• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1370420
審判番号 不服2018-13233  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-03 
確定日 2021-02-10 
事件の表示 特願2016-144967「手書き入力シート」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月13日出願公開、特開2016-181311、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)11月25日を国際出願日とする特願2010-540364号の一部を平成24年11月12日に新たな特許出願(特願2012-248444号)とし、さらにその一部を平成26年7月22日に新たな特許出願(特願2014-148431号)とし、さらにその一部を平成28年7月22日に新たな特許出願としたものであって、平成29年4月27日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年9月22日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年1月18日付けで拒絶理由(最後)が通知され、平成30年5月31日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年6月18日付けで平成30年5月31日に提出された手続補正書による手続補正が却下されるとともに拒絶査定がされ、これに対し、平成30年10月3日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、当審において、令和元年12月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由(1)」という。)が通知され、令和2年2月10日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年6月23日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由(2)」という。)が通知され、令和2年8月31日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年6月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.国際公開第2009/122756号

第3 当審拒絶理由の概要
1.当審拒絶理由(1)の概要
当審拒絶理由(1)の概要は次のとおりである。

理由1.(明確性)本願請求項1の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(サポート要件)本願請求項1の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3.(進歩性)本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献A、Bに基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.国際公開第2009/122756号(拒絶査定時の引用文献A)
B.国際公開第2008/046128号(当審において新たに引用した文献)

2.当審拒絶理由(2)の概要
当審拒絶理由(2)の概要は次のとおりである。

本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.国際公開第2008/046128号(当審拒絶理由(1)の引用文献B)

第4 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和2年8月31日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明は以下のとおりの発明である(下線部は補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
少なくとも一部の領域内に座標情報およびコード情報が定義されたドットパターンが形成された書き込み領域を備えた媒体からなる
手書き入力シートであって、
前記ドットパターンは、ドットパターンの座標系であるドットパターン座標系で座標情報が定義されており、
前記ドットパターンは撮像解析手段により読取られ、前記コード情報の少なくとも一部には、前記書き込み領域であるか否かを判別するための書き込みフラグが設けられ、
前記書き込み領域であると判別された場合には、前記撮像解析手段に内蔵または接続された軌跡認識手段により、前記座標情報および前記コード情報に基づく手書き入力の所定の処理が実行され、
前記書き込み領域ではないと判別された場合には、前記撮像解析手段により撮像された前記コード情報および/または前記座標情報に関連付けられた情報の出力および/または命令処理が実行される、
手書き入力シート。」

第5 引用文献、引用発明等
当審拒絶理由(2)に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(訳文は当審が作成した。下線は当審付与。以下同様。)。

ア 第32頁15-31行目

「As illustrated in Figure 2, a printed netpage 1 can represent a interactive form which can be filled in by the user both physically, on the printed page, and "electronically", via communication between the pen and the netpage system. The example shows a "Request" form containing name and address fields and a submit button. The netpage consists of graphic data 2 printed using visible ink, and coded data 3 printed as a collection of tags 4 using invisible ink. The corresponding page description 5, stored on the netpage network, describes the individual elements of the netpage. In particular it describes the type and spatial extent (zone) of each interactive element (i.e. text field or button in the example), to allow the netpage system to correctly interpret input via the netpage. The submit button 6, for example, has a zone 7 which corresponds to the spatial extent of the corresponding graphic 8.
As illustrated in Figures 1 and 3, netpage sensing device 101, such as the pen shown in Figures 8 and 9 and described in more detail below, works in conjunction with a netpage relay device 601, which is an Internet-connected device for home, office or mobile use. The pen is wireless and communicates securely with the netpage relay device 601 via a short-range radio link 9. In an alternative embodiment, the netpage pen 101 utilises a wired connection, such as a USB or other serial connection, to the relay device 601.
The relay device 601 performs the basic function of relaying interaction data to a page server 10, which interprets the interaction data. As shown in Figure 3, the relay device 601 may, for example, take the form of a personal computer 601a, a netpage printer 601b or some other relay 601c.」

