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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1370719
審判番号 不服2019-14721  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-05 
確定日 2021-01-27 
事件の表示 特願2018- 7886「駆動回路および発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018-180517〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年1月22日にされた特許出願(パリ条約による優先権主張、平成29年4月12日、台湾)である。
平成30年10月31日付けで拒絶理由が通知(発送日:平成30年11月13日)された後、平成31年2月12日付けで特許請求の範囲についての補正がされ、令和元年6月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、同年7月9日に査定の謄本が送達された。
これに対して、令和元年11月5日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)がされた。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についての補正をするものである。本件補正前(平成31年2月12日付けの補正の後をいう。以下同じ。)及び本件補正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。

(1)本件補正前
下線は、本件補正より削除された記載を示す。
「【請求項1】
発光ダイオードモジュールを駆動するための駆動回路であって、
制御モジュールと、
前記制御モジュールおよび前記発光ダイオードモジュールに電気的に接続されており、前記発光ダイオードモジュールを駆動するように複数の駆動信号を提供する駆動モジュールと、
前記発光ダイオードモジュールおよび前記制御モジュールに電気的に接続され、前記発光ダイオードモジュールの電圧または電流を検出して、前記電圧または前記電流に対応する検出信号を前記制御モジュールに送信する検出モジュールと、を備え、
前記制御モジュールは、前記発光ダイオードモジュールを前記複数の駆動信号の少なくとも一つの駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、前記複数の駆動信号の少なくとも一つの波形を調整し、
前記検出信号は、前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間内における電圧変化量または電流変化量である
ことを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
前記所定の時間は、ピコ秒から数十マイクロ秒である
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
前記検出信号に応じて前記少なくとも一つの前記複数の駆動信号の波形を調整する補償ユニットをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記制御モジュールは、前記制御モジュールが前記複数の駆動信号の前記複数の波形を調整する複数の補償パラメータを記憶するための記憶ユニットをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項5】発光ダイオードモジュールと、
制御モジュールと、
前記制御モジュールおよび前記発光ダイオードモジュールに電気的に接続されており、前記発光ダイオードモジュールを駆動するように複数の駆動信号を提供する駆動モジュールと、
前記発光ダイオードモジュールおよび前記制御モジュールに電気的に接続され、前記発光ダイオードモジュールの電圧または電流を検出して、前記電圧または前記電流に対応する検出信号を前記制御モジュールに送信する検出モジュールと、を備え、
前記制御モジュールは、前記発光ダイオードモジュールを波形が調整された駆動信号の駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、複数の駆動信号の中の一つの前記駆動信号の波形を調整し、
前記検出信号は、前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間内における電圧変化量または電流変化量である
ことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
前記発光ダイオードモジュールは、
第1発光ダイオード列と、
第2発光ダイオード列と、を備え、
前記駆動モジュールは、前記第1発光ダイオード列および前記第2発光ダイオード列をそれぞれ駆動するように、複数の第1駆動信号および複数の第2駆動信号を提供し、
前記制御モジュールは、前記第1発光ダイオード列および前記第2発光ダイオード列をそれぞれ波形が調整された前記第1駆動信号および波形が調整された前記第2駆動信号のそれぞれの駆動時間において均一に発光させるように、前記第1発光ダイオード列の第1検出信号および前記第2発光ダイオード列の第2検出信号のそれぞれに応じて、前記複数の第1駆動信号の少なくとも一つおよび前記複数の第2駆動信号の少なくとも一つを調整する
ことを特徴とする、請求項5に記載の発光装置。」

(2)本件補正後
下線は、補正箇所を示す。
「【請求項1】
発光ダイオードモジュールを駆動するための駆動回路であって、
制御モジュールと、
前記制御モジュールおよび前記発光ダイオードモジュールに電気的に接続されており、前記発光ダイオードモジュールを駆動するように複数の駆動信号を提供する駆動モジュールと、
前記発光ダイオードモジュールおよび前記制御モジュールに電気的に接続され、前記発光ダイオードモジュールの電圧または電流を検出して、前記電圧または前記電流に対応する検出信号を前記制御モジュールに送信する検出モジュールと、を備え、
前記制御モジュールは、前記発光ダイオードモジュールを前記複数の駆動信号の少なくとも一つの駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、前記複数の駆動信号の少なくとも一つの波形を調整し、
前記検出信号は、所定の時間内における電圧変化量または電流変化量であり、前記電圧または前記電流に対応する連続的な波形である
ことを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
前記駆動信号の駆動時間Tにおいて、前記所定の時間ΔTは、ピコ秒から数十マイクロ秒である
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
前記検出信号に応じて前記少なくとも一つの前記複数の駆動信号の波形を調整する補償ユニットをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記制御モジュールは、前記制御モジュールが前記複数の駆動信号の前記複数の波形を調整する複数の補償パラメータを記憶するための記憶ユニットをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項5】
発光ダイオードモジュールと、
制御モジュールと、
前記制御モジュールおよび前記発光ダイオードモジュールに電気的に接続されており、前記発光ダイオードモジュールを駆動するように複数の駆動信号を提供する駆動モジュールと、
前記発光ダイオードモジュールおよび前記制御モジュールに電気的に接続され、前記発光ダイオードモジュールの電圧または電流を検出して、前記電圧または前記電流に対応する検出信号を前記制御モジュールに送信する検出モジュールと、を備え、
前記制御モジュールは、前記発光ダイオードモジュールを波形が調整された駆動信号の駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、複数の駆動信号の中の一つの前記駆動信号の波形を調整し、
前記検出信号は、所定の時間内における電圧変化量または電流変化量であり、前記電圧または前記電流に対応する連続的な波形である
ことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
前記発光ダイオードモジュールは、
第1発光ダイオード列と、
第2発光ダイオード列と、を備え、
前記駆動モジュールは、前記第1発光ダイオード列および前記第2発光ダイオード列をそれぞれ駆動するように、複数の第1駆動信号および複数の第2駆動信号を提供し、
前記制御モジュールは、前記第1発光ダイオード列および前記第2発光ダイオード列をそれぞれ波形が調整された前記第1駆動信号および波形が調整された前記第2駆動信号のそれぞれの駆動時間において均一に発光させるように、前記第1発光ダイオード列の第1検出信号および前記第2発光ダイオード列の第2検出信号のそれぞれに応じて、前記複数の第1駆動信号の少なくとも一つおよび前記複数の第2駆動信号の少なくとも一つを調整する
ことを特徴とする、請求項5に記載の発光装置。」

