって受信導波路131へと向かう」([0025])点等が記載されており、これらは、光送受信機特有のものであって、光スイッチに関するものではない。
また、引用文献2、3には光スイッチの発明が記載されており、仮に、引用発明の「光送受信機」を「光スイッチ」で置き換えることが出来たとしても、「組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュール」はTxフォトニクスのパワーを調整するものであり、「格子結合器である面外結合器120」はTxポートの出力パワーを校正あるいは決定するために設けられており、また、「格子結合器である付加的な面外結合器126」は、Rxフォトニクスの校正又は試験に後で利用可能なチップ受信光を供給するために用いられているのであるから、そもそも「Txフォトニクス」や「Rxフォトニクス」に相当する部材を必要としない光スイッチに「組み込み自己試験回路及びリンク検証モジュール」、「格子結合器である面外結合器120」、「格子結合器である付加的な面外結合器126」を設ける理由がない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献1?3の記載に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明7、14について
本願発明7は、「複数の入力エッジカプラ」、「複数の入力表面グレーティングカプラ(SGC)」、「第1の光スイッチ」、「第2の光スイッチ」を有した上で、「前記第1の光スイッチは、第1の入力セルを含む複数の入力セルを有し、前記第2の光スイッチは、第2の入力セルを含む複数の入力セルを有し、前記第1及び第2の光スイッチの各々の前記複数の入力セルの各々が、第1の入力及び第2の入力と、第1の出力及び第2の出力とを有し、前記第1及び第2の入力セルの前記第1の入力の双方が、前記複数の入力エッジカプラのうちの同じ1つに結合され、前記第1及び第2の入力セルの前記第2の入力の双方が、前記複数の入力SGCのうちの同じ1つに結合されている」構成を発明特定事項とする発明であり、本願発明14は、「複数の入力セルを含む第1の光スイッチ」、「各入力セルが第1の出力及び第2の出力とを有する」、「複数の第1の表面グレーティングカプラ(SGC)」及び「複数の第1のエッジカプラ」を有した上で、「各第1のSGCが前記複数の入力セルのうちの対応する1つの前記第1の入力に結合される」こと、及び、「各第1のエッジカプラが前記複数の入力セルのうちの対応する1つの前記第2の入力に結合される」構成を発明特定事項とする発明である。
したがって、引用発明は、上記1で検討した相違点1?3の点で本願発明7及び14と相違している。
そうすると、本願発明7及び14も、上記1で検討した理由と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献1?3の記載に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明2?6、8?13、15?18について
本願発明2?6は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8?13は本願発明7を減縮した発明であり、本願発明15?18は本願発明14を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2?6、8?13、15?18は、当業者であっても引用発明及び引用文献1?3の記載に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、(令和元年9月3日付けの手続補正により補正された)請求項1ないし18に係る発明は、引用発明及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、上記第3で検討したとおり、本願発明1ないし18は、当業者であっても引用発明及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし18は、引用発明及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-01-05 
出願番号 特願2018-500374(P2018-500374)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岸 智史  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 近藤 幸浩
松川 直樹
発明の名称 表面グレーティングカプラ及びエッジカプラを有する光スイッチ  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
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