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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1370833
審判番号 不服2020-1487  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-04 
確定日 2021-02-04 
事件の表示 特願2017-127961号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月24日出願公開、特開2019- 10235号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月29日の出願であって、平成31年4月12日付けの拒絶理由通知に対して、令和1年6月21日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたところ、同年11月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和2年2月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年2月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年2月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、明細書及び特許請求の範囲を補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前の令和1年6月21日付けの手続補正書において、

「【請求項1】
図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合に非遊技期間を開始するように構成し、
前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が特定態様となった場合に特別利益状態を発生させる特別利益状態発生手段と、
遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示とカード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行可能な注意喚起表示制御手段とを備えた
遊技機において、
遊技者による所定操作を検知する操作検知手段を備え、
前記非遊技期間中に前記第1注意喚起表示を実行する場合には、前記操作検知手段が前記所定操作を検知することにより前記第1注意喚起表示を中断又は中止する一方、
前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合には、前記操作検知手段が前記所定操作を検知しても前記第1注意喚起表示及び前記第2注意喚起表示を中断又は中止しないように構成し、
前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合、前記第1注意喚起表示では画面上の第1表示領域に文字情報を含む第1注意喚起画像を、前記第2注意喚起表示では画面上の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に文字情報を含む第2注意喚起画像を夫々表示するとともに、前記第1表示領域と前記第2表示領域とで、前記文字情報に対する周辺部分の表示態様を異ならせた
ことを特徴とする遊技機。」

とあったものを、

「【請求項1】
A 図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合に非遊技期間を開始するように構成し、
B 前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が特定態様となった場合に特別利益状態を発生させる特別利益状態発生手段と、
C 遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示とカード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行可能な注意喚起表示制御手段とを備えた
D 遊技機において、
E 遊技者による所定操作を検知する操作検知手段を備え、
F 前記非遊技期間中に前記第1注意喚起表示を実行する場合には、前記操作検知手段が前記所定操作を検知することにより前記第1注意喚起表示を中断又は中止する一方、
G 前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合には、前記操作検知手段が前記所定操作を検知しても前記第1注意喚起表示及び前記第2注意喚起表示を中断又は中止しないように構成し、
H 前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合、前記第1注意喚起表示では画面上の第1表示領域に文字情報を含む第1注意喚起画像を、前記第2注意喚起表示では画面上の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に文字情報を含む第2注意喚起画像を夫々表示するとともに、前記第1表示領域内における文字情報以外の第1表示態様と、前記第2表示領域内における文字情報以外の第2表示態様とを異ならせた
I ことを特徴とする遊技機。」

と補正することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。記号A?Iは、分説するため当審で付した。)。

2 補正の適否
(1)補正の目的
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合」における「第1注意喚起画像」及び「第2注意喚起画像」の表示態様に関して、補正前の「前記第1表示領域と前記第2表示領域とで、前記文字情報に対する周辺部分の表示態様を異ならせた」から「前記第1表示領域内における文字情報以外の第1表示態様と、前記第2表示領域内における文字情報以外の第2表示態様とを異ならせた」へと限定しようとするものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(2)新規事項
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【図28】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に公開された特開2017-47321号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

ア 「【0010】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の遊技機の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。」

イ 「【0033】
[パチンコ遊技機1の操作手段の構成例]
図2に例示されるように、枠部材3には、遊技者が操作する操作手段として、演出ボタン26及び演出キー27が設けられている。演出ボタン26は、遊技者が操作(押下)することによって操作情報を入力するための押ボタンである。演出ボタン26は、その上面が枠部材3の上面と略同じ高さにある通常位置と、その上面が枠部材3の上面に対して所定の高さ(例えば4センチ)だけ上方に突出した突出位置との間で、高さを変更可能に構成されている(例えば図46(A)参照)。なお、演出ボタン26は、通常位置と突出位置との間におけるどの高さにあっても操作が可能である。」

