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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61H
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  A61H
管理番号 1370557
審判番号 無効2018-800086  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-07-10 
確定日 2021-02-04 
事件の表示 上記当事者間の特許第6253829号発明「マッサージ機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 請求の趣旨
特許第6253829号発明の特許請求の範囲の請求項1から請求項7に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求める。


第2 手続の経緯
本件特許第6253829号に係る出願(特願2017-95926号)は,平成24年5月31日に出願された特願2012-124882号の一部を平成29年5月12日に新たな特許出願としたものであって,その特許権の設定登録は,平成29年12月8日にされ,その後,請求人株式会社フジ医療器から特許無効審判が請求されたものである。
以下,請求以後の経緯を整理して示す。
平成30年 7月10日 審判請求
同年 9月25日 答弁書の提出
同年10月22日付け 審理事項通知
平成31年 1月 4日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人より)
同年 1月 4日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人より)
同年 1月11日付け 審理事項通知
同年 1月22日 口頭審理陳述要領書(2)の提出(被請求人より)
同年 1月22日 口頭審理の実施
同年 2月 5日 上申書の提出(請求人より)
同年 2月 5日 上申書の提出(被請求人より)
同年 2月19日 上申書の提出(被請求人より)


第3 本件発明
本件特許の請求項1?7に係る発明(以下,それぞれ請求項に対応して「本件発明1」?「本件発明7」などという。)は,本件特許の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのものである(便宜上,請求人の分説に従って示す。以下,付された符号に従って「構成要件A」のようにいう。また,同一の符号に枝番の付された構成要件,例えば,構成要件D-1?D-3をまとめて,当該符号のみを用いて「構成要件D」のようにいうことがある。)。

「【請求項1】
A:使用者が凭れる背凭れ部と,
B:使用者が着座する座部と,
C:を有するマッサージ機において,
D-1:前記背凭れ部に設けられた左右で対をなす第一側壁と
D-2:前記座部に設けられた使用者の臀部乃至大腿部の外側面に対向する左右で対をなす第二側壁と
D-3:を一体的に形成された側壁を有し,
E-1:前記側壁に使用者の腰部を左右方向に押圧可能である対の第一マッサージ部と
E-2:使用者の臀部乃至大腿部を左右方向に押圧可能である対の第二マッサージ部が設けられ,
F:前記第一マッサージ部と第二マッサージ部の動作を制御する制御部を有する
G:ことを特徴としたマッサージ機。
【請求項2】
H:前記背凭れ部及び前記座部は一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
I:前記制御部は,前記第一マッサージ部と前記第二マッサージ部を同時又は順番に動作させることを特徴する請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
J:前記第一マッサージ部及び前記第二マッサージ部はエアセルであることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
K:使用者の臀部又は大腿部の背面を押圧可能な第三マッサージ部を有することを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
L:前記第三マッサージ部はエアセルであることを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
M:前記背凭れ部には使用者の背中をマッサージする機械式のマッサージユニットを有することを特徴とする請求項1?6のいずれかに記載のマッサージ機。」


第4 当事者が提出した証拠方法
1 請求人
甲第1号証:特許第6253829号公報の写し(以下,「の写し」を省略)
甲第2号証の1:新村出編,「広辞苑」,第7版,株式会社岩波書店,2018年1月12日,第185ページ
甲第2号証の2:新村出編,「広辞苑」,第7版,株式会社岩波書店,2018年1月12日,第1992-1993ページ
甲第3号証:平成29年10月25日提出の手続補正書
甲第4号証:平成29年10月25日提出の意見書
甲第5号証:本件特許の出願当初の明細書
甲第6号証:本件特許の出願当初の図面
甲第7号証:特開2009-254408号公報
甲第8号証:特開2005-205234号公報
以下,甲第7号証及び甲第8号証として提出された文献を,それぞれ書証番号を用いて「甲7文献」及び「甲8文献」という。

2 被請求人
乙第1号証:「実用日本語表現辞典」,実用日本語表現辞典,「一体的」の項,weblio辞書ウェブサイト,URL:https://www.weblio.jp/content/%E4%B8%80%E4%BD%93%E7%9A%84?dictCode=JTNHJ
乙第2号証:「デジタル大辞泉」,小学館,「設ける」の項,コトバンクウェブサイト,URL:https://kotobank.jp/word/%E8%A8%AD%E3%81%91%E3%82%8B-644870
乙第3号証:「大辞林 第三版」,三省堂,「設ける」の項,コトバンクウェブサイト,URL:https://kotobank.jp/word/%E8%A8%AD%E3%81%91%E3%82%8B-644870
乙第4号証:特許技術用語委員会編,「特許技術用語集-類語索引・使用例-」,初版,日刊工業新聞社,1997年4月18日,第136ページ


第5 請求人が主張する無効理由
1 無効理由1(明確性要件違反)
本件発明1?7についての特許は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから,同法第123条第1項第4号に該当し,無効とすべきものである。

2 無効理由2-1(新規性の欠如(1))
本件発明1?7は,甲7文献に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって,本件発明1?7についての特許は,特許法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきものである。

3 無効理由2-2(新規性の欠如(2))
本件発明1?7は,甲8文献に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって,本件発明1?7についての特許は,特許法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきものである。


第6 請求人の主張の概要
1 無効理由1(明確性要件違反)(審判請求書第11?12ページの「(4-1)記載不備」参照)
構成要件Dは,「背凭れ部に設けられた左右で対をなす第一側壁」(構成要件D-1)と「座部に設けられた使用者の臀部乃至大腿部の外側面に対向する左右で対をなす第二側壁」(構成要件D-2)を「一体的に形成された側壁を有」(構成要件D-3)することを特定するものである。
この特定のうち,構成要件D-3の「一体的」という文言は,「一体」に接尾語「的」を付加したものである。ここで,「一体」とは「一つのからだ。同一体。一つになって分けられない関係にあること。同類。」(甲第2号証の1)を意味しており,「的」とは「名詞や句に添えて、その性質を帯びる、その状態をなす意を表す。」(甲第2号証の2)を意味するが,これら意味を踏まえても,「第一側壁」と「第二側壁」が具体的にどのような状態になることによって,また,具体的にどのような製造方法を用いることによって,「一体的に形成」された「側壁」になるか不明である。また,明細書にも,「一体的に形成」の意義を説明する記載はない。
ところで,この「一体的に形成」という文言は,平成29年10月25日提出の手続補正書(甲第3号証)による補正によって追加されたものであり,同日提出の意見書(甲第4号証)によれば,当該補正の根拠は,本件特許の出願当初の明細書(甲第5号証)の段落【0016】,【0018】,本件特許の出願当初の図面(甲第6号証)の【図1】?【図4】である。そこで,これら根拠を参照すると,側壁(4a)が「第一側壁」を指し,側壁(3a)が「第二側壁」を指すことまでは理解できるものの,これら側壁(4a,3a)が具体的にどのような状態になることによって,また,具体的にどのような製造方法を用いることによって,「一体的に形成」された「側壁」になるかは説明されておらず,不明である。また,側壁(4a)と側壁(3a)を統一した全体を指す部材の説明もない。

