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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1369960 |
審判番号 | 不服2020-1824 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-10 |
確定日 | 2021-01-26 |
事件の表示 | 特願2015- 96255「バッテリ提供装置及びこれを含む駐車場システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-212655、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年5月11日の出願であって、平成31年3月8日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月26日付けで手続補正がなされ、令和元年7月1日付けで拒絶理由通知がなされ、同年8月28日付けで手続補正がなされたが、同年11月1日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、令和2年2月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和元年11月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1-5に係る発明は、以下の引用文献1-4に記載された発明及び周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2011-103048号公報 2.特開2010-191636号公報 3.特開2007-252117号公報 4.特開平11-178241号公報 第3 本願発明 本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和2年2月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び5は以下のとおりの発明である。 <本願発明1> 「【請求項1】 複数の駐車スペースを有した駐車場に設置され、使用済みのバッテリパックとの交換を条件に充電済みのバッテリパックを提供する電気車両用のバッテリ提供装置であって、 前記使用済みのバッテリパックに充電を行うように構成されると共に、商用電源に接続され、通常時は前記使用済みのバッテリパックに充電を行う一方で商用電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給し、前記商用電源の停電を検知したときは装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給する、 バッテリ提供装置。」 <本願発明5> 「【請求項5】 車両が駐車可能な複数の駐車スペースを有した駐車場に適用される駐車場システムであって、 駐車料金を徴収するための精算機と、 駐車車両の前記駐車スペース又は前記駐車場からの不正退出を阻止する一方、前記精算機からの指令に基づいて作動して前記駐車車両の前記駐車スペース又は前記駐車場からの退出を可能とする退出阻止装置と、 使用済みのバッテリパックとの交換を条件に充電済みのバッテリパックを提供する電気車両用のバッテリ提供装置と、 を含み、 前記バッテリ提供装置は、前記使用済みのバッテリパックに充電を行うように構成され、かつ、商用電源に接続されていると共に前記商用電源の停電を検知する停電検知部を有し、通常時には前記使用済みのバッテリパックに充電を行う一方で商用電力を前記精算機及び前記退出阻止装置に供給する一方、停電時には装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記精算機及び前記退出阻止装置に供給するように構成されている、 駐車場システム。」 本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0008】 本発明は、充電設備が併設されている有料駐車場において、駐車料金と充電料金とを合算して精算することができ、事前精算機における精算時にも充電料金を適切に精算することができるシステムを提供することを目的とする。」 イ.「【0023】 (中略)充電設備関連機器401?405は、駐車設備側ターミナル200を介して管理サーバ100と接続されており、表示設備401、プラグ充電設備402、非接触充電設備403、電池交換設備404及び電池充電設備405が含まれる。」 ウ.「【0027】 電池交換設備404は、電池交換式の車両から電池を取り外し、車両に電池を装着する電池交換部、電池交換に関する指示及び交換作業の状態を表示する表示部、及び、電池交換の開始及び停止の指示が入力される操作部を備え、車両から電池を取り外し、車両に充電済み電池を装着する。 【0028】 電池充電設備405は、電池交換設備404によって車両から取り外された使用済電池を充電する充電器、装着される充電済電池及び取り外された使用済電池を保管する電池保管部、及び、電池充電設備405との間で電池を移動させる搬送部を備える。」 エ.「【0041】 図2は、本発明の実施の形態の駐車設備管理データテーブル2100の説明図である。 (中略) 【0043】 駐車設備識別番号2101は、車両が駐車する駐車エリアを一意に識別する番号である。」 オ.図2には、「駐車設備No.」として1?20の番号を有する駐車設備管理データテーブルが記載されている。 ・前記ア.