2 本件補正の目的
特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明りょうでない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
本件補正のうち、請求項1に係る補正は、本件補正前の「前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間内における電圧変化量または電流変化量」という記載から、「前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の」という限定を省き、「所定の時間内における電圧変化量または電流変化量」と補正することを含むものである。この補正事項が、上記第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しないことは明らかである。
また、上記補正事項が、上記第1、3、4の各号に掲げられた目的のいずれにも該当しないことは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に掲げられた目的のいずれにも該当しないから、本件補正は、同項の規定に違反するのであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。


第3 本願発明について
1 本願に係る発明
本件補正は、上記第2において述べたとおり却下されたから、本願の請求項1から請求項6に係る発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1から請求項6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は、以下のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。

<本願発明>
「発光ダイオードモジュールを駆動するための駆動回路であって、
制御モジュールと、
前記制御モジュールおよび前記発光ダイオードモジュールに電気的に接続されており、
前記発光ダイオードモジュールを駆動するように複数の駆動信号を提供する駆動モジュールと、
前記発光ダイオードモジュールおよび前記制御モジュールに電気的に接続され、前記発光ダイオードモジュールの電圧または電流を検出して、前記電圧または前記電流に対応する検出信号を前記制御モジュールに送信する検出モジュールと、を備え、
前記制御モジュールは、前記発光ダイオードモジュールを前記複数の駆動信号の少なくとも一つの駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、前記複数の駆動信号の少なくとも一つの波形を調整し、
前記検出信号は、前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間内における電圧変化量または電流変化量である
ことを特徴とする駆動回路。」

2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定における拒絶の理由のうち、本願発明に関するものは、次のとおりである。
本願発明は、以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用文献:国際公開第2016/128716号

3 引用文献に記載された発明
(1)引用文献に記載された技術事項。
引用文献には、以下の記載がある。翻訳文は、引用文献(国際公開第2016/128716号)の公表特許公報である特表2018-508033に依り、参照を容易にするため、公表特許公報の段落番号も記してある。なお、下線は、当審が付した。
1頁3-7行



「【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)などの半導体デバイスを発光させるための駆動器に関する。特に、排他的ではないが、本発明は、ディスプレイパネルまたはプロジェクタ等のディスプレイシステムにおけるLED用の駆動器に関する。」

1頁9-19行



「【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネルおよびプロジェクタの色順次式発光は、画像担持光の光源としてLEDを使用することができる。画像は、ディスプレイパネルの中のLEDのアレイ内のLEDの選択されたパターンからパターン化された光の短いパルスを用いて形成される。カラー画像を表示するために、LEDのアレイは、短いパルスの速い連続で、繰り返し、所望のパターンを生成するように制御されなければならない。これは、ディスプレイパネルが、3つの色成分値(例えば、赤、緑、青)の各々の1つで所望のパターンを表示することを許容する。順次式表示の効果は、視覚的に言えば、フルカラーで所望のパターンを表示することである。もちろん、所望のパターンは、静止画像であってもよいし、または、動画像の1つのフレームに対応してもよい。」

1頁20-24行



「【0003】
高品質画像を達成するために、LEDからの光出力は、理想的には、LEDが「オン」状態にあるときの時間にわたって均一であるべきである。理想的には、各LEDが、有意な遅延なく、「オン」と「オフ」との間で素早く変化するように、LEDは、ディスプレイパネルの切り替えと良好に同期されるべきである。


2頁28行-3頁7行





「【発明の概要】
【0008】
その態様の第1において、本発明は、ディスプレイのための光を生成するために、発光ダイオード(light-emitting diode:LED)を非発光状態と発光状態との間で切り替えるためのLEDディスプレイ用の駆動回路を提供し得、この駆動回路は、 LEDと; LEDを通る駆動電流流路を選択的に開閉し、それによってLEDを非発光状態と発光状態との間で選択的に切り替えるよう構成された駆動電流制御器と; LEDの接合静電容量によってLEDの中に電荷を保持するために、LEDの中に電荷を入力するための電荷注入器ユニットと; 駆動電流流路の開と同時にLEDの中に電荷を入力するために電荷注入器ユニットを制御するよう構成された制御ユニットとを備える。」