2 無効理由2-1(新規性の欠如(1))(審判請求書第13?20ページの「(4-2)新規性の欠如(1)」参照)
甲7文献には,本件発明1の構成要件A?Gの全てが開示されているから,本件発明1は,甲7文献に記載された発明である。
また,甲7文献には,本件発明2?7の各々に対応する構成要件H?Mも開示されているから,本件発明2?7は,甲7文献に記載された発明である。

3 無効理由2-2(新規性の欠如(2))(審判請求書第20?30ページの「(4-3)新規性の欠如(2)」参照)
甲8文献には,本件発明1の構成要件A?Gの全てが開示されているから,本件発明1は,甲8文献に記載された発明である。
また,甲8文献には,本件発明2?7の各々に対応する構成要件H?Mも開示されているから,本件発明2?7は,甲8文献に記載された発明である。


第7 被請求人の主張の概要
1 無効理由1(明確性要件違反)に対する反論(答弁書第4?12ページの「2『(4-1)記載不備』に関し」参照)
構成要件D-3の「一体的」という文言について,「一体的」とは「複数のものが一つに、または不可分になっているさま。一体となっている様子。」(乙第1号証)を意味する。
本件発明1のマッサージ機には背凭れ部と座部が設けられており,背凭れ部に設けられた部分を便宜的に「第一側壁」と称し,座部に対応して設けられた部分を便宜的に「第二側壁」と称している。これら「第一側壁」及び「第二側壁」が,別パーツであるか,一連一体の一つの部材であるかは問題ではない。便宜的に「第一側壁」と称する部分と「第二側壁」と称する部分とが,背凭れ部及び座部に対して一つの側壁を構成していると認識できる部分を有していればよい。したがって,第一側壁と第二側壁とが具体的にどのような状態になることによって側壁を構成しているかは,構成要件Dの記載から明確である。
また,明細書の段落【0016】,【0017】,【0022】,【0023】,【図1】によれば,座部(3)及び背凭れ部(4)が一体的に構成されており,座部(3)及び背凭れ部(4)に対応した一体的な側壁が構成されていることは明らかである。そして,第一側壁(側壁4a)と第二側壁(側壁3a)は,上記一体的な側壁における複数の部分に対して名称付けているにすぎないから,明細書の記載を参酌した場合にも構成要件Dは明確である。

2 無効理由2-1(新規性の欠如(1))に対する反論(答弁書第13?22ページの「3『(4-2)新規性の欠如(1)』に関し」参照)
甲7文献には,本件発明1の構成要件A?Gのうち,少なくとも構成要件D-1?D-3,E-1,E-2は開示されておらず,本件発明1は,甲7文献に記載された発明ではない。
また,本件発明1が甲7文献に記載された発明ではない以上,本件発明2?7も,甲7文献に記載された発明ではない。

3 無効理由2-2(新規性の欠如(2))に対する反論(答弁書第23?32ページの「4『(4-3)新規性の欠如(2)』に関し」参照)
甲8文献には,本件発明1の構成要件A?Gのうち,少なくとも構成要件D-1?D-3,E-1,E-2は開示されておらず,本件発明1は,甲8文献に記載された発明ではない。
また,本件発明1が甲8文献に記載された発明ではない以上,本件発明2?7も,甲8文献に記載された発明ではない。


第8 当合議体の判断
1 無効理由1(明確性要件違反)について
(1) 構成要件D-1?D-3について
ア 請求人は,本件発明1の発明特定事項である構成要件Dについて,「第一側壁」(構成要件D-1)と「第二側壁」(構成要件D-2)が具体的にどのような状態になることによって,また,具体的にどのような製造方法を用いることによって,「一体的に形成された側壁」(構成要件D-3)になるか不明であるため,構成要件Dの外延が不明である旨,主張する。

イ まず,構成要件D-3の「一体的」という文言について検討する。
「一体的」という文言が,「一体」と「的」を組み合わせたものであり,それぞれの意味を証拠(甲第2号証の1,甲第2号証の2,乙第1号証)に基づいて把握すると,「一体的」とは,一つになって分けられない状態を意味するものと解釈することができる。
してみると,本件発明1の「・・・第一側壁と・・・第二側壁とを一体的に形成され」とは,「第一側壁」と「第二側壁」が一つになって分けられない状態であることを指すことは明らかである。

ウ また,本件特許明細書及び図面(特に,図1?4)に開示されている発明の実施形態においても,「第一側壁」と「第二側壁」の間に切れ目はなく,一つになって分けられない状態であることは明らかであり,このほか,「第一側壁」と「第二側壁」が一つになっていないものや分かれているものは記載されていないことから,上記イに示した解釈は,本件特許明細書及び図面の記載とも整合しており,妥当なものであるということができる。

エ 次に,請求人の主張について検討する。

オ 請求人は,「本件発明は,使用者の身体を保持することや,使用者の腰や臀部又は大腿部に良好かつ多様なマッサージ作用を与えることを課題とする・・・。かかる課題を実現するには,第一側壁と第二側壁がどのような繋がり方をしていようとも,側壁に設けられた第一マッサージ部と第二マッサージ部において,使用者の腰や臀部又は大腿部を左右方向から押圧する構成が備わっていればよい。かかる観点からも,第一側壁と第二側壁の繋がり方につき,特段の限定を付する理由は不見当である。」(請求人の口頭審理陳述要領書の第5?6ページ2(2)参照)と主張する。
また,請求人は,「・・・使用者の腰や臀部又は大腿部を左右から押圧できる側壁の位置にマッサージ部が設けられることを要旨とするものであり,これらの部材の位置変更の有無や,また,一部の部材の位置が変更した際における他の部材の動作は,本件発明の要旨とは無関係である。・・・側壁の位置にマッサージ部が設けられていれば,リクライニング等によって一部の部材の位置に変更が生じるものであろうがなかろうが,本件発明の要旨から除外する理由はない。」(請求人の平成31年2月5日付け上申書の第3ページ第1の1参照)と主張する。

カ しかしながら,上記イに示したとおり構成要件Dは明らかであり,単に腰や臀部,大腿部を押圧できる構成を有してさえいれば,第一側壁と第二側壁はどのようなものでも良いとする請求人の上記主張には,理由がないことは明らかである。

