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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1369964
審判番号 不服2018-17014  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-21 
確定日 2021-01-08 
事件の表示 特願2016-558285「デュアル接続システムにおけるフロー・コントロールのための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月15日国際公開、WO2015/155598、平成29年 5月25日国内公表、特表2017-513370〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は,2015年(平成27年)3月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年3月21日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 1月29日付け 拒絶理由通知書
平成30年 5月 2日 意見書、手続補正書の提出
平成30年 8月17日付け 拒絶査定
平成30年12月21日 拒絶査定不服審判の請求
令和 1年10月16日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 2年 4月16日 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1-15に係る発明は、令和2年4月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定されるところ、その請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という 。)は、以下のとおりのものと認める。

「 デュアル接続システムにおけるフロー・コントロールのための方法であって、
第1の無線ベアラに関するフロー比率をプライマリ基地局から無線リソース・コントロール・シグナリングを通じて受信するステップと、
それぞれ前記プライマリ基地局およびセカンダリ基地局を通じて前記第1の無線ベアラ上で伝送されることになるデータを前記フロー比率に基づいて特定するステップと、
を含む、方法。」

第3 拒絶の理由
令和1年10月16日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、「2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項11に対して下記4が引用されている。

4.ZTE,Discussion on BSR of small cell[online],3GPP TSG-RAN WG2#85 R2-140119,2014年1月29日掲載,インターネット

第4 引用例に記載された事項及び引用発明
当審拒絶理由で引用された、ZTE,Discussion on BSR of small cell(当審仮訳:スモールセルのBSRに関する議論)[online],3GPP TSG-RAN WG2#85 R2-140119,2014年1月29日掲載,インターネット(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「1 Introduction
In RAN plenary#62 new WI [1] was approved. One of the main working objects is “Introduce functions and procedures to realise C-plane and U-plane protocol and architectures supporting alternatives 1A and 3C”. In this document BSR report and corresponding SR issues are addressed. The paper is organized based on two types of radio bearer:
1, radio bearers on either MeNB or SeNB
2, radio bearers on both MeNB and SeNB assuming uplink split is supported」(1葉7?13行)
(当審仮訳:
1 はじめに
RAN本会議#62では、新しいWI [1]が承認された。主な動作オブジェクトの1つは、「CプレーンおよびUプレーンのプロトコルと、代替案1Aおよび3Cをサポートするアーキテクチャを実現するための機能と手順の紹介」である。このドキュメントでは、BSRレポートと対応するSRの問題について説明する。このペーパーは、2種類の無線ベアラに基づいて構成されている。
1、MeNB又はSeNBのいずれかの無線ベアラ
2、アップリンクスプリットがサポートされていると仮定しているMeNBとSeNBの両方の無線ベアラ)

(2)「3 BSR for radio bearers on both MeNB and SeNB
In case one radio bearer is split both in downlink and uplink, then the situation is quite different. The main cause is PDCP is shared by radio bearer paths of the same radio bearer according to current 3C architecture, while “data available for transmission” could be buffer both in PDCP entity and RLC entity. So once data arrived in uplink in PDCP entity, UE’s behaviour in terms of following aspects should be defined:
1, What is data available for transmission for MeNB and SeNB
2, How to trigger and report BSR
(中略)
Another scheme is for network to pre-configure a ratio considering the fact that eNB has better knowledge of uplink channel and load information [3]. We basically agree with alt1 in [3] i.e.
Alternative 1: Fixed ratio derived by the network and signaled to the UE. UE uses this ratio to segregate the PDCP BO that needs to be reported to each eNB.