「(当審訳)図2に示されているように、印刷されたネットページ1は、ユーザが、この印刷されたページ上に物理的に記入することも、ペンとネットページシステムとの間の通信によって「電子的に」記入することもできる対話式の書式を表すことができる。この例は、名前フィールド及び住所フィールド並びに送信ボタンを含む「リクエスト」書式を示す。このネットページは、目に見えるインクを使用して印刷された図形データ2と、目に見えないインクを使用してタグ4の集合として印刷された符号化されたデータ3とからなる。ネットページネットワーク上に記憶された対応するページ記述5は、そのネットページの個々のエレメントを記述する。具体的には、それは、ネットページを介した入力をネットページシステムが正確に解釈することができるように、それぞれの対話エレメント(即ちこの例ではテキストフィールド又はボタン)のタイプ及び空間的広がり(ゾーン)を記述する。例えば送信ボタン6は、対応する図形8の空間的広がりに対応するゾーン7を有する。
図1及び3に示されているように、図8及び9に示され、以下でさらに詳しく説明されているペンなどのネットページ感知装置101は、家庭で、オフィスで、又は移動中に使用するためのインターネット接続デバイスであるネットページ中継装置601と連携動作する。ペンは、無線通信を行い、短距離無線リンク9を介してネットページ中継装置601と安全に通信する。代替の実施形態では、ネットページペン101は、中継装置601に対しUSB又は他のシリアル接続などの有線接続を使用する。中継装置601は、ページサーバ10に対話データを中継する基本機能を実行し、ページサーバ10は対話データを解釈する。図3に示されているように、中継装置601は、例えば、パーソナルコンピュータ601a、ネットページプリンタ601b、又は他の何らかのリレー601cの形態をとりうる。」

イ 第34頁29-34行目

「Each reference to the page description is encoded in a printed tag. The tag identifies the unique page on which it appears, and thereby indirectly identifies the page description. The tag also identifies its own position on the page. Characteristics of the tags are described in more detail below.
Tags are typically printed in infrared-absorptive ink on any substrate which is infrared-reflective, such as ordinary paper, or in infrared fluorescing ink. Near-infrared wavelengths are invisible to the human eye but are easily sensed by a solid-state image sensor with an appropriate filter.」

「(当審訳)ページ記述へのそれぞれの参照は印刷されたタグの中に符号化される。タグは、それが表面に現れた固有のページを識別し、それによってページ記述を間接的に識別する。タグはさらに、そのページ上におけるそれ自体の位置を識別する。タグの特性については後により詳細に説明する。
タグは、通常の紙などの赤外線を反射する任意の基材上に赤外線を吸収するインク、又は、赤外線蛍光インクで印刷される。近赤外波長は人の眼には見えないが、適当なフィルタを備えた固体イメージセンサによって容易に感知される。」

ウ 第35頁10-27行目

「2.1 Tag Data Content
In a preferred form, each tag identifies the region in which it appears, and the location of that tag within the region. A tag may also contain flags which relate to the region as a whole or to the tag. One or more flag bits may, for example, signal a tag sensing device to provide feedback indicative of a function associated with the immediate area of the tag, without the sensing device having to refer to a description of the region. A netpage pen may, for example, illuminate an "active area" LED when in the zone of a hyperlink.
As will be more clearly explained below, in a preferred embodiment, each tag contains an easily recognized invariant structure which aids initial detection, and which assists in minimizing the effect of any warp induced by the surface or by the sensing process. The tags preferably tile the entire page, and are sufficiently small and densely arranged that the pen can reliably image at least one tag even on a single click on the page. It is important that the pen recognize the page ID and position on every interaction with the page, since the interaction is stateless.
In a preferred embodiment, the region to which a tag refers coincides with an entire page, and the region ID encoded in the tag is therefore synonymous with the page ID of the page on which the tag appears. In other embodiments, the region to which a tag refers can be an arbitrary subregion of a page or other surface. For example, it can coincide with the zone of an interactive element, in which case the region ID can directly identify the interactive element.」

