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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1370730
審判番号 不服2019-14062  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-23 
確定日 2021-02-16 
事件の表示 特願2015- 95372「メッセージ表示装置、監視システム、メッセージ表示方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-212607、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年5月8日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年12月 6日 :拒絶理由通知書
平成31年 2月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 7月19日付け:拒絶査定(原査定)
令和 元年10月23日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年10月20日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 2年12月24日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし6に係る発明は、以下の引用文献A及びBに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
A 特開2001-084026号公報
B 特開2014-026473号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
(理由1:明確性要件違反)
本願請求項1ないし6に係る発明は、明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(理由2:サポート要件違反)
本願請求項1ないし6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(理由3:進歩性欠如)
本願請求項1ないし6に係る発明は、以下の引用文献1ないし6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1 特開2014-26547号公報
2 特開平4-149725号公報(周知技術を示す文献)
3 特許第5449630号公報(周知技術を示す文献)
4 特開2006-276956号公報(周知技術を示す文献)
5 特開平3-40024号公報(周知技術を示す文献)
6 特開2000-250784号公報

第4 本願発明
本願請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和2年12月24日に提出された手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし5は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
監視対象機器の状況に関する時系列のメッセージを取得するメッセージ取得部と、
メッセージ表示装置の画面内のメッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し、前記メッセージ表示領域における表示対象を切り替えるための第1の所定の指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示し、その後に、表示されるメッセージを変更するための第2の所定の指示が入力されたことに応じて、前記メッセージ表示領域に、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する表示制御部と、
を備えるメッセージ表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記第1の所定の指示が入力され、最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ領域が表示された後、過去方向への移動を示す指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に、表示中の前記メッセージよりも発生時刻を過去方向に順に移動させて前記メッセージを時系列に表示させ、現在方向への移動を示す指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に、表示中の前記メッセージよりも発生時刻を現在方向に順に移動させて前記メッセージを時系列に表示させる、
請求項1に記載のメッセージ表示装置。
【請求項3】
監視対象機器の状況を表すデータを受信する受信部と、
前記データに基づいて前記監視対象機器の状況に関するメッセージを生成するメッセージ生成部と、
監視端末の画面内のメッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し、前記メッセージ表示領域における表示対象を切り替えるための第1の所定の指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示し、その後に、表示されるメッセージを変更するための第2の所定の指示が入力されたことに応じて、前記メッセージ表示領域に、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する表示制御部と、
を備える監視システム。
【請求項4】
監視対象機器の状況に関する時系列のメッセージを取得するメッセージ取得ステップと、
監視端末の画面内のメッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し、前記メッセージ表示領域における表示対象を切り替えるための第1の所定の指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示し、その後に、表示されるメッセージを変更するための第2の所定の指示が入力されたことに応じて、前記メッセージ表示領域に、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する表示制御ステップと、
を有するメッセージ表示方法。
【請求項5】
コンピュータに、
監視対象機器の状況に関する時系列のメッセージを取得するメッセージ取得ステップと、
監視端末の画面内のメッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し、前記メッセージ表示領域における表示対象を切り替えるための第1の所定の指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示し、その後に、表示されるメッセージを変更するための第2の所定の指示が入力されたことに応じて、前記メッセージ表示領域に、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する表示制御ステップと
を実行させるためのプログラム。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献に記載された事項
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のために当審が付与した。(以降の記載においても同様。)

「【0001】
本発明は、例えば、プラントの監視制御業務を行うために用いられる監視制御装置、監視制御方法及び監視制御システムに関する。」

「【0023】
図2は、監視制御システム1A及び監視制御装置3Aの構成例を示すブロック図である。
上述したように監視制御システム1Aは、表示装置2Aが接続された監視制御装置3Aを備える。そして、監視制御装置3Aには、上下水道プラント4と入力装置7が接続されている。」

