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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1370318
審判番号 不服2020-8060  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-10 
確定日 2021-02-02 
事件の表示 特願2018-174974「光学部材の製造方法及び製造装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 9日出願公開、特開2019- 70793、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2018-174974号(以下「本件出願」という。)は、平成30年9月19日(先の出願に基づく優先権主張 平成29年10月5日)の出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 元年 8月30日付け:拒絶理由通知書
令和 元年12月26日提出:意見書
令和 元年12月26日提出:手続補正書
令和 2年 2月21日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 2年 6月10日提出:審判請求書
令和 2年 6月10日提出:手続補正書


第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1?8に係る発明(令和2年6月10日に提出された手続補正書による補正前のもの)は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2007-155941号公報
引用文献2:特開2014-217941号公報
引用文献3:特開2009-291678号公報
引用文献4:国際公開第2014/104102号
引用文献5:特開2006-309158号公報
(当合議体注:引用文献1?2は主引例であり、引用文献3?5は周知技術を示す文献である。)


第3 本件発明
本件出願の請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明7」という。)は、令和2年6月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本件発明1及び本件発明6は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
光学フィルム、及び、前記光学フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層を有し、その端面に粉体が付着している積層体を準備する、工程と、
前記積層体の前記端面にドライアイス粒子を衝突させて前記端面から前記粉体を除去する工程と、を含み、
前記ドライアイス粒子の平均粒径は200?700μmであり、
前記端面に前記ドライアイス粒子を衝突させる工程における雰囲気の相対湿度が40?70%である、光学部材の製造方法。」

「 【請求項6】
光学フィルム、及び、前記光学フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層を有する積層体の端面を切断、切削、又は、研磨する端面加工部と、
前記積層体における前記端面加工部に加工された部分にドライアイス粒子を衝突させるドライアイス粒子供給部と、を備え、
前記ドライアイス粒子の平均粒径は200?700μmである、光学部材の製造装置。」

また、本件発明2?5は、本件発明1に対してさらに他の発明特定事項を付加したものであり、本件発明7は、本件発明6に対してさらに他の発明特定事項を付加したものである。


第4 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
1 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶理由に引用文献2として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2014-217941号公報(以下、同じく「引用文献2」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。

(1)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工方法及び切削加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、偏光板等の光学部材の端面を切削加工する切削加工方法として、特許文献1に記載の切削加工方法が知られている。特許文献1の切削加工方法は、回転する切削刃により形成される切削領域を、光学部材の端面に接触させて切削加工を行うに際し、その切削領域の中でも所定の仮想線から離れている部分を光学部材の端面に接触させている。この方法によれば、切削刃による押し下げ作用が緩和され、光学部材の端面を良好な状態に仕上げることができると記載されている。
・・・(省略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年では、液晶表示装置の薄型化に伴い、偏光板の薄型化も進んでいる。例えば、偏光子の両面に積層された保護層となるトリアセチルセルロース(TAC:TriAcetyl Cellulose)のうち一方のTACを除去した偏光板(以下、薄型偏光板と称することがある。)が開発されている。
【0005】
本発明者の知見によれば、薄型偏光板を含む光学部材の端面の切削加工において、回転刃の侵入方向を変えると、光学部材の端面におけるクラックの発生状況が変わってくる場合があった。その原因は明らかではないが、薄型偏光板においては、偏光子の一方面上に積層された保護層と他方面上に積層された保護層とで互いに硬さが異なる。そこで、光学部材に対して回転刃を上側から侵入させるか下側から侵入させるかによって、偏光子が十分に保護されたり保護されなかったりして光学部材の端面におけるクラックの発生状況が変わってくることを突き止め、本発明に至った。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、光学部材の端面を良好な状態に仕上げることができる切削加工方法及び切削加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
・・・(省略)・・・
【0010】
(4)本発明の第一の態様に係る切削加工装置は、光学部材の端面を切削する切削加工装置であって、回転軸と、前記光学部材の端面側に突出する切削刃と、を有し、前記回転軸を中心に前記切削刃を回転させ、回転する前記切削刃を前記光学部材の端面に接触させることによって前記光学部材の端面を切削する切削部材と、前記切削部材の側方を囲むように配置されたカバーと、前記カバーの内側部分を吸引することによって切削により生じた切屑を吸引する吸引装置と、を含むことを特徴とする。
【0011】
(5)上記(4)に記載の切削加工装置では、前記カバーの前記切削部材を露出させる開口部の縁部に、前記切屑を付着させる飛散防止ブラシが設けられていてもよい。
【0012】
(6)上記(5)に記載の切削加工装置では、前記切削部材を前記光学部材の端面に対して平行に相対移動させる移動装置をさらに含み、前記移動装置による前記切削部材と前記光学部材との相対移動により前記光学部材の端面に前記飛散防止ブラシを接触させることによって前記光学部材の端面に付着した前記切屑を剥ぎ取るよう構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学部材の端面を良好な状態に仕上げることができる切削加工方法及び切削加工装置を提供することができる。」