「(当審訳)2.1 タグデータの内容
好ましい一形態では、それぞれのタグが、そのタグが現れた領域及びその領域内でのそのタグの位置を識別する。タグはさらに、その領域全体に関係するフラグ又はそのタグに関係するフラグを含むことができる。1つ又は複数のフラグビットは例えば、タグ感知装置がその領域の記述を参照する必要なしに、そのタグのそのエリアに関連付けられた機能を指示するフィードバックを供給するようタグ感知装置に知らせる。ネットページペンがハイパーリンクのゾーン内にあるとき、ネットページペンは例えば「アクティブエリア」LEDを点灯することができる。
後により明確に説明するが、好ましい一実施形態では、それぞれのタグが、容易に認識される変化しない構造を含み、この構造は、最初の検出を助け、表面によって又は感知プロセスによって引き起こされるゆがみの影響を最小化するのに役立つ。タグは、ページ全体を覆い、ページを1回クリックするだけでもペンが少なくとも1つのタグを確実に画像化することができるように、十分に小さく、且つ密集して配置されることが好ましい。ページとの対話はステートレスであるため、ページと対話するたびに、ペンがページID及び位置を認識することが重要である。
好ましい一実施形態では、タグが指す領域がページ全体と一致し、したがって、タグ中に符号化された領域IDが、タグが表面に現れたページのページIDと同義である。他の実施形態では、タグが指す領域を、ページ又は他の表面の任意の部分領域とすることができる。例えば、タグが指す領域を対話エレメントのゾーンと一致させることができ、その場合、領域IDは、対話エレメントを直接に識別することができる。」

エ 第38頁27-33行目

「Figure 6a shows a square tag 4 with four perspective targets 17. It is similar in structure to tags described by Bennett et al. in US Patent 5051746. The tag represents sixty 4-bit Reed-Solomon symbols 47, for a total of 240 bits. The tag represents each one bit as a dot 48, and each zero bit by the absence of the corresponding dot. The perspective targets are designed to be shared between adjacent tags, as shown in Figures 6b and 6c. Figure 6b shows a square tiling of 16 tags and the corresponding minimum field of view 193, which must span the diagonals of two tags. Figure 6c shows a square tiling of nine tags, containing all one bits for illustration purposes.」

「(当審訳)図6aは、4つのパースペクティブターゲット17を有する正方形タグ4を示す。これは、米国特許第5051746号明細書においてBennettらによって記述されたタグと構造が類似している。タグは、60個の4ビットリード-ソロモン符号47を表し、合計240ビットを表す。タグは、各1ビットをドット48として表し、各0ビットを対応するドットの欠如により表す。図6b及び図6cに示すように、パースペクティブターゲットは、隣接するタグ間で共有されるように設計されている。図6bは16個のタグの正方形タイリング、及び2つのタグの対角線をまたぐ対応する最小視野193を示す。図6cは、例示のためすべて「1」ビットを含む9つのタグの正方形タイリングを示す。」

オ 第39頁26行目

「Decoding a tag results in a region ID, a tag ID, and a tag-relative pen transform.」

「(当審訳)タグを復号することによって、領域ID、タグID及びタグに対するペン変換が得られる。」

カ 第39頁38行目-第40頁2行目

「The tag ID may have a structure which assists translation through the tag map. It may, for example, encode cartesian (x-y) coordinates or polar coordinates, depending on the surface type on which it appears. The tag ID structure is dictated by and known to the tag map, and tag IDs associated with different tag maps may therefore have different structures.」

「(当審訳)タグIDは、タグマップを介した変換を助けるある構造を有することができる。それは例えば、それが現れた表面タイプに応じて、デカルト(x-y)座標又は極座標を符号化することができる。タグIDの構造はタグマップによって指示され、タグマップに知られており、したがって、異なるタグマップに関連付けられたタグIDは異なる構造を有することがある。」

キ 第42頁35行目-第43頁5行目

「The pen determines the position and orientation of its nib on the netpage by imaging, in the infrared spectrum, an area 193 of the page in the vicinity of the nib. It decodes the nearest tag and computes the position of the nib relative to the tag from the observed perspective distortion on the imaged tag and the known geometry of the pen optics. Although the position resolution of the tag may be low, because the tag density on the page is inversely proportional to the tag size, the adjusted position resolution is quite high, exceeding the minimum resolution required for accurate handwriting recognition.
Pen actions relative to a netpage are captured as a series of strokes. A stroke consists of a sequence of time-stamped pen positions on the page, initiated by a pen-down event and completed by the subsequent pen-up event. A stroke is also tagged with the page ID 50 of the netpage whenever the page ID changes, which, under normal circumstances, is at the commencement of the stroke.」

