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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C01B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C01B
審判 全部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  C01B
審判 全部申し立て 特174条1項  C01B
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  C01B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
管理番号 1369989
異議申立番号 異議2019-701072  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-27 
確定日 2020-11-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6538039号発明「疎水性のゼオライト系材料についての成形物及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6538039号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?13〕、〔14?30〕について訂正することを認める。 特許第6538039号の請求項1?14、16?21、23?30に係る特許を維持する。 特許第6538039号の請求項15、22に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6538039号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?30に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)10月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年10月23日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和1年6月14日にその特許権の設定登録がされ、令和1年7月3日に特許掲載公報が発行された。その後、令和1年12月27日に特許異議申立人松永健太郎(以下、「申立人1」という。)により、その請求項1?30に係る特許に対する特許異議の申立てがされ、令和2年1月6日に特許異議申立人瀬川忠世(以下、「申立人2」という。)により、その請求項1?15、23?30に係る特許に対する特許異議の申立てがされ、令和2年3月16日付けで取消理由が通知され、令和2年6月15日に特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ、令和2年7月8日に訂正の請求に対する手続補正がされ、この訂正の請求に対して申立人1及び申立人2に意見を求めたところ、令和2年8月14日に申立人2により意見書の提出がされたものである。なお、申立人1からの意見書は提出されなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和2年7月8日付けで手続補正された訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。(なお、訂正箇所に下線を付した。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における
「(I)ゼオライト系材料を供給する工程と」を
「(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、
(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、
(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、
を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程と、」に訂正する。
(当審注:訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1の記載からみて、訂正請求書の「(3)訂正事項」「i)請求項1の訂正」に記載された訂正事項の前半部分は、上記の誤記と認める。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1における
「ゼオライト系材料は、MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む」を
「ゼオライト系材料は、TS-1を含む」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項14における
「前記ゼオライト系材料は、MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含むことを特徴とする」を
「前記ゼオライト系材料は、TS-1を含み、
シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1であり、
前記屈曲度は、298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す、ことを特徴とする」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項15を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項16における
「Yが、4価の元素であり、」を
「Yが、Siであり、」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項19における
「Y原子及び/又はX原子の少なくとも1部分が、1種以上の元素によって同形置換される」を
「Y原子の少なくとも1部分が、Tiによって同形置換される」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項20における
「YO_(2)の前記1種以上の元素」を
「YO_(2)のTi」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項22を削除する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項23における
「請求項14?22のいずれか1項」を
「請求項14、及び16?21のいずれか1項」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項24における
「請求項14?23のいずれか1項」を
「請求項14、16?21、及び23のいずれか1項」に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項25における
「請求項14?24のいずれか1項」を
「請求項14、16?21、23、及び24のいずれか1項」に訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項26における
「請求項14?25のいずれか1項」を
「請求項14、16?21、及び23?25のいずれか1項」に訂正する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項27における
「請求項14?26のいずれか1項」を
「請求項14、16?21、及び23?26のいずれか1項」に訂正する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項28における
「請求項14?27のいずれか1項」を
「請求項14、16?21、及び23?27のいずれか1項」に訂正する。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項29における
「請求項14?28のいずれか1項」を
「請求項14、16?21、及び23?28のいずれか1項」に訂正する。

(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項30における
「請求項14?29のいずれか1項」を
「請求項14、16?21、及び23?29のいずれか1項」に訂正する。

(17)訂正事項17
明細書の段落【0029】における
「(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤としての化合物を含む1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む混合物を提供する工程」を
「(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供する工程」に訂正する。

(18)訂正事項18
明細書の段落【0112】の【表5】の試料が1、3、4及び5の場合の「ゼオライトH_(2)O吸着[質量%]」の数値を削除する。

ここで、訂正前の請求項2?13が訂正前の請求項1を引用しているため、請求項1?13は一群の請求項であって、訂正事項1及び2の特許請求の範囲の訂正は、この一群の請求項〔1?13〕に対して請求されたものであり、訂正前の請求項15?30が訂正前の請求項14を引用しているため、請求項14?30は一群の請求項であって、訂正事項3?16の特許請求の範囲の訂正は、この一群の請求項〔14?30〕に対して請求されたものである。
また、訂正事項17の明細書の訂正は、一群の請求項〔1?13〕に対して請求されたものであり、訂正事項18の明細書の訂正は、一群の請求項〔1?13〕及び一群の請求項〔14?30〕に対して請求されたものである。

2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」を「(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0029】の記載からして、訂正事項1は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載された「MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライト」を「TS-1」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0024】、【0032】及び【0040】の記載からして、訂正事項2は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項14に記載された「MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライト」を「TS-1」に限定し、さらに、「成形物」の特性を「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」、「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であることに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0024】、【0032】、【0040】及び【0052】の記載からして、訂正事項3は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(4)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項16に記載された「4価の元素」を「Si」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0043】の記載からして、訂正事項5は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(5)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項19の「Y原子及び/又はX原子」との選択的な記載の一部を削除するものであり、さらに、訂正前の請求項19に記載された「1種以上の元素」を「Ti」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0040】の記載からして、訂正事項6は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(6)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項20に記載された「前記1種以上の元素」を「Ti」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0040】の記載からして、訂正事項7は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(7)訂正事項4及び8について
訂正事項4及び8は、それぞれ、訂正前の請求項15及び22を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(8)訂正事項9?16について
訂正事項9?16は、それぞれ、訂正前の請求項23?30における選択的引用請求項の一部を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(9)訂正事項17について
訂正事項17は、本件の願書に最初に添付された明細書(外国語書面)の「(1) providing a mixture comprising one or more sources for YO_(2) and one or more alkenyltrialkylammonium cation R^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)-containing compounds as structure directing agent;」(第11頁第24?26行)の記載に対する誤訳を訂正するものであるから、「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、願書に最初に添付された明細書又は特許請求の範囲(外国語書面)に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(10)訂正事項18について
訂正事項18は、本件の願書に最初に添付された明細書(外国語書面)の翻訳文の記載からして、誤記を訂正するものであるから、「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、願書に最初に添付された明細書又は特許請求の範囲(外国語書面)に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?13〕、〔14?30〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?14、16?21、23?30に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などといい、纏めて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?14、16?21、23?30に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、
(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、
(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、
を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程と、
(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と
(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と
(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と
(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と
(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と
を含む成形物の製造方法であって、
工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、
前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され、及び
工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、TS-1を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記1種以上の結合剤が、無機結合剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(II)で得られる混合物が、0.1?0.6の範囲の前記1種以上の結合剤の前記ゼオライト系材料に対する質量比(結合剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を溶媒系と混合する工程を更に含み、
前記溶媒系が、1種以上の溶媒を含むことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(II)で得られる混合物が、0.7?1.7の範囲の前記溶媒系の前記ゼオライト系材料に対する質量比(溶媒系:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を1種以上の造孔剤と混合する工程を更に含むことを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(II)で得られる混合物が、0.1?0.7の範囲の前記1種以上の造孔剤の前記ゼオライト系材料に対する質量比(造孔剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を溶媒系と混合する工程を更に含み、及び
工程(II)で得られる混合物が、(0.7?1.7):(0.4?1):1の範囲の前記溶媒系:前記1種以上の結合剤及び前記造孔剤:前記ゼオライト系材料の質量比(溶媒系:結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
工程(V)で得られる前記乾燥した成形物のか焼を350?850℃の範囲の温度で行うこと特徴とする請求項1?8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
工程(VI)で得られるか焼した成形物を水熱処理する工程(VII)を更に含むことを特徴とする請求項1?9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記水熱処理を、水含有溶媒系及び/又は水溶液を用いて行うことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記水熱処理を1?48時間の範囲の持続時間の間行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、1種以上のゼオライトを含むことを特徴とする請求項1?12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示すゼオライト系材料を含み、
前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され、及び
前記ゼオライト系材料は、TS-1を含み、
シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1であり、
前記屈曲度は、298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す、ことを特徴とする成形物。
【請求項16】
前記ゼオライト系材料が、YO_(2)、及び任意にX_(2)O_(3)を含むMFI型骨格構造を有し、
Yが、Siであり、Xが3価の元素であり、前記ゼオライト系材料が、少なくとも以下のリフレクション:
【表1】

を含むX線回折パターンを有し、100%はX線粉末回折パターンにおける最大ピーク強度に関することを特徴とする請求項14に記載の成形物。
【請求項17】
前記ゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRが、
-110.4?-114.0ppmの範囲に第1のピーク(P’’1)、及び
-100.2?-104.2ppmの範囲に第2のピーク(P’’2)を含むことを特徴とする請求項16に記載の成形物。
【請求項18】
解析された^(29)Si MAS NMRスペクトルが、-113.2?-115.2ppmの範囲に含まれる1個の更なるピークを含むことを特徴とする請求項17に記載の成形物。
【請求項19】
前記MFI型骨格構造におけるY原子の少なくとも1部分が、Tiによって同形置換されることを特徴とする請求項16?18のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項20】
YO_(2)のTiに対するモル比が5?100の範囲であることを特徴とする請求項19に記載の成形物。
【請求項21】
前記ゼオライト系材料の前記MFI型骨格構造がX_(2)O_(3)を含まないことを特徴とする請求項16?20のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項23】
前記ゼオライト系材料が、イオン性の非骨格元素として、1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含むことを特徴とする請求項14、及び16?21のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項24】
前記成形物が、更に1種以上の結合剤を含むことを特徴とする請求項14、16?21、及び23のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項25】
前記成形物中に含まれる前記ゼオライト系材料のDIN66131に準じて測定されるBET表面積が、50?700m^(2)/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16?21、23、及び24のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項26】
前記成形物のDIN66131に準じて測定される比表面積が、50?700m^(2)/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16?21、及び23?25のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項27】
前記成形物のDIN66133に準じて測定される細孔容積が、0.1?2.5ml/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16?21、及び23?26のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項28】
1?15Nの機械的強度を有することを特徴とする請求項14、16?21、及び23?27のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項29】
前記成形物が、0.3?5.0±0.2の範囲の水に対する屈曲度を有することを特徴とする請求項14、16?21、及び23?28のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項30】
触媒、触媒担体、吸着剤としての、又はイオン交換のための請求項14、16?21、及び23?29のいずれか1項に記載の成形物の使用方法。」

2 取消理由の概要について
令和2年3月16日付けの取消理由の概要は、次のとおりである。

(1)取消理由1
平成31年2月4日の手続補正によって、発明の詳細な説明の段落【0112】の【表5】の試料が1、3、4及び5の「ゼオライトH_(2)O吸着[質量%]」の値が「10」から「9」に補正された。
しかしながら、上記補正は、願書に最初に添付された明細書及び特許請求の範囲の翻訳文(以下、「翻訳文等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、平成31年2月4日の手続補正は、翻訳文等に記載された事項の範囲内においてしたものといえないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

(2)取消理由2
訂正前の請求項1?9、13?30に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明、並びに、下記引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1?9、13?30に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)取消理由3
訂正前の請求項1?7、9?22、24?30に係る発明は、下記引用文献2に記載された発明、並びに、下記引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1?7、9?22、24?30に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(4)取消理由4
訂正前の請求項14、15、24及び30に係る発明は、下記引用文献5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、訂正前の請求項1及び13に係る発明は、下記引用文献5に記載された発明及び下記引用文献6に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1、13?15、24及び30に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。

(引用文献一覧)
引用文献1:特表2000-511818号公報
(申立人1提出の甲第2号証)
引用文献2:特表2013-512082号公報
(申立人1提出の甲第3号証)
引用文献3:S.P.Mirajkar et al., Sorption Properties of Titanium
Silicate Molecular Sieves, The Journal of Physical
Chemistry, 1992, Vol.96, No.7, p.3073-3079
(申立人1提出の甲第6号証)
引用文献4:J.Kornatowski et al., Vanadium derivatives of MFI type
molecular sieves investigated by sorption and
catalytic tests, Progress in Zeolite and Microporous
Materials Studies in Surface Science and Catalysis,
1997, Vol.105, p.1795-1802
(申立人1提出の甲第7号証)
引用文献5:特開2003-265922号公報
(申立人2提出の甲第4号証)
引用文献6:特開昭63-240921号公報

3 引用文献の記載事項について
(1)引用文献1の記載事項
ア 「1. X線回折によりMFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有し、かつルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、レニウム、金、及び銀から成る群から選ばれる1種以上の貴金属を0.01重量%から30重量%含むチタンシリカライト又はバナジウムシリカライトを主成分とする酸化触媒において、圧密化形状付与プロセスによって成形されていることを特徴とする酸化触媒。」(特許請求の範囲の請求項1)
イ 「好ましい実施態様では、本発明により成形した酸化触媒は、触媒の全質量を基準として最高10重量%のバインダーを含む。特に好ましいバインダー含量は、0.1重量%?7重量%、特に1重量%?5重量%である。原則として、かかる目的に対して使用される全ての化合物は好適なバインダーであり、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、リン、ジルコニウム及び/又はチタンの化合物、特に酸化物が好ましい。二酸化ケイ素はバインダーとして特に重要であり、その際シリカゾルの形で又はテトラアルコキシシランの形でSiO_(2)を形状付与工程へ導入することができる。」(第4頁第2?9行)
ウ 「実施例1
最初に、オルトケイ酸テトラエチル455gを4つ口フラスコ(容量2リッター)に装入して、撹はん(250rpm、パドル型撹はん機)しながら30分間かけてオルトチタン酸テトライソプロピル15gを滴下濾斗を介して加えた。無色透明な混合物が生成した。最後に、20重量%の水酸化テトラプロピルアンモニウム溶液(アルカリ含量<10ppm)800gを加えたのち、更に1時間撹はんを続けた。加水分解の結果として生成したアルコール混合物(約450g)を90℃から100℃で留去した。この混合物に脱イオン水1.5リッターを加え、この時点でやや不透明なゾルを2.5リッターのステンレススチールの撹はん機付きのオートクレーブに装入した。
オートクレーブ(アンカー型撹はん機、200rpm)を閉じたのち、3°/分の加熱速度で175℃の反応温度まで昇温した。92時間後に反応を完了した。冷却した反応混合物(白色の懸濁液)を遠心分離したのち、水で中性になるまで水で洗浄した。得られた固形物を110℃で24時間乾燥した(重量、149g)。
最後に、ゼオライトの中に未だ残っているテンプレートを、空気中550℃で5時間か焼することによって取り除いた(か焼ロス:14重量%)。
湿式化学分析によると、純粋な白色の生成物は1.5重量%のTiと100ppm未満の残留アルカリを含んでいた。収率は、使用したSiO_(2)を基準として97%であった。クリスタライトを測定すると粒度は0.05?0.25μmであり、この生成物は約950cm^(-1)で典型的なIRバンドを示した。
実施例2
実施例1からのチタンシリカライト1000gを、5重量%の硫酸6リッターと30重量%の過酸化水素溶液600gとの混合物に懸濁させたのち、80℃で2時間撹はんした。その後、このように処理したケイ酸チタンを吸引により濾別し、そして前記のように更に3回処理した。次いで、チタンシリカライトを水6リッターに懸濁させて80℃で2時間撹はんしたのち、吸引により濾別した。このプロセスを1回繰り返した。その後、このように処理した固形物を150℃で乾燥したのち、500℃で5時間空気のもとでか焼した。
実施例3
実施例2からのチタンシリカライト950gを水中の1重量%の酢酸ナトリウム水溶液6リッターに懸濁させて20分間還流させて、その後、チタンシリカライトを吸引により濾別した。この方法を更に2回繰り返した。次いで、このように処理したチタンシリカライトを水6リッターに懸濁させて30分間還流したのち、吸引により濾別した。このプロセスも、繰り返した。次に、チタンシリカライトを150℃で乾燥したのち、500℃でか焼した。」(第9頁第2行?第10頁第11行)
エ 「実施例5
実施例3からのチタンシリカライト100gをメチルセルロース5gとドライブレンドした。この混合物に、水70mlとアンモニウム安定型シリカゾル(DuPont社のLudox(登録商標)AS-40、40重量%のSiO2)12.5gを加えて混練機で圧密化して30バールのプレス圧力で加工し、直径2mmの押出品を得た。この押出品を110℃で一晩乾燥したのち、500℃で5時間か焼した。バインダーを4.8重量%を含む押出品の横方向の圧縮強度は22.5Nであった。
実施例6
実施例5によるチタンシリカライト成形品113gを、・・・」(第10頁第18?27行)