3頁24行-4頁9行





「【0013】
電荷注入器ユニットは、LEDの順方向閾値電圧の値とLEDの接合静電容量の値の積によって決定される値に応じた所定量の電荷をLEDに入力するように構成され得る。より一般的には、LEDが、それを横断する、ゼロでない閾値下(サブスレッシュヨルド:sub-threshold) 電圧を有する場合、注入されるべき電荷の量は、LEDの順方向閾値電圧と閾値下電圧との差の値と、その接合静電容量の値との積に応じて決定され得る。好ましくは、コントローラは、以下のように、その中に注入する電荷の適切な値を計算するために、LEDの接合静電容量(C)の値を計算するのに以下のステップを実装する、または、制御するように構成され得る。
【0014】
(1)LEDの接合静電容量(C)内の既存の保持された電荷を放電する。
【0015】
(2)接合静電容量を再充電することを開始するために、LEDから実質的に一定の電流(I)を引き出す。
【0016】
(3)接合静電容量が再充電する場合に所定の時間間隔(dt)に生じるLEDの両端間の電圧の変化(dv)を決定する。」

7頁27行-8頁3行



「【0041】
図4を参照すると、駆動回路1は、ディスプレイにおけるLEDを駆動するために、非発光(オフ)状態と発光(オン)状態との間でLEDを切り替えるように構成される。駆動回路は、LEDのアノードとカソードとの両方に並列に電気的に接続された、静電容量3の等価回路コンポーネントによって図1に表された接合静電容量を有するLED2を含む。」

8頁4-14行



「【0042】
LEDのアノードは、LEDのカソードと供給電圧源5との間の電気的なやり取りを制御可能に開閉する(接続および切断する)スイッチングトランジスタ4(ここではFET)を介して、供給電圧源5(接地に対して電圧V)に接続される。トランジスタのゲート端子はLED電圧制御ユニット6に電気的に接続され、トランジスタのドレインとソース端子は、供給電圧源5とLEDのアノードに電気的に接続される。電圧制御ユニット6は、結果としてLEDのアノードを供給電圧源5に電気的に接続する/切断するために、電圧制御ユニット6によってゲート端子に印加される制御電圧に応じて、スイッチングトランジスタ4の導電性を制御するように構成される。」

8頁15-25行



「【0043】
同様に、LEDのカソードは、電気的に接地される端子7(0ボルト(volt))で終端する電流流路に沿って、電流検出抵抗9と直列に接続された電流制御用トランジスタ8(ここではFET)に接続される。電流制御トランジスタのドレインとソース端子は、それぞれ、LEDのカソードと電流検出抵抗9に接続される。トランジスタのゲートは、トランジスタを線形/オーミック(Ohmic)領域で動作させ、それによって、トランジスタの導電性(ドレイン電流)がトランジスタを通るドレインからソースへの電圧降下に応じて可変である(即ち、可変抵抗の態様で)ように、トランジスタ8の閾値電圧より低い電圧をゲート端子に印加するよう構成された駆動電流制御ユニット10に接続される。」

8頁26行-9頁6行





「【0044】
導電性であるように駆動電流制御ユニットにより制御されるとき、電流制御トランジスタ8は、電流が、電流検出抵抗9を介して、接地された端子7への電流流路に沿ってLED2のカソードから流れることを許容する。そうすることにおいて、電圧は、電流検出抵抗を通して降下され、この電圧は、この目的のために、当技術分野で容易に利用手可能であるような電圧モニタを備える電流モニタユニット11によって検出される。検出された電圧信号値(V_(detected))は、電流モニタ11により、検出抵抗の抵抗値(R)
によるオームの法則(I_(detected) = V_(detected)/ R)によって、検出された電流信号値(Idetected)に変換される。このようにして、電流モニタは、LEDが「オフ」である場合に何らかの電流の流れがないことを簡単に検出し、また、LEDが「オン」である場合に電流流路に存在する任意の駆動電流の値を提供することを可能にする。」

9頁7-18行



「【0045】
電流モニタが、「オフ」状態(即ち、電流が検出されない)から「オン」状態(即ち、駆動電流が検出される)になる遷移を検出すると、それは、それに動作可能に接続された制御ユニット12に「充電要求(charge demand)」信号21を発行する。更に、検出された電流の値は、電流モニタユニット11によって、「電流フィードバック」信号20として、駆動電流制御ユニット10に送られる。駆動電流制御ユニットは、受け取られた検出された電流値を、「設定ポイント(set-point)」電流値(I_(SP))と比較し、検出された電流の値を設定ポイント電流値に接近させる必要に応じてトランジスタの導電性を増加または減少させるために、電流制御用トランジスタ8のゲートに印加される電圧の値を変化させるように構成される。従って、フィードバックループが形成され、電流流路を通じて流れる電流が所望の一定値に維持されることを可能にする。