「(当審訳)ペンは、尖端の近くのページのエリア193を赤外スペクトルで画像化することによって、ネットページ上のペンの尖端の位置及び方向を決定する。ペンは、最も近いタグを復号し、画像化されたタグ上の観察された透視歪み及びペン光学系の既知のジオメトリから、そのタグに対する尖端の位置を計算する。タグの位置分解能は低い可能性があるが、ページ上のタグ密度はタグサイズに反比例するため、調整された位置分解能は非常に高く、正確な手書き文字認識のために必要とされる最低分解能を超える。
ネットページに対するペンの運動は一連のストロークとして捕捉される。ストロークは、ページ上のタイムスタンプが押された一連のペン位置からなり、ペンダウン事象によって開始され、その後のペンアップ事象によって完了する。さらに、ページIDが変わるたびに、そのネットページのページID50がストロークにタグ付けされ、通常の状況ではそれはストロークの開始時である。」

ク 第43頁24-26行目

「A sequence of captured strokes is referred to as digital ink. Digital ink forms the basis for the digital exchange of drawings and handwriting, for online recognition of handwriting, and for online verification of signatures.」

「(当審訳)捕捉された一連のストロークはデジタルインクと呼ばれる。デジタルインクは、線画及び手書き文字のデジタル交換、手書き文字のオンライン認識、及び署名のオンライン確認に対する基礎を形成する。」

ケ 第44頁3-16行目

「The netpage relay device 601 receives data relating to a stroke from the pen 101 when the pen is used to interact with a netpage 1. The coded data 3 of the tags 4 is read by the pen when it is used to execute a movement, such as a stroke. The data allows the identity of the particular page to be determined and an indication of the positioning of the pen relative to the page to be obtained. Interaction data comprising the page ID 50 and at least one position of the pen, is transmitted to the relay device 601, where it resolves, via the DNS, the page ID 50 of the stroke into the network address of the netpage page server 10 which maintains the corresponding page instance 830. It then transmits the stroke to the page server. If the page was recently identified in an earlier stroke, then the relay device may already have the address of the relevant page server in its cache. Each netpage consists of a compact page layout maintained persistently by a netpage page server (see below). The page layout refers to objects such as images, fonts and pieces of text, typically stored elsewhere on the netpage network.
When the page server receives the stroke from the pen, it retrieves the page description to which the stroke applies, and determines which element of the page description the stroke intersects. It is then able to interpret the stroke in the context of the type of the relevant element.」

「(当審訳)ネットページ1と対話するためにペンが使用されているときに、ネットページ中継装置601は、ストロークに関するデータをペン101から受け取る。ストロークなどの動きを実行するためにペンが使用されているときに、タグ4の符号化されたデータ3がペンによって読み取られる。このデータは、特定のページの識別を決定すること、及びそのページに対するペンの相対的な位置の指示を得ることを可能にする。ページID50と少なくとも1つのペンの位置とを含む対話データは中継装置601に送信され、そこで、それは、DNSを介して、このストロークのページID50を、対応するページインスタンス830を維持するネットページサーバ10のネットワークアドレスに分解する。それは次いでそのストロークをページサーバに送信する。そのページが、以前のストロークにおいて最近識別されものである場合、中継装置は、関連ページサーバのアドレスをそのキャッシュの中に既に保有している可能性がある。ネットページはそれぞれ、ネットページサーバによって持続的に維持されたコンパクトなページレイアウトからなる(下記参照)。ページレイアウトは、一般にネットページネットワーク上のどこかに記憶された画像、フォント及びテキスト片などのオブジェクトを指す。
ページサーバは、ペンからストロークを受け取ると、そのストロークが適用されるページ記述を取り出し、そのストロークが、ページ記述のどのエレメントと交差するのかを決定する。それは次いで、その関連エレメントのタイプの文脈でそのストロークを解釈することができる。」

コ 第44頁22-23行目

「There are two kinds of input elements in a netpage page description: hyperlinks and form fields. Input through a form field can also trigger the activation of an associated hyperlink.」

「(当審訳)ネットページのページ記述には2種類の入力エレメント、即ちハイパーリンク及び書式フィールドがある。書式フィールドからの入力も、関連ハイパーリンクの活動化をトリガすることができる。」

サ 第46頁20-25行目

「A form 867 is a group element 838 in the document hierarchy. It ultimately contains a set of terminal field elements 839. A form instance 868 represents a printed instance of a form. It consists of a set of field instances 870 which correspond to the field elements 845 of the form. Each field instance has an associated value 871, whose type depends on the type of the corresponding field element. Each field value records input through a particular printed form instance, i.e. through one or more printed netpages. The form class diagram is shown in Figure 19.」