キ 請求人は,「・・・かえって,発明の詳細な説明には,以下のような記載がある(甲1)。
【0086】また、本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らず、この発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、ロッキング機構部において、ロッキング駆動部31に代えて、ベース7と第1リンク部42(リンク部材40)の間に取り付けられ、椅子本体2を起立状態となるよう付勢するバネ(引張バネ)又はダンパー等よりなる付勢部材を設けてもよい。この場合、付勢部材の付勢力により椅子本体2を起立状態に維持することができるが、座部3に着座した使用者が背凭れ部4に凭れると、背凭れ部4をリクライニング状態とさせることが可能である。そして、使用者が背凭れ部4に凭れる力を弱めると、付勢部材の付勢力によって、リクライニング状態にある背凭れ部4を起立状態に復帰させることができる。
・・・本件発明に同実施例が採用された場合,背凭れ部4は,起立状態にある場合とリクライニング状態にある場合とで,座部3との位置関係に相対的な変化が生じるところ,背凭れ部に設けられた第一側壁と座部に設けられた第二側壁も,これに伴って相対的な位置変化が生じる。したがって,本件発明は,第一側壁と第二側壁の位置が相対的に変化するものもしないものも,その要旨から除外する理由はない・・・」(請求人の平成31年2月5日付け上申書の第3?4ページ第1の2(1)参照)と主張する。

ク しかしながら,本件特許明細書の段落【0086】に開示されているのは,ロッキング駆動部31を付勢部材に置換すれば,駆動源を用いなくても使用者の凭れる力だけで椅子本体2(座部3,背凭れ部4,フットレスト5からなる)を前後揺動できることにすぎず,「第一側壁」と「第二側壁」が一つになって分けられない状態ではないものを含むことまで記載されているとはいえないから,請求人の上記主張には理由がない。

ケ 請求人は,「被請求人において本件発明から除外されると主張する第一側壁と第二側壁の相対的な位置変化が生じ得る構成は,マッサージ機がリクライニングないしロッキングする際にはじめて問題になる。しかるところ,マッサージ機のリクライニングなりロッキングは,以下に示す請求項8においてはじめて特定される構成である。・・・
【請求項8】前記背凭れ部及び前記座部の下方にベース部を有し、ベース部に対して前記背凭れ部及び/又は前記座部を前後に揺動可能に構成されていることを特徴とする請求項1?7のいずれかに記載のマッサージ機。
・・・請求項8は,背凭れ部と座部の前後揺動が『及び/又は』で繋がっていることから明らかなとおり,背凭れ部や座部のみが前後に揺動する構成を含む。すなわち,本件発明は,最下位の従属項である請求項8でさえ,背凭れ部ないし座部の一方のみが前後に揺動するため,両者の位置関係に相対的な変化が生じ得ることにより,これらに設けられた第一側壁と第二側壁の位置関係に相対的な変化が生じ得る構成を含むことが積極的に明示されている。
したがって,請求項1?7の構成につき,第一側壁と第二側壁の位置が相対的に変化するものもしないものも,その要旨から除外する理由はない・・・」(請求人の平成31年2月5日付け上申書の第5ページ第1の2(2)参照)と主張する。

コ しかしながら,請求項8には,ベース部に対して背凭れ部や座部が前後に揺動することが記載されているにすぎず,「第一側壁」と「第二側壁」が一つになっていないとか,「第一側壁」と「第二側壁」を分けられるといったことを特定するものではないから,請求人の上記主張には理由がない。

サ 請求人は,「仮に,請求項2につき,被請求人主張のように,座部と背凭れ部の相対的な位置変化が生じないものを特定していると解するのであれば・・・,請求項1は,相対的な位置変化が生じる構成も含むこととなり,その結果,第一側壁と第二側壁の相対的な位置変化が生じるものも包含することとなる・・・」(請求人の平成31年2月5日付け上申書の第6?7ページ第1の2(3)参照)と主張する。

シ しかしながら,本件発明1の「座部3」と「背凭れ部4」とが相対的に動くものであるか否かとは関係なく,上記イに示したとおり「第一側壁」と「第二側壁」は一つになって分けられない状態にあるものと特定されていることから,請求人の上記主張には理由がない。

(2) 無効理由1についてのまとめ
以上のとおりであるから,構成要件D-1?D-3の記載は明確である。そうすると,これらの構成要件を含むことを理由として,本件発明1?7について不明確であるということはできない。
したがって,本件発明1?7に係る特許は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく,請求人が主張する無効理由1によっては無効とすることはできない。


2 無効理由2-1(新規性の欠如(1))について
(1) 甲7文献の記載及び甲7文献に記載された発明
甲7文献には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,合議体が付与した。)。

ア 「【0017】以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。また、図2はこの椅子型マッサージ機の正面図、図3はこの椅子型マッサージ機の平面図を夫々示している。図1に示すように、椅子型マッサージ機1は、被施療者が着座する座部2と、被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部3と、被施療者の腕部を支持するアームレスト4と、被施療者の脚部を支持するフットレスト5とから主として構成されている。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、座部2に着座した被施療者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。」

イ 「【0023】また、座部2及び背凭れ部3の左右の側方には、座部2に着座した被施療者の腕部を支持するアームレスト4が、背凭れ部3の側方位置から座部2に沿って前方へ延設されるようにして配設されている。このアームレスト4は、上部の肘置き部20とその下部のサイドカバー21とから構成されている。肘置き部20は略円筒状を成し、起立した状態の背凭れ部3における上下方向の中央部分より若干上方位置であって、背凭れ部3に上半身を支持された被施療者の肩の側方に対応する位置から、下方且つ前方へと向かって座部2の前端近傍に至るまで延設されている。また、肘置き部20の後端から前後方向の中央位置近傍に至る内側部分には、被施療者の腕部を肘置き部20内へ挿脱可能な開口20aが形成されている。従って、この開口20aを通じて肘置き部20の内部へ挿入された被施療者の腕部を、手先については略全周囲から、手首近傍から肘を経由して上腕及び肩に至る部分については下方、外側方、及び上方から、それぞれ支持可能になっている。」

ウ 「【0024】このような構成の椅子型マッサージ機1により、座部2に着座した被施療者は、その全身が背面及び左右の側面から包み込まれるようにして支持される。そして、この椅子型マッサージ機1には、被施療者を施療するための様々の動作手段が設けられている。即ち、椅子型マッサージ機1の適宜箇所には複数のエアセル7及びバイブ8が設けられ、膨縮することによって被施療者を押圧可能になっている。また、背凭れ部3には機械式のマッサージ機構9が設けられ、被施療者の上半身の背部を押圧可能になっている。更に、座部2は左右へ揺動可能であり、背凭れ部3は起伏動可能であり、フットレスト5は昇降動及び伸縮動が可能になっている。以下、椅子型マッサージ機1におけるこれらの動作手段について説明する。」

エ 「【0026】座部2の両側部の上方には、前後に並設されたエアセル7b,7bが設けられている。後側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されて成り、前側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されて更にその表面側に1枚の布製のセルが重畳されて構成されており、給気により何れも左右方向の中心側へ向かって膨張する。このようなエアセル7bは、膨縮することによって、座部2に着座した被施療者の臀部(又は腰部)の側部から大腿部の前側部に至る一連の部位を外側方から内側へ向かって押圧可能であり、左右のエアセル7bを同時に膨張することによって臀部(又は腰部)を左右から挟持するようにして保持可能になっている。」

