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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1370827
審判番号 不服2019-16403  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-04 
確定日 2021-02-03 
事件の表示 特願2016-528578「照明方向の面内にプリント回路基板を備える、特に自動車の照明部材のための照明システム」拒絶査定不服審判事件〔2015年1月29日国際公開、WO2015/011377、平成28年9月8日国内公表、特表2016-527685〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年) 7月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年 7月22日 フランス(FR))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 3月15日 :翻訳文提出
平成30年 3月12日付け:拒絶理由通知書
平成30年 6月20日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年11月21日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成31年 3月4日 :意見書の提出
令和 1年 7月26日付け:拒絶査定
令和 1年12月 4日 :審判請求書の提出

第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成30年6月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1?10に係る発明(以下「本願発明1?10」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
発光ダイオードを装備する剛性のプリント回路基板(9)を備えた、自動車のヘッドランプ(1)のための照明システム(7)であって、前記剛性基板(9)が、前記照明システムの所定の照明方向(L)に平行に配置されていることと、前記照明システム(7)が光モジュール(11)を備え、前記光モジュール(11)が、前記発光ダイオードによって放出された光ビームを、前記光モジュール(11)を出てゆく各光ビームが前記照明方向(L)に実質的に平行であるように伝播させ、導くように構成されており、前記光モジュール(11)が、その内部を進行する光ビームを伝播させて導くことのできるポリマー材料からなる複数の要素(13A、13B、13C、13D)から形成され、少なくとも1つのマスクが、前記ポリマー材料からなる複数の要素(13A、13B、13C、13D)を隔てるギャップを前記光モジュール(11)の前記光ビームの出口となる側から部分的にまたは完全に埋めるように配置されていることとを特徴とする、照明システム(7)。
【請求項2】
前記剛性基板(9)がその面の各々に発光ダイオードを装備することを特徴とする、請求項1に記載の照明システム(7)。
【請求項3】
前記光モジュール(11)が、前記発光ダイオードによって放出された前記光ビームに、前記剛性基板(9)に垂直な第1部分(11A)及び前記剛性基板に平行な第2部分(11B)から形成される経路を辿らせるように構成されており、前記第1部分の自由端(11C)が、前記光ビームを捉えるように発光ダイオードに対向して配置されており、前記第2部分(11B)が、前記光ビームを前記照明方向(L)に実質的に平行に出てゆかせるように配置された自由端(11D)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の照明システム(7)。
【請求項4】
前記光モジュール(11)の前記第1部分(11A)と前記第2部分(11B)が、前記第1部分(11A)から到来する光ビームを前記第2部分(11B)の方向に反射させるように構成された部分(11E)を介して接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の照明システム(7)。
【請求項5】
前記ポリマー材料からなる複数の要素(13A、13B、13C、13D)が半透明又は透明であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の照明システム(7)。
【請求項6】
前記ポリマー材料からなる少なくとも一つの要素(13A、13B、13C、13D)が、前記剛性基板(9)に実質的に垂直な方向から、前記照明方向(L)に実質的に平行な方向に向かって前記光ビームを反射させるように構成された少なくとも一の表面(11E)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の照明システム(7)。
【請求項7】
前記少なくとも一の表面(11E)が、入射する光ビームの方向に対して45°の角度だけ傾斜した表面であり、前記入射する光ビームを反射させることのできる層で被覆された表面であることを特徴とする、請求項6に記載の照明システム(7)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の照明システム(7)を装備する自動車用照明装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも一の照明システム(7)を装備する自動車。
【請求項10】
前記照明システム(7)が、以下の装置、即ち:
-客室内部に位置する室内灯、
-車両の信号灯
のうちの少なくとも一つを装備する、請求項9に記載の自動車。」

第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?10に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

・請求項 1?3、5、8?10
・引用文献 1?3、6

・請求項 4、6?7、10
・引用文献 1?6

刊行物等一覧
引用文献1.欧州特許出願公開第2407709号明細書
引用文献2.特開2007-335410号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特表2008-543004号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2012-99480号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2002-93222号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6.特開2003-141909号公報

