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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1370321
審判番号 不服2018-15886  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-30 
確定日 2021-01-13 
事件の表示 特願2016-535267「位置安定的はんだ付け方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月12日国際公開、WO2015/031928、平成28年 9月29日国内公表、特表2016-530723〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年9月3日(パリ条約による優先権主張2013年9月3日、オーストリア)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 3月28日 :手続補正書の提出
平成29年 2月27日付け:拒絶理由通知
平成29年 5月30日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 9月 5日付け:拒絶理由通知
平成29年12月 7日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 4月 9日付け:拒絶理由(最後)通知
平成30年 7月13日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 7月24日付け:平成30年7月13日付けの手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定
平成30年11月30日 :審判請求書の提出
令和 1年12月18日付け:当審における拒絶理由通知
令和 2年 3月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 6月19日 :上申書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明は、令和2年3月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
少なくとも1つの電子部品(1)の少なくとも1つの部品コンタクト面(11)を支持基板(2)の少なくとも1つの対応する支持基板コンタクト面(12)に位置安定的にはんだ付けする方法であって、少なくとも1つの電子部品(1)は下面(6)及び上面(4)並びに該下面(6)と該上面(4)とを接続する少なくとも1つの側面(5a、5b、5c、5d)を有し、少なくとも1つの部品コンタクト面(11)は下面(6)に形成され、少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)は少なくとも部分的にはんだ材料(13)を有し、電子部品(1)は光電子部品である、方法において、
以下の工程a)?d):
a)支持基板(2)に少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)を設けること、但し、各接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の位置は、前記少なくとも1つの電子部品(1)が前記支持基板(2)上において正確に位置決めされるよう、予め定められている、
b)支持基板(2)に少なくとも1つの電子部品(1)を配置すること、但し、接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の位置は工程a)において、少なくとも1つの側面(5a、5b、5c、5d)と下面(6)とによって形成されるエッジ領域において少なくとも1つの電子部品(1)が少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)に実質的にコンタクトしかつ少なくとも1つの部品コンタクト面(11)が少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)と少なくとも部分的に重なり合うよう、予め定められる、
c)予め設定可能な期間tの間、接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の硬化プロセスの終了を待つこと、
d)少なくとも1つの部品コンタクト面(11)と少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)の間の電気的、機械的及び/又は熱的結合を形成するためにはんだ材料(13)を加熱すること
を含み、
少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)は熱硬化性接合材料から構成され、その熱硬化に必要な温度ははんだ材料(13)の融点より低く、
はんだ材料(13)は、その融解前に、支持基板コンタクト面(12)と電気的コンタクト状態にある電子部品(1)の位置が当該電気的コンタクト状態を破壊することなく変更可能であるよう、可塑的に変形可能である、
方法。」

第3 当審の拒絶理由の概要
当審において令和1年12月18日付けで通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。
本願の請求項1-14に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2-5に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開昭61-079293号公報
2.特開2013-105826号公報
3.特開平01-209792号公報
4.特願昭62-014768号(特開昭63-124772号)のマイクロフィルム
5.特開2003-258172号公報

(当審注:「4.特願昭62-014768号(特開昭63-124772号)のマイクロフィルム」は、「4.実願昭62-014768号(実開昭63-124772号)のマイクロフィルム」の誤りであった。この点について、請求人は、令和2年3月19日付けの意見書において、引用文献4の記載内容を実願昭62-014768号(実開昭63-124772号)のマイクロフィルムに基づいて認定しているから、誤りであったことを認識していると認められる。以下、引用文献4を実願昭62-014768号(実開昭63-124772号)のマイクロフィルムとする。)

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
(1)引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付したものである。以下同じ。)。
a 「1、発明の名称
電子部品の取付け方法」(第1頁左下欄第2-3行)

b 「2、特許請求の範囲
(1)電子部品の電極と回路基板の導体とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布し、かつチップ状電子部品を取付ける箇所には紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を塗布し、その上にチップ状電子部品を装着させたのち、この回路基板を加熱リフローしてチップ状電子部品の電極部と回路基板の導体部とをはんだ付けする方法で、前記電子部品をソルダーペーストの溶融点以下の温度で硬化する紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂でチップ状電子部品がソルダーペースト溶融時に位置ズレしないよう仮止めしたのち、ソルダーペーストの溶融温度まで加熱リフローし、その後自然空冷あるいは強制空冷して、はんだ付けする電子部品の取付け方法。」(第1頁左下欄第4-18行)