ウ 「【0076】
[客待ち状態における警告報知]
次に、客待ち状態における警告報知について説明する。本実施形態におけるパチンコ遊技機1は、遊技が進行していない場合「客待ち状態」に制御される。パチンコ遊技機1は、後述するメインRAM103(図14参照)に記憶されている客待ちフラグの設定により客待ち状態を制御する。
【0077】
ここで、客待ちフラグは、大当たり遊技中ではなく、特別図柄の変動表示中でもない場合であって、特別図柄判定の保留が1つもないときに「ON」に設定され、特別図柄の変動表示が開始された際に「OFF」に設定されるフラグである。」

エ 「【0113】
なお、本実施形態では、客待ち演出中に演出ボタン26が操作された場合、客待ち演出の実行が終了(又は中断)されてメニュー画面(図7(C)参照)がメイン液晶5に表示される。この場合、メニュー画面の表示が終了した際には、再度客待ち演出が実行される。このときの客待ち演出の内容は最初から開始されてもよいし、中断された状態から引き続いて実行されてもよい。この間、サブ液晶61,62では、警告が報知されてもよいし、客待ち演出の実行終了と共に警告報知を終了(又は中断)してメニュー画面に係る画像が表示されてもよい。警告を終了(又は中断)した場合、メニュー画面の表示に伴って再び警告の報知を開始してもよいし、再度客待ち演出が実行されるのに伴って再び警告の報知を開始してもよい。このときの警告の内容は最初から開始してもよいし、中断された状態から引き続いて報知されてもよい。」

オ 「【0190】
ステップS2の処理に続いて、メインCPU101は、特別図柄判定を実行し、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に特別図柄を変動表示させてから特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄を停止表示させる処理等を含む特別図柄処理を実行する(ステップS3)。この特別図柄処理については、図20に基づいて後に詳述する。
・・・・・
【0193】
ステップS5の処理に続いて、メインCPU101は、ステップS3において大当たりであると判定した場合に、第1大入賞口制御部118(又は第2大入賞口制御部119)を制御して第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)を開放する大入賞口開放制御処理を実行する(ステップS6)。この大入賞口開放制御処理については、図23に基づいて後に詳述する。」

カ 「【0326】
統括CPU141は、初当たりであると判定した場合(ステップS5417:YES)、エンディング演出開始コマンドに含まれる大当たり遊技終了後の遊技状態に関する情報に基づいて、大当たり遊技終了後の遊技状態を報知する初当たり用のエンディング演出および警告報知を開始する(ステップS5418)。具体的には、例えば、統括CPU141は、エンディング演出が開始されてからの経過時間をカウントする。このエンディング演出が開始されてからの経過時間を示す情報は、制御用RAM145に記憶され、画像音響制御基板140においてタイマ割込み処理が行われる毎に適時更新される。・・・そして、上記制御用RAM145に記憶されている情報が示す経過時間が、制御用ROM144に予め記憶された所定の設定時間を経過すると、統括CPU141は、カード取り忘れ警告(メッセージ6117,6217図10(C)参照)をサブ液晶61,62に表示させるための描画指示をVDP142に出力する。これにより、メイン液晶5における初当たり用のエンディング演出画像の表示中に、車内放置警告に続いてカード取り忘れ警告がサブ液晶61,62に表示されることになる(図9(A)参照)。
・・・・・
【0332】
統括CPU141は、受信したコマンドが客待ち演出開始コマンドであると判定した場合(ステップS5422:YES)、客待ち演出および警告報知を開始する(ステップS5423)。具体的には、統括CPU141は、客待ち状態中に亘って、メイン液晶5及びサブ液晶61,62において通常画面(図6(A)参照)を表示させるための描画指示をVDP142に出力する。・・・また、統括CPU141は、客待ち演出および警告報知の開始タイミングになると、例えば、サブ液晶61,62に車内放置警告→のめりこみ警告→18禁警告→攻略法詐欺警告→マナー喚起警告→置き引き警告→車内放置警告→・・・の順で経時的に警告を切り替えながら繰り返し表示させるための描画指示をVDP142に出力する(図5参照)。これにより、客待ち演出および警告報知の開始タイミングになってから客待ち状態による制御が終了するまで、サブ液晶61,62には上記6種類の警告が切り替わりながらループして表示されることになる(図6?8参照)。」

