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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1371415
審判番号 不服2020-6288  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-08 
確定日 2021-02-26 
事件の表示 特願2016-255472「宙吊り包装箱」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月 5日出願公開、特開2018-104075〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願は、平成28年12月28日の出願であって、令和 元年10月 8日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月 9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和 2年 2月 3日付けで拒絶査定がされ、これに対して令和 2年 5月 8日に審判請求書が提出され、同時に提出された手続補正書により手続補正がなされたものである。

第2 令和2年 5月 8日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年 5月 8日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1. 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

【請求項1】
中空直方体状の外箱体と、物品を収容する複数の包装パックを宙吊り状態で支持可能な内トレイ体とを備え、前記外箱体内に前記内トレイ体を複数段積み重ねて収容している宙吊り包装箱において、
前記外箱体と前記内トレイ体とは紙材によって構成され、前記内トレイ体における矩形状の平板には、前記包装パックが嵌まる嵌合穴の複数個が形成され、前記嵌合穴のそれぞれに前記包装パックを嵌め込むことによって、前記各包装パックが宙吊り状態で支持されるように構成されるとともに、
前記内トレイ体の前記平板には、相対向する一対の長手側板と、相対向する一対の短手側板とが設けられ、前記各短手側板は、切込線を介して前記平板に連接され、且つ前記切込線に沿って下向きに折り曲げられ、前記平板における前記各切込線寄りの箇所には、取り出し用の把手穴が設けられ、
前記外箱体の四周側板と前記各段の内トレイ体の四周側板とには、互いに重なり合う側板同士の対応する箇所に通気穴が設けられ、前記通気穴によって、前記外箱体の外部から前記各段の内トレイ体の内部までを連通させている、
宙吊り包装箱。

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、令和 元年12月 9日に手続補正された特許請求の範囲の記載によって特定される次のとおりである。

【請求項1】
中空直方体状の外箱体と、物品を収容する複数の包装パックを宙吊り状態で支持可能な内トレイ体とを備え、前記外箱体内に前記内トレイ体を複数段積み重ねて収容している宙吊り包装箱において、
前記外箱体と前記内トレイ体とは紙材によって構成され、前記内トレイ体における矩形状の平板には、前記包装パックが嵌まる嵌合穴の複数個が形成され、前記嵌合穴のそれぞれに前記包装パックを嵌め込むことによって、前記各包装パックが宙吊り状態で支持されるように構成されるとともに、
前記内トレイ体の前記平板には、相対向する一対の長手側板と、相対向する一対の短手側板とが設けられ、前記各短手側板は、切込線を介して前記平板に連接され、且つ前記切込線に沿って下向きに折り曲げられ、
前記平板における前記各切込線寄りの箇所には、取り出し用の把手穴が設けられている、
宙吊り包装箱。
【請求項2】
中空直方体状の外箱体と、物品を収容する複数の包装パックを宙吊り状態で支持可能な内トレイ体とを備え、前記外箱体内に前記内トレイ体を複数段積み重ねて収容している宙吊り包装箱において、
前記外箱体と前記内トレイ体とは紙材によって構成され、前記内トレイ体における矩形状の平板には、前記包装パックが嵌まる嵌合穴の複数個が形成され、前記嵌合穴のそれぞれに前記包装パックを嵌め込むことによって、前記各包装パックが宙吊り状態で支持されるように構成されるとともに、
前記内トレイ体の前記平板には、相対向する一対の長手側板と、相対向する一対の短手側板とが設けられ、前記各長手側板には、その長手方向に沿って且つ互いに平行状に延びる第1折目線及び第2折目線が、前記第1折目線を前記平板寄りに位置させるように形成され、前記第1折目線は前記平板と前記長手側板との境界線とし、
前記各長手側板は、前記第2折目線を挟んで、前記平板寄りに位置する第1側板部と第2側板部とに分かれていて、前記各第2側板部の先端縁には、複数の係止突起が形成される一方、前記平板における前記各嵌合穴の周囲のうち前記第1折目線寄りの短手縁部に、前記各係止突起に対応する切込溝が形成され、
前記各長手側板は、前記第1折目線に沿って前記第1側板部を下向きに折り曲げ、前記第2折目線に沿って前記第2側板部を内側に折り返し、前記各係止突起を前記平板の前記各切込溝に下方から差し込んで保持される、
宙吊り包装箱。