c 「発明の構成
本発明は、上記目的を達成するためソルダーペースト溶融温度以下で乾燥,硬化する接着剤でチップ部品と回路基板を仮止めして、接着剤層およびソルダーペースト層を下方または上下両方向から紫外線を照射し、次に上下両方向から遠赤外線を照射し、次に上下両方向から近赤外線を照射し、その後強制空冷してはんだ付けするチップ部品の取付け方法であって、はんだ付け電極部の大きさが不均一で、加熱リフロー時の熱容量が一定に保たれない場合でもチップ部品の位置づれ、部品端子の浮き上り、熱ダメージもなく、回路基板の下面に装着してある部品落下もなく、かつ上下両面を同時に加熱リフローすることができ、高精度で信頼性も高い連続大量生産のはんだ付けが行えるものである。」(第2頁右上欄第9行-左下欄第4行)

d 「実施例の説明
以下に本発明の第1実施例について説明する。まず第1図に示すように回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’の間に高粘度の接着剤、チップ部品の電極と回路基板1の導体とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストをディスペンサーまたはスクリーン印刷法によって塗布し、接着剤層4、ソルダーペースト層3を形成する。次に第2図に示すように接着剤層4とソルダーペースト層3上にチップ部品を装着する。次に第3図に示すように接着剤層4およびソルダーペースト層に紫外線を照射して、チップ部品5からはみだしている接着剤4の表面を硬化させ、次に遠赤外線を照射して接着剤4を硬化、ソルダーペースト4を予備加熱してソルダペースト4に含まれているフラックスを乾燥させ、その次に近赤外線あるいは可視光と近赤外線を照射して、ソルダーペーストを溶融し、その後自然空冷あるいは強制空冷し、第4図に示すように、回路基板1の導体回路2,2’にチップ部品5をリフロー法によってはんだ接合する。」(第2頁左下欄第5行-右下欄第5行)

e 「まず回路基板5に塗布された接着剤層4とソルダーペースト3により仮止めされたチップ部品5を上下両面に装着された回路基板1は矢印14の方向に連続的に搬送される。搬送スピード0.4?2.0m/min、このましくは0.6?1.2m/minがよい。搬送された回路基板5は紫外線ランプ9(以下UVランプと記す)このましくはオゾンレスのUVランプで、照射する紫外線は単位長さ当りの電力が80W/cm、ランプ電力1?10KWこのましくは1.5?4.0KWがよい。このUVランプ9を搬送コンベア8から40?200cmこのましくは60?120cmの位置から5?30secこのましくは8?12sec、回路基板1の下側からあるいは上下両方から照射し、次に上下両方から遠赤外線ヒーター(以下パネルヒーターと記す)10で回路基板1の基板表面温度を100?170℃このましくは140?160℃、30?120secこのましくは40?70sec維持させるように照射して、接着剤層4を乾燥,硬化させるとともに、ソルダーペーストのフラックス分をも乾燥させる。この時に用いるパネルヒーター10出力1?20KWこのましくは2?8KWがよい。」(第3頁左上欄第9行-右上欄第10行)

f 「その次に上下両方から近赤外線ランプ11(以下ハロゲンランプと記す)で回路基板1の基板表面温度を183?270℃このましくは190?240℃で、かつ基板表面温度が190℃以上を3?30secこのましくは5?10sec維持させるように照射して、ソルダーペーストを溶融させる、この時に用いるハロゲンランプ電力は0.5?10KWこのましくは1?4KWがよい。その次に冷却ファン12により回路基板1を強制空冷して第7図に示すようにチップ部品5と回路基板の導体2,2’とをはんだ接合することができる。」(第3頁右上欄第11行-左下欄第1行)