「【0025】
監視制御装置3Aは、上下水道プラント4の運転を制御すると共に、上下水道プラント4の動作を監視している。具体的には、監視制御装置3Aは、入力装置7から作業者の入力操作を受付け、上下水道プラント4に対して、入力操作に基づく操作指示を出力し、上下水道プラント4から受け取った出力結果を表示装置2Aに表示する。また、監視制御装置3Aは、上下水道プラント4から、例えば、圧力計4e、流量計4f等が出力した計測値を含む入力信号を受け取り、表示画面20(後述する図4参照)を表示装置2Aに表示する。」

「【0040】
また、表示画面20のレイアウトには、被監視対象に生じたイベントの情報を表示する第3の表示エリアとして、アラーム表示エリア21が設けられている。また、ログインした作業者の情報を表示する第4の表示エリアとして、ログイン名称表示エリア22が設けられている。
【0041】
アラーム表示エリア21には、直近に発生したアラームの情報が1件から5件程度まで表示される。このため、作業者は最新のアラームを常に監視しながら作業を行うことができる。なお、アラームの情報が6件以上になると、アラームの発生日時が古い順に過去のアラームの情報は表示されなくなる。しかし、不図示のログ監視画面等により、所定期間内に発生した全てのアラームの情報を確認することが可能である。」

「【図3】



(2)引用発明
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「プラントの監視制御業務を行うために用いられる監視制御装置、監視制御方法及び監視制御システムであって、
監視制御システム1Aは、表示装置2Aが接続された監視制御装置3Aを備え、そして、監視制御装置3Aには、上下水道プラント4と入力装置7が接続され、
監視制御装置3Aは、入力装置7から作業者の入力操作を受付け、上下水道プラント4に対して、入力操作に基づく操作指示を出力し、上下水道プラント4から受け取った出力結果を表示装置2Aに表示し、また、上下水道プラント4から、例えば、圧力計4e、流量計4f等が出力した計測値を含む入力信号を受け取り、表示画面20を表示装置2Aに表示し、
表示画面20のレイアウトには、被監視対象に生じたイベントの情報を表示する第3の表示エリアとして、プラントが発生したアラームを表示するアラーム表示エリア21が設けられ、アラーム表示エリア21には、直近に発生したアラームの情報が1件から5件程度まで表示され、アラームの情報が6件以上になると、アラームの発生日時が古い順に過去のアラームの情報は表示されなくなるが、不図示のログ監視画面等により、所定期間内に発生した全てのアラームの情報を確認することが可能である、
監視制御装置、監視制御方法及び監視制御システム。」

2 引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(第2ページ右下欄下から4行目?第3ページ右上欄第12行)
「 キーポード14から入力されたデータは、中央処理装置11を介して通信インタフェース12から通信回線2を通ってホストコンピュータ3に送られる。ホストコンピュータ3は、送られてきたデータに対応したデータを通信回線2を介して情報処理装置1へ送る。通信インタフェース12で受信したデータは中央処理装置11を介して第2図(1)のように通信データ格納メモリ16に格納される。通信データ格納メモリ16に格納された最新データは第2図(2)のように画面表示メモリ15の最新データ表示エリアに転送され、第2図(3)のように画面に表示される。
このように新しい行が発生するたびに画面先頭行のデータを消して2行目以下をスクロールさせて、最下行に新データを表示しているが、従来と異なる点は画面から消えてしまったデータでも、通信データ格納メモリ16内の最も古いデータとなるまで、そのデータが通信データ格納メモリ16に格納されていることである。
次に、画面から消えてしまったが、通信データ格納メモリ16に格納されている通信データに遡って再表示する作用について説明する.
通信中にある特定のキー(例えば、上矢印キー等)が押されると逆スクロールモードになる。まず、第3図(1)のように、通信データ格納メモリ16の画面先頭ポインタを一つ前に戻す。次に、画面表示メモリ15の画面先頭ポインタを画面最下行である一つ前の位置に戻してその行データをクリアする。そして、通信データ格納メモリ16で更新された先頭行のデータ「1111・・・」を第3図(2)のように画面表示メモリ15の先頭行ポインタの示すエリアに転送し、第3図(3)のように画面から消えたデータが逆スクロールして再度表示される。ここで、通信データ格納メモリ16と画面表示メモリ15にある画面先頭ポインタと画面最下行は、同じタイミングで更新される。」