(2)「【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
尚、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る切削加工装置1を示す斜視図である。
【0018】
切削加工装置1は、光学部材の端面を切削加工するものである。本実施形態では、複数枚の光学部材の端面をまとめて切削加工するために、光学部材を複数枚重ね合わせた直方体状の積層体Wの端面Waを切削対象としている。例えば、積層体Wは、長尺状の単層シート又は積層シートの原反を矩形形状に打ち抜き加工することによって得られる。尚、切削対象は積層体Wに限らず、1枚の光学部材であってもよい。
【0019】
積層体Wを構成するシートは、ポリビニルアルコール系フィルム、トリアセチルセルロースフィルムに代表されるセルロース系フィルム、エチレン-酢酸ビニル系のフィルムなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。複数層の光学フィルムから構成される偏光板は、一枚の厚さが厚いため、多量のフィルムの端面加工が可能な本発明の切削加工装置1の切削対象として好ましい。
【0020】
図1に示すように、切削加工装置1は、第1加工装置2と、第2加工装置3と、移動装置4と、第1位置調整装置5と、第2位置調整装置6と、制御装置7と、を備えている。
【0021】
第1加工装置2と第2加工装置3とは、移動装置4を挟んで対向して配置されている。第1加工装置2及び第2加工装置3の各々における移動装置4の側には、積層体Wの端面Waを切削する切削部材20が配置されている。第1加工装置2及び第2加工装置3の双方の切削部材20を回転させることにより、積層体Wの4つの端面Waのうち2つの端面Waを同時に一括して切削加工することができる。
・・・(省略)・・・
【0039】
以下、積層体Wを構成する光学部材について図3及び図4を用いて説明する。
図3は、比較例の光学部材Fxの断面図である。図4は、本実施形態の光学部材Fの断面図である。尚、図示都合上、図3及び図4の各層のハッチングは略す。
・・・(省略)・・・
【0042】
図4に示すように、本実施形態の光学部材Fは、フィルム状の光学部材本体F1と、光学部材本体F1の一方の面(図4では上面)に設けられた位相差板F4と、位相差板F4の上面に設けられた粘着層F5と、粘着層F5を介して位相差板F4の上面に分離可能に積層されたセパレータF6と、光学部材本体F1の他方の面(図4では下面)に積層された表面保護フィルムF7とを有する。光学部材本体F1は偏光板として機能する。
【0043】
光学部材本体F1は、偏光子F2と、偏光子F2の一方の面(図4では下面)上に積層された保護フィルムF3と、を有する。例えば、保護フィルムF3は、TACである。
【0044】
ここで、保護フィルムF3は、特許請求の範囲に記載の第1の偏光子保護層に相当する。位相差板F4は、特許請求の範囲に記載の第2の偏光子保護層に相当する。
【0045】