(3)本件補正の適否
本件補正は、補正前の[請求項2]を削除するとともに、[請求項1]に「前記外箱体の四周側板と前記各段の内トレイ体の四周側板とには、互いに重なり合う側板同士の対応する箇所に通気穴が設けられ、前記通気穴によって、前記外箱体の外部から前記各段の内トレイ体の内部までを連通させている」との発明特定事項を追加するものである。

当該発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書の段落[0036]に「内トレイ体3の四周側板20,21にも通気穴17を設けている。内トレイ体3の長手側板20には、第1側板部25に2つの通気穴17を設け、第2側板部26にも2つの通気穴17を設けている。・・・外箱体2内に2段の内トレイ体3を収容した状態では、互いに重なり合う側板5,20(6,21)同士の対応する箇所に通気穴17群が位置することになる。従って、これら通気穴17群によって、外箱体2及び内トレイ体3の内外が連通することになり、宙吊り包装箱1内の通気性を向上できる。」と記載されており、[図8]、[図9]及び[図10]にも、内トレイ体の四周側板に設けた通気穴と外箱の四周側板に設けた通気穴とが連通していることが記載されているから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

また、本件補正は、補正前の請求項2を削除するとともに、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「外箱体」、及び「内トレイ体」について、上記のとおり発明特定事項を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第1号の請求項の削除、及び同条同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

上記のとおり、本件補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許をうけることができるものであるか)について、以下、検討する。

2. 独立特許要件について
2-1 本件補正発明
補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」いう。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記1.(1)に記載したとおりのものである。


2-2 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用され、本件に係る出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願昭50-135503号(実開昭52-049082号)のマイクロフィルム(昭和52年 4月 7日発行。以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「この考案はりんご、なし、ももなどのような主として傷つきやすい果実を収納して運送あるいは保管のために供する果実包装体に係るものであり、弾性を有する紙製の台板と、これに取付ける果実収納用の緩衝性支持材との組合せからなるものである。・・・」(明細書第1ページ第10行?第15行)

(イ)「第1図は本案包装体の1例を示したもので、1は板面に円形の孔3を複数設けた段ボールまたは板紙からなっている台板、2は果実を収納するための緩衝性支持材である。台板1は、方形の板の角を切欠いて四辺をそれぞれ下に折曲げた箱形をしており、折曲げ片a,b,c,dはそのままでも、互いの継ぎ目を別の紙で貼りつけてあつてもよい。台板一つを平たいボール箱のような包装箱に入れて用いるときはこれでもよいが、箱に台板を二つ以上段積みにして入れる場合は、真すぐな折曲げ片が下積みの折曲げ片と箱の間に食い込んで水平に維持できなくなるので、この場合は折曲げ片a,b,c,dの対向する両辺の先端を僅かに内側に折曲げておくか、いずれかの一片を内側に折曲げて他端の折曲げ片の下まで延長しておくとよい。」(明細書第1ページ第12行?第2ページ第12行)」

(ウ)「緩衝性支持材2は、第2図に示すように、上縁に環状のつば4を有するコツプ状をしており、比較的やわらかで丈夫な紙でつくられている。本案包装体はこの支持材2を台板1の孔3に嵌合してつば4で係止させたものである。・・・」(明細書第2ページ第13?第17行)

(エ)「第1図



(オ)「第2図



(カ)摘記事項(イ)において、「平たいボール箱のような包装箱」は、「平たい」形状であり、箱が中空であることは技術常識であるから、ボール箱は中空直方体状であるものといえる。またボール箱が、ボール紙で形成された箱であることは、技術常識である。