第4 引用文献の記載事項等
1 引用文献1
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった欧州特許出願公開第2407709号明細書には、図面とともに、次の記載がある。(引用文献1は仏文である為、当審で翻訳した訳文を併記し、[ ]内に用いる。また、下線は当審で付与した。以下同様。)。

(1a)

[特許請求情報
1.自動車の照明および/または信号装置(20;30;40;50;60;70;80)は、次を含む:
-第1の光源(23;33;43;53;63;73;83)は、第1の光ガイド(21;31;41;51;61;71;81)に光線を放出し、第1の出口面(29;39;49;59;69;79;79;89)で第1の光ガイドを離れる光線を放出する。
-第2の光源(24;34;44;54;64;74;84)は、第2の光ガイド(22;32;42;52;62;72;82)に光線を放出し、第2の出口面(28;38;48;58;68;78;88)で第2の光ガイドを離れる光線を放出する;
第1の光源(23;33;53;63;73)と第2の光源(24;34;54;64;74)の対称的な配置と支持を特徴とし、第1の光ガイド(21;31;51;61;71)と第2の光ガイド(22;32;52;62;72)の、第1の出口面および第2の出口面の間は、多くとも20mm以下、あるいは10mm以下、あるいは5mm以下、または2mm以下離間する]

(1b)

[[0024]第1および/または第2の光源は、白色発光ダイオードであることが好ましい。]

(1c)

[[0031]図2に示す光源23,24によって発生する光は、少なくともガイド21及び22を構成する層の1つに対して実質的に垂直に光ガイド21及び22に注入され、この場合、これらの層の面は互いに向き合っていない。光源が発光ダイオードで構成されている場合、この配置により、シートガイド21および22の面に平行なプリント回路またはPCB(アングロサクソン式の頭字語"プリント回路基板")などのランプ支持体を配置することができる。]

(1d)

[[0041]自動車用照明および/または信号装置の第4の実施形態は、図5を参照して図示装置の縦断を示す図示を行う。
[0042]以前の実施形態および本実施形態では、同じ機能を有する様々な要素が同一の単位の数を示す数字で参照される。
[0043]
第4の実施形態は、第3の実施形態と異なり、第1の光源53および第2の光源54が共通支持体55の反対側の面に配置される点にある。これにより、共通支持体55と第1の光源及び第2の光源の一部を、2つの光ガイドの間に配置することができる。アセンブリのサイズが小さいため、第1の光ガイド51と第2の光ガイド52を互いに比較的近くに配置することができます。
[0044]さらに、第1の光源および/または第2の光源は冷却を必要とし、従って熱交換器57は、共通支持体の少なくとも1つの面に配置される。フィンを有するこの熱交換器は、第1及び第2の光ガイドの間に配置されない。
[0045]第1および第2の光ガイドの間の共通支持体と2つの光源の存在がガイドの近接を制限するという事実を除き、この実施形態は、前の実施形態と同様の利点を有する。]

以下の図面が示されている。なお、FIG.5において、第1の光源を示す符号53及び引出線を当審で加筆している。




(2)認定事項
上記(1)の記載事項から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 特許請求情報1.の「自動車の照明・・・装置(20;30;40;50;60;70;80)は、次を含む:第1の光源(23;33;43;53;63;73;83)は、第1の光ガイド(21;31;41;51;61;71;81)に光線を放出し、第1の出口面(29;39;49;59;69;79;79;89)で第1の光ガイドを離れる光線を放出する。第2の光源(24;34;44;54;64;74;84)は、第2の光ガイド(22;32;42;52;62;72;82)に光線を放出し、第2の出口面(28;38;48;58;68;78;88)で第2の光ガイドを離れる光線を放出する」との記載、段落[0024]の[第1および/または第2の光源は、白色発光ダイオードである」との記載、及び図5から、引用文献1に記載された技術は、自動車の照明装置に関するものであり、発光ダイオードからなる第1の光源53及び第2の光源54、並びに第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52を備える自動車の照明装置であること。