よって、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているといえる。

「情報処理装置1がホストコンピュータ3から受信した最新データは、画面表示メモリ15の最新データ表示エリアに転送され、新しい行が発生するたびに画面先頭行のデータを消して2行目以下をスクロールさせて、最下行に新データを表示しているが、ある特定のキー(例えば、上矢印キー等)が押されると逆スクロールモードになり、画面から消えたデータが逆スクロールして再度表示されること。」

3 引用文献3について
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0023】
図1は、プログラマブル表示器で使用されるオブジェクトの一例を示す図である。タッチパネル式のプログラマブル表示器で使用されるオブジェクトには、情報の表示のみを行う表示オブジェクトと、タッチスイッチのように操作に対して反応する操作オブジェクトと、が存在する。
【0024】
表示オブジェクトとして、外部接続機器のデバイス値に応じて表示を切換えるランプ501、デバイス値を定期的に収集し、蓄積した時系列情報を折線グラフで表示するトレンドグラフ502、デバイス値をそのまま数値として表示する数値表示503などがある。」

「【0032】
図4は、この実施の形態によるプログラマブル表示器で切換えられる2つのモードを説明する図であり、(a)は通常操作モード時の画面状態の一例を示す図であり、(b)は画面ジェスチャモード時の画面状態の一例を示す図である。図4(a)に示されるように、通常操作モード時には、画面ジェスチャ適用領域701と画面ジェスチャ非適用領域702に配置される図示しない操作オブジェクトを操作することができる。一方、図4(b)に示されるように、画面ジェスチャモード時には、画面ジェスチャモードであることがユーザによって視覚的に認識可能なように、通常操作モード時とは表示が異なるようにしている。この例では、画面ジェスチャモード時には、画面ジェスチャ適用領域701の外周部を太線703で囲うようにしている。また、この太線703は、たとえば赤色などの視覚的に目立つ配色としてもよいし、点滅表示させるようにしてもよい。」

「【図4】



よって、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているといえる。

「外部接続機器のデバイス値を収集して表示するプログラマブル表示器において、
画面状態には、プログラマブル表示器で切換えられる2つのモード(通常モードと画面ジェスチャモード)があり、
画面ジェスチャモード時には、画面ジェスチャモードであることがユーザによって視覚的に認識可能なように、通常操作モード時とは表示が異なるように、画面ジェスチャ適用領域701の外周部を太線703で囲うようにし、この太線703は、たとえば赤色などの視覚的に目立つ配色としてもよいし、点滅表示させるようにしてもよいこと。」

4 引用文献4及び引用文献5について
当審拒絶理由に引用された引用文献4及び引用文献5は、令和2年12月24日に提出された手続補正書による補正により削除された、当該補正前の請求項3に対して提示されたものであるので、ここでは摘記を省略する。

5 引用文献6について
当審拒絶理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠隔地にある被監視計算機を監視計算機で監視する遠隔監視システムに関する。」

「【0010】
【発明の実施の形態】本発明による遠隔監視システムの第1の実施の形態の構成を図1に示す。この第1の実施の形態の遠隔監視システムは、各々が事象の発生に基づいてシステムメッセージを出力する複数のプロセス(システムメッセージ出力手段)2_(1),…2_(1)およびシステムメッセージ監視プロセス(システムメッセージ監視手段)4を有する被監視計算機1と、この被監視計算機1側に設けられた外部記憶装置3およびテンプレート格納ファイル5と、メッセージ受信表示プロセス(メッセージ受信表示手段)24を有する監視計算機20と、この監視計算機20側に設けられたテンプレート格納ファイル26および監視マシンコンソール30と、を備えている。すなわち本実施の形態の遠隔監視システムは図7に示す従来の遠隔監視システムにおいて、テンプレート格納ファイル5および26を設けた構成となっている。」