(キ)摘記事項(エ)の第1図の記載及び摘記事項(イ)において「台板1は、方形の板の角を切欠いて四辺をそれぞれ下に折曲げた箱形をしており・・・」と記載から、台板1のうち折曲げ片a,b,c,d以外の部分は、矩形状の平板であるといえる。

(ク)摘記事項(オ)の第2図の記載及び摘記事項(ウ)の記載から、台板1の孔3に嵌合する緩衝性支持材2の底面は、折曲げ片bの下端より上方にあることが確認できるので、緩衝性支持材2は、宙吊り状態で支持されているものといえる。さらに、摘記事項(イ)の「箱に台板を二つ以上段積みにして入れる場合は、真すぐな折曲げ片が下積みの折曲げ片と箱の間に食い込んで水平に維持できなくなるので、この場合は折曲げ片a,b,c,dの対向する両辺の先端を僅かに内側に折曲げておくか、いずれかの一片を内側に折曲げて他端の折曲げ片の下まで延長しておくとよい。」との記載から、ボール箱に台板1を二つ以上段積みした場合でも台板1は水平状態を維持しており、台板1の穴3に嵌合する緩衝性支持材2は、宙吊り状態でボール箱に収容され、緩衝性支持体を宙吊り状態で収容した箱が形成されているものといえる。

以上の摘記事項(ア)?(オ)及び認定事項(カ)?(ク)から、引用文献1には次の発明が記載されているものといえる(以下、「引用発明」という。)。

<引用発明>
中空直方体状のボール箱と、果実を収容する複数の緩衝性支持材を宙吊り状態で支持可能な台板とを備え、前記ボール箱内に前記台板を複数段積み重ねて収容している、緩衝性支持体を宙吊り状態で収容した箱において、
前記ボール箱はボール紙、前記台板は段ボール又は板紙によって構成され、前記台板における矩形状の平板には、前記緩衝性支持材が嵌合する孔の複数個が形成され、前記孔のそれぞれに前記緩衝性支持材を嵌合して該緩衝性支持材のつばで係止させることによって、前記各緩衝性支持材が宙吊り状態で支持されるように構成されるとともに、
前記台板の前記平板には、相対向する一対の折曲げ片a,cと、相対向する一対の折曲げ片b,dとが設けられ、前記折曲げ片b、dは、前記平板に連接され、且つ下向きに折り曲げられている、緩衝性支持体を宙吊り状態で収容した箱。

(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本件に係る出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2005-178806号公報(平成17年 7月 7日公開。以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0002】
食品を包装する容器には、従来、様々な形態のものが使用されている。特に食品販売の際に使用される容器としては、低廉な製造コスト及び製造の容易さ、軽量性等の観点から一枚のブランク(型抜き或いは裁断したシート状の紙)を折り曲げ加工して容器状に成形したものが多く使用されており、これに関する主な技術として、以下に示すものが提案され開示されている。」

(イ)「【0013】
ここで弱め線とは、折り目線の一種であり、折り曲げた後の弾性力による復元作用が折曲線より小さくなるようにしたものであって、例えばミシン目により形成することができる。このように構成されるシート材は、矩形底板部(2)を画成する4辺にそれぞれ連接する側壁部(3,3,3’、3’)を上記矩形底板部と側壁部の連接部に形成した折曲線(2a)を折り目として略鉛直方向に起立させるとともに、上記折込片部(4,4,4,4)を、該折込片部に形成された弱め線(4c)が山折になるように引き起こすことで、該弱め線(4c)を折り目として二つ折りに折り曲げられた状態となって上部開口の立方体形状の食品容器(5)が形成される。・・・」