9頁19行-10頁2行





「【0046】
制御ユニット12は、制御信号バス44を介して、電荷注入器ユニット13に電荷注入信号16を発行することにより、電流モニタからの「充電要求」信号21に応答するように構成される。電荷注入器ユニットは、LEDの接合静電容量3を充電するように、制御された量の電荷をLEDに入力するために、電荷注入信号に応答する。これを達成するために、電荷注入器ユニットは、電荷注入経路15を介して直接に(即ち、電流制御トランジスタ8とは独立に)、LEDのカソードに電気的に接続される。ここで説明される電荷注入器ユニット13は、以下に図6を参照してより詳細に示される電荷注入器ユニットと同じである。これは、高速スイッチ46を用いる電荷注入経路を介して、それ自体が制御可能にLEDのカソードに接続可能な電流源45(図6参照)を備える。高速スイッチは、開状態から閉状態に切り替えるために電荷注入信号16に応答し、それにより、電流源をLEDのカソードとの電気的接続状態に置き、電荷が前者から後者に流れることを可能にする。」

10頁3-12行



「【0047】
駆動電流が検出された即座のそのような電荷の注入の結果は、さもなければ、LEDの「点灯(turn-on)」の初期段階におけるLEDの接合静電容量の充電に因り生じたであろう電流損失を補償するのに十分な量だけ、駆動電流値が最初に幾分か増進されることである。この電流の増進は、図5における追加の電流ピーク30として概略的に示され、LEDの結果としての輝度は、「点灯(turn-on)」時、および、それ以降も実質的に一定である。駆動電流は、上記の電流フィードバックループ(信号20)の作用により、LEDの発光期間の間、引き続いて実質的に一定の値に維持される。」

11頁28行-12頁3行





「【0051】
(3)接合静電容量が充電されるとき、LEDの両端間で、時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化(例えば、落下)を測定する。この電圧は、LEDのカソードにおける電圧をモニタするように、および、制御ユニット12にその結果を入力するように構成されるカソード電圧モニタユニット40によってモニタされる。制御ユニット、または、カソード電圧モニタ40は、所与の時間間隔(dt)後に起こった、測定された電圧変化(dV)の値を決定し、または、計算するよう構成される。」

12頁12行-13頁15行





「【0053】
(5)LEDの接合静電容量源を十分に充電するように、 Δt = C (V_(Th)- V_(pc))/I_(inject) として規定された時間間隔の間、実質的に固定された電流(I_(inject))をLEDに注入する。ここで、V_(Th)は、LEDの順方向閾値電圧であり、V_(pc)は、ゼロでない、閾値下の値に事前設定され得る、LEDの両端間に事前に存在する(事前チャージ)電圧である。好ましくは、電流制御ユニット10は、時間間隔Δtを計算するように構成され、時間間隔Δ t の間高速スイッチ46を閉じ、それによって一定電流源45をLEDのカソードに接続し、従って接合静電容量に電荷を注入することによって電荷注入を実現するために、制御信号16を電荷注入器ユニット13(図4;より詳細には図6)に対して発行するように構成され得る。本例において、カソードにおける電圧を言及する場合、好ましくは、電圧は、値において落下する。しかし、LEDの両端間の電圧に言及すると、好ましくは、電圧は、値において、増加する、または、上昇する(ramping)。このように、LEDの両端間の電圧を、時間をかけて線形的に増加する(徐々に上げる)ことによって、固定された接合静電容量が、LEDから引き出される一定電流を生成する。従って、LEDに印加される電圧を上昇させる間に、LEDから引き出される電流を測定することによって、LEDの両端間のバイアス電圧上の静電容量を決定し、電荷注入器13によってLEDに注入されるのに必要とされる電荷の量を決定し得ることが見出された。好ましくは、LEDの両端間に印加される線形的に上昇される電圧は、LEDから引き出されるほぼ全ての電流がLEDの中の接合静電容量から引き出されるように、LEDが非導電状態のままであることを確実にするために、LEDの閾値電圧以下に制限される。これは、LEDの接合静電容量から放電される電荷と、結果として電流を生成することに因るものである。LEDへの電流増加(ブースト)のこの注意深く測定された印加の結果は、図5において付加的な電流ピーク30として概略的に示され、結果としてのLEDの輝度は、LEDの「点灯(turn-on)」時およびそれ以降に、実質的に一定である。図5では、電流パルスの終了は、落ち込み(dip)31を有する。これは、LEDの接合静電容量から放電される電流に起因する。「オン」状態から「オフ」状態へのLED の出力輝度における急速な変化を達成するために、電荷ステア(steer)ユニット17が、LEDのカソードに直接に(即ち、電流制御トランジスタ8を介さずに)電気的に接続される。電荷ステアユニットは、LEDのカソードとアノードとの間の電位差を、LEDの閾値電圧以下であるように減少させるのに十分である電圧を、LEDのカソードに印加するように構成される。結果的に、LEDは、非発光となることにより応答し、図5(項目31)に示されるように、急速に放電することを可能にする。」