「【0015】送信すると判断した場合は、システムメッセージ監視プロセス4によって、上記システムメッセージの固定文字列と同じ配列の固定文字列を有するテンプレートがテンプレート格納ファイル5から見出される(図3のステップF3参照)。そしてこの見出されテンプレートを識別するテンプレート識別子と、上記システムメッセージを構成している可変データとがシステムメッセージ監視プロセス4によって組合されて図2(c)に示すようなパラメータデータが作成される(図3のステップF4参照)。続いてこのパラメータデータは、システムメッセージ監視プロセス4によってもモデム12および電話回線15を介して監視計算機20に送信される(図3のステップF5参照)。
【0016】この送信されたパラメータデータはモデム17を介してメッセージ受信表示プロセス24によって受信される。そして、受信したパラメータ中のテンプレート識別子に一致するテンプレートがメッセージ受信表示プロセス24によってテンプレート格納ファイル26
から見出され、読込まれる(図4のステップF11参照)。
【0017】続いて、読込まれたテンプレート中の文字変数(図2(b)参照)を、上記パラメータデータ中の可変データに置換えるようにメッセージ受信表示プロセス24が編集し、システムメッセージを再生する(図4のステップF12参照)。そしてこの再生したシステムメッセージはメッセージ受信表示プロセス24によって表示装置(監視マシンコンソール)30に表示される(図4のステップF13参照)。」

よって、引用文献6には、次の技術的事項が記載されているといえる。

「遠隔地にある被監視計算機を監視計算機で監視する遠隔監視システムにおいて、
被監視計算機1は、システムメッセージ監視プロセス(システムメッセージ監視手段)4を有し、監視計算機20は、メッセージ受信表示プロセス(メッセージ受信表示手段)24とテンプレート格納ファイル26とを有し、
システムメッセージ監視プロセス4によってパラメータデータが監視計算機20に送信されると、メッセージ受信表示手段24は、読込まれたテンプレート中の文字変数を上記パラメータデータ中の可変データに置換えるように編集し、システムメッセージを再生すること。」

6 引用文献Aについて
原査定に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の監視クライアント及びサーバを備え、プラントのプロセス等を監視制御する監視制御装置に関する。」

「【0061】(第5の実施の形態:請求項5に対応)次に、請求項5に対応する本発明の第5の実施の形態について、図7を参照して説明する。本実施形態では、監視キーモード画面80にて、第4の実施形態における監視キーによる表示フィルタリングを行うか(キーモード80b)、否か(全モード80c)を設定するものである。
【0062】この場合、全モードを選択した際、その設定は監視サーバー4に通知され、上記した第4の実施形態で説明した監視キーの比較機能を停止させ、監視サーバー4側で検出したイベントはすべて該当する監視クライアント5,6に通知する。これにより、結果としては、アラームパネル71aのメッセージ欄にすべてのアラームメニューが表示される。メニュー画面から溢れたメッセージはロールバックキー71cにて、再表示される。」

「【図7】



よって、引用文献Aには、次の技術的事項が記載されているといえる。

「複数の監視クライアント及びサーバを備え、プラントのプロセス等を監視制御する監視制御装置において、
全モードを選択した際、アラームパネル71aのメッセージ欄にすべてのアラームメニューが表示される。メニュー画面から溢れたメッセージはロールバックキー71cにて、再表示されること。」

第6 当審拒絶理由の理由1(明確性要件違反)及び理由2(サポート要件違反)について
令和2年12月24日に提出された手続補正書による補正により、本願発明1、3及び4(補正前の請求項1、4及び5に対応)はいずれも、「第1の所定の指示」が入力された場合に、「前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示」し、その後、「第2の所定の指示」が入力されたことに応じて、「前記メッセージ表示領域に、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する」ことが明確となり、本願発明2(補正前の請求項2に対応)は、「第1の所定の指示」が入力された場合に、「前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示」された後の事項であることが明確となるとともに、本願発明1ないし4は、発明の詳細な説明に記載されたものとなった。また、補正前の請求項1の記載と整合していなかった補正前の請求項3は削除された。
よって、当審拒絶理由の理由1(明確性要件違反)及び理由2(サポート要件違反)はいずれも解消した。