(3)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本件に係る出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-192947号公報(平成24年10月11日公開。以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0021】
本発明の梱包体においては、前記緩衝材の基板の対向する2辺に近接し、かつ、各辺の一端寄りにそれぞれ反対方向に偏倚した位置に、指掛け孔が形成されていることが好まし。これによれば、指掛け孔に指を挿入して緩衝材を保持できるので、梱包箱への緩衝材の出し入れが容易となる。指掛け孔が、対向する2辺の対向する位置からずれて設けられていることにより、基板のいずれか一辺に平行する同一のラインに2つの指掛け孔が設けられて強度低下が生じるのを防ぐことができる。」

(イ)「【0037】
そして、この梱包体は、梱包箱10と、段ボール紙からなる複数の緩衝材30とを用いて、上記パウチ1を複数個収容したものである。
【0038】
本発明に用いられる段ボール材料の種類は特に問わないが、Aフルート(厚さ5mm)及びBフルート(厚さ3mm)があり、本発明の梱包体は荷重に対する強度が向上しているため、Bフルートでも強度の維持が可能となる。これにより、段ボール材の使用料が減少し、重量・コスト・廃棄・梱包箱外寸等が優位となる。また、加工成形性が向上し、加工トラブルが減少する。機能上も上方からの衝撃に対して変形し易く、それにより衝撃吸収性が向上する。
【0039】
前記梱包箱10は、四角形状の底部11を有する有底箱状をなしている。この実施形態では、前記底部11は長方形状をなすと共に、この底部11の周縁から四角枠状の側壁13が立設されており、更に、側壁13の上端からは、複数の天板15が延設され、梱包箱10の上方開口部が開閉可能となるように構成されている。なお、底部11を正方形としてもよい。
【0040】
一方、図2及び図3に示すように、前記緩衝材30は、前記梱包箱10の内周にほぼ適合する四角形状の基板31を有している。この実施形態における基板31は、梱包箱10の底部11に対応して、長辺31a,31a及びこれに直交する短辺31b,31bを有する長方形状をなしていると共に、段ボール紙の目筋S(図3参照)の方向が長手方向を向くように形成されている。・・・
【0041】
また、図3に示すように、基板31の対向する短辺31b,31bには、各短辺31bの一端寄りの位置に、それぞれ反対方向に偏倚した位置となるように、半円形状をなした指掛け孔33がそれぞれ形成されている。なお、図3の想像線に示すように、基板31の長辺31a,31a側に、指掛け孔33をそれぞれ形成してもよい。」

(ウ)「【図1】




(エ)「【図3】



(4)引用文献5に記載された事項
令和 元年10月 8日付けの拒絶理由の通知で引用され、本件に係る出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許第5433335号明細書(1995年 7月18日公開。以下、「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「FIG. 2 depicts a prior art container commonly employed for shipping fresh fruits and vegetables such as bananas.(第5欄第9-11行、当審訳:図2はバナナのような新鮮な青果物に一般に使用される従来技術の容器を示している。)」

(イ)「Top portion 11 and base portion 10 are of approximately equal depth, and top portion 11 telescopically slides over base portion 10 to complete the container.(第5欄第14-17行、当審訳:頂部11と底部10には、ほぼ同じ深さであり、頂部部分11、ベース部分10上を摺動して容器を完成させる。)」

(ウ)「Alignable ventilation apertures 12 are provided on the periphery of both portions of the container, as well as alignable hand slots 13 for grasping the container. Hand slots 13 also provide ventilation to the interior of the container.(第5欄第17-20行、当審訳:整列可能な通気穴12は、容器の2つの部分、ならびに容器を把持するために、位置合わせ可能なハンドスロット13の周囲に設けられている。ハンドスロット13もまた、容器の内部に通気性を提供する。)」

(エ)「When ventilation apertures 20 are provided in the sidewalls of container 15, corresponding alignable ventilation apertures 26 can be provided in inserts 24 so that unimpeded fluid communication to the interior of the container will be maintained.(第6欄第62行-66行、当審訳:容器15の側壁に通気穴20を設ける場合には、対応する整列可能な通気穴26を、容器の内部への妨げのない流体連通を維持するようにするために、挿入部24内に設けることができる。)」