イ 段落[0031]の「光源23,24によって発生する光は、・・・光ガイド21及び22に注入され・・・光源が発光ダイオードで構成されている場合・・・ガイド21および22の面に平行な・・・PCB(・・・プリント回路基板)などのランプ支持体を配置する」との記載、段落[0043]の「第1の光源53および第2の光源54が共通支持体55の反対側の面に配置される・・・共通支持体55と第1の光源及び第2の光源の一部を、2つの光ガイドの間に配置する」との記載、及び図5から、第1の光源53及び第2の光源54は、プリント回路基板などのランプ支持体である共通支持体55の異なる面に配置されること。

ウ 特許請求情報1.の「自動車の照明・・・装置(20;30;40;50;60;70;80)は、次を含む:第1の光源(23;33;43;53;63;73;83)は、第1の光ガイド(21;31;41;51;61;71;81)に光線を放出し、第1の出口面(29;39;49;59;69;79;79;89)で第1の光ガイドを離れる光線を放出する。第2の光源(24;34;44;54;64;74;84)は、第2の光ガイド(22;32;42;52;62;72;82)に光線を放出し、第2の出口面(28;38;48;58;68;78;88)で第2の光ガイドを離れる光線を放出する」との記載、段落[0031]の「光源23,24によって発生する光は、・・・光ガイド21及び22に注入され・・・光源が発光ダイオードで構成されている場合・・・ガイド21および22の面に平行な・・・PCB(・・・プリント回路基板)などのランプ支持体を配置する」との記載、及び図5から、第1の光源53及び第2の光源54から第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52に注入された光線は、第1の出口面59及び第2の出口面58で第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52を離れて放出されること。

エ 段落[0043]の「第1の光源53および第2の光源54が共通支持体55の反対側の面に配置される・・・共通支持体55と第1の光源及び第2の光源の一部を、2つの光ガイドの間に配置する」との記載、段落[0031]の「光源23,24によって発生する光は、・・・光ガイド21及び22に注入され・・・光源が発光ダイオードで構成されている場合・・・ガイド21および22の面に平行な・・・PCB(・・・プリント回路基板)などのランプ支持体を配置する」との記載、及び図5から、上記共通支持体55は、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の面と平行になるように、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の間に配置されること。

オ 段落[0045]の「第1および第2の光ガイド51,52の間の共通支持体55と2つの光源の存在がガイドの近接を制限する」との記載、及び図5から、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52は間隔を有して配されること。

(3)引用発明
上記(1)、(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「発光ダイオードからなる第1の光源53及び第2の光源54、並びに第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52を備える自動車の照明装置であって、
上記第1の光源53および第2の光源54が、プリント回路基板などのランプ支持体である共通支持体55の異なる面に配置され、
上記第1の光源53及び第2の光源54から上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52に注入された光線は、第1の出口面59及び第2の出口面58で上記光ガイドを離れて放出されるものであり、
上記共通支持体55は、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の面と平行になるように、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の間に配置され、
上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52は間隔を有して配される、
自動車の照明装置。」

2 引用文献2
(1)記載事項
同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2007-335410号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【0002】
自動車用照明及び信号の分野では、光導波路の使用は、ますます一般的に広まっている。光導波路は、大雑把に言うと、円筒状、またはこれに類似した断面を有する導光体で構成される細長い部品である。導波路の入力面と呼ばれる導波路の一方の終端部の近傍には、1つ(又はそれ以上)の光源、たとえば、小型の発光ダイオードタイプの光源が配置されており、この光源によって発せられた光線は、全反射して、導波路の末端面と呼ばれる他方の終端部に向かって伝播される。」

「【0023】
1つの終端部または複数の終端部は、光導波路と一体であることが好ましい。このようにすると、構成全体を、1つの型で成形することが可能になる。その際の材料としては、透過性のポリマーが好ましいが、ガラスを用いてもよい。また本発明は、このタイプの光導波路を組み入れた自動車に関するものである。」