(2)上記記載から、引用文献1には電子部品の取付け方法に関して、次の技術的事項が記載されている。
・引用文献1記載の電子部品の取付け方法は、チップ部品5を回路基板1にはんだ接合する方法である(上記d)。
・第2図及び第3図より、チップ部品5は直方体状であることが見て取れる。
・電子部品の電極と回路基板の導体とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布するものであって(上記b)、回路基板の導体は、回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’であり、ソルダーペーストを塗布することによりソルダーペースト層3を形成している(上記d)。
・チップ状電子部品を取付ける箇所には紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を塗布したものであって(上記b)、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂はソルダーペースト溶融温度以下で乾燥、硬化する接着剤であり(上記c)、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂は、導体回路2、2’間に塗布され接着剤層4を形成している(上記d)。
・接着剤層4とソルダーペースト層3上にチップ部品5を装着している(上記d)。これは、チップ部品5と回路基板1を仮止めすることである(上記c)。
・接着剤層4およびソルダーペースト層3に紫外線を照射して、チップ部品5からはみだしている接着剤4の表面を硬化させている(上記d)。
・遠赤外線ヒーター10で回路基板1の基板表面温度140?160℃、40?70sec維持させるように照射して、接着剤層4を硬化させている(上記e)。
・近赤外線ランプ11で回路基板1の基板表面温度が190℃以上を5?10sec維持させるように照射して、ソルダーペーストを溶融させている(上記f)。
・冷却ファン12により回路基板1を強制空冷してチップ部品5と回路基板1の導体2、2’とをはんだ接合している(上記f)。
・引用文献1の方法は、チップ部品5の位置ずれがない(上記c)。

(3)上記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「直方体状のチップ部品5を回路基板1にはんだ接合する方法であって、
チップ部品5の電極と回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布してソルダーペースト層3を形成し、かつチップ部品5を取り付ける箇所である導体回路2、2’間にソルダーペースト溶融温度以下で乾燥、硬化する接着剤を塗布して接着剤層4を形成し、
次に接着剤層4とソルダーペースト層3上にチップ部品5を装着してチップ部品5と回路基板1を仮止めし、
次に接着剤層4およびソルダーペースト層3に紫外線を照射して、チップ部品5からはみだしている接着剤4の表面を硬化させ、
次に遠赤外線ヒーター10で回路基板1の基板表面温度140?160℃、40?70sec維持させるように照射して、接着剤層4を硬化させ、
その次に近赤外線ランプ11で回路基板1の基板表面温度が190℃以上を5?10sec維持させるように照射して、ソルダーペーストを溶融させ、
その次に冷却ファン12により回路基板1を強制空冷してチップ部品5と回路基板1の導体2、2’とをはんだ接合することにより、チップ部品5の位置ずれがないようにした、
方法。」

2 引用文献4の記載
(1)引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a 「その欠点を改良したものを第7図に示す。
図において、チップ部品4とプリント基板1間には紫外線硬化型の接着剤5を塗布し、チップ部品4を仮固定すると共に、クリーム半田は、チップ部品4とランド2間に塗布せず、チップ部品4の位置しないランド2の一部に塗布する。この状態を第7図(a)に示す。」(第3頁第5-11行)

b 「本考案の一実施例を第1図乃至第4図に基づいて説明する。
図中、第5図乃至第7図と同一部材は同一記号を記す。
図において、6aはランド6の一部をチップ部品4の本体と相対向する側に延設せしめた延長部である。
このような延長部6aを有するプリント基板1にチップ部品4を半田付けするには、第2図(a)に示すように、クリーム半田3の一部が少なくとも延長部上に塗布されるように塗布する。この場合、クリーム半田はチップ部品4の装着部には塗布しない。
次に、紫外線硬化型接着剤5を塗布する(第2図(b))。更に、その接着剤5上にチップ部品4を載置し、固定する。(第2図(c))。この状態において、リフロー半田し、チップ部品4をプリント基板1に半田付けする(第2図(d))。」(第4頁第15行-第5頁第12行)

c 第1図より、紫外線硬化型接着剤5を、プリント基板1上で、チップ部品4の下面と側面とによって形成されるエッジ領域の近傍に2箇所塗布していることが見て取れる。

(2)上記a-cより、引用文献4には、次の技術的事項が記載されている。
「チップ部品4とプリント基板1間に紫外線硬化型接着剤5を塗布してチップ部品4を仮固定するにあたり、紫外線硬化型接着剤5を、プリント基板1上で、チップ部品4の下面と側面とによって形成されるエッジ領域の近傍に2箇所塗布し、この状態においてリフロー半田を行うこと。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
1 引用発明の「チップ部品5」、「回路基板1」は、それぞれ本願発明の「少なくとも1つの電子部品(1)」、「支持基板(2)」に相当する。
但し、電子部品(1)について、本願発明は「光電子部品である」とさらに特定されるのに対し、引用発明ではその旨の特定はなされていない。