尚、比較例における保護フィルムF3xと位相差板F4xとの貼り合わせ、及び本実施形態における保護フィルムF3と粘着層F5との間の各層の貼り合わせには、水溶液系、有機溶剤溶液系、無溶剤型など、適宜の接着剤により接着されていても良い。また、比較例における保護フィルムF3xと位相差板F4xとの貼り合わせ、及び本実施形態における偏光子F2と位相差板F4との貼り合わせには、感圧接着剤により接着されていても良い。
【0046】
本実施形態における偏光子F2と位相差板F4との貼り合わせを感圧接着剤により接着する場合には、本発明の第2の偏光子保護層を感圧接着剤とすることができる。感圧接着剤におけるヤング率は、一般に剛性率として求めることが可能である。変形に対する体積変化が伴わない場合、ヤング率Eと剛性率Gの間には以下の関係式(1)が成り立つ。
E = G×3 ・・・(1)
【0047】
本実施形態の光学部材本体F1は、比較例の光学部材本体F1xに対して、偏光子F2xの両面に積層された保護フィルムF3xのうち偏光子F2xの上面上に積層された保護フィルムF3xが除去された構成となっている。そのため、本実施形態の光学部材本体F1は、比較例の光学部材本体F1xよりも保護フィルムF3x枚分だけ厚みが薄くなっている。以下の説明において、本実施形態の光学部材本体F1を薄型偏光板と称することがある。
・・・(省略)・・・
【0110】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る第1加工装置202の構成について説明する。図15は、本実施形態に係る第1加工装置202の斜視図である。図16は、本実施形態に係る第1加工装置202の正面図である。図15及び図16において、第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。尚、第2加工装置も同様の構成を有するものとしてその詳細説明は省略する。
【0111】
図15及び図16に示すように、第1加工装置202は、切削部材20と、切削部材20の側方を囲むように配置されたカバー203と、カバー203の内側部分203sを吸引することによって切削により生じた切屑を吸引する吸引装置204と、カバー203の一部に設けられ切屑を付着させる飛散防止ブラシ205と、を備えている。
【0112】
カバー203には、切削部材20を露出させる開口部203hが形成されている。開口部203hは矩形である。
【0113】
飛散防止ブラシ205は、カバー203の開口部203hの4辺に沿って配置されている。尚、飛散防止ブラシ205の配置位置はこれに限らず、開口部の1辺から3辺に沿って配置されていてもよいし、開口部の各辺の一部に配置されていてもよい。すなわち、飛散防止ブラシは、カバーの開口部の縁部の少なくとも一部に配置されていればよい。
【0114】
飛散防止ブラシ205は、例えば馬のたてがみを用いる。尚、飛散防止ブラシはこれに限らず、種々のブラシを用いることができる。
【0115】
上述したように、移動装置4は、積層体Wを切削部材20に対して積層体Wの端面Waの長手方向と平行な方向Vに移動させる(図1参照)。本実施形態においては、移動装置4による切削部材20と積層体Wとの相対移動により積層体Wの端面Waに飛散防止ブラシ205を接触させることによって積層体Wの端面Waに付着した切屑を剥ぎ取るよう構成されている。」