「(当審訳)書式867は、文書階層内のグループエレメント838である。それは最終的に、一組のターミナルフィールドエレメント839を含む。書式インスタンス868は、書式の印刷されたインスタンスを表す。それは、書式のフィールドエレメント845に対応する一組のフィールドインスタンス870からなる。フィールドインスタンスはそれぞれ、対応するフィールドエレメントのタイプによってそのタイプが決まる関連フィールド値871を有する。フィールド値はそれぞれ、特定の印刷された書式インスタンス、即ち1つ又は複数の印刷されたネットページを介しての入力を記録する。書式クラス図は図19に示されている。」

シ 第47頁4-6行目

「A field element 845 can be a checkbox field 877, a text field 878, a drawing field 879, or a signature field 880. The field element class diagram is shown in Figure 21. Any digital ink captured in a field's zone 58 is assigned to the field.」

「(当審訳)フィールドエレメント845は、チェックボックスフィールド877、テキストフィールド878、線画フィールド879又は署名フィールド880であることができる。フィールドエレメントクラス図は図21に示されている。あるフィールドのゾーン58内で捕捉されたデジタルインクはそのフィールドに割り当てられる。」

ス 第48頁16-26行目

「Figure 25 shows a flowchart of the process of handling pen input relative to a netpage. The process consists of receiving (at 884) a stroke from the pen; identifying (at 885) the page instance 830 to which the page ID 50 in the stroke refers; retrieving (at 886) the page description 5; identifying (at 887) a formatted element 839 whose zone 58 the stroke intersects; determining (at 888) whether the formatted element corresponds to a field element, and if so appending (at 892) the received stroke to the digital ink of the field value 871, interpreting (at 893) the accumulated digital ink of the field, and determining (at 894) whether the field is part of a hyperlinked group 866 and if so activating (at 895) the associated hyperlink; alternatively determining (at 889) whether the formatted element corresponds to a hyperlink element and if so activating (at 895) the corresponding hyperlink; alternatively, in the absence of an input field or hyperlink, appending (at 890) the received stroke to the digital ink of the background field 833; and copying (at 891) the received stroke to the current selection 826 of the current pen, as maintained by the registration server.」

「(当審訳)図25は、ネットページに対するペン入力を処理するプロセスの流れ図を示す。このプロセスは、ペンからストロークを受け取り(884)、そのストローク内のページID50が指すページインスタンス830を識別し(885)、ページ記述5を取り出し(886)、ストロークが交差するゾーン58が属するフォーマット済みエレメント839を識別し(887)、フォーマット済みエレメントがフィールドエレメントに対応するかどうかを決定し(888)、そうである場合に、受け取ったストロークをフィールド値871のデジタルインクに付加し(892)、蓄積されたそのフィールドのデジタルインクを解釈し(893)、そのフィールドが被ハイパーリンクグループ866の部分であるかどうかを判定し(894)、そうである場合に、関連ハイパーリンクを活動化し(895)、或いは、フォーマット済みエレメントがハイパーリンクエレメントに対応するかどうかを判定し(889)、そうである場合に、対応するハイパーリンクを活動化し(895)、或いは、入力フィールド又はハイパーリンクがない場合に、受け取ったストロークをバックグラウンドフィールド833のデジタルインクに付加し(890)、受け取ったストロークを、登録サーバによって維持された現在のペンの現在の選択826にコピーする(891)ことからなる。」