(2)引用文献2の記載事項
ア 「【請求項1】
炭化水素の転化反応に用いる触媒の製造方法であって、前記触媒はチタンゼオライトと炭質材料を含み、前記触媒は該触媒に含まれるチタンゼオライトの総重量に対して0.01?0.5重量%の量で前記炭質材料を含み、
当該方法は、
(i)チタンゼオライトを含む触媒を製造する工程;
(ii)前記触媒を、前記炭化水素転化反応において使用する前に、不活性雰囲気中で少なくとも一種の炭化水素を含む流体に接触させることにより、炭質材料を、該触媒に含まれるチタンゼオライトの総重量に対して0.01?0.5重量%の量で(i)の触媒に付着させて炭質材料含有触媒を得る工程、
を含み、
(ii)において前記触媒を酸素含有ガスに接触させないことを特徴とする製造方法。
・・・
【請求項12】
(i)において、前記チタンゼオライトを成形して、好ましくは押出成形して、チタンゼオライトと好ましくは少なくとも一種のバインダー、特にシリカバインダーを含む成形体を得る請求項1?11のいずれか一項に記載の方法。」
イ 「【0025】
テンプレートとしては、所望のゼオライト構造が得られるならいずれのテンプレートを使用することもできる。窒素またはリンを含む有機化合物が、例えば第三級アミンや4級アンモニウム化合物(例えば、テトラメチルアンモニウムやテトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウム、ジベンジルジエチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、2-(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウム(ただし、アルキルは、メチル、またはエチル、またはメチルとエチル))などの窒素含有有機塩基が、この少なくとも一種のチタンゼオライトの製造用のテンプレートとして好ましく用いられる。・・・特に、MFI構造をもつチタンゼオライト(チタンシリカライト1(TS-1)としても知られている)の製造には、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、より好ましくはテトラ-n-プロピルアンモニウムヒドロキシドが用いられる。」
ウ 「【0049】
本発明において、完全にまたは部分的にSiO_(2)からなるバインダーが、あるいは少なくとも一つの他の工程でSiO_(2)を形成するSiO_(2)前駆体からなるバインダーが、極めて好ましい。この点で、コロイダルシリカといわゆる「湿式法」シリカといわゆる「乾式法」シリカのすべてが使用できる。・・・
【0050】
コロイダルシリカ、好ましくはアルカリ性及び/又はアンモニア性溶液としてのコロイダルシリカが、より好ましくはアンモニア性溶液としてのコロイダルシリカが、特に例えば、ルドックス(R)、シトン(R)、ナルコ(R)またはスノーテックス(R)として市販されている。・・・」
エ 「【0055】
使用可能な気孔形成剤の例としては、上記の気孔形成剤があげられる。本発明の成形過程で用いられる気孔形成剤は、水中または水系溶媒混合物中に分散可能、懸濁可能または乳化可能なポリマーであることが好ましい。特に好ましいポリマーは、重合型のビニル化合物であり、具体的にはポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロースまたはメチルセルロースなどのセルロース誘導体などの炭水化物、または糖類または天然繊維などである。他の好適な気孔形成剤は、例えばパルプまたはグラファイトである。」
オ 「【実施例】
【0162】
1. TS-1触媒の調整
粉末の合成
出発原料:
720kgのテトラエトキシシラン(TEOS)
400kgのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH) (40重量%水溶液)
16kgのテトラエトキシチタン(TEOT)
550kgの脱イオン水
【0163】
反応容器に550kgの脱イオン水を入れ、攪拌した。攪拌しながら400kgのTPAOHを添加した。攪拌を1時間継続した。得られた混合物を適当な容器に移した。この反応容器を、合計で2回、2000lの脱イオン水で洗った。洗浄した反応容器に、300kgのTEOSを添加し攪拌した。80kgのTEOSと16kgのTEOTの混合物を、この300kgのTEOSに添加した。残りのTEOSを加えた。次いでTPAOH溶液を添加し、得られた混合物をさらに1時間攪拌した。次いでこの反応容器を加熱し、得られたエタノールを蒸留で分離した。容器の内温が95℃に達したとき、反応容器を冷却した。容器中に得られた懸濁液に1143kgの水を添加し、この混合物をさらに1時間攪拌した。24時間以内の時間、175℃で自発圧力下で結晶化を行った。得られたチタンシリカライト1結晶を分離・乾燥し、空気中500℃で焼成した。
【0164】
成形
混和機中でTS-1粉末とワコセルを混合し、5分間混合した。10分以内に上記ポリスチレン分散体を連続的に添加した。次いで15lのルドックスを連続的に添加した。得られた混合物を5分間混合し、15分以内にPEOを連続的に添加し、次いで10分間混合した。次いで水を添加した。直径が1.5mmの円孔をもつマトリックスを通して、この成形可能な物質を押し出した。得られたストランドをバンドドライヤ中で120℃の温度で2時間乾燥し、希薄空気(100m^(3)/hの空気/100m^(3)/hの窒素)中で550℃の温度で焼成した。収量は89kg(押出物I)であった。
この方法を繰り返した。収量は88kgであった(押出物II)。」

(3)引用文献5の記載事項
ア 「【請求項1】 30℃,60RH%での水分吸着率が4?8重量%で、細孔径が6Å以下からなる吸着材を使用する事を特徴とする排気ガス処理装置。
【請求項2】 吸着材が、ゼオライト吸着材であることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス処理装置。
【請求項3】 吸着材が、ZSM-5型ゼオライトであることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の排気ガス処理装置。
【請求項4】 吸着材が、ハニカム状構造に成形されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排気ガス処理装置。」
イ 「【0022】
【実施例】以下の実施例および比較例に基づいて本発明の極性ガス含有排気ガスの処理方法について説明する。
(実施例1)吸着材として30℃、60RH%での水分吸着率が4.5重量%、細孔径が5.5Åの粉末状ZSM-5型ゼオライトを80重量%と、他の構成材料としてケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを20重量%で構成される波長2.6mm、波高1.5mmのハニカム状構造の吸着素子を製作した。・・・」
ウ 「【0023】(実施例2)吸着材として30℃、60RH%での水分吸着率が8重量%、細孔径が5.5Åの粉末状ZSM-5型ゼオライトを80重量%と、他の構成材料としてケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを20重量%で構成される波長2.6mm、波高1.5mmのハニカム状構造の吸着素子作成した。・・・」

4 取消理由に対する当審の判断
(1)取消理由1に対する当審の判断
本件訂正請求による訂正によって、発明の詳細な説明の段落【0112】の【表5】の試料が1、3、4及び5の「ゼオライトH_(2)O吸着[質量%]」の数値は削除された。
したがって、取消理由1に理由はない。

(2)取消理由2に対する当審の判断
ア 本件発明1について
(ア)引用文献1に記載された発明(引用1発明1)について
上記3(1)ア?エに摘示した引用文献1の記載を「チタンシリカライト成形品の成形方法」に注目して整理すると、引用文献1には、
「オルトケイ酸テトラエチル、オルトチタン酸テトライソプロピル、水酸化テトラプロピルアンモニウム及び脱イオン水の混合物を形成し、この混合物をオートクレーブで反応させて反応混合物を形成し、反応混合物を乾燥及びか焼し、硫酸及び過酸化水素溶液で処理し、酢酸ナトリウム水溶液で処理して、MFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライトを形成すること、
前記チタンシリカライト、メチルセルロース、アンモニウム安定型シリカゾルバインダー及び水を混練すること、
混練された混合物をプレス圧力で加工して押出品を得ること、
押出品を乾燥すること、及び、
乾燥した押出品をか焼すること
を含む、チタンシリカライト成形品の成形方法。」
の発明(以下、「引用1発明1」という。)が記載されているといえる。

(イ)本件発明1と引用1発明1との対比
本件発明1と引用1発明1とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。
・引用1発明1の「オルトケイ酸テトラエチル」及び「オルトチタン酸テトライソプロピル」は、本件発明1の「Yが4価の元素であ」る「1種以上のYO_(2)源」に相当する。
・引用1発明1の「水酸化テトラプロピルアンモニウム」は、本件発明1の「構造指向剤」に相当する。
・引用1発明1の「MFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライト」は、本件発明1の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」に相当する。
・引用1発明1の「前記チタンシリカライト、メチルセルロース、アンモニウム安定型シリカゾルバインダー及び水を混練すること」は、本件発明1の「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」、「(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程」及び「(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程」に相当する。
・引用1発明1の「混練された混合物をプレス圧力で加工して押出品を得ること」、「押出品を乾燥すること」、「乾燥した押出品をか焼すること」、「チタンシリカライト成形品の成形方法」は、それぞれ、本件発明1の「(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程」、「(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程」、「(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程」、「成形物の製造方法」に相当する。
したがって、本件発明1と引用1発明1との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、
(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤を提供するステップ、
(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、
を含み、Yが4価の元素である工程と、
(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と
(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と
(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と
(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と
(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と
を含む成形物の製造方法であって、
工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、TS-1を含む、製造方法。」
(相違点A1)
本件発明1の構造指向剤は、「R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す」、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」であるのに対して、引用1発明1の構造指向剤は、「水酸化テトラプロピルアンモニウム」である点。
(相違点A2)
本件発明1では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用1発明1では、チタンシリカライトの水分吸着特性は明らかでない点。

(ウ)相違点の検討
まず、相違点A1について検討するに、チタンシリカライトを製造するに際して、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を構造指向剤として使用することは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトの製造に「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を構造指向剤として使用することが技術常識であるとの証拠も見当たらない。
したがって、上記相違点A2について検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

イ 本件発明2?9、13について
本件発明2?9及び13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点A1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記アと同様の理由により、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

ウ 本件発明14について
(ア)引用文献1に記載された発明(引用1発明2)について
上記3(1)ア?エに摘示した引用文献1の記載を「チタンシリカライト成形品」に注目して整理すると、引用文献1には、
「MFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライト、及び、シリカゾルバインダーを含む、チタンシリカライト成形品。」
の発明(以下、「引用1発明2」という。)が記載されているといえる。

(イ)本件発明14と引用1発明2との対比
本件発明14と引用1発明2を対比すると、引用1発明2の「MFI、M
EL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライト」、「成形品」は、それぞれ、本件発明14の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。
したがって、本件発明14と引用1発明2との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「ゼオライト系材料を含み、ゼオライト系材料は、TS-1を含む、成形物。」
(相違点A3)
本件発明14では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用1発明2では、チタンシリカライトの水分吸着特性は明らかでない点。
(相違点A4)
本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であるのに対して、引用1発明2では、成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。

(ウ)相違点の検討
事案に鑑み、相違点A4について検討するに、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2?1.6±0.1」とすることは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2?1.6±0.1」とすることが技術常識であるとの証拠も見当たらない。
したがって、上記相違点A3について検討をするまでもなく、本件発明14は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

エ 本件発明16?21、23?30について
本件発明16?21及23?30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点A4に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記ウと同様の理由により、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

オ 小括
上記ア?エの検討のとおりであるから、取消理由2に理由はない。

(3)取消理由3に対する当審の判断
ア 本件発明1について
(ア)引用文献2に記載された発明(引用2発明1)について
上記3(2)ア?オに摘示した引用文献2の記載を「成形体の製造方法」に注目して整理すると、引用文献2には、
「反応容器内に、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラエトキシチタン(TEOT)、テンプレートとしてテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)、及び、脱イオン水を添加して攪拌して、得られた混合物を結晶化させて、MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)を得ること、
前記チタンシリカライト1(TS-1)、シリカゾルバインダー、ポリエチレンオキシドとポリスチレンの気孔形成剤、ワコセル及び水とを混合すること、
混合物を押出成形してストランド状の押出物を得ること、
押出物を乾燥すること、及び、
乾燥した押出物を焼成すること、
を含む、成形体の製造方法。」
の発明(以下、「引用2発明1」という。)が記載されているといえる。

(イ)本件発明1と引用2発明1との対比
本件発明1と引用2発明1とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。
・引用2発明1の「テトラエトキシシラン(TEOS)」及び「テトラエトキシチタン(TEOT)」は、本件発明1の「Yが4価の元素であ」る「1種以上のYO_(2)源」に相当する。
・引用2発明1の「テンプレートとしてテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)」は、本件発明1の「構造指向剤」に相当する。
・引用2発明1の「MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)」は、本件発明1の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」に相当する。
・引用2発明1の「前記チタンシリカライト1(TS-1)と、シリカゾルバインダーと、ポリエチレンオキシド及びポリスチレンの気孔形成剤と、ワコセルと、水とを混合すること」は、本件発明1の「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」、「(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程」及び「(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程」に相当する。
・引用2発明1の「混合物を押出成形してストランド状の押出物を得ること」、「押出物を乾燥すること」、「乾燥した押出物を焼成すること」、「触媒成形体を製造方法」は、それぞれ、本件発明1の「(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程」、「(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程」、「(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程」、「成形物の製造方法」に相当する。
したがって、本件発明1と引用2発明1との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、
(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤を提供するステップ、
(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、
を含み、Yが4価の元素である工程と、
(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と
(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と
(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と
(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と
(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と
を含む成形物の製造方法であって、
工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、TS-1を含む、製造方法。」
(相違点B1)
本件発明1の構造指向剤は、「R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す」、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」であるのに対して、引用2発明1の構造指向剤は、「テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)」である点。
(相違点B2)
本件発明1では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用2発明1では、チタンシリカライト1(TS-1)の水分吸着特性は明らかでない点。

(ウ)相違点の検討
まず、相違点B1について検討するに、チタンシリカライトを製造するに際して、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を構造指向剤として使用することは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトの製造に「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を構造指向剤として使用することが技術常識であるとの証拠も見当たらない。
したがって、上記相違点B2について検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

イ 本件発明2?13について
本件発明2?13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点B1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記アと同様の理由により、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

ウ 本件発明14について
(ア)引用文献2に記載された発明(引用2発明2)について
上記3(2)ア?オに摘示した引用文献2の記載を「成形体」に注目して整理すると、引用文献2には、
「MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)、及び、シリカゾルバインダーを含む、成形体。」
の発明(以下、「引用2発明2」という。)が記載されているといえる。

(イ)本件発明14と引用2発明2との対比
本件発明14と引用2発明2を対比すると、引用2発明2の「MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)」、「成形体」は、それぞれ、本件発明14の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。
したがって、本件発明14と引用2発明2との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「ゼオライト系材料を含み、ゼオライト系材料は、TS-1を含む、成形物。」
(相違点B3)
本件発明14では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用2発明2では、チタンシリカライト1(TS-1)の水分吸着特性は明らかでない点。
(相違点B4)
本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であるのに対して、引用2発明2では、成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。

(ウ)相違点の検討
事案に鑑み、相違点B4について検討するに、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2?1.6±0.1」とすることは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2?1.6±0.1」とすることが技術常識であるとの証拠も見当たらない。
したがって、上記相違点B3について検討をするまでもなく、本件発明14は、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

エ 本件発明16?21、24?30について
本件発明16?21及24?30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点B4に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記ウと同様の理由により、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

オ 小括
上記ア?エの検討のとおりであるから、取消理由3に理由はない。

(4)取消理由4に対する当審の判断
ア 本件発明1について
(ア)引用文献5に記載された発明(引用5発明1)について
上記3(3)ア?ウに摘示した引用文献5の記載を「吸着材の形成方法」に注目して整理すると、引用文献5には、
「30℃、60RH%での水分吸着率が4?8重量%であって、細孔径が6Å以下のゼオライト材、ケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンをハニカム状構造に成形する、吸着材の形成方法。」
の発明(以下、「引用5発明1」という。)が記載されているといえる。

(イ)本件発明1と引用5発明1との対比
本件発明1と引用5発明1を対比すると、引用5発明1の「ゼオライト材」、「PVA」、「ハニカム状構造に成形する、吸収材の形成方法」は、それぞれ、本件発明1の「ゼオライト系材料」、「1種以上の結合剤」、「成形物の製造方法」に相当する。
したがって、本件発明1と引用5発明1との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「ゼオライト系材料と1種以上の結合剤とを含む、成形物の製造方法。」
(相違点C1)
本件発明1では、「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」、「(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程」、「(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程」、「(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程」、「(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程」及び「(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程」を含んでいるのに対して、引用5発明1では、ハニカム状構造に成形するための具体的な工程が明らかでない点。
(相違点C2)
本件発明1では、「(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用5発明1では、その点が明らかでない点。
(相違点C3)
ゼオライト系材料の水分吸着について、本件発明1では、「相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用5発明1では、「30℃、60RH%での水分吸着率が4?8重量%」である点。

(ウ)相違点の検討
事案に鑑み、相違点C2について検討すると、「構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を用いて、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を製造することは、引用文献6に記載も示唆もされていないし、このような製造方法が技術常識であるとの証拠も見当たらない。
したがって、上記相違点C1及びC3について検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献5に記載された発明及び引用文献6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

イ 本件発明13について
本件発明13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点C2に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記アと同様の理由により、引用文献5に記載された発明及び引用文献6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

ウ 本件発明14について
(ア)引用文献5に記載された発明(引用5発明2)について
上記3(3)ア?ウに摘示した引用文献5の記載を「吸着材」に注目して整理すると、引用文献5には、
「30℃、60RH%での水分吸着率が4?8重量%であって、細孔径が6Å以下のゼオライト材、ケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを含み、ハニカム状構造に成形された吸着材。」
の発明(以下、「引用5発明2」という。)が記載されているといえる。

(イ)本件発明14と引用5発明2との対比
本件発明14と引用5発明2を対比すると、引用5発明2の「ゼオライト材」、「ハニカム状構造に成形された吸着材」は、それぞれ、本件発明14の「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。
したがって、本件発明14と引用5発明2との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。
(一致点)
「ゼオライト系材料を含む、成形物。」
(相違点C4)
ゼオライト系材料の水分吸着について、本件発明14では、「相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用5発明2では、「30℃、60RH%での水分吸着率が4?8重量%」である点。
(相違点C5)
ゼオライト系材料について、本件発明14では、「TS-1」を含むものであるのに対して、引用5発明2では、その点が明らかでない点。
(相違点C6)
本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であるのに対して、引用5発明2では、ハニカム状構造に成形された吸着材のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。

(ウ)相違点の検討
事案に鑑み、相違点C6について検討するに、引用5発明2は、「30℃、60RH%での水分吸着率が4?8重量%であって、細孔径が6Å以下のゼオライト材」を含む成形物であるといえるところ、このような水分吸着特性のゼオライト材を含むことで、成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」が「1.2?1.6±0.1」になることが技術常識であるとの証拠は見当たらないから、相違点C6は実質的なものといえる。
したがって、上記相違点C4及びC5について検討をするまでもなく、本件発明14は、引用文献5に記載された発明であるといえない。

エ 本件発明24、30について
本件発明24及30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点C6に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記ウと同様の理由により、引用文献5に記載された発明であるといえない。

オ 小括
上記ア?エの検討のとおりであるから、取消理由4に理由はない。

5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第113条第2号に係る申立理由について
ア 申立人1提出の甲第1号証を主たる証拠とする申立理由
(ア)申立人1は、訂正前の請求項14、15、19、22?24に係る発明は、甲第1号証(特開昭64-71804号公報、以下「甲1-1」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第18頁第19行?第20頁第12行)。

(イ)甲1-1に記載された発明
甲1-1には、その特許請求の範囲、及び、第2頁左下欄第18行?同頁右下欄第15行の記載からみて、
「水分吸着容量は約10?約0.1重量%であり、SiO_(2)/Al_(2)O_(3)のモル比が25?500の結晶性高シリカゼオライトと、亜塩素酸塩類とを主成分とする、ペレット状又は錠剤状の二酸化塩素の徐放性組成物。」
の発明(以下、「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。

