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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A47L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A47L
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 A47L
管理番号 1371430
審判番号 不服2020-2980  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-04 
確定日 2021-03-16 
事件の表示 特願2019-138923「吸込具及び電気掃除機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月 4日出願公開、特開2020- 81850、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和元年7月29日(優先権主張 平成30年11月19日)の出願であって,その手続等の経緯の概要は,以下のとおりである。
令和 元年11月21日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 1月 7日付け:意見書,手続補正書
令和 2年 2月13日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 2年 3月 4日付け:拒絶査定不服審判請求書,手続補正書
令和 2年12月16日付け:拒絶理由通知書
令和 2年12月24日付け:意見書,手続補正書

第2 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」という。)は,令和2年12月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1?4は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
延長管と接続可能な延長管接続部と,当該延長管接続部の先端と接続され側面に曲面が形成され樹脂等の弾性を有する回転体と,吸込具本体を有する吸込具であり,
前記吸込具本体の長手方向の後方であり且つ前記吸込具本体の上面より上方に,前記回転体が位置する回転体配置空間が形成され,
前記吸込具本体の内,前記回転体配置空間の下方には曲面を有する第1凹部が形成され,前記第1凹部の前方には,前記第1凹部よりも上方に凸となる部分である丘部を有し,
前記吸込具本体の短手方向にある前記回転体配置空間の左右両側には,台座部が形成されており,
前記回転体は,前記回転体の側面に形成された曲面が前記第1凹部上を滑るように,或いは,前記第1凹部との間に僅かな隙間を介して,前記吸込具本体の長手方向に延在する軸を中心として前記吸込具本体の短手方向である左右方向に回転可能であり,前記延長管接続部が前記台座部に当接することにより,前記吸込具の回転角度が左右方向に約180度の範囲に規制される,吸込具。
【請求項2】
前記回転体は,前記吸込具本体の長手方向へ延在するように開口された回転体開口部を有し,前記延長管接続部は,前記回転体開口部内で前記回転体に遊嵌され,前記回転体開口部に沿って,前記吸込具本体の長手方向へと回転可能である,請求項1に記載の吸込具。
【請求項3】
前記延長管接続部の先端部分は略半球状或いは球状になっており,前記延長管接続部の先端部分が前記回転体に遊嵌されている,請求項1または2に記載の吸込具。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか1項に記載の吸込具を有する電気掃除機。」

第3 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1について
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された特開2018-143344号公報(以下,「引用文献1」という。)には,以下の事項が記載されている(下線は,理解を容易にするために当審で付与した。)。
ア 「【0004】
しかしながら,従来のこのような電気掃除機においては,吸込口体を前方および左右方向に移動させることは可能であるが,任意の方向に移動させることは難しいという問題点がある。」
イ 「【0005】
さらに,吸込口体に設けられた前方回転ブラシ,右側回転ブラシ,および左側回転ブラシの各電動機の駆動と制御を行うために,掃除機本体から吸込口体へ,電力を供給する2本の電力線のみならず制御信号を伝送する複数本の制御線を,ホースや延長管に沿って設けることが必要となり,ホースや延長管における配線構造やそれらの接続構造が複雑になるという問題もある。」
ウ 「【0006】
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので,吸込口体の操作性に優れ,かつ,吸込口体と掃除機本体間の電気的な配線や接続が簡素化された電気掃除機を提供するものである。」
エ 「【0008】
この発明によれば,入力可能な入力部を備え,制御部は入力部からの出力を受けて,吸込口体に駆動軸を有する駆動輪のモータの回転速度を独立して制御するので,吸込口体の移動方向を任意に変化させることができる。」
オ 「【0016】
<電気掃除機の全体構成>
図1に示すように,電気掃除機1は,掃除機本体2と,吸込口体40と,掃除機本体2を吸込口体40に気密的に接続する接続管(延長パイプ)4とを備える。」
カ 「【0018】
接続管4の先端には吸込口体40の接続パイプ部42の上端を受入れて離脱可能に接続する接続部9が設けられている。」
キ「【0022】
<吸込口体の構成>
図3は図1の電気掃除機の吸込口体を示す要部断面図である。同図に示すように,吸込口体40は、左右方向(矢印A方向)に延びる吸込口41aが設けられた底面50を有する本体ケース41と,本体ケース41の後部に接続された接続パイプ部42と,本体ケース41における吸込口41aに左右方向に伸びる回転軸20に回転可能に支持された回転ブラシ43と,回転ブラシ43を回転駆動する回転ブラシ用モータ58とを備える。」
ク 「【0026】
また,本体ケース41の中央には,吸込口41aと接続パイプ部42とを接続して,前後方向に細長く伸びる吸引流路16が設けられている。なお,接続パイプ部42は,後述するように,接続パイプ部42に接続される接続管4(図1,図2)を,前後に屈曲させる屈曲機構部80と左右に回動させる回動機構部81とを備える。」
ケ 「【0028】
<接続パイプ部の屈曲・回動機構>
図4は図3に示す吸込口体40の接続パイプ部42の構成と屈曲動作を示す吸込口体の側面図,図5は図4に示す接続パイプ部42の回動動作を示す吸込口体の後面図である。
図4に示すように,接続パイプ部42は吸込口体40の後部において,屈曲機構部80と回動機構部81を介して吸引流路16に接続される。」
コ 「【0030】
また,回動機構部81は屈曲する接続パイプ部42を,図5に示すように,床面Fに対して垂直な姿勢(垂直線CLに沿う位置)からほぼ水平な姿勢まで,つまり,垂直線CLからの左右方向の回動角度θL, θRがそれぞれ約90度になるまでに回動可能に支持するように構成されている。なお,屈曲機構部80および回動機構部81の構造については,この発明の技術分野においてよく知られているので,詳細な説明を省略する。」
サ 上記ケの記載事項及び図3?5(下図)の図示内容からみて,本体ケース41にはその後部に回動機構部81が位置する空間(以下「回動機構部配置空間」という。)が形成され,本体ケース41の内,回動機構部配置空間の前部には,上方に凸となる部分である凸部を有するものであるといえる。