キ 「【0368】
[変形例]
以下、本実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明では、上記本実施形態と共通する構成や処理については同じ参照符号やステップ番号を付して説明を省略し、主に上記本実施形態と異なる点について説明する。
【0369】
[警告をメイン液晶5に表示させる変形例について]
上記本実施形態では、警告情報をサブ液晶61,62に表示する場合について説明した。これに対して、他の実施形態では、警告情報をメイン液晶5に表示してもよい。以下、図33?図37を参照しつつ、警告情報をメイン液晶5に表示させる場合の変形例について説明する。
【0370】
[客待ち状態において警告情報をメイン液晶5に表示させる変形例]
他の実施形態では、例えば、客待ち状態において、メイン液晶5に警告を表示させてもよい。以下、図33?図35を参照しつつ、客待ち状態のときにメイン液晶5を用いて警告を報知する場合について説明する。
・・・・・
【0373】
その後、客待ち状態に制御された後に第2待機時間(例えば40秒)が経過すると客待ち演出が開始される。この客待ち演出において、例えば、社名ムービー画像→デモムービー画像→警告報知→メニュー画面の順で各画像を経時的にメイン液晶5に表示させる。なお、客待ち演出における警告報知では、例えば、車内放置警告→のめりこみ警告→18禁警告→攻略法詐欺警告→マナー喚起警告→置き引き警告の順で各警告が報知される期間が設けられている(図33参照)。
【0374】
(客待ち状態において警告をメイン液晶5に表示させる場合の具体例)
図34及び図35は、メイン液晶5を用いて客待ち状態中に複数の警告が報知される変形例について説明するための説明図である。
【0375】
ここで、メイン液晶5はサブ液晶61,62よりも表示面積が大きい。このため、例えば、報知される1種類以上の警告(例えば6種類の警告)を一度に全てメイン液晶5に表示させてもよい。この場合、メイン液晶5の左側領域に複数の警告を表示させている間に、メイン液晶5の右側領域に各警告に関する説明を順番に表示させてもよい。
・・・・・
【0378】
車内放置警告の報知期間が終了すると、左側領域における「車内放置」の文字の拡大表示が終了される。これと共に、のめりこみ警告の報知期間が開始し、「のめりこみ・使いすぎ」の文字が拡大表示される。のめりこみ警告の説明期間中には、図34(B)に例示するように、のめりこみ警告の詳細な情報として、「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字が右側領域に表示される(タイミングK11、図33参照)。
・・・・・
【0387】
[エンディング演出において警告をメイン液晶5に表示させる変形例]
上述した本実施形態ではエンディング演出中にサブ液晶61,62を用いて警告を報知する場合について説明した。他の実施形態では、例えば、大当たり遊技のエンディング演出中に、メイン液晶5に警告を表示させてもよい。図36は、初当たりの大当たり遊技中にメイン液晶5を用いて警告が報知される変形例について説明するための説明図である。
・・・・・
【0391】
また、例えば、初当たりに係るエンディング演出の後半において、図36(C-b)に例示するように、メイン液晶5において複数の警告が報知される。図36(C-b)には、エンディング演出中に、「ご注意ください」、「車内放置」、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」、及び「置き引き」の文字がメイン液晶5に表示される様子が例示されている(タイミングE9、図36(A)参照)。本変形例は、図34及び図35を参照しつつ説明した他の変形例と異なり、各警告に関する説明が表示されない。・・・」

ク 「【図34】(B)



ケ 「【図36】(C-b)



