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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1370830
審判番号 不服2020-569  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-15 
確定日 2021-02-04 
事件の表示 特願2015-194830「扁平容器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日出願公開、特開2017- 65761〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成27年 9月30日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
平成30年12月25日付け:拒絶理由通知
平成31年 3月 5日提出:意見書・手続補正書
平成31年 4月24日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知
令和 元年 7月 8日提出:意見書・手続補正書
令和 元年10月31日付け:令和 元年 7月 8日提出の手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定
令和 元年10月31日付け:拒絶査定
令和 2年 1月15日提出:審判請求書・手続補正書
令和 2年 7月28日付け:拒絶理由通知
令和 2年10月 5日提出:意見書・手続補正書

第2 本件発明
本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、令和 2年10月 5日提出の手続補正書による手続補正で補正された請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりである。

【請求項1】
筒状に形成された口部と肩部を介して前記口部に連なる胴部と該胴部に連なる底部とを有し、該胴部が、正面壁と背面壁とが一対の平らな板状の側壁で連ねられるとともに前記正面壁と前記背面壁との間の最大厚みが一対の前記側壁の間の最大幅よりも小さい扁平形状に形成されている扁平容器であって、
前記胴部の横断面形状が、前記肩部と前記底部との間の軸方向の各部において一様であり、
前記胴部の扁平度が2以上、3未満であるとともに、
前記正面壁の幅方向中央部分の肉厚と前記正面壁の最薄部分の肉厚との差が0.10mm以上、0.40mm未満であることを特徴とする扁平容器。

第3 拒絶の理由
令和 2年 7月28日付けの当審が通知した拒絶理由のうちの理由4の概要は、次のとおりのものである。

本件発明は、その出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2005-178822号公報
引用文献2:特開2001-130524号公報
引用文献3:特開2010-137898号公報
引用文献4:特開2014-46574号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1に記載された事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線部は当審が付したものである。

ア「【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、長軸両端の直線状の外輪郭の間を結ぶ円弧状の外輪郭部分の強度を上げ、肉厚を薄くして使用樹脂の目付量をへらしながら内容液吐出時の減圧変形を防止できる胴部横断面形状が略角楕円形状になるプラスチック容器を提供することを目的とするものである。」

イ「【0012】
先ず、本発明の実施の形態について説明する前に、図10に示した従来のプラスチック容器11について簡単に説明する。・・・従来のプラスチック容器11は、胴部12の横断面の外輪郭が直交する長軸16と短軸17を有し、長軸16の両端には該長軸16と直交する直線状の外輪郭15_(1)が交わり、この直線状になる左右の外輪郭15_(1),15_(1)の間を曲率半径R0の円弧からなる1つの外輪郭15_(2)によって結び、全体として断面略角楕円形状の胴部12としたものである。
【0013】
上記した従来のプラスチック容器11の場合、通常、円弧状になる面積の広い外輪郭15_(2)の部分が商品名や内容物などを表示するためのラベル貼り付け面として利用されるが、この外観上最も目立つラベル貼り付け面がただ1つの円弧状の外輪郭15_(2)によって構成されているため、容器としての強度が十分でなく、内容液注出時に減圧変形がおきやすかった。このため、使用する樹脂の目付量を増やし、肉厚を厚くすることにより、減圧変形を防止しているのが一般的であった。・・・」

ウ「【0015】
図1において、2は容器の胴部、3は胴部上端に形成された注出口部、4は胴部2に連なる容器底部である。本発明のプラスチック容器1は、胴部2の横断面の外輪郭が直交する長軸6と短軸7を有し、長軸6の左右の端部には長軸6と直交する直線状の外輪郭5_(1)が交わり、この直線状になる左右の外輪郭5_(1),5_(1)の間を曲率半径R1,R2からなる2つの外輪郭5_(2),5_(3)によって結び、全体として断面略角楕円形状の胴部2としたものである。」