「【0025】
図Aは、光導波路Gの第1の例を示す斜視図、図1Bは、外形図である。この光導波路は、概して環状の形状を有し、車輌ヘッドランプ用のディップビーム、またはフルビームモジュールタイプの光モジュールの周囲に配置可能となっている。」(なお、「図A」は「図1A」の誤記と認める。)

(2)引用文献2に記載された技術的事項1
段落【0002】の「自動車用照明・・・の分野では、光導波路の使用は、ますます一般的に広まっている」との記載、及び段落【0023】の「1つの終端部または複数の終端部は、光導波路と一体であることが好ましい。・・・材料としては、透過性のポリマーが好ましい」との記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「自動車用照明の分野において使用される光導波路の材料として、ポリマーが用いられること。」

(3)引用文献2に記載された技術的事項2
段落【0002】の「自動車用照明・・・の分野では、光導波路の使用は、ますます一般的に広まっている」との記載、及び段落【0025】の「この光導波路は、・・・車輌ヘッドランプ用のディップビーム・・・の光モジュールの周囲に配置可能となっている。」との記載から、引用文献2には、次の技術的事項も記載されていると認められる。
「自動車用照明の分野において、光導波路が配置された照明を、ヘッドランプに用いること。」

3 引用文献3
(1)記載事項
同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2008-543004号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
「【0011】
少なくとも1つの実施形態では、次のような照明装置が提供される。すなわち、発散放射線を光導体内に入力するのに適している光源を有している照明装置が提供される。光導体内では、全反射に基づいて放射線のガイドが行われる。光導体は、放射線の主放射方向を変えるのに適している。さらに光導体は一体的に構成されている。すなわち、光源が発散放射線を一体的な光導体内に入力し、この光導体内での放射線の案内を有利には全反射によってのみ行う照明装置が提供される。」

「【0042】
例えば光導体は、以下の透明プラスチックのうちの1から構成されるか、または以下のプラスチックの1つを含有する:すなわちPMMA、ポリカーボネート、PMMI、COCである。有利には光導体は射出成型プロセスによって製造される。すなわち光導体は射出成型される。しかし光導体がガラスから形成されてもよい。この場合には光導体は例えばガラスから注型される。」

(2)認定事項
段落【0042】の「光導体は、以下の透明プラスチック・・・から構成される・・・PMMA、ポリカーボネート、PMMI、COC」との記載から、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、PMMI(ポリメチルメタクリレート樹脂)、及びCOC(環状オレフィンコポリマー)はポリマー材料であると認められる。

(3)引用文献3に記載された技術的事項
上記(1)、(2)から、引用文献3には、次の技術が記載されていると認められる。
「照明装置に使用される光導体の材料として、ポリマー材料が用いられること。」

4 引用文献6
(1)記載事項
同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2003-141909号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。
「【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明車輌用灯具に実施の形態を添付図面を参照して説明する。なお、図示した実施の形態は、本発明を自動車用の後部標識灯に適用したものである。
【0010】自動車用標識灯1は前面に開口した凹部を有するボディ2を有し、該ボディ2の前面開口が透明な前面カバー3によって覆われて灯室4が形成される。前面カバー3はボディ2の前方をほぼ覆う前面部3aと該前面部3aの周縁部から後方へ突出した側面部3bとが一体に形成されて成る。そして、該前面カバー3は無色透明でレンズ素子が形成されていない、いわゆる、素通しのものであるが、拡散ステップ等のレンズ素子を形成しても構わない。また、無色透明ではなく、有色透明、例えば、薄い黒色を付した、いわゆる、スモークレンズと称するものであっても構わない。
【0011】上記灯室内に複数の導光板ユニット5、5、・・・が配置される。導光板ユニット5は列状に配置された複数の発光ダイオード群6と導光板7とから成る。導光板7は透明な板状を為し、透明な合成樹脂等によって形成される。該導光板7は灯具の前後方向、すなわち、図1中矢印F-R(Fは前方を示し、Rは後方を示す)方向に平行に、すなわち、面方向が灯具の前後方向に平行となるように配置される。そして、前端面7aが出射面とされ、後端面7bが入射面とされる。そして、後端面7bには幅方向に複数の半円形の凹部が形成され、該凹部の内面がステップ面8、8、・・・とされる。そして、上記ステップ面8、8、・・・が形成された部分の両脇の部分には導光板7の後端面7bに対してほぼ45度の角度を為す傾斜面9、9、・・・が形成されている。そして、傾斜面9、9、・・・が連続する部分ではV字状の凹部が形成される。また、出射面7aには微細な凹凸が密集状に形成されている。」