の「充電設備が併設されている有料駐車場」の記載、前記イ.の「充電設備関連機器401?405は、(中略)電池交換設備404及び電池充電設備405が含まれる。」の記載によれば、電池交換設備及び電池充電設備は、有料駐車場に併設されているといえる。 ・前記エ.オ.によれば、有料駐車場には、複数の駐車エリアが設けられているといえる。 ・前記ウ.によれば、電池交換設備は、電池交換式の車両から電池を取り外し、車両に充電済み電池を装着し、また、電池充電設備は、車両から取り外された使用済電池を充電する充電器と、装着される充電済電池及び取り外された使用済電池を保管する電池保管部とを備えるといえる。 したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「有料駐車場に併設された電池交換設備及び電池充電設備であって、 有料駐車場には、複数の駐車エリアが設けられ、 電池交換設備は、電池交換式の車両から電池を取り外し、車両に充電済み電池を装着し、 電池充電設備は、車両から取り外された使用済電池を充電する充電器と、装着される充電済電池及び取り外された使用済電池を保管する電池保管部とを備える、 電池交換設備及び電池充電設備。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0023】 (中略) 実施例1の電動装置のバッテリ交換システム10は、図示するように複数の電動自転車11が係止される係止ポイント12と、電動自転車11に着脱可能に搭載され消耗したバッテリ13を予め充電されたバッテリに交換するための複数のバッテリ収納部14などを備えたバッテリステーション15により構成されている。」 イ.「【0025】 (中略) さらに、制御系のブロック構成図(図3)に示すように、台形スタンド状に形成されたバッテリステーション15のバッテリ収納部14には、ディスプレー装置15aや充電完了ランプ15hなどの入出力装置16に加えて、バッテリ13に取り付けられたICチップ13aを介して、その充電可能回数、使用年月日数、使用可能期限、残存電気量などの履歴データを取得するためのICタグリーダライタなどのデータ読書装置17と、バッテリ収納部14にセットされたバッテリ13を充電するためのバッテリ充電装置18と、バッテリステーション15におけるバッテリ充電や交換処理などを制御するための制御装置19とを備えている。」 ウ.「【0026】 バッテリの受払処理においては、電動自転車11から取り外されたバッテリAをバッテリ収納部14に挿入することによって、バッテリAと交換対象となる充電済のバッテリBの価値指数、充電料、手数料の差額を受領あるいは支払することによりバッテリBを受け取ることができる。」 エ.「【0027】 こうして、バッテリAがバッテリ充電装置18に接続されると、データ取得装置を介してそのバッテリのICチップ13aに記録された情報データが制御装置19に読み込まれ、精算処理がなされる。バッテリステーション15では、大型のカセットテープ差込口と同じような形状の空いている差込口にバッテリAを入れることで、バッテリAの充電前の価値指数がディスプレー装置15aに表示される。そして利用者は他の差込口に差し込まれているバッテリBの中からその表示されている価値指数を参照して好みのものを選択する。こうして、バッテリBが収納されているバッテリ収納部14の金額表示パネル15iには充電後の料金表示がされ、精算ボタン15cの操作によってバッテリAとBとの交換に伴う精算処理が実行される。最後にバッテリステーション15の前面に設けられたロックボタン15jを操作することによりバッテリBをそのバッテリ収納部14から取り外すことができる。」 前記ア.?エ.によれば、引用文献2には、次の事項が記載されている。 <引用文献2の記載事項> 「複数の電動自転車11が係止される係止ポイント12と、電動自転車11に着脱可能に搭載され消耗したバッテリ13を予め充電されたバッテリに交換するための複数のバッテリ収納部14を備えたバッテリステーション15により構成され、 バッテリ収納部14は、バッテリ収納部14にセットされたバッテリ13を充電するためのバッテリ充電装置18を備え、 電動自転車11から取り外されたバッテリAをバッテリ収納部14の空いている差込口に挿入し、利用者が他の差込口に差し込まれている充電済みのバッテリBの中から好みのものを選択して精算ボタン15cを操作すると、バッテリAとBとの交換に伴う精算処理が実行され、最後にロックボタン15jを操作することによりバッテリBをそのバッテリ収納部14から取り外すことができる、 バッテリ交換システム10。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0019】 (中略)この電力供給システム1は、停電などの非常時に、複数の電気自動車2から公民館4(外部系統設備)に電力を供給するシステムであって、複数の電気自動車2を駐車できる駐車スペースPに電力供給設備3が設置されている。」 イ.「【0021】 電力供給設備3は、主として、各電気自動車2の駐車領域に対応して設置された複数の充放電器31と、各充放電器31を制御などするとともに公民館4に電力を供給する充放電ターミナル32とを備え、各充放電器31と充放電ターミナル32とは充放電ケーブル33によって接続されている。」 ウ.「【0035】 まず、商用電源Eから電力が供給されている平常時について、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。