Note: A and B is data available in separate RLC entities and P is data available in PDCP entity.
(中略)
Proposal3: data available for transmission in PDCP entity is split based on one pre-configured ratio for radio bearers on both MeNB and SeNB」(2葉1?26行)
(当審仮訳:
3 MeNBとSeNBの両方の無線ベアラのBSR
1つの無線ベアラがダウンリンクとアップリンクの両方で分割されている場合、状況はまったく異なる。主な原因は、PDCPが現在の3Cアーキテクチャに従って同じ無線ベアラの無線ベアラパスで共有されている一方で、「送信可能なデータ」がPDCPエンティティとRLCエンティティの両方でバッファリングされている可能性があることである。したがって、PDCPエンティティのアップリンクにデータが到着したら、次の側面に関するUEの動作を定義する必要がある。
1、MeNB及びSeNBへの送信に使用可能なデータとは何か
2、BSRをトリガーしてレポートする方法
(中略)
別のスキームは、eNBがアップリンクチャネルと負荷情報についてより良い知識を持っているという事実を考慮して、ネットワークが比率を事前設定することである[3]。基本的には[3]のalt1に同意する。つまり、
代替案1:ネットワークによって導出され、UEに通知される固定比率。 UEはこの比率を使用して、各eNBに報告する必要があるPDCP BOを分離する。
(表略)
注:AとBは個別のRLCエンティティで利用可能なデータであり、PはPDCPエンティティで利用可能なデータである。
(中略)
提案3:PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータは、MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの1つの事前構成比に基づいて分割される。)

(3)「7 Reference
[1] RP-132069 New Work Item Description: Dual Connectivity for LTE NTT DOCOMO, INC.
(中略)
[3] R2-133935 BSR Reporting Options for Dual Connectivity Panasonic Disc」(4葉15?18行)
(訳は省略。)

上記(1)?(3)の記載並びに当業者の技術常識を考慮すると、以下のことがいえる。

ア 上記(1)に、「RAN本会議#62では、新しいWI [1]が承認された。」と、上記(2)に、「基本的には[3]のalt1に同意する。」と、それぞれ記載され、上記(3)には、「Reference」として、「[1] RP-132069 New Work Item Description: Dual Connectivity for LTE NTT DOCOMO, INC.」、「[3] R2-133935 BSR Reporting Options for Dual Connectivity Panasonic Disc」と示されていることから、引用例はDual Connectivityのシステムを前提としており、上記(2)に記載された「UE」と「MeNB及びSeNB」がデュアル接続されることは自明である。
そして、上記(1)の「アップリンクスプリットがサポートされていると仮定しているMeNBとSeNBの両方の無線ベアラ」、上記(2)の「1つの無線ベアラがダウンリンクとアップリンクの両方で分割されている場合、・・・。したがって、PDCPエンティティのアップリンクにデータが到着したら、次の側面に関するUEの動作を定義する必要がある。1、MeNB及びSeNBへの送信」との記載から、UEは、分割されたアップリンクを介してMeNB及びSeNBへデータを送信するといえる。
よって、引用例には、「MeNB及びSeNBとデュアル接続され、分割されたアップリンクを介してMeNB及びSeNBへデータを送信するUE」が記載されているといえる。

イ 上記(2)に「別のスキームは、eNBがアップリンクチャネルと負荷情報についてより良い知識を持っているという事実を考慮して、ネットワークが比率を事前設定する」と、「ネットワークによって導出され、UEに通知される固定比率」とそれぞれ記載されていることから、「比率」はネットワークによって導出されUEに通知する上では、「比率」はeNBからUEに通知されることは当然のことである。
そして、上記(2)の「PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータは、MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの1つの事前構成比に基づいて分割される。」との記載からすれば、引用例の「比率」は、「MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの比率」であるといえる。
よって、引用例には、「MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの比率がeNBから通知されること」が記載されているといえる。

ウ 上記(2)に「UEはこの比率を使用して、各eNBに報告する必要があるPDCP BOを分離する。」(ここで、BOはBuffer Occupancy「バッファ占有率」の略であることは明らかである)と、「PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータは、MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの1つの事前構成比に基づいて分割される。」と、それぞれ記載され、(2)の表には、eNB1への報告に「PDCPエンティティで利用可能なデータP*0.4」が、eNB2への報告に「PDCPエンティティで利用可能なデータP*0.6」が含まれることが示されていることから、UEは、PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを、上記イで述べた比率に基づいて分離することは明らかである。
よって、引用例には、「UEは、PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを上記比率に基づいて分離すること」が記載されているといえる。

エ 上記ウによれば、UEは、通知された比率に基づいて、PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを分離しているといえ、上記アの点を踏まえれば、引用例には、「MeNB及びSeNBとデュアル接続され、分割されたアップリンクを介してMeNB及びSeNBへデータを送信するUEにおけるPDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを分離する方法」が記載されているといえる。

以上を総合すると、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 MeNB及びSeNBとデュアル接続され、分割されたアップリンクを介してMeNB及びSeNBへデータを送信するUEにおけるPDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを分離する方法において、
MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの比率がeNBから通知されることと、
PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを上記比率に基づいて分離することと、
を含む、方法。」