(オ)「FIG.2



(カ)「FIG.3




(5)引用文献6に記載された事項
新たに引用する、本件に係る出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2002-332068号公報(平成14年11月22日公開。以下、「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生鮮食料品や生花、その他の特に鮮度を要求される各種品物の二重梱包装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、養鶏業者から量販店や飲食物提供場所へ、多量の鶏卵を運搬するに当り、その透明なプラスチック製の包装容器へ収納した鶏卵を、段ボール製の内箱に梱包し、更に同様な段ボール製の外箱へ積み重ね状態又は/及び横並べ状態として、二重に梱包することがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような場合に従来の内箱と外箱は、何れも段ボール製として通気性を有さないため、その運搬中や冷蔵しない状態での保管中に、内部の鶏卵が蒸れてしまって、夏期には瞬時に腐敗しやすく、又冬期でも生鮮度の早期に低下するおそれがあり、特別の注意を払わなければならない。
【0004】そして、このような問題は上記鶏卵のみならず、野菜や果物、生花、その他の特に鮮度が要求される各種品物の梱包についても、同様に言えることである。」

(イ)「【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1?9は代表的な生鮮食料品である鶏卵用の二重梱包装置として、大きな直方体(縦:約33cm、横:約50cm、深さ:約29cm)に組み立てられた1個の段ボール製外箱(L)と、悉く同じ大きさの小さな直方体(縦:約31cm、横:約16cm、深さ:約9cm)に組み立てられた合計9個の段ボール製内箱(S)とから成る基本実施形態を例示しており、その複数の内箱(S)が共通の外箱(L)内へ3段の積み重ね状態及び3列の横並べ状態として、整然と正しく収納できるようになっている。
【0008】先ず、すべて同じ内箱(S)の各個は図2のような直方体として、水平な上下両面(1a)(1b)のほかに、垂直な前後両壁面(2a)(2b)と左右両壁面(3a)(3b)を備えており、その上面(1a)が折り曲げ開閉面として鶏卵(E)のプラスチック製包装容器(M)を出し入れできるようになっている。・・・」

(ウ)「【0012】又、(5a)(5b)は同じく各内箱(S)の垂直な前後両壁面(2a)(2b)へ、水平線(X-X)上での直通状態に向かい合う1個づつとして、その長方形の中心に対応開口された円形の横通気穴であり、その穴径も上下両面(1a)(1b)に開口する上記縦通気穴(4a)(4b)のそれと等しい。
【0013】この点、基本実施形態に示した各内箱(S)の前後両壁面(2a)(2b)は、上下両面(1a)(1b)よりも小さな長方形をなしているため、強度低下の予防上、その中心へ横通気穴(5a)(5b)の1個づつを開口形成しているにとどまるが、その横通気穴(5a)(5b)が向かい合い直通することになる水平線(X-X)と、上記縦通気穴(4a)(4b)が向かい合い直通することになる垂直線(Y-Y)とは、図8のような互いに一定距離(D)だけ位置ズレ変化した振り分け状態にある関係上、その各内箱(S)の内部を全体として万遍なく通気させることに役立ち、効率性に優れる。
【0014】但し、図1と対応する図10?12の変形実施形態から明白なように、各内箱(S)の前後両壁面(2a)(2b)が比較的大きな長方形をなす場合には、ここにも複数づつの横通気穴(5a)(5b)を、やはり好ましくはその中心(O)に関して約180度の回転対称となる位置(P1)(P2)へ、振り分け状態に開口分布させることができる。
【0015】又、上記基本実施形態では各内箱(S)の垂直な左右両壁面(3a)(3b)に限り、ここには横通気穴を開口形成していないが、図10?12の変形実施形態に併せて示唆する如く、その左右両壁面(3a)(3b)の好ましくは中心(O)に関して約180度の回転対称となる位置(P1)(P2)へ、複数づつの横通気穴(6a)(6b)を開口分布させたり、或いはその左右両壁面(3a)(3b)の中心へ1個づつの横通気穴(6a)(6b)を開口形成したりしても良い。」