電気自動車2が駐車スペースPに駐車され、電気自動車2の充放電ポート23に充放電器31の充放電パドル3114が挿着されると、充放電器31の識別部314によって電気自動車2のナンバープレートのナンバーが読み取られる(ステップS1)。(中略)これにより、充放電ターミナル32および当該充放電器31を介して、商用電源Eから電気自動車2の車両用蓄電池21に電力が供給される(ステップS8)。」 エ.「【0038】 一方、商用電源Eからの電力供給が停止された状態において、停電が一定時間経過すると、図10に示すように、公民館4の制御装置42から充放電ターミナル32に電力供給要求が送信される(ステップS41)。(中略)これにより、当該充放電器31および充放電ターミナル32を介して、車両用蓄電池21から公民館4の設備群441、442に電力が供給される(ステップS49)。」 前記ア.?エ.によれば、引用文献3には、次の事項が記載されている。 <引用文献3の記載事項> 「 停電時に、複数の電気自動車2から公民館4に電力を供給する電力供給システム1であって、 複数の電気自動車2を駐車できる駐車スペースPに電力供給設備3が設置され、 電力供給設備3は、各電気自動車2の駐車領域に対応して設置された複数の充放電器31と、各充放電器31を制御するとともに公民館4に電力を供給する充放電ターミナル32とを備え、 商用電源Eから電力が供給されている平常時には、電気自動車2を駐車スペースPに駐車し、電気自動車2の充放電ポート23に充放電器31の充放電パドル3114を挿着することで、充放電ターミナル32および充放電器31を介して、商用電源Eから電気自動車2の車両用蓄電池21に電力が供給され、 一方、商用電源Eからの電力供給が停止された状態においては、充放電器31および充放電ターミナル32を介して、電気自動車2の車両用蓄電池21から公民館4に電力が供給される、 電力供給システム1。」 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0017】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1の停電時電力供給装置を示す構成図である。図において、21は自動車であり、この実施の形態では自動車の走行のためのエネルギーを発生させる通常のガソリンエンジンと、自動車の走行のためのエネルギーを蓄積するバッテリの両方を備えたハイブリッド方式の自動車である。22は自動車21に搭載されている前記バッテリ、23は例えばAC100Vの商用電源、24は商用電源23から供給されるAC100Vの交流電力を直流電力へ変換し前記バッテリ22を充電するための充電用交/直変換アダプタ、25は停電の発生を常時監視し、停電の発生を検出すると停電検知信号を出力する停電検知装置、25aは停電検知装置25の停電時のバックアップ用バッテリ電源、26はバッテリ22に充電されている直流電力を交流電力へ変換するためのDC/AC変換器(電力変換供給手段)、」 イ.「【0021】次に動作について説明する。この停電時電力供給装置では、自動車1のバッテリ22は停車中、商用電源23をもとに充電用交/直変換アダプタ24を介して供給される直流電力により常に充電状態にある。 【0022】停電検知装置25が停電を検出すると、停電検知装置25から出力された前記停電検知信号によりケーブル側コネクタ構成部128の切換器128aの切換接点が切り換えられ、切換器128aの切換接点は閉成される。この結果、バッテリ22に蓄えられている直流電力がバッテリ22への充電が停止した状態でDC/AC変換器26へ供給され、DC/AC変換器26を介してAC100Vの交流電力に変換され家庭内の各電気機器に供給される。」 前記ア.イ.によれば、引用文献4には、次の事項が記載されている。 <引用文献4の記載事項> 「自動車21に搭載されたバッテリ22と、 商用電源23から供給されるAC100Vの交流電力を直流電力へ変換し、バッテリ22を充電するための充電用交/直変換アダプタ24と、 停電の発生を常時監視し、停電の発生を検出すると停電検知信号を出力する停電検知装置25と、 バッテリ22に充電されている直流電力を交流電力へ変換するためのDC/AC変換器26とを備え、 自動車のバッテリ22は停車中、商用電源23をもとに充電用交/直変換アダプタ24を介して供給される直流電力により常に充電状態にあり、 停電検知装置25が停電を検出すると、バッテリ22に蓄えられている直流電力がバッテリ22への充電が停止した状態でDC/AC変換器26へ供給され、DC/AC変換器26を介してAC100Vの交流電力に変換され家庭内の各電気機器に供給される、 停電時電力供給装置。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ・引用発明の電池交換設備及び電池充電設備は、全体として、車両から使用済電池を取り外し、その車両に充電済み電池を装着する装置であり、複数の駐車エリアが設けられた有料駐車場に併設されている。 したがって、引用発明の電池交換設備及び電池充電設備は、本願発明1の「複数の駐車スペースを有した駐車場に設置され、使用済みのバッテリパックとの交換を条件に充電済みのバッテリパックを提供する電気車両用のバッテリ提供装置」に相当する。 ・引用発明は、車両から取り外された使用済電池を充電する充電器を備えており、その充電のために商用電源に接続されることは自明である。 