オ 「【0037】図5は、椅子型マッサージ機1の構成を示すブロック図である。この図5に示すように、上述した各エアセル7a?7sは、可撓性中空のエアチューブを介してポンプ及びバルブ等から成る給排気装置51に接続されている。この給排気装置51は座部2の下方に収容されており、同じく座部2の下方に収容された制御部50からの指示に従って駆動し、各エアセル7a?7sへの給排気を互いに独立して行うことができるようになっている。そして、制御部50からの指示により給排気装置51が駆動し、エアセル7a?7sが膨縮することにより、被施療者の全身のいたるところを押圧施療可能であり、肩部(枕7rによる保持)、腕部、臀部(又は腰部)、下腿部、及び足にいたってはこれを保持することも可能になっている。」

カ 「【0047】[背凭れ部及びフットレストの傾倒機構]図7は、背凭れ部3の起伏動作とフットレスト5の昇降動及び伸縮動との様子を示す側面図であり、(a)は、背凭れ部3が立ち上がり且つ収縮したフットレスト5が下降した状態を示し、(b)は、背凭れ部3が後傾し且つ伸長したフットレスト5が上昇した状態を示している。」

キ 「【0048】図7(a)に示すように、背凭れ部3内の背フレーム29は、その下端部より若干上方の位置で、左右方向の枢軸36を介して座フレーム13の後部に支持されている。また、背フレーム29の下端部には、エアシリンダ等から成る直動式のアクチュエータ37の一端が枢支されており、該アクチュエータ37の他端は座フレーム13の前部にて枢支されている。従って、アクチュエータ37が伸長動作及び収縮動作すると、背フレーム29と共に背凭れ部3は、枢軸36を中心としてその上部が前後方向へ回動するようにして起立(図7(a)参照)及び後傾(図7(b)参照)が可能になっている。」

ク 図1


ケ 図2


コ 図5


サ 図7


シ 上記記載事項エによると,座部2の両側部の上方に後側のエアセル7b及び前側のエアセル7bが設けられている。そして,これらエアセル7bは,左右方向の中心側へ向かって膨張することで,被施療者の外側方から内側へ向かって押圧可能であることから,左右方向に押圧可能であると認めることができる。

ス 上記記載事項オによると,制御部50からの指示に従って給排気装置51を駆動し,各エアセル7a?7sへの給排気を行うものであるから,制御部50はエアセル7bの動作を制御するものと認めることができる。

セ 上記記載事項ウ,カ,キの記載を踏まえると,上記サの図7には,背凭れ部3,座部2,アームレスト4の間に相対的な移動が生じることが図示されているといえる。

ソ 甲7発明
上記記載事項ア?サを,これらの認定事項シ?セと併せて技術常識を踏まえて整理すると,甲7文献には次の発明が記載されていると認められる(以下,「甲7発明」という。)。

「 被施療者の上半身を後方から支持する背凭れ部3と,
被施療者が着座する座部2と,
を有する椅子型マッサージ機1において,
前記座部2及び前記背凭れ部3の左右の側方に,前記背凭れ部3の側方位置から前記座部2に沿って前方へ延設されるようにして配設されているアームレスト4を有し,
前記座部2の両側部の上方に前記被施療者の臀部又は腰部の側部から大腿部の前側部に至る一連の部位を左右方向に押圧可能である後側のエアセル7b及び前側のエアセル7bが設けられ,
前記エアセル7bの動作を制御する制御部50を有する
椅子型マッサージ機1。」

(2) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲7発明とを対比すると,以下のとおりである。
甲7発明の「被施療者」は,本件発明1の「使用者」に相当し,以下同様に,「座部2」は「座部」に,「椅子型マッサージ機1」は「マッサージ機」に,それぞれ相当する。
また,甲7発明の「背凭れ部3」は,使用者の上半身を後方から支持するものであるところ,換言すれば,使用者は上半身を後方から支持されるものであるから,使用者が凭れるものであるといえ,本件発明1の「背凭れ部」に相当するといえる。
さらに,甲7発明の「後側のエアセル7b」及び「前側のエアセル7b」は,いずれも対をなし,使用者を左右方向に押圧可能である点で,本件発明1の「第一マッサージ部」及び「第二マッサージ部」と機能が共通する。
そして,甲7発明の「制御部50」は,使用者を左右方向に押圧可能な部材の動作を制御する点で,本件発明1の「制御部」に相当するといえる。

したがって,本件発明1と甲7発明とは,以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「 使用者が凭れる背凭れ部と,
使用者が着座する座部と,
を有するマッサージ機において,
前記使用者を左右方向に押圧可能である対の第一マッサージ部と
前記使用者を左右方向に押圧可能である対の第二マッサージ部が設けられ,
前記第一マッサージ部と第二マッサージ部の動作を制御する制御部を有する
ことを特徴としたマッサージ機。」

そして,本件発明1と甲7発明とは,以下の点で相違している。
<相違点1>
本件発明1では,背凭れ部に設けられた左右で対をなす第一側壁と座部に設けられた使用者の臀部乃至大腿部の外側面に対向する左右で対をなす第二側壁とを一体的に形成された側壁を有するのに対し,甲7発明では,座部及び背凭れ部の左右の側方に,前記背凭れ部の側方位置から前記座部に沿って前方へ延設されるようにして配設されているアームレストを有する点。

<相違点2>
本件発明1では,側壁に使用者の腰部を左右方向に押圧可能である対の第一マッサージ部と使用者の臀部乃至大腿部を左右方向に押圧可能である対の第二マッサージ部が設けられているのに対し,甲7発明では,座部の両側部の上方に被施療者の臀部又は腰部の側部から大腿部の前側部に至る一連の部位を左右方向に押圧可能である後側のエアセル7b及び前側のエアセル7bが設けられている点。

イ 相違点についての検討
以下,各相違点が実質的な相違点か否か検討する。
(ア) 相違点1について
A 本件発明1の「第一側壁」は「背凭れ部に設けられ」ており,「第二側壁」は「座部に設けられ」ている。

B ここで,格助詞「に」は「動作・作用の及ぶ所・方角を指示する。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味することを踏まえると,「背凭れ部」及び「座部」という場所を明確に指示していることから,第一側壁及び第二側壁はそれぞれ背凭れ部自体及び座部自体に取り付けられているものと解釈することが自然である。つまり,第一側壁及び第二側壁はそれぞれ背凭れ部及び座部からある方向に向かって距離をおいて設けられているということではない。

C 一方,甲7発明のアームレスト4は,「背凭れ部3の側方位置から座部2に沿って前方へ延設されるようにして配設されている。」(上記(1)イ参照)ものであり,背凭れ部及び座部に対して相対的に移動するものである(上記認定事項(1)セ参照)ことを踏まえると,アームレスト4は背凭れ部及び座部の側方に位置しているものの,背凭れ部自体及び座部自体にそれぞれ取り付けられているとまではいえないから,甲7発明のアームレスト4には,本件発明1の「第一側壁」及び「第二側壁」に相当する部分がなく,甲7発明のアームレスト4は,本件発明1の「側壁」に相当するとはいえない。