(エ)「【0022】又、(15a)(15b)は同じく外箱(L)の垂直な前後両壁面(12a)12b)へ、水平線(X-X)上で直通状態に向かい合う9個づつとして開口分布された円形の横通気穴であり、その穴径が上記後行折り重ね片(11a-3)(11a-4)に開口する縦通気穴(14a-3)(14a-4)のそれと同じとして、各々内箱(S)における横通気穴(5a)(5b)のそれよりも若干大きく形成されている。
【0023】図示のような合計9個の内箱(S)が外箱(L)の内部へ、やはり3段の積み重ね状態及び3列の横並べ状態に梱包されたと仮定した時、その外箱(L)に開口分布する横通気穴(15a)(15b)が、図9のように悉く各内箱(S)における横通気穴(5a)(5b)の向かい合い直通することとなる水平線(X-X)上へ、正しく対応位置するように関係設定されているのである。」

(オ)「【0026】又、基本実施形態の場合外箱(L)の左右両壁面(13a)(13b)には、向かい合う一対の把手穴(17a)(17b)が開口するにとどまるが、その把手穴(17a)(17b)を形成することに代えて、図10?12の変形実施形態から示唆されるように、ここにも各内箱(S)の左右両壁面(3a)(3b)に開口する横通気穴(6a)(6b)との直通状態として対応合致し得る複数の横通気穴(16a)(16b)を、やはり好ましくはその長方形の中心(O)に関して約180度の回転対称となる位置(P1)(P2)へ、振り分け状態に開口分布させることができる。
【0027】上記基本実施形態と変形実施形態との何れにあっても、その各内箱(S)の縦通気穴(4a)(4b)と横通気穴(5a)(5b)(6a)(6b)や、外箱(L)の縦通気穴(14a-1)(14a-2)(14a-3)(14a-4)(14b)と横通気穴(15a)(15b)(16a)(16b)を、悉く円形に開口分布させているが、その打ち抜き形状は楕円形や角形などに設定しても良い。」

(カ)「【図10】



2-3 対比・判断
(1)対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ボール箱」、「果実」、「緩衝性支持材」、「台板」、「孔」、「折曲げ片a,c」、「折曲げ片b,d」、「ボール箱の4つの側板」、「台板の4つの側板」は、それぞれ、本件補正発明の「外箱体」、「物品」、「包装パック」、「内トレイ体」、「嵌合穴」、「長手側板」、「短手側板」、「外箱体の四周側板」、「内トレイ体の四周側板」に相当する。

上記2-2(1)(ク)で示したとおり、引用発明では、ボール箱に台板1を二つ以上段積みした場合でも台板1は水平状態を維持しており、台板1の穴3に嵌合する緩衝性支持材2は、宙吊り状態で包装箱に収容されているから、引用発明の「緩衝性支持体を宙吊り状態で収容した箱」は、本件補正発明の「宙吊り包装箱」に相当する。

引用発明のボール箱と台板を構成する「ボール紙」と「段ボール又は板紙」は、いずれも材質が紙であるから、本件補正発明の「紙材」に相当する。

してみると、本件補正発明と引用発明とは、両者が
「中空直方体状の外箱体と、物品を収容する複数の包装パックを宙吊り状態で支持可能な内トレイ体とを備え、前記外箱体内に前記内トレイ体を複数段積み重ねて収容している宙吊り包装箱において、
前記外箱体と前記内トレイ体とは紙材によって構成され、前記内トレイ体における矩形状の平板には、前記包装パックが嵌まる嵌合穴の複数個が形成され、前記嵌合穴のそれぞれに前記包装パックを嵌め込むことによって、前記各包装パックが宙吊り状態で支持されるように構成されるとともに、
前記内トレイ体の前記平板には、相対向する一対の長手側板と、相対向する一対の短手側板とが設けられ、前記各短手側板は、前記平板に連接され、且つ下向きに折り曲げられる、
宙吊り包装箱。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本件補正発明では、短手側板が「切込線を介して」前記平板に連接され、「且つ前記切込線に沿って」下向きに折り曲げられているのに対して、引用発明では、「切込線」がない点。