13頁27行-14頁7行





「【0055】
例えば、図4に示され、図6により詳細に示されたように、電荷ステアユニット17は、ソースとドレイン端子が、それぞれ、電源19(電圧V)とLEDのカソードに電気的に接続された、FETなどのトランジスタスイッチ43を備え得る。スイッチ43のゲート端子は、制御ユニット12からの制御信号を受けるために、信号バス線44に接続される。制御ユニットは、オーミック(Ohmic)領域でトランジスタを動作させ、それにより、LEDのカソードに可変の電圧信号を供給するように、制御信号をスイッチ43に供給するように構成され得る。代替的に、図6に示されるように、電荷ステアユニット17は、信号バス線44を介した制御ユニット12からの充電制御信号22に応答して開/閉するように動作可能な高速スイッチを介してLEDのカソードに接続される事前チャージキャパシタ49を備え得る。高速スイッチ47を閉じることで、事前チャージキャパシタ49に保持された電圧をLEDのカソードに印加する。」




(図4からの認定事項)
図4からは、LED電圧制御器(6)が電流制御器(10)からの電圧要求を受け、電流制御器(10)は、制御ユニット(12)から電流要求を受け、制御されていることが見て取れる。





(2)引用文献に記載された発明の認定
上記アの記載事項を総合すると、引用文献1には下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
ディスプレイのための光を生成するために、発光ダイオード(LED)を非発光状態と発光状態との間で切り替えるためのLEDディスプレイ用の駆動回路1であって(【0008】、【0041】)、
次のAからDを備え、
A)接合静電容量を有するLED2(【0041】)、
B)制御ユニット12と(【0046】、【0055】)、
C)LED電圧制御ユニット6、駆動電流制御ユニット10、電荷注入器ユニット13、電荷ステアユニット17(【0042】、【0043】、【0046】、【0053】)、
D)カソード電圧モニタユニット40、電流モニタユニット11(【0044】、【0051】)、
電荷注入器ユニット13は、LED2の順方向閾値電圧の値とLED2の接合静電容量の値の積によって決定される値に応じた所定量の電荷をLED2に入力するように構成され、LED2の接合静電容量(C)の値を計算するのに以下のステップ(ア)から(ウ)を実装し(【0013】)、
(ア)LED2の接合静電容量(C)内の既存の保持された電荷を放電するステップ(【0014】);
(イ)接合静電容量を再充電することを開始するために、LED2から実質的に一定の電流(I)を引き出すステップ(【0015】);
(ウ)接合静電容量が再充電する場合に所定の時間間隔(dt)に生じるLED2の両端間の電圧の変化(dv)を決定するステップ(【0016】)、
LED2のアノードは、LED2のカソードと供給電圧源5との間の電気的なやり取りを制御可能に開閉する(接続および切断する)スイッチングトランジスタ4(ここではFET)を介して、供給電圧源5(接地に対して電圧V)に接続され、トランジスタのゲート端子はLED電圧制御ユニット6に電気的に接続され、トランジスタのドレインとソース端子は、供給電圧源5とLED2のアノードに電気的に接続され、LED電圧制御ユニット6は、結果としてLED2のアノードを供給電圧源5に電気的に接続する/切断するために、LED電圧制御ユニット6によってゲート端子に印加される制御電圧に応じて、スイッチングトランジスタ4の導電性を制御するように構成され(【0042】)、
LED2のカソードは、電気的に接地される端子7(0ボルト(volt))で終端する電流流路に沿って、電流検出抵抗9と直列に接続された電流制御用トランジスタ8(ここではFET)に接続され、電流制御トランジスタのドレインとソース端子は、それぞれ、LED2のカソードと電流検出抵抗9に接続され、トランジスタのゲートは、トランジスタを線形/オーミック(Ohmic)領域で動作させ、それによって、トランジスタの導電性(ドレイン電流)がトランジスタを通るドレインからソースへの電圧降下に応じて可変である(即ち、可変抵抗の態様で)ように、トランジスタ8の閾値電圧より低い電圧をゲート端子に印加するよう構成された駆動電流制御ユニット10に接続され(【0043】)、電流流路を通じて流れる電流が所望の一定値に維持されることを可能にし(【0045】)、
電流モニタユニット11は、LED2が「オフ」である場合に何らかの電流の流れがないことを簡単に検出し、また、LED2が「オン」である場合に電流流路に存在する任意の駆動電流の値を提供することを可能にし(【0044】)、
制御ユニット12は、制御信号バス44を介して、電荷注入器ユニット13に電荷注入信号16を発行することにより、電流モニタからの「充電要求」信号21に応答するように構成され、電荷注入器ユニット13は、LED2の接合静電容量3を充電するように、制御された量の電荷をLED2に入力するために、電荷注入信号に応答し(【0046】)、
LED2の結果としての輝度は、点灯(turn-on)時、および、それ以降も実質的に一定であり(【0047】)、
接合静電容量が充電されるとき、LED2の両端間で、時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化電圧は、LED2のカソードにおける電圧をモニタするように、および、制御ユニット12にその結果を入力するように構成されるカソード電圧モニタユニット40によってモニタされ、制御ユニット12、または、カソード電圧モニタ40は、所定の時間間隔(dt)後に起こった、測定された電圧変化(dV)の値を決定し、または、計算するよう構成され(【0051】)、
電荷ステアユニット17は、LED2のカソードとアノードとの間の電位差を、LED2の閾値電圧以下であるように減少させるのに十分である電圧を、LED2のカソードに印加するように構成され、結果的に、LED2は、非発光となることにより応答し、急速に放電することを可能にし(【0053】)、
電荷ステアユニット17は、制御ユニット12からの制御信号を受けるために、信号バス線44に接続され(【0055】)、
LED電圧制御ユニット6が駆動電流制御ユニット10からの電圧要求を受け、駆動電流制御ユニット10は、制御ユニット12から電流要求を受け、制御されている(図4からの認定事項)、
駆動回路。