第7 当審拒絶理由の理由3(進歩性欠如)について
1 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明の「上下水道プラント4」は、本願発明1の「監視対象機器」に相当する。
また、引用発明の「監視制御装置3A」に接続される「表示装置2A」が表示する「表示画面20」は、「被監視対象」すなわち「上下水道プラント4」「に生じたイベントの情報を表示する第3の表示エリア」として、「プラントが発生したアラームを表示するアラーム表示エリア21」を含むから、当該「アラーム表示エリア21」に表示される「プラントが発生したアラーム」は、「監視対象機器の状況に関する」「メッセージ」といい得るものである。
また、引用発明の「アラーム」は、その発生順に時系列に「監視制御装置3A」により取得されるものであり、「監視制御装置3A」がそのような取得のための手段(取得部)を備えることは自明である。
よって、引用発明の「監視制御装置3A」は、本願発明1の「監視対象機器の状況に関する時系列のメッセージを取得するメッセージ取得部」に相当する手段を備えている。

(イ)引用発明の「表示装置2A」、「表示画面20」、「アラーム表示エリア21」はそれぞれ、本願発明1の「メッセージ表示装置」、「メッセージ表示装置の画面」、「メッセージ表示装置の画面内のメッセージ表示領域」に相当する。

(ウ)引用発明において、「アラーム表示エリア21には、直近に発生したアラームの情報が1件から5件程度まで表示され」ることは、本願発明1の「メッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し」に相当し、また、引用発明の「監視制御装置3A」は、そのような表示のための表示制御部を備えるものといえる。

(エ)引用発明は、「アラームの情報が6件以上になると、アラームの発生日時が古い順に過去のアラームの情報は表示されなくなるが、不図示のログ監視画面等により、所定期間内に発生した全てのアラームの情報を確認することが可能である」との構成を備えることにより、「監視制御装置3A」は、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する機能を備え、そのための表示制御部を備えるものといえる。

(オ)前記(ウ)及び(エ)より、引用発明の「監視制御装置3A」と、本願発明1の「メッセージ表示装置の画面内のメッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し、前記メッセージ表示領域における表示対象を切り替えるための第1の所定の指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示し、その後に、表示されるメッセージを変更するための第2の所定の指示が入力されたことに応じて、前記メッセージ表示領域に、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する表示制御部」とは、「メッセージ表示装置の画面内のメッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する表示制御部」を備える点において共通する。

(カ)引用発明の「監視制御装置3A」は、後述する相違点を除くと、本願発明1の「メッセージ表示装置」といい得るものである。

イ 一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「 監視対象機器の状況に関する時系列のメッセージを取得するメッセージ取得部と、
メッセージ表示装置の画面内のメッセージ表示領域に、発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数の前記メッセージを表示し、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する表示制御部と、
を備えるメッセージ表示装置。」

[相違点]
「表示制御部」に関し、本願発明1は、「前記メッセージ表示領域における表示対象を切り替えるための第1の所定の指示が入力された場合、前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示し、その後に、表示されるメッセージを変更するための第2の所定の指示が入力されたことに応じて、前記メッセージ表示領域に、」「表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する」ものであるのに対し、引用発明の「監視制御装置3A」は、「アラームの情報が6件以上になると、アラームの発生日時が古い順に過去のアラームの情報は表示されなくなるが、不図示のログ監視画面等により、所定期間内に発生した全てのアラームの情報を確認することが可能である」との機能を備えるにとどまり、「第1の所定の指示」の入力に対して「前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示」すること、及び「」第2の所定の指示」の入力に対して「前記メッセージ表示領域に」「「表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する」ものではない点。