D 請求人は,「構成要件D1,D2の文言上,第一側壁は背凭れ部に側方に,第二側壁は座部の側方に,それぞれ位置するように設けられたものであれば足り,背凭れ部や座部と別に配設されているから,背凭れ部や座部に設けられたと言えなくなるかの如き解釈は成立しない。・・・本件発明の構成要件D1,D2は,背凭れ部や座部の側方に側壁と呼ばれる壁を設ける構成を特定するものであり,背凭れ部が後傾した場合の側壁の状態は一切無関係である。」(請求人の口頭審理陳述要領書の第6?7ページ2(1)参照)と主張する。

E しかしながら,上記Bのとおり,本件発明1は背凭れ部自体及び座部自体にそれぞれ第一側壁及び第二側壁が取り付けられているのに対し,上記Cのとおり,甲7発明はアームレスト4が背凭れ部自体及び座部自体にそれぞれ取り付けられているとまではいえないことから,請求人の上記主張を採用することはできない。

F 以上のとおり,本件発明1と甲7発明は上記相違点1で実質的に相違している。

(イ) 相違点2について
A 本件発明1の第一マッサージ部及び第二マッサージ部と甲7発明の後側及び前側のエアセルとは,2対からなり,使用者の腰部から大腿部にかけて左右方向に押圧可能である点で,共通していることから,各マッサージ部が設けられている箇所と,それらが押圧可能な使用者の部位の観点から検討する。

(イ-1) 各マッサージ部が設けられている箇所について
B 本件発明1の各「マッサージ部」は「側壁に・・・設けられ」ている。

C ここで,上記(ア)Bと同様に考えると,「側壁」という場所を明確に指示していることから,各マッサージ部は側壁自体に取り付けられているものと解釈することが自然である。

D 一方,甲7発明のエアセルは,「座部2の両側部の上方には、前後に並設されたエアセル7b,7bが設けられている。」(上記(1)エ参照)とあるように,座部の上方に設けられているものである。
そして,上記(ア)に示したとおり,甲7発明には,本件発明1の「背凭れ部に設けられた・・・第一側壁と座部に設けられた・・・第二側壁とを一体的に形成された側壁」に相当する構成がそもそも存在しないから,甲7発明のエアセル7b,7bは,本件発明1の各「マッサージ部」に相当するとはいえない。

E 請求人は,「甲7発明のエアセル7b,7bの配設位置は,本件発明と甲7発明の対比においては,アームレスト4との関係で検討すべきであり,座部2との関係を持ち出すこと自体,議論を不当にすり替えるものに過ぎない。
そして,甲7発明のエアセル7b,7bは,使用者の腰部,臀部,大腿部を左右方向から施療するための部材であることからすれば(段落0026),アームレスト4の内側(使用者側)に位置するように設けられる必要があり,実際,図面上もそのように描かれている(図1?図3)。
したがって,被請求人の主張の当否にかかわらず,甲7発明のエアセル7b,7bは,本件発明の第一側壁及び第二側壁に該当するアームレスト4に設けられていると把握される。」(請求人の口頭審理陳述要領書の第8?9ページ2(3)参照)と主張する。

F しかしながら,たしかに甲7発明のエアセル7b,7bはアームレスト4の内側に位置しているものの,アームレスト4自体に取り付けられていると認めるに足りる理由はない。
また,たとえ甲7発明のアームレスト4自体にエアセル7b,7bが取り付けられていたとしても,上記(ア)Cのとおり,アームレスト4は本件発明1の「側壁」に相当するとはいえないことから,甲7発明のエアセル7b,7bは,本件発明1の各「マッサージ部」に相当するとはいえない。

G そうすると,請求人の上記主張には理由がないから,これを採用することはできない。

(イ-2) 各マッサージ部が押圧可能な使用者の部位について
H 本件発明1の「第一マッサージ部」は「腰部」を押圧し,「第二マッサージ部」は「臀部乃至大腿部」を押圧するものである。

I ここで,接続詞「乃至」は(a)「数・階級・種類などを示すときに上と下との限界を示して、中間を略すのに使う語。・・・から・・・にかけて。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版),(b)「または。あるいは。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味するものであるが,これらのうち(a)と(b)のいずれの意味であるかによって,第二マッサージ部の押圧する部位の特定に差異が生じるため,念のため,検討する。

J 本件特許明細書(段落【0018】)には,エアセル10(第二マッサージ部)によってマッサージする部位について「臀部乃至大腿部」と記載されており,上記Iによれば,エアセル10は臀部から大腿部にかけてマッサージするものとも,臀部又は大腿部をマッサージするものとも解釈し得る。

K 一方で,本件特許明細書(段落【0065】,【0066】)には,マッサージユニット9によってマッサージする部位について「臀部又は大腿部」と記載されており,この場合はマッサージユニット9が移動可能であることを前提として,マッサージユニット9と使用者との位置関係(マッサージユニット9による施療部位)が変化する場合に「又は」という表現が使用されているといえる。

L そうすると,移動可能なマッサージユニット9によって「臀部又は大腿部」をマッサージすることと,移動しないエアセル10によって「臀部乃至大腿部」をマッサージすることとは異なる技術概念を表すものとして使い分けられていることは明らかであり,上記Iに示した「乃至」とは(b)の「または。あるいは。」ではなく,(a)の「・・・から・・・にかけて。」と解釈するのが妥当であるといえる。

M してみると,本件発明1の「第一マッサージ部」は「腰部」の部位を押圧し,「第二マッサージ部」は「臀部」から「大腿部」にかけての部位を押圧するものであるといえる。

N これに対して,甲7発明のエアセル7b,7bは,「座部2に着座した被施療者の臀部(又は腰部)の側部から大腿部の前側部に至る一連の部位を外側方から内側へ向かって押圧可能であり、」(上記(1)エ参照)とあるように,エアセル全体として「腰部」,「臀部」,「大腿部」を押圧することまでは認めることができるものの,エアセル7b,7bのそれぞれが,「腰部」,「臀部」,「大腿部」のうち,どの部位を押圧するかについて,具体的なことは何ら記載されておらず,ましてや,一方のエアセルが「腰部」を押圧し,もう一方のエアセルが「臀部」から「大腿部」にかけて押圧するということまでは記載も示唆もない。
そうすると,本件発明1の第一マッサージ部と第二マッサージ部の押圧する部位と,甲7発明のエアセル7b,7bの押圧する部位とが同じであるとまではいい難い。