コ 認定事項
(ア)上記記載事項キによれば、引用文献1の【0368】には、「以下、本実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明では、上記本実施形態と共通する構成や処理については同じ参照符号やステップ番号を付して説明を省略し、主に上記本実施形態と異なる点について説明する。」と記載され、同【0369】には、「上記本実施形態では、警告情報をサブ液晶61,62に表示する場合について説明した。これに対して、他の実施形態では、警告情報をメイン液晶5に表示してもよい。以下、図33?図37を参照しつつ、警告情報をメイン液晶5に表示させる場合の変形例について説明する。」と記載されている。
そして、上記記載事項カによれば、「本実施形態」について記載された引用文献1の【0326】には、「統括CPU141は、カード取り忘れ警告(メッセージ6117,6217図10(C)参照)をサブ液晶61,62に表示させるための描画指示をVDP142に出力する。」と記載され、同【0332】には、「また、統括CPU141は、客待ち演出および警告報知の開始タイミングになると、例えば、サブ液晶61,62に車内放置警告→のめりこみ警告→18禁警告→攻略法詐欺警告→マナー喚起警告→置き引き警告→車内放置警告→・・・の順で経時的に警告を切り替えながら繰り返し表示させるための描画指示をVDP142に出力する(図5参照)。」と記載されている。
そうすると、引用文献1に記載された変形例(他の実施形態)においても、警告情報をメイン液晶5に表示する場合に、表示させるための描画指示をVDP142に出力するのは、統括CPU141であるといえる。

(イ)上記記載事項キによれば、変形例(他の実施形態)について記載された引用文献1の【0373】には、「なお、客待ち演出における警告報知では、例えば、車内放置警告→のめりこみ警告→18禁警告→攻略法詐欺警告→マナー喚起警告→置き引き警告の順で各警告が報知される期間が設けられている」と記載され、同【0375】には、「メイン液晶5の右側領域に各警告に関する説明を順番に表示させてもよい」と記載され、同【0378】には、「のめりこみ警告の説明期間中には、図34(B)に例示するように、のめりこみ警告の詳細な情報として、「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字が右側領域に表示される」と記載されている。
また、上記記載事項クによれば、引用文献1の【図34】(B)には、メイン液晶5の右側領域に表示されたのめり込み警告の詳細な情報のほかに、演出ボタン26を模した画像とともに、「トップメニューを表示」という文字情報がメイン液晶5の下部領域に表示されることが示されている。
そうすると、引用文献1には、「客待ち演出におけるのめりこみ警告の説明期間中には、のめりこみ警告の詳細な情報として、「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字がメイン液晶5の右側領域に表示され、その際に、演出ボタン26を模した画像とともに、「トップメニューを表示」という文字情報がメイン液晶の5の下部領域に表示される」ことが記載されていると認められる。

(ウ)上記記載事項キによれば、変形例(他の実施形態)について記載された引用文献1の【0387】には、「他の実施形態では、例えば、大当たり遊技のエンディング演出中に、メイン液晶5に警告を表示させてもよい。」と記載され、同【0391】には、「図36(C-b)には、エンディング演出中に、「ご注意ください」、「車内放置」、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」、及び「置き引き」の文字がメイン液晶5に表示される様子が例示されている」と記載されている。
そして、上記記載事項ケによれば、引用文献1の【図36】(C-b)には、メイン液晶5に、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」などの文字は表示されている一方、【図34】(B)などに示された、演出ボタン26を模した画像や「トップメニューを表示」という文字情報は表示されていないこと、また、各文字が重なることなく異なる表示領域に表示されることが示されている。
そうすると、引用文献1には、「大当たり遊技のエンディング演出中に、「ご注意ください」、「車内放置」、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」、及び「置き引き」の文字がメイン液晶5に表示され、その際に、演出ボタン26を模した画像や「トップメニューを表示」という文字情報は表示されない」ことが記載されていると認められ、また、「大当たり遊技のエンディング演出中に、「ご注意ください」、「車内放置」、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」、及び「置き引き」の文字がメイン液晶5に表示される場合には、各文字が重なることなく異なる表示領域に表示される」こと(認定事項コ-1)が記載されていると認められる。