4 対比
(1)本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「LEDディスプレイ用」の「発光ダイオード(LED)」は、「ディスプレイのための光を生成するため」のものであるから、「発光ダイオードモジュール」の一種であることは明らかである。したがって、「発光ダイオードモジュールを駆動するための駆動回路」である本願発明と「ディスプレイのための光を生成するために、発光ダイオード(LED)を非発光状態と発光状態との間で切り替えるためのLEDディスプレイ用の駆動回路」である引用発明は、「発光ダイオードモジュールを駆動するための駆動回路」の点で一致している。

イ 引用発明の「制御モジュール」は、本願発明の「制御ユニット12」に相当する。したがって、本願発明と引用発明は「制御モジュール」を備える点で一致している。


(ア)引用発明の「LED電圧制御ユニット6」は、「結果としてLED2のアノードを供給電圧源5に電気的に接続する/切断するために、LED電圧制御ユニット6によってゲート端子に印加される制御電圧に応じて、スイッチングトランジスタ4の導電性を制御するように構成され」ている。
引用発明の「駆動電流制御ユニット10」は、「トランジスタのゲートは、トランジスタを線形/オーミック(Ohmic)領域で動作させ、それによって、トランジスタの導電性(ドレイン電流)がトランジスタを通るドレインからソースへの電圧降下に応じて可変である(即ち、可変抵抗の態様で)ように、トランジスタ8の閾値電圧より低い電圧をゲート端子に印加するよう構成され」、「電流流路を通じて流れる電流が所望の一定値に維持されることを可能に」するものである。
引用発明の「電荷注入器ユニット12」は、「LED2の順方向閾値電圧の値とLED2の接合静電容量の値の積によって決定される値に応じた所定量の電荷をLED2に入力するように構成され」ている。
引用発明の「電荷ステアユニット17」は、「LED2のカソードとアノードとの間の電位差を、LED2の閾値電圧以下であるように減少させるのに十分である電圧を、LED2のカソードに印加するように構成され、結果的に、LED2は、非発光となることにより応答し、急速に放電することを可能にし」ている。
したがって、引用発明の「LED電圧制御ユニット6」及び「スイッチングトランジスタ4」、「駆動電流制御ユニット10」及び「電流制御用トランジスタ8」、「電荷注入器ユニット12」並びに「電荷ステアユニット17」は、全体として、発光ダイオードモジュールを駆動するように駆動信号を提供するものであるから、本願発明の「前記発光ダイオードモジュールを駆動するように駆動信号を提供する駆動モジュール」に相当するということができる。そして、「LED電圧制御ユニット6」及び「スイッチングトランジスタ4」、「駆動電流制御ユニット10」及び「電流制御用トランジスタ8」、「電荷注入器ユニット12」並びに「電荷ステアユニット17」は、全体として、「LED2」に電気的に接続していることは明らかである。
(イ)引用発明においては、「LED電圧制御ユニット6が駆動電流制御ユニット10からの電圧要求を受け、駆動電流制御ユニット10は、制御ユニット12から電流要求を受け、制御されている」から、「LED電圧制御ユニット6」と「電流制御ユニット10」は全体として、「制御ユニット12」に電気的に接続していることは明らかである。
引用発明における「電荷ステアユニット17」は、「制御ユニット12からの制御信号を受けるために、信号バス線44に接続される」から、「制御ユニット12」に電気的に接続していることは明らかである。
引用発明にいては、「制御ユニット12は、制御信号バス44を介して、電荷注入器ユニット13に電荷注入信号16を発行する」から、「電荷注入器ユニット13」は、「制御ユニット12」に電気的に接続していることは明らかである。
(ウ)上記(ア)及び(イ)の点を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記制御モジュールおよび前記発光ダイオードモジュールに電気的に接続されており、前記発光ダイオードモジュールを駆動するように駆動信号を提供する駆動モジュール」を備える点で一致している。

エ 引用発明においては、「接合静電容量が充電されるとき、LED2の両端間で、時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化電圧は、LED2のカソードにおける電圧をモニタするように、および、制御ユニット12にその結果を入力するように構成されるカソード電圧モニタユニット40によってモニタされ」、「カソード電圧モニタ40」が「所定の時間間隔(dt)後に起こった、測定された電圧変化(dV)の値を決定し、または、計算するよう構成され」ているものを含むから、この「LED2のカソードにおける電圧」は、本願発明の「発光ダイオードモジュールの電圧」に相当し、「時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化電圧」は、本願発明の「前記電圧または前記電流に対応する検出信号」に相当し、「カソード電圧モニタユニット40」は、本願発明の「発光ダイオードモジュールの電圧を検出」する「検出モジュール」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、「前記発光ダイオードモジュールおよび前記制御モジュールに電気的に接続され、前記発光ダイオードモジュールの電圧を検出して、前記電圧または前記電流に対応する検出信号を前記制御モジュールに送信する検出モジュール」を備える点において一致している。