(ウ)本件発明14について
本件発明14と甲1-1発明とを対比すると、甲1-1発明の「結晶性高シリカゼオライト」、「ペレット状又は錠剤状の二酸化塩素の徐放性組成物」は、それぞれ、本件発明14の「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。
したがって、本件発明14と甲1-1発明とは、「ゼオライト系材料を含む、成形物。」の点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点D1)
ゼオライト系材料の水分吸着について、本件発明14では、「相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、甲1-1発明では、「水分吸着容量は約10?約0.1重量%」である点。
(相違点D2)
ゼオライト系材料について、本件発明14では、「TS-1」を含むものであるのに対して、甲1-1発明では、その点が明らかでない点。
(相違点D3)
本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であるのに対して、甲1-1発明では、ペレット状又は錠剤状の二酸化塩素の徐放性組成物のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。
そして、上記相違点について検討するに、少なくとも相違点D2及びD3は、実質的なものであるから、本件発明14は、甲1-1に記載された発明といえない。

(エ)本件発明19、23及び24について
本件発明19、23及び24は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点D2及びD3に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲1-1に記載された発明であるといえない。

(オ)小括
上記(ウ)及び(エ)の検討のとおりであるから、申立人1が主張する上記申立理由に理由はない。

イ 申立人1提出の甲第2号証を主たる証拠とする申立理由
申立人1は、訂正前の請求項1、2、4?6、9、13?19、21?24、26、27、29及び30に係る発明は、甲第2号証(特表2000-511818号公報、引用文献1、以下、「甲1-2」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第25頁第5行?第33頁第13行)。
そこで検討するに、甲1-2には、上記4(2)ア(ア)及びウ(ア)において認定した引用1発明1及び引用1発明2が記載されている。
そして、本件発明1、2、4?6、9及び13と引用1発明1とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(2)ア(ウ)で検討した相違点A1で相違しており、当該相違点A1は実質的なものであるから、本件発明1、2、4?6、9及び13は、甲1-2に記載された発明といえない。
また、本件発明14、16?19、21、23、24、26、27、29及び30と引用1発明2とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(2)ウ(ウ)で検討した相違点A4で相違しており、当該相違点A4は実質的なものであるから、本件発明14、16?19、21、23、24、26、27、29及び30は、甲1-2に記載された発明といえない。
したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。

ウ 申立人1提出の甲第3号証を主たる証拠とする申立理由
申立人1は、訂正前の請求項1、2、4、6、9?19、21、22、24?30に係る発明は、甲第3号証(特表2013-512082号公報、引用文献2、以下、「甲1-3」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第37頁第1行?第42頁第14行)。
そこで検討するに、甲1-3には、上記4(3)ア(ア)及びウ(ア)において認定した引用2発明1及び引用2発明2が記載されている。
そして、本件発明1、2、4、6、9?13と引用2発明1とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(3)ア(ウ)で検討した相違点B1で相違しており、当該相違点B1は実質的なものであるから、本件発明1、2、4、6、9?13は、甲1-3に記載された発明といえない。
また、本件発明14、16?19、21、24?30と引用2発明2とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(3)ウ(ウ)で検討した相違点B4で相違しており、当該相違点B4は実質的なものであるから、本件発明14、16?19、21、24?30は、甲1-3に記載された発明といえない。
したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。

エ 申立人2提出の甲第1号証を主たる証拠とする申立理由
(ア)申立人2は、訂正前の請求項1?15、23?30に係る発明は、甲第1号証(特公平5-44408号公報、以下、「甲2-1」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲2-1に記載された発明並びに甲第4号証(特開2003-265922号公報、以下、「甲2-4」という。)及び甲第5号証(特開2013-112577号公報、以下、「甲2-5」という。)に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第15頁第11行?第28頁第27行)。

(イ)甲2-1に記載された発明
甲2-1には、その特許請求の範囲、及び、実施例1の記載からみて、
「ゼオライト、バインダー及び造粒助剤を混合し、この混合物の混練粗造粒塊の粒径を1?50mmに調整して、これを押出造粒してペレットを形成し、このペレットを乾燥後に焼成する、ゼオライト成形品の形成方法。」
の発明(以下、「甲2-1発明1」という。)、及び、
「ゼオライト及びバインダーから形成されたゼオライト成形品。」
の発明(以下、「甲2-1発明2」という。)が記載されていると認められる。

(ウ)本件発明1について
本件発明1と甲2-1発明1とを対比すると、本件発明1では、「(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用2-1発明1では、その点が明らかでない点(相違点E1)で少なくとも相違している。
そして、相違点E1は実質的なものであるから、本件発明1は、甲2-1に記載された発明といえない。
また、相違点E1に係る本件発明1の特定事項の容易想到性を検討するに、「構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を用いて、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を製造することは、甲2-4及び甲2-5に記載も示唆もされていないし、このような製造方法が技術常識であるとの証拠も見当たらない。
したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(エ)本件発明2?13について
本件発明2?13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点E1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲2-1に記載された発明といえないし、また、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(オ)本件発明14について
本件発明14と甲2-1発明2とを対比すると、本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であるのに対して、甲2-1発明2では、ゼオライト成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点(相違点E2)で少なくとも相違している。
そして、相違点E2は実質的なものであるから、本件発明14は、甲2-1に記載された発明といえない。
また、相違点E2に係る本件発明14の特定事項の容易想到性を検討するに、ゼオライト系材料を含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2?1.6±0.1」とすることは、甲2-4及び甲2-5に記載も示唆もされていないし、また、ゼオライト系材料を含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2?1.6±0.1」とすることが技術常識であるとの証拠も見当たらない。
したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明14は、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(カ)本件発明23?30について
本件発明23?30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点E2に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、甲2-1に記載された発明といえないし、また、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(キ)小括
上記(ウ)?(カ)の検討のとおりであるから、申立人2が主張する上記申立理由に理由はない。

オ 申立人2提出の甲第2号証を主たる証拠とする申立理由
(ア)申立人2は、訂正前の請求項1?15、23?30に係る発明は、甲第2号証(特許第2719971号公報、以下、「甲2-2」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲2-2に記載された発明並びに甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第15頁第11行?第28頁第27行)。

(イ)甲2-2に記載された発明
甲2-2には、その特許請求の範囲、及び、実施例1の記載からみて、
「ゼオライト4A粉末、カルボキシメチルセルロール、珪土及びアルミン酸ナトリウム溶液を混練し、押出し成形し、押出し成形物を熱処理した後焼成する、ゼオライト成形物の形成方法。」
の発明(以下、「甲2-2発明1」という。)、及び、
「ゼオライト4Aを含むゼオライト成形物。」
の発明(以下、「甲2-2発明2」という。)が記載されていると認められる。

(ウ)本件発明1について
本件発明1と甲2-2発明1とを対比すると、本件発明1では、「(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用2-2発明1では、その点が明らかでない点(相違点F1)で少なくとも相違している。
そして、相違点F1は実質的なものであるから、本件発明1は、甲2-2に記載された発明といえない。
また、相違点F1は、上記エ(ウ)において検討した相違点E1と同じ事項であるから、当該相違点E1の検討と同様に、相違点F1に係る本件発明1の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。
したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(エ)本件発明2?13について
本件発明2?13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点F1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲2-2に記載された発明といえないし、また、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(オ)本件発明14について
本件発明14と甲2-2発明2とを対比すると、本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であるのに対して、甲2-2発明2では、ゼオライト成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点(相違点F2)で少なくとも相違している。
そして、相違点F2は実質的なものであるから、本件発明14は、甲2-2に記載された発明といえない。
また、相違点F2は、上記エ(オ)において検討した相違点E2と同じ事項であるから、当該相違点E2の検討と同様に、相違点F2に係る本件発明14の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。
したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明14は、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(カ)本件発明23?30について
本件発明23?30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点F2に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、甲2-2に記載された発明といえないし、また、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(キ)小括
上記(ウ)?(カ)の検討のとおりであるから、申立人2が主張する上記申立理由に理由はない。

カ 申立人2提出の甲第3号証を主たる証拠とする申立理由
(ア)申立人2は、訂正前の請求項1?15、23?30に係る発明は、甲第3号証(特表2011-518660号公報、以下、「甲2-3」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲2-3に記載された発明並びに甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第15頁第11行?第28頁第27行)。

(イ)甲2-3に記載された発明
甲2-3には、発明の詳細な説明の段落【0082】の記載からみて、
「ZSM-5型ゼオライト、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、Si含有結合剤及び水を混練し、鋳型によってストランド状に押出成形し、押出成形体を乾燥後にか焼する、ストランド状成形体の形成方法。」
の発明(以下、「甲2-3発明1」という。)、及び、
「ZSM-5型ゼオライトを含むストランド状成形体。」
の発明(以下、「甲2-3発明2」という。)が記載されていると認められる。

(ウ)本件発明1について
本件発明1と甲2-3発明1とを対比すると、本件発明1では、「(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用2-3発明1では、その点が明らかでない点(相違点G1)で少なくとも相違している。
そして、相違点G1は実質的なものであるから、本件発明1は、甲2-3に記載された発明といえない。
また、相違点G1は、上記エ(ウ)において検討した相違点E1と同じ事項であるから、当該相違点E1の検討と同様に、相違点G1に係る本件発明1の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。
したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(エ)本件発明2?13について
本件発明2?13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点G1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲2-3に記載された発明といえないし、また、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(オ)本件発明14について
本件発明14と甲2-3発明2とを対比すると、本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であるのに対して、甲2-3発明2では、ゼオライト成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点(相違点G2)で少なくとも相違している。
そして、相違点G2は実質的なものであるから、本件発明14は、甲2-3に記載された発明といえない。
また、相違点G2は、上記エ(オ)において検討した相違点E2と同じ事項であるから、当該相違点E2の検討と同様に、相違点G2に係る本件発明14の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。
したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明14は、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(カ)本件発明23?30について
本件発明23?30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点G2に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、甲2-3に記載された発明といえないし、また、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。

(キ)小括
上記(ウ)?(カ)の検討のとおりであるから、申立人2が主張する上記申立理由に理由はない。

(2)特許法第113条第4号に係る申立理由について
ア 特許法第36条第4項第1号規定違反の申立理由
申立人1は、発明の詳細な説明には、アリルトリプロピルアンモニウムテンプレートを使用して、TS-1ゼオライト試料を製造することのみが具体的に記載されており、訂正前の請求項1?30に係る発明に包含される、TS-1以外の、水分吸着量が「4?9重量%の範囲」であるゼオライトの製造には、当業者に期待し得る程度を越える試行錯誤が必要であるため、発明の詳細な説明には、当業者が訂正前の請求項1?30に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、これら請求項に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第13頁第8行?第15頁第1行)。
この点について検討するに、本件訂正請求による訂正によって、本件発明における「ゼオライト系材料」は、「TS-1を含」むものに限定された。
したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。

イ 特許法第36条第6項第1号規定違反の申立理由
(ア)申立人1及び申立人2は、ゼオライト系の触媒特性を向上させるとの課題に対して、発明の詳細な説明には、アリルトリプロピルアンモニウムテンプレートを使用して作製されたTS-1ゼオライトを用いた実験結果しか記載されておらず、TS-1以外の、水分吸着量が「4?9重量%の範囲」であるゼオライトにまで拡張又は一般化できないから、訂正前の請求項1??30に係る発明は、上記課題を解決できると認識できる範囲のものといえないため、これら請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第15頁第2行?第17頁第6行、申立人2の特許異議申立書第29頁第28行?第30頁第21行)。
この点について検討するに、発明の詳細な説明の段落【0006】の記載からみて、本件発明の課題は、通常観察されるものとは異なった物理的特性を有するゼオライト系材料を含む成形物及びその製造方法を提供することといえ、発明の詳細な説明の例1?9には、アリルトリプロピルアンモニウムテンプレートを使用して作製された水分吸着量が2.9?8質量%のTS-1ゼオライトを用いて成形物を製造することや、当該成形物のシクロオクタンに対する屈曲度(T=298.15K)が1.4±0.1?1.8±0.1になることが具体的に記載されている。
これに対して、本件発明1では、構造指向剤として、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を使用して作製された「4?9質量%の範囲の水分吸着を示す」「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を用いて、成形物を製造することが特定されている。そして、上記具体例のテンプレートと類似の化学構造を有する「アルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物」を構造指向剤として使用して作製された「4?9質量%の範囲の水分吸着を示す」「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を用いた場合にも、具体例と同様な特性を有する成形物を得られることを当業者であれば認識できるから、本件発明1は、本件発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものといえる。
また、本件発明14では、「4?9質量%の範囲の水分吸着を示す」「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を含む「成形物」の「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」であることを特定しているから、本件発明14も、上記具体例と同様に、本件発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものといえる。
さらに、本件発明1を引用する本件発明2?13、本件発明14を引用する本件発明16?21、23?30についても同様である。
したがって、申立人1及び申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

(イ)上記申立理由に関連して、申立人2は、令和2年8月14日付けの意見書において、発明の詳細な説明の具体例に示されたごく一部の態様を、本件発明1及び14の範囲までに拡張又は一般化できない旨を主張している(第2頁第31行?第3頁第24行)。
しかしながら、上記(ア)で検討したとおりであるから、申立人2の当該主張は採用できない。

ウ 特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号規定違反の申立理由
(ア)申立人2は、訂正前の請求項1に記載された「ゼオライト系材料」との表現は、ゼオライト以外の成分を含むと解されるため、不明確であるし、訂正前の請求項4に記載された「溶媒系」との表現は、溶媒と異なるものなのか不明確であるし、訂正前の請求項27に記載された「細孔容積」は、どのような細孔径の容積か明らかでないし、さらに、訂正前の請求項29に記載された「水に対する屈曲度」の測定方法が明らかでないため、訂正前の請求項1?30に係る発明は、明確でなく、実施も困難であるから、訂正前の請求項1?30に係る特許は、特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第29頁第1?27行)。
この点について検討するに、発明の詳細な説明には、「ゼオライト系材料」がゼオライト以外の成分を含む概念であることは記載されていないことからして、本件発明における「ゼオライト系材料」は、ゼオライトの総称として使用されていることは明らかであるし、同様に、本件発明における「溶媒系」も、溶媒の総称として使用されていることは明らかである。
また、本件発明27における「細孔容積」は、「DIN66133に準じて測定される」ものであるから、評価対象となる細孔径は明らかといえる。
さらに、発明の詳細な説明の段落【0051】、【0114】?【0116】に記載されているように、「屈曲度」は、US2007/0099299A1に記載された方法により測定されたものであることは明らかである。
したがって、本件発明は明確であり、当業者が実施できる範囲のものといえるから、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。

(イ)上記申立理由に関連して、申立人2は、令和2年8月14日付けの意見書において、本件発明14における「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1」との特定事項に関して、数値範囲が不明確であるし、シクロオクタンに対する屈曲度の測定方法が明らかでないため、本件発明14、16?21、23?30は明確でなく、実施も困難であるから、その特許は、特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである旨を主張している(第4頁第1?12行)。
しかしながら、発明の詳細な説明の段落【0117】【表6】に記載された屈曲度の具体的な数値(誤差を含む数値)からみて、本件発明14における数値範囲は、(1.2±0.1)?(1.6±0.1)を示していることは明らかであるし、また、シクロオクタンに対する屈曲度は、上記(ア)において検討したとおり、US2007/0099299A1に記載された方法により測定されたものであることは明らかであるから、申立人2の当該主張は採用できない。