(エ)上記(ア)?(ウ)から、引用文献1には、「客待ち演出におけるのめりこみ警告の説明期間中に、のめりこみ警告の詳細な情報として、「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字をメイン液晶5の右側領域に表示させ、その際に、演出ボタン26を模した画像とともに、「トップメニューを表示」という文字情報をメイン液晶5の下部領域に表示させるための描画指示をVDP142に出力し、大当たり遊技のエンディング演出中に、「ご注意ください」、「車内放置」、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」、及び「置き引き」の文字をメイン液晶5に表示させ、その際に、演出ボタン26を模した画像や「トップメニューを表示」という文字情報を表示させないような描画指示をVDP142に出力する統括CPU141」(認定事項コ-2)が記載されていると認められる。

上記ア?ケの記載事項及び上記認定事項コ-1?2を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?iは、本願補正発明の構成A?Iに対応させて付した。また、括弧内に引用文献1における引用箇所を示した。)。

「a 大当たり遊技中ではなく、特別図柄の変動表示中でもない場合であって、特別図柄判定の保留が1つもないときに「ON」に設定され、特別図柄の変動表示が開始された際に「OFF」に設定されるフラグである客待ちフラグの設定により客待ち状態が制御され(【0076】、【0077】)、
b 特別図柄判定を実行し、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に特別図柄を変動表示させてから特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄を停止表示させる処理等を含む特別図柄処理を実行し(ステップS3)、ステップS3において大当たりであると判定した場合に、第1大入賞口制御部118(又は第2大入賞口制御部119)を制御して第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)を開放する大入賞口開放制御処理を実行するメインCPU101と(【0190】、【0193】)、
cg 客待ち演出におけるのめりこみ警告の説明期間中に、のめりこみ警告の詳細な情報として、「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字をメイン液晶5の右側領域に表示させ、その際に、演出ボタン26を模した画像とともに、「トップメニューを表示」という文字情報をメイン液晶5の下部領域に表示させるための描画指示をVDP142に出力し、大当たり遊技のエンディング演出中に、「ご注意ください」、「車内放置」、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」、及び「置き引き」の文字をメイン液晶5に表示させ、その際に、演出ボタン26を模した画像や「トップメニューを表示」という文字情報を表示させないような描画指示をVDP142に出力する統括CPU141とを備えた(認定事項コ-2)、
d パチンコ遊技機1において(【0010】)、
e 遊技者が操作(押下)することによって操作情報を入力するための押ボタンである演出ボタン26を備え(【0033】)、
f 客待ち状態に制御された後に第2待機時間(例えば40秒)が経過すると客待ち演出が開始され(【0373】)、客待ち演出中に演出ボタン26が操作された場合、客待ち演出の実行が終了(又は中断)されてメニュー画面がメイン液晶5に表示され(【0113】)、
h 大当たり遊技のエンディング演出中に、「ご注意ください」、「車内放置」、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」、及び「置き引き」の文字がメイン液晶5に表示される場合には、各文字が重なることなく異なる表示領域に表示される(認定事項コ-1)、
i パチンコ遊技機1(【0010】)。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願補正発明の構成A?Iについて、それぞれ(a)?(i)の見出しを付けて行った。)。