2 引用発明の「導体回路2、2’」及び「チップ部品5の電極」が、コンタクト面を備えることは明らかである。
したがって、引用発明の「導体回路2、2’」、「チップ部品5の電極」は、それぞれ本願発明の「少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)」、「少なくとも1つの部品コンタクト面(11)」に相当する構成を備えている。

3 引用発明は「チップ部品5の電極と回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布してソルダーペースト層3を形成し」、「チップ部品5と回路基板1の導体2、2’とをはんだ接合することにより、チップ部品5の位置ずれがないようにした」ものであるから、チップ部品5の電極を回路基板1の対応する導体回路2、2’に位置安定的にはんだ付けするものである。
したがって、引用発明の「チップ部品5の電極と回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布してソルダーペースト層3を形成し」、「チップ部品5と回路基板1の導体2、2’とをはんだ接合することにより、チップ部品5の位置ずれがないようにした、方法」は、本願発明の「少なくとも1つの電子部品(1)の少なくとも1つの部品コンタクト面(11)を支持基板(2)の少なくとも1つの対応する支持基板コンタクト面(12)に位置安定的にはんだ付けする方法」に相当する。

4 引用発明の「チップ部品5」は「直方体状」であるから、下面及び上面並びに該下面と該上面とを接続する少なくとも1つの側面を有することは明らかである。
したがって、引用発明の「チップ部品5」が「直方体状」であることは、本願発明1の「少なくとも1つの電子部品(1)は下面(6)及び上面(4)並びに該下面(6)と該上面(4)とを接続する少なくとも1つの側面(5a、5b、5c、5d)を有」することに相当する。
但し、少なくとも1つの部品コンタクト面(11)について、本願発明は「下面(6)に形成され」るのに対し、引用発明ではその旨の特定はなされていない。

5 ソルダーペーストがはんだ材料を含むことは技術常識であるから、引用発明の「ソルダーペースト層3」は、本願発明の「はんだ材料」に相当する構成を備えている。また、引用発明において、「チップ部品5の電極と回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布してソルダーペースト層3を形成」すると、導体回路2、2’上の少なくとも一部にソルダーペースト層3が形成されることになるから、導体回路2、2’は少なくとも部分的にはんだ材料を有するといえる。また、上記2のとおり、引用発明の「導体回路2、2’」は、本願発明の「支持基板コンタクト面(12)」に相当する構成を備えている。
したがって、引用発明の「チップ部品5の電極と回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布してソルダーペースト層3を形成」することは、本願発明の「少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)は少なくとも部分的にはんだ材料(13)を有」することに相当する。

6 引用発明の「接着剤層4」は、「チップ部品5を取り付ける箇所である導体回路2、2’間」に「接着剤を塗布して」「形成」されるものであるから、回路基板1に設けられた接合部であるといえる。そして、本願の「接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)」も接合部であるといえるので、引用発明と本願発明とは「接合部」を備えた点で一致する。
また、引用発明において、「接着剤」を塗布する位置が予め定められていることは明らかである。そうすると、引用発明は「着剤層4とソルダーペースト層3上にチップ部品5を装着してチップ部品5と回路基板1を仮止めし、」「接着剤層4を硬化させ、」「チップ部品5と回路基板1の導体2、2’とをはんだ接合することにより、チップ部品5の位置ずれがないようにした」のであるから、接着剤を塗布する位置が、「チップ部品5」が「回路基板1」上において正確に位置決めされるように、予め定められているといえる。
したがって、引用発明の「チップ部品5を取り付ける箇所である導体回路2、2’間に」「接着剤を塗布して接着剤層4を形成」することと、本願発明の「a)支持基板(2)に少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)を設けること、但し、各接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の位置は、前記少なくとも1つの電子部品(1)が前記支持基板(2)上において正確に位置決めされるよう、予め定められている」こととは、「a)支持基板(2)に接合部を設けること、但し、接合部の位置は、少なくとも1つの電子部品(1)が支持基板(2)上において正確に位置決めされるよう、予め定められている」点で共通する。
但し、支持基板(2)に設けられる接合部について、本願発明は「少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)」であるのに対し、引用発明は「接着剤層4」である。

