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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1371452
審判番号 不服2020-7433  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-01 
確定日 2021-03-16 
事件の表示 特願2017-128928「発光装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月24日出願公開、特開2019- 12775、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月30日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。

令和 元年 6月13日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 9月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 2月27日付け:拒絶査定(原査定)
令和 2年 6月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年11月12日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年2月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2011/126000号
2.特開2014-207267号公報(周知技術文献)
3.特開平7-123202号公報(周知技術文献)
4.特開2016-115729号公報(周知技術文献)
5.国際公開第2012/014360号(周知技術文献)
6.特開2012-99544号公報(周知技術文献)
7.特開2010-219324号公報(周知技術文献)
8.特開2014-90052号公報(周知技術文献)

第3 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和2年6月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
板状の透光性部材に複数の発光素子を直接接合する工程と、
前記直接接合する工程の後、複数の前記発光素子の電極にそれぞれ、凸状の先端を有するスタッドバンプを形成する工程と、
前記スタッドバンプを形成する工程の後、前記透光性部材を分割し、1つまたは2つ以上の発光素子が接合された複数の透光性部材を得る工程と、 前記複数の透光性部材を得る工程の後、前記スタッドバンプが有する前記凸状の先端を実装基板の側に向けて、各発光素子を前記実装基板にフリップチップ実装する工程と、をこの順に含む発光装置の製造方法。」

なお、本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同様である。)。

1 「[請求項4] 発光素子を準備する発光素子準備工程と、
波長変換部材を準備する波長変換部材準備工程と、
表面活性化接合法により、
前記発光素子と前記波長変換部材とを接合する接合工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。」

「[0034] 一般的に、発光素子は、例えば、サファイアからなる円柱状のインゴットを薄くスライスした円盤状のウエハ上に、複数の半導体積層部12を形成した後、個々の発光素子ごとに分割することにより作製される。本発明において、表面活性化接合法により、発光素子10と波長変換部材20とを接合する場合、発光素子に分割する前に、複数の半導体積層部12が形成されたウエハと波長変換部材20とを接合した後、個々の素子に分割するようにしてもよいし、個々の発光素子に分割した後それぞれの発光素子に表面活性化接合法により、波長変換部材20を接合するようにしてもよい。しかしながら、表面活性化接合法により、発光素子10と波長変換部材20とを接合する場合、発光素子10はウエハでなく個々に切断されたものを用いると次のような利点がある(本明細書では、個々に切断されたものだけでなく、その前の状態であるウエハも「発光素子」という。)。つまり、通常、ウエハ上に形成された発光素子は、その素子が形成されたウエハ上の位置によってピーク波長や出力等の特性が異なる。しかし、ウエハを個々に切断した発光素子であれば同一又は類似した特性のものを選択してグループ化し、グループに属する発光素子の特性に応じて最適な波長変換特性を有する波長変換部材20を組み合わせて接合することが可能になる。具体的な方法としては、例えば、1枚の粘着シートに類似した特性を有する複数の発光素子を配置し(第1工程)、粘着シートに配置された個々の発光素子と1枚の波長変換部材とを表面活性化接合法により接合し(第2工程)、粘着シートを除去し(第3工程)、必要に応じて個々の発光装置となるように波長変換部材を切断する(第4工程)。」

2 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「個々の発光素子を準備する発光素子準備工程と、
1枚の波長変換部材を準備する波長変換部材準備工程と、
表面活性化接合法により、
前記個々の発光素子と前記1枚の波長変換部材とを接合する接合工程と、
個々の発光装置となるように1枚の波長変換部材を切断する工程と、
を有する発光装置の製造方法。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「1枚の波長変換部材」は、本願発明1の「板状の透光性部材」に、
引用発明の「個々の発光素子」は、本願発明1の「複数の発光素子」に、
引用発明の「『表面活性化接合法により』『接合する接合工程』」は、本願発明1の「直接接合する工程」に、
引用発明の「発光装置の製造方法」は、本願発明1の「発光装置の製造方法」に、
それぞれ相当する。

イ 引用発明の「個々の発光装置となるように1枚の波長変換部材を切断する工程」と、本願発明1の「前記スタッドバンプを形成する工程の後、前記透光性部材を分割し、1つまたは2つ以上の発光素子が接合された複数の透光性部材を得る工程」とは、「前記透光性部材を分割し、1つまたは2つ以上の発光素子が接合された複数の透光性部材を得る工程」で一致する。

ウ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「板状の透光性部材に複数の発光素子を直接接合する工程と、
前記透光性部材を分割し、1つまたは2つ以上の発光素子が接合された複数の透光性部材を得る工程と、を含む発光装置の製造方法。」