(a)引用発明の「特別図柄」は、「第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に」「変動表示さ」れるものであるから(構成b)、引用発明の「特別図柄の変動表示中でもない」ことは、本願補正発明の「図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないこと」に相当する。そうすると、引用発明の「大当たり遊技中ではなく、特別図柄の変動表示中でもない場合であって、特別図柄判定の保留が1つもないとき」は、本願補正発明の「図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合」に相当する。
そして、引用発明の「客待ち状態」は、「大当たり遊技中ではなく、特別図柄の変動表示中でもない場合であって、特別図柄判定の保留が1つもないときに「ON」に設定され、特別図柄の変動表示が開始された際に「OFF」に設定されるフラグである客待ちフラグの設定により」「制御され」るものであるから、引用発明の「客待ち状態」の期間は、本願補正発明の「非遊技期間」に相当し、引用発明において「客待ちフラグ」が「「ON」に設定され」ることは、本願補正発明の「非遊技期間を開始する」ことに相当する。
してみると、引用発明の構成aは、本願補正発明の構成Aに相当する。

(b)引用発明の「第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42に特別図柄を変動表示させてから」「停止表示」される「特別図柄判定の判定結果を示す判定図柄」は、本願補正発明の「前記図柄表示手段による変動後の停止図柄」に相当する。
また、引用発明において、「ステップS3において大当たりであると判定した場合」に「停止表示」される「判定図柄」の態様は、本願補正発明の「特定態様」に相当する。
さらに、引用発明の「第1大入賞口制御部118(又は第2大入賞口制御部119)を制御して第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)を開放する」状態は、本願補正発明の「特別利益状態」に相当する。
そして、引用発明の「メインCPU101」は、本願補正発明の「特別利益状態発生手段」に相当するから、引用発明の構成bは、本願補正発明の構成Bに相当する。

(c)引用発明の「「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字」の「表示」、又は、「「のめりこみ・使いすぎ」」「の文字」の「表示」は、本願補正発明の「遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示」に相当し、引用発明の「「プリペイドカード取り忘れ」」「の文字」の「表示」は、本願補正発明の「カード取り忘れに関する第2注意喚起表示」に相当する。
してみると、引用発明の「統括CPU141」は、本願補正発明の「注意喚起表示制御手段」に相当するから、引用発明の構成cgは、本願補正発明の構成Cに相当する構成を有している。

(d)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当するから、引用発明の構成dは、本願補正発明の構成Dに相当する。

(e)引用発明の「演出ボタン26」は、「遊技者が操作(押下)することによって操作情報を入力するための押ボタン」であるから、本願補正発明の「遊技者による所定操作を検知する操作検知手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成eは、本願補正発明の構成Eに相当する。

(f)上記(c)で検討したとおり、引用発明の「「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字」の「表示」は、本願補正発明の「遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示」に相当するから、引用発明の「客待ち演出におけるのめりこみ警告の説明期間中に、のめりこみ警告の詳細な情報として、「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字をメイン液晶5の右側領域に表示させ」ること(構成cg)は、本願補正発明の「前記非遊技期間中に前記第1注意喚起表示を実行する」ことに相当する。
また、引用発明の「「パチンコやパチスロはのめりこまずに楽しみましょう」の文字をメイン液晶5の右側領域に表示させ」る「のめりこみ警告」の報知は、「客待ち演出」に包含されるから、引用発明の「客待ち演出中に演出ボタン26が操作された場合、客待ち演出の実行が終了(又は中断)されてメニュー画面がメイン液晶5に表示され」ることは、本願補正発明の「前記操作検知手段が前記所定操作を検知することにより前記第1注意喚起表示を中断又は中止する」ことに相当する。
してみると、引用発明の構成fは、本願補正発明の構成Fに相当する。

(g)引用発明の「大当たり遊技のエンディング演出中」は、本願補正発明の「前記特別利益状態の終了後」に相当する。
また、上記(c)で検討したとおり、引用発明の「「のめりこみ・使いすぎ」」「の文字」の「表示」、「「プリペイドカード取り忘れ」」「の文字」の「表示」は、それぞれ本願補正発明の「遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示」、「カード取り忘れに関する第2注意喚起表示」に相当するから、引用発明の「「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」」「の文字をメイン液晶5に表示させ」ることは、本願補正発明の「前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する」ことに相当する。
してみると、引用発明の構成cgと本願補正発明の構成Gとは、「前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合がある」点で共通する。