(2) 引用発明
上記ア?サに示した事項及び図面の図示内容を総合すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
「接続管4と接続可能な接続パイプ部42と,回動機構部81と,本体ケース41を有する吸込口体40であり,
前記本体ケース41の後部に,前記回動機構部81が位置する回動機構部配置空間が形成され,
前記本体ケース41の内,前記回動機構部配置空間の前部には,上方に凸となる部分である凸部を有し,
前記回動機構部81は,前記本体ケース41の左右方向に回動可能であり,前記吸込口体40の回動角度が左右方向に約180度の範囲である,吸込口体40。」

2.引用文献2について
また,原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-24496号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0023】
連結部21は,例えば図7及び図14等に示すように連結管22と,第1回動部材24と,第2回動部材31を備えている。」
「【0024】
連結管22は,合成樹脂製であって,吸込みヘッド12の後部でかつ幅方向中央部に配設され,その水平な中心軸線A(図13参照)は前後方向に延びている。連結管22は,その前縁22a(図14参照)を上ケース14の部材取付け部15と下ケース16の部材取付け部18に凹凸嵌合して前後方向に位置決めされているとともに,回転できないように部材取付け部15,18で挟まれている。この連結管22の前後両端は夫々開口されていて,その前端開口は吸込み開口17に対し図6等に示すように後側から臨んで連通している。連結管22の後部は上ケース14から後方に突出されている。」「【0025】
第1回動部材24は,合成樹脂製であって,連結管22の後部外周に回転可能に取付けられている。したがって,第1回動部材24は水平に配設された連結管22の中心軸線Aの周りに回転可能であり,言い換えれば,吸込み口体11を正面から見て左右方向に回動可能である。この第1回動部材24は後向きに一体に突出された一対の接続腕部25を有している。これら接続腕部25の長手方向中間部に,図14及び図18に示すように半円形の第1軸受部位26が夫々一体に突設されている。」
「【0026】
更に,一対の接続腕部25の根元部間にわたる部位はガイド部位27として用いられていて,このガイド部位27は図7等に示すように連結管22の上部後端を覆っている。ガイド部位27は連結管22の内周面上部に連続するガイド面27a(図16参照)を有している。このガイド面27aは後述の軸受部を中心に描かれる円弧状の面で形成されている。」
「【0027】
第2回動部材31は合成樹脂により図14に示されるように略U字形状に成形されている。この第2回動部材31は,第1軸受部位26が突出された側(掃除機の標準的な使用状態では接続腕部25の下側)から第1回動部材24に組み合わされていて,この第2回動部材31を通ってねじ込まれたねじで第1回動部材24に連結されている。こうして連結された第1回動部材24と第2回動部材31とは,吸込み口体11を正面から視認した状態で左右方向に回動可能な回転体を構成している。」
「【0028】
連結部21の一対の接続腕部25間は開放されている。これとともに,連結部21の第1回動部材24と第2回動部材31にわたる後面も開放されていて,この後面の開放部分はそれより前側の接続腕部25間の開放部分の後端に連続している。」
「【0029】
図14及び図19等に示すように第2回動部材31は,その左右両側部の内面に半円形の第2軸受部位32を有している。これら第2軸受部位32は,第1回動部材24と第2回動部材31とがねじ止めされるに伴い,対応する位置の第1軸受部位26と合わさって円形の軸受部を形成する。連結部21が有した一対の前記軸受部は,第2回動部材31が接続腕部25の下側に配設された状態で,図13等に示すように連結管22の水平な中心軸線Aより下側に位置されている。」
「【0038】
接続管35の前側部位35aは,連結部21の第1回動部材24と第2回動部材31の内側に納められた状態で,一対の枢軸部37に外側から嵌合された第1軸受部位26及び第2軸受部位32により形成された前記軸受部に支持されている。それにより,接続管35は,吸込みヘッド12に回動可能に取付けられている。これら一対の枢軸部37を通る軸線B(図15参照)は,第2回動部材31が接続腕部25の下側に配設された状態を平面視した場合に,前記中心軸線Aと直交する関係にある。」
「【0039】
この接続管35は,第2回動部材31が接続腕部25の下側に配設された状態(掃除機の標準的な使用状態)で,前記軸受部を中心に上下方向に回動され,図6及び図7に示した第1位置と図12及び図13に示した第2位置とにわたって回動可能である。」