エ「【実施例1】
【0020】
図2は、本発明に係るプラスチック容器の胴部横断面形状の具体例を示す第1の実施例である。・・・なお、試験に用いた各容器の共通仕様は以下の通りである。
【0021】
(1)共通仕様
容器材質:高密度ポリエチレン
容器高さ:188.5mm(図1参照)
胴部中心部幅La:91.0mm
胴部厚さWa:51.8mm
円弧部弦幅L=89.8mm
・・・


オ「【図1】



カ「【図2】



キ 摘記事項オからみて、注出口部3は筒状に形成されていることが読み取れる。

また、摘記事項ウ及びオからみて、胴部2の横断面形状は、容器底部から軸方向の各部において一様な横断面形状のまま延び、胴部上端においてすぼまって注出口部3に至っていることが読み取れる。

技術常識を参酌しつつ摘記事項イ、ウ、オをみると、面積の広い商品名や内容物などを表示するためのラベル貼り付け面を正面又は背面とすることが技術常識であるから、外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分が胴部2の正面と背面のそれぞれに設けられていることが読み取れる。

さらに摘記事項エ、カからみて、「胴部中心部幅La:91.0mm」と「胴部厚さWa:51.8mm」は、「一対の直線状の外輪郭5_(1)、5_(1)からなる部分の間の最大幅」と「正面の円弧状の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分と背面の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分の間の胴部最大厚み」に該当することが読み取れる。

2.引用発明
上記摘記事項ア?キからみて、引用文献1には次の発明が記載されているものといえる(以下、「引用発明」という。)。

(引用発明)
「筒状に形成された注出口部3と胴部上端を介して前記注出口部3に連なる胴部2と該胴部に連なる容器底部とを有し、該胴部2が正面の円弧状の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分と背面の円弧状の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分とが一対の直線状の外輪郭5_(1)、5_(1)からなる部分で連ねられるとともに前記正面の円弧状の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分と背面の円弧状の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分の間の胴部最大厚さが一対の直線状の外輪郭5_(1)、5_(1)からなる部分の間の最大幅より小さい角楕円形状に形成されているプラスチック容器であって、
胴部2の横断面形状が、前記胴部上端と容器底部との間の軸方向の各部において一様であり、
胴部の扁平度が91.0/51.8であるプラスチック容器。」

第5 対比
本件発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「注出口部3」、「胴部2」及び「容器底部」は、本件発明1の「口部」、「胴部」及び「底部」にそれぞれ相当する。

また、引用発明の「正面の円弧状の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分」と「背面の円弧状の外輪郭5_(2)、5_(3)からなる部分」は、本件発明1の「正面壁」と「背面壁」にそれぞれ相当する。

引用発明の「胴部上端」は、胴部2の一様な横断面形状からなる部分からすぼまって注出口部3に至ることから、本件発明1の「肩部」に相当する。

引用発明の「一対の直線状の外輪郭5_(1)、5_(1)からなる部分」は、断面が直線状であり、かつ胴部2の横断面形状が、胴部上端と容器底部との間の軸方向の各部において一様であるから、本件発明1の「一対の平らな板状の側壁」に相当する。

楕円形についても扁平率が適用されることが技術常識であることから、引用発明の「角楕円形状」も扁平率が適用され、本件発明1の「扁平形状」に相当し、引用発明の「プラスチック容器」は、本件発明1の「扁平容器」に相当する。

引用発明の「胴部の扁平度が91.0/51.8である」ことは、胴部の扁平度が所定値である限りにおいて、本件発明の「胴部の扁平度が2以上、3未満である」ことに一致する。

してみると、本件発明1と引用発明とは、
「筒状に形成された口部と肩部を介して前記口部に連なる胴部と該胴部に連なる底部とを有し、該胴部が、正面壁と背面壁とが一対の平らな板状の側壁で連ねられるとともに前記正面壁と前記背面壁との間の最大厚みが一対の前記側壁の間の最大幅よりも小さい扁平形状に形成されている扁平容器であって、
前記胴部の横断面形状が、前記肩部と前記底部との間の軸方向の各部において一様であり、胴部の扁平度が所定値である扁平容器」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
胴部の扁平度が、本件発明1では、「2以上、3未満である」のに対して、引用発明では、「91.0/51.8である」点。