O 請求人は,「本件発明の構成要件Eは,第一マッサージ部と第二マッサージ部により,腰部から大腿部に至る一連の部位を押圧する技術思想を特定するものであり,個別のマッサージ部による個別の押圧箇所の対応関係を詳細に特定することに特段の技術的意義はない。これに対し,甲7発明のエアセル7b,7bも,まさしく腰部から大腿部に至る一連の部位を後側と前側のエアセル7b,7bで押圧するように構成したものであり(段落0026),本件発明と同一の技術思想を開示する。したがって,甲7発明の後側のエアセル7bと前側の7bが,それぞれ本件発明の第一マッサージ部と第二マッサージ部に該当することは,明らかである。
念のため,本件発明の構成要件Eに即して具体的に敷衍するに,・・・第一マッサージ部において臀部をマッサージする構成を除外するものでもなければ,第二マッサージ部において必ず臀部をマッサージすべきことを特定するものでもない。・・・甲7発明の後側のエアセル7bは腰部を押圧する構成を包含するから本件発明の第一マッサージ部に該当し,乙6発明の前側のエアセル7bは少なくとも大腿部を押圧する構成を備えるから本件発明の第二マッサージ部に該当する。
また,甲7発明のエアセル7b,7bは,臀部又は腰部から大腿部の前側部に至る一連の部位を左右方向から押圧する構成であるから(段落0026),・・・後側のエアセル7bで腰部を押圧し,前側のエアセル7bで臀部から大腿部を押圧することもあり得る。したがって,仮に本件発明の第二マッサージ部の押圧箇所に臀部が含まれるべきであると解したとしても,甲7発明の前側のエアセル7bは,臀部から大腿部を押圧する構成を含むから,本件発明の第二マッサージ部に該当する。」(請求人の口頭審理陳述要領書の第7?8ページ2(2)参照。ただし「乙6発明」とあるのは誤記であり,平成31年1月22日の口頭審理において「甲7発明」と訂正された。)と主張する。
また,請求人は,「・・・甲7発明では,後側のエアセル7bの施療対象に腰部が,前側のエアセル7bの施療対象に臀部や大腿部が含まれ・・・」(請求人の平成31年2月5日付け上申書の第9ページ第3参照)と主張する。

P しかしながら,本件発明1は「第一マッサージ部」が「腰部」を押圧し,「第二マッサージ部」が「臀部乃至大腿部」を押圧するものと特定されているところ,各マッサージ部の押圧箇所を特定することに技術的意義がないとする請求人の主張は,本件発明1の発明特定事項に基づかないものである。また,請求人が主張するもののほかに,甲7発明のエアセルについて本件発明1の各マッサージ部に該当することが明らかであるとする根拠もない。
また,請求人は,本件発明1の第一マッサージ部が臀部を押圧するものを除外するものではなく,第二マッサージ部が必ずしも臀部を押圧するものではないことを前提としているが,上記H?Mに示したとおりであるから,当該前提は成り立たない。
さらに,甲7発明のエアセルについて,後側のエアセルで腰部を押圧し,前側のエアセルで臀部から大腿部を押圧することもあり得るとしているが,甲7文献には,これらエアセルの各々について,押圧する箇所を明確に特定する記載も示唆もない。

Q そうすると,請求人の上記主張には根拠がなく,またその前提も成り立たないから,これを採用することはできない。

R 以上のとおり,本件発明1と甲7発明は上記相違点2にて実質的に相違している。

ウ 本件発明1についてのまとめ
以上のとおり,相違点1,2は実質的な相違点であるから,本件発明1は,甲7文献に記載された発明ではない。
したがって,本件発明1に係る特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものではなく,請求人が主張する無効理由2-1(新規性の欠如(1))によっては無効とすることはできない。

(3) 本件発明2?7について
ア 対比
本件発明2?7は,本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから,本件発明1の構成要件A?Gを全て含み,さらに構成要件H?Mをそれぞれ含むものである。
そして,本件発明2?7と甲7発明とを対比すると,少なくとも上記相違点1,2を含むこととなる。

イ 本件発明2?7についてのまとめ
上記(2)に示したとおり,本件発明1は甲7文献に記載された発明ではない。
そうすると,本件発明2?7も甲7文献に記載された発明ではない。

(4) 無効理由2-1についてのまとめ
以上のとおりであるから,本件発明1?7は,甲7文献に記載された発明であるということはできない。


3 無効理由2-2(新規性の欠如(2))について
(1) 甲8文献の記載及び甲8文献に記載された発明
甲8文献には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,合議体が付与した。)。

ア 「【0029】図7は、本実施の形態に係るマッサージ機1の構成を示すブロック図である。マッサージ機1の背凭れ部3の下部には、制御部6が内蔵されている。該制御部7は、図7に示すようにCPU70,ROM71,RAM72,入出力インタフェース73,タイマ74,及びカウンタ75から主に構成されている。」

イ 「【0043】(実施の形態2)次ぎに、本発明に係るマッサージ機の他の構成について説明する。図9は、本実施の形態に係るマッサージ機10の構成を示す斜視図である。図9に示すように、マッサージ機10は、椅子型をなしており、被施療者が着座するための座部12と、被施療者の上半身を支持するための背凭れ部13と、被施療者の足置きとして用いられるフットレスト14とから主として構成されている。」

ウ 「【0044】座部12は、基台12bの上部に、クッション部12aが配されて構成されている。基台12bは、比較的高い硬度を有する合成樹脂製であり、その内側が凹状に窪んだ形状とされている。クッション部12aは、ウレタンフォーム,スポンジ,又は発泡スチロール製の内装材(図示せず)が基台12bの内面に載置されており、更にこれをポリエステル製の起毛トリコット,合成皮革,又は天然皮革等からなる外装材にて覆って構成されている。従って、座部12は、被施療者が着座したときに、被施療者の腰部及び大腿部を背面部から側部に亘って覆うような形状となっている。」

エ 「【0045】図9に示すように、該座部12のクッション部12a上には複数の空気袋が配置されている。即ち、被施療者が該座部12に着座した場合に、被施療者の大腿部の背面部に対応する部分には空気袋(第1大腿施療部)B21,B22が配置され、大腿部の外側部に対応する部分には空気袋(第2大腿施療部)B23,B24が配置されている。また、被施療者の肛門部に対応する部分には空気袋B25が配置され、臀部及び腰部の側部に対応する部分には空気袋(臀部施療部)B26,B27が配置されている。」

オ 「【0046】なお、これらの空気袋B21?B27は、実施の形態1の図1にて説明した空気袋B1?B7による被施療者への施療と同様の施療を行えるように配置されている。即ち、空気袋B21,B22は、内側部近傍から背面部に至る大腿部の部分を押圧可能であり、空気袋B23,B24は、正面部近傍から側部に至る大腿部の部分を押圧可能である。そして、空気袋B21?B24を膨張・収縮することにより、左右の大腿部を挟み揉みすることができる。また、空気袋B25は、被施療者の肛門部を押圧可能であり、空気袋B26,B27は、被施療者の臀部及び腰部を押圧・挟み揉みすることができる。」

カ 「【0050】背凭れ部13は、座部12の後部に設けられている。この背凭れ部13は、例えばその下端部が基台12bに前後に回動自在に枢着されており、これによってリクライニング可能とされている。なお、背凭れ部13を傾倒させるに伴って、背凭れ部13の下部を座部12の内側に潜り込ませるように背凭れ部13を移動させる構成としてもよい。」