(h)上記(g)で検討したのと同様に、引用発明の「エンディング演出中に、」「「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」」「の文字がメイン液晶5に表示される場合」は、本願補正発明の「前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合」に相当する。
そして、引用発明の「各文字が重なることなく異なる表示領域に表示される」ことは、「各文字」に「のめりこみ・使いすぎ」及び「プリペイドカード取り忘れ」の文字が含まれるから、本願補正発明の「前記第1注意喚起表示では画面上の第1表示領域に文字情報を含む第1注意喚起画像を、前記第2注意喚起表示では画面上の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に文字情報を含む第2注意喚起画像を夫々表示する」ことに相当する。
してみると、引用発明の構成hと本願補正発明の構成Hとは、「前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合、前記第1注意喚起表示では画面上の第1表示領域に文字情報を含む第1注意喚起画像を、前記第2注意喚起表示では画面上の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に文字情報を含む第2注意喚起画像を夫々表示する」点で共通する。

(i)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当するから、引用発明の構成iは、本願補正発明の構成Iに相当する。

上記(a)?(i)の検討により、本願補正発明と引用発明とは、

(一致点)
「A 図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合に非遊技期間を開始するように構成し、
B 前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が特定態様となった場合に特別利益状態を発生させる特別利益状態発生手段と、
C 遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示とカード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行可能な注意喚起表示制御手段とを備えた
D 遊技機において、
E 遊技者による所定操作を検知する操作検知手段を備え、
F 前記非遊技期間中に前記第1注意喚起表示を実行する場合には、前記操作検知手段が前記所定操作を検知することにより前記第1注意喚起表示を中断又は中止する一方、
G’ 前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合があり、
H’ 前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合、前記第1注意喚起表示では画面上の第1表示領域に文字情報を含む第1注意喚起画像を、前記第2注意喚起表示では画面上の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に文字情報を含む第2注意喚起画像を夫々表示する
I 遊技機。」

である点で一致し、構成G、Hに関する以下の点で相違している。

(相違点1)
「前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合」について、本願補正発明では、「前記操作検知手段が前記所定操作を検知しても前記第1注意喚起表示及び前記第2注意喚起表示を中断又は中止しないように構成し」ている(構成G)のに対して、引用発明では、そのような構成であるか明らかでない点。

(相違点2)
本願補正発明では、「前記第1表示領域内における文字情報以外の第1表示態様と、前記第2表示領域内における文字情報以外の第2表示態様とを異ならせた」(構成H)のに対して、引用発明では、「のめり込み・使いすぎ」と表示された表示領域内と、「プレイペイドカード取り忘れ」と表示された表示領域内に文字情報以外の表示がなされない点。

(3)判断
ア 相違点1の判断について
相違点1について検討すると、引用発明は、「客待ち演出における」「のめりこみ警告の説明期間中に、」「演出ボタン26を模した画像とともに、「トップメニューを表示」という文字情報をメイン液晶5の下部領域に表示させ」るのに対して(構成cg)、「大当たり遊技のエンディング演出中に」「「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」」「の文字をメイン液晶5に表示させ」る際には、「演出ボタン26を模した画像や「トップメニューを表示」という文字情報を表示させない」ものである(構成cg)。
そうすると、引用発明において、大当たり遊技のエンディング演出中(前記特別利益状態の終了後)に、「のめりこみ・使いすぎ」、「プリペイドカード取り忘れ」の文字をメイン液晶5に表示させる(前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する)場合には、遊技者に演出ボタン26を操作させてメニュー画面を表示することは想定されていないから、そのときに演出ボタン26が操作されたとしても、演出等に何の変化も起こさせないようにすることが、当業者には自然な設計であるといえる。
また、仮に引用発明の構成cgについて、「演出ボタン26を模した画像や「トップメニューを表示」という文字情報を表示させない」とまで認定できないとしても、引用発明は、「客待ち演出中に演出ボタン26が操作された場合、客待ち演出の実行が終了(又は中断)されてメニュー画面がメイン液晶5に表示され」るものであるところ、このように演出ボタン26の操作(前記操作検知手段による前記所定操作の検知)により、実行中の演出を終了(又は中断)させてメニュー画面をメイン液晶5に表示させることを、いずれの演出が行われている場合に実行可能とするかは、各演出の性質を考慮しつつ、遊技者に対して演出や報知を確実に見せることと、メニュー操作ができるタイミングを増やすことによる遊技者の利便性向上とのいずれを優先するか等に応じて、当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎないものである。
そうすると、引用発明において、「前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する」場合に、演出ボタン26が操作されても(前記操作検知手段が前記所定操作を検知しても)、その際に実行されている演出であるエンディング演出及び「前記第1注意喚起表示及び前記第2注意喚起表示」を中断又は中止しないように構成して、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