(相違点2)
本件発明1では、「前記正面壁の幅方向中央部分の肉厚と前記正面壁の最薄部分の肉厚との差が0.10mm以上、0.40mm未満である」のに対して、引用発明では、そのような構成がない点。

第6 当審の判断
上記相違点1について検討すると、容器の扁平度は、得ようとする容器の仕様によって適宜設定される設計的事項であって、また容器全体の扁平度と容器の正面壁の剛性との間になんら相関がないことから考えて、引用発明のプラスチック容器の扁平度を「2以上、3未満」に設定することは、当業者が容易になし得た程度の設計変更というべきである。

上記相違点2について検討する。

引用文献3の段落[0038]、[0045]?[0047]及び図19には、以下の事項が記載されている。

ア「【0038】
図13?図16は、本発明の他の実施形態に係る樹脂製封入容器を示しており、図13は正面図、図14は側面図、図15は平面図、図16は底面図である。」

イ「【0045】
図19は、図13?図18に示した実施形態における低強度領域11Lvの他の形態を示している。すなわち、表裏面11の幅方向端部寄りの低強度領域を、強湾曲方向での曲率の大小で形成するのに代えて、容器壁の厚さを変えて形成している。表裏面の離反距離が最も大きい位置P0(図13参照)においては、図19に示すように、弯曲は表裏面の幅全体11Aに亙ってほぼ一定の曲率(曲率半径=RC0)になっている。そして、表裏面11の幅方向中央部11Cの壁厚T1を厚くし、端部寄り部分11Dの壁厚T2を薄くしている。なお、図では理解を容易にするために壁厚を拡大して示している。
【0046】
この壁厚の厚い部分及び薄い部分を、各々弱湾曲方向(垂直方向V)に沿って分布させる。これにより、壁厚の薄い領域が低強度領域11Lv(前述の図13の斜線領域に対応する)として形成される。この低強度領域は、そのままでは容器内方へ向かう力に対する強度が低い。また、これに加えて図7を参照して説明した変形性によっても、表裏面11の幅方向端部寄りにある曲率半径の大きい部分11Lは容易に変形する。これに対して、この低強度領域11Lvに容器壁の微小凹部によってリブ15を形成することにより、強度を向上させることができる。
【0047】
これらの壁厚は、例えば、表裏面11の壁厚T1を0.7mm、壁厚T2を0.3mmと設定することができる。なお、側壁12及び底壁の壁厚は、1?1.5mmとすることができる。」

ウ「【図19】



また、引用文献4の[0026]、[0030]?[0034]、[0037]?[0040]及び図4?図5には、以下の事項が記載されている。

エ「【0026】
図1に示すように、実施形態にかかるパンク修理剤の保存容器10(以下、「保存容器10」という)は、自立可能な有底筒状の容器本体部20と、容器本体部20の上端に設けられる口部11と、口部11を密封するためのシール材(蓋材)12と、口部11に被着される保護キャップ13と、を有する。容器本体部20と口部11は、合成樹脂で一体に成形されるものであり、たとえば、射出成形で成形したプリフォームを加熱・軟化させて膨らませるインジェクション・ブロー成形や、溶融状態の筒状のパリソンを膨らませるダイレクトブロー成形などにより製造される。」

