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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B66C
管理番号 1370649
審判番号 不服2020-4726  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-07 
確定日 2021-02-16 
事件の表示 特願2016- 27275「作業機械のカウンタウエイト」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月24日出願公開、特開2017-145095、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月16日の出願であって、令和1年5月8日付けで拒絶理由通知がされ、令和1年7月16日に手続補正がされ、令和1年12月23日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和2年4月7日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和1年12月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1ないし5に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2014-118224号公報
2.米国特許出願公開第2013/0161278号明細書
3.特開2004-84327号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和1年7月16日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ベースウエイトと、前記ベースウエイトに装着される付加ウエイトとを備える作業機械のカウンタウエイトにおいて、
前記ベースウエイトは、
各々がウェブと前記ウェブの天地方向の端部に設けられたフランジとを有する複数の型鋼により構成され、充填用空間を形成する枠構造体と、
前記充填用空間に充填された充填材とを備える、作業機械のカウンタウエイト。」

なお、本願発明2ないし5は、概略、それぞれ本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した(以下同様。)。

「【請求項1 】
クレーンのカウンタウエイトと、
前記カウンタウエイトを固縛する連結部材と、
を備え、
前記カウンタウエイトは、
ベースウエイトと、
前記ベースウエイト上に積み上げられる第1ウエイト列と、
前記ベースウエイト上に積み上げられ、前記第1ウエイト列と隣り合うように配置される第2ウエイト列と、
を備え、
前記第1ウエイト列は、上下方向に貫通する第1差込孔を備え、
前記第2ウエイト列は、上下方向に貫通する第2差込孔を備え、
前記連結部材は、
前記第1差込孔に差し込まれるとともに前記ベースウエイトに結合される第1連結部材と、
前記第2差込孔に差し込まれるとともに前記ベースウエイトに結合される第2連結部材と、
前記第1ウエイト列および前記第2ウエイト列それぞれの上面の上に配置され、前記第1連結部材と前記第2連結部材とを連結する棒状の第3連結部材と、
を備える、カウンタウエイト固縛装置。」

「【0012】
カウンタウエイト10は、クレーンCの吊上能力を向上させるためのおもりである。カウンタウエイト10は、旋回フレームFの後端部(後側X2端部)に取り付けられる。図2 に示すように、カウンタウエイト10は、ベースウエイト20と、下端ウエイト列25と、第1ウエイト列30と、第2ウエイト列40 と、を備える。なお、第1ウエイト列30及び第2ウエイト列40を「ウエイト列30・40」とする。
【0013】
ベースウエイト20 は、ウエイト列30・40の受け台(架台、トレー)である。図1に示すように、ベースウエイト20は、旋回フレームFから左右(横方向Y両側)に突出するように、旋回フレームFの後端部に固定される。図2に示すように、ベースウエイト20は、例えば長方形の板状等のベースウエイト本体部20aと、引掛部20bと、を備える。ベースウエイト本体部20aは、引掛部サポート部20asを備える。
【0014】
引掛部サポート部20asは、ベースウエイト本体部20aに対して引掛部20bを支持する部材である。引掛部サポート部20asは、例えば、ベースウエイト本体部20aの上面と下面とをつなぐように、この上面と下面とに固定される。引掛部20bがピン(柱状の部材)の場合、引掛部サポート部20as(いわばピンサポート部)は、ピン孔を備える板(例えば長方形の板)である。この場合、例えば2枚の引掛部サポート部20asが、1本の引掛部20bを支持する(図1参照)。
【0015】
引掛部20b は、第1連結部材60の下側結合部65(後述)、及び、第2連結部材70の下側結合部75(後述)と結合可能に構成される。引掛部20bは、ベースウエイト本体部20a(の引掛部サポート部20as)に固定される。引掛部20bは、ベースウエイト本体部20aの内部に複数配置される。図1に示すように、引掛部20bは、例えば、横方向Yに延びる棒状等である。引掛部20bは、例えば、ピン(円柱状の部材)である。」

「【0023】
ウエイト31は、略直方体などの部材である。複数のウエイト31が積み上げられたものが、第1ウエイト列30である。」

「【0025】
第2ウエイト列40は、図3に示すように、第1ウエイト列30と同様に、複数のウエイト41と、第2差込孔47と、を備える。」

「【0026】
連結部材50(固縛部材)は、ベースウエイト20に対してウエイト列30・40を固縛する部材である。」


「【図2】

」(図2)