7 引用発明の「接着剤層4とソルダーペースト層3上にチップ部品5を装着してチップ部品5と回路基板1を仮止め」することは、本願発明の「b)支持基板(2)に少なくとも1つの電子部品(1)を配置すること」に相当する。

8 引用発明の「ソルダーペースト層3」は、「チップ部品5の電極と回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布して」「形成」されるものである。そうすると、引用発明において「接着剤層4とソルダーペースト層3上にチップ部品5を装着してチップ部品5と回路基板1を仮止めし」たときに、チップ部品5の電極が導体回路2、2’と少なくとも部分的に重なり合うことは明らかであり、また、「チップ部品5を取り付ける箇所である導体回路2、2’間に」「接着剤層4を形成」する際に、接着剤層4の位置がチップ部品5の電極が導体回路2、2’と少なくとも部分的に重なり合うよう、予め定められることも明らかである。
したがって、引用発明の「チップ部品5の電極と回路基板1の表面に形成された導体回路2、2’とを電気的に接続する箇所にソルダーペーストを塗布してソルダーペースト層3を形成し、かつチップ部品5を取り付ける箇所である導体回路2、2’間に」「接着剤層4を形成し、次に接着剤層4とソルダーペースト層3上にチップ部品4を装着してチップ部品5と回路基板1を仮止め」することと、本願発明の「但し、接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の位置は工程a)において、少なくとも1つの側面(5a、5b、5c、5d)と下面(6)とによって形成されるエッジ領域において少なくとも1つの電子部品(1)が少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)に実質的にコンタクトしかつ少なくとも1つの部品コンタクト面(11)が少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)と少なくとも部分的に重なり合うよう、予め定められる」こととは、「但し、接合部の位置は工程a)において、少なくとも1つの部品コンタクト面(11)が少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)と少なくとも部分的に重なり合うよう、予め定められる」点で共通する。
但し、本願発明は、接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の位置は工程a)において「少なくとも1つの側面(5a、5b、5c、5d)と下面(6)とによって形成されるエッジ領域において少なくとも1つの電子部品(1)が少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)に実質的にコンタクト」するよう、予め定められるのに対し、引用発明ではその旨の特定がなされていない。

9 引用発明の「40?70sec」は、本願発明の「予め設定可能な期間t」に相当する。また、引用発明では「遠赤外線ヒーター10で回路基板1の基板表面温度140?160℃、40?70sec維持させるように照射して、接着剤層4を硬化させ」るのであるから、40?70secの間、接着剤層4の硬化プロセスの終了を待つことは明らかである。
したがって、引用発明の「遠赤外線ヒーター10で回路基板1の基板表面温度140?160℃、40?70sec維持させるように照射して、接着剤層4を硬化させ」ることと、本願発明の「c)予め設定可能な期間tの間、接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の硬化プロセスの終了を待つこと」とは、「c)予め設定可能な期間tの間、接合部の硬化プロセスの終了を待つこと」である点で共通する。

10 引用発明の「近赤外線ランプ11で回路基板1の基板表面温度が190℃以上を5?10sec維持させるように照射して、ソルダーペーストを溶融させ」ることは、ソルダーペースト層3を加熱することであり、かつ当該加熱が、チップ部品5の電極と導体回路2、2’の間の電気的、機械的及び/又は熱的結合を形成するために行われることは明らかである。
したがって、引用発明の「近赤外線ランプ11で回路基板1の基板表面温度が190℃以上を5?10sec維持させるように照射して、ソルダーペーストを溶融させ」ることは、本願発明の「d)少なくとも1つの部品コンタクト面(11)と少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)の間の電気的、機械的及び/又は熱的結合を形成するためにはんだ材料(13)を加熱すること」に相当する。