第4 むすび
以上のとおり、請求項1?14、16?21、23?30に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。また、他に請求項1?14、16?21、23?30に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項15及び22に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、請求項15及び22に係る特許に対する特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
疎水性のゼオライト系材料についての成形物及びその製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性ゼオライト系材料を含む成形物の製造方法、及びその製造方法に関する。本発明は更に、疎水性ゼオライト系材料を含む成形物に関し、特定の用途、特に触媒プロセスにおける上述の成形物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にゼオライト系材料の結晶化度のために、それらが使用される用途において、特に、ゼオライト系材料それ自体が攪拌されるような特定の工程における材料の物理的摩損による一定の操作抵抗を要する用途において、扱い易くするためだけでなく、ゼオライト系材料の物理的劣化を回避するために、それらの成形体を製造することは、その技術分野においては一般的である。さらに、ゼオライト系材料の成形物は、しばしば触媒工程において必要とされ、そこでは、高濃度のゼオライト系材料を使用するときに生じる発熱を回避することによって触媒活性を良好にコントロールするために、ゼオライト系材料の希釈が更に必要とされる。従って、触媒の分野においては、発熱反応の場合には、放熱手段を伴う、特定の量における適切な希釈をすることによるそれらの活性の最適制御によって触媒工程の微調整を可能にするような物理的状態において、成形物を使用することは触媒的に活性なゼオライト系材料を提供するために重要な役割を果たす。
【0003】
従って、触媒活性なゼオライト系材料を含む特定の成形物を使用することが、反応パラメータの最適制御のために重要な役割を果たしている多種多様な触媒化反応が公知である。例えば、US2007/0135637A1は、ペンタシル型のゼオライト系材料に関し、それは、ピペラジン及びエチレンジアミンからテトラエチレンジアミンを製造するときに使用するために成形物の状態で提供される。一方、WO99/28029A1は、チタンゼオライトを主原料とするエポキシ化触媒に関し、それは、オキシランの合成のために押出成形された顆粒の状態で使用される。同様に、WO2012/076543A1は、チタンシリカライト-1触媒の存在下でプロピレンオキシドを製造するための連続方法に関し、チタンシリカライト-1触媒は、上述の方法で使用される前に成形体に加工される。
【0004】
しかしながらゼオライト系材料を含む成形物の公知の製造方法においては、上述の成形物に取り込まれる触媒活性成分に対する耐性が比較的低い傾向がある。それは、成形物が、一般的に、ゼオライト及びゼオライト系材料において一般的にみられる物理的特性に相当する物理的特性を有するものの材料を使用することに制限されるからである。特に、ゼオライト系材料の物理的特性の小さな差異は、従来の方法による成形物の製造の妨げとなる。従って、成形物及びそれらの製造方法を提供する必要がある。その製造方法は、ゼオライトにおいて一般的に観察される物理的特性よりも異なる物理的特性を有する他の触媒活性材料に適合される。それは特に、成形物の使用を必要とする触媒用途における使用のために、新規の及び未知のゼオライト系材料を含む成形物の製造を可能にするためである。それによって、成形物を使用することが、特に、触媒活性及び耐摩耗性と関連して、ゼオライト種のための向上した環境を提供することについて有利であることを証明するであろう。特に、様々な触媒化反応において成形体を使用することで、段階的な変化を可能とし、従って、ゼオライト系材料を含む成形物の化学的及び物理的特性を最適化することを可能とすることで、与えられた用途のために必要な特定の要件の中で結果物の微調整を可能とすることができるので、これを適用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2007/0135637A1
【特許文献2】WO99/28029A1
【特許文献3】WO2012/076543A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、様々なゼオライト系材料を使用する成形物の製造方法を提供することである。特に、本発明の目的は、ゼオライト系材料のための成形物を製造するための方法論を提供することであり、それは、それらの特定の物理的及び化学的特性によるものであり、いずれもその技術分野で公知の方法論を使用して成形体に加工されることはできず、又は、それ自体ゼオライトの状態で使用されたときに、それらの触媒特性と比較して、成形体に加工された後に、触媒において、良くない結果のみが示される。結果的に、たくさんのゼオライト系材料へのアクセスを可能とする成形物の製造方法を提供することに加えて、本発明は、ゼオライト系材料の触媒特性を向上させることも目的とする。それは、それらの物理的及び化学的な特定の特性が、現在その技術分野で知られるような成形体における使用に適さないからである。
【0007】
従って、本発明は、
(I)ゼオライト系材料を供給する工程と
(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と
(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と
(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と
(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と
(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と
を含む成形物の製造方法であって、
工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに1?15質量%の範囲の水分吸着を示し、好ましくは水分吸着が2?14質量%の範囲であり、より好ましくは2.5?11質量%であり、より好ましくは3?10質量%であり、より好ましくは4?9質量%であり、より好ましくは5?8.7質量%であり、より好ましくは7?8.4質量%であり、より好ましくは7.5?8.2質量%であることを特徴とする製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
なお、ここで、本発明においては、特に、本明細書で定義された特定の及び好ましい実施形態に関して、“comprising(含む)”の語は、代わりに“consisting of(からなる)”の意味として使用される。すなわち、具体的に及び明示的に開示する対応する実施形態として、そこでは、特定の特徴を含むものとして定義される主題が、実際は上述の特定の特徴からなる。しかしながら、本発明によると、“comprising(含む)”の語は、好ましくは、“comprising(含む)”として明示的に記載された特徴に主題を限定しないように、その一般的な定義に従って使用される。
【0009】
従って、驚くことに、成形物は、例外的な物理的特性、特に疎水性に関する特性を有するゼオライト系材料を使用して製造されてもよいことがわかった。すなわち、ゼオライト系材料で一般的に観察される水の吸着特性の範囲外にある水の吸着特性である。特に、全く予想外なことに、成形物の製造方法であって、使用されるゼオライト系材料が、ゼオライトにおいて一般的に観察される水分吸着能力よりも低い水分吸着性を示す製造方法が提供され得ることがわかった。そこでは、成形物中に含まれるゼオライト系材料が高い疎水性を示す成形物が提供され得る。従って、驚くことに、本発明によると、成形物が、そこで使用されるゼオライト系材料によって優れた物理的及び化学的特性を有して提供され得ることがわかった。このようにして、それは、新しい用途のための成形体を供給する可能性、特に、新しい触媒特性及び/又は選択性及び/又はエイジング及び製造中に改良された回数に対する抵抗を示す触媒活性成形物を与える。結果的に、本発明の方法は、例外的に高い疎水性を示す特定のゼオライト系材料の使用を含む。その疎水性は、水分吸着性が相対湿度が85%の環境下で1?15質量%の範囲に含まれるような疎水性である。本発明においては、相対湿度の特定の値は、特に大気に関して制限されない。大気は、相対湿度における上述の特定値を示す。原則として、その値は、相対湿度において上述の値を示す任意の好適な雰囲気、例えば、空気、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンの雰囲気、又はそれらの混合物に関係してもよい。本発明によると、しかしながら、好ましくは特定の相対湿度は、空気、窒素、アルゴン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される雰囲気の相対湿度を指し、より好ましくは、上述のレベルの相対湿度を示す窒素及び/又はアルゴンの雰囲気を指し、より好ましくは、相対湿度における上述の特定のレベルを示す窒素の雰囲気を指す。
【0010】
従って、疎水性が、水分吸着特性に関連する上述の範囲以内である限り、本発明の方法で使用されるゼオライト系材料は、特に制限されない。そのため、原則として、そのような特性を示す任意の考えられるゼオライト系材料は、そこで使用されてもよい。本発明の方法によると、しかしながら好ましくは、工程(I)で供給されるゼオライト系材料の水分吸着性は、相対湿度85%の環境下で、2?14質量%の範囲であり、より好ましくは、水分吸着性は2.5?11質量%の範囲であり、より好ましくは3?10質量%、より好ましくは4?9質量%、より好ましくは5?8.7質量%、より好ましくは7?8.4質量%の範囲である。本発明の方法によると、特に好ましくは、工程(I)で供給されるゼオライト系材料の水分吸着性は、相対湿度85%の環境下で7.5?8.2質量%の範囲である。
【0011】
本発明の成形物の製造方法によると、工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、1種以上の結合剤と混合される。原則として、ゼオライト系材料が分散状態で含まれているマトリックスを形成することができる限り、本発明の方法において使用され得る1種以上の結合剤について、特に制限はされない。従って、本発明の方法によると、好ましくは、工程(II)における混合工程時の、ゼオライト系材料と1種以上の結合剤との間の化学的及び/又は物理的相互作用は、次のようになっている。結合剤マトリックス中のゼオライト系材料の一様な分布は、工程(II)における混合工程、及びそれに続く、工程(II)で得られる混合物の工程(III)における混練工程によって達成されてもよい。その混練工程は、工程(IV)における成形工程時に、工程(III)で得られる混練された混合物の成形物を得るためである。そこでは、1種以上の成形物は、結合剤マトリックス中においてゼオライト系材料の一様な分布を示す。更に、1種以上の結合剤は無機結合剤からなる群から選択される。特に、好ましくは、本発明の方法で使用される1種以上の結合剤は、1種以上の金属オキシド及び/又はメタロイドオキシド源を含む。1種以上の結合剤中に含まれ得る好ましい金属及び/又はメタロイドオキシドに関しては、1種以上の成形物が、工程(III)における混練工程後、工程(II)で得られる混合物、及び工程(IV)における混練された混合物の成形物から得られてもよい限り、使用され得る金属及び/又はメタロイドについて特に制限は適用されない。
【0012】
従って、例えば、好ましくは工程(II)で加えられる1種以上の結合剤中に含まれる金属オキシド及び/又はメタロイドオキシドは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から選択されてもよい。本発明の方法によると、しかしながら好ましくは、1種以上の結合剤は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合オキシド、シリカ-チタニア混合オキシド、シリカ-ジルコニア混合オキシド、シリカ-ランタナ混合オキシド、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、アルミナ-チタニア混合オキシド、アルミナ-ジルコニア混合オキシド、アルミナ-ランタナ混合オキシド、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、チタニア-ジルコニア-混合オキシド、それらの2種以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から選択される1種以上の金属オキシド及び/又はメタロイドオキシド源を含む。しかしながら、本発明の方法によると、特に好ましくは、1種以上の結合剤は、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合オキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の金属オキシド、及び/又はメタロイドオキシド源を含む。更に好ましくは、1種以上の結合剤は、1種以上のシリカ源を含み、更により好ましくは、結合剤は、1種以上のシリカ源からなる。
【0013】
本発明によると、好ましくは1種以上の結合剤は1種以上のバーンアウト添加剤を含む。本発明によると、“バーンアウト添加剤”の語は、一般的に、工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程で分解される任意の1種以上の化合物を指す。好ましくは、気体成分に分解される任意の1種以上の化合物を指し、特に、酸素との反応によって1種以上の気体成分に分解される。その酸素は、、好ましくは工程(VI)におけるか焼工程が行われる雰囲気下で存在する。本発明によると、更に好ましくは、1種以上の結合剤は1種以上のバーンアウト添加剤からなる。そのバーンアウト添加剤は、好ましくは、酸素との反応によるか焼工程で分解される。その酸素は、好ましくはか焼が行われる雰囲気下に存在する。
【0014】
好ましくは1種以上の結合剤中に含まれる1種以上のバーンアウト添加剤については特に制限されないので、工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程(VI)において分解される限り、原則として、任意の好適な化合物又は化合物混合物が使用され得る。従って、例えば、1種以上のバーンアウト添加剤は、1種以上の炭素含有バーンアウト添加剤、好ましくは、炭素含有ポリマー、カーボハイドレート、グラファイト、又はそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される1種以上の炭素含有バーンアウト添加剤、より好ましくは、糖及びその誘導体、スターチ及びその誘導体、セルロース及びその誘導体及びグラファイト、それらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される1種以上の炭素含有バーンアウト添加剤、より好ましくは、糖及びそのアルキル化誘導体、スターチ及びそのアルキル化誘導体、セルロース及びそのアルキル化誘導体、及びグラファイト、それらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択され、より好ましくは、糖及びそのメチル化誘導体、スターチ及びそのメチル化誘導体、セルロース及びそのメチル化誘導体、及びグラファイト、それらの2種以上組み合わせたものからなる群から選択され、より好ましくは、セルロース及びそのメチル化誘導体及び/又はグラファイト、それらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される1種以上の炭素含有バーンアウト添加剤を含んでもよく、より好ましくはメチル化セルロース誘導体及び/又はグラファイトは、1種以上のバーンアウト添加剤として使用され、好ましくはグラファイトは1種以上のバーンアウト添加剤として使用される。本発明によると、特に好ましくは、1種以上の結合剤は、メチル化セルロース誘導体及び/又はグラファイトからなり、好ましくは本発明の方法で使用される1種以上の結合剤はグラファイトからなる。
【0015】
好ましくは1種以上の結合剤に含まれ、さらにより好ましくは1種以上の結合剤を構成する1種以上のシリカ源に関し、シリカは、例えば、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、それらの混合物からなる群から選択されてもよいので、特に制限はされない。本発明の方法によると、しかしながら好ましくは、1種以上の結合剤は、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、及びその混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、更に好ましくはフュームドシリカ、コロイド状シリカ、及びその混合物からなる群から選択される1種以上の化合物からなり、より好ましくは、1種以上の結合剤は、フュームドシリカ及び/又はコロイド状シリカからなり、より好ましくは、フュームドシリカ又はコロイド状シリカからなる。本発明の方法の工程(II)においては、工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、1種以上の結合剤と混合される。混合物を得るために工程(II)において供給されるゼオライト系材料及び1種以上の結合剤の量に関しては、工程(II)で得られる混合物が、工程(III)で混練され、工程(III)で得られる混練された混合物が、結果的に1種以上の成形物を得るために工程(IV)において成形される限り、原則として、1種以上の結合剤のゼオライト系材料に対する任意の好適な質量比(結合剤:ゼオライト系材料)が適用され得るので、特に制限はされない。本発明の方法によると、しかしながら好ましくは、工程(II)で得られる混合物は、1種以上の結合剤のゼオライト系材料に対する質量比が、0.1?0.6の範囲であり、より好ましくは、結合剤:ゼオライト系材料の質量比が、0.15?0.5の範囲であり、更により好ましくは、0.2?0.45の範囲である。
【0016】
本発明の方法の工程(II)における、ゼオライト系材料と1種以上の結合剤の混合工程に関しては、好ましくは、ゼオライト系材料及び1種以上の結合剤は、更に溶媒系と混合される。好ましくは、工程(II)において混合物に加えられる溶媒系に関しては、それは、原則として、1種の溶媒からなるものでもよく、又は1種以上の溶媒を含んでもよい。好ましくは、溶媒系は1種以上の疎水性溶媒を含む。好ましくは工程(II)で供給される溶媒系に含まれる疎水性溶媒に関しては、溶媒系に含まれる疎水性溶媒の種類及び/又は疎水性溶媒の種類の数については特に制限はない。好ましくは、1種以上の疎水性溶媒は、極性溶媒からなる群から選択され、より好ましくは極性プロトン性溶媒からなる群から選択される。溶媒系に含まれる特に好ましい極性プロトン性溶媒に関しては、好ましくは水、アルコール、カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の極性プロトン性溶媒は、水、C1-C5アルコール、C1-C5カルボン酸、及びその2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、水、C1-C4アルコール、C1-C4カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、水、C1-C3-アルコール、C1-C3カルボン酸、及びその2種以上の混合物からなる群から選択される。本発明の方法においては、特に好ましくは、工程(II)で供給される溶媒系に含まれる含まれる1種以上の極性プロトン系溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ギ酸、酢酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、水、エタノール、酢酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。より好ましくは、溶媒系は、水及び/又はエタノールを含む。しかしながら更に好ましくは、本発明の方法によれば、ゼオライト系材料及び1種以上の結合剤に加えて、工程(II)で好ましくは供給される溶媒系は、水を含み、更により好ましくは溶媒系は水からなる。
【0017】
溶媒系が、工程(II)においてゼオライト系材料及び1種以上の結合剤に更に加えられる本発明の方法の好ましい実施形態に関しては、工程(II)で得られる混合物が工程(III)で混練され、その後、混練された混合物が、工程(IV)成形されて、1種以上の成形物を得る限り、溶媒系の加えられる量については特に制限されない。この趣旨で、本発明の方法によると、好ましくは、溶媒系のゼオライト系材料に対する質量比(溶媒系:ゼオライト系材料)は、0.7?1.7の範囲に含まれ、より好ましくは、溶媒系:ゼオライト系材料の質量比は、0.8?1.6の範囲に含まれ、より好ましくは0.9?1.5の範囲に含まれる。溶媒系が、工程(II)におけるゼオライト系材料及び1種以上の結合剤に更に加えられる、本発明の方法の特に好ましい実施形態によると、工程(II)で得られる混合物において、溶媒系:ゼオライト系材料の質量比は1.0?1.4の範囲に含まれる。
【0018】
本発明の方法によると、更に好ましくは、1種以上の造孔剤が、工程(II)におけるゼオライト系材料及び1種以上の結合剤に更に加えられ、更により好ましくは、ゼオライト系材料に、1種以上の結合剤に、及び好ましくはそれに加えられる溶媒系に1種以上の造孔剤が加えられる。本発明によると、工程(II)で得られる混合物が工程(III)で混練され、その後、混練された混合物が工程(IV)で成形されて、1種以上の成形物を得る限りは、そこで使用される造孔剤の種類の数及び/又は種類については特に制限されない。従って、例えば、1種以上の造孔剤は、ポリマー、カーボハイドレート、グラファイト、それらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、1種以上の造孔剤は、ポリマービニル化合物、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース、及びセルロース誘導体、糖、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ポリスチレン、C2-C3ポリアルキレンオキシド、セルロース誘導体、糖、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、C1-C2ヒドロオキシアルキル化及び/又はC1-C2アルキル化セルロース誘導体、糖、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。本発明の方法によると、特に好ましくは、工程(II)においてゼオライト系材料及び1種以上の結合剤に加えられる1種以上の造孔剤(それは好ましくは溶媒系を含む)は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、更に好ましくは、1種以上の造孔剤は、ポリスチレン、ポリエチレオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の造孔剤は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、及びヒドロキシエチルメチルセルロースの混合物からなる。
【0019】
本発明の方法であって、工程(II)における混合物が、ゼオライト系材料及び1種以上の結合剤に加えて1種以上の造孔剤を含み、上述の混合物が好ましくは更に溶媒系を含む方法の好ましい実施形態に関しては、工程(III)で得られる混合物が、工程(III)で混練され、続いて、1種以上の成形物を得るために工程(IV)で形成される限り、更に加えられる1種以上の造孔剤の量に関しては特に制限はされない。上述の好ましい実施形態によると、しかしながら好ましくは、工程(II)で得られる混合物において、1種以上の造孔剤のゼオライト系材料に対する質量比(造孔剤:ゼオライト系材料)は、0.1?0.7の範囲に含まれ、より好ましくは、造孔剤:ゼオライト系材料の質量比は、0.15?0.6、より好ましくは、0.2?0.5、より好ましくは0.25?0.45の範囲に含まれる。工程(II)で得られる混合物が、ゼオライト系材料、及び1種以上の結合剤に加えて、及び好ましくは溶媒系に加えて、1種以上の造孔剤を含む、本発明の方法の特に好ましい実施形態によると、1種以上の造孔剤のゼオライト系材料に対する質量比が、好ましくは0.3?0.4の範囲に含まれる。従って、本発明の方法の更に好ましい実施形態について同じことが適用され、工程(II)で得られる混合物が工程(III)で混練され、続いて、工程(IV)で成形されて、1種以上の成形物を得る限り、混合物中に供給されるそれぞれの成分の量について特に制限がなく、溶媒系と1種以上の造孔剤の両方が、ゼオライト系材料及び1種以上の結合剤と共に工程(II)で混合される。しかしながら好ましくは、上述の好ましい実施形態に係る、工程(II)で得られる混合物は、溶媒系:1種以上の結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料の質量比(溶媒系:1種以上の結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料)が、(0.7?1.7):(0.4?1):1の範囲であり、好ましくは(0.8?1.6):(0.5?0.9):1であり、より好ましくは、(0.9?1.5):(0.55?0.85):1であり、より好ましくは(1.0?1.4):(0.6?0.8):1である。上述の特に好ましい実施形態によると、更に好ましくは、工程(II)で得られる混合物は、溶媒系:結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料の質量比が(1.1?1.3):(0.65?0.75):1の範囲である。
【0020】
本発明の方法の工程(IV)において、工程(V)で得られる乾燥した混合物がか焼される。上述のか焼工程に関しては、特に制限はされず、原則として、上述のか焼工程においては任意の好適な温度及び持続時間が適用される。好ましくは、工程(V)で得られる乾燥した成形物は、350?850℃、より好ましくは、400?700℃、更に好ましくは450?650℃の範囲の温度でか焼される。本発明の方法によると、しかしながら特に好ましくは、工程(V)で得られる乾燥した成形物は、工程(VI)において475?600℃の範囲の温度でか焼される。工程(VI)における乾燥した成形物のか焼工程に関して、か焼工程を実現するために使用される方法又は装置については特に制限はされない。従って、原則として、任意の好適な装置が使用されれもよく、本発明に従って、か焼装置が好ましくは使用される。好ましくは使用されるか焼装置については、ロータリーか焼装置又は静電気か焼装置が使用されてもよい。更に、好ましくは使用されるか焼装置は、通常の流れ又は逆方向の流れを使用してもよい。
【0021】
本発明の方法の工程(VI)で得られるか焼された成形物に関して、想定される特定の用途に応じて、か焼された成形物は、得られた生成物の更なる最適化のために、任意の1種以上の後処理工程が施されてもよい。か焼された成形物に、特に、成形物の物理的特性を向上させるための処理、例えば、耐摩耗性に関する処理を施すことが有効である。従って、好ましくは、本発明の方法は、更に、工程(VI)で得られるか焼された成形物に水熱処理を施す工程(VII)を含む。原則として、水熱処理は、特に、上述の処理が行われる温度及び/又は圧力に関して、任意の好適な条件下で行われてもよい。従って、工程(VII)における水熱処理は、例えば、蒸気による、工程(VI)で得られるか焼された成形物の処理を含んでもよい。本発明の方法によると、しかしながら特に好ましくは、工程(VII)における水熱処理は、自生圧力下で行われる。工程(VI)で水熱処理が行われる温度に関し、上述の処理は、例えば、80?200℃の範囲に含まれる温度で行われてもよいように、特に制限はされない。本発明の方法によると、しかしながら好ましくは、工程(VII)における水熱処理は、90?180℃、より好ましくは100?170℃、より好ましくは110?160℃の範囲の温度で行われる。本発明の方法によると、しかしながら特に好ましくは、工程(VII)の水熱処理は、120?150℃の範囲の温度で行われ、水熱処理は、更に好ましくは、これらの温度で、自生圧力下で行われる。
【0022】
工程(VI)で得られるか焼された成形物が、工程(VII)で水熱処理され、特に、自生圧力下で水熱処理される、本発明の方法の特に好ましい実施形態に関し、上述の水熱処理が行われる、溶媒又は1種以上の溶媒を含む溶媒系について特に制限はされない。本発明の方法の特に好ましい実施形態について、しかしながら好ましくは。水熱処理は、水含有溶媒系及び/又は水溶液で行われ、より好ましくは、水熱処理は蒸留水を含む溶媒系で行われ、より好ましくは、水熱処理用、特に、自生圧力下での水熱処理用に使用される溶媒系は、蒸留水からなる。工程(VI)で得られるか焼された成形物の後処理のために、好ましくは工程(VII)で行われる水熱処理の持続時間に関しては、上述の処理の持続時間に関しては特に制限はなく、例えば、1?48時間の範囲の間中行われてもよい。本発明の方法によると、しかしながら好ましくは、工程(VII)による好ましい水熱処理は、2?36時間、より好ましくは、4?24時間、更により好ましくは、5?12時間の持続時間の間行われる。工程(VI)で得られるか焼された成形物が、工程(VII)で水熱処理される、本発明の方法の特に好ましい実施形態によると、水熱処理の持続時間は、好ましくは6?9時間の範囲である。
【0023】
上記で述べたように、ゼオライト系材料の疎水性が、相対湿度85%の環境下で1?15質量%の範囲の水分吸着を示す限り、任意の1種以上の好適なゼオライトがそこに含まれるように、工程(I)で供給されるゼオライト系材料については特に制限されない。従って、原則として、上述の特性を示す、考えられる1種以上のゼオライトは、それらの特定の組成又は骨格のタイプに関係なく使用されてもよい。本発明によると、しかしながら好ましくは、ゼオライト系材料は、AEI、BEA、CHA、CDO、DDR、EMT、ERI、EUO、FAU、FER、HEU、LEV、MAZ、MEI、MEL、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MTN、MTT、MTW、MWW、NON、OFF、RRO、TON、及びそれらの2種以上の組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む。本発明の方法によると、更に好ましくは、工程(I)で供給されるゼオライト系材料が、BEA、CHA、CDO、FAU、FER、HEU、LEV、MEL、MFI、MOR、MWW、RRO、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、LEV、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含み、より好ましくは、1種以上のゼオライトは、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有する。本発明の方法によると、特に好ましくは、工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、1種以上のゼオライト、より好ましくは、MFI型骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む。
【0024】
本発明の方法の工程(I)で供給されるゼオライト系材料に好ましくは含まれる、MFI型骨格構造を有する1種以上のゼオライトに関し、例えば、ゼオライト系材料が、ZSM-5、[As-Si-O]-MFI、[Fe-Si-O]-MFI、[Ga-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、ボラライトC、エンシライト(Encilite)、FZ-1、LZ-105、単斜晶系H-ZSM-5、ムティーナ沸石、NU-4、NU-5、シリカライト、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されるMFI型骨格構造の1種以上のゼオライトを含んでもよいように、供給されるMFI型ゼオライトの種類、及び種類の数の両方とも、特に制限はされない。本発明の方法によると、しかしながら特に好ましくは、工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、シリカライト及びTS-1を含む。本発明の方法によると、特に好ましくは、工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、シリカライト及び/又はTS-1からなり、好ましくは、TS-1からなる。
【0025】
上述のような成形物の製造方法に加えて、本発明は更に、成形物それ自体に関する。それは、本発明の方法、特に、前述のような、その任意の特定の、及び好ましい実施形態によって得られる。更に、本発明の方法は、それが得られる方法とは関係なく、成形物それ自体に関する。
【0026】
特に、本発明は更に、本発明の方法によって、特に、上述の、任意の特定の、及び好ましい本発明の方法の実施形態に従って好ましくは得られる及び/又は得られた成形物に関する。上述の成形物は、相対湿度が85%の環境下で、1?15質量%の範囲の水分吸着を示すゼオライト系材料を含む。
【0027】
本発明の成形物で使用されるゼオライト系材料に関し、それらの疎水性が、原則として、水分吸着特性を示す、任意の考えられるゼオライト系材料がそこで使用されるような、水分吸着特性についての上述の範囲以内である限り、特に制限はされない。本発明によると、しかしながら好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の水分吸着は、相対湿度85%に晒されるとき2?14質量%の範囲である。より好ましくは、水分吸着は2.5?11質量%の範囲であり、より好ましくは3?10質量%、より好ましくは4?9質量%、より好ましくは5?8.7質量%、より好ましくは7?8.4質量%の範囲である。本発明によると、特に好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の水分吸着は、相対湿度85%の環境下で、7.5?8.2質量%の範囲である。
【0028】
従って、ゼオライト系材料の疎水性が、相対湿度85%の環境下で1?15質量%の範囲の水分吸着を示す限り、任意の1種以上の好適なゼオライトが含まれてもよいように、、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料に関しては特に制限はされない。従って、原則として、上述の特性を示す任意の考えられる1種以上のゼオライトは、それらの特定の組成又は骨格タイプに関係なく使用されてもよい。本発明によると、しかしながら好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、AEI、BEA、CHA、CDO、DDR、EMT、ERI、EUO、FAU、FER、HEU、LEV、MAZ、MEI、MEL、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MTN、MTT、MTW、MWW、NON、OFF、RRO、TON、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む。本発明によると、更に好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、BEA、CHA、CDO、FAU、FER、HEU、LEV、MEL、MFI、MOR、MWW、RRO、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、LEV、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含み、より好ましくは、1種以上のゼオライトは、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有する。特に好ましくは、本発明によると、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、1種以上のゼオライト、より好ましくは、MFI型骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む。
【0029】
本発明によると、本明細書で定義されるような水分吸着を示す限り、本発明の方法で使用され、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料に関して特に制限はないが、好ましくは、本発明の方法で使用され、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、以下の工程:
(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供する工程
(2) 工程(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得る工程
を含むゼオライト系材料の製造方法であって、
Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表すことを特徴とする製造方法によって得られる。
【0030】
本発明によると、更に好ましくは、本発明の方法において使用され、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、ゼオライト系材料の製造方法に従って、国際出願PCT/EP2013/058481(タイトル:ゼオライト系材料、及びアルケニルトリアルキルアンモニウム化合物を使用するゼオライト系材料の製造方法)で定義されるような化合物を含む1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)の使用を含む、上述の方法の、任意の特定の、好ましい実施形態に従って得られる。従って、その内容は本明細書に記載されている。
【0031】
従って、本発明によると、特に好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、YO_(2)、及び任意にX_(2)O_(3)を含むMFI型骨格構造を有する。ここで、Yは4価の元素であり、Xは3価の元素であり、上述の材料は、少なくとも以下の反射:
【表1】