(相違点2)
本件補正発明では「前記平板における前記各切込線寄りの箇所には、取り出し用の把手穴が設けられ」ているのに対して、引用発明では、「取り出し用の把手穴」がない点。

(相違点3)
本件補正発明では「前記外箱体の四周側板と前記各段の内トレイ体の四周側板とには、互いに重なり合う側板同士の対応する箇所に通気穴が設けられ、前記通気穴によって、前記外箱体の外部から前記各段の内トレイ体の内部までを連通させている」のに対して、引用発明では「通気穴」がない点。

(2)当審の判断
(ア)相違点1について
上記相違点1について検討する。
シート状の紙材を折り曲げる際に折り目に切込線を設けることは、従来周知の技術手段というべきであり、例えば、上記2-2(2)で示したとおり、引用文献2の段落[0013]には、「弱め線とは、折り目線の一種であり、折り曲げた後の弾性力による復元作用が折曲線より小さくなるようにしたものであって、例えばミシン目により形成することができる」と記載されている。そして、引用発明の台板は、段ボール又は板紙からなるものであるから、段ボール又は板紙は折り曲げ後に弾性力による復元作用が生じることの技術常識を参酌すると、当該台紙を折り曲げる際に折り曲げ後の弾性力による復元作用を小さくするという課題が内在しているものと認められ、引用発明に引用文献2に例示される周知技術を適用して、台板の短手側板と平板との折り目部分にミシン目のような切込線に設けることは、当業者が容易に想到し得た周知技術の適用というべきである。

(イ)相違点2について
次に相違点2について検討する。
段ボールで構成されたトレイを外箱内に収容した際、外箱からトレイを取り出すことは、トレイと外箱の間の隙間が狭く指を挿入しにくいとの技術常識を参酌すると、段ボールで構成したトレイを外箱に収容する際に当該トレイの取り扱いをし易くするという課題は、当業者にとって自明の事項といえる。

そして、トレイの取り扱いを容易にするために、トレイに長手方向の端部、すなわち短手側板との折り曲げ線に沿った箇所に把手を設けることは、従来周知の技術手段というべきであり、例えば、上記2-2(3)で示したとおり、引用文献3の段落[0021]には、「本発明の梱包体においては、前記緩衝材の基板の対向する2辺に近接し、かつ、各辺の一端寄りにそれぞれ反対方向に偏倚した位置に、指掛け孔が形成されていることが好まし。これによれば、指掛け孔に指を挿入して緩衝材を保持できるので、梱包箱への緩衝材の出し入れが容易となる。」こと、段落[0041]には、「基板31の対向する短辺31b,31bには、各短辺31bの一端寄りの位置に、それぞれ反対方向に偏倚した位置となるように、半円形状をなした指掛け孔33がそれぞれ形成されている。」、[図3]には、短辺に沿って、折り曲げ可能な側板が折り曲げられ、前記短辺が折り目線となっていること、[図1]には、梱包箱への複数段重ねた緩衝材を収納することが記載されている。

そして、引用発明と引用文献3に例示される周知技術とは、いずれも段ボールで構成されたトレイを外箱内に収容する技術であって、上記のとおり自明の課題が内在しているのであるから、引用発明に引用文献3に例示される周知技術を適用して、内トレイ体の平板における短手方向の折り目線寄りの箇所に取り出し用の把手穴を設けることは、当業者が容易に想到し得た周知技術の適用というべきである。