イ 相違点2の判断について
相違点2について検討すると、表示技術一般において、文字を含む複数の異なる情報をそれぞれ異なる表示領域に表示する場合に、各々の情報の内容に応じて、文字情報及び/又は文字情報以外の情報を、見やすく分かりやすくなるように異なる表示態様とすることは、例示するまでもなく本願出願前に周知慣用の技術である。
そうすると、引用発明において、第1表示領域に表示される第1注意喚起画像(「のめりこみ・使いすぎ」の文字)と、第2表示領域に表示される第2注意喚起画像(「プリペイドカード取り忘れ」の文字)に対して、上記周知慣用技術を付加して、それぞれの表示領域における文字情報に合わせた異なる表示態様の文字情報以外の表示を行うことにより、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことにすぎない。

ウ 本願補正発明の作用効果について
本願補正発明の作用効果は、引用発明及び周知慣用技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとはいえない。

エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「これによって本願発明では、遊技者の目には、文字情報等よりなる2種類の注意喚起表示が、文字情報以外の第1表示態様、第2表示態様の違いによって明確に区分けされ、視覚的に整理された状態で取り込まれることとなり、遊技者の脳内でそれらの情報を理解するのに要する時間が大幅に短縮されるため、表示時間が短くても注意喚起表示の本来の目的を達成することが可能であるという格別の効果を奏するものです。」(3頁20?25行)と主張している。
しかしながら、請求人の主張する効果は、上記周知慣用技術においても奏されるものであって、当業者が予測できる範囲のものであるし、そもそも本願発明では、第1表示領域内及び第2表示領域内の表示態様について、「前記第1表示領域内における文字情報以外の第1表示態様と、前記第2表示領域内における文字情報以外の第2表示態様とを異ならせた」と特定されているのみであり、どのように異ならせたかは特定されていないから、必ず請求人の主張するような効果を奏し得るとはいえない。よって、請求人の上記主張は採用できない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和1年6月21日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの、上記「第2[理由]1 補正の内容」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2017-47321号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(1)引用文献1に記載された事項」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、構成要件である「前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを並行して実行する場合」における「第1注意喚起画像」及び「第2注意喚起画像」の表示態様に関して、「前記第1表示領域内における文字情報以外の第1表示態様と、前記第2表示領域内における文字情報以外の第2表示態様とを異ならせた」から「前記第1表示領域と前記第2表示領域とで、前記文字情報に対する周辺部分の表示態様を異ならせた」へと拡張したものである。
そうすると、本願発明の一部の特定事項をより限定し、それ以外には本願発明の特定事項をすべて含んだものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3(2)対比、(3)判断」に記載したとおり、引用発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-11-18 
結審通知日 2020-11-24 
審決日 2020-12-08 
出願番号 特願2017-127961(P2017-127961)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小泉 早苗  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
小島 寛史
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人谷藤特許事務所  

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