第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。

1 引用発明では、MeNB及びSeNBとUEはデュアル接続していることからすれば、MeNB、SeNB及びUEにより、通信システムが形成されていることは明らかであり、これを「デュアル接続システム」と称することは任意である。
また、引用発明では、eNBから通知された比率に基づいて、PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを分離するから、PDCPエンティティから送信されるデータの流れであるフローが該比率により制御されているといえ、当該制御はフロー・コントロールに含まれる。
よって、引用発明の「MeNB及びSeNBとデュアル接続され、分割されたアップリンクを介してMeNB及びSeNBへデータを送信するUEにおけるPDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを分離する方法」は、本願発明の「デュアル接続システムにおけるフロー・コントロールのための方法」に含まれる。

2 引用発明の「MeNBとSeNBの両方の無線ベアラ」をまとめて「第1の無線ベアラ」と称することは任意である。
そして、上記1で述べたように、引用発明の「比率」は、PDCPエンティティから送信されるデータの流れであるフローを制御するためのものといえ、引用発明の「比率」は「フロー比率」に含まれる。
さらに、引用発明の「通知される」を「受信する」と称することも任意である。
よって、本願発明の「第1の無線ベアラに関するフロー比率をプライマリ基地局から無線リソース・コントロール・シグナリングを通じて受信するステップ」と、引用発明の「MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの比率がeNBから通知されること」とは、「第1の無線ベアラに関するフロー比率を基地局から受信するステップ」の点で共通する。

3 引用発明の「MeNB」、「SeNB」は、本願発明の「プライマリ基地局」、「セカンダリ基地局」にそれぞれ相当する。
そして、引用発明では、PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを、MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの比率に基づいて分離することからすれば、PDCPエンティティで送信されるデータを、MeNBとSeNBの両方の無線ベアラ上で伝送することは当然のことであって、MeNBとSeNBの両方の無線ベアラ上で伝送することと、本願発明の「それぞれプライマリ基地局およびセカンダリ基地局を通じて前記第1の無線ベアラ上で伝送」することとは、表現が異なるだけで実質的な差異はない。
さらに、引用発明では、PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを、MeNBとSeNBの両方の無線ベアラの比率に基づいて分離するところ、当該分離によって、MeNBへ送信されるデータ、及び、SeNBへ送信されるデータが特定されることは明らかであるといえる。
よって、引用発明の「PDCPエンティティでの送信に使用可能なデータを上記比率に基づいて分離すること」は、本願発明の「それぞれプライマリ基地局およびセカンダリ基地局を通じて前記第1の無線ベアラ上で伝送されることになるデータを前記フロー比率に基づいて特定するステップ」に相当する。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「 デュアル接続システムにおけるフロー・コントロールのための方法であって、
第1の無線ベアラに関するフロー比率を基地局から受信するステップと、
それぞれプライマリ基地局およびセカンダリ基地局を通じて前記第1の無線ベアラ上で伝送されることになるデータを前記フロー比率に基づいて特定するステップと、
を含む、方法。」

(相違点)
「フロー比率」に関し、本願発明は、「プライマリ基地局から無線リソース・コントロール・シグナリングを通じて」受信するのに対し、引用発明においては、「eNBから」通知され、「プライマリ基地局」及び「無線リソース・コントロール・シグナリング」について特定されていない点、

以下、相違点について検討する。
引用発明において、「フロー比率」を、MeNBとSeNBのいずれかから受信することは明らかであるから、MeNBとSeNBのどちらから受信することとするかは当業者が適宜選択し得る事項に過ぎない。
また、UEが通信制御に関する情報を無線リソース・コントロール・シグナリングであるRRCを通じて受信することは、常套手段であるから、引用発明においても、比率を無線リソース・コントロール・シグナリングであるRRCを通じてeNBから通知されるようにすることに、格別困難なことではなく、当業者が適宜なし得ることである。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-07-29 
結審通知日 2020-07-30 
審決日 2020-08-26 
出願番号 特願2016-558285(P2016-558285)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 倉本 敦史望月 章俊  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 畑中 博幸
本郷 彰
発明の名称 デュアル接続システムにおけるフロー・コントロールのための方法および装置  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 岡部 讓  
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