11 引用発明は、「ソルダーペースト溶融温度以下で乾燥、硬化する接着剤を塗布して接着剤層4を形成し」、「遠赤外線ヒーター10で」「接着剤層4を硬化させ」るものであるから、接着剤層4は熱硬化性接合材料から構成されるものであり、その熱硬化に必要な温度はソルダーペースト層3の融点より低いものである。
したがって、引用発明の「ソルダーペースト溶融温度以下で乾燥、硬化する接着剤を塗布して接着剤層4を形成し」、「遠赤外線ヒーター10で」「接着剤層4を硬化させ」ることと、本願発明の「少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)は熱硬化性接合材料から構成され、その熱硬化に必要な温度ははんだ材料(13)の融点より低」いこととは、「接合部は熱硬化性接合材料から構成され、その熱硬化に必要な温度ははんだ材料の融点より低」い点で共通する。
但し、はんだ材料(13)について、本願発明は「その融解前に、支持基板コンタクト面(12)と電気的コンタクト状態にある電子部品(1)の位置が当該電気的コンタクト状態を破壊することなく変更可能であるよう、可塑的に変形可能である」のに対し、引用発明ではその旨の特定はなされていない。

そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。

<一致点>
「少なくとも1つの電子部品(1)の少なくとも1つの部品コンタクト面(11)を支持基板(2)の少なくとも1つの対応する支持基板コンタクト面(12)に位置安定的にはんだ付けする方法であって、少なくとも1つの電子部品(1)は下面(6)及び上面(4)並びに該下面(6)と該上面(4)とを接続する少なくとも1つの側面(5a、5b、5c、5d)を有し、少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)は少なくとも部分的にはんだ材料(13)を有する、方法において、
以下の工程a)?d):
a)支持基板(2)に接合部を設けること、但し、接合部の位置は、少なくとも1つの電子部品(1)が支持基板(2)上において正確に位置決めされるよう、予め定められている、
b)支持基板(2)に少なくとも1つの電子部品(1)を配置すること、但し、接合部の位置は工程a)において、少なくとも1つの部品コンタクト面(11)が少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)と少なくとも部分的に重なり合うよう、予め定められる、
c)予め設定可能な期間tの間、接合部の硬化プロセスの終了を待つこと、
d)少なくとも1つの部品コンタクト面(11)と少なくとも1つの支持基板コンタクト面(12)の間の電気的、機械的及び/又は熱的結合を形成するためにはんだ材料(13)を加熱すること
を含み、
接合部は熱硬化性接合材料から構成され、その熱硬化に必要な温度ははんだ材料(13)の融点より低い、
方法。」

<相違点1>
少なくとも1つの部品コンタクト面(11)について、本願発明は「下面(6)に形成され」るのに対し、引用発明ではその旨の特定はなされていない点。

<相違点2>
電子部品(1)について、本願発明は「光電子部品である」のに対し、引用発明ではその旨の特定はなされていない点。

<相違点3>
支持基板(2)に設けられる接合部について、本願発明は「少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)」であるのに対し、引用発明は「接着剤層4」である点。

<相違点4>
本願発明は、接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)の位置は工程a)において「少なくとも1つの側面(5a、5b、5c、5d)と下面(6)とによって形成されるエッジ領域において少なくとも1つの電子部品(1)が少なくとも2つの接合ポイント(3a、3b、8a、8b、9a、9b)に実質的にコンタクト」するよう、予め定められるのに対し、引用発明ではその旨の特定がなされていない点。

<相違点5>
はんだ材料(13)について、本願発明は「その融解前に、支持基板コンタクト面(12)と電気的コンタクト状態にある電子部品(1)の位置が当該電気的コンタクト状態を破壊することなく変更可能であるよう、可塑的に変形可能である」のに対し、引用発明ではその旨の特定はなされていない点。

第6 判断
1 上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
支持基板にはんだ付けされる電子部品において、部品コンタクト面を電子部品の下面に形成することは、例えば引用文献2(特に段落【0025】、【0027】及び図1、2、4を参照。「LED装置10」、「外部接続電極12、13」、「マザー基板33」が、それぞれ「電子部品」、「部品コンタクト面」、「支持基板」に相当。)にあるように周知の技術である。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、部品コンタクト面がチップ部品5の下面に形成されるようにして相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

(2)相違点2について
支持基板にはんだ付けされる電子部品において、電子部品を光電子部品とすることは、例えば引用文献2(「LED装置10」が「光電子部品」に相当。)や引用文献3(特に第2頁右下欄第2行-第12行及び図1を参照。「光部品5」が「光電子部品」に相当。)にあるように周知の技術である。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、チップ部品5を光電子部品として相違点2に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