(ここで、100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピーク強度に関する。)
を含むX線回折パターンを有する。
【0032】
本発明によると、更に好ましくは、上述のX線回折パターンを示すゼオライト系材料はTS-1を含み、更により好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料はTS-1である。
【0033】
7.66°?8.20°2θの範囲に含まれる第一の反射の強度に関しては、本発明によると、好ましくは、上述の反射の強度は70?100、より好ましくは80?100、より好ましくは85?100、更により好ましくは90?100の範囲に含まれる。更に、又はそれに加えて、好ましくは、それに加えて、8.58°?9.05°2θの範囲に含まれる第2の反射の強度に関しては、本発明によると、好ましくは、上述の反射の強度は、43?70、より好ましくは46?60、より好ましくは、49?57、更により好ましくは、51?55の範囲に含まれる。
【0034】
本発明によると、好ましくは、好ましくは本発明の成形物中に含まれるMFI型骨格構造を有する上述のゼオライト系材料は、少なくとも以下の反射:
【表2】

(100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関する)
を含むX線回折パターンを有する。
【0035】
7.79°?8.06°2θの範囲に含まれる第1の反射の強度に関しては、本発明によると、更に好ましくは、上述の反射の強度は、80?100、より好ましくは85?100、更により好ましくは90?100の範囲に含まれる。更に、又はそれに加えて、好ましくは、それに加えて、8.7°?8.93°2θの範囲に含まれる第2の反射の強度については、本発明によると、好ましくは、上述の反射の強度は、46?60、より好ましくは49?57、更により好ましくは51?55の範囲に含まれる。
【0036】
好ましくは本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRに関し、NMRスペクトル中に示されるシグナルの数、及び/又はそれぞれのppm値、及び/又は相対強度について特定の制限はない。本発明によると、しかしながら好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRは、-100.2?-104.2ppmの範囲に含まれる第2のピーク(P’’2)に加えて、-110.4?-114.0ppmの範囲に含まれる第1のピーク(P’’1)を含む。より好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRは、-110.8?-113.4ppmの範囲に第1のピーク(P’’1)、及び-100.8?-103.6ppmの範囲に第2のピーク(P’’2)を含む。本発明によると、特に好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRは、-111.2?-112.8ppmの範囲に含まれる第1のピーク(P’’1)、及び-101.4?-103.0ppmの範囲に含まれる第2のピーク(P’’2)を含む。
【0037】
本発明によると、更に好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の逆重畳積分された(deconvoluted)^(29)Si MAS NMRスペクトルは、-113.2?-115.2ppmの範囲に含まれる更なるピークを含み、より好ましくは、上述の追加的なピークは、-113.5?-114.9ppmの範囲に含まれる。本発明によると、特に好ましくは、ゼオライト系材料は、-113.8?-114.7ppmの範囲に含まれる逆重畳積分された^(29)Si MAS NMRスペクトルにおいて更なるピークを含む。原則として、上述の方法が、逆重畳積分された^(29)Si MAS NMRスペクトルに関しては、好ましくは本発明の成形物中で使用される、ゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRスペクトルにおいて更なるピークを識別することができる限り、それを逆重畳積分するために、任意の好適な方法が使用されてもよい。本発明によると、しかしながら好ましくは、逆重畳積分は、DMFit(Massiot等らによる「化学における磁気共鳴」(40巻、2002年、70?76ページ))を使用して行われる。特に、好ましくは、上述の方法によると、ぴったりのモデルは、-103ppm、-112ppm、及び-114ppmの開始位置を有する3つのガウス関数から構成される。更に、好ましくは、ピーク位置と線幅の両方とも、フィットピークが一定の位置に固定されない状態のまま制限されない。
【0038】
本発明によると、本発明の特定の、好ましい実施形態による^(29)Si MAS NMRスペクトルにおける化学シフト(ppm)についてのそれぞれの値を得るための^(29)Si MAS NMR試験で使用される標準については、特に制限はされない。好ましくは、外部標準が使用される。特に好ましい実施形態によると、^(29)Si MAS NMR試験で使用される外部標準は、^(29)Si MAS NMR試験における外部二次標準としてのポリマーQ8M8であり、トリメチルシリルM基の共鳴は、12.5ppmに設定される。
【0039】
更に、本発明によると、特に好ましくは、^(29)Si MAS 固体状態NMR値は、^(29)Si CP-MAS 固体状態NMR値と同様に、本発明の任意の特定の、及び好ましい実施形態で定義されるように、300MHzの^(1)H ラ-モア周波数を有するBruker Avance(R)分光計(Bruker Biospin社、ドイツ)を使用して、問題のゼオライト系材料について得られる値を指す。より好ましくは、定義された値は、7mmのZrO_(2)ローターに充填されたゼオライト系材料の試料から得られ、室温で、5kHzのマジック角回転下で測定される。交差偏光(CP)からの^(29)Siスペクトル、及びそこから得られる値は、好ましくは、^(1)Hについての45kHz及び^(29)Siニューテーション高周波についての50kHzに対応する低電力高周波パルスとの5msの^(1)H-^(29)Siハートマンハーンマッチングの後に続いて、^(1)H(π/2)パルス励起を使用して得られる値を指す。好ましくは、^(29)Siキャリア周波数は-62又は-64ppmに設定され、2sのスキャンリサイクル遅延が使用される。シグナルは好ましくは、45kHzの高電力のプロトンデカップリングの下で、25msの間得られ、6時間累積される。好ましくは、その値が得られるスペクトルを30Hzの指数関数的な線拡大、手動フェージング、及びフルスペクトル幅にわたる手動ベースライン補正を備えるBruker Topspin(R)を使用して加工する。上述のように、スペクトルは、好ましくは、トリメチルシリルM基の共鳴を12.5ppmに設定することによって、外部二次標準としてBruker(R)によって与えられるポリマーQ8M8によって参照される。
【0040】
本発明によると、好ましくは本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料のMFI型骨格構造の少なくともY原子の部分及び/又はX原子の部分は、好ましくは、1種以上の元素によって同形置換されている。この点において、MFI型骨格構造のY原子及び/又はX原子を置換してもよい1種以上の元素に関して特に制限はなく、好ましくは、上述の元素は、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、Cu、Zn、Li、Be及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、更により好ましくは、1種以上の元素は、B、Fe、Ti、Sn、Zr、Cu、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。本発明によると、特に好ましくは、MFI型骨格構造における少なくともY原子の部分及び/又はX原子の部分は、Ti及び/又はB、好ましくはTiによって同形置換される。本発明によると、更により好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、本発明の上述の、特定の、及び好ましい実施形態の任意の一つによって同形置換されたゼオライト系材料である。特に好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、MFI型骨格構造を有し、Tiで同形置換されたゼオライト系材料であり、更により好ましくは、TS-1である。
【0041】
MFI型骨格構造における少なくともY原子の部分、及び/又はY原子の部分を置換する、好ましいゼオライト系材料における1種以上の元素の量に関しては、本発明によっては特に制限はされない。従って、例えば、YO_(2)のMFI型骨格構造において同形置換された1種以上の元素に対するモル比は、どこでも5?100の範囲でもよく、そのモル比は、好ましくは10?80の範囲に含まれ、より好ましくは20?70、より好ましくは25?65であり、より好ましくは30?50であり、更により好ましくは35?45の範囲に含まれる。本発明によると、特に好ましくは、YO_(2)のMFI型骨格構造におけるY原子及び/又はX原子を同形置換している1種以上の元素に対するモル比は38?40の範囲に含まれる。
【0042】
本発明によると、MFI型骨格構造を有する本発明の材料中に含まれる好ましいゼオライト系材料は、任意にX_(2)O_(3)を含んでもよい。なお、Xは3価の元素である。ゼオライト系材料がX_(2)O_(3)を更に含む、本発明の実施形態については、MFI型骨格構造に含まれてもよい量については特に制限はされない。従って、例えば、ゼオライト系材料のYO_(2):X_(2)O_(3)のモル比は、2?200の範囲に含まれてもよく、好ましくは、YO_(2):X_(2)O_(3)のモル比は、3?160の範囲に含まれ、より好ましくは、5?140、より好ましくは、8?120、より好ましくは、10?100、更により好ましくは、15?80の範囲に含まれる。本発明によると、特に好ましくは、ゼオライト系材料のYO_(2):X_(2)O_(3)のモル比は、20?60の範囲に含まれる。本発明によると、しかしながら好ましくは、好ましくは本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料のMFI型骨格構造は、実質的な量のAl_(2)O_(3)を含まず、更により好ましくは、実質的な量のX_(2)O_(3)を含まない。ここで、XはAl、B、In、Ga、それらの2種以上の混合物を表す。より特には、本発明によると、特に好ましくは、MFI型骨格構造は、任意の実質的な量のX_(2)O_(3)を含まず、Xは、3価の元素である。本発明において、好ましくは、本発明の成形物中に含まれる、MFI型骨格構造を有するゼオライト系材料中に含まれてもよいX_(2)O_(3)の量、及び特にはAl_(2)O_(3)の量について使用される“実質的な”の語、上述の語は、ゼオライト系材料の100質量%に対するX_(2)O_(3)の0.1質量%以下の量を指し、より好ましくは、0.05質量%以下の量、より好ましくは0.001質量%以下の量、より好ましくは、0.0005質量%以下の量、更により好ましくは、その0.0001質量%以下の量を指す。
【0043】
本発明によると、好ましくは本発明の成形物中に含まれるMFI型骨格構造を有するゼオライト系材料は、YO_(2)を含む。原則として、Yは、任意の考えられる4価の元素を表し、Yは、いずれかの、又はいくつかの4価の元素を表す。本発明に係る好ましい4価の元素は、Si、Sn、Ti、Zr、及びGe、及びそれらを組み合わせたものを含む。より好ましくは、Yは、Si、Ti、又はZr、又は上述の4価の元素の任意に組み合わせたものを表し、更により好ましくは、Si及び/又はSnを表す。本発明によると、特に好ましくは、YはSiを表す。
【0044】
好ましくは本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料のMFI骨格構造内に任意に含まれるX_(2)O_(3)について、Xは、原則として、任意の考えられる3価の元素を表し、Xは、1種の又はいくつかの3価の元素を表す。本発明に係る好ましい3価の元素は、Al、B、In、及びGa、及びそれらを組み合わせたものを含む。より好ましくは、Xは、Al、B、又はIn、又は上述の3価の元素を任意に組み合わせたものを表し、更により好ましくは、Al及び/又はBを表す。本発明によると、特に好ましくは、XはAlを表す。
【0045】
本発明の成形物中に含まれる本発明のゼオライト系材料の骨格元素に加えて、上述のゼオライト系材料は、好ましくは更に1種以上の非骨格元素を含む。非骨格元素は、骨格構造を構成せず、これにより、骨格構造によって形成される細孔及び/又は空洞内に存在し、一般にゼオライト系材料で典型的である。この点において、ゼオライト系材料に含まれてもよい非骨格元素の種類については特に制限はなく、そこに存在する量についても特に制限はない。しかしながら、好ましくは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、1種以上のカチオン及び/又はイオン性非骨格元素としての1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含み、ゼオライト系材料中に存在してもよい様々な種類のイオン性非骨格元素の種類、及び種類の数については特に制限はなく、それらのそれぞれの量についても特に制限はない。本発明の好ましい実施形態によると、イオン性非骨格元素は、好ましくはH^(+)、NH^(4+)、Mg、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、これらは、H^(+)、NH^(4+)、Mg、Sr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含む。本発明の特に好ましい実施形態によると、イオン性非骨格元素は、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含む。
【0046】
本発明によると、ゼオライト系材料に加えて、本発明の成形物中に含まれてもよい更なる成分については、特に制限はない。従って、原則として、任意の好適な更なる材料がそこに含まれてもよく、好ましくは、本発明によると、本発明の成形物は、ゼオライト系材料に加えて、更に、1種以上の結合剤を含む。本発明の成形物中に更に含まれてもよい結合剤の種類又は種類の数については、例えば、成形物が、無機結合剤及び有機結合剤、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の結合剤を更に含んでもよいように、特に制限はされない。本発明によると、しかしながら好ましくは、1種以上の結合剤は、1種以上の無機結合剤を含み、好ましくは、1種以上の結合剤は、1種以上の金属オキシド源、及び/又はメタロイド源を含み、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、及びそれらの2種以上の混合物、及び/又は混合オキシドからなる群から選択される1種以上の金属オキシド源、及び/又はメタロイドオキシド源を含み、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合オキシド、シリカ-チタニア混合オキシド、シリカ-ジルコニア混合オキシド、シリカ-ランタナ混合オキシド、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、アルミナ-チタニア混合オキシド、アルミナ-ジルコニア混合オキシド、アルミナ-ランタナ混合オキシド、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、チタニア-ジルコニア混合オキシド、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合オキシドからなる群から、より好ましくは、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合オキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の金属オキシド源、及び/又はメタロイドオキシド源を含み、より好ましくは、1種以上の結合剤は、1種以上のシリカ源を含む。本発明によると、特に好ましくは、結合剤は1種以上のシリカ源からなり、1種以上のシリカ源は、好ましくはフュームドシリカ、コロイド状シリカ、シリカ-アルミナ、コロイド状シリカアルミナ、及びそれらの2種以上の混合物、より好ましくは、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含む。本発明によると、更により好ましくは、1種以上の結合剤は、フュームドシリカ、及び/又はコロイド状シリカからなり、更により好ましくは、1種以上の結合剤は、フュームドシリカ又はコロイド状シリカのいずれかからなる。
【0047】
本発明によると、相対湿度85%の環境下で、1?15質量%の範囲の水分吸着を示す限り、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の、好適な物理的及び/又は化学的特徴については、特に制限はされない。従って、例えば、ゼオライト系材料の多孔性及び/又は表面積については、原則として、任意の好適な値を取り入れてもよい。従って、DIN66135に準じて測定されるゼオライト系材料のBET表面積については、どこでも50?700m^(2)/gの範囲でもよく、好ましくは、本発明のゼオライト系材料の表面積が、100?650m^(2)/g、より好ましくは、200?600m^(2)/g、より好ましくは、300?550m^(2)/g、より好ましくは350?500m^(2)/g、更により好ましくは、390?470m^(2)/g
の範囲に含まれる。本発明によると、特に好ましくは、DIN66135に準じて測定される、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料のBET表面積は、420?440m^(2)/gの範囲である。
【0048】
本発明の成形物の比表面積について、例えば、表面積はどこでも50?700m^(2)/gの範囲であってもよいように特に制限はされず、好ましくは、成形物の表面積は、100?500m^(2)/gの範囲に含まれ、より好ましくは、表面積は150?475m^(2)/gの範囲であり、より好ましくは、200?450m^(2)/g、より好ましくは250?425m^(2)/g、及びより好ましくは、300?400m^(2)/gの範囲である。本発明によると、特に好ましくは、成形物は、325?375m^(2)/gの範囲の比表面積を示す。本願で使用されるように、“比表面積”の語は、好ましくは、DIN66131に準じて測定される材料の比表面積を指す。
【0049】
本発明の成形物が示す気孔容積については、本発明によっては、成形物の気孔容積は0.1?2.5ml/gの範囲であってもよいように、特に制限はされない。好ましくは気孔容積は0.3?2ml/g、より好ましくは、0.5?1.7ml/g、より好ましくは、0.7?1.5ml/g、より好ましくは0.9?1.3ml/gの範囲に含まれる。本発明によると、特に好ましくは、成形物は、0.9?1.1ml/gの範囲に含まれる気孔容積を示す。本願で使用されるように、“気孔容積”の語は、好ましくは、DIN66133に準じて測定される材料の気孔容積を指す。
【0050】
本発明の成形物の機械的強度については、好ましくは、これらは、様々な考えられる用途、特に、成形物の硬度及び、耐摩耗性についての高い値を必要とする用途を可能にする値を示す。このため、本発明によると、好ましくは、成形物は1?15Nの範囲に含まれる機械的強度を示し、より好ましくは、本発明の成形物の機械的強度は、1?12Nの範囲に含まれ、より好ましくは2?9N、より好ましくは2?7N、より好ましくは3?6N、より好ましくは3?5Nの範囲に含まれる。本発明によると、特に好ましくは、成形物は3?4Nの範囲に含まれる機械的強度を示す。本発明においては、“機械的強度”の語は、好ましくは、本願の実施例の部分で記載される方法による、得られる成形物についての計算される値を指す。