オ「【0030】
容器本体部20は、肩部21、胴部22および底部23からなる。肩部21は、口部11の下端に連なり、下方に向けて拡径するように形成される。保存容器10の軸直角方向(正立した保存容器10の水平方向)に対する肩部21の傾斜角θは、容器本体部20に求められる座屈強度や、容器本体部20の成形性等を考慮して、任意に設定される。
【0031】
胴部22は、肩部21の下端に連なる共に、図3に示すように、扁平状に形成される。ここでは、胴部22のB-B横断面は、4つの角に丸みを設けたほぼ長方形状に形成される。これにより、胴部22は、長径方向に対向する1対の幅狭部25と、短径方向に対向する1対の幅広部26と、によって構成される。具体的には、幅狭部25、幅広部26およびその境界部がそれぞれ異なる曲率を有する曲線により構成される。胴部22における長径D1と短径D2の寸法比(D2/D1)は、胴部22の把持性、胴部22の延伸倍率の大きさ等に応じて、任意に設定される。
【0032】
図2に戻る。図2に示すように、胴部22のA-A縦断面は基本長方形状であり、1対の幅広部26のそれぞれには、押圧用凹部27が設けられる。この押圧用凹部27は、容器側面視で凹曲面状に形成され、幅広部26の中央付近で最も深く凹むように形成される。押圧用凹部27の上端位置P1は、肩部21の下端近傍に達しており、押圧用凹部27の下端位置P2は、底部23の上端近傍に達する。このように、押圧用凹部27は、幅広部26のほぼ全面に亘って広く形成される。さらに、肩部21および底部23の押圧用凹部27近傍は面取りされた曲面形状を有している。押圧用凹部27は、使用者によって押圧されることで、幅広部26の全体を内側に大きく撓ませながら、胴部22を大きく圧縮変形させる作用をなす。
【0033】
なお、押圧用凹部27の曲率半径Rは、容器本体部20に求められる押し出し性能や、容器本体部20の成形性等に応じて、任意の大きさに設定される。また、押圧用凹部27は、1つの曲率半径Rからなる曲面の他、複数の曲率半径を組合せた曲面によって構成されてもよい。また、この例では、胴部22の横断面をほぼ長方形状としたが、本発明にかかる押圧用凹部は、たとえば、胴部の横断面をほぼ楕円形状にすることで胴部を扁平状に形成し、対向する大径側の湾曲部に設けてもよい。
【0034】
ここで、容器本体部20における肉厚分布について述べる。 胴部22のスクイズ性および復元性をより高めるには、幅広部26の中央部の肉厚t1(図3参照)を幅広部26の長径方向両端部の肉厚t2(図3参照)よりも大きく設定し、かつ、中央部の肉厚t1(図2参照)を幅広部26の高さ方向両端部の肉厚t3(図2参照)よりも大きく設定することが望ましい。」

カ「【0037】
容器本体部20における肉厚の測定箇所を図4に基づいて説明する。
図4(a)に示すように、高さ方向の肉厚分布を測定する位置は、底部23の底面より10mmの高さから肩部21までの範囲において、10mm間隔で合計12箇所(測定位置A1?A12)設定した。また、図4(b)に示すように、周方向の肉厚を測定する向きは、成形金型の分割位置であるパーティングラインPLの一側(方向B1)から時計回りに360°の範囲において、30°の角度ピッチで合計12方向(測定方向B1?B12)設定した。なお、肉厚の測定には、デジタルマイクロメータを用いた。また、周方向の肉厚分布は、底面より60mmの高さ(測定位置A6)にて測定した。
【0038】
周方向の肉厚分布の測定結果を表1に示し、表1の測定結果をグラフ化したものを図5に示す。図5中、横軸は測定方向(B1?B12)であり、縦軸は肉厚(mm)である。
【0039】
【表1】

【0040】
表1および図5に示すように、幅広部26の中央部付近(測定方向B4,B10)では、肉厚が1.0?1.1mm程度であり、長径方向両端部(測定方向B2,B6,B8,B12)の肉厚が0.7?0.8mm程度である。このように、周方向の肉厚分布では、中央部の肉厚t1(図3参照)が長径方向両端部の肉厚t2(図3参照)よりも大きく、かつ、好適な大きさ(長径方向両端部t2の肉厚の1.2?1.6倍の範囲)であることが分かる。」