第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を,その有する機能に照らして対比すると,引用発明における「接続管4」,「接続パイプ部42」,「本体ケース41」,「吸込口体40」,「後部」,「前部」,「凸部」は,それぞれ,本願発明1における「延長管」,「延長管接続部」,「吸込具本体」,「吸込具」,「後方」,「前方」,「丘部」に相当する。
また,引用発明における「回動機構部81」,「回動機構部配置空間」,「回動可能」,「回動角度」は,それぞれ,本願発明1における「回転体」,「回転体配置空間」,「回転可能」,「回転角度」に相当する。
さらに,引用発明は「前記本体ケース41の内,前記回動機構部配置空間の前部には,上方に凸となる部分である凸部を有」するものであるから,本願発明1の「前記吸込具本体の内,前記回転体配置空間の下方には曲面を有する第1凹部が形成され,前記第1凹部の前方には,前記第1凹部よりも上方に凸となる部分である丘部を有」することと,「前記吸込具本体の内,前記回転体配置空間」の「前方」に,「上方に凸となる部分である丘部を有」するという限りで一致するものである。
したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「延長管と接続可能な延長管接続部と,回転体と,吸込具本体を有する吸込具であり,
前記吸込具本体の後方に,前記回転体が位置する回転体配置空間が形成され,
前記吸込具本体の内,前記回転体配置空間の前方には,上方に凸となる部分である丘部を有し,
前記回転体は,前記吸込具本体の左右方向に回転可能であり,前記吸込具の回転角度が左右方向に約180度の範囲にされる,吸込具。」