(ウ)相違点3について
次に上記相違点3について検討する。
引用文献5には、新鮮な青果物に一般に使用される容器において、外部に面する容器の側板と、挿入され該側板と対向して内部に面する側板とは互いに重なり合っており、互いに重なり合う側板同士の対応する箇所に通気穴を設け、容器の外部から内部まで連通させ、通気性を提供する技術が記載されている。

また、引用文献6には、鶏卵、野菜、果物、生花、その他の特に鮮度が要求される各種品物の二重梱包装置において、外箱の垂直な前後両壁面及び左右両壁面と各内箱の前後両壁面及び左右両壁面とに、直通状態として対応合致し得る複数の横通気穴を設けて、各内箱の内部を全体として万遍なく通気させることの技術が記載されている。

果物に使用される容器に関する技術であって、果物などの生鮮食品のうち一部のものは、収穫後でもあっても鮮度を維持するために新鮮な空気を必要とする課題が技術常識である。そして、上記引用文献5又は引用文献6の記載に例示されるように、外箱体の四周側板と各段の内トレイ体の四周側板とが互いに重なり合う側板同士の対応する箇所に通気穴を設け、前記通気穴によって、外箱体の外部から内トレイ体の内部までを連通させている構成とすることは、従来周知の事項である。そうすると、引用発明において、上記相違点3.に係る本件補正発明の構成を適用することは、単に従来周知の事項を適用したに過ぎず、当業者が容易になし得たことというべきである。

ここで、審判請求人は、令和2年 5月 8日提出の審判請求書の(3).において、「引用文献1?4には、本願請求項1の発明のような『前記外箱体の四周側板と前記各段の内トレイ体の四周側板とには、互いに重なり合う側板同士の対応する箇所に通気穴が設けられ、前記通気穴によって、前記外箱体の外部から前記各段の内トレイ体の内部までを連通させている、』という点、並びに、『外箱体内に内トレイ体を複数段積み重ねて収容できる宙吊り包装箱において、各段の内トレイ体内部への通気性を向上できる。』という顕著な効果について、全く開示ないし示唆されておらず、引用文献1?4から本願請求項1の発明の特徴を見出すことは何ら期待できません。従いまして、本願請求項1の発明は、引用文献1?4から容易に想到できるものでないと確信する次第です。」と主張するが、審判請求人が主張する顕著な効果は、上述の課題を含めて引用文献5又は引用文献6に記載された技術的事項から当業者が予測可能な範囲内にすぎず、審判請求人の主張を採用することはできない。

してみると、本件補正発明は、引用発明及び従来周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3. 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1. 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件に係る出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和 元年12月 9日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。

2. 原査定の拒絶の理由ついて
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?2に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に例示された従来周知の事項及び引用文献3に例示された従来周知の事項、若しくは引用文献1に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:実願昭50-135503号(実開昭52-049082号)のマイクロフィルム
引用文献2:特開2005-178806号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2012-192947号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2011-152931号公報

3. 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2.2-2(1)ないし(3)に記載したとおりである。

4. 当審の判断
本願発明は、前記第2の[理由]で検討した本件補正発明から、「前記外箱体の四周側板と前記各段の内トレイ体の四周側板とには、互いに重なり合う側板同士の対応する箇所に通気穴が設けられ、前記通気穴によって、前記外箱体の外部から前記各段の内トレイ体の内部までを連通させている、」との発明特定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに外箱体及び内トレイ体に係る発明特定事項を付加した本件補正発明が、前記第2の[理由]2.2-3に記載したとおり引用発明及び従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであることは明らかである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2020-12-15 
結審通知日 2020-12-16 
審決日 2021-01-12 
出願番号 特願2016-255472(P2016-255472)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 信秀  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 間中 耕治
森藤 淳志
発明の名称 宙吊り包装箱  
代理人 渡辺 隆一  
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