オ 引用発明においては、「電荷注入器ユニット13は、LED2の順方向閾値電圧の値とLED2の接合静電容量の値の積によって決定される値に応じた所定量の電荷をLED2に入力するように構成され、LEDの接合静電容量(C)の値を計算するのに」、「(ア)LED2の接合静電容量(C)内の既存の保持された電荷を放電するステップ;(イ)接合静電容量を再充電することを開始するために、LED2から実質的に一定の電流(I)を引き出すステップ;(ウ)接合静電容量が再充電する場合に所定の時間間隔(dt)に生じるLED2の両端間の電圧の変化(dv)を決定するステップ」を実装しており、「LED2の結果としての輝度は、点灯(turn-on)時、および、それ以降も実質的に一定であり」、「電荷ステアユニット17は、LED2のカソードとアノードとの間の電位差を、LED2の閾値電圧以下であるように減少させるのに十分である電圧を、LED2のカソードに印加するように構成され、結果的に、LED2は、非発光となることにより応答し、急速に放電することを可能にし」、「接合静電容量が充電されるとき、LED2の両端間で、時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化電圧は、LED2のカソードにおける電圧をモニタするように、および、制御ユニット12にその結果を入力するように構成されるカソード電圧モニタユニット40によってモニタされ」ているから、この「LED2」の「輝度」が「点灯(turn-on)時、および、それ以降も実質的に一定」であること、及び、「LED2」が「接合静電容量」の「急速」な「放電」に「応答」して「非発光となること」は、本願発明の「前記発光ダイオードモジュールを駆動信号の駆動時間において均一に発光させる」ことに相当し、「電荷注入器ユニット13」が「LED2の順方向閾値電圧の値とLED2の接合静電容量の値の積によって決定される値に応じた所定量の電荷をLED2に入力する」こと、及び、「電荷ステアユニット17」が「LED2のカソードとアノードとの間の電位差を、LED2の閾値電圧以下であるように減少させるのに十分である電圧を、LED2のカソードに印加する」ことは、本願発明の「前記検出信号に応じて、駆動信号の波形を調整」することに相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、「前記制御モジュールは、前記発光ダイオードモジュールを駆動信号の駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、駆動信号の波形を調整」しているということができる。

カ 本願発明においては、「前記検出信号は、前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間内における電圧変化量または電流変化量である」との特定がある。
「点滅」とは、通常は、「発光量がゼロでない有限の値の状態から発光量がゼロの状態に変わることまたはその逆の状態変化」を意味するが、このように解釈すると、「点滅の際」とは、期間が定義できない一瞬となる。しかし、「所定の時間内における電圧変化量または電流変化量」と特定していることから、この特定事項によれば「所定の時間」という期間が定義されていることになる。すなわち、本願発明の「点滅」を上記通常の意味で解釈すると矛盾が生じてしまうから、本願発明における「点滅の際」とは前記のような期間が定義できない瞬間を指しているのではなく、上記「所定の時間」を規定するにあたって「発光ダイオード」の点灯や消灯が関係していることを指すにすぎないと解するのが相当である。
また、本願の図面には、図2Bに、横軸が時間で縦軸が電圧(検出信号)の図が示されており、ΔT及びΔVが示されているところ、本願の明細書及び図面においては、図2BのΔVの計測の始点と終点が発光ダイオードの閾電圧をまたいでいることの説明はない(図2Bの縦軸は、発光量を示すものではないから、発光ダイオードがどの時点で閾電圧を越えて発光を開始するのかを図2Bから読み取ることはできない。)。そうすると、本願発明の「点滅する際の所定の時間」は、上述のとおり「発光ダイオード」の点灯や消灯が関係しているものの、その点灯や消灯の開始タイミングとは無関係に規定されるべきものであって、上記「点滅の際の所定の時間」とは、発光量がゼロの状態と最大発光量の状態の間で、電圧又は電流の変化が検出できる期間であるという程度の意味にしか理解することができない。
上記の点を踏まえると、引用発明は、「接合静電容量が充電されるとき、LEDの両端間で、時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化電圧は、LEDのカソードにおける電圧をモニタするように、および、制御ユニット12にその結果を入力するように構成されるカソード電圧モニタユニット40によってモニタされ、制御ユニット、または、カソード電圧モニタ40は、所定の時間間隔(dt)後に起こった、測定された電圧変化(dV)の値を決定し、または、計算するよう構成され」ているから、この「時間間隔(dt)」は、本願発明の「前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間」に相当し、「時間期間(dt)にわたる電圧(dV)の変化電圧」は、本願発明の「所定の時間内における電圧変化量」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は、「前記検出信号は、前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間内における電圧変化量である」点において一致している。