(相違点)
本願発明1は,回転体が「延長管接続部の先端と接続され側面に曲面が形成され樹脂等の弾性を有する」ものであって,回転体配置空間が吸込具本体の「長手方向」の後方であり「且つ前記吸込具本体の上面より上方」に形成されているものであって,吸込具本体の内,「前記回転体配置空間の下方には曲面を有する第1凹部が形成され,前記第1凹部の前方には,前記第1凹部よりも」上方に凸となる部分である丘部を有するとともに,「前記吸込具本体の短手方向にある回転体配置空間の左右両側には,台座部」が形成されており,回転体が「前記回転体の側面に形成された曲面が前記第1凹部上を滑るように,或いは,前記第1凹部との間に僅かな隙間を介して」,前記吸込具本体の「長手方向」に延在する軸を中心として前記吸込具本体の「短手方向」である左右方向に回転可能であり,「前記延長管接続部が前記台座部に当接することにより,」前記吸込具の回転角度が左右方向に規制されるのに対して,引用発明は,回動機構部81が接続パイプ部42の先端と接続されているか,側面に曲面が形成されているか,樹脂等の弾性を有するか,いずれも不明であり,回動機構部配置空間が本体ケース41の長手方向の後方にはなく本体ケース41の上面より上方にあるか不明であり,「回動機構部配置空間の前方には,上方に凸となる部分である凸部を有」するものの,回動機構部配置空間の下方に曲面を有する第1凹部が,回動機構部配置空間の左右両側に台座部が,それぞれ形成されておらず,さらに,回動機構部81がどのような構造によって左右方向に回動するのか不明であって,回動機構部81が本体ケース41の長手方向に延在する軸を中心として本体ケース41の短手方向である左右方向に回動可能ではなく,台座部に当接することで吸込口体40の回動角度を左右方向に規制されるものではない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
本願発明1は,回転体が「延長管接続部の先端と接続され側面に曲面が形成され樹脂等の弾性を有する」ものであって,回転体配置空間が吸込具本体の「長手方向」の後方であり「且つ前記吸込具本体の上面より上方」に形成されているものであって,吸込具本体の内,「前記回転体配置空間の下方には曲面を有する第1凹部が形成され,前記第1凹部の前方には,前記第1凹部よりも」上方に凸となる部分である丘部を有するものであるところ,引用文献1には,回動機構部81を接続パイプ部42の先端と接続させ側面に曲面を形成し樹脂等の弾性を有するものとすること,回動機構部配置空間を本体ケース41の長手方向の後方にするとともに本体ケース41の上面より上方に形成すること,及び,回動機構部配置空間の下方に曲面を有する第1凹部を形成し,前記第1凹部の前方に,前記第1凹部よりも上方に凸となる部分を凸部とすること,を想起させる記載はなく,引用発明において,上述のこれら構成を備えることの動機付けは見当たらない。
さらに,本願発明1は「前記吸込具本体の短手方向にある回転体配置空間の左右両側には,台座部」が形成されるとともに,回転体が「前記回転体の側面に形成された曲面が前記第1凹部上を滑るように,或いは,前記第1凹部との間に僅かな隙間を介して」,前記吸込具本体の「長手方向」に延在する軸を中心として前記吸込具本体の「短手方向」である左右方向に回転可能であって,「前記延長管接続部が前記台座部に当接することにより,前記吸込具の回転角度が左右方向に規制される」という事項が特定されているところ,引用文献1には回動機構部81の具体的構造が明らかにされておらず,当該事項については何ら開示がない上,引用文献2にも,当該事項については開示されていない。また,引用発明において,引用文献2に記載された技術的事項を積極的に採用する動機付けも見当たらない。
そうすると,引用発明において,前記相違点に係る構成を備えることの動機付けは特段認められない。
そして,本願発明1は,上記相違点に係る特定事項を備えることにより,回転体配置空間が吸込具本体の長手方向の後方に形成されているものにおいて,吸込具本体の短手方向である左右方向の回転角度を規制するとともに(本願明細書【0037】),力を確実に伝えることができ(同【0047】),更には過度な力が加わり破損することをできるだけ回避することができる(同【0008】,【0048】),といった,顕著な効果を奏するものである。
したがって,本願発明1は,当業者であっても,引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2?4について
本願発明2?4は,本願発明1を特定するための事項のすべてを備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は,請求項1について上記引用文献1に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら,上記のとおり,本願発明1?4は,上記引用発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1.特許法第17条の2第3項について
当審では,本件補正前の請求項2に記載された「前記吸込具本体の後端面と前記回転体の背面とが,略同一平面上に位置し,前記延長管接続部を前記吸込具本体に対して上方に垂直に立てた状態では,前記延長管接続部の背面と,前記吸込具本体の後端面と前記回転体の背面とが,略同一平面上に位置する」という点は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが,本件補正において,上記点は削除された結果,この拒絶の理由は解消した。

2.特許法第36条第6項第1号について
当審では,本件補正前の請求項2に記載された「前記吸込具本体の後端面と前記回転体の背面とが,略同一平面上に位置し,前記延長管接続部を前記吸込具本体に対して上方に垂直に立てた状態では,前記延長管接続部の背面と,前記吸込具本体の後端面と前記回転体の背面とが,略同一平面上に位置する」という点は,発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが,本件補正において,上記点は削除された結果,この拒絶の理由は解消した。

3.特許法第36条第6項第2号について
当審では,本件補正前の請求項2の「略同一平面」との記載に対し,「略」といった範囲を不確定とさせる表現がある結果,発明の範囲が不明確となっている,との拒絶の理由を通知しているが,本件補正において,上記記載は削除された結果,この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明1?4は,当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由及び当審で通知した拒絶の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-02-24 
出願番号 特願2019-138923(P2019-138923)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A47L)
P 1 8・ 537- WY (A47L)
P 1 8・ 55- WY (A47L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩谷 一臣山本 健晴  
特許庁審判長 窪田 治彦
特許庁審判官 鶴江 陽介
長馬 望
発明の名称 吸込具及び電気掃除機  
代理人 鎌田 健司  
代理人 野村 幸一  

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