「【0018】ボディ2のほぼ開口面の位置でボディ2を前方に対して覆うように非透過性の板状の部材、本明細書では「化粧部材」と称する部材13が配置される。該化粧部材13の前面は金属蒸着膜が付与されて反射面とされているが、反射面でなくとも、この化粧部材13が光を透過しないものであればよい。従って、意匠的な要求によっては、適宜の色彩を帯びるようにしても良い。
【0019】上記化粧部材13には左右方向に延びる多数の挿通孔14、14、・・・が上下方向に並んで形成されている。そして、上記導光板7、7、・・・は化粧部材13の挿通孔14、14、・・・を挿通されてから両側部がボディ2の差込溝11、11、・・・に差し込まれる。」

「【0027】さらに、上記した実施の形態に示すように、灯室4内に化粧部材13を配置すると、灯室4の奥、特に、LED基板12や発光ダイオード10、10、・・・が導光板7、7、・・・の間から見えてしまうことを防止することが出来る。」

以下の図面が示されている。

【図1】

(2)認定事項
ア 段落【0009】の「本発明車輌用灯具」との記載、段落【0010】の「前面に開口した凹部を有するボディ2を有し、該ボディ2の前面開口が透明な前面カバー3によって覆われて灯室4が形成される」との記載、段落【0011】の「灯室内に複数の導光板ユニット5、5、・・・が配置される。導光板ユニット5は列状に配置された複数の発光ダイオード群6と導光板7とから成る。・・・該導光板7は灯具の前後方向、すなわち、図1中矢印F-R(Fは前方を示し、Rは後方を示す)方向に平行に、すなわち、面方向が灯具の前後方向に平行となるように配置される。そして、前端面7aが出射面とされ、後端面7bが入射面とされる。」との記載から、車輌用灯具であって、ボディ及び前面カバーによって覆われた灯室に、複数の発光ダイオード群と灯具の前後方向に平行に配置された導光板7とから成る導光板ユニットが複数配置されること。

イ 段落【0018】の「ボディ2のほぼ開口面の位置でボディ2を前方に対して覆うように非透過性の板状の部材、本明細書では「化粧部材」と称する部材13が配置される」との記載、段落【0019】の「化粧部材13には左右方向に延びる多数の挿通孔14、14、・・・が上下方向に並んで形成されている。そして、上記導光板7、7、・・・は化粧部材13の挿通孔14、14、・・・を挿通され」との記載、及び段落【0027】の「灯室4内に化粧部材13を配置すると、灯室4の奥、特に、LED基板12や発光ダイオード10、10、・・・が導光板7、7、・・・の間から見えてしまうことを防止することが出来る。」との記載から、化粧部材には、上下方向に並んで多数の挿通孔が形成され、上記多数の挿通孔に導光板を挿通し、灯室を構成するボディの開口面の位置に、ボディを前方に対して覆うように上記化粧部材を配置することにより、灯室の奥にあるLED基板や発光ダイオードが導光板の間から見えることを防止すること。

(3)引用文献6に記載された技術事項
上記(1)、(2)から、引用文献6には、次の技術が記載されていると認められる。
「車輌用灯具であって、ボディ及び前面カバーによって覆われた灯室に、複数の発光ダイオード群と灯具の前後方向に平行に配置された導光板7とから成る導光板ユニットが複数配置され、上下方向に並んで形成された多数の挿通孔に導光板を挿通した化粧部材を、灯室を構成するボディの開口面の位置に、ボディを前方に対して覆うように配置することにより、灯室の奥にあるLED基板や発光ダイオードが導光板の間から見えることを防止するもの。」