キ「【図4】



ク「【図5】



技術常識を参酌すると、樹脂製容器の技術分野において、容器一つ当たりの樹脂量、すわなわち目付量を少なくすることは、樹脂性容器のコストに直結する事項であることから、技術分野共通の課題であるといえる。
そして、上記摘記事項ア?クからみて、引用文献3には、樹脂製容器の表裏面の壁厚T1を0.7mm、壁厚T2を0.3mmとして強度を強化したもの、引用文献4には、合成樹脂製の保存容器の容器本体部の幅広部の中央部付近の肉厚を1.0?1.1mm、長径方向両端部付近の肉厚を0.7?0.8mmとしてスクイズ性と復元性を高めたものが記載されており、樹脂製容器において、正背面の中央部付近の肉厚と他の部分の肉厚との差が0.2?0.4mm程度となるよう構成することが従来周知の技術手段(以下、「周知技術」という。)ということができる。

一方、引用発明は、上記「第4」の「1.ア」で摘記したとおり、「長軸両端の直線状の外輪郭の間を結ぶ円弧状の外輪郭部分の強度を上げ、肉厚を薄くして使用樹脂の目付量をへらしながら内容液吐出時の減圧変形を防止できる胴部横断面形状が略角楕円形状になるプラスチック容器を提供すること」を課題としているものであって、当該課題に対して、技術常識を参酌しつつ上記周知技術を採用して、「正面壁の幅方向中央部分の肉厚と前記正面壁の最薄部分の肉厚との差」を「0.10mm以上、0.40mm未満」とすることは、当業者が容易に想到し得たものといえる。

また、「正面壁の幅方向中央部分に目立たない程度の肉厚部を設けて扁平容器の見栄えを損なうことなく胴部の剛性を確保することができる。」との本件発明の効果についても、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る事項にすぎないものである。

なお、審判請求人は、令和 2年10月 5日提出の意見書において、「・・・引用文献3(特開2010-137898号公報)の図19に示されている容器は、胴部が上下方向に湾曲した形状となっており、本願発明のように、胴部の横断面形状が、肩部と底部との間の軸方向の各部において一様な形状とはなっておりません。また、引用文献4(特開2014-46574号公報)に記載されている容器も、胴部に押圧用凹部27が設けられており、本願発明のように、胴部の横断面形状が、肩部と底部との間の軸方向の各部において一様な形状とはなっておりません。
このように、引用文献2?4に記載されている容器は、何れも、本願発明の扁平容器とは形状が全く相違するものでありますから、たとえ当業者であっても、引用文献1の容器に、形状が全く相違する引用文献2?4に記載の容器の構成を適用しようと動機づけられることはありません。」と主張する。

しかしながら、技術常識を参酌すると、扁平形状の樹脂製容器の正面壁又は背面壁において最も変形しやすい箇所は、正面壁又は背面壁の中央部分であって、前記正面壁又は背面壁で樹脂製容器の肩部から底部の間の軸方向において曲率があったとしても、前記中央部分における曲げ剛性に大きな差異は発生しないものと考えられ、「胴部の横断面形状が、肩部と底部との間の軸方向の各部において一様な形状」ではないことだけを以つて、引用発明に上記周知技術を適用できないとする理由にはならない。

さらに、上記のとおり引用発明と周知技術とは、いずれも樹脂製容器の正面壁又は背面壁の強度を向上させつつ肉厚を薄くして使用樹脂の目付量をへらすことが共通の課題といえるから、当業者が引用発明に周知技術を適用する動機付けがあるというべきであって、審判請求人の主張を採用することはできない。

したがって、本件発明1は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができる発明であるというほかない。

第7 むすび
以上のとおり、本件発明1は、引用発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-11-24 
結審通知日 2020-12-01 
審決日 2020-12-15 
出願番号 特願2015-194830(P2015-194830)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 智宏  
特許庁審判長 石井 孝明
特許庁審判官 横溝 顕範
間中 耕治
発明の名称 扁平容器  
代理人 杉村 光嗣  
代理人 杉村 憲司  
代理人 片岡 憲一郎  
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