キ 「【0051】また、背凭れ部13は、被施療者の胴体を支持するための部分と、被施療者の頭部を支持するための部分とから主として構成されている。背凭れ部13の全体は、内側が凹状に窪んだ形状をなすカバー部13aによって一体的に構成されており、このカバー部13aの内側に、被施療者の胴体を支持するためのクッション部13bと、被施療者の頭部を支持するためのクッション部13cとが上下に並べられた状態で設けられている。カバー部13aは、基台12bと同じ材料によって、丸みを帯びた略舟形状に形成されており、クッション部13b,13cは、前述したクッション部12aと同じ内装材及び外装材によって構成されている。」

ク 「【0053】また、カバー部13aは、クッション部13cより前方に延設された部分を有しており、この部分の内側にも、クッション部13eが設けられている。このクッション部13eは、被施療者が着座したときに、被施療者の上腕部及び肩の側部を覆うような位置に設けられており、その内部には複数の空気袋が設けられている。」

ケ 「【0056】上述したような構成をなすマッサージ機10の動作は、実施の形態1にて説明したマッサージ機1の動作と同様に、座部12に着座した被施療者の大腿部,臀部,及び腰部を挟み揉みすることができる。なお、マッサージ機10が備える空気袋B21?31の動作の制御は、実施の形態1に示したマッサージ機1と同様であるため、ここではその説明は省略する。」

コ 図7


サ 図9


シ 上記記載事項ウ,エを踏まえると,上記サの図9には,比較的高い硬度を有する合成樹脂製の基台12bの内面にクッション部12aが載置されて座部12が構成されており,当該座部12のうち空気袋B23,B24,B26,B27の左右外側には,クッション部12a及び基台12bからなる部分(以下,「壁部12w」という。)が被施療者の腰部,臀部,大腿部に対向して左右で対をなしていることが図示されているといえる。

ス 上記記載事項キ,クを踏まえると,上記サの図9には,基台12bと同じ材料のカバー部13aの内面にクッション部が設けられて背凭れ部13が構成されており,当該背凭れ部13のうち,前方に延設されて内側のクッション部13eの設けられている部分(以下,「壁部13w」という。)が左右で対をなしていると認めることができる。

セ 上記図示事項シと,認定事項スを踏まえると,上記サの図9には,壁部12wと壁部13wとの間に境界が示されており,これら壁部12wと壁部13wは分かれていると認めることができる。

ソ 上記図示事項シと,上記記載事項エ,オから,空気袋B23,B24,B26,B27は,対となって壁部12wに設けられており,また,被施療者の側部から押圧可能であることから,左右方向に押圧可能であると認めることができる。

タ 上記記載事項ア,ケによると,制御部7によって,空気袋B23,B24,B26,B27の動作を制御すると認めることができる。

チ 上記図示事項シと,認定事項スから,背凭れ部13の部分である壁部13wは背凭れ部13自体に取り付けられており,座部12の部分である壁部12wは座部12自体に取り付けられているといえる。

ツ 甲8発明
上記ア?チについて整理すると,甲8文献には次の発明が記載されていると認められる(以下,「甲8発明」という。)。

「 被施療者の上半身を支持する背凭れ部13と,
被施療者が着座する座部12と,
を有するマッサージ機10において,
前記背凭れ部13に設けられた左右で対をなす壁部13wと
前記座部12に設けられた被施療者の腰部,臀部,大腿部に対向して左右で対をなす壁部12wと
を有し,
前記壁部12wに被施療者の臀部及び腰部を左右方向に押圧可能である対の空気袋B26,B27と
被施療者の大腿部を左右方向に押圧可能である対の空気袋B23,B24が設けられ,
前記空気袋B23,B24,B26,B27の動作を制御する制御部7を有する
マッサージ機10。」

(2) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲8発明とを対比すると,以下のとおりである。
甲8発明の「被施療者」は,本件発明1の「使用者」に相当し,以下同様に,「座部12」は「座部」に,「マッサージ機10」は「マッサージ機」に,それぞれ相当する。
また,甲8発明の「背凭れ部13」は,使用者の上半身を支持するものであるところ,換言すれば,使用者は上半身を支持されるものであるから,使用者が凭れるものであるといえ,本件発明1の「背凭れ部」に相当するといえる。
さらに,甲8発明の「壁部13w」は,左右で対をなし背凭れ部自体に取り付けられている点で,本件発明1の「第一側壁」に相当するといえる。同じく,甲8発明の「壁部12w」は,左右で対をなし,使用者の臀部や大腿部に対向している点で,本件発明1の「第二側壁」に相当するといえる。
そして,甲8発明の「空気袋B26,B27」及び「空気袋B23,B24」は,いずれも対をなし,使用者を左右方向に押圧可能である点で,本件発明1の「第一マッサージ部」及び「第二マッサージ部」と機能が共通する。
加えて,甲8発明の「制御部7」は,使用者を左右方向に押圧可能な部材の動作を制御する点で,本件発明1の「制御部」と共通するといえる。

したがって,本件発明1と甲8発明とは,以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「 使用者が凭れる背凭れ部と,
使用者が着座する座部と,
を有するマッサージ機において,
前記背凭れ部に設けられた左右で対をなす第一側壁と
前記座部に設けられた使用者の臀部乃至大腿部の外側面に対向する左右で対をなす第二側壁と
を有し,
前記使用者を左右方向に押圧可能である対の第一マッサージ部と
前記使用者を左右方向に押圧可能である対の第二マッサージ部が設けられ,
前記第一マッサージ部と第二マッサージ部の動作を制御する制御部を有する
ことを特徴としたマッサージ機。」

そして,本件発明1と甲8発明とは,以下の点で相違している。

<相違点3>
本件発明1は,第一側壁と第二側壁とを一体的に形成された側壁を有するのに対し,甲8発明は,そのような側壁を有するか明らかでない点。

<相違点4>
本件発明1では,側壁に使用者の腰部を左右方向に押圧可能である対の第一マッサージ部と使用者の臀部乃至大腿部を左右方向に押圧可能である対の第二マッサージ部が設けられているのに対し,甲8発明では,壁部12wに被施療者の臀部及び腰部を左右方向に押圧可能である対の空気袋B26,B27と被施療者の大腿部を左右方向に押圧可能である対の空気袋B23,B24が設けられている点。

イ 相違点についての検討
以下,各相違点が実質的な相違点か否か検討する。
(ア) 相違点3について
A 本件発明1の「第一側壁と・・・第二側壁とを一体的に形成された側壁」とは,上記1(1)イのとおり「第一側壁」と「第二側壁」とが一つになって分けられない状態で「側壁」を形成していることを指している。

B 一方,甲8文献には,甲8発明の壁部13wと壁部12wが一体的であることについて何ら記載されておらず,壁部13wと壁部12wを一体的に構成すべきであるとする示唆もない。また,上記認定事項(1)セのとおり,甲8発明の壁部13wと壁部12wは分けられた状態にあり,壁部13wと壁部12wは,一つになって分けられない状態にはないから,一体的に形成されたものではない。