したがって、引用発明の電池交換設備及び電池充電設備と、本願発明1の「前記使用済みのバッテリパックに充電を行うように構成されると共に、商用電源に接続され、通常時は前記使用済みのバッテリパックに充電を行う一方で商用電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給し、前記商用電源の停電を検知したときは装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給する」は、「前記使用済みのバッテリパックに充電を行うように構成されると共に、商用電源に接続され、通常時は前記使用済みのバッテリパックに充電を行う」の点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「複数の駐車スペースを有した駐車場に設置され、使用済みのバッテリパックとの交換を条件に充電済みのバッテリパックを提供する電気車両用のバッテリ提供装置であって、 前記使用済みのバッテリパックに充電を行うように構成されると共に、商用電源に接続され、通常時は前記使用済みのバッテリパックに充電を行う、 バッテリ提供装置。」 <相違点> 本願発明では、バッテリ提供装置が「商用電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給し、前記商用電源の停電を検知したときは装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給する」のに対し、引用発明は、バッテリ提供装置が、商用電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給するものでもなく、商用電源の停電を検知したときは装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給する電力を駐車場に設置された電気設備に供給するものでもない点。 (2)相違点についての判断 引用文献2に記載されたバッテリステーションは、使用済みのバッテリとの交換を条件に充電済みのバッテリを提供する電気車両用のバッテリ提供装置に相当し、装置内に充電済みのバッテリを有するが、上記相違点に係る構成は記載されていない。 引用文献3に記載された電力供給システムは、停電時に、電気自動車の車両用蓄電池から公民館に電力を供給するものであり、相違点に係る構成は記載されていない。 引用文献4に記載された停電時電力供給装置は、停電時に、自動車に搭載されたバッテリから家庭内の電気機器に電力を供給するものであり、相違点に係る構成は記載されていない。 したがって、相違点に係る構成は引用文献1-4に記載されておらず、また、周知技術であるとも認められない。 そして、本願発明1は、相違点に係る構成を備えることにより、「【0009】前記駐車場システムによれば、前記バッテリ提供装置によって電気車両用のバッテリパックの交換を効果的にサポートし得ると共に、停電時においても前記バッテリ提供装置に有する充電済みのバッテリパックの電力によって通常時とほぼ同様の運用が可能となる。」という、発明の詳細な説明に記載された格別な効果を奏するものである。 よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-4について 本願発明2-4は、本願発明1の上記相違点に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明5について 本願発明5は、「前記バッテリ提供装置は、前記使用済みのバッテリパックに充電を行うように構成され、かつ、商用電源に接続されていると共に前記商用電源の停電を検知する停電検知部を有し、通常時には前記使用済みのバッテリパックに充電を行う一方で商用電力を前記精算機及び前記退出阻止装置に供給する一方、停電時には装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記精算機及び前記退出阻止装置に供給するように構成されている」ことから、上記相違点に係る構成をさらに減縮した構成を備えるものである(下線は、当審において付与した。)。 したがって、本願発明5は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-4は「(バッテリ提供装置が)商用電源に接続され、通常時は前記使用済みのバッテリパックに充電を行う一方で商用電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給し、前記商用電源の停電を検知したときは装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記駐車場に設置された電気設備に供給する」という構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 また、本願発明5は「前記バッテリ提供装置は、前記使用済みのバッテリパックに充電を行うように構成され、かつ、商用電源に接続されていると共に前記商用電源の停電を検知する停電検知部を有し、通常時には前記使用済みのバッテリパックに充電を行う一方で商用電力を前記精算機及び前記退出阻止装置に供給する一方、停電時には装置内の充電済みのバッテリパックの電力を前記精算機及び前記退出阻止装置に供給するように構成されている」という構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-01-06 |
出願番号 | 特願2015-96255(P2015-96255) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関 博文 |
特許庁審判長 |
佐藤 聡史 |
特許庁審判官 |
渡邊 聡 岡 裕之 |
発明の名称 | バッテリ提供装置及びこれを含む駐車場システム |
代理人 | 西山 春之 |
代理人 | 小川 護晃 |
代理人 | 奥山 尚一 |