【0051】
多孔性構造についての、上述の本発明の成形物の好ましい特徴に加えて、本発明の成形物は、成形物の多孔性構造を通過する、流体の拡散特性を反映する特定の屈曲度(specific tortuosity)によって特徴付けられる。本発明によると、本発明の成形物によって示される屈曲度については特に制限はされない。しかしながら、好ましくは、本発明によると、水に対する本発明の成形物の屈曲度は、0.3?5.0±0.2、より好ましくは、0.5?4.5±0.2、より好ましくは、0.7?4.0±0.2、より好ましくは、0.9?3.5±0.2、より好ましくは、1.4?2.1±0.2の範囲に含まれる。本発明によると、特に好ましくは、成形物は1.5?2.0±0.2の範囲に含まれる水に対する屈曲度を示す。本発明においては、“屈曲度”の語は、298.15Kの温度における本発明の材料の屈曲特性を指し、好ましくは、US2007/0099299A1で定義され、より好ましくは、本願の実施例の部分で定義される屈曲特性を指す。
【0052】
本発明によると、更に好ましくは、本発明の成形物は、0.3?3.5±0.1、より好ましくは、0.5?3±0.1、より好ましくは、0.8?2.5±0.1、より好ましくは、1?2.2±0.1、より好ましくは、1.2?2.0±0.1、より好ましくは、1.3?1.9±0.1、より好ましくは、1.4?1.8±0.1、より好ましくは、1.4?1.6±0.1の範囲に含まれるシクロオクタンに対する屈曲度を示す。水についての本発明の成形物の屈曲度と同様に、シクロオクタンに対する本発明の成形物の屈曲度は、298.15Kの温度における本発明の材料の屈曲特性を指し、好ましくは、US2007/0099299A1で定義され、より好ましくは、本願の実施例部分で定義されるような屈曲特性を指す。
【0053】
一般的に、上述の本発明の成形物は、任意の好適な用途、例えば、分子ふるい、吸着剤、触媒、又は触媒担体として使用され得る。例えば、本発明の特定の、及び好ましい実施形態によると、本発明の成形物は、選択的に分子を分離するために、例えば、ハイドロカーボン又はアミンを分離するために、ガス又は液体を乾燥するための分子ふるいとして使用されることができ、イオン交換として、ケミカルキャリアとして、吸着剤、特に、ハイドロカーボン又はアミンを分離するための吸着剤として、又は触媒として使用され得る。より好ましくは、本発明の成形物は、触媒として、及び/又は触媒担体として使用される。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明の成形物は、触媒担体で使用され、好ましくは、触媒として、及び/又は触媒担体として、より好ましくは触媒として使用される。一般的に、本発明の成形物は、任意の考えられる触媒工程における触媒、及び/又は触媒担体として使用されことができ、その工程は、少なくとも1種の有機化合物の変換を含む工程が好ましく、その少なくとも1種の有機化合物は、より好ましくは、少なくとも1種の炭素-炭素、及び/又は炭素-酸素、及び/又は炭素-窒素結合を含む有機化合物、より好ましくは、少なくとも1種の炭素-炭素、及び/又は炭素-酸素結合を含む有機化合物、及び/又は炭素-窒素結合を含む有機化合物、更により好ましくは、少なくとも1種の炭素-炭素結合を含む有機化合物である。
【0055】
更に、本発明によると、好ましくは、本発明の成形物は、有機化合物のための分子トラップとして使用される。一般的に、任意の種類の有機化合物はゼオライト系材料内に捕捉されてもよく、好ましくは、有機化合物は、温度が上昇し、及び/又は圧力が減少することによってそれが変換されることなく、本発明の成形物から後から放出されるように、好ましくは、化合物は可逆的に捕捉される。更に好ましくは、本発明の成形物は、有機化合物を捕捉するのに使用される。その有機化合物の大きさは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料の分子構造の微細孔構造を通過する大きさである。本発明の更なる実施形態によると、好ましくは、捕捉された化合物は、その化学的誘導体及び/又はその分解生成物、及び好ましくは、その熱分解生成物への少なくとも部分的な変換の下で放出される。
【0056】
本発明の成形物が使用される用途について、任意の考えられる方法で使用され、好ましくは、分子ふるい、吸着剤、イオン交換、触媒、及び/又は触媒担体として使用される。本発明の成形物が使用される特定の触媒用途については、触媒効果が実現され、及び/又は高められる限り、特に制限はなく、本発明の成形物は、好ましくは、C-C結合構造を含む反応、及び/又は変換における触媒として使用され、好ましくは、異性化反応、アンモ酸化反応、ハイドロクラッキング反応、アルキル化反応、アシル化反応、アルケンからオレフィンへの変換の反応、1種以上の酸素化物からオレフィン及び/又は芳香族化合物への変換の反応、又はエポキシ化反応における触媒及び/又は触媒担体として、好ましくは、オレフィンのエポキシ化の反応、より好ましくは、C2-C5アルケンのエポキシ化の反応、より好ましくは、C2-C4アルケンのエポキシ化反応、C2又はC3アルケンのエポキシ化の反応、より好ましくは、C3アルケンのエポキシ化反応における触媒及び/又は触媒担体として使用される。本発明によると、特に好ましくは、本発明の成形物は、プロピレンからプロピレンオキシドへの変換用の触媒として使用される。
【0057】
本発明は、以下の実施形態を含み、これらは、ここで定義されるそれぞれの相互依存性によって示されるように、特定の実施形態の組み合わせを含む。
【0058】
1.(I)ゼオライト系材料を供給する工程と
(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と
(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と
(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と
(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と
(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と
を含む成形物の製造方法であって、
工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに1?15質量%の範囲の水分吸着を示し、
好ましくは、水分吸着が、2?14質量%、より好ましくは、2.5?11質量%、より好ましくは3?10質量%、より好ましくは、4?9質量%、より好ましくは、5?8.7質量%、より好ましくは、7?8.4質量%、及びより好ましくは、7.5?8.2質量%の範囲であることを特徴とする製造方法。
【0059】
2.前記1種以上の結合剤が無機結合剤からなる群から選択され、
前記1種以上の結合剤が好ましくは、1種以上の金属オキシド源、及び/又はメタロイドオキシド源、
より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合オキシドからなる群から選択される1種以上の金属オキシド源、及び/又はメタロイドオキシド源、
より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合オキシド、シリカ-チタニア混合オキシド、シリカ-ジルコニア混合オキシド、シリカ-ランタナ混合オキシド、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、アルミナ-チタニア混合オキシド、アルミナ-ジルコニア混合オキシド、アルミナ-ランタナ混合オキシド、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、チタニア-ジルコニア混合オキシド、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合オキシドからなる群から選択される1種以上の金属オキシド源、及び/又はメタロイドオキシド源、
より好ましくは、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合オキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の金属オキシド源、及び/又はメタロイドオキシド源を含み、
より好ましくは、1種以上の結合剤が、1種以上のシリカ源を含み、
より好ましくは、結合剤は、1種以上のシリカ源からなり、
1種以上のシリカ源は、好ましくは、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、シリカ-アルミナ、コロイド状シリカ-アルミナ、及びそれらの2種以上の混合物、
より好ましくは、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、
より好ましくは、1種以上の結合剤は、フュームドシリカ、及び/又はコロイド状シリカ、より好ましくは、フュームドシリカ又はコロイド状シリカからなることを特徴とする実施形態1に記載の製造方法。
【0060】
3.工程(II)で得られる混合物が、0.1?0.6、より好ましくは、0.15?0.5、及びより好ましくは、0.2?0.45の範囲の、1種以上の結合剤の前記ゼオライト系材料に対する質量比を示すことを特徴とする実施形態1又は2に記載の製造方法。
【0061】
4.工程(II)は、更に、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を溶媒系と混合する工程を含み、
前記溶媒系は、1種以上の溶媒を含み、
好ましくは、前記溶媒系は、1種以上の親水性の溶媒を含み、前記溶媒系は、好ましくは、極性溶媒からなる群から選択され、より好ましくは、極性プロトン性溶媒からなる群から選択され、
より好ましくは、前記溶媒系は、水、アルコール、カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、水、C1-C5アルコール、C1-C5カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、水、C1-C4アルコール、C1-C4カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、水、C1-C3アルコール、C1-C3カルボン酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ギ酸、酢酸、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の極性プロトン性溶媒を含み、
より好ましくは、前記溶媒系は水を含み、更により好ましくは、前記溶媒系は水を含むことを特徴とする実施形態1?3のいずれか1実施形態に記載の製造方法。
【0062】
5.工程(II)で得られる混合物が、0.7?1.7、より好ましくは0.8?1.6、より好ましくは0.9?1.5、及びより好ましくは、1.0?1.4の範囲の、前記溶媒系の前記ゼオライト系材料に対する質量比(溶媒系:ゼオライト系)を示すことを特徴とする実施形態4に記載の製造方法。
【0063】
6.工程(II)は更に、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を、1種以上の造孔剤と混合する工程を含み、
前記1種以上の造孔剤が、ポリマー、カーボハイドレート、グラファイト、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ポリマービニル化合物、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース、及びセルロース誘導体、糖、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ポリスチレン、C2-C3ポリアルキレンオキシド、セルロース誘導体、糖、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、C1-C2ヒドロキシアルキル化、及び/又はC1-C2アルキル化セルロース誘導体、糖、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、より好ましくは、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、1種以上の造孔剤は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の造孔剤からなり、
より好ましくは、1種以上の造孔剤は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなることを特徴とする実施形態1?5のいずれか1実施形態に記載の製造方法。
【0064】
7.工程(II)で得られる混合物が、0.1?0.7、より好ましくは、0.15?0.6、より好ましくは0.2?0.5、より好ましくは0.25?0.45、より好ましくは、0.3?0.4の範囲の、1種以上の造孔剤のゼオライト系材料に対する質量比(造孔剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする実施形態6に記載の製造方法。
【0065】
8.工程(II)で得られる混合物が、(0.7?1.7):(0.4?1):1、好ましくは、(0.8?1.6):(0.5?0.9):1、より好ましくは、(0.9?1.5):(0.55?0.85):1、より好ましくは、(1.0?1.4):(0.6?0.8):1、より好ましくは(1.1?1.3):(0.65?0.75):1の範囲の、前記溶媒系:1種以上の結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料(前記溶媒系:1種以上の結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料)の質量比を示すことを特徴とする実施形態6に記載の製造方法。
【0066】
9.工程(V)で得られる乾燥した成形物のか焼工程が、350?850℃、好ましくは400?700℃、より好ましくは450?650℃、より好ましくは475?600℃の範囲の温度で行われることを特徴とする実施形態1?8のいずれか1実施形態に記載の製造方法。
【0067】
10.工程(VI)で得られるか焼した成形物を、水熱処理する工程(VII)を含み、
好ましくは、前記水熱処理を、自生圧力下で行い、
より好ましくは、前記水熱処理を、80?200℃、好ましくは、90?180℃、より好ましくは、100?170℃、より好ましくは、110?160℃、より好ましくは、120?150℃の範囲の温度で行うことを特徴とする実施形態1?9のいずれか1実施形態に記載の製造方法。
【0068】
11.前記水熱処理を、水含有溶媒系及び/又は水溶液で行い、
好ましくは、前記水熱処理を、蒸留水で行うことを特徴とする実施形態10に記載の製造方法。
【0069】
12.前記水熱処理を、1?48時間、好ましくは、2?36時間、より好ましくは、4?24時間、より好ましくは、5?12時間、より好ましくは、2?9時間の範囲の持続時間の間行うことを特徴とする実施形態10又は11に記載の製造方法。
【0070】
13.工程(I)で得られる前記ゼオライト系材料は、1種以上のゼオライトを含み、
前記1種以上のゼオライトは、好ましくは、AEI、BEA、CHA、CDO、DDR、EMT、ERI、EUO、FAU、FER、HEU、LEV、MAZ、MEI、MEL、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MTN、MTT、MTW、MWW、NON、OFF、RRO、TON、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、BEA、CHA、CDO、FAU、FER、HEU、LEV、MEL、MFI、MOR、MWW、RRO、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、LEV、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有し、
より好ましくは、1種以上のゼオライトは、MFI型骨格構造を有し、
前記ゼオライト系材料は、好ましくは、ZSM-5、[As-Si-O]-MFI、[Fe-Si-O]-MFI、[Ga-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、ボラライトC、エンシライト、FZ-1、LZ-105、単斜晶系のH-ZSM-5、ムティーナ沸石、NU-4、NU-5、シリカライト、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されるMFI型骨格構造の1種以上のゼオライトを含み、
より好ましくは、前記ゼオライト系材料は、シリカライト及び/又はTS-1を含み、
より好ましくは、前記ゼオライト材料は、TS-1からなることを特徴とする実施形態1?12のいずれか1実施形態に記載の製造方法。
【0071】
14.実施形態1?13のいずれか1実施形態に記載の製造方法によって得られることを特徴とする成形物。
【0072】
15.相対湿度85%に晒されるときに、1?15質量%の範囲の水分吸着を示すゼオライト系材料を含み、
好ましくは、前記水分吸着が2?14質量%、より好ましくは、2.5?11質量%、より好ましくは、3?10質量%、より好ましくは、4?9質量%、より好ましくは、5?8.7質量%、より好ましくは、7?8.4質量%、より好ましくは、7.5?8.2質量%の範囲であることを特徴とする、好ましくは実施形態1?13のいずれか1実施形態に記載の製造方法によって得られ、及び/又は得られた成形物。
【0073】
16.前記ゼオライト系材料が、1種以上のゼオライトを含み、
前記1種以上のゼオライトが、AEI、BEA、CHA、CDO、DDR、EMT、ERI、EUO、FAU、FER、HEU、LEV、MAZ、MEI、MEL、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MTN、MTT、MTW、MWW、NON、OFF、RRO、TON、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、BEA、CHA、CDO、FAU、FER、HEU、LEV、MEL、MFI、MOR、MWW、RRO、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、LEV、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から、より好ましくは、MEL、MFI、MWW、及びそれらの2種以上を組み合わせたものからなる群から選択される骨格構造を有し、
より好ましくは、前記1種以上のゼオライトは、MFI型骨格構造を有し、
前記ゼオライト系材料は、好ましくは、ZSM-5、[As-Si-O]-MFI、[Fe-Si-O]-MFI、[Ga-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、ボアライトC、エンシライト、FZ-1、LZ-105、単斜晶系のH-ZSM-5、ムティーナ沸石、NU-4、NU-5、シリカライト、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されるMFI型骨格構造の1種以上のゼオライトを含み、
より好ましくは、前記ゼオライト系材料が、シリカライト及び/又はTS-1を含み、
より好ましくは、前記ゼオライト系材料が、TS-1からなることを特徴とする実施形態15に記載の成形物。
【0074】
17.前記ゼオライト系材料がYO_(2)、及び任意にX_(2)O_(3)を含むMFI型骨格構造有し、
Yは、4価の元素であり、Xは3価の元素であり、前記材料は、少なくとも以下のリフレクション:
【表3】