セ 上記ア?スより、特に下線部及び図2、6A、8、19、21、25に着目すると、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「印刷されたネットページ1は、
目に見えるインクを使用して印刷された図形データ2と、目に見えないインクを使用してタグ4の集合として印刷された符号化されたデータ3とからなり、
ネットページネットワーク上に記憶された対応するページ記述5は、そのネットページの個々のエレメントを記述し、
ペンなどのネットページ感知装置101は、家庭で、オフィスで、又は移動中に使用するためのインターネット接続デバイスであるネットページ中継装置601と連携動作し、
中継装置601は、ページサーバ10に対話データを中継する基本機能を実行し、ページサーバ10は対話データを解釈し、
ページ記述へのそれぞれの参照は印刷されたタグの中に符号化され、タグは、それが表面に現れた固有のページを識別し、それによってページ記述を間接的に識別し、
タグはさらに、そのページ上におけるそれ自体の位置を識別し、
タグは、通常の紙などの赤外線を反射する任意の基材上に赤外線を吸収するインクで印刷され、
タグはさらに、その領域全体に関係するフラグ又はそのタグに関係するフラグを含むことができ、
1つ又は複数のフラグビットは例えば、タグ感知装置がその領域の記述を参照する必要なしに、そのタグのそのエリアに関連付けられた機能を指示するフィードバックを供給するようタグ感知装置に知らせ、
ネットページペンがハイパーリンクのゾーン内にあるとき、ネットページペンは例えば「アクティブエリア」LEDを点灯することができ、
好ましい一実施形態では、タグが指す領域がページ全体と一致し、したがって、タグ中に符号化された領域IDが、タグが表面に現れたページのページIDと同義であり、
タグは、60個の4ビットリード-ソロモン符号47を表し、合計240ビットを表し、
タグは、各1ビットをドット48として表し、各0ビットを対応するドットの欠如により表し、
タグを復号することによって、領域ID、タグID及びタグに対するペン変換が得られ、
タグIDは、それが現れた表面タイプに応じて、デカルト(x-y)座標を符号化することができ、
ペンは、尖端の近くのページのエリア193を赤外スペクトルで画像化することによって、ネットページ上のペンの尖端の位置及び方向を決定するものであり、ペンは、最も近いタグを復号し、画像化されたタグ上の観察された透視歪み及びペン光学系の既知のジオメトリから、そのタグに対する尖端の位置を計算し、
ネットページに対するペンの運動は一連のストロークとして捕捉され、ストロークは、ページ上のタイムスタンプが押された一連のペン位置からなり、ペンダウン事象によって開始され、その後のペンアップ事象によって完了し、
捕捉された一連のストロークはデジタルインクと呼ばれ、デジタルインクは、線画及び手書き文字のデジタル交換、手書き文字のオンライン認識、及び署名のオンライン確認に対する基礎を形成するものであり、
ネットページ1と対話するためにペンが使用されているときに、ネットページ中継装置601は、ストロークに関するデータをペン101から受け取り、ストロークなどの動きを実行するためにペンが使用されているときに、タグ4の符号化されたデータ3がペンによって読み取られ、このデータは、特定のページの識別を決定すること、及びそのページに対するペンの相対的な位置の指示を得ることを可能にし、ページID50と少なくとも1つのペンの位置とを含む対話データは中継装置601に送信され、それは次いでそのストロークをページサーバに送信し、
ページサーバは、ペンからストロークを受け取ると、そのストロークが適用されるページ記述を取り出し、そのストロークが、ページ記述のどのエレメントと交差するのかを決定し、それは次いで、その関連エレメントのタイプの文脈でそのストロークを解釈することができ、
ネットページのページ記述には2種類の入力エレメント、即ちハイパーリンク及び書式フィールドがあり、
書式のフィールドエレメント845は、チェックボックスフィールド877、テキストフィールド878、線画フィールド879又は署名フィールド880であることができ、
ネットページに対するペン入力を処理するプロセスは、ペンからストロークを受け取り(884)、そのストローク内のページID50が指すページインスタンス830を識別し(885)、ページ記述5を取り出し(886)、ストロークが交差するゾーン58が属するフォーマット済みエレメント839を識別し(887)、フォーマット済みエレメントがフィールドエレメントに対応するかどうかを決定し(888)、そうである場合に、受け取ったストロークをフィールド値871のデジタルインクに付加し(892)、蓄積されたそのフィールドのデジタルインクを解釈し(893)、或いは、フォーマット済みエレメントがハイパーリンクエレメントに対応するかどうかを判定し(889)、そうである場合に、対応するハイパーリンクを活動化する(895)、
ネットページ。」

第6 対比・判断
1.対比

本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「タグ」が有する「タグID」によって符号化される「デカルト(x-y)座標」は、本願発明の「座標情報」に相当する。

イ 引用発明の「タグ中に符号化された領域ID」は、本願発明の「コード情報」に相当する。

ウ 引用発明の「ドット」は、「各1ビットをドット48として表し、各0ビットを対応するドットの欠如により表」すことで、リード-ソロモン符号を使用して符号化されたビットによって「タグ」を表し、「タグ」が「デカルト(x-y)座標」及び「領域ID」を記述していることから、本願発明の「ドットパターン」に相当する。