(3)図1


(4)図4


(5)図15


(6)図16


2 引用発明
(1)引用装置発明
引用文献2の上記1の記載に基づけば、引用文献2の【0110】?【0115】には、第3実施形態に係る第1加工装置が記載されている。また、ここでは「第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。」(【0110】)とされているところ、第1実施形態については、【0020】及び【0021】に記載がある。また、第1加工装置が切削加工する対象である積層体Wを構成する光学部材については、【0042】?【0043】に記載がある。
そうしてみると、引用文献2には、「光学部材の端面を切削加工する切削加工装置」の発明として、次の発明(以下「引用装置発明」という。)が記載されていると認められる。

「 第1加工装置と、第2加工装置と、移動装置と、第1位置調整装置と、第2位置調整装置と、制御装置と、を備えている切削加工装置であって、
第1加工装置と第2加工装置とは、移動装置を挟んで対向して配置され、第1加工装置及び第2加工装置の各々における移動装置の側には、積層体の端面を切削する切削部材が配置され、第1加工装置及び第2加工装置の双方の切削部材を回転させることにより、積層体の4つの端面のうち2つの端面を同時に一括して切削加工することができ、
積層体は、フィルム状の光学部材本体と、光学部材本体の一方の面に設けられた位相差板と、位相差板の上面に設けられた粘着層と、粘着層を介して位相差板の上面に分離可能に積層されたセパレータと、光学部材本体の他方の面に積層された表面保護フィルムとを有し、光学部材本体は、偏光子と、偏光子の一方の面上に積層された保護フィルムと、を有するものであり、
第1加工装置と第2加工装置は、切削部材と、切削部材の側方を囲むように配置されたカバーと、カバーの内側部分を吸引することによって切削により生じた切屑を吸引する吸引装置と、カバーの一部に設けられ切屑を付着させる飛散防止ブラシと、を備え、
移動装置による切削部材と積層体との相対移動により積層体の端面に飛散防止ブラシを接触させることによって積層体の端面に付着した切屑を剥ぎ取るよう構成されている、
光学部材の端面を切削加工する切削加工装置。」

(2)引用方法発明
また、引用文献2には、次の発明も記載されている(以下「引用方法発明」という。)。
「 引用装置発明を用いて光学部材の端面を切削加工する、
光学部材の製造方法。」


第5 対比・判断
1 本件発明6
(1)対比
本件発明6と引用装置発明とを対比する。

ア 光学フィルム、粘着剤層、積層体
引用装置発明の「積層体」は、「フィルム状の光学部材本体と、光学部材本体の一方の面に設けられた位相差板と、位相差板の上面に設けられた粘着層と、粘着層を介して位相差板の上面に分離可能に積層されたセパレータと、光学部材本体の他方の面に積層された表面保護フィルムとを有し、光学部材本体は、偏光子と、偏光子の一方の面上に積層された保護フィルムと、を有するものであ」る。
上記構成からみて、引用装置発明の「フィルム状の光学部材本体」、「粘着層」及び「積層体」は、それぞれ、本件発明6の「光学フィルム」、「粘着剤層」及び「積層体」に相当する。
また、引用装置発明の「粘着層」と「フィルム状の光学部材本体」の位置関係からみて、引用装置発明の「粘着層」は、本件発明6の「粘着剤層」の「光学フィルムの一方の面に設けられた」との要件を満たす。同様に、引用装置発明の「積層体」は、本件発明6の「積層体」の「光学フィルム、及び、前記光学フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層を有する」との要件を満たす。

イ 端面加工部
引用装置発明の「第1加工装置」及び「第2加工装置」は、「移動装置を挟んで対向して配置され、第1加工装置及び第2加工装置の各々における移動装置の側には、積層体の端面を切削する切削部材が配置され、第1加工装置及び第2加工装置の双方の切削部材を回転させることにより、積層体の4つの端面のうち2つの端面を同時に一括して切削加工することができ」る。
上記構成からみて、引用装置発明の「第1加工装置」及び「第2加工装置」は、いずれも「フィルム状の光学部材本体」及び「フィルム状の光学部材本体」の一方の面に設けられた「粘着層」を有する「積層体」の「端面」を「切削加工する」ことに適した構成を具備するといえる。
そうしてみると、引用装置発明の「第1加工装置」及び「第2加工装置」は、いずれも本件発明6の「端面加工部」に相当する。また、引用装置発明の「第1加工装置」及び「第2加工装置」は、本件発明6の「端面加工部」の「光学フィルム、及び、前記光学フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層を有する積層体の端面を切断、切削、又は、研磨する」との要件を満たす。

ウ 光学部材の製造装置
上記アで述べた構成からみて、引用装置発明の「光学部材」は、その文言どおり、本件発明6の「光学部材」に相当する
また、上記ア及びイを総合すると、引用装置発明の「光学部材の端面を切削加工する切削加工装置」と本件発明6の「光学部材の製造装置」は、「端面加工部」「を備え」る「光学部材の製造装置」の点で一致する。