を含むX線回折パターンを有し、
100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関することを特徴とする実施形態15に記載の成形物。
【0075】
18.前記ゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRは、
-110.4?-114.0ppm、好ましくは、-110.8?-113.4ppm、更により好ましくは、-111.2?-112.8ppmの範囲の第1ピーク(P’’1)、及び
-100.2?-104.2ppm、好ましくは、-100.8?-103.6ppm、更により好ましくは、-101.4?-103.0ppmの範囲の第2のピーク(P’’2)
を含むことを特徴とする実施形態17に記載の成形物。
【0076】
19.デコンボリューションされた(deconvoluted)^(29)Si MAS NMRスペクトルは、-113.2?-115.2ppm、より好ましくは、-113.5?-114.9ppm、更により好ましくは、-113.8?-114.7ppmの範囲に含まれる1種の追加的なピークを含むことを特徴とする実施形態18に記載の成形物。
【0077】
20.前記MFI型骨格構造におけるY原子の少なくとも一部及び/又はX原子の少なくとも一部が、1種以上の元素によって同形置換され、
前記1種以上の元素が、好ましくは、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、Cu、Zn、Li、Be、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、前記1種以上の元素が、B、Fe、Ti、Sn、Zr、Cu、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
更により好ましくは、前記1種以上の元素が、Ti及び/又はBであり、好ましくはTiであることを特徴とする実施形態17?19のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0078】
21.YO_(2)の前記1種以上の元素に対するモル比が、5?100、好ましくは、10?80、より好ましくは20?70、より好ましくは、25?65、より好ましくは、30?60、より好ましくは、35?55、更により好ましくは、40?50の範囲であることを特徴とする実施形態17?20のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0079】
22.前記ゼオライト系材料のMFI型骨格構造がX_(2)O_(3)を含まないことを特徴とする実施形態17?21のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0080】
23.YがSi、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Yは、好ましくはSiであることを特徴とする実施形態17?22のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0081】
24.前記ゼオライト系材料は、イオン性非骨格元素として、1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含み、
前記1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素は、好ましくは、H^(+)、NH_(4)^(+)、Mg、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、H^(+)、NH_(4)^(+)、Mg、Sr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、更に好ましくは、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする実施形態15?23のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0082】
25.前記成形物が更に1種以上の結合剤を含み、
前記1種以上の結合剤が、好ましくは無機結合剤からなる群から選択され、
前記1種以上の結合剤が、好ましくは、1種以上の金属オキシド源及び/又はメタロイドオキシド源を含み、
より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合オキシドからなる群から、
より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合オキシド、シリカ-チタニア混合オキシド、シリカ-ジルコニア混合オキシド、シリカ-ランタナ混合オキシド、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、アルミナ-チタニア-混合オキシド、アルミナ-ジルコニア混合オキシド、アルミナ-ランタナ混合オキシド、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合オキシド、チタニア-ジルコニア混合オキシド、及びそれらの2種以上の混合物及び/又は混合オキシドからなる群から、
より好ましくは、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合オキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、1種以上の金属オキシド源及び/又はメタロイドオキシド源を含み、
より好ましくは、1種以上の結合剤が、1種以上のシリカ源を含み、
より好ましくは、前記結合剤は、1種以上のシリカ源からなり、
前記1種以上のシリカ源は、好ましくは、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、シリカ-アルミナ、コロイド状シリカ-アルミナ、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、
より好ましくは、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、
より好ましくは、前記1種以上の結合剤は、フュームドシリカ、及び/又はコロイド状シリカ、より好ましくはフュームドシリカ又はコロイド状シリカからなることを特徴とする実施形態15?24のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0083】
26.DIN66131に準じて測定される、成形物中に含まれる前記ゼオライト系材料のBET表面積が、50?700m^(2)/g、好ましくは、100?650m^(2)/g、より好ましくは、200?600m^(2)/g、より好ましくは、300?550m^(2)/g、より好ましくは350?500m^(2)/g、より好ましくは、390?470m^(2)/g、より好ましくは420?440m^(2)/gの範囲であることを特徴とする実施形態15?25のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0084】
27.DIN66131に準じて測定される前記成形物の比表面積が、50?700m^(2)/g、好ましくは100?500m^(2)/g、より好ましくは150?475m^(2)/g、より好ましくは200?450m^(2)/g、より好ましくは250?425m^(2)/g、より好ましくは、300?400m^(2)/g、及びより好ましくは325?375m^(2)/gの範囲であることを特徴とする実施形態15?26のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0085】
28.DIN66133に準じて測定される前記成形物の気孔容積が、0.1?2.5ml/g、好ましくは0.3?2ml/g、より好ましくは0.5?1.7ml/g、より好ましくは0.7?1.5ml/g、より好ましくは0.9?1.3ml/g、及びより好ましくは0.9?1.1ml/gの範囲であることを特徴とする実施形態15?27のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0086】
29.1?15N、好ましくは1?12N、より好ましくは、2?9N、より好ましくは2?7N、より好ましくは3?6N、より好ましくは、3?5N、及びより好ましくは3?4Nの機械的強度を有することを特徴とする実施形態15?28のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0087】
30.前記成形物が、0.3?5.0±0.2、好ましくは、0.5?4.5±0.2、より好ましくは0.7?4.0±0.2、より好ましくは0.9?3.5±0.2、より好ましくは、1.1?2.5±0.2、より好ましくは、1.3?2.2±0.2、より好ましくは1.4?2.1±0.2、及びより好ましくは、1.5?2.0±0.2の範囲の水に対する屈曲度を有することを特徴とする実施形態15?29のいずれか1実施形態に記載の成形物。
【0088】
31.好ましくは前記成形物が、触媒及び/又は触媒担体として、
より好ましくは、C-C結合構造を含む反応及び/又は変換における、触媒及び/又は触媒担体として、
好ましくは、異性化反応、アンモ酸化反応、ハイドロクラッキング反応、アルキル化反応、アシル化反応、アルカンからオレフィンへの変換についての反応、又は1種以上の酸素化物からオレフィン及び/又は芳香族化合物への変換についての反応、又はエポキシ化反応における、触媒及び/又は触媒担体として、
好ましくは、オレフィンのエポキシ化のついての反応、より好ましくは、C2-C5アルケンのエポキシ化についての反応、より好ましくは、C2-C4アルケンのエポキシ化についての反応、C2又はC3アルケンのエポキシ化についての反応、より好ましくは、C3アルケンのエポキシ化についての反応における、触媒及び/又は触媒担体として、
より好ましくは、プロピレンのプロピレンオキシドへの変換についての触媒として使用されることを特徴とする、触媒及び/又は触媒担体としての、又はイオン交換のための、実施形態15?34のいずれか1実施形態に記載の成形物の使用方法。
【実施例】
【0089】
水分吸着/脱着等温線
実施例部分の例の水分吸着特性の計算を、ステップ等温線プログラムに従って、TAインストルメンツ社製のVTI SA装置で行った。その実験は、その装置内部の微量天秤パンの上に置かれている試料材料に対して行った工程又は一連の工程からなる。その測定を開始する前に、その試料を100℃に加熱し(加熱勾配5℃/分)、N_(2)フロー下で6時間保持することによって、試料の残留水分を除去した。乾燥プログラムの後、セル(cell)中の温度を25℃まで低下させ、測定中は等温に保った。微量天秤を調整し、乾燥した試料の質量を測定した(最大質量偏差0.01質量%)。試料による水の摂取量を、乾燥した試料の質量を超える質量の増加分として測定した。最初に、試料が晒される相対湿度(RH)(セルの内部の大気中の水分、質量%として表わされる)を増加させ、平衡状態における試料の水分摂取量を測定することによって、吸着曲線を測定した。RHを、5?85質量%の間で、10質量%刻みで増加させ、それぞれの段階で、システムは、平衡状態に到達し、質量の増加量を記録するまで、RHを制御し、試料の質量を監視した。試料による合計吸着水分量を、試料が相対湿度85質量%に晒された後に測定した。脱着測定時に、RHを、10%質量刻みで85質量%から5質量%まで減少させ、試料の質量における変化(水分摂取)を監視し、記録した。
【0090】
機械的強度の測定
成形物についての試験を、Zwick社製の装置で行った。その装置は、固定ターンテーブル、及び自由移動する垂直プランジャを有し、自由移動する垂直プランジャは、押出成形物を固定ターンテーブルに対して押す(下降速度 10mm/分)。自由移動する垂直プランジャ(押出成形物に対して直角である10mmの接触幅)は、力を記録するために圧力変換器に結合されている。装置は、一つの値を記録して全ての結果を計算する、コンピュータによって制御される。
【0091】
直径1.5mmの成形物に、その押出成形物が破損するまで、プランジャ(直径3mm)によって大きな力で圧力をかけた。破損するために必要な力を、破損抵抗として記録した。
【0092】
代表的な試料から25個の押出成形物を採取し、完全性及び無損傷について調べた。使用した押出成形物の最小の長さは3mmであった。欠陥のない真っ直ぐな押出成形物のみを使用した。
【0093】

【0094】
参考例1?4
アリルトリプロピルアンモニウムテンプレートを使用して、TS-1ゼオライト試料を合成するために、以下の手順を使用した:丸底フラスコに、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)(500g)を、テトラエチルオルトチタナート(TEOTi)(15g)と共に加えた。その後、20質量%のアリルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド(ATPAOH)5200gを、Si及びTi源が含まれているフラスコに、攪拌しながら加えた。全ての成分を混合した後に、黄色の濁った溶液を得た。混合物を、シリカ及びチタン源の加水分解が完了するまで、1時間攪拌した状態で保持し、混合物の温度を54℃で一定に保持した。TEOS及びTEOTiの加水分解から得られるエタノールを、溶液を連続的に100rpmで攪拌しながら、95℃で2時間、その合成混合物から蒸留することによって分離した。
【0095】
蒸留後、(約530g)の蒸留物に600gの蒸留水を加え、その溶液を、室温で、更に一時間攪拌した。最後に、その懸濁液を、メカニカルスターラを備える、2.5リットルのステンレス鋼のオートクレーブに移した。そのオートクレーブを175℃に加熱し、連続的に攪拌した状態(200rpm)で16時間保持した。
【0096】
16時間後、オートクレーブを室温まで冷却し、1:1の体積比で懸濁液に蒸留水を加えた(結果として得られる溶液のpHは約12であった)。その後、懸濁液をブフナーろ過器でろ過し、固体を水で数回洗浄した。白色の固体を120℃で4時間乾燥し、以下のか焼プログラム:60分かけて120℃まで加熱し、120℃で240分加熱し、370分かけて120℃から490℃まで加熱し、490℃で300分加熱する、を使用して、空気中で490℃で5時間か焼した。
【0097】
この手順を、N-(2-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム:N-(1-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウムのモル比が、それぞれ95:5、92:8、及び89.4:10.6である、3つの異なる種類のアリル-トリプロピルアンモニウムヒドロキシド溶液を使用して4回行った。この方法を使用した参考例1?4の合成の結果を、表1に示す。その結果は、(Ti及びSiについての)元素分析による試料の特性評価、DIN66131に準じて測定されたBET表面積、及び水分吸着特性を含む。
【0098】
参考例5
出発材料:8889kg テトラエトキシシラン(TEOS)(Wacker製、TES-28(R))
7300kg ATPAOH(アリル:プロペニルの異性体比=88:12)(水中40質量%、Sachen製、USA)
254kg テトラエトキシチタネート(TEOT)(Du Pont社製、Tyzor ET(R))
16000kg 水
TEOS(4000kg)を室温で、攪拌タンク反応器内に入れ、攪拌(750rpm)を開始した。254kgのTEOTを、攪拌した状態でその反応器に充填し、その後、4889kgのTEOSを加えた。その後、7300kgのATPAOHを加えた。攪拌を60分間連続して行った。加水分解によって放出されたエタノールを、底部の温度が86℃の状態で、蒸留することによって分離した。その後、16000kgの蒸留水を第1の容器の中に加え、蒸留物の量に相当する量の水を更に加えた。得られた混合物を1時間攪拌した。結晶化を自生圧力下で、5時間以内で175℃で行った。得られたチタンシリケート-1結晶を分離し、乾燥し、2時間の滞留時間を使用して、空気中で、550℃の温度で回転炉内でか焼した。(Ti及びSiについての)元素分析、DIN66131に準じて測定されたBET表面積、及び水分吸着能力によって、参考例5の試料の特性評価を得た。
【0099】
比較例1
比較例として、例えば、DE19939416A1に記載されるようなテトラプロピルアンモニウムテンプレートによる合成から得られるTS-1ゼオライトの対応する特性評価を、表1に示す。特に、注目したいところは、標準のTS-1ゼオライトの水分吸着能力は、それぞれ、参考例1?4において、ATPAOHを使用して得られるTS-1ゼオライトについての水分吸着能力よりも大きいことである。
【0100】
【表4】