エ 引用発明の「書式のフィールドエレメント」は、「テキストフィールド878、線画フィールド879又は署名フィールド880」といった、ユーザによる手書き入力を認識する「フィールド」を備えていることから、本願発明の「書き込み領域」に相当する。また、引用発明の「書式のフィールドエレメント」は、一種の「領域」であるから、本願発明の「少なくとも一部の領域」に相当する。

オ 上記ア?エから、引用発明の「通常の紙などの赤外線を反射する任意の基材」は、本願発明の「少なくとも一部の領域内に座標情報およびコード情報が定義されたドットパターンが形成された書き込み領域を備えた媒体」に相当する。

カ 引用発明の「ネットページ」は、当該「ネットページ」上のペンの運動がストロークとして捕捉されるものであるから、本願発明の「手書き入力シート」に相当する。

キ 前記ウに記載したように、引用発明の「ドット」は「デカルト(x-y)座標」という座標系の座標を記述していることから、引用発明の「ドット」は、「前記ドットパターンは、ドットパターンの座標系であるドットパターン座標系で座標情報が定義されて」いるといえる。

ク 引用発明の「ペン」は、尖端の近くのページのエリアを赤外スペクトルで画像化し、タグの符号化されたデータを読み取るものであるから、本願発明の「撮像解析手段」に相当する。また、引用発明における、「タグ4の符号化されたデータ3がペンによって読み取られ」ることは、本願発明の「前記ドットパターンは撮像解析手段により読取られ」ることに相当する。

ケ 引用発明の「1つ又は複数のフラグビット」は、「タグ」に含まれ、「フラグ」の存在によって「タグ感知装置がその領域の記述を参照する必要なしに、そのタグのそのエリアに関連付けられた機能を指示するフィードバックを供給するようタグ感知装置に知らせ、ネットページペンがハイパーリンクのゾーン内にあるとき、ネットページペンは例えば「アクティブエリア」LEDを点灯することができ」ることから、引用発明の「ドット」は、本願発明の「ドットパターン」と、「前記コード情報の少なくとも一部には、所定の領域であるか否かを判別するためのフラグが設けられている」点で共通するといえる。

コ 引用発明の「受け取ったストロークをフィールド値871のデジタルインクに付加し(892)、蓄積されたそのフィールドのデジタルインクを解釈し(893)」との構成において、「ストローク」は、ペンによる手書き入力に応じて捕捉される情報であるから、引用発明の「受け取ったストロークをフィールド値871のデジタルインクに付加し(892)、蓄積されたそのフィールドのデジタルインクを解釈」する処理は、本願発明の「前記座標情報および前記コード情報に基づく手書き入力の所定の処理」に相当するといえる。また、引用発明の「ストローク」に含まれる「ペン位置」がタグの位置を示すタグIDに基づいていることは明らかであるから、引用発明の「受け取ったストロークをフィールド値871のデジタルインクに付加し(892)、蓄積されたそのフィールドのデジタルインクを解釈」する処理は、タグの「座標情報」に基づくものであるといえる。
よって、引用発明の「フォーマット済みエレメントがフィールドエレメントに対応するかどうかを決定し(888)、そうである場合に、受け取ったストロークをフィールド値871のデジタルインクに付加し(892)、蓄積されたそのフィールドのデジタルインクを解釈し(893)」は、本願発明の「前記書き込み領域であると判別された場合には、前記撮像解析手段に内蔵または接続された軌跡認識手段により、前記座標情報および前記コード情報に基づく手書き入力の所定の処理が実行され」に相当するといえる。

サ 引用発明の「対応するハイパーリンクを活動化する」処理は、「フォーマット済みエレメントがフィールドエレメントに対応」しない場合に行われる処理であり、ハイパーリンクの活動化に伴い情報の出力が行われることは明らかであるから、本願発明の「情報の出力および/または命令処理」に相当する。また、引用発明は、「ページID」と同義である「領域ID」がタグ中に符号化されており、「ストローク内のページID50が指すページインスタンス830を識別し(885)、ページ記述5を取り出」し、「ページ記述」は「ハイパーリンク」を記述するものであるから、引用発明の「ハイパーリンク」は、ペンによって読み取られる「領域ID」に関連付けられているといえる。
よって、引用発明の「フォーマット済みエレメントがハイパーリンクエレメントに対応するかどうかを判定し(889)、そうである場合に、対応するハイパーリンクを活動化する(895)」は、本願発明の「前記書き込み領域ではないと判別された場合には、前記撮像解析手段により撮像された前記コード情報および/または前記座標情報に関連付けられた情報の出力および/または命令処理が実行される」に相当するといえる。