(相違点)
発光装置の製造方法について、本願発明1は、「前記直接接合する工程の後、複数の前記発光素子の電極にそれぞれ、凸状の先端を有するスタッドバンプを形成する工程と、前記スタッドバンプを形成する工程の後、前記透光性部材を分割し、1つまたは2つ以上の発光素子が接合された複数の透光性部材を得る工程と、前記複数の透光性部材を得る工程の後、前記スタッドバンプが有する前記凸状の先端を実装基板の側に向けて、各発光素子を前記実装基板にフリップチップ実装する工程と、をこの順に含む」のに対し、引用発明は、個々の発光装置となるように1枚の波長変換部材を切断する工程を有するものの、当該切断する工程以外に本願発明1の当該各工程を本願発明1の順で含むのか明らかでない点。

(2)相違点についての判断
ア 発光装置を製造するに際して、発光素子をフリップチップ実装することは、周知技術(必要ならば、引用文献2(特に、【0004】参照。)を参照されたい。)であり、発光素子の電極パッドにスタッドバンプを形成することは、周知技術(必要ならば、引用文献3(特に、【0036】、【0037】、図12-図14参照。)を参照されたい。)である。
また、基板上に半導体発光素子構造体を形成する半導体発光素子構造体形成工程、半導体発光素子構造体の上面にバンプを形成するバンプ形成工程、バンプを形成されたウエハ状態のLEDチップを切断する第1個片化工程、を順に行い発光素子を形成することは、周知技術(必要ならば、引用文献8(特に、【0077】-【0100】、図4、図5(半導体発光素子構造体形成工程、バンプ形成工程、第1個片化工程、チップ選別工程、第1キャリア貼付工程、反射層形成工程、反射層厚さ調整工程、清浄化工程、第2キャリア貼付工程、蛍光層形成工程、蛍光層厚さ調整工程、第2個片化工程、着磁工程を順に行い発光素子を形成する点)参照。)を参照されたい。)である。

イ また、引用文献3の【0036】には「スタッドバンプ36は、」「ボールの上部を切断したものである。」、【0037】には「このため全てのバンプ86が図14のように直線l1,l2上に揃い、フリップチップ接続の位置合わせが極めて容易になる。」と記載され、上記引用文献3の図13の記載から、凸状の先端を有するスタッドバンプ86が見て取れることから、上記アで説示したような周知技術に加えて、引用文献3には、複数の前記発光素子の電極にそれぞれ、凸状の先端を有するスタッドバンプを形成する工程、前記スタッドバンプが有する前記凸状の先端を実装基板の側に向けて、各発光素子を前記実装基板にフリップチップ実装する工程が記載されている。

ウ ここで、本願の発明の解決しようとする課題は「【0004】 本発明の一実施形態の目的は、発光素子を実装基板にフリップチップ実装するにあたり、発光素子に加わる衝撃を緩和することができる発光装置の製造方法を提供することにある。」とされ、各工程を含むようにし、さらに、各工程をこの順とすることで、本願発明は、当該課題を解決している。そして、引用文献1の発明の解決しようとする課題は「[0005] そこで本発明は、発光素子と波長変換部材との接合強度の強い発光装置を提供することを目的の1つとする。」とされ、表面活性化接合法により、前記個々の発光素子と前記1枚の波長変換部材とを接合することで、当該課題を解決している。

エ そうすると、引用発明は発光素子に加わる衝撃を緩和するという本願発明の課題を認識しているものではなく、引用発明において、引用文献3に記載された衝撃緩和に係る周知技術、公知技術を採用する十分な動機づけがあるとはいえない。
また、仮に、引用文献3に記載された周知技術や公知技術、及び上記アで説示した他の周知技術を採用する動機付けがあったとして、このような周知技術、公知技術をすべて採用したとしても、それだけでは、本願発明1の「板状の透光性部材に複数の発光素子を直接接合する工程」の後、「複数の前記発光素子の電極にそれぞれ、凸状の先端を有するスタッドバンプを形成する工程」、「前記透光性部材を分割し、1つまたは2つ以上の発光素子が接合された複数の透光性部材を得る工程」、「前記スタッドバンプが有する前記凸状の先端を実装基板の側に向けて、各発光素子を前記実装基板にフリップチップ実装する工程」を「この順に含む」ように組み合わせる理由はなく、またこのような工程順にすることが単なる設計事項であるということもできない。
さらに、本願発明1は、上記のような工程順とすることにより、発光素子を実装基板にフリップチップ実装するにあたり、発光素子に加わる衝撃を緩和することができるとの効果を奏するものである。

オ したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-7は、「前記直接接合する工程の後、複数の前記発光素子の電極にそれぞれ、凸状の先端を有するスタッドバンプを形成する工程と、前記スタッドバンプが有する前記凸状の先端を実装基板の側に向けて、各発光素子を前記実装基板にフリップチップ実装する工程」という事項を有するものとなっている。
そして、上記第5で検討したとおり、本願発明1-7は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-02-26 
出願番号 特願2017-128928(P2017-128928)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 本田 博幸吉野 三寛  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 野村 伸雄
近藤 幸浩
発明の名称 発光装置の製造方法  
代理人 蟹田 昌之  
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