【0101】
例1
参考例5からの100gのTS-1を、3.8gのメチルセルロース(Walocel(R))と共に5分間混練した。その後、99.5gのポリスチレン分散液(水中で33.5質量%)を、混合物を更に混練した状態で、連続的に加えた。10分後、更に混練しながら、82.5gのLudox(R)AS40(水中のシリカ、40質量%)を連続的方法で加えた。その後、結果として得られる混合物を、更に10分間混合し、その後、1.3gのポリエチレンオキシドを加えた。更に25分間混練した後、30mlの蒸留水を加えた。その後、混合物を70?80barの圧力下で、直径1.9mmのストランド(strands、縄、ひも)状に押出成形した。その後、120℃で4時間乾燥し、最終的に、500℃で5時間か焼して、122.5gの押出成形されたストランドを得た。
【0102】
例2
参考例4からの100gのTS-1、4gのメチルセルロース(Walocel(R))、及び9.3gのAerosil(R)200を共に混合し、5分間混練した。その後、100.7gのポリスチレン分散液(水中33.1質量%、平均粒径47.3nm、pH=9.3)を、混合物を更に混練した状態で、連続的に加えた。10分後、1.33gのポリエチレンオキシドを加えた。更に10分後、70gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)を連続的方法で加えた。更に混練した後、25gの蒸留水を加えた。このとき、10分後に15mlの蒸留水を加え、更に5分後に、残りの10mlの蒸留水を加えた。ここで、混練工程の合計の持続時間が45分となるように行った。その後、混合物を100barの圧力下で、直径1.9mmのストランド状に押出成形した。その後、それを120℃で4時間乾燥し、最終的に、以下のか焼プログラム:60分掛けて120℃に加熱し、120℃で240分加熱し、370分掛けて120℃から490℃まで加熱し、490℃で300分加熱する、を使用して490℃で5時間か焼して122.7gの押出成形されたストランドを得た。
【0103】
例3
参考例5からの105.3gのTS-1、及び4gのメチルセルロース(Walocel(R))を共に混合し、5分間混練した。その後、100.7gのポリスチレン分散液(水中で33.1質量%、平均粒径47.3nm、pH=9.3)を、混合物を更に混練している状態で連続的に加えた。10分後、1.33gのポリエチレンオキシドを加えた。更に10分後、70gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)を連続的方法で加えた。更に混練した後、40gの蒸留水を加えた。このとき、10mlの蒸留水を10分後に加え、更に5分後に10mlの蒸留水を加え、更に5分後に10mlの蒸留水を加え、最後に、更に5分後に10mlの蒸留水を加えた。このとき、混練工程の合計持続時間が55分となるように行った。その後、混合物を120barの圧力下で、直径1.9mmのストランド状に押出成形した。その後、それを120℃で4時間乾燥し、以下のか焼プログラム:60分掛けて120℃まで加熱し、120℃で240分加熱し、370分掛けて120℃から490℃まで加熱し、490℃で300分加熱する、を使用して、最終的に490℃で5時間か焼して押出成形されたストランドを得た。
【0104】
例4
参考例5からの158gのTS-1、6gのメチルセルロース(Walocel(R))、及び50gの乾燥ポリスチレン粉末を共に混合し、10分間混練した。その後、105gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)を連続的な方法で加えた。5分後、2gのポリエチレンオキシドを加えた。更に混練した後、140gの蒸留水を加えた。このとき、30mlの蒸留水を5分後に加え、更に5分後に20mlの蒸留水を加え、更に5分後に10mlの蒸留水を加え、更に5分後に10mlの蒸留水を加え、残りの70mlの蒸留水を、混練しながら30分掛けて連続的に加えた。ここで、混練工程の合計持続時間が65分間となるように行った。その後、混合物を、110barの圧力下で、直径1.5mmのストランド状に押出成形した。その後、それを120℃で4時間乾燥し、以下のか焼プログラム:60分掛けて120℃に加熱し、120℃で240分加熱し、370分掛けて120℃から490℃まで加熱し、490℃で300分加熱する、を使用して、最終的に490℃で5時間か焼することで押出成形されたストランドを得た。
【0105】
例5
参考例5からの100gのTS-1、4gのメチルセルロース(Walocel(R))、及び5.6gのAerosil(R)200を共に混合し、5分間混練した。その後、100.7gのポリスチレン分散液(水中で33.1質量%、平均粒径47.3nm、pH=9.3)を、混合物を更に混練した状態で連続的に加えた。10分後、56gのLudox(R)AS40(水中のシリカ、40質量%)を連続的方法で加えた。更に10分後、1.33gのポリエチレンオキシドを加えた。更に混練した後、40gの蒸留水を加えた。このとき、10mlの蒸留水を5分後に加え、その後、残りの30mlの蒸留水を、それぞれ5分の間隔で10mlの蒸留水ごとに加えた。このとき、混練工程の合計持続時間が45分となるように行った。その後、混合物を150barの圧力下で、直径1.5mmのストランド状に押出成形した。その後、それを120℃で4時間乾燥し、以下のか焼プログラム:60分掛けて120℃に加熱し、120℃で240分加熱し、370分掛けて120℃から490℃まで加熱し、490℃で300分加熱する、を使用して最終的に490℃で5時間か焼して押出成形されたストランドを得た。
【0106】
例6
参考例4からの90gのTS-1、3.6gのメチルセルロース(Walocel(R))、及び30gのAerosil(R)200を共に混合した。ここで、最初に、上述の成分の3/4を共に混合し、5分間混練した。その後、残りの1/4を50mlの蒸留水と共に加えた。10分後、91gのポリスチレン分散液(水中で33.1質量%、平均粒径47.3nm、pH=9.3)を、混合物を更に混練した状態で連続的に加えた。10分後、1.2gのポリエチレンオキシドを加えた。更なる混練後、35gの蒸留水を加えた。このとき、10分後に30mlの蒸留水を加え、更に10分後に、残りの5mlの蒸留水を加えた。このとき、混練工程の合計持続時間が50分となるように行った。その後、混合物を、110barの圧力下で、直径1.5mmのストランド状に押出成形した。その後それを120℃で4時間乾燥し、以下のか焼プログラム:60分掛けて120℃に加熱し、120℃で240分加熱し、370分掛けて120℃から490℃まで加熱し、490℃で300分加熱する、を使用して最終的に490℃で5時間か焼して押出成形されたストランドを得た。
【0107】
例7
参考例3からの30gのTS-1を、1.14gのメチルセルロース(Walocel(R))と共に、5分間混練した。その後、27.7gのポリスチレン分散液(水中で33.5質量%)を、混合物を更に混練した状態で連続的に加えた。10分後、更に混練した状態で、0.4gのポリエチレンオキシドを連続的方法で加えた。その後、結果として得られる混合物を、5分間更に混合した。その後、16.1gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)を加えた。更に10分間混練した後、混合物を80barの圧力下で、直径1.7mmのストランド状に押出成形した。その後、それを120℃で4時間乾燥し、最終的に490℃で5時間か焼して、27gの押出成形されたストランドを得た。
【0108】
例8
参考例2からの100gのTS-1を、3.8gのメチルセルロース(Walocel(R))と共に、5分間混練した。その後、99.5gのポリスチレン分散液(水中で33.5質量%)を、混合物を更に混練した状態で、連続的に加えた。10分後、40gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)を、更に混練した状態で連続的方法で加えた。その後、結果として得られる混合物を、更に10分混練した。その後、1.3gのポリエチレンオキシドを加えた。5分間混練した後、42.5gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)を連続的方法で更に加えた。その後、10gの参考例2からのTS-1を更に加えた。更に15分間混練した後、混合物を87barの圧力下で、直径1.7mmのストランド状に押出成形した。その後、それを120℃で4時間乾燥し、最終的に500℃で5時間か焼して114gの押出成形されたストランドを得た。
【0109】
例9
参考例1からの100gのTS-1を、3.8gのメチルセルロース(Walocel(R))と共に、5分間混練した。その後、99.5gのポリスチレン分散液(水中で33.3質量%、pH=9.1)を、混合物を更に混練している状態で連続的に加えた。10分後、82.5gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)を、更に混練した状態で連続的方法で加えた。その後、結果として得られる混合物を、更に10分間混合した。その後、1.3gのポリエチレンオキシドを加えた。混合物が、押出成形をするには非常に湿っているので、ブロードライヤーを使用して、その混合物の水分含有量を減少させた。更に15分間混練した後、70?75barの圧力下で、直径1.7mmのストランド状に押出成形した。その後、120℃で4時間乾燥し、最終的に500℃で5時間か焼して113gの押出成形されたストランドを得た。
【0110】
比較例2
例1?9から得られる成形物と比較するために、比較試料を、比較例1からの100gのTS-1ゼオライトと、64.8gのLudox(R)AS40(水中のシリカ40質量%)、99.3gのポリスチレン分散液(水中で33.3質量%)、4.1gのメチルセルロース(Walocel(R))、1.7gのポリエチレンオキシド、及び31.7gの蒸留水との混合物から製造した。それを45分間混練した後、70?75barの圧力下で、直径1.7mmのストランド状に押出成形した。その後、それを120℃で4時間乾燥し、最終的に500℃で5時間か焼して、113gの押出成形されたストランドを得た。
【0111】
水熱処理
例1?9、及び比較例2の成形物を、それぞれ、触媒試験をする前に水処理工程をすることで、それらの圧縮抵抗を増加させた。このために、30gのそれぞれの成形物試料、及び600gの蒸留水をオートクレーブ内に入れ、その後145℃に加熱し、8時間その温度で保持した。その後、水熱処理した試料をろ過し、蒸留水で洗浄し、窒素ガス流でブロー乾燥した。その後、成形物試料を、1時間、120℃に加熱することによって乾燥し、16時間その温度で保持した。その後、乾燥した試料を5.5時間の間で、450℃に加熱することによってか焼し、2時間、その温度で保持した。
【0112】
【表5】

【0113】
従って、表2に示された結果から分かるように、驚くことに、本発明の方法に係る成形物を製造することが可能であることがわかった。詳しくは、水分吸着特性によって反映される、ゼオライト系材料の疎水性にもかかわらず、本発明に係る成形物は、特に、水分吸着特性に関して、実際に、比較例2に係る成形物によって示される特性と比較可能な特性を示す。なお、比較例2に係る成形物は、ゼオライト系材料として、従来のTS-1ゼオライトを含む。
【0114】
液体飽和成形物におけるPFG NMR自己拡散分析
最終的に、US2007/0099299A1の実施例の部分に記載されているように、屈曲度パラメータを、例1?3、5?9、及び比較例2について測定した。特に、この趣旨で、NMR分析を、ライプチヒ大学の物理及び地質学科において、FEGRIS(R)NT NMR分光計を用いて(Stallmach等の、NMR分光学の年次報告2007、61巻、51?131ページ参照)、25℃、1bar、^(1)Hの共鳴周波数125MHzで行った。PFG NMR自己拡散分析のために使用されるパルスプログラムは、US2007/0099299A1の図1bによるパルス磁場勾配を有する励起されたスピンエコーであった。それぞれの試料について、スピンエコー減衰曲線を、磁場勾配の強度(g_(max)=10T/m)を段階的に増加させることによって、最大で7種の異なる拡散時間(Δ/ms=7、10、12、25、50、75、100)で測定した。スピンエコー減衰曲線から、間隙水の自己拡散係数の時間依存性を、US2007/0099299A1の式(5)及び(6)によって測定した。
【0115】
屈曲度の計算:
US2007/0099299A1の式(7)を、このようにして測定された自己拡散係数D(Δ)から平均勾配シフト<z^(2)(Δ)>=1/3<r^(2)(Δ)>の時間依存性を計算するのに使用した。例えば、US2007/0099299A1の図2には、データが、上述の文献の代表的な触媒担体について、遊離水についての対応する結果と共に、両対数形でプロットされている。US2007/0099299A1の図2は、それぞれの場合において、拡散時間Δの関数として、<r^(2)(Δ)>の直線フィッティングから最も適切な直線を示す。
【0116】
US2007/0099299A1の式(7)によると、その傾きは、値

と正確に一致する。ここで、

は、拡散時間インターバルにわたって平均した自己拡散係数に相当する。US2007/0099299A1の式(3)によると、屈曲度は、こうして測定された遊離溶媒(D_(0))の平均自己拡散係数の、成形物における平均自己拡散係数の対応する値に対する比から得られる。本実施例の部分の例、及び比較例について測定された屈曲度の値を、表3に示す。
【0117】
【表6】

【0118】
表3に示された結果から分かるように、留意すべきことは、本発明の成形物中に含まれるゼオライト系材料は、比較例2に係る試料に含まれる一般的なTS-1よりもかなり疎水性が高いが、非常に驚くことに、本発明の試料、及び比較例2からの試料についての水に対して得られる屈曲度は、実際に類似している。従って、ゼオライト系成分の疎水性による本発明の試料の特異性は、意外にも水に対する屈曲度からは明らかではない。また、前述の本発明の成形物の前述の物理的特性について、驚くことに、本発明によって得られる成形物が、比較例2から得られる一般的な成形物に類似する物理的特性を示すことがわかった。
【0119】
本発明の試料と比較例2に係る成形物との相違は、実際、疎水性溶媒、例えば、ここで使用されるシクロオクタンに対する試料の屈曲度を測定するときにのみ明らかになる。より具体的には、表3で示される結果から分かるように、シクロオクタンを使用して得られる屈曲度の値は、比較例2に係る試料について得られる値よりも全て低い。これは、前者の試料において得られるゼオライト系材料についての高い疎水性を正確に反映しており、例1の試料は、最も高い疎水性を有するゼオライト系材料を含み、従って、全ての試料のシクロオクタンに対する最も低い屈曲度を示す。
【0120】
従って、前述のように、本発明の材料の特性は、非常に意外である。それは、一方で、それらの特徴の大部分は、実際に、特に、それが示す疎水性のレベルについて、一般的なゼオライト系材料を含む成形物と比較可能であるが、他方で、それらの物理的、及び化学的特性が、必然的な方法でそれらの高い疎水性を反映するのではなく、むしろ、いくつかの選択された特性についてのみ反映するという事実によるものである。従って、非常に驚くことに、本発明の材料が、それらのそれぞれの成分の特徴の合計に一致するように見えるのではなく、更に予想外の相乗効果によって効果的に観察された結果をもたらす。結果として、本発明の方法、及びその方法から得られる材料は、それらが示す従来からの特性と新しい特性の驚くべき組み合わせによって、それらの使用方法、及び用途、特に触媒の分野での用途に関する新たな展望を提供する。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、
(1) 1種以上のYO_(2)源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR^(1)R^(2)R^(3)R^(4)N^(+)を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、
(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、
を含み、Yが4価の元素であり、R^(1)、R^(2)及びR^(3)は、互いに独立してアルキルを表し、R^(4)はアルケニルを表す工程と、
(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と
(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と
(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と
(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と
(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と
を含む成形物の製造方法であって、
工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示し、
前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され、及び
工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、TS-1を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記1種以上の結合剤が、無機結合剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(II)で得られる混合物が、0.1?0.6の範囲の前記1種以上の結合剤の前記ゼオライト系材料に対する質量比(結合剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を溶媒系と混合する工程を更に含み、
前記溶媒系が、1種以上の溶媒を含むことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(II)で得られる混合物が、0.7?1.7の範囲の前記溶媒系の前記ゼオライト系材料に対する質量比(溶媒系:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を1種以上の造孔剤と混合する工程を更に含むことを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(II)で得られる混合物が、0.1?0.7の範囲の前記1種以上の造孔剤の前記ゼオライト系材料に対する質量比(造孔剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を溶媒系と混合する工程を更に含み、及び
工程(II)で得られる混合物が、(0.7?1.7):(0.4?1):1の範囲の前記溶媒系:前記1種以上の結合剤及び前記造孔剤:前記ゼオライト系材料の質量比(溶媒系:結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
工程(V)で得られる前記乾燥した成形物のか焼を350?850℃の範囲の温度で行うこと特徴とする請求項1?8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
工程(VI)で得られるか焼した成形物を水熱処理する工程(VII)を更に含むことを特徴とする請求項1?9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記水熱処理を、水含有溶媒系及び/又は水溶液を用いて行うことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記水熱処理を1?48時間の範囲の持続時間の間行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、1種以上のゼオライトを含むことを特徴とする請求項1?12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
相対湿度85%に晒されるときに4?9質量%の範囲の水分吸着を示すゼオライト系材料を含み、
前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され、及び
前記ゼオライト系材料は、TS-1を含み、
シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2?1.6±0.1であり、
前記屈曲度は、298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す、ことを特徴とする成形物。
【請求項15】削除
【請求項16】
前記ゼオライト系材料が、YO_(2)、及び任意にX_(2)O_(3)を含むMFI型骨格構造を有し、
Yが、Siであり、Xが3価の元素であり、前記ゼオライト系材料が、少なくとも以下のリフレクション:
【表1】

を含むX線回折パターンを有し、100%はX線粉末回折パターンにおける最大ピーク強度に関することを特徴とする請求項14に記載の成形物。
【請求項17】
前記ゼオライト系材料の^(29)Si MAS NMRが、
-110.4?-114.0ppmの範囲に第1のピーク(P’’1)、及び
-100.2?-104.2ppmの範囲に第2のピーク(P’’2)を含むことを特徴とする請求項16に記載の成形物。
【請求項18】
解析された^(29)Si MAS NMRスペクトルが、-113.2?-115.2ppmの範囲に含まれる1個の更なるピークを含むことを特徴とする請求項17に記載の成形物。
【請求項19】
前記MFI型骨格構造におけるY原子の少なくとも1部分が、Tiによって同形置換されることを特徴とする請求項16?18のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項20】
YO_(2)のTiに対するモル比が5?100の範囲であることを特徴とする請求項19に記載の成形物。
【請求項21】
前記ゼオライト系材料の前記MFI型骨格構造がX_(2)O_(3)を含まないことを特徴とする請求項16?20のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項22】削除
【請求項23】
前記ゼオライト系材料が、イオン性の非骨格元素として、1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含むことを特徴とする請求項14、及び16?21のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項24】
前記成形物が、更に1種以上の結合剤を含むことを特徴とする請求項14、16?21、及び23のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項25】
前記成形物中に含まれる前記ゼオライト系材料のDIN66131に準じて測定されるBET表面積が、50?700m^(2)/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16?21、23、及び24のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項26】
前記成形物のDIN66131に準じて測定される比表面積が、50?700m^(2)/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16?21、及び23?25のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項27】
前記成形物のDIN66133に準じて測定される細孔容積が、0.1?2.5ml/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16?21、及び23?26のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項28】
1?15Nの機械的強度を有することを特徴とする請求項14、16?21、及び23?27のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項29】
前記成形物が、0.3?5.0±0.2の範囲の水に対する屈曲度を有することを特徴とする請求項14、16?21、及び23?28のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項30】
触媒、触媒担体、吸着剤としての、又はイオン交換のための請求項14、16?21、及び23?29のいずれか1項に記載の成形物の使用方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-10-20 
出願番号 特願2016-526234(P2016-526234)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C01B)
P 1 651・ 852- YAA (C01B)
P 1 651・ 537- YAA (C01B)
P 1 651・ 113- YAA (C01B)
P 1 651・ 536- YAA (C01B)
P 1 651・ 851- YAA (C01B)
P 1 651・ 55- YAA (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 慶明手島 理  
特許庁審判長 菊地 則義
特許庁審判官 宮澤 尚之
後藤 政博
登録日 2019-06-14 
登録番号 特許第6538039号(P6538039)
権利者 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
発明の名称 疎水性のゼオライト系材料についての成形物及びその製造方法  
代理人 江藤 聡明  
代理人 江藤 聡明  

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