ウ 相違点についての判断
上記相違点に係る本願発明1の構成は、上記引用文献2、3及び6には記載されておらず、また、引用文献4及び5を参照したとしても、当該構成が本願出願時において周知技術であるともいえない。
なお、引用文献3に記載の「プログラマブル表示器」は、「監視対象機器の状況に関する時系列のメッセージ」を表示することを前提としたものではなく、また、引用発明とは技術分野が異なるから、引用発明に引用文献3に記載された技術的事項を適用する動機付けが存在しない。
仮に、適用することができるとしても、引用文献3に記載の「プログラマブル表示器」において「通常操作モード時」の画面状態は、「発生時刻が最も新しい前記メッセージから順に所定数のメッセージを表示」するものではなく、かつ、「画面ジェスチャモード時」の画面状態は、「表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する」ものではない。そうすると、引用文献3に記載の技術的事項において、「画面ジェスチャモード時には、画面ジェスチャモードであることがユーザによって視覚的に認識可能なように、通常操作モード時とは表示が異なるように、画面ジェスチャ適用領域701の外周部を太線703で囲うようにし、この太線703は、たとえば赤色などの視覚的に目立つ配色としてもよいし、点滅表示させるようにしてもよいこと」は、本願発明1の「前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示」することには該当しない。
したがって、引用発明に引用文献3記載された技術的事項を適用しても、本願発明1には到達しない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3及び6に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2について
本願発明2も、前記相違点に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3及び6に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

(3)本願発明3ないし5について
本願発明3は、本願発明1を「監視システム」として特定し、本願発明4は、本願発明1を「メッセージ表示方法」として特定し、また、本願発明5は、本願発明1を「プログラム」として特定したものであり、いずれも、前記相違点に係る本願発明1の構成を実質的に備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3及び6に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。

第8 原査定についての判断
令和2年12月24日付けの補正により、補正後の請求項1ないし5は、前記相違点に係る本願発明1の構成を備えるものとなった。そして、当該構成は、原査定における引用文献A及びBには記載されておらず、本願出願時の周知技術でもないので、本願発明1ないし5は、当業者であっても、原査定における引用文献A及びBに記載された発明に基いて容易に発明できたものではない。
なお、前記第5の5において述べたように、引用文献Aには、
「複数の監視クライアント及びサーバを備え、プラントのプロセス等を監視制御する監視制御装置において、
全モードを選択した際、アラームパネル71aのメッセージ欄にすべてのアラームメニューが表示され、メニュー画面から溢れたメッセージはロールバックキー71cにて、再表示されること。」
との技術的事項が記載されているが、仮に、当該技術的事項の「アラームパネル71aのメッセージ欄」及び「メッセージ」がそれぞれ本願発明1の「メッセージ表示領域」及び「メッセージ」に相当するとしても、引用文献Aには、「第1の所定の指示」が入力された場合に「前記メッセージ表示領域に最新のメッセージが表示されていない可能性があることを示す態様で前記メッセージ表示領域を表示」すること、及び、「その後に、」「第2の所定の指示が入力されたことに応じて、前記メッセージ表示領域に、表示中の最新のメッセージよりも過去に前記メッセージ表示領域に表示された過去のメッセージを時系列に表示する」との本願発明1に特有の構成については記載も示唆もなく、また、引用文献Aに記載された技術的事項においては、メニュー画面のメッセージ欄からメッセージが溢れた場合には「ロールバックキー71c」によりいつでも古いメッセージを再表示可能としていることからすれば、前記した本願発明1の固有の構成を採用すべき動機付けも存在しない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-01-26 
出願番号 特願2015-95372(P2015-95372)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 酒井 優一  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 太田 龍一
林 毅
発明の名称 メッセージ表示装置、監視システム、メッセージ表示方法及びプログラム  
代理人 特許業務法人 志賀国際特許事務所  
代理人 特許業務法人 志賀国際特許事務所  
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