C そうすると,甲8発明は,本件発明1の「第一側壁」及び「第二側壁」に相当する部分(壁部13wと壁部12w)を有するものの,これらを一体的に形成した「側壁」に相当する部分を有するとまではいえない。

D 請求人は,「・・・甲8発明は背凭れ部13がリクライニングすることに基づき縷々述べるが(答弁書28頁),本件発明の構成要件Dは,第一側壁と第二側壁の関係を特定するものであり,背凭れ部がリクライニングした場合の状態など一切無関係である。・・・甲8発明のクッション部13eとクッション部12aは,上記図面のとおり背凭れ部13から座部12の側部にかけて連続して配設されており,背凭れ部13及び座部12に対して一つの側壁を構成していることは明らかである。・・・」(請求人の口頭審理陳述要領書の第11?13ページ3(2)参照)と主張する。

E しかしながら,上記Cのとおり,甲8発明は,本件発明1の「・・・第一側壁・・・第二側壁とを一体的に形成された側壁」に相当する部分を有していないことから,請求人の主張を採用することはできない。

F 以上のとおり,本件発明1と甲8発明は上記相違点3にて実質的に相違している。

(イ) 相違点4について
A 本件発明1の第一マッサージ部及び第二マッサージ部と,甲8発明の空気袋B26,B27及び空気袋B23,B24とは,2対からなり,使用者の腰部から大腿部にかけて左右方向に押圧可能である点で共通していることから,各マッサージ部が設けられている箇所と,それらが押圧可能な使用者の部位の観点から検討する。

(イ-1) 各マッサージ部が設けられている箇所について
B 本件特許の請求項1(上記第3参照)に示されているとおり,本件発明1の各マッサージ部は「側壁に・・・設けられ」た部分である。

C ここで,上記(ア)に示したとおり,甲8発明には,本件発明1の側壁(第一側壁と第二側壁が一体的に形成されたもの)に相当する構成が存在しないから,空気袋が側壁に設けられているということはできない。

D 請求人は,空気袋が設けられている箇所について「甲8発明では,座部12における外側の壁の内面に配置された空気袋B23,B24,B26,B27によって,被施療者の大腿部から腰部にかけて左右方向から押圧,挟み揉みする(段落【0045】【0046】【図9】)。・・・したがって,甲8発明には,本件発明1の構成要件E1及びE2が開示されている。」(審判請求書の第27ページ参照)と主張する。

E しかしながら,甲8発明の空気袋B23,B24,B26,B27について,座部12における外側の壁の内面に設けられていることは示されているものの,そもそも甲8発明の壁部13wと壁部12wは一体的に形成されたものではなく,本件発明1の側壁に相当する構成がないことから,請求人の上記主張はその前提を欠いており,これを採用することはできない。

(イ-2) 各マッサージ部が押圧可能な使用者の部位について
F 本件発明1では,上記2(2)イ(イ)Mのとおり,第一マッサージ部は「腰部」を押圧し,第二マッサージ部は「臀部」から「大腿部」にかけて押圧するものである。

G 一方,甲8発明では,空気袋B26,B27は「臀部及び腰部」を押圧し,空気袋B23,B24は「大腿部」を押圧するものである。

H そうすると,甲8発明の空気袋B26,B27,B23,B24と本件発明1の第一及び第二マッサージ部は,腰部,臀部,大腿部からなる部位を押圧している点では一致しているものの,各マッサージ部が押圧する部位については一致しているとはいえない。

I 以上に示したとおりであるから,甲8発明の空気袋が,「腰部」を押圧するものと,「臀部乃至大腿部」を押圧するものからなるとはいえない。

J 請求人は,「本件発明の構成要件Eは,第一マッサージ部と第二マッサージ部により,腰部から大腿部に至る一連の部位を押圧する技術思想を特定するものであり,個別のマッサージ部による個別の押圧箇所の対応関係を詳細に特定することに特段の技術的意義はない。・・・
また,上記2(2)で説明したとおり,本件発明の構成要件Eは,第一マッサージ部において腰部,第二マッサージ部において臀部又は大腿部が押圧されることで足りる。そして,甲8発明の空気袋B26,B27は少なくとも腰部を押圧する構成を備え,空気袋B23,B24は少なくとも大腿部を押圧する構成を備えるから,それぞれ本件発明の第一マッサージ部と第二マッサージ部に該当する。・・・」(請求人の口頭審理陳述要領書の第10?11ページ3(1)参照。)と主張する。
また,請求人は,「・・・甲8発明では,空気袋B26,B27の施療対象に腰部が,空気袋B23,B24の施療対象に大腿部が含まれる・・・」(請求人の平成31年2月5日付け上申書の第9ページ第3参照)と主張する。

K しかしながら,上記Iのとおり,甲8発明は,「腰部」を押圧するマッサージ部と,「臀部乃至大腿部」を押圧するマッサージ部を有するものではないことから,請求人の主張を採用することはできない。

L 以上のとおり,本件発明1と甲8発明は上記相違点4にて実質的に相違している。

ウ 本件発明1についてのまとめ
以上のとおり,相違点3,4は実質的な相違点であるから,本件発明1は,甲8文献に記載された発明ではない。
したがって,本件発明1に係る特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものではなく,請求人が主張する無効理由2-2(新規性の欠如(2))によっては無効とすることはできない。

(3) 本件発明2?7について
ア 対比
本件発明2?7は,上記2(3)アに示したとおり,本件発明1の構成要件A?Gを全て含み,さらに構成要件H?Mをそれぞれ含むものであるから,本件発明2?7と甲8発明とを対比すると,少なくとも上記相違点3,4を含むこととなる。

イ 本件発明2?7についてのまとめ
上記(2)に示したとおり,本件発明1は甲8文献に記載された発明ではない。
そうすると,本件発明2?7も甲8文献に記載された発明ではない。

(4) 無効理由2-2についてのまとめ
以上のとおりであるから,本件発明1?7は,甲8文献に記載された発明であるということはできない。

4 むすび
以上に述べたとおり,請求人が主張する無効理由及び提出した証拠方法によっては,本件特許の請求項1?7に係る発明についての特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規程により,請求人が負担するべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-28 
結審通知日 2019-03-04 
審決日 2019-03-18 
出願番号 特願2017-95926(P2017-95926)
審決分類 P 1 123・ 113- Y (A61H)
P 1 123・ 537- Y (A61H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 貞雄  
特許庁審判長 芦原 康裕
特許庁審判官 二階堂 恭弘
林 茂樹
登録日 2017-12-08 
登録番号 特許第6253829号(P6253829)
発明の名称 マッサージ機  
代理人 手代木 啓  
代理人 矢倉 雄太  
代理人 特許業務法人R&C  
代理人 辻本 希世士  
代理人 杉野 文香  
代理人 三山 峻司  
代理人 古庄 俊哉  
代理人 丸山 英之  
代理人 重冨 貴光  
代理人 辻本 良知  
代理人 橋本 敬之  
代理人 石津 真二  
代理人 富田 詩織  

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