「【図3】

」(図3)

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ベースウエイト20と、前記ベースウエイト20上に積み上げられる複数のウエイト31が積み上げられたものである第1ウエイト列30及び複数のウエイト41が積み上げられたものである第2ウエイト列40とを備えるクレーンCのカウンタウエイト10において、
前記ベースウエイト20は、
前記第1ウエイト列30及び第2ウエイト列40の受け台であり、連結部材50により第1ウエイト列30及び第2ウエイト列40が固縛され、旋回フレームFに固定される、
クレーンCのカウンタウエイト10。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0010] As to the above mentioned mobile counterweight equipment of crawler crane, wherein the said counterweight equipment further includes counterweights and counterweight tray, the said counterweight tray is connected to the said pair of trolley with wheels and the said counterweight tray is hung vertically beneath the said main platform, the said counterweights are placed on the said counterweight tray.
(当審和訳:上述のようにクローラクレーンの移動カウンタウエイト装置において、前記カウンタウエイト装置は、さらにカウンタウエイト及びカウンタウエイトトレイを備えており、前記カウンタウエイトトレイは前記車輪付きトロリーの対に接続されて前記カウンタウエイトトレイが前記プラットフォームの下方に垂直に吊り下げられ、前記カウンタウエイトはカウンタウエイトトレイ上に配置される。)」

「[0012] Among the above mentioned mobile counterweight equipment of crawler crane, wherein the said counterweight tray is mainly composed of several identical trays.
(当審和訳:上述のクローラクレーンの移動カウンタウエイト装置において、記述カウンタウエイトトレイは主にいくつかの同一のトレイによって構成されている。)」

「[0026] As shown in FIG. 2 and FIG. 3, the present invention is a mobile counterweight equipment of crawler crane, includes a main platform 100, further includes a pair of sliding rails 110 on two sides of the main platform, slider means 120 and counterweight equipment 200 on the sliding rails 110; the counterweight equipment 200 is connected to the slider means 120, the slider means 120 slides back and forth on the sliding rails 110.
(当審和訳:図2及び図3に示すように、本発明は、スライドレール110上のクローラクレーンの移動カウンタウエイトであり、メインプラットホーム100を備え、さらにメインプラットフォームの両側に一対のスライドレール110を備え、スライドレール110上のスライダ手段120およびカウンタウエイト装置200を備える。カウンタウエイト装置200がスライダ手段120に接続されており、スライダ手段120がスライドレール110上を前後にスライドする。)」

「[0032] Furthermore, the counterweight equipment 200 includes counterweights 201 and counterweight tray 202, counterweight tray 202 is connected to the pair of trolleys which work as slider means 120 and counterweight tray is hung vertically beneath the main platform 100, counterweights 201 are placed on the counterweight tray 202. It is convenient to configure the increment and decrement of counterweight by using counterweight tray 202. On that basis, as shown in FIG. 5, the counterweight tray is mainly composed of several identical trays. It can achieve appropriate counterweight 201 space by increasing or decreasing the number of the counterweight trays when there is a need for different weight.
(当審和訳:さらに、カウンタウエイト装置200はカウンタウエイト201とカウンタウェイトトレイ202を備えており、カウンタウエイトトレイ202は、スライダ手段120として機能するトロリーの対に接続されており、カウンタウエイトトレイはメインプラットフォーム100の下に垂直に吊され、カウンタウエイト201はカウンタウエイトトレイ202上に載置される。これは、カウンタウエイトトレイ202を用いてカウンタウェイトの増加及び低減を設定するのに便利である。その上で、図5に示すように、カウンタウエイトトレイは主にいくつかの同一のトレイによって構成されている。異なる重量が必要とされているときには、カウンタウエイトトレイの数を増減させることによって、適切なカウンタウエイト201空間を達成することができる。)」



」(図2)



」(図3)



」(図5)