2.一致点・相違点
以上からすると、本願発明と引用発明とは、以下の点において一致ないし相違する。

(一致点)
「少なくとも一部の領域内に座標情報およびコード情報が定義されたドットパターンが形成された書き込み領域を備えた媒体からなる
手書き入力シートであって、
前記ドットパターンは、ドットパターンの座標系であるドットパターン座標系で座標情報が定義されており、
前記ドットパターンは撮像解析手段により読取られ、前記コード情報の少なくとも一部には、所定の領域であるか否かを判別するためのフラグが設けられ、
前記書き込み領域であると判別された場合には、前記撮像解析手段に内蔵または接続された軌跡認識手段により、前記座標情報および前記コード情報に基づく手書き入力の所定の処理が実行され、
前記書き込み領域ではないと判別された場合には、前記撮像解析手段により撮像された前記コード情報および/または前記座標情報に関連付けられた情報の出力および/または命令処理が実行される、
手書き入力シート。」

(相違点)
本願発明は、「前記コード情報の少なくとも一部には、前記書き込み領域であるか否かを判別するための書き込みフラグが設けられ」ているのに対し、引用発明の「フラグ」は、「書きこみ領域であるか否かを判別するため」のものであることについて特定されていない点。

3.相違点についての判断

上記相違点について検討する。
引用文献1には、「1つ又は複数のフラグビット」によって、「ペン」などのタグ感知装置において、「その領域の記述を参照する必要なしに、そのタグのそのエリアに関連付けられた機能を指示するフィードバックを供給するようタグ感知装置に知らせ」ることが記載され、「ハイパーリンクのゾーン内にあるとき」にペンのLEDを点灯させることが例示されているものの、「前記コード情報の少なくとも一部には、前記書き込み領域であるか否かを判別するための書き込みフラグが設けられ」るという構成は記載も示唆もされておらず、本願の出願遡及日前において周知技術であるともいえない。
なお、仮に、引用発明の「フラグ」を「書き込みフラグ」に変更することが容易に想到できたとしても、この場合、引用発明の「フラグ」は、ペンなどのタグ感知装置に設けたLEDによる単なる視覚的フィードバックに用いられるものであるから、このような「書き込みフラグ」を利用して、さらに、前記書き込み領域であるか否かを判別して、その判別結果に応じて、実行すべきデータ処理を選択することまでは想到し難いものであって、上記相違点を含む、本願発明の構成には至るものではない。
よって、引用発明から当業者が上記相違点に係る本願発明の構成を想到することはできない。
したがって、本願発明は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 当審拒絶理由(1)について
令和2年2月10日に提出された手続補正書による補正及び令和2年8月31日に提出された手続補正書による補正により、当審拒絶理由(1)の上記理由1、理由2はいずれも解消した。
また、令和2年2月10日に提出された手続補正書による補正及び令和2年8月31日に提出された手続補正書による補正により、補正後の請求項1は、上記相違点に係る構成を有するものとなった。
当該構成は、当審拒絶理由(1)における引用文献A、Bには記載されておらず、本願の出願遡及日前における周知技術でもないので、本願発明は、当業者であっても、当審拒絶理由(1)における引用文献A、Bに基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、当審拒絶理由(1)の理由3は解消した。

第8 原査定について
令和2年2月10日に提出された手続補正書による補正及び令和2年8月31日に提出された手続補正書による補正により、補正後の請求項1は、上記相違点に係る構成を有するものとなった。
当該構成は、原査定における引用文献Aには記載されておらず、本願の出願遡及日前における周知技術でもないので、本願発明は、当業者であっても、原査定における引用文献Aに基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-01-26 
出願番号 特願2016-144967(P2016-144967)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 浩二  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 北川 純次
小田 浩
発明の名称 手書き入力シート  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