(2)一致点及び相違点
前記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

ア 一致点
「発光ダイオードモジュールを駆動するための駆動回路であって、
制御モジュールと、
前記制御モジュールおよび前記発光ダイオードモジュールに電気的に接続されており、
前記発光ダイオードモジュールを駆動するように駆動信号を提供する駆動モジュールと、
前記発光ダイオードモジュールおよび前記制御モジュールに電気的に接続され、前記発光ダイオードモジュールの電圧または電流を検出して、前記電圧または前記電流に対応する検出信号を前記制御モジュールに送信する検出モジュールと、を備え、
前記制御モジュールは、前記発光ダイオードモジュールを前記駆動信号の駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、前記駆動信号の波形を調整し、
前記検出信号は、前記発光ダイオードモジュールが点滅する際の所定の時間内における電圧変化量または電流変化量である
ことを特徴とする駆動回路。」

イ 相違点
本願発明においては、
「駆動モジュール」が「提供」する「駆動信号」は、「複数の駆動信号」であり、「制御モジュール」は、「前記複数の駆動信号の少なくとも一つの駆動時間において均一に発光させるように、前記検出信号に応じて、前記複数の駆動信号の少なくとも一つの波形を調整」するのに対して、引用発明は、そのような特定がない点。

5 相違点についての検討
(1)「複数の駆動信号」についての本願明細書の開示内容
複数の駆動信号について、本願の明細書には下記の記載がある。下線は当審が付与した。
「【0019】
制御モジュール11は駆動モジュール12に電気的に接続される。駆動モジュールは、発光ダイオードモジュール13に電気的に接続され、複数の駆動信号を発光ダイオードモジュール13に提供し発光ダイオードモジュール13を駆動する。本実施例では、複数の駆動信号は、複数の矩形波電圧信号または複数の矩形波電流信号を含んで、発光ダイオードモジュール13を駆動するためのものであり、本発明では制限されない。つまり、本実施例では、一つの矩形波は一つの駆動信号と言われる。複数の駆動信号も複数の矩形波を表す。他の実施例では、駆動信号は、三角波または所定の形状の波形、例えば、正弦波またはスルーレート(slew rate)を有する台形状の波形であってもよく、本発明では制限されない。」
「【0023】
図2Aは補償調整されていない駆動信号の波形である。図3Bは補償調整されていない検出信号の波形である。図2Aに示すように、複数の駆動信号は、全て矩形波である。」
「【0028】
制御モジュール11'は駆動モジュール12'に電気的に接続される。駆動モジュールは、発光ダイオードモジュール13'に電気的に接続され、複数の駆動信号を発光ダイオードモジュール13'に提供し発光ダイオードモジュール13'を駆動する。本実施例では、複数の駆動信号は、複数の矩形波電圧信号または複数の矩形波電流信号を含んで、発光ダイオードモジュール13'を駆動するためのものであり、本発明では制限されない。」

(2)相違点の検討
上記の記載を参酌すると、本願発明の「複数の駆動信号」とは、例えば、一つの矩形状のパルスを一つの駆動信号とした場合に、そのような矩形状パルスが複数個連なった複数のパルスからなる信号と理解することができる。引用発明は、「ディスプレイのための光を生成するために、発光ダイオード(LED)を非発光状態と発光状態との間で切り替えるためのLEDディスプレイ用の駆動回路」の発明であるところ、画像を表示するために、駆動信号が複数のパルスからなる信号であるべきことは自明のことにすぎず、実質的な相違点とはいえない。

(3)審判請求人の主張
審判請求人は、審判請求書において「引用文献1の発明は、一つのLEDに対する駆動回路です(図4等参照)。しかし、複数のLEDを駆動するように複数の駆動信号を提供するという本願の上記特徴Aを開示してはいません。」と主張しているところ、当該主張は、明細書における「複数の駆動信号」の意味を変更するものであり(上記(1)を参照。)、採用することができない。
また、仮に「複数の駆動信号」を「複数のLEDを駆動する」ためのものと解釈したとしても、引用発明は、「ディスプレイのための光を生成するために、発光ダイオード(LED)を非発光状態と発光状態との間で切り替えるためのLEDディスプレイ用の駆動回路」の発明であるところ、画像を表示するために、複数のLEDを駆動することは、自明のことであるから、実質的な相違点とはいえない。
(引用文献の公表特許公報の【0002】には、「画像は、ディスプレイパネルの中のLEDのアレイ内のLEDの選択されたパターンからパターン化された光の短いパルスを用いて形成される。カラー画像を表示するために、LEDのアレイは、短いパルスの速い連続で、繰り返し、所望のパターンを生成するように制御されなければならない。」と記載されており、「LEDのアレイ」とあることから、引用発明も「複数のLED」を駆動することを前提としているといえる。)

(4)作用効果について
本願発明の奏する作用効果として、引用発明に記載された発明の奏する作用効果から予測されるものを超える格別顕著なものは認められない。

4 まとめ
上記のとおり、相違点は実質的な相違点ではないから、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-08-27 
結審通知日 2020-09-01 
審決日 2020-09-14 
出願番号 特願2018-7886(P2018-7886)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 悟  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 濱野 隆
岡田 吉美
発明の名称 駆動回路および発光装置  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
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