第5 対比・判断
1 引用発明との対比
(1)本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「自動車の照明装置」は、前者の「自動車のヘッドランプ(1)のための照明システム(7)」と、「自動車の照明システム」の点で共通する。

イ 後者の「発光ダイオードからなる第1の光源53及び第2の光源54」は前者の「発光ダイオード」に相当し、後者の「プリント回路基板などのランプ支持体である共通支持体55」は、「発光ダイオードからなる第1の光源53、及び第2の光源54」が「異なる面に配置され」るものであるから、前者の「発光ダイオードを装備する剛性のプリント回路基板(9)」と、「発光ダイオードを装備するプリント回路基板(9)」の点で共通する。

ウ 後者の「上記共通支持体55は、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の面と平行になるように、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の間に配置され」るものであり、「上記第1の光源53及び第2の光源54から上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52に注入された光線は、上記第1の光ガイド51の第1の出口面59、及び上記第2の光ガイド52の第2の出口面58で上記光ガイドを離れて放出される」ことから、「上記第1の光ガイド51の第1の出口面59、及び上記第2の光ガイド52の第2の出口面58で上記光ガイドを離れて放出される」「光線」の照射方向は、「上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52」の面と同一の方向であり、「上記共通支持体55」と平行であると認められる。
したがって、後者の「上記共通支持体55は、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の面と平行になるように、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の間に配置され」ていることと、前者の「前記剛性基板(9)が、前記照明システムの所定の照明方向(L)に平行に配置されていること」は「前記基板(9)が、前記照明システムの所定の照明方向(L)に平行に配置されていること」の点で共通する。

エ 後者の「上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52」は、「自動車の照明装置」に「備え」られ、「上記第1の光源53及び第2の光源54から」「注入された光線は、上記第1の光ガイド51の第1の出口面59、及び上記第2の光ガイド52の第2の出口面58で上記光ガイドを離れて放出されるものであり」であり、「上記第1の光ガイド51の第1の出口面59、及び上記第2の光ガイド52の第2の出口面58で上記光ガイドを離れて放出される」「光線」は、「上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52」の面と同一の方向であることから(上記ウ参照)、かかる「第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52」の構成は、前者の「前記照明システム(7)が光モジュール(11)を備え、前記光モジュール(11)が、前記発光ダイオードによって放出された光ビームを、前記光モジュール(11)を出てゆく各光ビームが前記照明方向(L)に実質的に平行であるように伝播させ、導くように構成されており」との構成に相当し、前者の「前記光モジュール(11)が、その内部を進行する光ビームを伝播させて導くことのできるポリマー材料からなる複数の要素(13A、13B、13C、13D)から形成され」との構成とは、「前記光モジュール(11)が、その内部を進行する光ビームを伝播させて導くことのできる複数の要素(13A、13B、13C、13D)から形成され」との構成で共通する。

(2)以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点〕
「発光ダイオードを装備するプリント回路基板を備えた、自動車の照明システムであって、前記基板が、前記照明システムの所定の照明方向に平行に配置されていることと、前記照明システムが光モジュールを備え、前記光モジュールが、前記発光ダイオードによって放出された光ビームを、前記光モジュールを出てゆく各光ビームが前記照明方向に実質的に平行であるように伝播させ、導くように構成されており、前記光モジュールが、その内部を進行する光ビームを伝播させて導くことのできる複数の要素から形成される照明システム。」

〔相違点1〕
本願発明1は、「ヘッドランプ(1)のための照明システム(7)」であるのに対し、引用発明は、照明装置がヘッドランプに用いられることが明らかではない点。

〔相違点2〕
「プリント回路基板」に関し、本願発明1は「剛性」であるのに対し、引用発明は、そのような特定がなされていない点。

〔相違点3〕
「光モジュール」に関し、本願発明1は「ポリマー材料からなる」のに対し、引用発明は材料が特定されていない点。

〔相違点4〕
本願発明1は、「少なくとも1つのマスクが、前記ポリマー材料からなる複数の要素(13A、13B、13C、13D)を隔てるギャップを前記光モジュール(11)の前記光ビームの出口となる側から部分的にまたは完全に埋めるように配置されている」のに対し、引用発明は、複数の光ガイドの間に部材が配置されることについて特定されていない点。

