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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1370736 |
審判番号 | 不服2020-3485 |
総通号数 | 255 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-03-13 |
確定日 | 2021-02-16 |
事件の表示 | 特願2018-233328「通信機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 9日出願公開、特開2019- 71634、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年9月11日に出願した特願2014-184828号の一部を平成30年12月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成31年 1月10日 手続補正書、上申書の提出 令和 元年 9月26日付け 拒絶理由通知書 令和 元年11月29日 意見書、手続補正書の提出 令和 元年12月13日付け 拒絶査定 令和 2年 3月13日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提 出 令和 2年 9月23日付け 拒絶理由通知書(当審、最後) 令和 2年11月17日 意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和元年12月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.(委任省令要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 3.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(特許法第36条第6項第2号)、2(第36条第4項第1号)、3(第36条第6項第1号)について 1.請求項1-9の「所定条件」が不明確であり、発明の詳細な説明にはG/Oカウンタの値がゼロかどうかしか記載されておらず、出願時の技術常識に照らしても「所定条件」と一般化することができるとはいえず、発明の詳細な説明に記載したものでない。よって、請求項1-9に係る発明は、明確でなく、また、発明の詳細な説明に記載したものでない。(明確性、サポート要件) 2.当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、請求項1-9に係る発明の技術上の意義を理解することができないから、この出願の発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。(委任省令要件) 第3 原査定についての判断 令和2年11月17日にされた手続補正により、本願の請求項は請求項1ないし5となっている。 1.「1.請求項1-9の「所定条件」が不明確であり、発明の詳細な説明にはG/Oカウンタの値がゼロかどうかしか記載されておらず、出願時の技術常識に照らしても「所定条件」と一般化することはできるとはいえず、発明の詳細な説明に記載したものでない。よって、請求項1-9に係る発明は、明確でなく、また、発明の詳細な説明に記載したものでない。(明確性、サポート要件)」について 令和2年11月17日にされた手続補正による補正後の請求項1ないし5には、「時間をカウントするための第1の時間カウンタのカウントを初期値から開始し、前記第1の時間カウンタが所定値に到達する場合に、前記所定条件が満たされると判断し、前記第1の時間カウンタが前記所定値に一致しない場合に、前記所定条件が満たされないと判断する」と記載されており、「所定条件」が明確となり、「所定条件」を判断するための「第1の時間カウンタ」は発明の詳細な説明のG/Oカウンタが対応している。 したがって、原査定の理由1(明確性)及び理由3(サポート要件)を維持することはできない。 2.「2.当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、請求項1-9に係る発明の技術上の意義を理解することができないから、この出願の発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。(委任省令要件)」について 令和2年11月17日にされた手続補正による補正後の請求項1ないし5に係る発明は、「前記通信機器の前記動作状態が前記無所属状態から前記親局状態に変更される場合に、前記親局状態を終了すべきであることを示す所定条件が満たされるのか否かを判断する判断部であって、時間をカウントするための第1の時間カウンタのカウントを初期値から開始し、前記第1の時間カウンタが所定値に到達する場合に、前記所定条件が満たされると判断し、前記第1の時間カウンタが前記所定値に一致しない場合に、前記所定条件が満たされないと判断する判断部」と、「前記判断部は、前記所定指示が検出された際に、前記第1の時間カウンタの値を前記初期値に戻して、前記第1の時間カウンタのカウントを前記初期値から再び開始する」との発明特定事項を備えることにより、発明の詳細な説明の段落95に記載されているように「終期を延長して・・・印刷処理を適切に実行することができる。」という技術上の意義を有している。 また、令和2年11月17日にされた手続補正による補正後の請求項1ないし5に係る発明は、「第2のインターフェイスが第2の外部機器から信号を受信することに応じて前記第2のインターフェイスから所定通知が前記制御部に供給される場合であって、時間をカウントするための第2の時間カウンタが所定値に到達する場合に、所定指示を検出する検出部」との発明特定事項を備えることにより、発明の詳細な説明の段落43に記載されているように「カウントされている間に所定通知が取得されても、所定通知に応じた処理が実行されない。この結果、プリンタPRの処理負荷を軽減させることができる。」という技術上の意義を有している。 したがって、原査定の理由2(委任省令要件)を維持することはできない。 第4 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1) 請求項1の「外部機器との前記第1のインターフェイスを介した無線接続の確立に関係する所定指示を検出する検出部」について、「無線接続の確立に関係する」とは、具体的にはどのように「関係する」ことを特定しているのか、その意味内容が不明である。また、請求項1の「所定指示」について、「所定指示」を生成し、「検出部」に対して「所定指示」を通知する主体(主語)が不明確である。(明確性) 更に、請求項1の「外部機器との前記第1のインターフェイスを介した無線接続の確立に関係する所定指示」と、本願の発明の詳細な説明の記載との対応関係が不明確である。(サポート要件) また、請求項5及び請求項1を引用する請求項についても同様である。 (2) 請求項1を引用する請求項3の「前記通信機器は、さらに、外部機器との前記第1のインターフェイスを介した無線接続の確立に関係する所定指示を検出する検出部を備え、」との記載が、請求項1の「外部機器との前記第1のインターフェイスを介した無線接続の確立に関係する所定指示を検出する検出部」とは別の「検出部」をさらに備えることを特定しているのか、あるいは、請求項1の「検出部」と同一の「検出部」のことを特定しているのか不明確である。(明確性) また、請求項3を引用する請求項についても同様である。 第5 当審拒絶理由についての判断 令和2年11月17日にされた手続補正により、 (1)については、「関係する」旨の記載を削除し、検出部が「前記第2のインターフェイスが第2の外部機器から信号を受信することに応じて前記第2のインターフェイスから所定通知が前記制御部に供給される場合であって、時間をカウントするための第2の時間カウンタが所定値に到達する場合に、所定指示を検出する検出部」であることが特定された。そのため、「所定指示」については、「前記第2のインターフェイスが第2の外部機器から信号を受信することに応じて前記第2のインターフェイスから所定通知が前記制御部に供給される場合であって、時間をカウントするための第2の時間カウンタが所定値に到達する場合」に「検出部」が「所定指示」として検出するものであることが明確となった。また、請求項1に記載された「前記第2のインターフェイスが第2の外部機器から信号を受信することに応じて前記第2のインターフェイスから所定通知が前記制御部に供給される場合であって、時間をカウントするための第2の時間カウンタが所定値に到達する場合に、所定指示を検出する検出部」については、発明の詳細な説明の段落101の「図3のS42でYES及びS43でYESと判断することが、「所定指示を検出する」の一例である。」との記載が対応することから、拒絶理由(1)は解消された。 請求項5についても同様に解消された。 (2)については、請求項3の「前記通信機器は、さらに、外部機器との前記第1のインターフェイスを介した無線接続の確立に関係する所定指示を検出する検出部を備え、」との記載は削除された。したがって、拒絶理由(2)は解消された。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-01-28 |
出願番号 | 特願2018-233328(P2018-233328) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WY
(H04W)
P 1 8・ 537- WY (H04W) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 深津 始 |
特許庁審判長 |
國分 直樹 |
特許庁審判官 |
中木 努 廣川 浩 |
発明の名称 | 通信機器 |