(2)一致点及び相違点
以上より、本件発明6と引用装置発明とは、
「 光学フィルム、及び、前記光学フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層を有する積層体の端面を切断、切削、又は、研磨する端面加工部、を備える、
光学部材の製造装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本件発明6が、「前記積層体における前記端面加工部に加工された部分にドライアイス粒子を衝突させるドライアイス粒子供給部」「を備え、前記ドライアイス粒子の平均粒径は200?700μmである」のに対して、引用装置発明は、そのような構成を具備していない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
引用文献2には、積層体における端面加工部に加工された部分にドライアイス粒子を衝突させることは、記載も示唆もない。そして、引用装置発明は、既に「移動装置による切削部材と積層体との相対移動により積層体の端面に飛散防止ブラシを接触させることによって積層体の端面に付着した切屑を剥ぎ取るよう構成されている」ので、積層体の端面に付着した切屑を除去する手段として、「記積層体における前記端面加工部に加工された部分にドライアイス粒子を衝突させるドライアイス粒子供給部」を設ける動機付けがあるとまではいえない。むしろ、このような「ドライアイス粒子供給部」を設けると切屑が飛散することも懸念され、引用装置発明の「飛散防止ブラシ」とは、目指す方向が異なるようにも感じられる。
また、原査定の拒絶理由に周知技術として示された、特開2009-291678号公報(以下「引用文献3」という。)の【0026】?【0032】、【0036】、【0038】、図3?5、国際公開第2014/104102号(以下「引用文献4」という。)の[0014]?[0018]、[0090]、[0091]、[0098]、図1?3、特開2006-309158号公報(以下「引用文献5」という。)の【0078】?【0110】、図1?3には、光学部材の製造装置において、フィルムにドライアイス粒子を衝突させて洗浄することが開示されている。しかしながら、引用文献3?5には、光学部材の製造装置において、積層体における端面加工部に加工された部分にドライアイス粒子を衝突させて端面の粉末を除去することが開示されているのではない。
さらに、引用装置発明において、積層体における端面加工部に加工された部分にドライアイス粒子を衝突させる手段を設ける動機付けがなく、光学部材の製造装置において、積層体における端面加工部に加工された部分にドライアイス粒子を衝突させて端面の粉末を除去することが周知技術であるともいえないので、衝突させるドライアイス粒子の平均粒径を200?700μmとすることも、当業者にとって設計事項であるとはいえない。
加えて、本願の明細書を参照すると、ドライアイスの平均粒径を200?700nmとすると、端面の粉体残りや端面の粘着剤層の欠けを防止できることが認められるところ、引用文献3?5には、ドライアイス粒子の平均粒径を200?700nmの範囲で最適化し、端面の粉体残りや端面の粘着剤層の欠けを防止することについては記載されていない(仮に「ドライアイス粒子供給部」を設けるとしても、当業者が200?700μmのドライアイス粒子を供給する「ドライアイス粒子供給部」を採用し、本願発明6の構成に到るとまではいえない。)。
そうしてみると、当業者であっても、引用装置発明及び引用文献3?5に記載された事項に基づいて上記相違点に係る本件発明6の構成とすることが、容易になし得たということはできない。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明6は、当業者であっても、引用装置発明及び引用文献3?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

2 本件発明1について
本件発明1と引用方法発明とを対比すると、少なくとも、本件発明6と同様の点で相違する。そうしてみると、本件発明1は、本件発明6と同様の理由により、当業者であっても、引用方法発明及び引用文献3?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

3 本件発明2?5について
本件発明2?4は、本件発明1の構成を全て具備するものであるから、本件発明2?4も、本件発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用方法発明及び引用文献3?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

4 本件発明7について
本件発明7は、本件発明6の構成を全て具備するものであるから、本件発明7も、本件発明6と同様の理由により、当業者であっても、引用装置発明及び引用文献3?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

5 引用文献1を主引例とした場合について
原査定の拒絶理由に引用文献1として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2007-155941号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)を主引例とした場合であっても、同様である。


第6 原査定について
上記第5で述べたように、本件出願の請求項1?7に係る発明は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1?5に基づいて、容易に発明をすることができたということができない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-01-15 
出願番号 特願2018-174974(P2018-174974)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉川 陽吾沖村 美由  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 井亀 諭
井口 猶二
発明の名称 光学部材の製造方法及び製造装置  
代理人 阿部 寛  
代理人 清水 義憲  
代理人 吉住 和之  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 三上 敬史  
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