したがって、特に図5から、カウンタウエイトトレイ202は複数の部材により構成される枠状構造体であるといえることを考慮すると、上記引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「クローラクレーンの移動カウンタウエイト装置200が、メインプラットフォーム100の下に垂直に吊される複数の部材により構成される枠状構造体のカウンタウエイトトレイ202とその上に載置されるカウンタウエイト201とを備えること。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0040】
41は左, 右の縦板34,35のウエイト支持部34B,35B上に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト41は、例えば中空な製缶構造体内に鉄屑、コンクリート等の重量調整材を充填することにより形成され、垂直面となった前面部41A、円弧状の凸湾曲面となった後面部41B、水平面となった上面部41C及び下面部41D等によって囲まれた質量体として構成されている。また、図2に示すように、カウンタウエイト41の下面部41Dには、左,右の縦板34,35のウエイト支持部34B,35Bが挿入される左,右の縦板挿入部41E,41Fが凹設されている。」

「【図2】

」(図2)

したがって、上記引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「建設機械のカウンタウエイト41が、例えば中空な製缶構造体内に鉄屑、コンクリート等の重量調整材を充填することにより形成されていること。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「ベースウエイト20」、「ベースウエイト20の上に積み上げられる複数のウエイト31が積み上げられたものである第1ウエイト列30及び複数のウエイト41が積み上げられたものである第2ウエイト列40」及び「クレーンCのカウンタウエイト10」は、順に、本願発明1における「ベースウエイト」、「ベースウエイトに装着される付加ウエイト」及び「作業機械のカウンタウエイト」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「ベースウエイトと、前記ベースウエイトに装着される付加ウエイトとを備える作業機械のカウンタウエイト。」

(相違点)
「ベースウエイト」に関し、本願発明1は、「各々がウェブと前記ウェブの天地方向の端部に設けられたフランジとを有する複数の型鋼により構成され、充填用空間を形成する枠構造体と、前記充填用空間に充填された充填材とを備える」のに対し、引用発明では、「第1ウエイト列30及び第2ウエイト列40の受け台であり、連結部材50により第1ウエイト列30及び第2ウエイト列40が固縛され、旋回フレームFに固定される」ものの上記「枠構造体」と「充填材」とを備えない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討すると、先に説示したとおり引用文献2及び3にはそれぞれ、「クローラクレーンの移動カウンタウエイト装置200が、メインプラットフォーム100の下に垂直に吊される複数の部材により構成される枠状構造体のカウンタウエイトトレイ202とその上に載置されるカウンタウエイト201とを備えること。」及び「建設機械のカウンタウエイトが、例えば中空な製缶構造体内に鉄屑、コンクリート等の重量調整材を充填することにより形成されていること。」という技術的事項が記載されている。
しかしながら、付加ウエイトが装着される「ベースウエイト」に関する、「各々がウェブと前記ウェブの天地方向の端部に設けられたフランジとを有する複数の型鋼により構成され、充填用空間を形成する枠構造体と、前記充填用空間に充填された充填材とを備える」構成の、少なくとも「充填用空間を形成する枠構造体と、前記充填用空間に充填された充填材とを備える」構成は、引用文献1ないし3のいずれにも記載も示唆もされていない。
そして、引用発明の「ベースウエイト20」は「連結部材50により第1ウエイト列30及び第2ウエイト列40が固縛され、旋回フレームFに固定される」のであるから、その構成として、メインプラットフォームの下に垂直に吊される引用文献2に記載された技術的事項の移動カウンタウエイト装置の「カウンタウエイトトレイ」のものを採用する動機付けがあるとはいえない。
また、引用発明は「ベースウエイト20の上に積み上げられる複数のウエイト31が積み上げられたものである第1ウエイト列30及び複数のウエイト41が積み上げられたものである第2ウエイト列40」を備えるのであるから、その「ベースウエイト20」を、引用文献3に記載された技術的事項の「重量調整材を充填することにより形成されている」構成として、それ自体が重量調整できるものとする動機付けがあるともいえない。
さらに、仮に、引用文献2に記載された「複数の部材」が「各々がウェブと前記ウェブの天地方向の端部に設けられたフランジとを有する複数の型鋼」であったとしても、先にも述べたとおりそれは「充填用空間を形成する枠構造体と、前記充填用空間に充填された充填材とを備える」ものではないから、さらに充填用空間に充填された充填材を備える構成とすることまでは、たとえ、充填用空間に充填された充填材を備えていることが一般に行われていることであるといえたとしても、当業者が容易に想到し得たことととはいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5も、上記相違点に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし5は、当業者が引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-01-29 
出願番号 特願2016-27275(P2016-27275)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B66C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今野 聖一  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 尾崎 和寛
田村 嘉章
発明の名称 作業機械のカウンタウエイト  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
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