2 判断
以下、相違点について検討する。
(1)相違点1について
ア 引用文献2に記載された技術的事項2に例示されるように、自動車の照明の技術分野において、光モジュールが配置された照明をヘッドランプに用いる技術は、周知、慣用の技術ということができる。

イ 引用発明と上記周知、慣用技術とは、自動車の照明の技術分野で共通する。そして、引用発明に上記周知、慣用技術を適用することにより、照明装置をヘッドランプに用いることにより、相違点1に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
引用発明の「プリント回路基板からなる共通支持体」は、支持体としての機能を有するものであり、かつ段落【0044】に記載さているように、熱交換器57が配置されるものであるところ、該熱交換器57を支持するだけの剛性が必要であることは明らかであるから、相違点2は実質的な相違点ではない。
仮に実質的な相違点であるとしても、「プリント回路基板からなる共通支持体」に剛性をもたせることは当業者であれば容易に想到し得たことである。

(3)相違点3について
ア 引用文献2に記載された技術的事項1、引用文献3に記載された技術的事項、及び引用文献6に記載された技術的事項に示されるように、照明の技術分野において、「光モジュール」の材料に、ポリマーを用いる技術は周知、慣用の技術ということができる。

イ 引用発明と上記周知、慣用技術とは、照明の技術分野で共通する。そして、引用発明に上記周知、慣用技術を適用することにより、光ガイドをポリマー材料からなるものとして、相違点3に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(4)相違点4について
ア 引用文献6に記載された技術事項の「車輌用灯具」は、本願発明1の「自動車の」「照明システム」に相当し、同様に引用文献6に記載された技術事項の「LED基板」、「複数の発光ダイオード群」、及び「平行に配置された導光板」は、本願発明1の「プリント回路基板」、「発光ダイオード」、及び「複数の要素」から形成された「光モジュール」に相当する。

イ 引用文献6に記載された技術事項の「化粧部材」は、「上下方向に並んで形成された多数の挿通孔に導光板を挿通した」ものであり、「灯室を構成するボディの開口面の位置に、ボディを前方に対して覆うように配置することにより、灯室の奥にあるLED基板や発光ダイオードが導光板の間から見えることを防止するもの」であることから、本願発明1の「複数の要素(13A、13B、13C、13D)を隔てるギャップを前記光モジュール(11)の前記光ビームの出口となる側から」「埋めるように配置されている」「マスク」に相当する。

ウ 引用文献6の記載事項(段落【0027】)より、自動車の照明システム(上記車輌用灯具)において、光モジュール(上記導光板)の間から、プリント回路基板(上記LED基板)や発光ダイオードが見えてしまうことを防止する課題が認識できる。そして、引用発明における、「上記共通支持体55は、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の面と平行になるように、上記第1の光ガイド51及び第2の光ガイド52の間に配置され」との構成から、引用発明が同様の課題を内包していることは、当業者であれば十分に認識可能なことである。

エ 上記課題を解決するために、引用発明に引用文献6に記載された技術事項を適用して、マスク(上記、化粧部材)が第1および第2の光ガイドの間隔を、第1の出口面及び第2の出口面側から部分的にまたは完全に埋めるように(上記、光線の放出される側から覆うように)配置することにより、相違点4に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

オ 本願発明1の奏する作用効果をみても、引用発明、引用文献6に記載された技術事項及び周知、慣用技術から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。

カ よって、本願発明1は、引用発明、引用文献6に記載された技術事項、及び周知、慣用技術(引用文献2、3、6に記載された技術事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明、引用文献6に記載された技術事項、及び周知、慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-08-27 
結審通知日 2020-09-01 
審決日 2020-09-15 
出願番号 特願2016-528578(P2016-528578)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 當間 庸裕  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 須賀 仁美
一ノ瀬 覚
発明の名称 照明方向の面内にプリント回路基板を備える、特に自動車の照明部材のための照明システム  
代理人 園田・小林特許業務法人  
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