ここで、請求人は令和2年6月19日付け上申書において「『光電子部品』が基板に配された接着剤上に載置されたときに接着剤が『光電子部品』の下面からはみ出るとすると、このはみ出た接着剤は『光電子部品』間の隙間からオーバーフローし、『光電子部』の『側面』に接触するにとどまらず、『光電子部品』の上面にまで到達し、『光電子部品』の発光機能が損なわれる危険性がある。」ので、「引例1の『チップ部品』ないし『電子部品』を本願発明の『光電子部品』(分説構成要件[1D])とするよう動機付けられないと考えられる。」と主張している。
しかしながら、チップ部品の下面からはみ出す接着剤の量は、通常、接着強度や部品の位置ずれの可能性などを考慮して適切に管理するものであり、引用発明のチップ部品5を光電子部品とした際にも、適切な量の接着剤を用いれば良く、引用発明のチップ部品5を光電子部品とすることが動機付けられないとまではいえない。
なお、本願発明も、接着材が光電子部品の下面からはみ出しており、上記主張は、本願発明においても光電子部品の発光機能が損なわれる危険性があることになるから整合性がない。
したがって、上記主張は採用できない。

(3)相違点3について
引用文献4には、チップ部品4とプリント基板1間に紫外線硬化型接着剤5を塗布してチップ部品4を仮固定するにあたり、紫外線硬化型接着剤5を、プリント基板1上で、チップ部品4の下面と側面とによって形成されるエッジ領域の近傍に2箇所塗布し、この状態においてリフロー半田を行うという技術事項が記載されている(上記「第4 2(2)」)。
ここで、引用文献4に記載された技術事項において、2箇所に塗布された紫外線硬化型接着剤5は「2つの接合ポイント」ともいい得るものである。
そして、引用発明及び引用文献4に記載された技術事項は、いずれもチップ部品を回路基板にはんだ付けする方法という共通の技術分野に属するものであり、かつ接着剤でチップ部品と回路基板を仮止めするという共通の作用、機能を有するものである。
したがって、引用発明において、接着剤でチップ部品5と回路基板1を仮止めするにあたって引用文献4に記載された技術事項を適用し、回路基板1に設けられる接着剤層4を「少なくとも2つの接合ポイント」として相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)相違点4について
上述のように、引用文献4に記載の技術事項は、紫外線硬化型接着剤5を、チップ部品4のエッジ領域の近傍に塗布するものである。
そして、チップ部品のエッジ領域の近傍に塗布した接着剤が、チップ部品の側面と下面に付着することは一般的なことであり(例えば、特開昭58-119693号(第1頁右下欄第20行-第2頁左上欄第2行、第4図)、実願昭53-181344号(実開昭55-94077号公報)のマイクロフィルム(第3頁第20行-第4頁第3行)等参照)、引用発明に引用文献4に記載された技術事項を適用したものにおいて、チップ部品5のエッジ領域の近傍に塗布した接着剤が、チップ部品5の下面及び側面に付着していることは明らかである。
したがって、引用発明において、接着剤でチップ部品5と回路基板1を仮止めするにあたって引用文献4に記載された技術事項を適用し、相違点4に係る構成を得ることは当業者が容易に想到し得たことである。

(5)相違点5について
一般に「ソルダーペースト」は「クリーム半田」とも呼ばれるものであり、当該「ソルダーペースト」又は「クリーム半田」が、その溶融前に可塑的に変形可能であることは技術常識である(必要であれば、引用文献5(特に段落【0028】-【0029】及び図6)を参照。)。
したがって、上記技術常識を参酌すると、引用発明の「ソルダーペースト層3」が、その融解前に、可塑的に変形可能であることは明らかであり、それによって、ソルダーペースト層3の融解前に、導体回路2、2’と電気的コンタクト状態にあるチップ部品5の位置が当該電気的コンタクト状態を破壊することなく変更可能であることは明らかである。
してみれば、相違点5については、実質的な相違点とは認められない。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献4に記載された技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-07-28 
結審通知日 2020-08-11 
審決日 2020-08-25 
出願番号 特願2016-535267(P2016-535267)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 大介  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 須原 宏光
赤穂 嘉紀
発明の名称 位置安定的はんだ付け方法  
代理人 青木 充  
代理人 加藤 朝道  
代理人 内田 潔人  
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